IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 船井電機株式会社の特許一覧

特開2024-118433スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ
<>
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図1
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図2
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図3
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図4
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図5
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図6
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図7
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図8
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図9
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図10
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図11
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図12
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図13
  • 特開-スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118433
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】スモールフォームファクタプリントヘッド及びサーマルインクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B41J2/175 201
B41J2/175 131
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009866
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】18/171,478
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】マックニーズ・アンドリュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー・ショーン ティー.
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056FA03
2C056FA09
2C056KB27
2C056KB29
2C056KC21
(57)【要約】
【課題】スモールフォームファクタプリントヘッド、及びそれを含むサーマルインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】プリントヘッドは、底壁に接続する4つの側壁を有するインクリザーバ本体を含む。底壁にはインク供給口が設けられる。底壁の外面に吐出ヘッドが取り付けられ、吐出ヘッドはインク供給口とインク流連通している。フレキシブル回路が吐出ヘッドに電気接続され、底壁の外面及び4つの側壁のうちの1つの外面に取り付けられる。4つの側壁の底壁とは反対側の遠位端にカバーが取り付けられる。カバーの下側に隣接してフィルタが取り付けられる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁に接続した4つの側壁を有するインクリザーバ本体と、
前記底壁中のインク供給口と、
前記底壁の外面に取り付けられ、前記インク供給口とインク流連通している吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに電気接続され、前記底壁の前記外面及び前記4つの側壁のうちの1つの外面に取り付けられたフレキシブル回路と、
前記4つの側壁の前記底壁とは反対側の遠位端に取り付けられたカバーと、
前記カバーの下側に隣接して取り付けられたフィルタと
を含む、
スモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項2】
前記カバーに設けられたインクリザーバ補充口
を更に含む、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項3】
前記フィルタは前記カバーの内面に接着される、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項4】
