(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118470
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】配送計画生成装置、コンピュータプログラム及び配送計画生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240823BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240823BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20240823BHJP
【FI】
G06Q50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J7/00 Y
G06Q10/0631
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024077960
(22)【出願日】2024-05-13
(62)【分割の表示】P 2020554807の分割
【原出願日】2019-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2018202982
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 智美
(57)【要約】 (修正有)
【課題】二次電池を搭載した電動車両を用いた配送計画を生成することができる配送計画生成装置、コンピュータプログラム及び配送計画生成方法を提供する。
【解決手段】配送計画生成装置は、電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得するSOC取得部として機能する通信部と、電動車両の車両情報を取得する車両情報取得部として、また、荷物の配送先情報を取得する配送先情報取得部として機能する制御部と、車両情報及び二次電池のSOCに基づいて電動車両の走行可能距離を算出する走行距離算出部と、配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する配送計画生成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成装置であって、
電動車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、
荷物の配送先情報を取得する配送先情報取得部と、
前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する算出部と、
前記配送先情報及び前記算出部で算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する配送計画生成部と
を備える配送計画生成装置。
【請求項2】
前記配送計画生成部は、
複数の配送先の配送順序が特定された配送計画を生成する請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項3】
前記配送計画生成部は、
拠点出発から拠点帰着までの配送経路毎に電動車両に搭載される二次電池の割当情報を含む配送計画を生成する請求項1又は請求項2に記載の配送計画生成装置。
【請求項4】
前記配送計画生成部は、
前記二次電池のSOC及び第1閾値に基づいて配送計画を生成する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配送計画生成装置。
【請求項5】
前記二次電池のSOC及び前記第1閾値に基づいて前記二次電池の充電計画を生成する充電計画生成部を備える請求項4に記載の配送計画生成装置。
【請求項6】
前記充電計画生成部は、
前記充電計画に前記二次電池のSOCの目標値を含む請求項5に記載の配送計画生成装置。
【請求項7】
前記充電計画生成部は、
前記充電計画に前記二次電池が搭載される電動車両の前記配送計画に基づく充電完了期限を含む請求項5又は請求項6に記載の配送計画生成装置。
【請求項8】
前記充電計画生成部は、
前記電動車両に搭載される複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値より大きい場合、前記複数の二次電池の少なくとも一部を充電すべく充電計画を生成する請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の配送計画生成装置。
【請求項9】
前記充電計画生成部は、
前記複数の二次電池のうち電圧の低い二次電池を充電すべく充電計画を生成する請求項8に記載の配送計画生成装置。
【請求項10】
前記二次電池のSOH又は充電回数の少なくとも一つに基づいて、前記算出部が算出した走行可能距離を補正する補正部を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の配送計画生成装置。
【請求項11】
コンピュータに、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
電動車両の車両情報を取得する処理と、
前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得する処理と、
荷物の配送先情報を取得する処理と、
前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する処理と、
前記配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する処理と
