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特開2024-11846超音波測定装置、方法、プログラム、記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011846
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】超音波測定装置、方法、プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20240118BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01N29/24
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114129
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】伊田 泰一郎
【テーマコード(参考)】
2G047
4C601
【Fターム(参考)】
2G047AA12
2G047AC13
2G047BC03
2G047BC13
2G047CA04
2G047EA13
2G047GB25
2G047GF06
2G047GF18
2G047GG02
2G047GG28
2G047GJ28
4C601DE16
4C601EE11
4C601GB32
(57)【要約】
【課題】音響レンズの焦点を自動的に合わせる。
【解決手段】超音波測定装置1は、測定対象2から出力された超音波P2を受けるレンズ10cと、レンズ10cが受けた超音波P2を時間に対応付けて測定する超音波測定部12と、超音波P2が測定対象2より出力されてからレンズ10cの焦点距離fdを進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれているか否かを判定する超音波判定部12と、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれていると判定されるように、レンズ10cを移動させるレンズ移動部16と、超音波パルスP1を出力する測定用ヘッド10を備え、超音波P2は超音波パルスP1が測定対象2によって反射されたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、
前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定部と、
前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定部と、
前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させるレンズ移動部と、
を備えた超音波測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波測定装置であって、
超音波パルスを出力する超音波パルス出力部を備え、
前記超音波は、前記超音波パルスが前記測定対象によって反射されたものである超音波測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波測定装置であって、
前記超音波パルス出力部が前記超音波パルスを出力した時点に前記焦点距離の2倍を音速で割った値を加えたものから所定範囲内の時間を、前記経過時点とみなす超音波測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波測定装置であって、
パルス光を出力するパルス光出力部を備え、
前記超音波は、前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波である超音波測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波測定装置であって、
前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に前記焦点距離を音速で割った値を加えたものから所定範囲内の時間を、前記経過時点とみなす超音波測定装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波測定装置であって、
前記レンズ移動部が、前記レンズを前記測定対象に近づけるように移動させる超音波測定装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波測定装置であって、
前記レンズ移動部が、前記レンズを前記測定対象から遠ざかるように移動させる超音波測定装置。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波測定装置であって、
前記経過時点において前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定された後に、前記レンズ移動部が、さらに前記レンズを前記測定対象に近づける超音波測定装置。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波測定装置であって、
前記経過時点において前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定された後に、前記レンズ移動部が、さらに前記レンズを前記測定対象から遠ざける超音波測定装置。
【請求項10】
測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを有する超音波測定装置を用いた超音波測定方法であって、
前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定工程と、
前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定工程の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定工程と、
を備え、
前記レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させる超音波測定方法。
【請求項11】
測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを有する超音波測定装置を用いた超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記超音波測定処理が、
前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定工程と、