前記フィルタは前記カバーの内面に溶着される、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項5】
前記フィルタは前記4つの側壁に前記底壁とは反対側に取り付けられる、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項6】
前記フィルタは、ステンレス鋼メッシュ、多孔質膜、ランダム織高分子ウェブ、メッシュ高分子ウェブ、及び高分子フェルトからなる群から選択される、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項7】
前記インクリザーバ本体は背圧装置を含まない、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項8】
前記インクリザーバ本体はフィルタタワー構造を含まない、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項9】
前記インクリザーバ本体は約4mL~約25mLの範囲の総インク量を有する、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項10】
前記吐出ヘッドは約2ミリメートル~約25ミリメートルの範囲の吐出器アレイ長を有する、
請求項1に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項11】
底壁に接続する4つの側壁を有するインクリザーバ本体と、
前記底壁中のインク供給口と、
前記底壁の外面に取り付けられ、前記インク供給口とインク流連通している吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに電気接続され、前記側壁の前記外面及び前記4つの側壁のうちの1つの外面に取り付けられたフレキシブル回路と、
前記4つの側壁の前記底壁とは反対側の遠位端に取り付けられたカバーと、
前記カバーの下側に隣接して取り付けられたフィルタと、
前記カバーの外面に取り付けられたインクリザーバ補充口と
を備える、
スモールフォームファクタプリントヘッドと、
前記インクリザーバ補充口と流体連通しているバルクインク供給タンクと、
前記スモールフォームファクタプリントヘッドと電気通信するプリントヘッドコントローラと
を含む、
サーマルインクジェットプリンタ。
【請求項12】
移動可能な基材に隣接する2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッド
を更に含み、
前記2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドは前記移動可能な基材上に印刷するよう構成される、
請求項11に記載のサーマルインクジェットプリンタ。
【請求項13】
前記2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドのそれぞれは、約4mL~約25mLの範囲の総インク量を有するインクリザーバを備える、
請求項12に記載のサーマルインクジェットプリンタ。
【請求項14】
前記2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドのそれぞれは、約2ミリメートル~約25ミリメートルの範囲の吐出器アレイ長を有する、
請求項12に記載のサーマルインクジェットプリンタ。
【請求項15】
前記フィルタは、ステンレス鋼メッシュ、多孔質膜、ランダム織高分子ウェブ、メッシュ高分子ウェブ、高分子フェルトからなる群から選択される、
請求項11に記載のサーマルインクジェットプリンタ。
【請求項16】
約4mL~約25mLの範囲の内部空隙容積を有するインクリザーバ本体と、
前記インクリザーバ本体に取り付けられ、流体充填口を有する頂部カバーと、
前記インクリザーバ本体の前記頂部カバーからの遠位端で前記インクリザーバ本体に取り付けられ、インク供給口を有する底壁と、
前記底壁の外面に取り付けられ、前記インク供給口とインク流連通している吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに電気接続され、前記インクリザーバ本体の外面に取り付けられたフレキシブル回路と、
前記頂部カバーの下側に隣接して取り付けられたフィルタと
を含む、
スモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項17】
前記フィルタは前記頂部カバーの内面に溶着される、
請求項16に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項18】
前記フィルタは、ステンレス鋼メッシュ、多孔質膜、ランダム織高分子ウェブ、メッシュ高分子ウェブ、高分子フェルトからなる群から選択される、
請求項16に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項19】
前記インクリザーバ本体は背圧装置を含まない、
請求項16に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【請求項20】
