(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118448
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20240823BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240823BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K85/60
C09K11/06 690
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021499
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022241
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0186737
(32)【優先日】2023-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン テジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン イェジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンギル
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョ サンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ピナリ
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
(57)【要約】
【課題】複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【解決手段】本開示は、式1で表される化合物を含む第1のホスト材料と、式2で表される化合物を含む第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料、及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。ホスト材料として化合物の特定の組み合わせを含めることにより、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較して低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は改善された寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1で表される化合物を含む第1ホスト材料と、以下の式2で表される化合物を含む第2ホスト材料とを含む複数のホスト材料:
【化1】
(式中、
X
1及びY
1は、それぞれ独立して、-N=、-NR
10-、-O-又は-S-を表すが、X
1とY
1のうちの一方は-N=であり、X
1とY
1のうちの他方は-NR
10-、-O-又は-S-であることを条件とし;
L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
1は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R
5とR
6のうちの少なくとも1つが、以下の式1-A又は式1-B:
【化2】
で表されるカルバゾール誘導体から選択され、
L
5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
2~R
4及びR
7~R
10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-L
3”-N(Ar
3”)(Ar
4”)を表すか;或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;
L
3”は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
3”及びAr
4”は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
aは1を表し、b及びcはそれぞれ独立して1又は2を表し、d~fはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、e’は1~3の整数を表し、b~f及びe’が2以上の整数である場合には、それぞれR
2~R
4、R
7、及びR
8は、同じであっても異なっていてもよく;
*は、L
2又はL
3との結合部位を表し;
【化3】
TはO又はSであり;
K
1~K
3は、それぞれ独立してN又はCHを表すが、K
1~K
3の少なくとも1つがNであることを条件とし;
L
7~L
9は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
11、R
12、Ar
6及びAr
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-N-(R’)(R”)を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;
R’及びR”は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
gは1~4の整数を表し、hは1~3の整数を表し、g及びhが2以上の整数を表す場合、R
11及びR
12のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい)。
【請求項2】
前記置換アルキル、前記置換アルケニル、前記置換アリール、前記置換アリーレン、前記置換ヘテロアリール、前記置換ヘテロアリーレン、前記置換シクロアルキル、前記置換アルコキシ、前記置換トリアルキルシリル、前記置換ジアルキルアリールシリル、前記置換アルキルジアリールシリル、前記置換トリアリールシリル、前記置換モノ-若しくはジ-アルキルアミノ、前記置換アルキルアリールアミノ、前記置換モノ-若しくはジ-アリールアミノ、前記置換モノ-若しくはジ-ヘテロアリールアミノ、前記置換アリールヘテロアミノ、並びに前記置換脂肪族環及び芳香族環の縮合環が、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ;カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシ;ホスフィンオキシド基;無置換であるか少なくとも1つの(C6~C30)アリールで置換された(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(C3~C30)シクロアルケニル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;無置換であるか少なくとも1つの(C6~C30)アリールで置換された(3員~30員)ヘテロアリール;無置換であるか、重水素、ハロゲン、シアノ、(C1~C30)アルキル、(C6~C30)アリール、(3員~30員)ヘテロアリール、及びトリ(C6~C30)アリールで置換された(3員~30員)アリール;(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;(C6~C30)アリール(3員~30員)ヘテロアリールシリル;ジ(C6~C30)アリールジ(3員~30員)ヘテロアリールシリル;トリ(3員~30員)ヘテロアリールシリル;アミノ;モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-若しくはジ(C2~C30)アルケニルアミノ;無置換であるか(C1~C30)アルキルで置換されたモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ;モノ-若しくはジ-(3員~30員)ヘテロアリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C2~C30)アルケニルアミノ;(C1~C30)アルキル(3員~30員)ヘテロアリールアミノ;(C2~C30)アルケニル(C6~C30)アリールアミノ;(C2~C30)アルケニル(3員~30員)ヘテロアリールアミノ;(C6~C30)アリール(3員~30員)ヘテロアリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)アリールホスフィン基;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される1つ以上で置換されている、請求項1に記載の複数のホスト材料。
【請求項3】
前記式1で表される化合物が、以下の式1-1~1-5のいずれか1つで表される、請求項1に記載の複数のホスト材料:
【化4】
(式中、
X
1、Y
1、L
1~L
3、L
5、R
1~R
5、R
7~R
9、a~f、及びe’は、請求項1で定義されたものと同じである)。
【請求項4】
前記式2で表される化合物が、以下の式2-1~2-4のいずれか1つで表される、請求項1に記載の複数のホスト材料:
【化5】
(式中、
T、K
1~K
3、L
7~L
9、R
11、R
12、Ar
6、Ar
7、g、及びhは、請求項1で定義されたものと同じである)。
【請求項5】
前記式1で表される化合物が以下の化合物から選択される、請求項1に記載の複数のホスト材料:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
(化合物C-93~C-97において、D
n:1~23及びDn:1~33は、それぞれ1~29個及び1~33個の水素が重水素で置換されている場合があることを意味する)。
【請求項6】
前記式2で表される化合物が、次の化合物から選択される、請求項1に記載の複数のホスト材料:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
(化合物H2-131~H2-136において、D
n:1~23、D
n:1~25、及びD
n:1~27は、それぞれ1~23個、1~25個、及び1~27個の水素が重水素で置換されている場合があることを意味する)。
【請求項7】
アノード;カソード;及び前記アノードと前記カソードとの間の少なくとも1つの発光層を含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記発光層の少なくとも1つの層が請求項1に記載の複数のホスト材料を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項8】
以下の式1’:
【化19】
(式中、
X
1及びY
1は、それぞれ独立して、-N=、-NR
10-、-O-又は-S-を表すが、X
1とY
1のうちの一方は-N=であり、X
1とY
1のうちの他方は-NR
10-、-O-又は-S-であることを条件とし;
L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R
5とR
6のうちの少なくとも1つが、以下の式1-A又は式1-B:
【化20】
で表されるカルバゾール誘導体から選択され、
L
5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
R
1は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R
