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特開2024-118471海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントの検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118471
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントの検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/00 20190101AFI20240823BHJP
   G01N 3/12 20060101ALI20240823BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G01M13/00
G01N3/12
G01B11/24 R
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079881
(22)【出願日】2024-05-16
(62)【分割の表示】P 2021535726の分割
【原出願日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】1820755.5
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519455508
【氏名又は名称】ヴァーダーグ パイプ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,アラステア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントの検査方法を提供する。
【解決手段】海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントを検査する方法、および前記検査方法を使用する海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントを製造する方法が開示され、検査方法はパイプジョイントを受け取る工程と、パイプジョイントの楕円率を測定して楕円率データを取得する工程と、楕円率データが所定の最大パイプジョイント楕円率値を超えないことを判定する工程と、受け取ったパイプジョイントの一端から切り取られたリングに対して外圧崩壊テストを実行し、パイプジョイントがその意図された使用に適していることを確認するために使用するための、前記パイプジョイントの静水圧崩壊圧力を表すデータを取得する工程と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントを検査する方法であって、
パイプジョイントを受け取る工程と、
前記パイプジョイントの楕円率を測定して楕円率データを取得する工程と、
前記楕円率データが0.5%以下の所定の最大パイプジョイント楕円率を超えないことを判定する工程と、
前記受け取られたパイプジョイントの一端から切り取ったリングについて外圧崩壊テストを実施し、前記パイプジョイントがその意図する使用に適していることを確認する際に使用するための、前記パイプジョイントの静水圧崩壊圧力を表すデータを取得する工程と、
前記受け取られたパイプジョイントは、前記パイプラインを通る必要な流体の流れと、前記パイプジョイントが安全に使用される深さに対応する静水圧と、前記所定の最大パイプジョイント楕円率とに基づく内径および壁厚を有し、
前記パイプジョイントの楕円率が前記最大パイプジョイント楕円率を超える場合、前記楕円率データおよび前記外圧崩壊テストの結果の組み合わせに基づいて、前記パイプジョイントを安全に使用することができる新しい深さを決定する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記パイプジョイントが使用される深さに安全率を適用または追加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記安全率は、係数である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記安全率は、1.0~1.2である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記外圧崩壊テストは、
前記受け取ったパイプジョイントの一端からリングを切り取る工程と、
前記リングの端部上に平坦な実質的に平行な表面を形成する工程と、
前記リングの歪みおよび変形を測定するための手段を提供する工程と、
前記リングの端部がチャンバの対向する壁とシールを形成するよう前記リングを圧力チャンバ内に取り付け、前記リングの内側を外側から隔離する工程と、
前記リングの外側の圧力を増加させ、圧力を増加させながら前記リングの歪みおよび変形を測定する工程と、
前記リングの外側に加えられた圧力と、最大歪みとの比較を判定し、圧力の増加に伴うリング直径の非線形減少の加速の開始を検出する工程と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
リングを一端から切り取る工程、および外圧崩壊テストを実施する工程が、楕円率を測定する前に、楕円率を測定した後に、または楕円率を測定するのと同時に、実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パイプジョイントの10%、50%、または90%を超える楕円率が検査される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記パイプジョイントの全長に沿った楕円率が検査される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
楕円率を測定することは、前記パイプジョイントの真円度を測定して真円度データを取得することと、前記真円度データを使用して前記パイプジョイントの楕円率を決定することとを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
