(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118459
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240823BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023212
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2023024057
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武山 英孝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恵
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF21
4J034DG03
4J034DG04
4J034DQ16
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034NA02
4J034NA03
4J034QB01
4J034QC01
4J034QC10
(57)【要約】
【課題】吸水を抑制し得るポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】厚みが、10mm以上であり、表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率をXとし、厚み方向の中間地点での充填率をYとしたとき、XおよびYが以下の関係式(1)を満たす、ポリウレタンフォーム。
X/Y≧1.1 ・・・・(1)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みが、10mm以上であり、
表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率をXとし、厚み方向の中間地点での充填率をYとしたとき、XおよびYが以下の関係式(1)を満たす、
ポリウレタンフォーム。
X/Y≧1.1 ・・・・(1)
【請求項2】
ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物から得られるポリウレタンフォームであって、
前記発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有し、
前記水の含有量Aおよび前記ハイドロハロオレフィンの含有量Bが以下の関係式(2)を満たす、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
0<(A/(A+B))×100≦9.0 ・・・・(2)
【請求項3】
JIS K7222:2005に準じた見掛け全体密度が、150kg/m3以上700kg/m3以下である、請求項1又は請求項2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
25℃における吸水率が1.4g/100cm3未満である、
請求項1又は請求項2に記載のポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機ポリイソシアネート組成物、ポリオール成分、触媒、及び発泡剤を原料として、発泡させて得られるポリウレタンフォームが開示されている。特許文献2-7にも種々のポリウレタンフォームが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-063379号公報
【特許文献2】特表2019-507818号公報
【特許文献3】特表2018-507956号公報
【特許文献4】特開2017-222873号公報
【特許文献5】特開2015-124336号公報
【特許文献6】特開2021-085020号公報
【特許文献7】特表2018-508635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ポリウレタンフォームには種々の要求があり、製品品位の向上もその1つである。例えば、吸水を抑制し得るポリウレタンフォームが求められている。
本開示は、吸水を抑制し得るポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕厚みが、10mm以上であり、
表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率をXとし、厚み方向の中間地点での充填率をYとしたとき、XおよびYが以下の関係式(1)を満たす、
ポリウレタンフォーム。
X/Y≧1.1 (1)
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、吸水を抑制し得るポリウレタンフォームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るポリウレタンフォームの断面図である。
【
図2】吸水試験においてポリウレタンフォームを清水に浸漬した後に放置する状態を説明する説明図である。
【
図3】ポリウレタンフォームの断面における撮影箇所を説明する模式図である。
【
図4】
図3の断面図における表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲内で撮影した際の撮影画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
〔2〕ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物から得られるポリウレタンフォームであって、
前記発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有し、
前記水の含有量Aおよび前記ハイドロハロオレフィンの含有量Bが以下の関係式(2)を満たす、〔1〕に記載のポリウレタンフォーム。
0<(A/(A+B))×100≦9.0 (2)
【0009】