2~R
4及びR
7~R
10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-L
3”-N(Ar
3”)(Ar
4”)を表すか;或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;
L
3”は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Ar
3”及びAr
4”は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
aは1を表し、b及びcはそれぞれ独立して1又は2を表し、d~fはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、e’は1~3の整数を表し、b~f及びe’が2以上の整数である場合には、それぞれR
2~R
4、R
7、及びR
8は、同じであっても異なっていてもよく;
*は、L
2又はL
3との結合部位を表す)
で表される有機エレクトロルミネセント化合物であって、以下の化合物:
【化21】
が式1’から除外される、有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項9】
前記式1’で表される化合物が以下の式1-1~1-5のいずれか1つで表される、請求項8に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化22】
(式中、
X
1、Y
1、L
1~L
3、L
5、R
1~R
5、R
7~R
9、a~f、及びe’は、請求項8で定義されたものと同じである)。
【請求項10】
前記式1’で表される化合物が以下の化合物から選択される、請求項8に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
(化合物C-93~C-97において、D
n:1~23及びDn:1~33は、それぞれ1~29個及び1~33個の水素が重水素で置換されている場合があることを意味する)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のホスト材料及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光層と電荷輸送層とからなるTPD/Alq3二層小分子有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)は、1987年にEastman KodakのTangらによって最初に開発された。その後、OLEDに関する研究が急速に行われており、OLEDは、商業化されている。現在、有機エレクトロルミネセントデバイスは、パネル実現において優れた発光効率を有するリン光材料を主に使用している。テレビや照明などの多くの用途では、OLEDの寿命が不十分であるという問題に直面しており、OLEDの高い効率が依然として求められている。一般に、OLEDの輝度が高いほどOLEDの寿命は短くなる。そのため、ディスプレイの長期の使用と高解像度を実現するためには、高い発光効率及び/又は長い寿命を有するOLEDが必要とされる。
【0003】
発光効率、駆動電圧及び/又は寿命を改良するために、様々な材料又はコンセプトが有機エレクトロルミネセントデバイスの有機層のために提案されているが、それらは、実用上十分なものではなかった。
【0004】
(特許文献1)は、フェナントロオキサゾール化合物及びフェナントロチアゾール化合物をホストとして使用する有機エレクトロルミネセントデバイスを開示している。しかしながら、前記文献は、本開示で特許請求される特定の組み合わせの複数のホスト材料を使用する有機エレクトロルミネセントデバイスを具体的には開示しておらず、OLEDの性能を向上させるためのホスト材料の開発が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2017-0022865号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第2020-0026079号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第2020-0043269号明細書
【特許文献4】韓国特許出願公開第2021-0109436号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、第1に、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は改善された寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造することができる複数のホスト材料を提供すること、第2に、本開示による化合物の特定の組み合わせをホスト材料として含めることにより、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は改善された寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フェナントロオキサゾールやフェナントロチアゾールなどのコアを有する化合物が、従来の正孔型ホストと比較して異常に低い最低空分子軌道(LUMO)エネルギー準位を有するという事実に着目した。本発明者らは、前記化合物と適切なエネルギーギャップを形成することができる正孔型ホストについて研究した。その結果、下記式1で表される化合物と下記式2で表される化合物との組み合わせを発光層において使用した場合に、適切なHOMOエネルギー準位とLUMOエネルギー準位によって正孔と電子の特性のバランスがとれることを見出した。したがって、従来のOLEDよりも発光効率が高い、及び/又は寿命特性が向上したOLEDを提供することができる。
【0008】
具体的には、本発明者らは、下記式1で表される化合物を含む第1のホスト材料と、下記式2で表される化合物を含む第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料が、上述した目的を達成することを発見し、本開示を完成させた。
【化1】
【0009】
式1において、
X
1及びY
1は、それぞれ独立して、-N=、-NR
10-、-O-又は-S-を表すが、X
1とY
1のうちの一方は-N=であり、X
1とY
1のうちの他方は-NR
10-、-O-又は-S-であることを条件とし;
L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
1は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R
5とR
6のうちの少なくとも1つが、以下の式1-A又は式1-B:
【化2】
で表されるカルバゾール誘導体から選択されることを条件とする。
【0010】
式1-A及び式1-Bにおいて、
L5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
R2~R4及びR7~R10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-L3”-N(Ar3”)(Ar4”)を表すか;或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;
L3”は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar3”及びAr4”は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
aは1を表し、b及びcはそれぞれ独立して1又は2を表し、d~fはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、e’は1~3の整数を表し、b~f及びe’が2以上の整数である場合には、それぞれR2~R4、R7、及びR8は、同じであっても異なっていてもよく;
*は、L2又はL3との結合部位を表す。
【0011】
【化3】
式2において、
TはO又はSであり;
K
1~K
3は、それぞれ独立してN又はCHを表すが、K
1~K
3の少なくとも1つがNであることを条件とし;
L
7~L
9は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
11、R
12、Ar
6及びAr
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-N-(R’)(R”)を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;
R’及びR”は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
gは1~4の整数を表し、hは1~3の整数を表し、g及びhが2以上の整数を表す場合、R
11及びR
12のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。
【0012】
更に、本発明者らは、下記式1’で表される有機エレクトロルミネセント化合物、前記有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び前記有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスが、上記目的を達成することを見出し、本開示を完成させた。
【化4】
【0013】
式1’において、
X
1及びY
1は、それぞれ独立して、-N=、-NR
10-、-O-又は-S-を表すが、X
1とY
1のうちの一方は-N=であり、X
1とY
1のうちの他方は-NR
10-、-O-又は-S-であることを条件とし;
L
1、L
2、及びL
3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R
5とR
6のうちの少なくとも1つが、以下の式1-A又は式1-B:
【化5】
で表されるカルバゾール誘導体から選択されることを条件とする。
【0014】
式1-A~1-Bにおいて、
L5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
R1は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R2~R4及びR7~R10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-L3”-N(Ar3”)(Ar4”)を表すか;或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;
L3”は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
Ar3”及びAr4”は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
aは1を表し、b及びcはそれぞれ独立して1又は2を表し、d~fはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、e’は1~3の整数を表し、b~f及びe’が2以上の整数である場合には、それぞれR2~R4、R7、及びR8は、同じであっても異なっていてもよく;
*は、L2又はL3との結合部位を表す。
【0015】
ただし、以下の化合物は式1’から除外される。
【化6】
【0016】
発明の有利な効果