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成方法であって、
電動車両の車両情報を取得し、
前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得し、
荷物の配送先情報を取得し、
前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出し、
前記配送先情報及び算出された走行可能距離を用いて配送計画を生成する配送計画生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送計画生成装置、コンピュータプログラム及び配送計画生成方法に関する。
本出願は、2018年10月29日出願の日本出願第2018-202982号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の荷物を複数の車両で配送する場合、どの車両にどの荷物を積んで、どのような経路で配送すれば効率的であるかを自動的に計算することができる配送計画アプリケーションが知られている。
【0003】
特許文献1には、配送先情報、荷物情報、車両情報に基づいて適切な車両を選択して積み付けを立案し、住所情報と荷物情報とを地図上で関連付けることができる配送計画を作成する配送計画作成支援方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の配送計画生成装置は、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成装置であって、電動車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、荷物の配送先情報を取得する配送先情報取得部と、前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する算出部と、前記配送先情報及び前記算出部で算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する配送計画生成部とを備える。
【0006】
本開示のコンピュータプログラムは、コンピュータに、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、電動車両の車両情報を取得する処理と、前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得する処理と、荷物の配送先情報を取得する処理と、前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する処理と、前記配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する処理とを実行させる。
【0007】
本開示の配送計画生成方法は、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成方法であって、電動車両の車両情報を取得し、前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得し、荷物の配送先情報を取得し、前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出し、前記配送先情報及び算出された走行可能距離を用いて配送計画を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態の配送計画生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】車両情報DBの構成の一例を示す模式図である。
【
図3】電池パック情報DBの構成の一例を示す模式図である。
【
図4】荷物情報DBの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】電池パックの割当情報の一例を示す模式図である。
【
図7】電池パックの充電計画の一例を示す模式図である。
【
図8】充電装置による電池パックの充電の第1例を示す模式図である。
【
図9】充電装置による電池パックの充電の第2例を示す模式図である。
【
図10】本実施の形態の配送計画生成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示が解決しようとする課題]
一般的に、ガソリン又は軽油を燃料とする車両では、配送拠点に立ち戻った後、あるいは配送拠点出発前に燃料を満タンにする運用や、配送中に燃料を補給するためにガソリンスタンドに立ち寄る運用を採用することができる。しかし、配送用車両として電気自動車を使用する場合には、電池を充電するのに比較的長い時間を要するため、配送中に充電スタンドに立ち寄って充電をすると配送効率が低下する。また、配送拠点に立ち戻った都度に電池を充電すると、満充電付近の状態で充電を繰り返すことになり電池の劣化が促進されるという問題がある。
【0010】
そこで、二次電池を搭載した電動車両を用いた配送計画を生成することができる配送計画生成装置、コンピュータプログラム及び配送計画生成方法を提供することを目的とする。
【0011】
[本開示の効果]
本開示によれば、二次電池を搭載した電動車両を用いた配送計画を生成することができる。
【0012】
[本願開示の実施形態の説明]
本実施の形態に係る配送計画生成装置は、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成装置であって、電動車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、荷物の配送先情報を取得する配送先情報取得部と、前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する算出部と、前記配送先情報及び前記算出部で算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する配送計画生成部とを備える。