前記インクリザーバ本体はフィルタタワー構造を含まない、
請求項16に記載のスモールフォームファクタプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高ボリューム印刷のための吐出ヘッドを対象とし、特に、改善された蒸気処理特性を有する連続式サーマルインクジェットプリントヘッドを対象とする。
【背景技術】
【0002】
産業用印刷の応用では、物品は典型的に生産ライン上で、有効期限、ロット番号、バッチ番号、バーコードなどといったインディシアが付される。これは、物品のバッチ及び製品追跡を可能とする。製品マーキングは食料及び製薬産業において特に重要である。しかし、食料及び製薬産業において生産ラインに割り当てられる土地面積は典型的に制限されており、よって非常に価値がある。従って、印刷ヘッドやインクジェットデバイスが生産ラインに沿った限られた空間に収まって、マーキングされる基材に可能な限り近く配置されることが有益である。
【0003】
高生産産業において、価値ある土地を多く占有することなく基材近くに配置可能であるため、連続式インクジェット(CIJ)プリントヘッドを含むCIJプリンタが一般的に用いられている。しかし、CIJプリンタは高価であり、大幅なメンテナンスを要し、印刷画像の解像度及び品質が制限される。多くのCIJプリントヘッドは、インチ当たり50~170ドット(dpi)といった非常に画像解像度の低いドットマトリックスインシディアを提供する。
【0004】
サーマルインクジェット(TIJ)プリントヘッドも様々な産業用印刷の応用に用いられている。TIJプリントヘッドは典型的にCIJプリントヘッドよりも安価であり、2400dpi又はそれ以上といったCIJプリントヘッドよりも高い印刷解像度を提供し、CIJプリントヘッドに比べて取り替えや維持が容易である。しかし、従来のTIJプリントヘッドは典型的に、対応するCIJプリントヘッドよりも嵩張り、CIJプリントヘッドよりも生産ラインに沿った価値ある空間を多く必要とする。このため、従来のTIJプリントヘッドの食料及び製薬産業における使用は望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TIJプリントヘッドを高生産環境において継続的且つ効率的に機能させるため、TIJプリントヘッド内の空気管理が重要である。流体吐出ヘッドに隣接する従来のTIJプリントヘッドの流体リザーバ本体内の蒸気の過度な蓄積は、劣った印刷性能、メンテナンスのための停止時間、及び/又はTIJプリントヘッドの故障を頻繁に引き起こす。従来のTIJプリントヘッド10を図1図2に表しており、インクリザーバ本体12を含んでいる。プリントヘッド10は、フィルタタワー16に取り付けられたフィルタ14、並びに背圧装置18も含む。背圧装置18は、吐出ヘッド22へのインク20のフローを提供するためフィルタ14と流体連通している。従って、図1図2に示すように、先行技術のプリントヘッド10は吐出ヘッド22に隣接したフィルタタワー16に位置している少量のインク20を有するのみである。フィルタタワー16内の少量のインク20は、インクリザーバ本体12内に設けられたフォーム又はフェルトといったインク含浸背圧装置18から容易に補充される。背圧装置18は、フィルタ14を通過してフィルタタワー16に流れるインクの背圧を維持することにより、吐出ヘッド22からインクが垂れることを防止する。フィルタタワー16内のインクが少量であるため、連続印刷動作において蒸気空間がフィルタタワー16内に蓄積して、背圧装置18からフィルタ又はフィルタタワー16を通過して吐出ヘッド22へのインクのフローを妨げる可能性が高い。
【0006】
連続TIJ印刷における先行技術のプリントヘッド10のもう1つの欠点は、CIJ印刷のためのプリントヘッドのサイズに対して大きいプリントヘッド10のサイズにある。TIJプリントヘッド10のサイズ又は嵩を減少させることは、プリントヘッド内の蒸気に対するインクの比率を改善することなく、リザーバ本体12内のインクがより少量となり、よって空気管理の問題の増加を招く。従って、連続印刷動作の間の空気管理特性が改善されたスモールフォームファクタTIJプリントヘッドが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明の1つの実施形態はスモールフォームファクタプリントヘッドを提供する。プリントヘッドは、底壁に接続する4つの側壁を有するインクリザーバ本体を含む。底壁にはインク供給口が設けられる。底壁の外面に吐出ヘッドが取り付けられ、吐出ヘッドはインク供給口とインク流連通している。フレキシブル回路が吐出ヘッドに電気接続され、底壁の外面及び4つの側壁のうちの1つの外面に取り付けられる。カバーが4つの側壁の底壁とは反対側の遠位端に取り付けられる。フィルタがカバーの下側に隣接して取り付けられる。
【0008】
いくつかの実施形態において、カバーにインクリザーバ補給口が設けられる。
【0009】
いくつかの実施形態において、フィルタはカバーの内面に粘着される。いくつかの実施形態において、フィルタは4つの側壁に底壁とは逆に取り付けられる。他の実施形態において、フィルタはカバーの内面に溶着される。
