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特開2024-118482伝票発行装置、伝票発行方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118482
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】伝票発行装置、伝票発行方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20240826BHJP
【FI】
G06Q30/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024767
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】房野 項司
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB11
5L049BB11
(57)【要約】
【課題】適格請求書を適切に発行することである。
【解決手段】伝票発行装置は、一取引において会計対象とする商品を登録する登録手段と、商品の対象フラグを用いて、登録された商品が仕入れ用商品に該当するか否かに基づいて、一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段と、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、一取引に係る伝票を適格請求書(適格簡易請求書)に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一取引において会計対象とする商品を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された商品が仕入れ用商品に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段と、
を備えたことを特徴とする伝票発行装置。
【請求項2】
一取引において顧客識別情報及び会計対象とする商品を登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された顧客識別情報が仕入れの顧客識別情報に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段と、
を備えたことを特徴とする伝票発行装置。
【請求項3】
前記商品を販売する販売者は、適格簡易請求書を発行する対象の業種の事業者であり、
前記許可手段は、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格簡易請求書に対応するフォーマットで発行することを許可することを特徴とする請求項1又は2に記載の伝票発行装置。
【請求項4】
前記許可手段は、前記適格簡易請求書に対応するフォーマットに、前記販売者の業種情報を含めることを特徴とする請求項3に記載の伝票発行装置。
【請求項5】
前記許可手段は、前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引でないと判別された場合に、前記一取引に係る伝票を通常レシートに対応するフォーマットで発行することを許可することを特徴とする請求項1又は2に記載の伝票発行装置。
【請求項6】
前記許可手段は、前記フォーマットに基づいて、伝票を印刷手段に印刷させることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝票発行装置。
【請求項7】
一取引において会計対象とする商品を登録する登録工程と、
前記登録された商品が仕入れ用商品に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別工程と、
前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可工程と、
を含むことを特徴とする伝票発行方法。
【請求項8】
一取引において顧客識別情報及び会計対象とする商品を登録する登録工程と、
前記登録された顧客識別情報が仕入れの顧客識別情報に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段と、
前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可工程と、
を含むことを特徴とする伝票発行方法。
【請求項9】
コンピュータを、
一取引において会計対象とする商品を登録する登録手段、
前記登録手段により登録された商品が仕入れ用商品に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
