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特開2024-118462流体輸送能力を有する海底電力ケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118462
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】流体輸送能力を有する海底電力ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/14 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H01B7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024023451
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】23157544
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カラシヴォス, エウリピデス
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水素を貯蔵して、気象条件の変化のために再生可能エネルギーが発電可能でない場合に電気に変換する海底電力ケーブルを提供する。
【解決手段】海底電力ケーブル1は、各々が導体5a~5cと、導体の周りに配置された絶縁系7a~7cと、絶縁系が導体の周りに配置された内側半導体層9a~9cと、内側半導体層の周りに配置された絶縁層11a~11cと、絶縁層の周りに配置された外側半導体層13a~13cを備える複数の電力芯線3a~3cと、複数の電力芯線の周りに配置された外層23と、電力芯線のうちの2つと外層との間の空間に配置されたフィラープロファイル16a~16cと、海底電力ケーブルの一方の端部から海底電力ケーブルの反対側の端部に流体を輸送するために、フィラープロファイルの内側に配置され、フィラープロファイルの全長に沿ってそれぞれ延在する流体チャネル18a~18c、とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底電力ケーブル(1)であって、
各々が導体(5a~5c)、および前記導体(5a~5c)の周りに配置された絶縁系(7a~7c)を備える複数の電力芯線(3a~3c)であって、前記絶縁系(7a~7c)が前記導体(5a~5c)の周りに配置された内側半導体層(9a~9c)、前記内側半導体層(9a~9c)の周りに配置された絶縁層(11a~11c)、および前記絶縁層(11a~11c)の周りに配置された外側半導体層(13a~13c)を備える、複数の電力芯線(3a~3c)と、
前記複数の電力芯線(3a~3c)の周りに配置された外層(23)と、
前記電力芯線(3a~3c)のうちの2つと前記外層(23)との間の空間に配置されたフィラープロファイル(16a、16b、16c)と、
前記海底電力ケーブル(1)の一方の端部から前記海底電力ケーブル(1)の反対側の端部に流体を輸送するために、前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)の内側に配置され、前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)の全長に沿って延在する流体チャネル(18a、18b、18c)と
を備える、海底電力ケーブル(1)。
【請求項2】
前記流体チャネル(18a、18b、18c)が、前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)の全長に沿って閉じられた内面(24)を有する、請求項1に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項3】
前記海底電力ケーブル(1)の断面において、前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)が、各々が前記2つの電力芯線(3a~3c)のそれぞれ一方の一部を受け入れる2つの内側円弧(27、29)と、前記外層(23)に向かって湾曲している外側円弧(31)とを含む外周境界(25)を有する、請求項1または2に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項4】
前記外周境界(25)が閉曲線を形成する、請求項3に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項5】
前記流体チャネル(18a、18b、18c)が、前記2つの内側円弧(27、29)および前記外側円弧(31)に対して中心付けられて配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項6】
前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)が、ポリマー材料から作製される、請求項1から5のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項7】
前記ポリマー材料がポリエチレンである、請求項6に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項8】
前記ポリエチレンが、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンである、請求項7に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項9】
前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)が、押出フィラープロファイルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項10】