【0010】
いくつかの実施形態において、フィルタは、ステンレス鋼メッシュ、多孔質膜、ランダム織高分子ウェブ、メッシュ高分子ウェブ、高分子フェルトから選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、インクリザーバ本体は背圧装置を含まない。他の実施形態において、インクリザーバ本体はフィルタタワー構造を含まない。
【0012】
いくつかの実施形態において、インクリザーバ本体は約4mL~約25mLの範囲の総インク量を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、吐出ヘッドは約2ミリメートル~約25ミリメートルの範囲の吐出器アレイ長を有する。
【0014】
もう1つの実施形態において、サーマルインクジェットプリンタを提供する。サーマルインクジェットプリンタは、底壁に接続する4つの側壁を有するインクリザーバ本体と、底壁中のインク供給口と、底壁の外面に取り付けられ、インク供給口とインク流連通している吐出ヘッドと、吐出ヘッドに電気接続され、底壁の外面及び4つの側壁のうちの1つの外面に取り付けられたフレキシブル回路と、4つの側壁の底壁とは反対側の遠位端に取り付けられたカバーと、カバーの下側に隣接して取り付けられたフィルタと、カバーの外面に設けられたインクリザーバ補給口とを有するスモールフォームファクタプリントヘッドを含む。サーマルインクジェットプリンタは、インクリザーバ補給口と流体連通しているバルクインク供給タンクと、スモールフォームファクタプリントヘッドと電気通信するプリントヘッドコントローラとを更に含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、サーマルインクジェットプリンタは移動可能な基材に隣接する2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドをさらに含み、2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドは移動可能な基材上に印刷するよう構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドのそれぞれは、約4mL~約25mLの範囲の総インク量を有するインクリザーバを備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、2つ以上の静止型スモールフォームファクタプリントヘッドのそれぞれは、約2ミリメートル~約25ミリメートルの範囲の吐出器アレイ長を有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、フィルタは、ステンレス鋼メッシュ、多孔質膜、ランダム織高分子ウェブ、メッシュ高分子ウェブ、高分子フェルトから選択される。
【0019】
もう1つの実施形態において、約4mL~約25mLの範囲の内部空隙容積を有するインクリザーバ本体を備えたスモールフォームファクタプリントヘッドを提供する。インクリザーバ本体には頂部カバーが取り付けられ、頂部カバーは流体充填口を有する。インクリザーバ本体の頂部カバーからの遠位端でインクリザーバ本体に底壁が取り付けられる。底壁にはインク供給口を有する。底壁の外面には吐出ヘッドが取り付けられる。吐出ヘッドはインク供給口とインク流連通している。フレキシブル回路が吐出ヘッドに電気接続され、インクリザーバ本体の外面に取り付けられる。フィルタが頂部カバーの下側に隣接して取り付けられる。
【0020】
開示する実施形態の利点は、インクリザーバ内の空気管理システムの効率を損ねることなく、より小さなインクリザーバを提供することができる点にある。従って、インクリザーバ本体内に背圧装置を含まなくとも、インクフィルタをカバー近隣に再配置することにより吐出ヘッドへの連続したインクのフローが提供され、インクリザーバ全体を効果的にインクで充填可能である。このため、ここで開示するスモールフォームファクタプリントヘッドには吐出ヘッドのインク供給スロットに隣接したフィルタタワー構造は必要ない。他の利点は、下記の詳細な説明と併せて添付図面を参照することで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術のプリントヘッドの、縮尺通りでない、側面断面図である。
図2図1のプリントヘッドの、縮尺通りでない、正面断面図である。
図3】本発明の1つの実施形態によるTIJプリントヘッドの上方斜視図である。
図4図3のTIJプリントヘッドの下方斜視図である。
図5図3のTIJプリントヘッドの下側平面図である。
図6図5のカバーの下側に取り付けられたフィルタの平面図である。
図7図3のTIJプリントヘッドの、縮尺通りでない、正面断面図である。
図8図3のTIJプリントヘッドの、縮尺通りでない、側面断面図である。
図9】本発明のもう1つの実施形態によるTIJプリントヘッドの、縮尺通りでない、正面断面図である。
図10】本発明の1つの実施形態による複数TIJプリントヘッドを含む連続式インクジェットプリンタの概略図である。
図11】本発明の1つの実施形態によるTIJプリントヘッドの、縮尺通りでない、底面図である。