【0013】
本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、電動車両の車両情報を取得する処理と、前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得する処理と、荷物の配送先情報を取得する処理と、前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する処理と、前記配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する処理とを実行させる。
【0014】
本実施の形態に係る配送計画生成方法は、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成方法であって、電動車両の車両情報を取得し、前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得し、荷物の配送先情報を取得し、前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出し、前記配送先情報及び算出された走行可能距離を用いて配送計画を生成する。
【0015】
車両情報取得部は、電動車両の車両情報を取得する。車両情報は、例えば、車両を識別する車両ID、荷台の寸法(長さ、幅、高さ)、積載重量、搭載している二次電池(電池パックともいう)の個数などを含めることができる。
【0016】
SOC取得部は、電動車両に搭載された二次電池のSOC(State Of Charge)を取得する。二次電池のSOCは、例えば、電動車両に搭載された、二次電池の状態を管理する管理装置(例えば、BMS:Battery Management System)から取得することができる。
【0017】
配送先情報取得部は、荷物の配送先情報を取得する。配送先情報は、例えば、どの荷物をどこに配送するかを示す情報を含む。
【0018】
算出部は、車両情報及び二次電池のSOCに基づいて電動車両の走行可能距離を算出する。電動車両は、例えば、配送拠点に戻ってきた電動車両であって、次回の配送に使用可能な電動車両である。電動車両に搭載された二次電池を充電することなく残存容量によって、走行可能距離を算出する。走行可能距離は、電動車両の総重量(積載重量+車両本体重量)及びSOCを変数とする関数によって算出することができる。
【0019】
配送計画生成部は、配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する。例えば、電動車両の走行可能距離を制約条件として、当該走行可能距離の範囲内で配送できる配送先を特定した配送計画を生成することができる。また、配送すべき荷物が残っている場合には、他の電動車両について、同様の処理を繰り返せばよい。
【0020】
上述の構成により、配送拠点に戻ってきた電動車両に搭載された二次電池を無条件に充電することもなく、満充電付近の状態で充電を繰り返すことによる二次電池の劣化を抑止することができる。また、配送の途中で充電スタンドに立ち寄る必要もなく、二次電池を搭載した電動車両を用いた配送計画を生成することができる。
【0021】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記配送計画生成部は、複数の配送先の配送順序が特定された配送計画を生成する。
【0022】
配送計画生成部は、複数の配送先の配送順序が特定された配送計画を生成する。例えば、配送拠点を出発してから帰着するまでの間の走行距離が最も短くなるような配送順序を特定することができる。これにより、電動車両に搭載された二次電池の残存容量の範囲内で多くの配送先を含めることが可能になる。あるいは、残存容量が少ない電動車両を有効に使用して配送計画を生成することができる。
【0023】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記配送計画生成部は、拠点出発から拠点帰着までの配送経路毎に電動車両に搭載される二次電池の割当情報を含む配送計画を生成する。
【0024】
配送計画生成部は、拠点出発から拠点帰着までの配送経路毎に電動車両に搭載される二次電池の割当情報を含む配送計画を生成する。割当情報は、例えば、車両ID、二次電池ID及び配送経路IDの対応関係を示すことができる。これにより、一旦、電動車両から取り外された二次電池を他の電動車両に割り当てることができ、二次電池の残存容量を有効に利用する(すなわち、充電せずに次回の配送に使用する)ことができる。
【0025】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記配送計画生成部は、前記二次電池のSOC及び第1閾値に基づいて配送計画を生成する。
【0026】
配送計画生成部は、二次電池のSOCが第1閾値以上である場合、当該SOCに基づいて算出部が算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する。第1閾値は、適宜設定することができ、例えば、20%、30%などとすることができる。配送拠点での配送経路の距離が長い場合には、第1閾値を大きくすればよく、配送拠点での配送経路の距離が比較的短い場合には、第1閾値を小さくすればよい。これにより、満充電付近の状態で充電を繰り返すことを抑制して、二次電池の劣化を抑制することができる。