一取引において顧客識別情報及び会計対象とする商品を登録する登録手段、
前記登録手段により登録された顧客識別情報が仕入れの顧客識別情報に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝票発行装置、伝票発行方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客に販売する商品の会計処理時に、通常のレシート(通常レシートとする)用の情報とは異なる情報を印刷する売上データ処理装置が知られている。例えば、会計処理における商品の登録時に、通常レシート用の商品登録データと、当該商品に対応付けられた保証書情報と、をまとめて印刷する電子キャッシュレジスタが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、令和5年10月に適格請求書保存方式(インボイス制度)が施行される。適格請求書保存方式とは、複数税率に対応されたものとして開始される、仕入れ税控除の方式である。具体的には、買い手が仕入れ控除の適用を受けるためには、帳簿のほか、売り手から交付を受けた適格請求書の保存が必要となる。
【0004】
また、不特定多数の買い手への商品の販売などを行う取引では、適格請求書に代えて、より項目が少ない適格簡易請求書を発行(印刷)してもよい。このように、広義の適格請求書は、狭義の「適格請求書」と、「適格簡易請求書」と、を含むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-168977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商品の販売事業者となる売り手は、事業者登録を行い、適格(簡易)請求書を発行しないと、仕入れの顧客となる買い手が取引を行わなくなってしまうリスクが生じる。このため、店舗の売上データ処理装置には、適格請求書を発行する機能の要請がある。
【0007】
一方、適格(簡易)請求書は、売り手の登録番号、消費税の税率ごとの商品情報、税額情報などの多くのコンテンツを正確に記載する必要がある。このため、売上データ処理装置で、適格(簡易)請求書を一律に印刷する場合、従来の通常レシートに比べて、印刷する情報量が多いため、用紙の消費量が多くなってしまう。
【0008】
本発明の課題は、適格請求書を適切に発行することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の伝票発行装置は、一取引において会計対象とする商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された商品が仕入れ用商品に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の伝票発行装置は、一取引において顧客識別情報及び会計対象とする商品を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された顧客識別情報が仕入れの顧客識別情報に該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、前記一取引に係る伝票を適格請求書に対応するフォーマットで発行することを許可する許可手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、適格請求書を適切に発行できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態のECRの機能構成を示すブロック図である。
図2】(a)は、商品情報テーブルの構成を示す図である。(b)は、販売事業者情報テーブルの構成を示す図である。
図3】第1の売上登録処理を示すフローチャートである。
図4】通常レシートを示す図である。
図5】適格簡易請求書を示す図である。
図6】第2の実施の形態のECRの機能構成を示すブロック図である。
図7】(a)は、商品情報テーブルの構成を示す図である。(b)は、顧客情報テーブルの構成を示す図である。
図8】第2の売上登録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係る第1、第2の実施の形態を順に詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の第1、第2の実施の形態及びこれらの図示例に限定するものではない。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1図5を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態のECR10Aの機能構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の伝票発行装置としてのECR(Electronic Cash Register)10Aは、商品の販売などを行う店舗に設置され、顧客に販売した商品などの売上データを登録する装置である。本実施の形態において、ECR10Aは、適格請求書発行事業者であり、かつ適格簡易請求書を発行できる事業者として、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う事業を行うものの店舗に設置されるものとする。適格請求書発行事業者は、適格請求書を発行できる事業者であり、納税地の税務署(長)に登録を申請して登録番号を受けることにより許可される。