前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定工程の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定工程と、
を備え、
前記レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させるプログラム。
【請求項12】
測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを有する超音波測定装置を用いた超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記超音波測定処理が、
前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定工程と、
前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定工程の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定工程と、
を備え、
前記レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させる記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波を被測定物に与えてその反射波を測定する技術(例えば、特許文献1および特許文献3を参照)およびパルス光を被測定物に与えることにより生じた光音響波を測定する技術(例えば、特許文献2を参照)が知られている。
【0003】
また、光音響波を音響レンズによって測定し、音響レンズの焦点の位置を表示する技術も知られている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-55984号公報
【特許文献2】特開2018-8040号公報
【特許文献3】特開平7-229705号公報
【特許文献4】特開2020-156737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、音響レンズの焦点の位置が表示されても、音響レンズの焦点を被測定物に合わせるのは、ユーザが自ら手動で行わなければならず、手間がかかる。
【0006】
そこで、本発明は、音響レンズの焦点を自動的に合わせることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる超音波測定装置は、測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定部と、前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定部と、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを備えるように構成される。
【0008】
上記のように構成された超音波測定装置によれば、レンズが、測定対象から出力された超音波を受ける。超音波測定部が、前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する。超音波判定部が、前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する。レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させる。
【0009】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、超音波パルスを出力する超音波パルス出力部を備え、前記超音波は、前記超音波パルスが前記測定対象によって反射されたものであるようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、前記超音波パルス出力部が前記超音波パルスを出力した時点に前記焦点距離の2倍を音速で割った値を加えたものから所定範囲内の時間を、前記経過時点とみなすようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、パルス光を出力するパルス光出力部を備え、前記超音波は、前記パルス光により前記測定対象において発生した光音響波であるようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、前記パルス光出力部が前記パルス光を出力した時点に前記焦点距離を音速で割った値を加えたものから所定範囲内の時間を、前記経過時点とみなすようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、前記レンズ移動部が、前記レンズを前記測定対象に近づけるように移動させるようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、前記レンズ移動部が、前記レンズを前記測定対象から遠ざかるように移動させるようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、前記経過時点において前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定された後に、前記レンズ移動部が、さらに前記レンズを前記測定対象に近づけるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる超音波測定装置は、前記経過時点において前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定された後に、前記レンズ移動部が、さらに前記レンズを前記測定対象から遠ざけるようにしてもよい。
【0017】
本発明は、測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを有する超音波測定装置を用いた超音波測定方法であって、前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定工程と、前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定工程の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定工程と、を備え、前記レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させる超音波測定方法である。
【0018】