【0027】
本実施の形態に係る配送計画生成装置は、前記二次電池のSOC及び前記第1閾値に基づいて前記二次電池の充電計画を生成する充電計画生成部を備える。
【0028】
充電計画生成部は、二次電池のSOCが第1閾値より小さい場合、二次電池の充電計画を生成する。SOCが第1閾値より小さい場合に充電しても二次電池の劣化促進の要因とならないため、二次電池を充電することにより、当該二次電池を搭載する電動車両の走行可能距離を長くすることができ、多くに荷物を配送することができる。
【0029】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記充電計画生成部は、前記充電計画に前記二次電池のSOCの目標値を含む。
【0030】
充電計画生成部は、充電計画に二次電池のSOCの目標値を含む。目標値は、例えば、SOCの上限値(例えば、100%、95%など)とすることができるが、次回の配送計画での配送経路、あるいは出発時刻等に応じて、満充電にする必要がない場合には、70%、50%などとすることができる。これにより、配送計画に応じて二次電池を充電することができる。
【0031】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記充電計画生成部は、前記充電計画に前記二次電池が搭載される電動車両の前記配送計画に基づく充電完了期限を含む。
【0032】
充電計画生成部は、充電計画に二次電池が搭載される電動車両の配送計画に基づく充電完了期限を含む。これにより、配送計画に間に合うように二次電池を充電することができる。
【0033】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記充電計画生成部は、前記電動車両に搭載される複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値より大きい場合、前記複数の二次電池の少なくとも一部を充電すべく充電計画を生成する。
【0034】
充電計画生成部は、電動車両に搭載される複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値より大きい場合、複数の二次電池の少なくとも一部を充電すべく充電計画を生成する。例えば、二次電池の容量、電池特性などが異なる二次電池を1台の電動車両に併用搭載する場合、複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値より大きくなることがある。このような状態で併用搭載すると、複数の二次電池間で過大な電流が流れ、二次電池が劣化する。そこで、複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値以下になるように、例えば、電圧の低い二次電池を充電する。これにより、電動車両に異なる二次電池を併用搭載することができ、二次電池を有効に使用することができる。
【0035】
本実施の形態に係る配送計画生成装置において、前記充電計画生成部は、前記複数の二次電池のうち電圧の低い二次電池を充電すべく充電計画を生成する。
【0036】
充電計画生成部は、複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値以下になるように、電圧の低い二次電池を充電する。これにより、電動車両に異なる二次電池を併用搭載することができ、二次電池を有効に使用することができる。
【0037】
本実施の形態に係る配送計画生成装置は、前記二次電池のSOH又は充電回数の少なくとも一つに基づいて、前記算出部が算出した走行可能距離を補正する補正部を備える。
【0038】
補正部は、二次電池のSOH(State Of Health)又は充電回数の少なくとも一つに基づいて、算出部が算出した走行可能距離を補正する。例えば、SOHが低下している場合、走行可能距離を短くすることができる。また、充電回数が多い場合、走行可能距離を短くすることができる。これにより、二次電池の状態に応じて適切な走行可能距離を求めることができる。
【0039】
[本願開示の実施形態の詳細]
以下、本実施の形態の配送計画生成装置を図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の配送計画生成装置50の構成の一例を示すブロック図である。配送計画生成装置50は、装置全体を制御する制御部51、通信部52、走行距離算出部53、配送計画生成部54、所要の情報を記憶する記憶部55、補正部56、充電計画生成部57、出力部58、及びインタフェース部59を備える。配送計画生成装置50には、表示装置10及び充電装置30を接続することができる。出力部58は、表示装置10に表示するための情報を表示装置10に出力することができる。インタフェース部59は、配送拠点に設置された充電装置30との間のインタフェース機能を有する。
【0040】
配送計画生成装置50は、地図情報DB21、住所情報DB22、荷物情報DB23、車両情報DB24、及び電池パック情報DB25に接続され、各DBから情報を読み出すことができ、各DBに情報を保存することができる。
【0041】
図2は車両情報DB24の構成の一例を示す模式図である。車両情報DB24は、電動車両毎に車両情報を登録してある。車両情報は、車両を識別する車両ID、荷台の寸法(長さ、幅、高さ)、積載重量、搭載している電池パック(二次電池)の個数などの情報を含む。
【0042】
図3は電池パック情報DB25の構成の一例を示す模式図である。電池パック情報DB25は、電池パック毎に電池パック情報を登録してある。電池パック情報は、電池パックを識別する電池パックID、満充電容量、SOH(State Of Health)、SOC(State Of Charge)、充電回数などの情報を含む。SOHは健全度とも称され、二次電池が劣化して容量が縮小していく様子を表す状態量である。SOCは充電率とも称され、満タンを基準に二次電池の残量の比率を表した状態量である。