真円度が、0.1°~4°の間隔で断面の周囲の半径を測定することによって決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
真円度が、0.3°の間隔で断面の周囲の半径を測定することによって決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記パイプジョイントの楕円率が、1つ以上のレーザによって測定される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記パイプジョイントの楕円率を測定する工程は、前記パイプジョイントの少なくとも一部をトポグラフィカルマッピングする工程を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記楕円率データは、前記パイプジョイントから内部または外部で取得された測定値から取得される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記パイプジョイントは、パイプミル等のパイプジョイント製造設備から受け取られる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
検査される前記パイプジョイントは、コーティングされた、またはコーティングされていないパイプジョイントである、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記工程のいずれかが前記パイプジョイントが製造されている間に行われるか、あるいは最後にパイプミルにおいて行われる、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
受け取られる前記パイプジョイントは、厚壁パイプジョイントである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
海中パイプラインに使用するためのパイプジョイントを製造する方法であって、
(a)パイプジョイントを製造する工程、および
(b)請求項1~18のいずれか1項に記載の方法を用いた前記パイプジョイントを検査する工程、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海中パイプラインに使用するパイプジョイントの検査方法、および検査方法を採用した海中パイプラインに使用するパイプジョイントの製造方法に関する。本発明の一態様はパイプジョイントの楕円率を検査し、検査の知見を使用して、パイプジョイントの壁厚を最小化し、および/またはパイプジョイントの最大静水圧定格を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油・ガス産業では、過去25年間にわたり、石油および/またはガスの深層貯水池にアクセスし、または深層水域を横切ってそれを輸送するための、典型的には2,000mより深い水深の超深海での設置および運転に適した海中パイプラインの設計が着実に進展してきた。現在、直径約16インチ(約41cm)の細径パイプが、水深約3,000mまで設置されている。水深2,500mまでは、直径32インチ(約81cm)までの大径パイプが設置されている。将来のプロジェクトでは、3,500mから4,000mまでの深さのパイプの設置と運転が必要になる可能性が高く、この範囲は世界の海中の大セクションにある。
【0003】
このようなパイプラインは、典型的には大気圧の空気で満たされた状態で設置され、その後、設置が完了すると、加圧された油あるいはガスで満たされる。この種のパイプラインの設置中の主要なリスクは、水によって加えられる静水圧によるものであり、これはパイプラインを実質的に初期の丸い形状からほぼ平坦な形状に変形させる可能性がある。これは外圧崩壊と呼ばれ、制御されないとパイプラインの全損失につながる可能性がある。外圧崩壊の可能性を決定する場合、パイプラインの主要寸法は内径と壁厚である。これらの寸法はまた、パイプラインが経済的に実現可能であるかどうかを決定する際の主要な要因であり、内径は、石油またはガスを、パイプラインを介して輸送することができる速度を制御し、したがって、パイプラインの寿命にわたって運転コストに影響を及ぼし、壁厚は、パイプラインの製造および設置のコストに強く関連する。すなわち、パイプラインの製造および設置のコストは、壁厚が増加することにつれて増加する。
【0004】
海中パイプライン(厚壁パイプラインなど)の外部崩壊圧力の、広範囲の材料および幾何学的不完全性ならびに工作標準に対する感度は、十分に文書化されている。
【0005】
典型的には、パイプラインのための設計が完成する前に、サンプルパイプジョイントは小さなバッチで形成され、実験室に運ばれ、内破するまで巨大なタンクで加圧される。このようなテストは、破壊テストとして知られている。破壊テストは、プロジェクトのずっと後期に製造され、海底に溶接されて置かれた類似のパイプの実際の強度に何らかの洞察を与える。破壊テストは、たくさんの安全率と組み合わせると、実際の崩壊性能を推定し、特性、寸法および設計圧力が異なる他のパイプの予測される崩壊の深さにいくつかの要因を結びつける、工業海中パイプライン設計ガイダンスにおける実験式の検証を助けるために有用となってきている。
【0006】
パイプラインの設計には、中深度、深度、および超深度の海中用途に適した多くの係数があり、そのすべてが設計ガイダンスに規定されている。そのような設計ガイダンスの一例はDNV GL-OS-F101設計コード(以下、「DNV GL設計コード」あるいは「DNV GL法」という)である。考慮すべき事項には、パイプラインの楕円率、材料圧縮強度、壁厚のばらつき、平均直径、パイプラインの周りおよび壁厚両方での材料異方性(「ばらつき」)、全ての深海パイプに存在する縦方向シーム溶接部における歪み