〔3〕JIS K7222:2005に準じた見掛け全体密度が、150kg/m3以上700kg/m3以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のポリウレタンフォーム。
【0010】
〔4〕25℃における吸水率が1.4g/100cm3未満である、
〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
【0011】
以下、本開示を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「-」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10-20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10-20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0012】
1.ポリウレタンフォーム10
ポリウレタンフォーム10の厚みは、10mm以上である。ポリウレタンフォーム10は、表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率をXとし、厚み方向の中間地点での充填率をYとしたとき、XおよびYが以下の関係式(1)を満たす。
X/Y≧1.1 ・・・・(1)
ポリウレタンフォーム10は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物から得られることが好ましい。ポリウレタンフォーム10は、硬質ポリウレタンフォーム又は半硬質ポリウレタンフォームであることが好ましい。
【0013】
[ポリオール類]
ポリオール類は、特に限定されない。ポリオール類としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエステルポリオール等を用いることができる。これらの中でも、ポリオール類は、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含有することが好ましい。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、またはその多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。なお、ポリエーテルポリオールとしては、1種のポリエーテルポリオールのみが含有されてもよいし、2種以上のポリエーテルポリオールが併用されてもよい。ポリエーテルポリオールを用いることで、ポリウレタンフォーム10の柔軟性を向上できる。これらの中でも、ポリオール類は、ポリプロピレングリコールを含有することが好ましい。
【0015】
ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、好ましくは1000-10000であり、より好ましくは2500-8000であり、さらに好ましくは4000-6000である。
ポリエーテルポリオールの官能基数は、好ましくは2-5であり、より好ましくは2-4であり、さらに好ましくは2-3である。
ポリエーテルポリオールの含有量は特に限定されない。ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、好ましくは1質量部以上95質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上80質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以上75質量部以下である。
【0016】
ポリマーポリオールは、特に限定されない。ポリマーポリオールとして、例えば、ポリオール中に、分散した微粒子ポリマーを含む液体のものを用いることができる。微粒子ポリマーは、例えばアクリロニトリル、スチレン、アクリル、メラミン等のポリマーや、ポリ尿素等が挙げられる。ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(ベースポリオール)に、アクリロニトリルまたはスチレン、あるいはアクリロニトリルとスチレンを重合したものが好ましい。アクリロニトリルとスチレンの比率は0/100-50/50が好ましい。ポリマーポリオールのポリマーコンテント(ポリマーポリオール全体に対するベースポリオール以外の部分の質量割合)は10質量%-55質量%であることが好ましく、15質量%-45質量%であることがより好ましい。ポリウレタンフォーム10の強度を向上させるという観点においては、ポリマーコンテントは大きいほうが好ましいが、同ポリマーコンテントが大きくなりすぎると、粘度が高くなり作業性が低下するおそれがある。なお、ポリマーポリオールとしては、1種のポリマーポリオールのみが含有されてもよいし、重量平均分子量やポリマーコンテント、官能基数等が異なる2種以上のポリマーポリオールが併用されてもよい。ポリマーポリオールを用いることで、ポリウレタンフォーム10の硬度を向上できる。
【0017】
ポリマーポリオールの重量平均分子量は、好ましくは1500-10000であり、より好ましくは3000-8000であり、さらに好ましくは5000-6000である。
ポリマーポリオールの官能基数は、好ましくは2-5であり、より好ましくは2-4であり、さらに好ましくは2-3である。
ポリマーポリオールの含有量は特に限定されない。ポリマーポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、好ましくは5質量部以上99質量部以下であり、より好ましくは20質量部以上90質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以上75質量部以下である。
【0018】
ポリオール類が、ポリプロピレングリコールとポリマーポリオールを含有する場合において、ポリプロピレングリコールの含有量とポリマーポリオールの含有量との比(PPG:POPとも称する)は特に限定されない。PPG:POPは、95:5-1:99(質量比)であることが好ましく、80:20-10:90(質量比)であることがより好ましく、75:25-25:75(質量比)であることがさらに好ましい。ポリプロピレングリコールの含有量が上記範囲の下限以上であれば、ポリウレタンフォーム10の柔軟性を向上できる。また、汎用品等においてコストの面で好ましい。ポリプロピレングリコールの含有量が上記範囲の上限以下であれば、ポリウレタンフォーム10の硬さを向上できる。