本開示による特定の組み合わせを有する化合物をホスト材料として使用することによって、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は改善された寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の記載は、本開示を説明することを意図し、本開示の範囲を限定することを決して意味しない。
【0018】
本開示は、式1で表される化合物を含む第1のホスト材料と、式2で表される化合物を含む第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料、及びホスト材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0019】
更に、本開示は、式1’で表される有機エレクトロルミネセント化合物、前記有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料、及び前記有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0020】
本明細書において、本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて使用することができ、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の材料層に含まれ得る化合物を指す。
【0021】
本明細書において、本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて使用することができ、1種以上の化合物を含むことができ、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る材料を指す。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト材料及びドーパント材料を含む)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、電子注入材料などであってよい。
【0022】
本明細書において、本開示における用語「複数の有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る、2種以上の化合物の組み合わせを含む有機エレクトロルミネセント材料を指し、有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる前(例えば蒸着前)と後(例えば蒸着後)の材料を指す場合がある。例えば、複数の有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子阻止層、発光層、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層のうちの1つ以上の層に含まれ得る2種以上の化合物の組み合わせであってよい。2つ以上のタイプの化合物は、当該技術分野で使用される方法によって、同じ層又は異なる層に含まれることができ、例えば混合蒸着されていても共蒸着されていてもよく、或いは個別に蒸着されていてもよい。
【0023】
本明細書において、本開示における用語「複数のホスト材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の発光層中に含まれ得る2種類以上の化合物の組み合わせを含むホスト材料を指し、有機エレクトロルミネセントデバイス中に含まれる前(例えば蒸着前)及び含まれた後(例えば蒸着後)の両方の材料を指す場合がある。一実施形態では、本開示の複数のホスト材料は、2種以上のホスト材料の組み合わせであってよく、任意選択的には、有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料を更に含み得る。本開示の複数のホスト材料は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の発光層に含まれていてもよく、また本開示の複数のホスト材料中に含まれる2つ以上のタイプの化合物は、1つの発光層の中に一緒に含まれていてもよく、或いは当該技術分野において使用される方法によって異なる発光層に含まれていてもよい。例えば、2つ以上のタイプの化合物が混合蒸着されていても共蒸着されていてもよく、或いは個別に蒸着されていてもよい。
【0024】
本明細書において、本開示における用語「(C1~C30)アルキル(エン)」は、鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル(エン)を指し、この炭素原子の数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。アルキルの具体的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルなどを挙げることができる。
【0025】
本明細書では、本開示における用語「(C2~C30)アルケニル」は、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルケニルを指し、この炭素原子の数は、好ましくは、2~20、より好ましくは2~10である。アルケニルの具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブト-2-エニルなどを挙げることができる。
【0026】
本明細書では、本開示における用語「(C2~C30)アルキニル」は、鎖を構成する2~30個の炭素原子、好ましくは2~20個の炭素原子、より好ましくは2~10個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキニルを指す。アルキニルの例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペント-2-イニルなどを挙げることができる。
【0027】
本明細書では、本開示における用語「(C3~C30)シクロアルキル(エン)」は、3~30個の環骨格炭素原子、好ましくは、3~20個の炭素原子、より好ましくは3~7個の炭素原子を有する単環式又は多環式の炭化水素を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを挙げることができる。
【0028】
本明細書では、本開示における用語「(3~7員)ヘテロシクロアルキル(エン)」は、3~7個、好ましくは5~7個の環骨格原子を有し、B、N、O、S、Si、及びPからなる群、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むシクロアルキル(エン)を指し、例えばテトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピランなどである。
【0029】
本明細書では、本開示における「(C6~C60)アリール(エン)」は、6~60個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環又は縮合環に基づくラジカルを指し、それらは部分的に飽和であってよい。環骨格炭素原子の数は、好ましくは6~30である。アリールには、スピロ構造を有するものが含まれる。上記アリールとしては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フェニルテルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、スピロビフルオレニル等が挙げられ得る。より具体的には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、ベンズアントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、ナフタセニル、ピレニル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、2-ビフェニリル、3-ビフェニリル、4-ビフェニリル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-カルバゾリル、p-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル、4-フルオランテニル基、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニリル、4”-t-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、及び9,9-ジフェニル-4-フルオレニルである。
【0030】
本明細書では、用語「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」は、3~30個の環骨格原子を有し、B、N、O、S、Si、P、Se、及びGeからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~4であり、単環系であっても、1つ以上のベンゼン環と縮合した縮合環系であってもよく、部分的に飽和していてもよい。更に、本明細書におけるヘテロアリール(エン)には、1つ以上のヘテロアリール基又はアリール基が単結合によってヘテロアリールに連結している形態も含まれ、スピロ構造を有するものも含まれる。ヘテロアリールの例としては、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等などの単環式ヘテロアリール、及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾナフトチオフェニル、ジアザジベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、ベンゾキノリル、イソキノリル、ベンゾイソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾキノキサリニル、ナフチリジニル、トリアザナフチル、ベンゾチエノピリミジニル、カルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェノチアゾリル、フェナノリル、フェナノリル、ベンゾトリジオキシニル、ジヒドロジフラニル等の縮合ヘテロアリールが挙げられ得る。より具体的には、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、ピラジニル、2-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジニル、2-インドリジニル、3-インドリジニル、5-インドリジニル、6-インドリジニル、7-インドリジニル、8-インドリジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、及び6-イソインドリル基、フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾリル-2-イル、アザカルバゾリル-3-イル、アザカルバゾリル、5-カルバゾリル、6-アザゾリル-アザゾリル、7-アザゾリル、8-アザゾリル-アザゾリル、7-アザゾリル-アザゾリル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-イル、4-メチル-インドリル、2-メチル-3-インドリル、3-インドリル基、t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、及び4-ゲルマフルオレニルである。更に、「ヘテロアリール(エン)」は、電子特性を有するヘテロアリール(エン)と正孔特性を有するヘテロアリール(エン)とに分類することができる。電子特性を有するヘテロアリール(エン)は、母核に電子が比較的豊富に存在する置換基であり、例えば、置換若しくは無置換ピリジニル、置換若しくは無置換ピリミジニル、置換若しくは無置換トリアジニル、置換若しくは無置換キナゾリニル、置換若しくは無置換キノキサリニル、置換若しくは無置換キノリル等であってよい。正孔特性を有するヘテロアリール(エン)は、母核の電子数が相対的に不十分である置換基であってよく、例えば、置換若しくは無置換カルバゾリル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、又は置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニルであってよい。