前記複数の電力芯線(3a~3c)および前記フィラープロファイル(16a、16b、16c)が撚り合わされている、請求項1から9のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項11】
前記流体チャネル(18a~18c)が、前記フィラープロファイル(16a~16c)と一体であるか、または前記海底電力ケーブル(1)が流体パイプを備え、前記フィラープロファイルが軸方向貫通開口部を備え、前記流体パイプが前記軸方向貫通開口部に配置されて、前記流体チャネル(18a~18c)を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル(1)の運用方法であって、
a)前記複数の電力芯線(3a~3c)によって電気を輸送することと、
b)前記流体チャネル(18a、18b、18c)を通して流体を輸送することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記流体が水素ガスまたは液体水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)およびb)を同時に実行することを含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)が、最大500mbar、例えば最大400mbar、例えば最大250mbarの圧力で前記流体チャネル内の前記流体を輸送することを含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、海底電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
海底電力ケーブルは、沖合風力タービンなどの沖合再生可能エネルギー源からの電気を輸送するために使用することができる。再生可能エネルギーは計画可能なエネルギー源ではないため、気象条件が許すときに再生可能エネルギー源からの余剰電気を利用して、電気分解装置を使用して水素を生成することができる。水素は貯蔵されて、気象条件の変化のために再生可能エネルギーが発電可能でない場合に電気に変換することができる。この目的のために、電気と水素とを同じ構造で輸送することが提案されている。
【0003】
欧州特許第3926645号明細書は、電流と水素との複合輸送のためのアンビリカルを開示している。アンビリカルは、複数の管状導体を備え、管状導体の内部容積は、例えば沖合風力発電に関連した、水素の輸送パイプを形成する。この設計の欠点は、電気輸送のための断面積を失うことに加えて、この構成が、特に接合部における導体の機械的強度を低下させることである。これは、ケーブルがかなりの深さに設置される場合に、ケーブルが外装されていても、導体がケーブル敷設容器から海底に吊り下げられたときにかなりの張力を受けるため、特に問題となる場合がある。
【0004】
欧州特許第3913268号明細書は、電力および水素の輸送のためのアンビリカルケーブルを開示している。アンビリカルケーブルは、少なくとも1つの導電体と、水素を輸送するための少なくとも1つの管とを備える。水素管は、水素脆化に耐性のある材料、特に銅合金から作製された壁を有する。この構造の欠点は、電力を輸送するだけの海底電力ケーブルを製造するために特に適合された生産ラインの実質的な再構成を必要とすることである。
【発明の概要】
【0005】
上記に鑑みて、本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも緩和する海底電力ケーブルを提供することである。
【0006】
したがって、本開示の第1の態様によれば、海底電力ケーブルが提供され、海底電力ケーブルは、各々が導体と、導体の周りに配置された絶縁系とを備える複数の電力芯線であって、絶縁系が導体の周りに配置された内側半導体層、内側半導体層の周りに配置された絶縁層、絶縁層の周りに配置された外側半導体層を備える、電力芯線と、複数の電力芯線の周りに配置された外層と、電力芯線のうちの2つと外層との間の空間に配置されたフィラープロファイルと、海底電力ケーブルの一方の端部から海底電力ケーブルの反対側の端部に流体を輸送するために、フィラープロファイルの内側に配置され、フィラープロファイルの全長に沿って延在する流体チャネルとを備える。
【0007】
フィラープロファイルは、例えば設置中に、例えば半径方向の力を受けたときに、海底電力ケーブルの形状が無傷のままであることを確実にするために使用される。海底電力ケーブルに流体チャネルを有するフィラープロファイルを設けることにより、海底電力ケーブルによる水素ガスまたは液体水素輸送などの流体輸送を可能にするために電力専用海底電力ケーブルの生産ラインに必要とされる適合は最小限になる。
【0008】
流体チャネルは、液体水素または水素ガスを輸送するように構成されてもよい。
【0009】
海底電力ケーブルは、高電圧電力ケーブルであってもよい。海底電力ケーブルは、例えば、66KV以上の電圧定格を有してもよい。
【0010】
海底電力ケーブルは、エクスポートケーブルであってもよい。
【0011】
海底電力ケーブルは、一例によれば、最大100kmの全長を有してもよい。
【0012】
一実施形態によれば、流体チャネルは、フィラープロファイルの全長に沿って閉じられた内面を有する。
【0013】
内面は、流体チャネルを画定し、したがって、流体チャネル内に延在する任意の意図的に作製された貫通開口部を含まない。流体チャネルは、フィラープロファイルの壁を通って起こり得るいくらかの自然透過を除いて、特に水素に対して本質的に液密である。
【0014】
海底電力ケーブルの断面における一実施形態によれば、フィラープロファイルは、各々が2つの電力芯線のそれぞれ1つの一部を受け入れる2つの内側円弧と、外層に向かって湾曲する外側円弧とを含む外周境界を有する。
【0015】
一実施形態によれば、外周境界は閉曲線を形成する。
【0016】