および材料特性の変化、応力歪み曲線の形状(通常、「接線係数」で定義される)、並びにパイプ製造後に適用される熱処理および拡張が含まれる。設計ガイダンスは、経験的な係数とありきたりの安全率の混合によって(すべてではないにしても)ほとんどの係数を考慮する実験式を提供する。考慮すべき多くの要因があり、そのうちのいくつかは相互に関連している。1つの変数の変更がパイプジョイントの他の特性にどのように影響するかを知ることは困難であり、試行錯誤された設計ガイダンスから離れることには消極的である。
【0007】
海中への設置を意図したパイプジョイントのインベントリの最小崩壊圧力または深さの設計ガイダンスによって、正確な統計予測を行うことができるように真の統計的有意性を確立するために十分なサンプルパイプを破壊的にテストすることは、費用がかかり、煩わしい。世界には適切な破壊パイプラインテスト施設がわずかしかなく、このことによってパイプジョイントの破壊テストの非現実性が増す。
【0008】
パイプラインに設置される実際のパイプの強度について利用可能な非破壊テストは存在せず、また、深海パイプライン設置(例えば、厚壁海中パイプラインの設置)についての運転経験は依然として限られているため、パイプジョイントの統計的に有意ではない小さなサンプルのみの破壊テストから得られた検証は、パイプライン全体の完全性の信頼性を維持するために高い安全率/クラスを使用することを必要とする。これは、あらゆる種類のプロトタイプまたは初期段階のプロジェクトでの通常の優れた工学的実践である。
【0009】
掘削および加工産業などの他の産業は、単に非常に保守的(conservative)な壁厚および/または長年の経験に頼る、より古い経験則を使用して、安全性の許容可能な保証を提供する。
【0010】
安全クラスの範囲を決定する際の主な態様は、典型的には人間、環境およびコストに対するパイプラインの破壊の結果である。中程度の安全クラスまたは高い安全クラスに対応する安全率を使用することは、パイプラインの崩壊圧力設計実践では一般的であるが、しかしながら、このことはしばしば、過度の保守的なパイプの厚さにつながり、その結果、重くて高価なパイプとなる。
【0011】
パイプライン設計の1つの進展は、パイプの製造後に適用される熱処理の影響を理解すること、特にUOE/JCOE法によって製造されたパイプの崩壊強度に対する軽熱処理(LHT)の影響を理解することで行われた。LHTの実用的な開発は崩壊圧力を増加させ、従って、規定された最大静水圧に対して、パイプ壁厚を減少させることが可能であり、その結果、現在の設計ガイダンスに従って同じレベルの安全を維持しながら、パイプのコストを低減することが可能である。しかしながら、LHTによって提供される壁厚の減少は限られたものに過ぎず、産業界は壁厚を減少させるための他の方法を依然として探している。
【0012】
従って、海中パイプライン設計における保守的な壁厚を取り巻く問題、および/あるいは海中パイプライン設計における安全率の選択を取り巻く問題に対処する必要がある。本発明の目的は、前述の問題の一方または両方を軽減することである。
【0013】
本明細書で用いられる「パイプ」という用語は、実質的に円形の断面を有する流体の流れる部分を指す。本明細書で用いられる「断面」という用語は、パイプの長手方向軸に実質的に垂直な平面、すなわち実質的にパイプの横断面を指す。本明細書で用いられる「パイプジョイント」という用語は、パイプラインを形成するために類似のタイプの他のものと接合され得る2つの実質的に円形の端部を有する単一のパイプエレメントを指す。パイプジョイント(同じ効果で深海パイプとも呼ばれる)に関して本明細書に記載される「厚
壁」という用語は、内圧下での引張破断のより一般的なパイプ破断モードではなく、均一な外圧下での断面の崩壊であるパイプを指す。この崩壊破壊は、主にパイプ径とその壁厚の比に依存する、断面の塑性、弾塑性または弾性座屈であり得る。言い換えれば、本明細書で定義される厚壁パイプは、重要な設計条件の最終的な破壊モードが内圧下での内破ではなく、外部静水圧下での内破であり、水深、パイプ壁厚、材料特性、またはパイプ直径とその壁厚との比に関する限定的な推論を伴わないものである。本明細書で用いられる「楕円率」とは、最大測定パイプ径とそれに直角な測定パイプ径との差を、公称直径で割り、百分率で表すことができる。すなわち、ある程度の楕円率のパイプジョイントは、楕円形の断面を持つ可能性がある。「楕円率」とは、パイプの円形度を特徴付けるために、実施規準や設計ガイダンスにおいて歴史的に用いられてきたパラメータである。本明細書で用いられる「真円度」とは円周上の任意の所定の点における測定半径とパイプジョイントの公称半径との差である。すなわち、「真円度」とはパイプの周囲の円からの偏差であり、数学関数またはグラフ関数として表すことができる。本明細書で用いられる「トポグラフィカルマッピング」とはパイプ軸からの各調査点の半径として表されるパイプの内面あるいは外面の調査である。本明細書で開示されるトポグラフィカルマッピングは、必要に応じて、軸に沿った任意の点における楕円率を計算することができる真円度データを提供する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様では、海中パイプラインで使用するためのパイプジョイントを検査する方法が提供され、方法には以下の工程が含まれる:
- パイプジョイントの受け取る工程;
- 楕円率を測定して楕円率データを取得する工程;
- 楕円率データが所定の最大パイプジョイント楕円率値を超えないことを判定する工程、および
- 受け取ったパイプジョイントの一端から切り取ったリングに対して外圧崩壊テストを実施し、パイプジョイントがその意図する用途に適していることを確認する際に使用するための前記パイプジョイントの静水圧崩壊圧力を表すデータを取得する工程。
【0015】
第1の態様の検査方法は、パイプジョイントの静水圧崩壊圧力が非破壊的な方法で意図された使用に十分であることを確認し、パイプラインに設置するためのパイプジョイントの楕円率が特定の所定値以下であることを検証する。意図された使用への適合性の確認とは、例えば、特定の水深、温度、および/または静水圧での意図された使用への適合性をいう。
【0016】