【0016】
適格簡易請求書を発行できる事業者の業種は、例えば、以下のような業種に限られている。
・小売業、
・飲食店業、
・写真業、
・旅行業、
・タクシー業、
・駐車場業、
・その他、これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の物に資産の譲渡などを行う事業。
【0017】
本実施の形態において、ECR10Aは、上記の業種のうち、持ち帰りと店内飲食とが可能な食品(洋菓子)の小売業の店舗(以下、単に「店舗」とする)の会計所に設置されているものとする。
【0018】
店舗の顧客は、商品の購入に仕入れ控除が不要なサラリーマンや主婦などの一般的な顧客(「一般客」とする)と、個人事業主や商店などの事業者であって、自分の事業のために商品の仕入れを行い仕入れ控除が必要な仕入事業者の顧客(「仕入れの顧客」とする)と、が含まれる。
【0019】
さらに、店舗が販売する商品は、一般客用の一般的な商品である「一般商品」と、仕入れの顧客用の「仕入れ用商品」と、があるものとする。一般商品は、例えば、個人又は家族で食べる分量の食品や、家庭用の調理のための加工状態の食品である。仕入れ用商品は、例えば、店舗から購入後にさらに加工して販売するための加工状態の食品や、業務用の分量の食品である。
【0020】
店舗の顧客として、一般客に加えて仕入れの顧客がいるため、ECR10Aは、通常レシートに加え、適格請求書に代わる適格簡易請求書の発行(印刷)が可能である。
【0021】
適格請求書は、下記の所定の項目の記載が必要な伝票であり、通常レシートよりも項目数が多い。適格請求書は、
(1)適格請求書発行事業者(売り手)の氏名又は名称及び登録番号、
(2)取引年月日、
(3)取引内容(軽減税率の対象項目である旨)、
(4)税率(消費税の標準税率10%、軽減税率8%)ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率、
(5)税率ごとに区分した消費税額等、
(6)書類の交付を受ける事業者(買い手)の氏名又は名称、
の項目が必要である。項目(1)及び項目(4)が、通常レシートには無い情報である。
【0022】
適格簡易請求書は、不特定かつ多数の者に販売などを行う事業者の取引に対応するため、適格請求書よりも必要な項目が少ない伝票である。適格簡易請求書は、上記の項目(1)~(3)が必要であり、項目(4)、(5)を下記項目(4a)、(5a)に代えたものである。
(4a)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)、
(5a)税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率。
さらに、適格簡易請求書は、上記項目(6)が不要である。
【0023】
ECR10Aは、本体部10aと、印刷手段としての印刷部18と、ドロア19と、を備える。本体部10aは、登録手段、判別手段、許可手段としてのCPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、通信部16と、計時部17と、を備える。
【0024】
本体部10aと、印刷部18及びドロア19とは、ケーブルを介した有線通信により通信接続されている構成とする。また、図1では、本体部10a内部の各部と、印刷部18及びドロア19とが、バスB1を介して接続されているものとして表している。ただし、これに限定されるものでなく、本体部10aと、印刷部18及びドロア19とは、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信により通信接続されている構成としてもよい。
【0025】
CPU11は、ECR10Aの各部を制御する。CPU11は、各種プログラムのうち指定されたプログラムを記憶部15から読み出してRAM13に展開し、展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。特に、CPU11は、後述する第1の売上登録処理を実行する。
【0026】