本発明は、測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを有する超音波測定装置を用いた超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記超音波測定処理が、前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定工程と、前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定工程の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定工程と、を備え、前記レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させるプログラムである。
【0019】
本発明は、測定対象から出力された超音波を受けるレンズと、前記レンズを移動させるレンズ移動部とを有する超音波測定装置を用いた超音波測定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記超音波測定処理が、前記レンズが受けた前記超音波を時間に対応付けて測定する超音波測定工程と、前記超音波が前記測定対象より出力されてから前記レンズの焦点距離を進行するためにかかる時間が経過した経過時点において、前記超音波測定工程の測定結果に前記超音波が含まれているか否かを判定する超音波判定工程と、を備え、前記レンズ移動部が、前記超音波測定部の測定結果に前記超音波が含まれていると判定されるように、前記レンズを移動させる記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図2】本発明の第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
図3】本発明の第二の実施形態にかかる超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の第二の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0022】
第一の実施形態
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。図2は、本発明の第一の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。
【0023】
第一の実施形態にかかる超音波測定装置1は、測定用ヘッド(超音波パルス出力部)10、超音波測定部12、超音波判定部14、レンズ移動部16を備える。
【0024】
測定用ヘッド(超音波パルス出力部)10は、超音波パルスP1を出力する。測定用ヘッド10は、測定対象2に接している。測定対象2は、例えば皮膚であり、上に凸に湾曲している。測定用ヘッド10は、スペーサ10a、センサ10b、レンズ10c、水10dを有する。
【0025】
スペーサ10aは、その底部に薄膜(図示省略)を有しており、薄膜が測定対象2の表面に沿って湾曲している。スペーサ10a内には、水10dが収容されている。図1においては、レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合っているが、このような場合、センサ10bの先端およびレンズ10cが水10d内に収容されている。
【0026】
レンズ10cは、測定対象2から出力された超音波P2(図1参照)を受ける。なお、超音波P2は、超音波パルスP1が測定対象2によって反射されたものである。また、レンズ10cの焦点距離をfdという。
【0027】
センサ10bは、超音波センサであり、レンズ10cが受けた超音波P2を受け、電気信号に変換し、超音波測定部12に与える。なお、第一の実施形態においては、センサ10bとレンズ10cとが別体であるが、センサ10b自体が湾曲してレンズとなっていてもよい。また、第一の実施形態においては、センサ10bとレンズ10cとが接しているが、センサ10bが平板状になっていてレンズ10cとは離れているようにしてもよい。
【0028】
超音波測定部12は、レンズ10cが受けた超音波P2を時間に対応付けて測定する。
【0029】
超音波判定部14は、超音波P2が測定対象2より出力(反射)されてからレンズ10cの焦点距離fdを進行するためにかかる時間(fd/Vs、ただしVsは音速)が経過した経過時点において、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれているか否かを判定する。超音波P2が含まれているか否かは、一例としては、測定結果(またはその特定の周波数の成分)のパワーが所定の閾値を超えたか否かにより判定できる。
【0030】
ただし、超音波パルス出力部(測定用ヘッド10)が超音波パルスを出力した時点t0に、焦点距離fdの2倍を音速Vsで割った値を加えたものから、所定範囲内(±Δt)の時間を、経過時点とみなす。すなわち、t0+2fd/Vs-Δt以後かつ、t0+2fd/Vs+Δt以前であれば、経過時点とみなす。
【0031】
レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合っている場合、超音波パルス出力部(測定用ヘッド10)が超音波パルスを出力した時点t0から、焦点距離fdを音速Vsで割った値を加えた時点(t0+fd/Vs)で、超音波パルスP1が測定対象2に到達し、かつ超音波P2が測定対象2より出力(反射)される。さらに、超音波P2が測定対象2より出力(反射)された時点(t0+fd/Vs)に、焦点距離fdを音速Vsで割った値を加えた時点(t0+2fd/Vs)で、超音波P2がレンズ10cに到達する。ただし、水10dの水温等による音速Vsの変動等を考慮して、t0+2fd/Vsから所定範囲内(±Δt)であれば、レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合っていると考えられる。
【0032】
レンズ移動部16は、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれていると判定されるように、レンズ10cを移動させる。これにより、レンズ10cの焦点fpを測定対象2の表面に合わせることができる。
【0033】
例えば、レンズ10cを測定対象2から充分に遠ざけておいてから(焦点fpが測定対象2の表面よりも上にある)、レンズ移動部16がレンズ10cを測定対象2に近づけるようにZ方向(高さ方向)に移動させる。または、レンズ10cを測定対象2に充分に近づけておいてから(焦点fpが測定対象2の表面よりも下にある)、レンズ移動部16がレンズ10cを測定対象2から遠ざかるようにZ方向(高さ方向)に移動させる。