【0031】
本開示の式において、ヘテロアリール及びヘテロアリーレンは、それぞれ独立して、B、N、O、S、Si、及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。加えて、ヘテロ原子は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(5~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノからなる群から選択される少なくとも1つと結合していてもよい。
【0032】
本明細書では、本開示における用語「(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環」は、3~30個の環骨格炭素原子を有する少なくとも1個の脂肪族環(その中の炭素原子の数は、好ましくは3~25、より好ましくは3~18である)及び6~30個の環骨格炭素原子を有する少なくとも1個の芳香族環(その中の炭素原子の数は、好ましくは6~25、より好ましくは6~18である)と縮合した環の官能基を指す。例えば、1つ以上のベンゼンと1つ以上のシクロヘキサンとの縮合環、又は1つ以上のナフタレンと1つ以上のシクロペンタンとの縮合環などが挙げられる。本明細書において、(C3~C30)脂肪族環及び(C6~C30)芳香族環の縮合環の炭素原子は、B、N、O、S、Si、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子で置き換えられていてもよく、好ましくはN、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子で置き換えられていてもよい。本明細書において、用語「ハロゲン」にはF、Cl、Br、及びIが含まれる。
【0033】
更に、「オルト(o-)」、「メタ(m-)」、及び「パラ(p-)」は、それぞれ置換基の相対位置を表す接頭辞である。オルトは、2個の置換基が互いに隣接することを表し、例えばベンゼン誘導体の2個の置換基が1位と2位を占める場合、それはオルト位と呼ばれる。メタは、2個の置換基が1位及び3位にあることを表し、例えばベンゼン誘導体の2個の置換基が1位と3位を占める場合、それはメタ位と呼ばれる。パラは、2個の置換基が1位及び4位にあることを表し、例えばベンゼン誘導体の2個の置換基が1位と4位を占める場合、それはパラ位と呼ばれる。
【0034】
本開示の式において、隣接する置換基と連結して環が形成される場合、又は隣接する2つの置換基が互いに連結して環を形成する場合、前記環は、2つ以上の隣接する置換基と連結して形成される置換若しくは無置換の(3員~30員)の単環式若しくは多環式の、脂環式環若しくは芳香族環、又はそれらの組み合わせであってよい。加えて、形成された環は、B、N、O、S、Si及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子、好ましくはN、O及びSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る。本開示の一実施形態によれば、環骨格原子の数は、(5~20員)であり、本開示の別の実施形態によれば、環骨格原子の数は(5~15員)である。例えば、縮合環は、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換ジベンゾフラン環、置換若しくは無置換ナフタレン環、置換若しくは無置換フェナントレン環、置換若しくは無置換フルオレン環、置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環、置換若しくは無置換ベンゾフラン環、置換若しくは無置換インドール環、置換若しくは無置換インデン環、置換若しくは無置換ベンゼン環又は置換若しくは無置換カルバゾール環であってよい。
【0035】
加えて、表現「置換若しくは無置換」における「置換」は、別の原子又は別の官能基(すなわち置換基)で置き換えられた官能基中の水素原子を指す。別段の明記がない限り、置換基は、置換基が置換されていてもよい位置の水素に限定されなくてよく、官能基中の2個以上の水素原子がそれぞれ置換基で置換されている場合、置換基は互いに同じであっても異なっていてもよい。ある官能基で置換されていてもよい置換基の最大数は、官能基を構成する各原子で置換されていてもよい置換基の総数とすることができる。本開示の式における置換アルキル、置換アルケニル、置換アリール、置換アリーレン、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリーレン、置換シクロアルキル、置換アルコキシ、置換トリアルキルシリル、置換ジアルキルアリールシリル、置換アルキルジアリールシリル、置換トリアリールシリル、置換モノ-若しくはジ-アルキルアミノ、置換アルキルアリールアミノ、置換モノ-若しくはジ-アリールアミノ、置換モノ-若しくはジ-ヘテロアリールアミノ、置換アリールヘテロアリールアミノ、並びに置換脂肪族環及び芳香族環は、それぞれ独立して、重水素;ハロゲン;シアノ(acyano);カルボキシル;ニトロ;ヒドロキシ;(C1~C30)アルキル;ハロ(C1~C30)アルキル;(C2~C30)アルケニル;(C2~C30)アルキニル;(C1~C30)アルコキシ;(C1~C30)アルキルチオ;(C3~C30)シクロアルキル;(C3~C30)シクロアルケニル;(3~7員)ヘテロシクロアルキル;(C6~C30)アリールオキシ;(C6~C30)アリールチオ;又は無置換であるか(C1~C30)アルキル及び(3員~30員)ヘテロアリールのうちの少なくとも1つで置換された本開示の(C6~C30)アリールの式において無置換の(C6-アリールチオ)ヘテロアリール;トリ(C1~C30)アルキルシリル;トリ(C6~C30)アリールシリル;ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル;(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル;アミノ;モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ;モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ;(C1~C30)アルキルカルボニル;(C1~C30)アルコキシカルボニル;(C6~C30)アリールカルボニル;ジ(C6~C30)アリールボロニル;ジ(C1~C30)アルキルボロニル;(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル;(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル;及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される1つ以上、好ましくは、(C1~C10)アルキル;(C6~C20)アリール;無置換であるか(C6~C20)アリールで置換された(3員~20員)ヘテロアリール;及びジ(C6~C20)アリールアミノからなる群から選択される1種以上、より好ましくは、(C1~C6)アルキル;(C6~C12)アリール;無置換であるか(C6~C12)アリールで置換された(5員~15員)ヘテロアリール;及びジ(C6~C12)アリールアミノからなる群から選択される1つ以上、例えば、メチル、フェニル、ナフチル、カルバゾリル、フェニルキノキサリル、及びジフェニルアミノからなる群から選択される1つ以上で置換されていてもよい。
【0036】
本開示において、置換基が式又は化合物構造中に示されていない場合、それは、置換基として存在し得る全ての位置が水素又は重水素であってよいことを意味し得る。すなわち、水素の同位体である重水素の場合、水素原子の一部が同位体である重水素であってよく、この場合、重水素の含有量は0%~100%であってよい。式中又は化合物構造中に置換基が示されていない場合、重水素が明示的に除外されていないときは、化合物中に水素と重水素が混在して使用されることがあり、例えば重水素の含有量が0%である場合には水素の含有量が100%であり、全ての置換基が水素である。重水素は、水素の同位体の1つであり、その原子核として、1つの陽子と1つの中性子とからなる、重陽子を有する元素である。これは水素-2として表すことができ、その元素記号はD又は2Hと書くことができる。同位体は、同じ原子番号(Z)を有するが質量数(A)が異なる原子を指す。また、同じ数の陽子を有するが異なる数の中性子を有する元素として解釈することもできる。
【0037】
本明細書では、本開示における「それらの組み合わせ」は、対応するリストのうちの1つ以上の構成要素が組み合わされて、当業者が対応するリストから想到し得る公知の又は化学的に安定な配置を形成することを指す。例えば、アルキルと重水素とは、部分的に若しくは完全に重水素化されたアルキル基を形成するために組み合わせることができ;ハロゲンとアルキルとは、ハロゲン化アルキル置換基を形成するために組み合わせることができ;ハロゲンと、アルキルと、アリールとは、ハロゲン化アリールアルキルを形成するために組み合わせることができる。例えば、置換基の好ましい組み合わせは、水素と重水素を除いて最大50個の原子を含んでいてもよく、或いは水素と重水素を除いて最大40個の原子を含んでいてもよく、或いは水素と重水素を除いて最大30個の原子を含んでいてもよく、或いは、多くの場合、置換基の好ましい組み合わせは、水素と重水素を除いて最大20個の原子を含んでいてもよい。
【0038】
本開示の式において、複数の置換基が同じ記号で示される場合、同じ記号で表されるこれらの置換基のそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0039】
式1、1’、及び2で表される化合物は、以下の通りにより詳細に説明され得る。
【0040】
式1及び1’において、X1及びY1は、それぞれ独立して、-N=、-NR10-、-O-又は-S-を表すが、X1とY1のうちの一方は-N=であり、X1とY1のうちの他方は-NR10-、-O-又は-S-であることを条件とする。例えば、X1とY1のうちの一方は-N=であってよく、X1とY1のうちの他方は-O-又は-S-であってよい。
【0041】