図12】本発明の1つの実施形態による複数TIJプリントヘッドの、縮尺通りでない、底面図である。
図13】本発明によるTIJプリントヘッドのインクリザーバ本体の下方斜視図である。
図14】本発明の1つの実施形態による補強材挿入物を含む図13のインクリザーバ本体の下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的において、用語「スモールフォームファクタ」は、背圧装置及び/又はフィルタタワー構造を有さずに約4mL~約25mL以上のインクを保持するのに十分な内部空隙容積を有するインクリザーバ本体を指す。ここで用いられる用語「プリントヘッド」は、吐出ヘッドと、吐出ヘッドに取り付けられたフレキシブル回路と、リザーバ本体のためのカバーと、カバーに隣接して取り付けられた内部フィルタと、カバーにおけるインク補給口とを備えたインクリザーバ本体を指す。用語「サーマルインクジェット(TIJ)プリンタ」は、内部のインク供給リザーバと、インク供給リザーバからプリントヘッドへインクを提供する導管と、プリントヘッドを作動させるコントローラとを備えたプリンタコンソールを指す。図3図4にスモールフォームファクタプリントヘッド30を例示する。
【0023】
スモールフォームファクタプリントヘッド30は、4つの側壁34a、34b、34c、34dといった1つ以上の側壁を有するインクリザーバ本体32と、底壁34eとを含む。インクリザーバ本体32内に閉鎖されたインクリザーバを提供するため、カバー36が4つの側壁34a~34dに取り付けられる。いくつかの実施形態において、インクリザーバ本体は底壁とカバーとを備えた円筒形状を有する。インクリザーバ本体の形状がここで説明するスモールフォームファクタを提供する限り、インクリザーバ本体には他の様々な形状が用いられてよい。インクリザーバ本体32は、焼結粉末金属、セラミック、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むがこれらに限定されない様々な材料製であってよい。インクは、カバー36に取り付けられたインク補給口38(インクリザーバ補充口)を通じて連続的又は間欠的にインクリザーバ本体32に供給される。カバー36もまた、焼結粉末金属、セラミック、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むがこれらに限定されない様々な材料製であってよい。インク補給口38は、インク補給口38を提供するためカバー36中の開口に挿通することのできるカエリ付きコネクタ又はチューブを備えてよい。インク補給口38を示すカバー36の下側40を図5に表す。インクリザーバ本体32の底壁34eには吐出ヘッド42が取り付けられる。印刷動作の間に吐出ヘッド42を作動させるため、フレキシブル回路44が吐出ヘッド42に電気接続され、底壁34eと側壁34aに取り付けられる。
【0024】
図4に示すように、インクリザーバ本体32の全体的サイズは、吐出ヘッド42とフレキシブル回路44をインクリザーバ本体32に取り付けるのに不足のない領域に限り許容するため、従来のTIJプリントヘッド10に比べて減少されている。いくつかの実施形態において、インクリザーバ本体32は約4mL~約25mLの範囲の内部インク量を有する。いくつかの実施形態において、インクリザーバ本体32の内容積には如何なるフィルタタワー構造や背圧装置も含まない。従って、いくつかの実施形態において、下記で詳細に説明するように、インクリザーバ本体32の内容積全体をインクで充填することができる。他の実施形態において、必要であれば、フォーム、フェルト、ブラダといった内部背圧装置又は他の背圧装置がリザーバ本体32に含まれてよい。
【0025】
スモールフォームファクタプリントヘッド30の重要特徴はフィルタ46の配置であり(図6)、これはプリントヘッド30において粒子が吐出ヘッド42のマイクロスケールフロー特徴を閉塞させることを防止するのに重要である。1つの実施形態において、図6図8に表すように、フィルタ46は、接着剤により、溶着により、又はカバー36の内面の周縁にフィルタを熱カシメすることにより、カバー36の内面47の一部に直接取り付けられる。もう1つの実施形態において、フィルタ46は、図9に表すように、インクリザーバ本体32の側壁34a~34dに底壁34eとは反対側に溶着又は接着剤によって取り付けられる。フィルタ46が如何にしてプリントヘッド30に取り付けられるかに関わらず、インクリザーバ本体32は吐出ヘッド42の上方のインクリザーバ本体32に大幅に増加した量のインク48を提供するよう構成されることは明らかであり、蒸気空間50に対するインク48の比率が増加する。よって、吐出ヘッド22に隣接したフィルタタワー16に比較的少ないインク量を有するのみである先行技術のプリントヘッド10と比較し、プリントヘッド30は吐出ヘッド42へのインクのフローを妨げることなく、より多くの量の蒸気を収容することが可能である。従って、本発明の実施形態は、従来のプリントヘッド10により提供される蒸気空間に対するインクの比率よりも遥かに大きい蒸気空間50に対するインク48の比率を有する。蒸気空間50に対するインク48のより大きな比率を有することは、吐出ヘッド42の冷却も改善する。インク対蒸気空間の好ましい体積%は約0%~約50%の範囲である。