【0034】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0035】
まず、測定用ヘッド10のレンズ10cを測定対象2から充分に遠ざけておく。少なくとも、焦点fpが測定対象2の表面よりも上にあるようにしておく。
【0036】
次に、超音波パルス出力部(測定用ヘッド10)のレンズ10cから超音波パルスP1を測定対象2に向けて出射する(出射時点t0)。超音波パルスP1は測定対象2の表面により反射され(超音波P2)、レンズ10cに向かう。超音波P2がレンズ10cに到達する時点は、t0+2fd/Vsよりも後となる。
【0037】
レンズ10cが受けた超音波P2は、センサ10bにより電気信号に変換され、超音波測定部12に与えられる。超音波測定部12の測定結果は、超音波判定部14に与えられ、経過時点(t0+2fd/Vs)において、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれていないと判定される。
【0038】
この判定を受け、レンズ移動部16によって、レンズ10cが測定対象2に近づくようにZ方向(高さ方向)に移動する。
【0039】
すると、やがて、焦点fpが測定対象2の表面に合う(図1参照)。
【0040】
超音波パルス出力部(測定用ヘッド10)のレンズ10cから超音波パルスP1を測定対象2に向けて出射する(出射時点t0)。超音波パルスP1は測定対象2の表面により反射され(超音波P2)、レンズ10cに向かう。超音波P2がレンズ10cに到達する時点は、音速Vsの変動等を考慮しても、t0+2fd/Vs-Δt以後かつt0+2fd/Vs+Δt以前となる。
【0041】
レンズ10cが受けた超音波P2は、センサ10bにより電気信号に変換され、超音波測定部12に与えられる。超音波測定部12の測定結果は、超音波判定部14に与えられ、経過時点(t0+2fd/Vs-Δt以後かつt0+2fd/Vs+Δt以前)において、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれていると判定される。
【0042】
この判定を受け、焦点fpが測定対象2の表面に合ったまま、レンズ10cは停止する。
【0043】
なお、測定用ヘッド10のレンズ10cを測定対象2に充分に近づけておき(少なくとも、焦点fpが測定対象2の表面よりも下にあるようにしておく)、レンズ移動部16によって、レンズ10cが測定対象2から遠ざかるようにZ方向(高さ方向)に移動するようにしても同様に、焦点fpが測定対象2の表面に合ったまま、レンズ10cが停止する。
【0044】
第一の実施形態によれば、レンズ10cの焦点fpを自動的に測定対象2の表面に合わせることができる。
【0045】
なお、第一の実施形態には、以下に示すような色々な変形例が考えられる。
【0046】
変形例1
焦点fpが測定対象2の表面に合い、経過時点において超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれていると超音波判定部14によって判定されるまでは、第一の実施形態と同様である。
【0047】
変形例1においては、この後に、レンズ移動部16が、さらにレンズ10cを測定対象2に近づける。
【0048】
変形例1によれば、測定対象2の表面に焦点fpを合わせてから、さらに測定対象2の内部(例えば、皮下組織(特に、皮下脂肪))に焦点fpを合わせることができる。
【0049】
皮膚は、表皮、真皮および皮下組織を有する。超音波は、皮下組織(特に、皮下脂肪)において大きく減衰する。よって、皮下組織を超音波により測定するためには、真皮の深い部分または皮下組織に焦点fpを合わせることが好ましい。そこで、上記のように、測定対象2の内部(例えば、皮下組織(特に、皮下脂肪))に焦点fpを合わせることが、皮下組織の測定には好ましい。
【0050】
変形例2
焦点fpが測定対象2の表面に合い、経過時点において超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれていると超音波判定部14によって判定されるまでは、第一の実施形態と同様である。
【0051】
変形例2においては、この後に、レンズ移動部16が、レンズ10cを測定対象2から遠ざける。
【0052】
変形例2によれば、測定対象2の全体が焦点fpよりも下に位置することになる。測定対象2が焦点fpより上の部分と下の部分とが存在すると、測定対象2の画像処理が困難となるところ、測定対象2の全体が焦点fpよりも下に位置するので、測定対象2の画像処理を容易なものとすることができる。
【0053】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる超音波測定装置1は、測定対象2から光音響波AWを受ける点が、測定対象2から超音波P2を受ける第一の実施形態と異なる。
【0054】
図3は、本発明の第二の実施形態にかかる超音波測定装置1の構成を示す機能ブロック図である。図4は、本発明の第二の実施形態にかかる測定用ヘッド10の断面図である。以下、第一の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
第二の実施形態にかかる超音波測定装置1は、測定用ヘッド10、超音波測定部12、超音波判定部14、レンズ移動部16を備える。
【0056】
測定用ヘッド10は、パルス光Pを出力する。測定用ヘッド10は、測定対象2に接している。測定対象2は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。測定用ヘッド10は、スペーサ10a、レンズ10c、水10d、光ファイバ(パルス光出力部)10e、光ファイバ保持部10f、出力端10gを有する。
【0057】
スペーサ10aおよび水10dは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0058】
光ファイバ(パルス光出力部)10eは、出力端10gから、パルス光Pを出力する。なお、パルス光Pの出力方向はZ方向とする。また、測定対象2がパルス光Pを受けると、光音響波AWを発生する。光ファイバ保持部10fは、光ファイバ10eの周囲に配置され、光ファイバ10eを保持する。
【0059】
図4においては、レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合っているが、このような場合、光ファイバ保持部10fの先端およびレンズ10cが水10d内に収容されている。
【0060】
レンズ10cは、測定対象2から出力された超音波(光音響波AW)(図3および図4参照)を受ける。なお、光音響波AWは、パルス光Pにより測定対象2において発生したものである。また、レンズ10cの焦点距離は、第一の実施形態と同様に、fdという。