【0019】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、脂肪族系又は芳香族系の重縮合系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、アジペート系ポリエステルポリオール等が挙げられる。脂肪族系又は芳香族系の重縮合系ポリエステルポリオールは、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を開環付加重合させて得たポリエステルポリオールを上げることができる。アジペート系ポリエステルポリオールとしては、例えば、多官能カルボン酸と多官能ヒドロキシ化合物との重縮合によって得られるポリエステルポリオールが好ましい。
【0020】
[ポリイソシアネート類]
ポリイソシアネート類としては、一般にポリウレタンフォームの製造に使用されるものを用いることができる。ポリイソシアネート類は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、変性MDI、及びポリメリックMDIからなる群より選ばれる1種以上のMDI系化合物を含有することが好ましい。特に、ポリイソシアネート類は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及び変性MDIを含むことが好ましい。
【0021】
ジフェニルメタンジイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、およびこれらの2種以上の混合物である。
【0022】
変性MDIは、例えば、MDIのカルボジイミド変性体、MDIのウレタン変性体、MDIのウレトイミン変性体等である。変性MDIは、MDIのカルボジイミド変性体を含むことが好ましい。
【0023】
ポリメリックMDIは、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートであり、例えば、二核体であるMDIと、三核体以上の多核体との混合物である。ポリメリックMDIは、MDI合成反応により得られる未処理の粗(クルード)MDIであってもよく、また上記の粗(クルード)MDIから減圧蒸留により所望量のモノメリックMDIを分離して組成を調整したものであってもよい。
【0024】
ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計と、ポリメリックMDIの含有量との比(M-MDI:P-MDIとも称する)は、特に限定されない。M-MDI:P-MDIは、100:0-40:60(質量比)であることが好ましく、100:0-60:40(質量比)であることがより好ましく、100:0-75:25(質量比)であることがさらに好ましい。ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計が、上記範囲の下限以上であれば、ポリウレタンフォーム10の剛性を確保できる。ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計が、上記範囲の上限以下であれば、シュリンク、ボイド、外観不良を抑制する点で好ましい。また、ポリメリックMDIを用いる場合には、経済的な観点でも好ましい。
ポリイソシアネート類の含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、好ましくは20質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは25質量部以上60質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以上50質量部以下である。
【0025】
イソシアネートインデックス(INDEX)は60-120が好ましい。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基や発泡剤としての水などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0026】
[発泡剤]
発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有する。このような発泡剤は、インテグラルスキンフォームの製造に好適である。インテグラルスキンフォームは、表層付近はほとんど発泡していないため密度が高く、内部に向かうに従って順次密度が低くなっている。ポリウレタンフォーム10は、例えば
図1に示すように、高発泡のコア部11と、低発泡のスキン層12(緻密層)とを有している。
【0027】
水の含有量は、コストの面や触媒の失活を抑制する観点から、ポリオール類100質量部に対して、好ましくは0質量部より多く、より好ましくは0.1質量部以上であり、さらに好ましくは0.2質量部以上である。水の含有量は、より明瞭なスキン層を形成し、吸水を抑制し易くする観点から、ポリオール類100質量部に対して2.0質量部以下であり、好ましくは1.5質量部以下であり、より好ましくは0.8質量部以下である。これらの観点から、水の含有量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く2.0質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上1.5質量部以下であり、より好ましくは0.2質量部以上0.8質量部以下である。
【0028】