式1及び1’において、L1は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。本開示の一実施形態によれば、L1は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリーレン、より好ましくは単結合、置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~18員)ヘテロアリーレンを表し得る。例えば、L1は単結合であってよい。
【0042】
式1及び1’において、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。本開示の一実施形態によれば、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリーレン、より好ましくは、単結合、置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~18員)ヘテロアリーレンであってよい。例えば、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換フェニレン、置換若しくは無置換ナフチレン、置換若しくは無置換フェナントリレン、置換若しくは無置換ジベンゾフラニレン、又は置換若しくは無置換ピリジニレンであってよく、例えば、置換フェニレンは、フェニルアミンで置換されていてもよい。
【0043】
式1及び1’において、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表すが、R5とR6のうちの少なくとも1つは、式1-A又は式1-Bで表されるカルバゾール誘導体から選択される。本開示の一実施形態によれば、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C28)アリール、又は置換若しくは無置換(3員~28員)ヘテロアリールであってよく、R5とR6のうちの少なくとも1つは、式1-A又は式1-Bで表されるカルバゾール誘導体から選択することができ、より好ましくは、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは無置換(3員~25員)ヘテロアリールから選択することができ、その際、R5とR6のうちの少なくとも1つは、式1-A又は式1-Bで表されるカルバゾール誘導体である。例えば、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換フェナントレニル、置換若しくは無置換ビフェニル、置換若しくは無置換p-テルフェニル、置換若しくは無置換m-テルフェニル、置換若しくは無置換o-テルフェニル、置換若しくは無置換フルオレニル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは無置換カルバゾリル、又は置換若しくは無置換イソキノリニルであってよい。例えば、置換フェニルは、シアノ、tert-ブチル、ジフェニルアミン、トリフェニルシラン、及びカルバゾールからなる群から選択される1つ以上で置換されていてもよく、置換フルオレニルは、メチルで置換されていてもよい。
【0044】
式1-Aにおいて、L5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。本開示の一実施形態によれば、L5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリーレン、より好ましくは単結合、置換若しくは無置換(C6~C18)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~18員)ヘテロアリーレンを表し得る。例えば、L5は単結合であってよい。
【0045】
式1及び1’において、R1は、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。本開示の一実施形態によれば、R1は、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは無置換の窒素含有(3~25員)ヘテロアリール、より好ましくは置換若しくは無置換(C6~C18)アリール又は置換若しくは無置換(3~18員)ヘテロアリールを表す。例えば、R1は、置換若しくは無置換フェニルであってよい。
【0046】
式1、1’、1-A、及び1-Bにおいて、R2~R4及びR7~R10は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-L3”-N(Ar3”)(Ar4”)、-N(Ar3”)を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよい。本開示の一実施形態によれば、R2~R4及びR7~R10は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、置換若しくは無置換(3員~25員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C25)シクロアルキル、又は(C3~C25)脂肪族環と(C6~C25)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく、より好ましくは、水素、重水素、置換若しくは無置換(C6~C18)アリール、置換若しくは無置換(3員~18員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C18)シクロアルキル、又は(C3~C18)脂肪族環と(C6~C18)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよい。例えば、R2~R4及びR7~R10は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換ビフェニル、置換若しくは無置換フルオレニル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル、又は置換若しくは無置換カルバゾリルであってよい。例えば、置換フェニルはカルバゾールで置換されていてもよく、置換フルオレニルはメチルで置換されていてもよい。
【0047】
式1及び1’において、L3’は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。例えば、L3’は置換若しくは無置換フェニレンであってよい。
【0048】
式1及び1’において、Ar3’及びAr4’は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。例えば、Ar3”及びAr4”は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換フェニルであってよい。
【0049】
式1、1’、1-A、及び1-Bにおいて、aは1であり、b及びcはそれぞれ独立して1又は2を表し、e及びfはそれぞれ独立して1~4の整数を表し、e’は1~3の整数を表し、b~f及びe’が2以上の整数を表す場合には、R2~R4、R7、及びR8のそれぞれは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0050】
本開示の一実施形態によれば、式1及び式1’で表される化合物は、以下の式1-1~式1-5のいずれか1つで表される化合物であってよい。
【化7】
【0051】
式1-1~1-5において、
L5は、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し、
X1、Y1、L1~L3、R1~R5、R7~R10、a~f、及びe’は、式1、1’、1-a、1-a、及び1-Bで定義されたものと同じである。
【0052】
式2において、Tは、O又はSを表す。
【0053】
式2において、K1~K3は、それぞれ独立してN又はCHを表すが、K1~K3のうちの少なくとも1つはNであることを条件とする。具体的には、K1~K3のうちの少なくとも2つはNであってよく、他の1つはCHであってよい。例えば、K1~K3の全てがメチルであってよい。
【0054】
式2において、L7~L9は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表す。具体的には、L7~L9は、それぞれ独立して、単結合又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレンを表す。例えば、L7~L9は、独立して、単結合、無置換であるか重水素で置換されたフェニレン、無置換であるか重水素で置換されたフェニルナフチレン、無置換であるか重水素で置換されたナフチレン、無置換であるか重水素で置換されたナフチルフェニレン、又は無置換であるか重水素で置換されたビフェニレンであってよく、例えば、置換フェニレン、置換ナフチレン、及び置換ビフェニレンは、重水素で置換されていてもよい。
【0055】
式2において、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-N-(R’)(R”)を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよい。本開示の一実施形態によれば、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、重水素、又は置換若しくは無置換(C6~C25)アリールであってよく、より好ましくは、水素又は置換若しくは無置換(C6~C18)アリールであってよい。例えば、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換フェニルナフチル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換ナフチルフェニル、置換若しくは無置換フェナントレニル、又は置換若しくは無置換ビフェニルであってよい。
【0056】
式2において、Ar6及びAr7は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環、又は-N-(R’)(R”)を表すか、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよい。本開示の一実施形態によれば、Ar6及びAr7は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、置換若しくは無置換(3員~25員)ヘテロアリール、(C3~C25)脂肪族環と(C6~C25)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環に連結していてもよく、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく、より好ましくは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C6~C18)アリール、置換若しくは無置換(3員~18員)ヘテロアリール、又は(C3~C18)脂肪族環と(C6~C18)芳香族環との置換若しくは無置換の縮合環に連結していてもよく、或いは隣接する置換基と連結して環を形成していてもよい。例えば、Ar6及びAr7は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換フェニル、置換若しくは無置換ナフチル、置換若しくは無置換フェナントレニル、置換若しくは無置換クリセニル、置換若しくは無置換ベンゾフェナントレニル、置換若しくは無置換ビフェニル、置換若しくは無置換p-テルフェニル、置換若しくは無置換o-テルフェニル、置換若しくは無置換ジベンゾフラニル、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは無置換ナフトベンゾフラニル、置換若しくは無置換ナフトベンゾオキサゾリニル、又は置換若しくは無置換フェナントロベンゾフラニルであってよい。例えば、置換フェニル、置換ナフチル、置換クリセニル、及び置換p-テルフェニルは、それぞれ重水素で置換されていてもよく、置換ナフトベンゾオキサゾリニルはフェニルで置換されていてもよい。