海中パイプラインで使用するためのパイプジョイントの楕円率が、所定の最大量未満であることを保証することにより、リングが切り取られたパイプジョイント端部から離れた高い楕円率によって引き起こされる未知の脆弱点が存在する危険性を低減しながら、パイプジョイントの設計において、あまり保守的ではない安全率と最大パイプジョイント楕円率を有利に使用することが可能になる。例えば、所定の最大楕円率が0.4%である場合、パイプジョイントは、0.4%の最大楕円率に基づいて設計され得る。このようにあまり保守的ではない安全要因と最大パイプジョイント楕円率を使用すると、パイプジョイントの壁厚が薄くなるが、改善された安全性の確保につながる。第1の態様による方法は、「高」、「中」または「低」安全クラスの選択肢から選択される低安全率を有する設計ガイダンスの使用を安全に可能にし得ることが見出された。
【0017】
この検査方法はパイプラインに使用されないであろう製造パイプからのサンプルをテストするのとは対照的に、海中パイプラインに設置され且つ機能するパイプジョイントに対して有利に実施することができ、それにより、信頼性があり、迅速で且つ費用対効果の良いパイプジョイントの検査方法を提供し、軽壁および厚壁パイプジョイントのような海中
パイプラインで使用するための任意の種類のパイプジョイントでの使用に適している。
【0018】
外圧崩壊テストを実施する検査方法の工程は、一端から切り取られたリング、または受け取られたパイプジョイントの各端部から1つずつ切り取られた2つのリング、または受け取られたパイプジョイントの長さに沿って漸増的に断面から切り取られた2つ以上のリングに対して、外圧崩壊テストを実施することを含むことができる。
【0019】
この方法は、数十年前に確立され、今日も使用され続けている従来の方法からの顕著な脱却であり、パイプラインで使用するパイプジョイントの設計、製造、および設置においてかなりの商業的利点を提供する。
【0020】
次に、第1の態様による方法の任意選択の好ましい特徴について説明する。
【0021】
好ましくは、外圧崩壊テストにより、パイプジョイントがその使用目的に適していることが確認され、かつ、楕円率が所定の最大パイプジョイント楕円率を超えない場合には、その方法がさらに、次の工程を含むことができる:
-検査のため、さらなるパイプジョイントを受け取る工程;
-さらなるパイプジョイントの楕円率を測定して楕円率データの取得する工程;
-楕円率データが、所定の最大パイプジョイント楕円率に対して減少した所定の最大パイプジョイント楕円率を超えないことを判定する工程;および、
-受け取ったさらなるパイプジョイントの一方または両方の端部から切り取られたリングに対して外圧崩壊テストを実施し、パイプジョイントがその意図された使用に適していることを確認するのに使用するために、前記さらなるパイプジョイントの静水圧崩壊圧力を表すデータを取得する工程。
【0022】
上記のようにさらなるパイプジョイントを検査することにより、所定の最大パイプジョイント楕円率を所定の製造公差に対して最小化することができる。
【0023】
好ましくは、受け取ったパイプジョイントが、パイプラインを通る必要な流体の流れ、パイプジョイントが安全に使用されるべき深さに対応する静水圧(すなわち、外圧崩壊が発生しない深さ)、および所定の最大パイプジョイント楕円率、に基づいた内径および壁厚を有する。
【0024】
好ましくは、本方法が最小許容静水圧、したがってパイプジョイントの壁厚を増加させるために、パイプジョイントが使用される深さに安全率を適用または追加する工程をさらに含む。好ましくは、安全率は係数である(パイプジョイントが使用される深さに係数が適用され、本質的には決定された内径および壁厚に安全率を加える)。好ましくは、安全率は1.0~1.2、より好ましくは1.1~1.2である。
【0025】
外圧崩壊テストは、受け取ったパイプジョイントから切り出された少なくとも1つのリングに外圧を加えて、パイプジョイントが海中パイプラインで使用される圧力を少なくともシミュレートするように構成することができる。好ましくは、外圧崩壊テストは、受け取ったパイプジョイントから切り取った少なくとも1つのリングに外圧を加えて、リングが何気圧で故障しているかを判定する。好ましくは、外圧崩壊テストがパイプライン内の200個のパイプジョイント、すなわち、2.5kmパイプライン内のあらゆるジョイント、または250kmパイプライン内の100番目ごとのジョイント(パイプジョイント長さ12.2mと仮定する)などの、統計的に有意な数の受け取られたパイプジョイントに対して実施される。
【0026】
好ましくは、外部圧力テストが以下の工程を含む:
- 受け取ったパイプジョイントの一端からリングを切り取る工程;
- リングの端部上に平坦な実質的に平行な表面を形成する工程;
- リングの歪みおよび変形を測定するための手段を提供する工程;
- リングの端部がチャンバの対向する壁とシールを形成するように、リングを圧力チャンバ内に取り付けて、リングの内側を外側から隔離する工程;
- リングの外側の圧力を増加させ、圧力が増加するにつれて生じるリングのひずみと変形を測定する工程;および、
- リングの外側に加えられた圧力と測定された最大ひずみの比較を決定して、圧力の増加に伴うリング直径の非線形減少の加速の開始を検出する工程。
【0027】
静水圧崩壊圧力テストからのデータは、破壊静水圧崩壊テストを受けたサンプルパイプジョイントの破壊崩壊テストを表すデータと比較することができる。静水圧崩壊圧力テストデータと破壊的静水圧崩壊テストデータを比較することにより、得られた静水圧崩壊圧力テストデータの精度を検証できる可能性がある。
【0028】
好ましくは、リングを一端または両端から切り取り、外圧崩壊テストを実施する工程は、楕円率を測定する前に、楕円率を測定した後に、または楕円率を測定するのと同時に、実施される。
【0029】
好ましくは、パイプジョイントの長さに沿って10%を超える楕円率、好ましくはパイプジョイントの50%を超える楕円率、最も好ましくはパイプジョイントの90%を超える楕円率が検査される。あるいは、パイプジョイント長さ全体に沿って楕円率を検査してもよい(すなわち、パイプジョイントの100%の楕円率を検査する)。