ハイドロハロオレフィンとしては、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)等を挙げることができる。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3-6個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができる。ハイドロクロロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3-6個程度であるクロロフルオロアルケン等を挙げることができる。
より具体的には、トリフルオロプロペン、HFO-1234等のテトラフルオロプロペン、HFO-1225等のペンタフルオロプロペン、HFO-1233等のクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、及びクロロテトラフルオロプロペン等が挙げられる。より具体的には、(Z)-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロパン(HFO-1224yd)、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(HFO-1336mzz(Z))、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(HFO-1336mzz(E))、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブト-2-エン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン等が挙げられる。これらの中ではHFO-1233zdが好ましい。
これらのハイドロハロオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)の分子量は、好ましくは100以上180以下であり、よりが好ましくは120以上160以下がより好ましく、更に好ましくは130である。
【0030】
ハイドロハロオレフィンの含有量は、より明瞭なスキン層を形成し、吸水を抑制し易くする観点から、ポリオール類100質量部に対して、好ましくは0質量部より多く、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは3質量部以上である。ハイドロハロオレフィンの含有量は、コストの面や触媒の失活を抑制する観点から、ポリオール類100質量部に対して、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以下である。これらの観点から、ハイドロハロオレフィンの含有量は、ポリオール類100質量部に対して、好ましくは0質量部より多く40質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上30質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以上25質量部以下である。
【0031】
水の含有量をAとし、ハイドロハロオレフィンの含有量をBとした場合に、発泡剤は、以下の関係式(2)を満たす。
0<(A/(A+B))×100≦9.0 ・・・・(2)
発泡剤は、さらに以下の関係式(3)を満たすことが好ましく、関係式(4)を満たすことがより好ましい。
0.5≦(A/(A+B))×100≦7.0 ・・・・(3)
0.9≦(A/(A+B))×100≦5.0 ・・・・(4)
【0032】
[その他の成分]
組成物は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤以外に、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、架橋剤、シリコーン界面活性剤、触媒、着色剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0033】
架橋剤は、ポリウレタンフォーム10の硬さを調整するために配合される。架橋剤としては、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,4-ブタンジオール等の多価アルコールや、ジエタノールアミン(DEA)やトリエタノールアミン(TEA)等のエタノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類等を挙げることができる。架橋剤は二種類以上使用してもよい。架橋剤の分子量は、60-150であることが好ましい。架橋剤としては、環境負荷物質や、臭気の要因となりにくい観点から、多価アルコールが好ましく、エチレングリコール(分子量62)又はジプロピレングリコール(分子量134)がより好ましい。これらの架橋剤は、特に車両用内装材等の内装材用途や、車両用部品として好適である。架橋剤の量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部-20質量部が好ましく、2質量部-15質量部がより好ましく、4質量部-10質量部がさらに好ましい。
【0034】
触媒はポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進するために配合される。触媒として具体的には、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン等の3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が単独、或いは混合して用いられる。触媒の合計量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部-15質量部が好ましく、1質量部-11質量部がより好ましく、2質量部-8質量部がさらに好ましい。
【0035】
シリコーン界面活性剤は、例えば、整泡剤として配合される。シリコーン界面活性剤は、特に限定されない。シリコーン界面活性剤としては、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマーが好ましく、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(cas.556-67-2)が挙げられる。それ以外にも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(cas.9002-92-0)、ヘプタメチル-3-(プロピル(ポリエチレンオキシド)モノ(水素)ドデセニルサクシネート)トリシロキサン、アルキルポリエーテルトリシロキサン等が挙げられる。シリコーン界面活性剤は、1種のシリコーン界面活性剤のみが用いられてもよいし、2種以上のシリコーン界面活性剤が併用されてもよい。