【0057】
式2において、R’及びR”は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C2~C30)アルケニル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリールを表す。
【0058】
g及びhは、1~4の整数であり、g及びhが2以上の整数である場合には、R11及びR12のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。
【0059】
本開示の一実施形態によれば、式2で表される化合物は、以下の式2-1~2-4のうちのいずれか1つで表される化合物であってよい。
【化8】
【0060】
式2-1~2-4において、
T、K1~K3、L7~L9、R11、R12、Ar6、Ar7、R’、R”、g、及びhは、式2で定義された通りである。
【0061】
式1及び1’で表される化合物は、以下の化合物から選択される化合物であってよいが、これらに限定されない。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0062】
化合物C-93~C-97において、Dn:1~20及びDn:1~33は、それぞれ1~29個及び1~33個の水素が重水素で置換されている場合があることを意味する。
【0063】
式2で表される化合物は、以下の化合物から選択される化合物であってよいが、これらに限定されない。
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0064】
化合物H2-131~H2-136において、Dn:1~23、Dn:1~25、及びDn:1~27は、それぞれ1~23個、1~25個、及び1~27個の水素が重水素で置換されている場合があることを意味する。
【0065】
化合物C-1~C-125のうちの少なくとも1つと化合物H2-1~H2-136のうちの少なくとも1つとを組み合わせることができ、有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて使用することができる。
【0066】
本開示による式1及び1’で表される化合物は、当業者に公知の合成方法によって調製することができ、例えば、式1-1~1-5で表される化合物は、以下の反応スキーム1又は2で示される通りに調製することができるが、これらに限定されない。
【化20】
【化21】
【0067】
反応スキーム1及び2において、X1、Y1、L1~L3、R1~R5、R7~R10、a~f、及びe’は、式1、1’、1-A及び1-Bで定義されたものと同じであり、L5は式1-1~1-5で定義された通りである。
【0068】
本開示による式2で表される化合物は、当業者に公知の合成方法によって調製することができ、例えば、式2-1又は式2-2で表される化合物は、(特許文献2)、(特許文献3)、及び(特許文献4)に記載の合成方法に従って調製することができる。
【0069】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と;第2の電極と;第1の電極と第2の電極との間に挟まれた1つ以上の有機材料層とを含む。
【0070】
第1の電極及び第2の電極の一方はアノードであってよく、他方はカソードであってよい。有機層は、発光層を含むことができ、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を更に含み得る。ここで、第2の電極は、半透過型電極又は反射型電極であってよく、材料に応じて、上面発光型、底面発光型、又は両面発光型であってよい。加えて、正孔注入層は、p型ドーパントで更にドープされていてもよく、電子注入層は、n型ドーパントで更にドープされていてもよい。
【0071】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間の少なくとも1つの有機材料層とを含み、有機材料層は、第1の有機エレクトロルミネセント材料としての式1で表される化合物と、第2の有機エレクトロルミネセント材料としての式2で表される化合物と、を含む複数の有機エレクトロルミネセント材料を含み得る。本開示の一実施形態によれば、本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間の少なくとも1つの発光層とを含み、発光層は、式1で表される化合物と、式2で表される化合物とを含み得る。
【0072】
発光層は、ホストとドーパントとを含むことができ、ホストは複数のホスト材料を含むことができ、式1で表される化合物は、複数のホスト材料の中の第1のホスト化合物として含まれることができ、式2で表される化合物は、複数のホスト材料の中の第2のホスト化合物として含まれることができる。本明細書において、第1のホスト化合物と第2のホスト化合物との重量比は、約1:99~約99:1、好ましくは約10:90~約90:10、より好ましくは約30:70~約70:30、より好ましくは約40:60~約60:40、更により好ましくは約50:50である。
【0073】
本開示では、発光層は、光が上に放たれる層であり、単一の層であってよく、或いは2つ以上の層が積層された複数の層であってよい。本開示の複数のホスト材料において、第1及び第2のホスト材料の両方が1つの層に含まれていてもよく、或いは第1及び第2のホスト材料が異なる発光層の中に含まれていてもよい。本開示の一実施形態によれば、発光層のホスト化合物に対するドーパント化合物のドーピング濃度は、20重量%未満であってよい。
【0074】
本開示の一実施形態によれば、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、本開示の複数のホスト材料に加えて、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光材料、発光補助材料、及び電子阻止材料のうちの少なくとも1つとしてアミン系化合物を更に含み得る。加えて、本開示の一実施形態によれば、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスは、本開示の複数のホスト材料に加えて、電子輸送材料、電子注入材料、電子緩衝材料、及び正孔阻止材料のうちの少なくとも1つとしてアジン系化合物を更に含み得る。
【0075】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、アノードと発光層との間には、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、又はこれらの組み合わせが使用され得る。正孔注入層については、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を下げる目的で、複数の層が使用されてもよく、各層で2種の化合物が同時に使用されてもよい。正孔輸送層又は電子阻止層も複数の層であってよい。
【0076】
加えて、電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はこれらの組み合わせは、発光層とカソードとの間に用いることができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために複数層であってよく、この場合、複数層のそれぞれでは2種の化合物が同時に使用され得る。正孔阻止層又は電子輸送層のために複数の層を使用することができ、各層には複数の化合物を使用することができる。
【0077】
加えて、一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物又は複数のホスト材料は、量子ドット(QD)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも利用され得る。
【0078】
加えて、一実施形態による複数のホスト材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用されてもよい。白色有機発光デバイスは、R(赤)、G(緑)又はYG(黄緑)、及びB(青)発光パーツの配置、又は色変換材料(CCM)方法等に応じて、サイドバイサイド構造又は積層構造などの様々な構造を有するよう提案されてきた。加えて、一実施形態による複数のホスト材料は、量子ドット(QD)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも利用され得る。
【0079】
正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、又はこれらの組み合わせは、アノードと発光層との間に使用され得る。正孔注入層について、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を低下させる目的で複数の層を使用することができ、各層で2種の化合物を同時に使用することができる。正孔注入層は、p型ドーパントとしてドープされ得る。電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防止することができる。正孔阻止層又は電子輸送層として、複数の層が使用されてもよく、各層のために複数の化合物が使用されてもよい。
【0080】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はこれらの組み合わせは、発光層とカソードとの間に使用され得る。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために複数層であってよく、この場合、複数層のそれぞれでは2種の化合物が同時に使用され得る。正孔阻止層又は電子輸送層には複数の層を使用することができ、各層には複数の化合物を使用することができる。加えて、電子注入層は、n-ドーパントでドープされ得る。
【0081】
発光補助層は、アノードと発光層との間、又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/若しくは正孔輸送を促進するか、又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するか、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。加えて、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置されてもよく、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進又は阻止するのに有効にすることができ、それによって電荷のバランスを制御することが可能になる。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、追加的な層は、正孔補助層又は電子阻止層のために使用され得る。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を向上させる効果を有する。