【0030】
好ましくは、所定の最大楕円率が3%以下、好ましくは1.2%以下、より好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.5%未満である。例えば、最大楕円率は、0.5%、0.45%、0.4%、0.35%、0.30%、0.25%、0.2%、0.15%、0.1%、0.05%であってもよい。所定の最大楕円率値は、使用される製造技術および公差に応じて変化し得る。
【0031】
好ましくは、楕円率を測定することは、真円度データを得るためにパイプジョイントの真円度を測定することと、前記真円度データを使用してパイプジョイントの楕円率を測定することとを含む。
【0032】
好ましくは、真円度は0.1°~4°、好ましくは0.2°~3°、より好ましくは0.3°~2°、最も好ましくは0.3°の間隔で断面の周囲の半径を測定することによって決定される。
【0033】
好ましくは、パイプジョイントが1つ以上のレーザによって測定される。1つ以上のレーザはレーザのアレイに構成することができ、リグに取り付けることができる。
【0034】
好ましくは、パイプジョイントの楕円率を測定する工程は、パイプジョイントの少なくとも一部をトポグラフィカルマッピングする工程を含む。好ましくは、パイプジョイントのトポグラフィカルマップがパイプジョイントの軸から半径の点で得られる。
【0035】
好ましくは、楕円率のデータがパイプジョイントから内部または外部で取られた測定値から得られる。
【0036】
好ましくは、パイプジョイントがパイプミルのようなパイプジョイント製造設備から受け取られる。好ましくは、楕円率検査はパイプジョイントが製造されている間に実施され
る。好ましくは、パイプジョイントの楕円率を測定する工程は、パイプジョイントが製造されているのと同じ速度で行われる。すなわち、好ましくは、楕円率を測定する工程がパイプジョイントの製造ペースにキープされる。あるいは、パイプジョイントが製造され、海中パイプラインに設置する前に検査を待っているパイプジョイントの貯蔵所からパイプジョイントを受け取ることができる。
【0037】
海中パイプラインで使用するためのパイプジョイントを検査するプロセスのいかなる遅延も、検査を待っている検疫で、製造されたパイプジョイントのバックログを増大させる。検疫されたパイプジョイントのバックログに伴う問題は、検疫されたバックログのいずれか1つが何らかの方法で不適合であることが分かった場合、バックログ全体をスクラップにするか、またはすべてスキャンするまで製造生産ラインを停止しなければならず、その結果、コストおよび遅延が相当になることである。パイプジョイントを製造設備から直接受け取ること、および/またはパイプジョイントが製造されている間に楕円率検査工程を実施することは、パイプジョイントが製造されている間、またはその直後に、何らかの問題が特定されることを有利に意味する。
【0038】
好ましくは、上記方法がパイプジョイントの楕円率がパイプジョイントの楕円率の最大値を超える場合に、パイプジョイントが安全に使用され得る新たな深さを判定する工程をさらに含む。
【0039】
好ましくは、検査されるパイプジョイントは、コーティングされたあるいはコーティングされていないパイプジョイントである。海中パイプラインで使用するためのパイプジョイントはそれらに重量を加えるコンクリートなどのコーティング(その外面に塗布される)、またはパイプジョイントの腐食を最小限に抑えることができるエポキシまたはポリエチレンなどの防食コーティングを含みうる。コーティングされていないパイプジョイントとは、そのようなコーティングがないパイプジョイントをいう。パイプジョイントにコーティングが施されている場合は、コーティングされていない表面に基づくパイプジョイントの内部測定値に基づいて楕円率データを得ることができる。
【0040】
好ましくは、1つ以上の工程がパイプジョイントの製造中に実行され、例えば、検査方法はパイプミルの端部におけるパイプジョイントの製造された部分で実行される。
【0041】
本発明の第2の態様では、海中パイプラインで使用するためのパイプジョイントを製造する方法が提供され、この方法はパイプジョイントを製造する工程と、次いで、第1の態様による検査方法を実行する工程とを含む。
【0042】
本発明の第1の態様に関連して上述した好ましい特徴および任意の特徴は、同様の効果を有する第2の態様に関連した好ましい特徴および任意の特徴であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の上記および他の態様は、添付の図面を参照して、単なる例として、ここで記載される。
図1】パイプの真円度および楕円率を測定するためのレーザベースのデバイスリグの一例を示す。
図2】検査のためのタイプのパイプジョイントを示す。
図3図2に示されたパイプジョイントから切り取られたテストリングの断面を示す。
図4】テスト装置の断面を示す。
図5図4の線A-A上の断面を示す。
図6】テスト装置の第2の実施形態の断面を示す。
図7】テストデバイスの第3の実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
具体的な説明
海中パイプラインシステムを選択する場合、当然ながら、パイプラインを製造する際に使用されるパイプジョイントの内径および壁厚を含む、その設計に関するすべての態様を考慮すべきである。パイプジョイントの内径はパイプラインを通る流体の流れが、その稼働寿命の間のパイプラインの経済的成功を保証するのに十分であることを確実にするために計算される。内径が計算されると、次いで、パイプラインの設置中にできるだけ外圧が崩れるのを避けるように、パイプラインが使用される深度における内径と静水圧に応じて、パイプジョイントの対象壁厚が計算される。
【0045】