操作部12は、表示部14の表示画面に一体的に形成されたタッチパネルである。操作部12は、ユーザ(店舗の店員)のタッチ入力を受け付け、その操作情報をCPU11に出力する。操作部12は、例えば、表示部14の売上登録画面(図示略)などに表示される数字キー、PLU(Price Look Up)キー、部門キー、仮締キー、小計キー、現金売り/預かり金キー(締めキー)などのソフトキーや、画面上に表示されたリストなどへのタッチ操作を受け付ける。なお、操作部12は、ハードキーを有し、ハードキーの押下操作を受け付ける構成としてもよい。
【0027】
RAM13は、例えば、揮発性の半導体メモリであり、各種データ及びプログラムを一時的に格納するワークエリアが形成される。
【0028】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescent)ディスプレイなどで構成され、店員用の各種画面情報を表示する。表示部14は、CPU11の制御により、各種表示情報を表示画面に表示する。また、表示部14は、LCD、ELディスプレイなどで構成され、表示画面を顧客側又は店員側に回転可能であり、顧客用の商品の金額、合計金額などの情報を表示する顧客用の表示部を含む構成としてもよい。
【0029】
記憶部15は、情報の読み出し及び書き込み及びが可能な記憶部であり、バッテリーバックアップされたRAM、フラッシュメモリなどで構成される。記憶部15には、売上データ、各種設定情報などの各種データと、各種プログラムと、が記憶されている。特に、記憶部15には、後述する商品情報テーブル30A、販売事業者情報テーブル40と、後述する第1の売上登録処理を実行するための第1の売上登録プログラムP1と、が記憶されている。
【0030】
通信部16は、ネットワークカードなどにより構成され、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワーク上の機器と通信を行う。CPU11は、通信部16を介して、通信ネットワーク上の機器と情報の送受信を行う。なお、商品情報テーブル30A、販売事業者情報テーブル40などのデータは、通信部16を介して通信接続されたクラウド(サーバ)に記憶される構成としてもよい。
【0031】
計時部17は、リアルタイムクロックであり、現在の日時を計時し、その日時情報をCPU11に出力する。
【0032】
印刷部18は、ロール紙などの用紙に各種印刷を行うサーマルプリンタなどの印刷部である。印刷部18は、CPU11の制御に従い、レシート、レポート、ジャーナルなどのデータを用紙に印刷する。
【0033】
ドロア19は、現金、商品券などを格納する引き出しである。ドロア19は、CPU11の制御下で、引き出し部を開放する開放機構を有する。
【0034】
なお、ECR10Aは、顧客のクレジットカードを読み取り電子決済を行うための電子決済部や、商品に付されたバーコードなどを読み取るイメージスキャナ又はレーザスキャナのスキャナ部など、他の装置を有する構成としてもよい。
【0035】
つぎに、図2(a)、図2(b)を参照して、記憶部15に記憶される情報を説明する。図2(a)は、商品情報テーブル30Aの構成を示す図である。図2(b)は、販売事業者情報テーブル40の構成を示す図である。
【0036】
図2(a)に示すように、商品情報テーブル30Aは、店舗で販売する商品に関する情報を格納するデータテーブルである。商品情報テーブル30Aは、商品コード31、商品名32、単価33、税種34、ステータス35、対象フラグ36のカラム(項目)を有する。
【0037】
商品コード31は、店舗で販売する商品の店舗内での識別情報である。商品名32は、商品コード31の商品の名称である。単価33は、商品コード31の商品の価格である。税種34は、商品コード31の商品の消費税の種類である。税種34は、外税又は内税の区分と、商品に対応する税率の標準税率10%(店内飲食、イートイン)又は軽減税率8%(持ち帰り、テイクアウト)と、を含む。
【0038】
ステータス35は、商品コード31の商品の状態を示す製品属性情報であり、例えば、商品が持ち帰り用(=1)か店内飲食用(=2)かを示す情報である。対象フラグ36は、商品コード31の商品が適格簡易請求書の発行の対象の商品(仕入れ用商品)か否か(一般商品か)を示すフラグ情報である。商品コード31の商品が仕入れ用商品である場合に、対象フラグ36は、1(オン)を示す。商品コード31の商品が一般商品である場合に、対象フラグ36は、0(オフ)を示す。
【0039】
ついで、図2(b)を参照して、販売事業者情報テーブル40を説明する。販売事業者情報テーブル40は、ECR10Aが設置された店舗の商品を販売する販売事業者に関する情報を格納するデータテーブルである。販売事業者情報テーブル40は、事業者名41、登録番号42、適格簡易請求書用業種43、住所44などのカラムを有する。
【0040】
事業者名41は、ECR10Aが設置された店舗の販売事業者の名称である。登録番号42は、事業者名41の販売事業者が、適格請求書発行事業者として税務署(長)により登録された登録番号である。