【0043】
図4は荷物情報DB23の構成の一例を示す模式図である。荷物情報DB23は、荷物毎に荷物情報を登録してある。荷物情報は、荷物を識別する荷物ID、荷物の品番、個数、配送先名称、配送先ID、荷物の重量、荷物の寸法(長さ、幅、高さ)などの情報を含む。
【0044】
制御部51は、車両情報取得部としての機能を有し、車両情報DB24を参照して配送拠点で使用する電動車両の車両情報を取得する。
【0045】
通信部52は、電動車両に搭載された電池パックの状態を管理するBMS(Battery Management System)との間の通信機能を有する。通信部52は、SOC取得部としての機能を有し、配送拠点で使用する電動車両に搭載された電池パックのSOCを取得することができる。なお、電動車両から取り外され、配送拠点に保管された電池パックのSOCは、充電装置30を介して、インタフェース部59で取得することができる。
【0046】
制御部51は、配送先情報取得部としての機能を有し、荷物の配送先情報を取得する。配送先情報は、例えば、どの荷物をどこに配送するかを示す情報を含む。具体的には、制御部51は、荷物情報DB23を参照して配送拠点で配送すべき荷物を特定し、地図情報DB21及び住所情報DB22を参照して荷物の配送先情報を取得する。
【0047】
走行距離算出部53は、算出部としての機能を有し、取得した車両情報及び電池パックのSOCに基づいて電動車両の走行可能距離を算出する。電動車両は、例えば、配送拠点に戻ってきた電動車両であって、次回の配送に使用可能な電動車両である。電動車両に搭載された二次電池を充電することなく残存容量によって、走行可能距離を算出する。走行可能距離は、電動車両の総重量(積載重量+車両本体重量)及びSOCを変数とする関数によって算出することができる。
【0048】
配送計画生成部54は、配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する。例えば、電動車両の走行可能距離を制約条件として、当該走行可能距離の範囲内で配送できる配送先を特定した配送計画を生成することができる。また、配送すべき荷物が残っている場合には、他の電動車両について、同様の処理を繰り返せばよい。
【0049】
上述の構成により、配送拠点に戻ってきた電動車両に搭載された電池パックを無条件に充電することもなく、満充電付近の状態で充電を繰り返すことによる電池パックの劣化を抑止することができる。また、配送の途中で充電スタンドに立ち寄る必要もなく、電池パックを搭載した電動車両を用いた配送計画を生成することができる。
【0050】
配送計画生成部54は、拠点出発から拠点帰着までの配送経路毎に電動車両に搭載される電池パックの割当情報を含む配送計画を生成することができる。
【0051】
図5は電池パックの割当情報の一例を示す模式図である。割当情報は、車両ID、電池パックID及び配送経路IDの対応関係を示すことができる。
図5の例では、配送経路ID毎に配送される荷物の荷物IDが対応付けられている。なお、配送経路IDと荷物IDとの対応関係は、
図5に示す割当情報から分離して別の情報として纏めてもよい。
【0052】
上述の構成により、一旦、電動車両から取り外された電池パックを他の電動車両に割り当てることができ、電池パックの残存容量を有効に利用する(すなわち、充電せずに次回の配送に使用する)ことができる。
【0053】
配送計画生成部54は、配送先の配送順序が特定された配送計画を生成することができる。
【0054】
図6は配送計画の一例を示す模式図である。
図6の配送計画は、1台の電動車両の配送計画に相当し、配送経路IDがTR001のものを図示している。すなわち、配送経路ID毎に異なる電動車両が使用され、
図6と同様な配送計画が生成される。なお、
図6に示すような配送計画は、表示装置10に表示することができる。
【0055】
図6に示すように、配送経路IDがTR001である配送計画には、C001、C015、C032、C005、C011、C003、C044、C025で特定される配送先が存在し、この配送先の順序で配送順序が特定されている。また、配送拠点を出発してから帰着するまでの間の走行距離が最も短くなるような配送順序を特定することができる。これにより、電動車両に搭載された電池パックの残存容量の範囲内で多くの配送先を含めることが可能になる。あるいは、残存容量が少ない電動車両を有効に使用して配送計画を生成することができる。
【0056】
配送計画生成部54は、電池パックのSOCが第1閾値以上である場合、当該SOCに基づいて走行距離算出部53が算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成することができる。第1閾値は、適宜設定することができ、例えば、20%、30%などとすることができる。配送拠点での配送経路の距離が長い場合には、第1閾値を大きくすればよく、配送拠点での配送経路の距離が比較的短い場合には、第1閾値を小さくすればよい。これにより、満充電付近の状態で充電を繰り返すことを抑制して、電池パックの劣化を抑制することができる。
【0057】
充電計画生成部57は、電池パックのSOCが第1閾値より小さい場合、電池パックの充電計画を生成することができる。SOCが第1閾値より小さい場合に充電しても電池パックの劣化促進の要因とならないため、電池パックを充電することにより、当該電池パックを搭載する電動車両の走行可能距離を長くすることができ、多くに荷物を配送することができる。
【0058】