【0026】
フィルタ46のもう1つの重要特徴は、フィルタ46は先行技術のプリントヘッド10のようにフィルタタワー16(図1)に配置されないことから、フィルタ46により提供される濾過のための表面積が先行技術のフィルタ14により提供される表面積よりも大幅に大きいことである。従って、先行技術のプリントヘッド10のフィルタタワー16中のインクの量よりも多くの量のインクを吐出ヘッドに隣接させることを可能とするプリントヘッド30の独特な設計によって、インクリザーバ本体32の補充が向上する。フィルタ46がカバー36の内面47又は側壁34a~34dに取り付けられる実施形態において、カバーの内面47は、図9に示すようにフィルタ46とカバー36との間に一定量のインクを許容するよう構成された凹形状を有してよい。
【0027】
上述した実施形態において、フィルタ46はインクと相容性のある様々な材料製であってよい。従って、フィルタ46は、ステンレス鋼メッシュフィルタ、PETトラックエッチング膜フィルタ、織布、不織布、又はランダム織PETフィルタであってよい、又は、ポリエチレン/ポリプロピレンフェルトフィルタが用いられてよい。いくつかの実施形態において、内部フィルタ46の代わりに、又は、内部フィルタ46に加えて、プリントヘッド30のインク補充口38へのインク補充供給管路に取り付けられた外部フィルタが用いられてよい。
【0028】
図10は、矢印62の方向に移動する基材60の上方に設けられた2つ以上の静止型プリントヘッド30を含む連続式プリンタを表す。インク供給導管64は、プリンタコンソール68内に位置するバルクインク供給タンク66からプリントヘッド30a~30cへインクの補給を提供する。
【0029】
図11に示すように、各吐出ヘッド42は約2ミリメートル~約25ミリメートルの範囲のスワス長L1(吐出器アレイ長)を有する。スワス長を増加させるため、図12に示すように、複数のプリントヘッド30a~30cは約21~約60ミリメートル以上の範囲の全体スワス長L2を提供するよう組み合わされてよい。
【0030】
吐出ヘッド42のサイズには実用的制限があることを理解されたい。吐出ヘッドが長いほど、製造工程の間及び使用において破損しやすい傾向にある。従って、いくつかの実施形態において、図13図14に示すように、吐出ヘッド補強材挿入物70が底壁34eに取り付けられてよい。インクを吐出ヘッド42に提供するため、底壁34eと補強材挿入物70の両方がそれぞれインク供給口72と74を含む。いくつかの実施形態において、補強材挿入物70はセラミック製である。他の実施形態において、補強材挿入物70は、吐出ヘッド42により吐出される流体からの固形物の凝集を防ぐため、陽極酸化アルミニウム製又は不活性コーティングを含む金属製である。補強材挿入物70は、吐出ヘッド材料とリザーバ本体材料との間の熱膨張率(CTE)不一致、吐出ヘッドと硬質表面との間の衝撃による破損、及び吐出ヘッドの破損につながる他の力よる応力を制限することにより、吐出ヘッド42に更なる堅牢性を提供する。
【0031】
ここで説明するTIJプリントヘッド30は多量のインクを提供し、これはプリントヘッドの寿命を延ばすことができ、メンテナンスのためのプリンタの中断が少なくなる。また、TIJプリントヘッドは、プリントヘッドにより提供されるプリントスワスを犠牲にすることなくスモールフォームファクタを有する。フィルタタワーを排除し且つインクフィルタをプリントヘッドのカバーに隣接するよう移動させることにより、空気処理の問題が最小限に抑えられ、これもプリントヘッドの寿命を延ばす。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、特記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる量、百分率、又は割合を表す全ての数値及び他の数値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されると理解されたい。従って、特記しない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記述される数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みではなく、各数値パラメータは少なくとも、記載された有効桁数を考慮して、そして通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0033】
特定の実施形態について説明したが、現在予見していない又は予見できない代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物を出願人又は当業者が想到する可能性がある。従って、出願時の及び補正時の添付の特許請求の範囲は、そのような及び代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物の全てを包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14