【0082】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、カルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層、及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの内表面層(以下では「表面層」という)が、電極の対の少なくとも一方の内表面に配置され得る。具体的には、ケイ素及びアルミニウムのカルコゲニド(酸化物を含む)層が、好ましくはエレクトロルミネセント媒体層のアノード表面の上に配置され、ハロゲン化金属層又は金属酸化物層が、好ましくは発光媒体層のカソード表面の上に配置される。有機エレクトロルミネセントデバイスにおける動作安定性は、表面層によって得ることができる。カルコゲニドの好ましい例としては、SiOX(1≦X≦2)、AlOX(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlONなどが挙げられ、金属ハロゲン化物の好ましい例としては、LiF、MgF2、CaF2、希土類金属フッ化物などが挙げられ、金属酸化物の好ましい例としては、Cs2O、Li2O、MgO、SrO、BaO、CaOなどが挙げられる。
【0083】
本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、タンデム構造を有する有機エレクトロルミネセントデバイスであってよい。一実施形態によるタンデム型有機エレクトロルミネセントデバイスの場合、2つ以上の単一の発光ユニットが電荷生成層によって連結されていてもよい。有機エレクトロルミネセントデバイスは、2つ以上の発光ユニット、例えば、3つ以上の発光ユニットを含んでいてもよく、各発光ユニットは、基板上で互いに対向する第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に積層されており特定の波長帯域の光を放出する発光層とを有し、各発光ユニットは、正孔輸送帯、発光層、及び電子輸送帯を含むことができ、正孔輸送帯は、正孔注入層及び正孔輸送層を含むことができ、電子輸送帯は、電子輸送層及び電子注入層を含むことができ、一実施形態によれば、発光ユニットに含まれる発光層は、3つ以上であってもよい。複数の発光ユニットは、同じ色を発光しても異なる色を発光してもよい。加えて、1つの発光ユニットは、1つ以上の発光層を含むこともでき、複数の発光層は、同じ色又は異なる色の発光層であってよい。各発光ユニットの間に配置される1つ以上の電荷生成層が含まれていてもよい。電荷生成層は、電圧が印加されたときに正孔及び電子が生成する層を指す。3つ以上の発光ユニットが存在する場合、発光ユニットの間に電荷生成層が配置されてもよい。この場合、複数の電荷生成層は、互いに同じものであっても互いに異なるものであってもよい。電荷生成層が発光ユニットの間に配置されることから、各発光ユニットにおける電流効率を向上させることができ、また電荷を円滑に分布させることができる。具体的には、電荷生成層は、2つの隣接するスタックの間に設けられ、スタックの間に配置された分離内部電極なしにアノードとカソードとの対だけを使用してタンデム型有機エレクトロルミネセントデバイスを駆動させるように機能することができる。
【0084】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、2つ以上の有機層を含んでいてもよく、1つ以上の電荷生成層を更に含んでいてもよく、電荷生成層は有機層間に配置されていてもよく、2つ以上の有機層が含まれる場合、電荷生成層は同じであっても異なっていてもよい。電荷生成層が有機層間に配置されているため、有機層間に別の独立した内部電極を配置することなしに、一対のアノード及びカソードのみによって有機エレクトロルミネセントデバイスを駆動することができる。
【0085】
電荷生成層は、n型電荷生成層とp型電荷生成層とを含むことができ、n型電荷生成層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物でドープされ得る。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Yb、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを挙げることができ、アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを挙げることができる。
【0086】
加えて、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、電極の対の少なくとも1つの表面に配置され得る。この場合においては、電子輸送化合物が還元されてアニオンとなり、その結果、その混合領域からエレクトロルミネセント媒体への電子の注入及び輸送がより容易となる。更に、正孔輸送化合物は、カチオンに酸化されるため、混合領域からエレクトロルミネセント媒体への正孔の注入及び輸送がより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びそれらの混合物を含む。加えて、還元性ドーパント層は、2つ以上の発光層を有し、白色光を発する有機エレクトロルミネセントデバイスを作製するために電荷生成層として用いられ得る。
【0087】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスの発光層は、発光する層として単層であってもよく、2層以上が積層された複数の層であってもよい。発光層は、1種以上のドーパントを更に含んでいてもよく、発光層のホスト化合物に対するドーパント化合物のドーピング濃度は、20重量%未満、好ましくは10重量%未満であってよい。
【0088】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパントであってよく、好ましくはリン光性ドーパントである。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は、特に限定されないが、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子の錯体化合物、好ましくは、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子のオルト金属化錯体化合物、より好ましくはオルト金属化イリジウム錯体化合物であってよい。
【0089】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれるドーパントとしては、下記式101で表される化合物を使用することができるが、これに限定されない。
【化22】
【0090】
式101において、
Lは、以下の構造1~3:
【化23】
から選択されるいずれか1つであり、
R
100~R
103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、無置換であるか重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか、或いは隣接する置換基と連結してピリジンと共に環、例えば置換若しくは無置換のキノリン、置換若しくは無置換のベンゾフロピリジン、置換若しくは無置換のベンゾチエノピリジン、置換若しくは無置換のインデノピリジン、置換若しくは無置換のベンゾフロキノリン、置換若しくは無置換のベンゾチエノキノリン、又は置換若しくは無置換のインデノキノリンを形成することができ;
R
104~R
107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、無置換であるか重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか、或いは隣接する置換基と連結してベンゼンと共に環、例えば置換若しくは無置換ナフタレン、置換若しくは無置換フルオレン、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン、置換若しくは無置換ジベンゾフラン、置換若しくは無置換インデノピリジン、置換若しくは無置換ベンゾフロピリジン、又は置換若しくは無置換ベンゾチエノピリジンを形成することができ;
R
201~R
220は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、無置換であるか重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか;或いは隣接する置換基に連結して置換若しくは無置換の環を形成することができ;
sは、1~3の整数を表す。
【0091】
ドーパント化合物の具体的な例は、以下の通りであるが、これらに限定されない。
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【0092】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸発、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング法等などの乾式膜形成法、又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング法等などの湿式膜形成法を使用することができる。湿式成膜方法を用いる場合、薄膜は、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の任意の好適な溶媒に溶解又は拡散させることによって形成され得る。溶媒は、各層を形成する材料が溶解又は拡散することができ、膜形成能力に問題がない任意の溶媒であってよい。
【0093】
一実施形態によれば、第1のホスト材料と第2のホスト材料とが有機エレクトロルミネセントデバイスの同じ層又は異なる層に存在する場合、2つのホスト材料を個別に蒸着することができる。例えば、第2のホスト材料は、第1のホスト材料が蒸着された後に蒸着され得る。
【0094】
一実施形態によれば、有機エレクトロルミネセントデバイスの各層が形成される際に、上述した方法によって膜を形成することができ、膜は、共蒸着プロセス、混合蒸着プロセス、及び/又は共蒸着プロセスと混合蒸着プロセスとを併用するプロセスで形成することができる。例えば、共蒸着は、例えばるつぼ源などの個々の蒸発源に異性体材料を入れ、2つのセルに同時に電流を流して材料を蒸発させることにより、2つ以上の異性体材料を蒸着する方法であってよい。更に、例えば、混合蒸着は、蒸着前に2種以上の異性体材料を1つの蒸発源、例えばるつぼ源と混合し、その後1つのセルに電流を印加して蒸発及び混合する方法であってもよい。更に、例えば、共蒸着及び混合蒸着を用いるプロセスは、1つの蒸発源、例えば、るつぼ源の中で第1のホスト材料と第2のホスト材料を混合し、別の蒸発源、例えば、るつぼ源に別の材料を入れ、その後2つのセルに同時に電流を印加して各材料を蒸発させて蒸着するプロセスであってもよい。混合蒸着並びに/又は共蒸着及び混合蒸着を使用して膜を形成する場合、使用する蒸発源の数を減らすことができる。
【0095】
一実施形態によれば、本開示は、有機エレクトロルミネセントデバイスの製造プロセスで有機層を蒸着し、その後蒸着装置に付着した有機層の材料を回収して精製することにより得られる化合物を提供することができる。回収された化合物は、精製プロセス及び/又は再結晶プロセスを受けることができ、それから得られる精製された及び/又は再結晶された化合物の純度は99.9%以上とすることができる。