一実施形態によれば、流体チャネルは、2つの内側円弧および外側円弧に対して中心付けられて配置される。これは、フィラープロファイルが最大の厚さを有する領域であり、したがって、流体チャネルの断面積を最大にすることができ、より高いフロースループットおよびより低い乱流を提供する。
【0017】
一実施形態によれば、フィラープロファイルは、ポリマー材料から作製される。
【0018】
一実施形態によれば、ポリマー材料はポリエチレンである。
【0019】
一実施形態によれば、ポリエチレンは、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンである。
【0020】
一実施形態によれば、フィラープロファイルは押出フィラープロファイルである。フィラープロファイルは、代替的に、撚糸および撚糸内に配置されたパイプから構成されてもよく、または付加製造によって作製されてもよい。
【0021】
一実施形態によれば、複数の電力芯線およびフィラープロファイルは撚り合わされる。
【0022】
一実施形態によれば、流体チャネルはフィラープロファイルと一体であるか、または海底電力ケーブルは流体パイプを備え、フィラープロファイルは軸方向貫通開口部を備え、流体パイプは軸方向貫通開口部内に配置されて、流体チャネルを形成する。
【0023】
一体とは、流体チャネルが、フィラープロファイルの1つ以上の内壁によって形成された軸方向チャネルによって画定されることを意味する。したがって、流体チャネルは、フィラープロファイルの本体によって形成される。
【0024】
軸方向貫通開口部は、フィラープロファイルの全長に沿って延在する。
【0025】
流体パイプは、軸方向貫通開口部全体に沿って延在してもよい。
【0026】
各フィラープロファイルは、一例によれば、それぞれの軸方向貫通開口部および流体パイプを備えてもよい。
【0027】
流体パイプは、例えば金属製であってもよい。金属は、例えば、ステンレス鋼、銅、または銅合金を含んでもよい。
【0028】
第2の態様によれば、先行する請求項のいずれかに記載の海底電力ケーブルの運用方法であって、a)複数の電力芯線によって電気を輸送することと、b)流体チャネルを通して流体を輸送することとを含む、方法が提供される。
【0029】
一実施形態によれば、流体は水素ガスまたは液体水素である。
【0030】
一実施形態は、ステップa)およびb)を同時に実行することを含む。
【0031】
電気と同時に流体を輸送することにより、流体によって複数の電力芯線を冷却することができる。
【0032】
一実施形態によれば、ステップb)は、最大500mbar、例えば最大400mbar、例えば最大250mbarの圧力で流体チャネル内の流体を輸送することを含む。流体は、例えば、250mbar、400mbar、または500mbarの圧力下で輸送することができる。
【0033】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a/an/the)要素、器具、構成要素、手段」などへのすべての言及は、特に明記されない限り、要素、器具、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
ここで、添付の図面を参照して、本発明概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【0035】
図1】海底電力ケーブルの一例の断面図を概略的に示す図である。
図2】フィラープロファイルの一例の断面図である。
図3図1の海底電力ケーブルを含む沖合設備を示す図である。
図4図1の海底電力ケーブルの運用方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明概念は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0037】
図1は、海底電力ケーブル1の一例の断面を示す。
【0038】
海底電力ケーブル1は、磁極を形成する2つの電力芯線と、冗長電力芯線またはダミー芯線であり得る第3の芯線とを備えるAC電力ケーブルまたはDC電力ケーブルであってもよい。
【0039】
例示的な海底電力ケーブル1は、3つの電力芯線3a~3cを備える。電力芯線3a~3cは撚り合わされている。
【0040】
各電力芯線3a~3cは、それぞれの導体5a~5cを備える。
【0041】
各電力芯線3a~3cは、それぞれの導体5a~5cの周りに配置された絶縁系7a~7cを備える。
【0042】
各絶縁系7a~7cは、導体5a~5cの周りに配置された内側半導体層9a~9cと、内側半導体層9a~9cの周りに配置された絶縁層11a~11cと、絶縁層11a~11cの周りに配置された外側半導体層13a~13cとを備える。
【0043】
絶縁層11a~11cは、ポリマー材料を含む。ポリマー材料は、例えば、架橋ポリオレフィン、例えば架橋ポリエチレン(XLPE)などのポリオレフィン、またはポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂ポリオレフィン、またはエチレンプロピレンゴム(EPR)もしくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどのポリオレフィンエラストマーを含んでもよい。
【0044】
内側半導体層9a~9cおよび外側半導体層13a~13cは、カーボンブラックなどの導電性粒子と混合されたポリマー材料を含んでもよい。
【0045】
絶縁系7a~7cは、押出絶縁系、例えば三重押出絶縁系であってもよい。
【0046】
各電力芯線3a~3cは、絶縁系7a~7cの周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層15a~15cをさらに備えてもよい。金属製遮水層15a~15cは、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、または鉛を含んでもよい。
【0047】