【0061】
センサ10bは、レンズ10cが受けた超音波(光音響波AW)を受けること以外は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0062】
超音波測定部12は、レンズ10cが受けた超音波(光音響波AW)を時間に対応付けて測定する。
【0063】
超音波判定部14は、超音波(光音響波AW)が測定対象2より出力されてからレンズ10cの焦点距離fdを進行するためにかかる時間(fd/Vs)が経過した経過時点において、超音波測定部12の測定結果に超音波P2が含まれているか否かを判定する。超音波(光音響波AW)が含まれているか否かは、一例としては、測定結果(またはその特定の周波数の成分)のパワーが所定の閾値を超えたか否かにより判定できる。
【0064】
ただし、光ファイバ(パルス光出力部)10eがパルス光Pを出力した時点t0に、焦点距離fdを音速Vsで割った値を加えたものから、所定範囲内(±Δt)の時間を、経過時点とみなす。すなわち、t0+fd/Vs-Δt以後かつ、t0+fd/Vs+Δt以前であれば、経過時点とみなす。
【0065】
レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合っている場合、光ファイバ(パルス光出力部)10eがパルス光Pを出力した時点t0とほぼ同時に、パルス光Pが測定対象2に到達し、かつ超音波(光音響波AW)が測定対象2より出力される。さらに、超音波(光音響波AW)が測定対象2より出力された時点(t0)に、焦点距離fdを音速Vsで割った値を加えた時点(t0+fd/Vs)で、超音波(光音響波AW)がレンズ10cに到達する。ただし、水10dの水温等による音速Vsの変動等を考慮して、t0+fd/Vsから所定範囲内(±Δt)であれば、レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合っていると考えられる。
【0066】
レンズ移動部16は、超音波測定部12の測定結果に超音波(光音響波AW)が含まれていると判定されるように、レンズ10cを移動させる。これにより、レンズ10cの焦点fpが測定対象2の表面に合わせることができる。
【0067】
例えば、レンズ10cを測定対象2から充分に遠ざけておいてから(焦点fpが測定対象2の表面よりも上にある)、レンズ移動部16がレンズ10cを測定対象2に近づけるようにZ方向(高さ方向)に移動させる。または、レンズ10cを測定対象2に充分に近づけておいてから(焦点fpが測定対象2の表面よりも下にある)、レンズ移動部16がレンズ10cを測定対象2から遠ざかるようにZ方向(高さ方向)に移動させる。
【0068】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0069】
まず、測定用ヘッド10のレンズ10cを測定対象2から充分に遠ざけておく。少なくとも、焦点fpが測定対象2の表面よりも上にあるようにしておく。
【0070】
次に、光ファイバ(パルス光出力部)10eからパルス光Pを測定対象2に向けて出射する(出射時点t0)。パルス光Pが測定対象2の表面に到達し、超音波(光音響波AW)が発生して、レンズ10cに向かう。超音波(光音響波AW)がレンズ10cに到達する時点は、t0+fd/Vsよりも後となる。
【0071】
レンズ10cが受けた超音波(光音響波AW)は、センサ10bにより電気信号に変換され、超音波測定部12に与えられる。超音波測定部12の測定結果は、超音波判定部14に与えられ、経過時点(t0+fd/Vs)において、超音波測定部12の測定結果に超音波(光音響波AW)が含まれていないと判定される。
【0072】
この判定を受け、レンズ移動部16によって、レンズ10cが測定対象2に近づくようにZ方向(高さ方向)に移動する。
【0073】
すると、やがて、焦点fpが測定対象2の表面に合う(図1参照)。
【0074】
光ファイバ(パルス光出力部)10eからパルス光Pを測定対象2に向けて出射する(出射時点t0)。パルス光Pが測定対象2の表面に到達し、超音波(光音響波AW)が発生して、レンズ10cに向かう。超音波(光音響波AW)がレンズ10cに到達する時点は、音速Vsの変動等を考慮しても、t0+fd/Vs-Δt以後かつt0+fd/Vs+Δt以前となる。
【0075】
レンズ10cが受けた超音波(光音響波AW)は、センサ10bにより電気信号に変換され、超音波測定部12に与えられる。超音波測定部12の測定結果は、超音波判定部14に与えられ、経過時点(t0+fd/Vs-Δt以後かつt0+fd/Vs+Δt以前)において、超音波測定部12の測定結果に超音波(光音響波AW)が含まれていると判定される。
【0076】
この判定を受け、焦点fpが測定対象2の表面に合ったまま、レンズ10cは停止する。
【0077】
なお、測定用ヘッド10のレンズ10cを測定対象2に充分に近づけておき(少なくとも、焦点fpが測定対象2の表面よりも下にあるようにしておく)、レンズ移動部16によって、レンズ10cが測定対象2から遠ざかるようにZ方向(高さ方向)に移動するようにしても同様に、焦点fpが測定対象2の表面に合ったまま、レンズ10cが停止する。
【0078】
第二の実施形態によれば、測定対象2から光音響波AWを受けるようにしても、レンズ10cの焦点を自動的に合わせることができる。
【0079】
なお、第二の実施形態においても、第一の実施形態の変形例1および変形例2と同様に、焦点fpが測定対象2の表面に合い、経過時点において超音波測定部12の測定結果に超音波(光音響波AW)が含まれていると超音波判定部14によって判定された後に、レンズ移動部16が、さらにレンズ10cを測定対象2に近づけるか、または遠ざけるようにしてもよい。
【0080】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(USBメモリ、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば超音波測定部12および超音波判定部14を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波測定装置
10 測定用ヘッド(超音波パルス出力部)
10a スペーサ
10b センサ
10c レンズ
10d 水
10e 光ファイバ(パルス光出力部)
10f 光ファイバ保持部
10g 出力端
12 超音波測定部
14 超音波判定部
16 レンズ移動部
P1 超音波パルス
P2 超音波
P パルス光
AW 光音響波(超音波)
fp 焦点
fd 焦点距離
Vs 音速
図1
図2
図3
図4