壁厚は、標準的な工業デザインガイダンスを用いて計算することができる。このような計算に一般的に使用されているそのようなガイダンスの例は、DNGVL設計コードである。このコードではパイプライン設置時の圧力座屈破壊からの安全性が、パイプ材料特性に関連するいくつかの理論的に導かれた要因と、一般的な理論的に導かれた安全率と共に、圧力崩壊プロセスの近似理論モデルの使用によって決定される。
【0046】
壁厚を決定する際に考慮される1つの理論的に導かれた要因は、楕円率、すなわちパイプジョイントの幾何学的特性である。製造されたパイプジョイントの楕円率は、それを形成するために使用される設備、または製造プロセスの間にパイプに加えられる欠陥によって異なることがある。理想的には、パイプジョイントは楕円率の範囲がない円形であるが(楕円率=0.0%)、実際にはこれを達成することは困難である。
【0047】
設計ガイダンスを使用してパイプが設計されると、非破壊技術を使用して、パイプジョイントが所望の基準を満たしていることをテストすることができる。非破壊技術の一例はリングテストであり、製造されたパイプジョイントから1つ以上のリングが切り取られ、実際の崩壊圧力が、設計された崩壊圧力に対応することを検証するために、1つ以上のリングに対して崩壊圧力テストが実施される。従って、このような非破壊テストはその製造中に、パイプラインへの設置を意図した実際のパイプジョイント(例えば、厚壁パイプジョイント)の崩壊強度を直接保証する。本明細書に開示される方法は、そのような非破壊テストの開発に関する。
【0048】
次に、本発明による方法の一例を説明する。
【0049】
検査されるパイプジョイントは、1つ以上のレーザを使用してパイプの幾何学的形状を評価するレーザ測定デバイス(以下、「デバイス」と呼ぶことがある)に供給される。レーザはパイプジョイントの長さに沿った複数の断面でパイプ半径または直径データを取得し、それによって前記パイプジョイントをトポグラフィカルマッピングするように構成することができる。
【0050】
レーザはパイプの断面の周囲の間隔で(例えば、0.3度の間隔で)半径を決定し、パイプ長さ全体(すなわち、パイプジョイントの100%)に沿って頻繁な間隔でこのプロセスを繰り返し、それによって、パイプジョイントを3次元様式でマッピングするように構成されてもよい。
【0051】
半径測定間隔は、0.3度に限定されず、0.1~10、または1、5、15、20、25、30、45、90度などの範囲の任意の間隔とすることができる。例えば、パイプの断面の周囲0.3度ごとに半径測定を行うことによって、1200回の半径測定(360/0.3)が、パイプジョイントの長さに沿った各断面についてデバイスによって行わ
れる。
【0052】
レーザは半径測定を、例えば、パイプジョイントの長さに沿って5間隔で行うことができ、または同様に、レーザは、パイプジョイントの全長に沿って10、100、1000、10000、100000、1000000、10000000断面間隔で半径測定を行うことができる。たとえば、24.4m(80フィート)のパイプジョイントの全長(つまりパイプの100%)に沿って1000の間隔で半径測定を行うことができるので、合計1000の半径測定を行うことができる。
【0053】
一旦検査されると、パイプジョイントは別のパイプジョイントが検査され得るように、デバイスを通過し、デバイスから引き抜かれる。検査方法は、受け取ったパイプジョイントが製造されるのと同じ割合で実施されるので、パイプジョイントの製造および検査工程において検査方法がボトルネックであることを回避する。
【0054】
幾つかのレーザを含み、その中にパイプジョイントセクションを示す、本明細書に開示される方法(レーザのリグ)と共に使用するためのレーザ測定デバイスの一例が、図1において項目100で示されている。パイプジョイントが項目102で示されている。パイプジョイントの典型的な例は、長さ約12.2m、外径508mm、壁厚35mmである。デバイス100は、2つの端部リング片108を備え、それらは対向して保持され、それらの間の複数の接続ロッド110によって互いに接続される。端部リング片108および接続ロッド110(その一部は図1でラベル付けされていない)は、パイプジョイント102がレーザ104からの入射レーザ光ビームに対して垂直にパイプジョイント102を位置決めするように通過するためのパイプジョイント102の空間を規定する。連結ロッド110は、レーザ104をサポートする。
【0055】
デバイス100には、任意の数のレーザを設けることができる。1つのレーザ104が提供される場合、デバイス100は例えば、レーザが必要に応じてパイプジョイントを検査する(すなわち、半径測定値を取得する)ことを可能にするために、パイプジョイント102の周りで(項目Aにおいて破線によって示される軸の周りで)回転するように構成されてもよい。パイプジョイント102の単一の断面(点線の項目Bの断面など)に面するいくつかのレーザ104を設けることにより、デバイス100が回転する必要があり得る範囲が回避または低減される。デバイス100には、パイプジョイントをその通過時にサポートし補助するためのローラー(図示せず)を設けてもよい。ローラーは、レーザ104に対してパイプジョイント102を固定された場所に位置決めするようにデバイス100内に構成することもできる。
【0056】
レーザ100のリグは、それを通過するパイプジョイントの真円度および楕円率に関する測定データを取得して決定するために、任意の数のプロセッサ、センサ、モータなどを備えることができる。レーザのリグは、遠隔モニタおよび/またはコンピュータシステムのような外部デバイスに測定データを送信するための送信器を備えることができる。
【0057】
パイプジョイントの検査中、デバイスは、最大半径および最小半径(あるいは直径)を測定する。デバイスによって決定される最大半径および最小半径(または直径)は、例えばDNVGL設計コードで見つけることができる既知の設計式を使用して、真円度およびパイプジョイント楕円率を決定する際に使用される。検査によって得られたパイプジョイント楕円率データは、楕円率が測定されたすべての断面について、パイプジョイントを設計するときに指定された最大楕円率未満であることを検証するために使用され、その場合、パイプジョイントはその計画された操作深度で使用するのに適していると見なされる。換言すれば、得られた楕円率データは、パイプジョイントの長さに沿ったどの点においても、楕円率が最大の所定の楕円率を超えないことを検証するためにチェックされる。例え