【0041】
適格簡易請求書用業種43は、事業者名41の販売事業者が適格簡易請求書の発行が可能な事業者である場合の当該販売事業者の業種の名称である。特に、適格簡易請求書用業種43は、適格簡易請求書に印刷される情報である。住所44は、事業者名41の販売事業者の店舗の住所である。
【0042】
商品情報テーブル30A、販売事業者情報テーブル40は、例えば、操作部12を介する店舗の管理者などの操作入力に応じて、CPU11により作成され、あらかじめ記憶部15に記憶されているものとする。
【0043】
つぎに、図3図5を参照して、ECR10Aの動作を説明する。図3は、第1の売上登録処理を示すフローチャートである。図4は、通常レシート100を示す図である。図5は、適格簡易請求書200を示す図である。
【0044】
ECR10Aが設置された店舗において、例えば1日の営業開始時刻前に、店舗の店員によりECR10Aの電源がオンされる。営業中に、1人の顧客が来店して商品を注文する。この顧客は、複数人(1グループ)でもよい。注文された商品が持ち帰り(テイクアウト)の場合に、店員は、その商品を用意して会計前又は会計後に顧客に手渡す。注文された商品が店内飲食(イートイン)の場合に、店員は、その商品を店内飲食用に顧客に提供する。1人(又は1グループ)の顧客に注文される商品は、持ち帰り用と店内飲食用との混在でもよい。この場合、店員は、例えば、顧客に店内飲食用の商品を提供し、その飲食後の会計後に、持ち帰り用の商品を手渡す。1人(又は1グループ)の顧客の商品の注文、当該顧客への商品の提供、会計処理を一つの取引(一取引)とする。
【0045】
そして、顧客から会計所で会計の要求がある場合に、操作部12を介してユーザ(店員)から第1の売上登録処理の実行指示が入力される。当該実行指示の入力の受け付けをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶された第1の売上登録プログラムP1に従い、第1の売上登録処理を実行する。
【0046】
図3に示すように、まず、CPU11は、商品登録画面情報(図示略)を表示部14に表示し、操作部12を介してユーザからの全注文商品のうち、1種類の商品の選択入力及び個数の入力を受け付け、入力された情報を商品情報として登録(RAM13に保持)する(ステップS11)。そして、CPU11は、記憶部15の商品情報テーブル30Aを参照し、ステップS11で選択入力された商品の商品コード31に対応する対象フラグ36がオン(=1)であるか(仕入れ商品に該当するか)否かを判別する(ステップS12)。
【0047】
対象フラグ36がオンである場合(ステップS12;YES)、CPU11は、適格簡易請求書を印刷するか(取引が仕入れ対象取引であるか(適格簡易請求書の発行を許可するか))否かを示す適格簡易請求書フラグにオン(=1)を設定してRAM13に記憶する(ステップS13)。
【0048】
ステップS13の実行後、又は対象フラグ36がオフ(=0)である場合(ステップS12;NO)、CPU11は、操作部12を介してユーザからの商品登録の終了指示の入力が入力されたか否かにより、商品登録を終了するか否かを判別する(ステップS14)。商品登録の終了指示は、例えば、小計キーのタッチ入力である。
【0049】
商品登録を終了しない場合(ステップS14;NO)、CPU11は、ステップS11に移行する。商品登録を終了する場合(ステップS14;YES)、CPU11は、締め処理を行う(ステップS15)。
【0050】
ステップS15において、CPU11は、商品情報テーブル30Aを参照する。CPU11は、ステップS11で登録された商品の商品コード31に対応する商品名32、単価33、その個数、税種34を用いて、商品ごとの金額と、税種別消費税合計額と、税込合計金額とを算出する。CPU11は、商品ごとの商品名32とともに、算出した各情報を表示部14に表示する。ユーザは、税込合計金額を顧客に伝え、顧客から預かり金を受け取り、操作部12を介して預かり金(の金額)を入力し、現金売り/預かり金キーをタッチ入力する。
【0051】
CPU11は、預かり金の入力及び現金売り/預かり金キーのタッチ入力を受け付け、預かり金及び税込の合計金額を用いて、お釣り(の金額)を算出して表示部14に表示し、ドロア19を開放する。
【0052】
そして、CPU11は、RAM13の適格簡易請求書フラグを参照してオンされているか否かを判別する(ステップS16)。適格簡易請求書フラグがオンされていない場合(ステップS16;NO)、CPU11は、適格簡易請求書の発行を許可せず、計時部17から現在日時情報を取得し、取得した現在日時情報と、記憶部15の販売事業者情報テーブル40の事業者名41、住所44などと、ステップS15で取得した商品ごとの商品名32及び算出値、預かり金、お釣りと、を用いて通常レシートのフォーマットの通常レシートデータを生成する(ステップS17)。