図7は電池パックの充電計画の一例を示す模式図である。
図7に示すように、充電計画は、電池パック毎に、SOCの目標値、充電完了期限を含む。
【0059】
すなわち、充電計画生成部57は、充電計画に電池パックのSOCの目標値を含む。目標値は、例えば、SOCの上限値(例えば、100%、95%など)とすることができるが、次回の配送計画での配送経路、あるいは出発時刻等に応じて、満充電にする必要がない場合には、70%、50%などとすることができる。これにより、配送計画に応じて電池パックを充電することができる。
【0060】
また、充電計画生成部57は、充電計画に電池パックが搭載される電動車両の配送計画に基づく充電完了期限を含む。これにより、配送計画に間に合うように電池パックを充電することができる。
【0061】
充電計画生成部57は、電動車両に搭載される複数の電池パック間の電圧差が所定の閾値より大きい場合、複数の電池パックの少なくとも一部を充電すべく充電計画を生成することができる。
【0062】
例えば、電池パックの容量、電池特性などが異なる電池パックを1台の電動車両に併用搭載する場合、複数の電池パック間の電圧差が所定の閾値より大きくなることがある。このような状態で併用搭載(例えば、並列接続)すると、複数の電池パック間で過大な電流が流れ、電池パックが劣化する。例えば、電池パックB1の電圧をV1とし、内部抵抗をR1とする。電池パックB2の電圧をV2とし、内部抵抗をR2とする。電池パックB1、B2を並列に接続したときに、電池パックに流れる電流をIとすると、I=|V1-V2|/(R1+R2)となる。I<Ithとなるように、電圧V1、V2を均等化する。Ithは、閾値である。電圧の均等化は、電圧の低い方の電池パックを充電して電圧を高くすればよい。
【0063】
上述のように、複数の電池パック間の電圧差が所定の閾値以下になるように、例えば、電圧の低い電池パックを充電する。これにより、電動車両に異なる電池パックを併用搭載することができ、電池パックを有効に使用することができる。
【0064】
補正部56は、電池パックのSOH又は充電回数の少なくとも一つに基づいて、走行距離算出部53が算出した走行可能距離を補正することができる。例えば、SOHが低下している場合、走行可能距離を短くすることができる。また、充電回数が多い場合、走行可能距離を短くすることができる。これにより、電池パックの状態に応じて適切な走行可能距離を求めることができる。
【0065】
また、補正部56は、地図情報DB21などを参照して、配送経路上での道路の勾配情報、平均的な渋滞状況(例えば、平均旅行時間など)を加味して走行可能距離を補正することができる。
【0066】
図8は充電装置30による電池パックの充電の第1例を示す模式図である。充電装置30は、配送拠点に設置することができるが、これに限定されるものではなく、配送拠点の近隣に設置してもよい。
図8に示す第1例では、電池パック単位で交換可能である。すなわち、電動車両に搭載した電池パックを交換する場合、電池パックが交換単位となる。また、電池パック40aには、例えば、電池パックのシリアル番号などを記載したタグ41aが取り付けてある。他の電池パック40b、40cも同様である。充電装置30は、電池パックが電動車両に搭載されているときに、例えば、電動車両内のBMSを経由して電池パックの状態(SOC、SOHなど)を取得しておくことができる。
【0067】
図9は充電装置30による電池パックの充電の第2例を示す模式図である。
図9に示す第2例では、電池パック及びBMS単位で交換可能である。すなわち、電動車両に搭載した電池パックを交換する場合、電池パックとBMSとを纏めて交換単位とする。例えば、電池パック40aとBMS45aとが纏めて電動車両から着脱できる。他の電池パック40b、40cも同様である。充電装置30は、電池パックの状態(SOC、SOH)をBMSから取得することができ、あるいはBMSへ出力することができる。
【0068】
図10は本実施の形態の配送計画生成装置50の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下では、便宜上、処理の主体を制御部51として説明する。制御部51は、車両情報、地図情報、荷物情報、住所情報及び電池パック情報を取得し(S11)、配送先情報を取得する(S12)。制御部51は、配送に用いる車両(電動車両)を特定し(S13)、当該車両に搭載する電池パックのSOCが閾値以上であるか否かを判定する(S14)。ここで、当該車両に搭載する電池パックは、既に配送拠点に戻ってきた、あるいは戻る予定の車両に搭載された電池パックであるが、配送拠点に保管された電池パックであって、当該車両に搭載予定の電池パックを含めることができる。
【0069】
SOCが閾値以上である場合(S14でYES)、制御部51は、電池割当表(
図5に例示した割当情報のうち、車両IDと電池パックIDとの対応関係)を生成し(S15)、電池割当表によって当該車両に割り当てられた電池パックのSOC等に基づいて、当該車両の走行可能距離を算出する(S16)。制御部51は、算出した走行可能距離を制約条件として配送計画を生成し(S17)、後述のステップS19の処理を行う。
【0070】
SOCが閾値以上でない場合(S14でNO)、制御部51は、当該電池パックの充電計画を生成し(S18)、他の配送先の有無を判定する(S19)。他の配送先がある場合(S19でYES)、すなわち、全ての配送先の配送計画が完了していない場合、制御部51は、ステップS13以降の処理を続け、他の配送先がない場合(S19でNO)、処理を終了する。
【0071】
本実施の形態の配送計画生成装置50は、CPU(プロセッサ)、RAM(メモリ)などを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、