各電力芯線3a~3cは、絶縁系7a~7cの周りに配置されたそれぞれのポリマーシース17a~17cを備えてもよい。電力芯線3a~3cが金属製遮水層15a~15cを備える場合、ポリマーシース17a~17cは、金属製遮水層15a~15cの周りに配置される。
【0048】
海底電力ケーブル1は、複数のフィラープロファイル16a~16cを備える。三芯線海底電力ケーブルの場合、海底電力ケーブル1は、3つのフィラープロファイル16a~16cを備える。
【0049】
フィラープロファイル16a~16cのうちの1つ以上は、それぞれの流体チャネル18a~18cを備える。図1の例では、すべてのフィラープロファイル16a~16cが流体チャネル18a~18cを備える。
【0050】
フィラープロファイル16a~16cは、電力芯線3a~3cと共に撚り合わされている。
【0051】
各フィラープロファイル16a~16cは、2つの隣接する電力芯線3a~3cの間の間隙に部分的に受け入れられる。
【0052】
海底電力ケーブル1は、3つの撚線電力芯線3a~3cの周りに螺旋状に配置された複数の外装ワイヤ21を備える外装層19を備えてもよい。
【0053】
海底電力ケーブル1は、外装層19と電力芯線3a~3cとの間に配置された外装下地層(図示せず)を備えてもよい。各フィラープロファイル3a~3cは、外装下地層と2つの電力芯線3a~3cとの間に配置されてもよい。
【0054】
海底電力ケーブル1は、海底電力ケーブル1の最外層を形成する外層23を備える。外層23は、ポリマー材料を含む外側シース、または螺旋状に巻かれたポリマー糸で構成された外側サービングであってもよい。
【0055】
ここで図2を参照すると、フィラープロファイル16a~16cがより詳細に説明される。設計は、フィラープロファイル16a~16cのうちの1つ、2つ、または3つすべてに関係する場合がある。
【0056】
断面において、フィラープロファイル16a~16cは、閉曲線を形成する外周境界25を有する。したがって、フィラープロファイル16a~16cは、フィラープロファイル16a~16cの内部への貫通開口部のない周囲を有する。流体チャネル18a~18cは、フィラープロファイル16a~16cの全長に沿った半径方向に閉じたチャネルである。したがって、流体チャネル18a~18cの内面24は、フィラープロファイル16a~16cの全長に沿って貫通開口部がなく、したがって、流体チャネル18a~18cは、フィラープロファイル16a~16cの長手方向軸を通る任意の断面において流体チャネル18a~18cの周方向に閉じている。
【0057】
フィラープロファイル16a~16cの断面において、外周境界25は、各々が電力芯線3a~3cのうちの2つのそれぞれの一方の一部を受け入れるように構成された2つの内側円弧27および29を有する。外周境界25はまた、外側円弧31を有する。外側円弧31は、2つの内側円弧27、29の各々よりも大きい。外側円弧31は、2つの内側円弧27、29を接続する。外側円弧31は、外層23に向かって湾曲している。
【0058】
流体チャネル18a~18cは、2つの内側円弧27、29および外側円弧31に対して中心付けられて配置されてもよい。流体チャネル18a~18cは、その中心点がフィラープロファイル16a~16cの中心軸Aに含まれてもよく、中心軸Aはフィラープロファイル16a~16cを2つの対称な半分に分割し、海底電力ケーブル1の半径方向と一致してもよい。
【0059】
流体チャネル18a~18cは、例えば、円形、楕円形、または多角形の断面形状を有してもよい。
【0060】
フィラープロファイル16a~16cは、ポリマー材料から作製されてもよい。ポリマー材料は、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはポリプロピレンであってもよい。
【0061】
図3は、海底電力ケーブル1を備える沖合設備33の一例を示す。沖合設備33は、風力タービン35などの沖合風力タービンと、アレイケーブル41などのアレイケーブルによって風力タービンに接続された沖合変電所39とを備える。海底電力ケーブル1は、沖合変電所39に接続され、沖合変電所30から海底の上または下を海岸、すなわち、陸地まで延びている。したがって、海底電力ケーブル1は、この例では、エクスポートケーブルである。沖合変電所39は、風力タービンからアレイケーブル41によって送達される電気によって電力供給され、水素ガスおよび/または液体水素を生成する電気分解システムを備えてもよい。水素ガスまたは液体水素は、海底電力ケーブル1によって1つ以上の流体チャネル18a~18cを介して沖合変電所39から海岸に輸送される。
【0062】
次に、図4を参照して、海底電力ケーブル1の運用方法について説明する。この例によれば、海底電力ケーブル1の運用は、電気および流体のエネルギー輸送を含む。
【0063】
ステップa)において、電気は、複数の電力芯線3a~3cによって輸送される。
【0064】
ステップb)において、流体は、フィラープロファイル16a~16cの流体チャネル18a~18cのうちの1つ以上を通して輸送される。流体は、典型的には、水素ガスまたは液体水素であってもよい。
【0065】
沖合変電所39などの沖合構造で終端する海底電力ケーブル1の一端は、沖合構造に設けられた電気分解システムに接続されてもよい。特に、流体チャネル18a~18cは、電気分解システムの水素出口に接続されてもよい。
【0066】
ステップa)およびステップb)は、同時に実行されてもよい。したがって、1つ以上の流体チャネル18a~18cを通して輸送された流体は、電力芯線3a~3cの冷却を提供することができる。
【0067】
一変形例によれば、フィラープロファイル16a~16cのうちの1つ以上は、軸方向貫通開口部と、貫通開口部内に配置されて、流体チャネル18a~18cを形成する流体パイプとを備えてもよい。水素ガスまたは液体水素などの流体は、この例では流体パイプを通って流れる。
【0068】
本発明概念は、主に少数の例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】