【0096】
一実施形態によれば、本開示は、複数のホスト材料を回収する方法であって、式1で表される化合物を含む少なくとも1種の第1のホスト材料と式2で表される化合物を含む少なくとも1種の第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料を蒸着すること、蒸着装置に付着した複数のホスト材料を回収すること、回収された複数のホスト材料を精製及び/又は再結晶化して、純度99.9%以上の複数のホスト材料を得ること、を含む方法を提供する。
【0097】
本開示は、式1で表される化合物と式2で表される化合物とを含む複数のホスト材料を使用することによってディスプレイ装置を提供することができる。すなわち、本開示の複数のホスト材料を使用してディスプレイ装置又は照明装置を製造することができる。具体的には、本出願の複数のホスト材料を使用して、ディスプレイシステム、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、PC、TV若しくは車のためのディスプレイシステム、又は照明システム、例えば屋外若しくは屋内の照明システムを製造することができる。
【0098】
以降で、本開示をより詳細に理解するために、本発明の代表的な化合物又は中間体化合物の調製方法を例として、本発明による化合物の調製方法を説明する。
【実施例0099】
実施例1:化合物C-63の合成
【化29】
110mLのo-キシレンに、化合物1-1(12g、26.07mmol)、化合物1-2(7g、21.72mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(「Pd
2(dba)
3」)(1g、1.086mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(「NaOt-Bu」)(3.1g、32.58mmol)、及びS-Phos(0.9g、2.172mmol)を添加し、その後混合物を160℃の還流下で2時間撹拌した。反応の完了後に、反応混合物を室温に冷却し、その後セライトで濾過した。残留物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-63(12.3g、収率:80%)を得た。
【0100】
【0101】
実施例2:化合物C-2の合成
【化30】
化合物2-1(20g、59.8mmol)、化合物2-2(18.8g、57.0mmol)、Pd
2(dba)
3(0.26g、1.1mmol)、S-Phos(0.233g、2.3mmol)、及びNaOt-Bu(8.2g、167.5mmol)を400mLのキシレンに溶解し、その後混合物を135℃の温度で20時間撹拌した。室温まで冷却し、セライトで濾過して固体にした後、固体をカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-2(15.3g、収率:43%)を得た。
【0102】
【0103】
【0104】
1)化合物3-1の合成
4-クロロ-9-フェニル-9H-カルバゾール(68g、244mmol)、アニリン(25.1g、269.5mmol)、Pd(OAc)2(0.549g、2.4mmol)、S-Phos(2.01g、4.8mmol)、及びNaOt-Bu(35.3g、367.3mmol)をトルエン640mLに溶解し、その後混合物を95℃の温度で10時間撹拌した。室温まで冷却し、セライトで濾過して固体にした後、固体をカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物3-1(77.6g、収率:95.2%)を得た。
【0105】
2)化合物C-26の合成
化合物3-1(45.0g、134.5mmol)、化合物2-2(36.8g、111.6mmol)、Pd(OAc)2(0.25g、1.1mmol)、S-Phos(0.916g、2.3mmol)、及びNaOt-Bu(16.1g、167.5mmol)を1.73Lのトルエンに溶解し、その後混合物を100℃で18時間撹拌した。室温まで冷却し、セライトで濾過して固体にした後、固体をカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-26(17g、収率:24.3%)を得た。
【0106】
【0107】
実施例4:化合物C-45の調製
【化32】
化合物4-1(23g、68.7mmol)、化合物2-2(20g、60.6mmol)、Pd(OAc)
2(0.25g、1.1mmol)、S-Phos(0.916g、2.23mmol)、及びNaOt-Bu(10g、104.0mmol)を600mLのトルエンに溶解し、その後混合物を100℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、セライトで濾過して固体にした後、固体をカラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-45(26.6g、収率:70%)を得た。
【0108】
【0109】
実施例5:化合物C-4の合成
【化33】
110mLのo-キシレンに化合物1-1(12g、26.07mmol)、化合物5-1(7g、21.72mmol)、Pd
2(dba)
3(1g、1.086mmol)、NaOt-Bu(3.1g、32.58mmol)、及びS-Phos(0.9g、2.172mmol)を添加し、その後混合物を160℃の還流下で2時間撹拌した。反応の完了後に、反応混合物を室温に冷却し、その後セライトで濾過した。残留物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-4(7.9g、収率:51%)を得た。
【0110】
実施例6:化合物C-119の合成
【化34】
75mLのo-キシレンに、化合物6-1(8g、14.7mmol)、化合物6-2(4.9g、14.7mol)、Pd
2(dba)
3(0.7g、0.73mmol)、NaOt-Bu(2.1g、22.1mmol)、及びS-Phos(0.6g、1.47mmol)を添加し、その後混合物を3.5時間還流撹拌した。反応の完了後に、反応混合物を室温に冷却し、その後セライトで濾過した。残留物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-119(7.5g、63.8%)を得た。
【0111】
【0112】
実施例7:化合物C-120の合成
【化35】
35mLのo-キシレンに、化合物2-2(2.3g、6.97mmol)、化合物7-1(4.5g、9.07mmol)、Pd
2(dba)
3(0.32g、0.35mmol)、NaOt-Bu(1.01g、10.46mmol)、及びS-Phos(0.29g、0.70mmol)を添加し、その後混合物を後還流下で24時間撹拌した。反応の完了後に、反応混合物を室温に冷却し、その後セライトで濾過した。残留物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーによって分離して化合物C-120(3.3g、59.5%)を得た。
【0113】
【0114】
以降で、本開示をより詳細に理解するために、本開示の代表的な化合物を参照しながら、本開示の複数のホスト材料を含むOLEDデバイスの特性が説明され得る。しかしながら、以下の実施例は、本開示の詳しい理解のために本開示による化合物及び本開示による複数のホスト材料を含むOLEDデバイスの特性を説明する目的のものであるに過ぎず、本開示は以下の実施例に限定されない。
【0115】
デバイス実施例1~10:本開示による第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物が共蒸着されたOLEDの作製
本開示によるOLEDを作製した。最初に、OLED用のガラス基板上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)(ジオマテック株式会社、日本)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコールでの超音波洗浄にかけ、次いでイソプロピルアルコール中に保存した。ITO基板は、真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置の1つのセルに入れ、化合物HT-1を別のセルに入れた。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、化合物HI-1を、化合物HI-1及び化合物HT-1の総量を基準として3重量%のドーピング量で蒸着させて、10nmの厚さを有する正孔注入層を形成した。その後、化合物HT-1を正孔注入層上に蒸着させて、80nmの厚さの第1の正孔輸送層を形成した。次に、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流すことにより蒸発させ、これにより、第1の正孔輸送層上において、60nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を蒸着させた。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、第1の発光層を以下の通りその上に蒸着させた:真空蒸着装置において、ホストとして下の表1に列挙する第1のホスト化合物及び第2のホスト化合物を2つのセルにそれぞれ添加し、別のセルにドーパントとして化合物D-39を添加し、2つのホスト材料を1:1の速度で同時に蒸発させ、ドーパント材料を異なる速度で蒸発させて、ホストとドーパントの合計量に対して3重量%のドーパントをドープして、第2の正孔輸送層上に40nmの厚さを有する発光層を蒸着した。次に、電子輸送材料として化合物ET-1及びEI-1を50:50の重量比で発光層上に蒸着して、厚さ35nmの電子輸送層を形成した。その後、電子輸送層上に電子注入層として化合物EI-1を2nmの厚さまで蒸着し、次いで別の真空蒸着装置を使用して電子注入層上にAlカソードを80nmの厚さまで蒸着することにより、OLEDの製造を完了した。全ての材料に使用した各化合物は、10-6トールで真空昇華することにより精製した。
【0116】
デバイス比較例1及び2:比較化合物をホストとして含むOLEDの作製
下の表1に列挙されている第2のホスト化合物を発光層のホストとして単独で使用したことを除いては、デバイス実施例1と同様にOLEDを作製した。
【0117】
上記の通り作製したデバイス実施例1~10並びにデバイス比較例1及び2のOLEDデバイスの、5,000ニットの輝度における駆動電圧、電流効率、発光色、並びに10,000ニットの輝度において強度が100%から95%に減少するのに要した時間(寿命;T95)を測定し、その結果を以下の表1に示した。
【0118】
【0119】
表1から、本開示による特定の組み合わせの化合物を含む複数のホスト材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスは、従来の有機エレクトロルミネセントデバイスと比較して、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は大幅に向上した寿命特性を有することを確認することができる。
【0120】
デバイスの実施例及びデバイス比較例に用いた化合物を以下の表2に示す。
【0121】