図10に示すような、各処理の手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAM(メモリ)にロードし、コンピュータプログラムをCPU(プロセッサ)で実行することにより、コンピュータ上で配送計画生成装置50を実現することができる。
【0072】
上述のように、本実施の形態によれば、満充電状態に近い状態での充電の繰り返しを少なくでき、電池パックの劣化を抑制して、電池パックの長寿命化を図ることができる。
【0073】
本実施の形態は、電池パックを交換可能な電動車両のみならず、電池パックの交換が容易ではない(運用上、電池パックの交換を考慮していない)電動車両についても適用することができる。
【0074】
本実施の形態において、配送先情報に基づいて配送経路を求める手法は、例えば、公知のサービスやアプリケーションを用いてもよい。
【0075】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
10 表示装置
21 地図情報DB
22 住所情報DB
23 荷物情報DB
24 車両情報DB
25 電池パック情報DB
30 充電装置
40a、40b、40c 電池パック
41a、41b、41c タグ
45a、45b、45c BMS
50 配送計画生成装置
51 制御部
52 通信部
53 走行距離算出部
54 配送計画生成部
55 記憶部
56 補正部
57 充電計画生成部
58 出力部
59 インタフェース部
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成する配送計画生成装置であって、
電動車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、
荷物の重量を含む情報である荷物の配送先情報をデータベースから取得する配送先情報取得部と、
前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する算出部と、
前記配送先情報及び前記算出部で算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する配送計画生成部と
を備える配送計画生成装置。
【請求項2】
前記配送計画生成部は、
複数の配送先の配送順序が特定された配送計画を生成する請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項3】
前記配送計画生成部は、
拠点出発から拠点帰着までの配送経路毎に電動車両に搭載される二次電池の割当情報を含む配送計画を生成する請求項1又は請求項2に記載の配送計画生成装置。
【請求項4】
前記配送計画生成部は、
前記二次電池のSOC及び第1閾値に基づいて配送計画を生成する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配送計画生成装置。
【請求項5】
前記二次電池のSOC及び前記第1閾値に基づいて前記二次電池の充電計画を生成する充電計画生成部を備える請求項4に記載の配送計画生成装置。
【請求項6】
前記充電計画生成部は、
前記充電計画に前記二次電池のSOCの目標値を含む請求項5に記載の配送計画生成装置。
【請求項7】
前記充電計画生成部は、
前記充電計画に前記二次電池が搭載される電動車両の前記配送計画に基づく充電完了期限を含む請求項5又は請求項6に記載の配送計画生成装置。
【請求項8】
前記充電計画生成部は、
前記電動車両に搭載される複数の二次電池間の電圧差が所定の閾値より大きい場合、前記複数の二次電池の少なくとも一部を充電すべく充電計画を生成する請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の配送計画生成装置。
【請求項9】
前記充電計画生成部は、
前記複数の二次電池のうち電圧の低い二次電池を充電すべく充電計画を生成する請求項8に記載の配送計画生成装置。
【請求項10】
前記二次電池のSOH又は充電回数の少なくとも一つに基づいて、前記算出部が算出した走行可能距離を補正する補正部を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の配送計画生成装置。
【請求項11】
コンピュータに、二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画を生成させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
電動車両の車両情報を取得する処理と、
前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得する処理と、
荷物の重量を含む情報である荷物の配送先情報をデータベースから取得する処理と、
前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出する処理と、
前記配送先情報及び算出した走行可能距離を用いて配送計画を生成する処理と
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
二次電池を搭載した電動車両による荷物の配送計画をコンピュータに生成させる配送計画生成方法であって、
前記コンピュータに、
電動車両の車両情報を取得させ、
前記電動車両に搭載された二次電池のSOCを取得させ、
荷物の重量を含む情報である荷物の配送先情報をデータベースから取得させ、
前記車両情報及び前記二次電池のSOCに基づいて前記電動車両の走行可能距離を算出させ、
前記配送先情報及び算出された走行可能距離を用いて配送計画を生成させる配送計画生成方法。