具体的なシリコーン界面活性剤としては、例えば、Niax silicone L-5302、L-1500、L-1501、L-1504、L-1506、L-1580、L-1593、L-1603(いずれもmomentive社製)、VORASURF SZ-1333、SZ-1328、SZ-1346E、SRX274DL(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製)、DABCO DC2525(Evonik社製)などを用いることができる。
【0036】
2.ポリウレタンフォーム10の製造方法
ポリウレタンフォーム10の製造には、例えば、プレポリマー法、ワンショット法などが採用される。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するウレタンプレポリマーを得て、ウレタンプレポリマーを用いてポリウレタンフォーム10を得る方法である。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類等を一括に仕込み、反応させる方法である。
【0037】
ポリウレタンフォーム10の製造には、型内で成形するモールド法における公知の方法が適用できる。具体的には、組成物(発泡原液)を密閉型のモールド(金属製又は樹脂製、好ましくは15℃-80℃)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間(例えば30秒-120秒)硬化後、脱型してインテグラルスキンフォームを得ることができる。モールド法によれば、スキン層12の硬度が高いインテグラルスキンフォームを好適に得ることができる。また、モールド法によれば、スキン層12の表面に、モールド表面の形状が転写されたシボ模様やドット等の凹凸を付与することができ、意匠性の観点で好ましい。
【0038】
2.ポリウレタンフォーム10の物性及び用途
[吸水率]
ポリウレタンフォーム10の25℃における吸水率は、吸水を抑制する観点から、好ましくは1.4g/100cm3未満であり、より好ましくは1.0g/100cm3以下であり、さらに好ましくは0.8g/100cm3以下である。ポリウレタンフォーム10の25℃における吸水率の下限としては、特に限定されず、例えば、0.1g/100cm3、0.2g/100cm3、0.4g/100cm3等が挙げられる。
【0039】
ポリウレタンフォーム10の25℃における吸水率は、JIS A9511:2017に準じて測定可能である。具体的には、ポリウレタンフォーム10の試験片として、200mm×130mm×厚さ10mmのものを用い、温度条件25℃、湿度40-70%で16時間以上保持し、試験もその条件下で行う。まず、試験片を25℃の清水の水面下50mmに10秒間浸漬する。次に、清水から取り出した試験片を、
図2に示すように、25℃の雰囲気下で、鉛直から30°傾斜した金網20に載せて30秒間放置した後、質量を測定し、基準質量とする。金網の網目は3mm程度である。その後、再び清水に1時間浸漬する。清水から取り出した試験片を、25℃の雰囲気下で、鉛直から30°傾斜した金網20に載せて30秒間放置した後、質量を測定し、吸水後の質量とする。そして、吸水量Wを以下の関係式(5)により求める。
W=((m
1-m
0)/C)×100 ・・・・(5)
ここで、m
0は基準質量(単位:g)であり、m
1は吸水後の質量(単位:g)であり、Cは試験片の表面積である。さらに、求めた吸水量Wを水の密度(25℃で0.997g/cm
3)で除して、吸水率(単位:%)に換算する。
【0040】
[充填率]
ポリウレタンフォーム10において、表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率をX(以下、「充填率X」ともいう)とし、厚み方向の中間地点での充填率をY(以下、「充填率Y」ともいう)とする。充填率Xは、例えばスキン層12の充填率であり、充填率Yは、例えばコア部11の充填率である。
なお、ポリウレタンフォーム10の厚みは、10mm以上であり、好ましくは10mm以上100mm以下であり、より好ましくは15mm以上30mm以下である。
【0041】
充填率Xは、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。充填率Xは、好ましくは80%以下であり、より好ましくは70%以下であり、さらに好ましくは60%以下である。したがって、充填率Xは、好ましくは30%以上80%以下であり、より好ましくは40%以上70%以下であり、さらに好ましくは50%以上60%以下である。
【0042】
充填率Yは、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上である。充填率Yは、好ましくは45%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下である。したがって、充填率Yは、好ましくは15%以上45%以下であり、より好ましくは20%以上40%以下であり、さらに好ましくは25%以上35%以下である。
【0043】