ば、パイプジョイントが0.5%の最大楕円率に基づいて設計される場合、検査方法は、前記ジョイントの楕円率が0.5%を超えないことを検証しなければならない。同様に、パイプジョイントが0.4%の最大楕円率に基づいて設計される場合、検査方法は、前記ジョイントの楕円率が0.4%を超えないことを検証しなければならない、等々。
【0058】
指定された最大楕円率値を超えるパイプジョイントの効果は、パイプがパイプライン経路に沿ってより浅い水位で使用され得るので、海中パイプラインで使用するためにパイプを自動的に拒絶することを意味するものではない。検査によって発見された最大楕円率データに基づく設計式を用いて、適切なより浅い稼働深度を決定することができる。
【0059】
楕円率を測定し、楕円率が規定の最大楕円率を超えないことを確認した後、製造したパイプジョイントが使用目的に適していることを確認するため、パイプジョイントの静水圧崩壊圧力を求める。静水圧崩壊圧力を決定する一つの方法は、受け取ったパイプジョイントから切断加工されたリングテスト片(以下、「テストリング」という)をテストすることである。
【0060】
リングテストはパイプジョイントからリングを切断し、リングを均一な長さに加工することに基づいたテスト方法を使用する。以下では、さらに詳しく説明する。各テストリングが切り取られたパイプジョイントは、依然として生産パイプジョイントとして利用でき、従って無駄にならない。
【0061】
リングテストは、テストリングの特性、具体的にはテストリングの静水圧崩壊圧力の正確なデータを提供し、これはテストリングが切り取られたパイプジョイントの特性に対応するために外挿できる。パイプジョイント全体に沿っては、楕円率等の均一な特性を保証できないため、リングテストによる静水圧崩壊圧力データの解析と、楕円率測定から得られた楕円率データを組み合わせて、静水圧崩壊圧力データがテストリングを切断したパイプジョイントのそれと対応していると考えることができることを確認する。
【0062】
ここで、本明細書に開示される方法によるリングテスト方法を説明する。
【0063】
パイプジョイントからリングを切り取り機械加工する。テストリングは、テストリングの機械加工された面をシールして、テストリングの外側の円形表面にのみ圧力を加えることができるようにする剛性フレームに配置される。テストリングの内側円形表面は、周囲圧力に維持され、したがって、テストリングの外側円形表面上における圧力によって引き起こされる歪みおよび変形を測定するためのデバイスの取り付けに適している。
【0064】
テストリングの両方の機械加工された平坦面上のシールは圧力崩壊テスト中に、テストリングの円形面の変形が妨げられるようになっている。リングの平坦面上のシールはテスト中、圧力がテストリングの外側円形面上にのみ、かつ平坦に機械加工された面の小さな領域上にのみに制約されている。シールはテストリングの円形面の変形が妨げられるように、テストリングが機械加工された平坦面に平行な実質的な力を受けないようになっている。
【0065】
圧力は、外部ポンプから加えられ、テストリングの外側円形表面を取り囲む空間への、または空間からの、特定の体積の流体の追加または削減によって、圧力が増加または減少される。この構成により、外側円筒面上に圧力によって生じるテストリングの半径方向の変形を、制御された方法で増減させることができる。
【0066】
テストリングの機械加工された平坦面上のシールの作用は、シールに変形がないことを確実にするように形作られた剛性ブロック内にテストリングを収容することによって達成
することができる。代替的な配置は、シールが動作する空間を、テストリングの外側円筒面に加えられる圧力と同じ(または異なる)圧力を受けるピストンの作用によって調節可能かつ制御可能にすることである。
【0067】
典型的なテストは以下の工程を含む: i)テストリングをパイプから切り取り、端部を所定の公差内で平坦かつ平行に機械加工する工程; ii)アタッチメントを取り付けてテストリングの歪みおよび変形を測定する工程; iii)テストリングを所定の位置にシールを有するフレームに嵌め込む工程; vi)圧力を適用し、シールが活性かつ有効であることを確実にする工程; v)圧力を増加させ、歪みおよび変形測定値を記録する工程;およびvi)最大値に達するまで、すなわち、外圧崩壊が生じるまで、圧力を増加させ続ける工程。
【0068】
また、シールを通過する油圧油(hydraulic fluid)の漏れとは無関係に、圧力の増加に伴うリング直径の非線形減少の加速の開始を検出するために測定された最大ひずみに対して加えられた圧力の曲線をプロットすることが有用である。
【0069】
図2は、海中パイプラインで使用されるパイプジョイント10を示す。テストリング12(図3にも示される)はパイプの一端から切り取られ、70mmの長さを有し、壁厚の約2倍である。この長さのテストリング12が切り取られた後であっても、パイプジョイント10は、依然としてパイプラインの建設に使用することができる。テストリング12の端面14は、実質的に平行かつ平坦になるように機械加工されている。実質的に平行で平坦であることによって、テストリング12の全長において±0.01mmの許容差があることを意味する。
【0070】
図4および図5は上記テスト方法で使用するためのテスト装置の一実施形態を示し、テストリング12がテストのために設置されている。テストリング12は、一緒に圧力テストチャンバを画定する上部セクション16と下部セクション18との間に取り付けられている。圧力テストチャンバ16、18の2つのセクションには位置決めスピゴット19が設けられており、この位置決めスピゴットは関連するシール21と対応する位置決め穴に位置決めされ、2等分(two halves)の位置決めを可能にする。Oリングあるいは自緊式圧力保持シール(pressure-energised pressure