充填率X、充填率Yは、以下の方法で測定可能である。ポリウレタンフォーム10の試験片(例えば、200mm×200mm×20mm)に着色剤(寺西化学工業社製 マジックインキ黒色、品番:ML-T1)を染み込ませて、試験片の骨格部を着色する。試験片の断面(表面に直交する断面)を、デジタルマイクロスコープ(例えば、キーエンス社製、品番:VHX-5000)を用いて撮影する。表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲における正方形の第1領域(例えば2mm×2mmの領域(発泡時に金型の上側に近い位置となるスキン層12))は、200倍(中倍率)で撮影する。厚み方向の中間地点(例えば10mm)を含む第2領域(例えば2mm×2mmの正方形の領域(コア部11))も、200倍(中倍率)で撮影する。第1領域の撮影画像を画像解析ソフト(例えばキーエンス社製、品番:VHX-5000 Ver1.8)によって、輝度の差異に基づく画像処理(例えば画像の2値化処理)を行うことで、骨格部と空隙に選別する。第2領域の撮影画像を画像解析ソフト(例えばキーエンス社製、品番:VHX-5000 Ver1.8)によって、輝度の差異に基づく画像処理(例えば画像の2値化処理)を行うことで、骨格部と空隙に選別する。
図3には、第1領域の一例が符号P1で示されており、第2領域の一例が符号P2で示されている。
図4は、撮影画像の一例を模式的に示す図であり、着色された骨格部Dと、空隙Eとが示されている。
【0044】
第1領域の画像処理後の画像において、画像の全体面積をS1とし、骨格部Dの面積をS2として、以下の関係式(6)を用いて充填率Xが算出される。
X=(S2/S1)×100 ・・・・(6)
第2領域の画像処理後の画像において、画像の全体面積をS3とし、骨格部Dの面積をS4として、以下の関係式(7)を用いて充填率Xが算出される。
Y=(S4/S3)×100 ・・・・(7)
【0045】
本開示では、ポリウレタンフォーム10において、充填率Xと充填率Yが以下の関係式(1)を満たす。
X/Y≧1.1 ・・・・(1)
ポリウレタンフォーム10において、充填率Xと充填率Yがさらに以下の関係式(8)を満たすことが好ましく、関係式(9)を満たすことがより好ましい。なお、X/Yの上限値は特に限定されないが、例えば2である。
X/Y≧1.3 ・・・・(8)
X/Y≧1.5 ・・・・(9)
【0046】
[成形体密度(見掛け全体密度)]
ポリウレタンフォーム10の成形体密度(見掛け全体密度)は、欠肉やボイドを抑制する観点から、100kg/m3以上が好ましく、120kg/m3以上がより好ましく、150kg/m3以上がさらに好ましく、180kg/m3以上がさらに好ましく、190kg/m3以上がさらに好ましい。ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度は、コストの面、また膨れを抑制する観点から、700kg/m3以下が好ましく、600kg/m3以下がより好ましく、500kg/m3以下がさらに好ましく、400kg/m3以下がさらに好ましく、300kg/m3以下がさらに好ましい。ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度の好ましい範囲は、上記の下限と上限を適宜組み合わせた範囲とすることができる。
ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度は、JIS K7222:2005に準じて、厚さ40mmの試験片を作製して測定した密度である。見掛け全体密度は、コア部11とスキン層12を含んだ全体の密度を指す。
【0047】
本開示のポリウレタンフォーム10が使用される物品は限定されない。
ポリウレタンフォーム10は、吸水を抑止し得る構成であるため、水場で使用される部材(浴室に配置されるバスマット、調理場に配置される滑り止めマット等)への適用が期待できる。
【0048】
3.本実施形態の作用及び効果
本実施形態のポリウレタンフォーム10によれば、吸水を抑制できる。
発泡剤にハイドロハロオレフィンが含まれる場合、発泡剤に水のみを含む場合に比べて、吸水率が低くなる。これは、発泡剤にハイドロハロオレフィンが含まれることで、成形体密度が高くなり、より密なスキン層12を形成し易くなるためであると考えられる。
発泡剤として水のみを用いる既存のポリウレタンフォームは、表面にモールドコートを塗布することで吸水を抑制している。一方で、本実施形態のポリウレタンフォーム10において発泡剤にハイドロハロオレフィンが含まれる場合、モールドコートを設けることなく吸水を抑制できる。
【0049】
なお、明細書に記載の種々の数値範囲は、それぞれそれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができ、それら全ての組み合わせが好ましい数値範囲として本明細書に記載されているものとする。
【実施例0050】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
1.ポリウレタンフォームの製造
まず、各実施例及び比較例のポリウレタンフォームに用いた組成物の原料成分を以下に示す。
ポリオール1:重量平均分子量5000、官能基数3のポリプロピレングリコール(BASF社製、品番:LUPRANOL2095)
ポリオール2:重量平均分子量5500、官能基数3、水酸基価28、ポリマーコンテント20重量%、粘度2600mPa・s(25℃)、比重1.05のアクリロニトリル系ポリマーポリオール(三洋化成工業社製、品番:SANNIX FA-728R)
ポリオール3:重量平均分子量2000、官能基数2のポリエステルポリオール(PESOL、レゾナック社製、品番:テスラック2462)
架橋剤:分子量62、官能基数2のエチレングリコール(三菱化学社製、品番:ETHYLENE GLYCOL(100%))
触媒:アミン触媒(花王社製、品番:カオーライザーP-200)
発泡剤1:トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))分子量130、沸点19℃のハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)(Honeywell社製、品番:Solstice LBA)
発泡剤2:(Z)-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロパン(HFO-1224yd)、分子量148.5、沸点15℃のハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)(AGC社製、品番:AMOLEA(登録商標)1224yd)