containing seals)20は、上部および下部に提供される。これらは、テストリング12によって係合され、適切な入口ポート24を介して加圧された油圧テスト流体の供給によってアクセス可能な環状部を形成する。テストリング12の内側の中央空隙部(ボイド)26は、任意の計装用ケーブルによる、テストリング12の内側円筒面上の歪みゲージ(図示せず)へのアクセスをも提供するのに十分に大きい直径のブリード穴28を通して大気に放出される。
【0071】
2つの半部16、18は、メカニカルシールねじ30によって一緒に保持される。ねじ30は上部16の孔32を通って延び、ボイド26を通過して、下部18のネジ穴34に係合する。2つのねじ30が示されているが、適切な数を使用して、適切なクランプを確実にすることができる。
【0072】
2つのセクション16、18が一緒に保持される力は、環状部22を、圧力保持シール20、21に対して内部および外部で圧力密にするのに十分である。テストリング12がパイプから切り取られる公差は、水圧下でのテストリング12の外径の内側への半径方向の動きに対する過度の抑制摩擦を回避しながら、環状部22からボイド26への漏れが発生しないようなものである。
【0073】
図6はテスト装置の第2の実施形態を示しており、図4および図5に示されているクラ
ンプねじは、油圧ピストン配置に置き換えられている。シリンダ36が、ピストン38が摺動可能に位置する下部セクション18に形成される。上記シリンダの外端は、プレート40によって閉じられている。摺動シールを備えたボア42が、シリンダ36の内側端部からボイド26まで延びている。連結ロッド44は、ピストン38からボア42を通って上部16内の位置決めボア46まで延び、そこでピストンリングクランプ48に固定される。シリンダ36の下端に入口ポート50が設けられ、加圧流体を入れることができ、シリンダ36に沿ってピストン38を駆動して上部セクション16を下部セクション18にクランプする。
【0074】
図7は、テストのための所定位置にテストリング12を設けた上記テスト方法で使用するためのテスト装置のさらなる実施形態を示す。テストリングは、上部円筒形セクション16と下部円筒形セクション18との間に取り付けられ、その間にスペーサリングセクション52が配置され、これらのセクションは共に圧力テストチャンバを画定する。上記装置には、加圧流体を圧力チャンバに供給するための入口ポート24が設けられている。
【0075】
上部および下部はリングの形態であり、中央開口部26を有する。当該中央開口部は、圧力崩壊テストを実施するためのセンサおよび他のデバイスの取り付けのために、上記テスト装置の中心およびテストリングの内表面へのアクセスを提供する。上部および下部の対向する表面は、それぞれ上部16および下部18セクションの下部エッジおよび上部エッジの周囲に円周方向に延在する肩部54を形成する段差が形成されている。これにより、肩部と各セクションの開口部との間に、突出した環状段部56が提供される。各セクションの肩部54は、スペーサリング52をその間に配置するための支持面を提供する。上部および下部の各々の環状段部56は、テストリング12を取り付ける支持面を提供する。環状段差部の外径は、スペーサリング52の内径とほぼ一致している。スペーサリング52は、上部と下部の2つの面の間の距離を調整するのを補助する。スペーサリング52の内径は、上部16および下部18セクションの外径よりも小さく、それらのそれぞれの開口の直径よりも大きい。スペーサリング52の外径は、上部16および下部18セクションの外径よりも大きい。
【0076】
シーリング手段20を保持するための円周溝が、上部16と下部18の相対する面に設けられている。スペーサリング52と、上部16と下部18セクションの環状段部56の側面との間における、環状段部の側面の円周方向溝内に、さらなるシーリング手段58が設けられている。
【0077】
上部および下部セクションは例えば、ねじ(図示せず)のような機械的シーリング手段によって一緒に保持され、これらのねじは上部セクション16の外縁の周りの孔32とスペーサリング20を貫通して延在し、下部セクション18の孔32と係合する。追加の固定手段は、上部の環状段部56の孔を通って延在し、下部18の環状段部56の孔と係合することができる。セクションの適切な締め付けを確実にするために、任意の数の固定手段を使用することができる。
【0078】
対応する壁厚の増加なしにパイプ直径がより大きい別の好ましい構成では、リグ内のテストリングの座屈変形は、リングがOリングシールの下から外に出るために十分に大きくなり、環からの、急激で望ましくない圧力の損失を許容する。このような場合には、シーリングOリングがサンプルリングの溝に位置し、高度に研磨されたプレート表面の2つの環の間を滑るような修正リグ構成が採用されるのであろう。
【0079】
本発明の方法を使用してパイプラインを検査し、現在の設計ガイダンス(DNGVL設計コードなど)を使用すると、安全性の保証が改善され、所与の壁厚に対して30%深い水域で、または所与の稼働深度に対して12%薄い壁厚で使用することができるパイプラ
インの設計が可能になることが分かった。
【0080】
本発明による方法は、数十年前に確立され、今日使用され続けている、パイプジョイントを設計、および検査する従来の方法からの注目すべき脱却である。本方法は、海中パイプラインの利用可能性、ならびにパイプラインで使用するためのパイプジョイントの製造および設置において、かなりの商業的利点を提供する。当業者は、ここに開示された方法が限定ではなく例として教示することを理解するのであろう。したがって、上記の説明に含まれる、または添付の図面に示される事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されるすべての一般的および特定の特徴、ならびに、言語の問題として、それらの間に入ると言われ得る、本方法およびデバイスの範囲のすべての陳述を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7