発泡剤3:(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(HFO-1336mzz(Z))、分子量164、沸点33℃のハイドロフルオロオレフィン(HFO)(CHEMOURS社製、品番:Opteon1100)
発泡剤4:(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(HFO-1336mzz(E))、分子量164、沸点7℃のハイドロフルオロオレフィン(HFO)(CHEMOURS社製、品番:Opteon1150)
発泡剤5:水(H2O)
イソシアネート1:M-MDI、変性MDIはMDIのカルボジイミド変性体を含む(BASF社製、品番:LUPRANATE MM103)
イソシアネート2:M-MDI、変性MDIはMDIのカルボジイミド変性体を含む(BASF社製、LUPRANATE MM103とLUPRANATE MP102の質量比1:1混合物)
イソシアネート3:M-MDI、変性MDIはMDIのウレタン変性体を含む(BASF社製、品番:LUPRANATE MP102)
イソシアネート4:P-MDIとM-MDIとを含む(BASF社製、品番:LUPRANATE M20SとLUPRANATE MIの質量比1:1混合物)
イソシアネート5:P-MDIを含む(BASF社製、品番:LUPRANATE M20S)
【0051】
上記各成分を下記表1-表5に示す配合割合で調製し、各実施例及び比較例の組成物を得た。撹拌混合した組成物を設定温度25℃で金型内にて発泡・硬化させ、脱型し、ポリウレタンフォームの試験片を得た。吸水試験用の試験片の厚さを、下記表1,2に示している。充填率測定用の試験片は、200mm×200mm×厚さ20mmの金型を用いて作製し、金型と同サイズのものとした。なお、実施例1-実施例4では、金型に投入する組成物の量を変えて所望の成形密度となるようにしている。
【0052】
水の含有量(配合割合)をAとし、ハイドロハロオレフィンの含有量(配合割合)をBとした場合の(A/(A+B))×100を算出した。その結果を「発泡剤中の水含有率」の欄に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
2.ポリウレタンフォームの評価
得られたポリウレタンフォームを以下の評価方法で評価した。その結果を表1-表5の各欄に示す。
【0059】
[成形体密度(見掛け全体密度)]
実施形態に記載の方法で、成形体密度(見掛け全体密度)(kg/m3)を測定した。
【0060】
[吸水率]
実施形態に記載の方法で、25℃における吸水率(g/100cm3)を測定した。実施例12-22、比較例2,3については、5℃、45℃における吸水率(g/100cm3)も測定した。
【0061】
[充填率]
実施形態に記載の方法で、充填率Xおよび充填率Yを測定した。また、充填率Yに対する充填率Xの比(X/Y)を算出した。
【0062】
[判定]
判定は、以下の基準で評価した。
「A」:25℃における吸水率が1.4g/100cm3未満である。
「B」:25℃における吸水率が1.4g/100cm3以上である。
【0063】
3.結果
実施例1-21は、吸水率に関する判定が「A」であった。これに対して、比較例1-3は、吸水率に関する判定が「B」であった。すなわち、実施例1-21の方が、比較例1-3よりも吸水率が低かった。
【0064】
実施例1-21は、下記要件(a)を満たしている。これに対して、比較例1-3は下記要件(a)を満たしていない。
・要件(a):充填率X(表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率)、および充填率Y(厚み方向の中間地点での充填率)が、以下の関係式(1)を満たす
X/Y≧1.1 ・・・・(1)
【0065】
このように、実施例1-21では、比較例1-3に比べて、充填率X(表面からの深さ0mm以上4mm以下の範囲の充填率)が大きくなり、ポリウレタンフォームの吸水を抑制できたと考えられる。
【0066】
実施例12-16は、発泡剤(HCFO)の種類(分子量、沸点)が異なっている。実施例12-16は、上記要件(a)を満たし、吸水率に関する判定が「A」であった。これにより、発泡剤(HCFO)の種類(分子量、沸点)が異なっていても、ポリウレタンフォームの吸水を抑制できることが分かった。
【0067】
実施例17-20は、ポリイソシアネート類の種類(M-MDI、P-MDI、M-MDIとP-MDI)が異なっている。実施例17-20は、上記要件(a)を満たし、吸水率に関する判定が「A」であった。これにより、ポリイソシアネート類の種類(M-MDI、P-MDI、M-MDIとP-MDI)が異なっていても、ポリウレタンフォームの吸水を抑制できることが分かった。
【0068】
実施例21は、ポリオール類としてポリプロピレングリコールとアクリロニトリル系ポリマーポリオールを用いている。実施例22は、ポリオール類としてポリプロピレングリコールとアクリロニトリル系ポリマーポリオールに加えポリエステルポリオール(テスラック2462)を用いている。実施例21,22は、いずれも上記要件(a)を満たし、吸水率に関する判定が「A」であった。これにより、ポリオール類としてポリプロピレングリコールとアクリロニトリル系ポリマーポリオールに加え、更にポリエステルポリオールを用いても、ポリウレタンフォームの吸水を抑制できることが分かった。
【0069】
実施例12-22のポリウレタンフォームでは、5℃、25℃、45℃の順に吸水率(g/100cm3)が低下する傾向となっていた。このような結果により、実施例12-22の配合のポリウレタンフォームでは、高温条件で吸水率が下がる(耐水性が高まる)という従来には知られていない顕著な効果が確認された。
【0070】
4.実施例の効果
以上の実施例のポリウレタンフォームによれば、吸水を抑制できる。
【0071】
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、本開示の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。