【0053】
そして、CPU11は、印刷部18により、ステップS17で生成された通常レシートデータに基づいて、通常レシートを用紙に印刷させる(ステップS18)。そして、CPU11は、ステップS17で生成された通常レシートデータを売上データとして記憶部15に記憶し(ステップS19)、第1の売上登録処理を終了する。ユーザは、ドロア19にお預かり金を格納してお釣りを取り出し、印刷された通常レシートをお釣りとともに顧客に手渡す。
【0054】
適格簡易請求書フラグがオンされている場合(ステップS16;YES)、CPU11は、適格簡易請求書の発行を許可し、計時部17から現在日時情報を取得し、さらに全商品の税種34別の税抜又は税込の合計金額と税種34別の消費税の合計金額とを算出する(ステップS20)。ステップS20において、CPU11は、取得した現在日時情報と、販売事業者情報テーブル40の事業者名41~住所44などと、ステップS15で取得した商品ごとの商品名32及び算出値、預かり金、お釣りと、算出した税種34別の税抜又は税込の合計金額及び消費税の合計金額とを用いて、適格簡易請求書のフォーマットで販売事業者の業種情報を含む適格簡易請求書データを生成する。
【0055】
そして、CPU11は、印刷部18により、ステップS17で生成された適格簡易請求書データに基づいて、適格簡易請求書を用紙に印刷させる(ステップS21)。そして、CPU11は、ステップS20で生成された適格簡易請求書データを売上データとして記憶部15に記憶し(ステップS22)、第1の売上登録処理を終了する。ユーザは、ドロア19にお預かり金を格納してお釣りを取り出し、印刷された適格簡易請求書をお釣りとともに顧客に手渡す。
【0056】
ここで、図4を参照して、ステップS17,S18で印刷される通常レシートの一例としての通常レシート100を説明する。ここでは、顧客が2個の「イチゴショート ピース」と、「チーズ タルト」と、「チーズ タルト(TO)」との3種類の商品を注文した場合とする。これら3種類の商品はいずれも一般商品である。商品「イチゴショート ピース」は、持ち帰り用の商品である。商品「チーズ タルト」は、店内飲食用の商品である。「チーズ タルト(TO)」は、「チーズ タルト」の持ち帰り(Take Out)用の商品である。
【0057】
通常レシート100は、事業者名101、住所102、日時103、レシート情報104、商品情報105~107、外税108,109、合計110、お預かり111、お釣り112の情報を含む。
【0058】
事業者名101は、店舗の販売事業者の名称であり、事業者名41に基づく。住所102は、店舗の販売事業者の住所であり、住所44に基づく。日時103は、会計時の日時情報であり、計時部17から取得された現在日時情報に基づく。レシート情報104は、通常レシート100に関する各種情報である。レシート情報104は、通常レシート100発行時のECR10Aのユーザ(担当者の店員)の名称「〇〇亜土夢」と、ECR10Aの端末番号「0001」と、ECR10Aで印刷した書類(通常レシート、適格簡易請求書、レポートなど)の一連番号「012345」と、を有する。レシート情報104は、記憶部15に記憶された担当者の名称(図示略)のうち、例えばステップS11前に操作部12を介してユーザから選択入力された担当者の名称と、記憶部15に記憶されたECR10Aの端末番号(図示略)と、ECR10Aによってカウントされている一連番号と、に基づく。
【0059】
商品情報105は、商品「イチゴショート ピース」の名称及び個数であり、当該商品の商品名32と入力された個数とに基づく。商品情報106は、商品「チーズ タルト」の名称及び個数であり、当該商品の商品名32と入力された個数とに基づく。商品情報107は、商品「チーズ タルト(TO)」の名称及び個数であり、当該商品の商品名32と入力された個数とに基づく。商品情報105,107は、持ち帰りに対応し、軽減税率適用の旨を示す記号「※」が含まれている。
【0060】
外税108は、店内飲食の商品「チーズ タルト」の標準税率適用の10%の消費税合計額であり、算出された10%の税種の消費税合計額に基づく。外税109は、持ち帰りの商品「イチゴショート ピース」、「チーズ タルト(TO)」の軽減税率適用の8%の消費税合計額であり、算出された8%の税種の消費税合計額に基づく。
【0061】
合計110は、全商品の税込の合計金額であり、算出された税込合計金額に基づく。お預かり111は、ユーザが顧客から受け取ったお預かり金の金額であり、入力されたお預かり金の金額に基づく。お釣り112は、ユーザが顧客に手渡すお釣りの金額であり、算出されたお釣りの金額に基づく。
【0062】
ついで、図5を参照して、ステップS20,S21で印刷される適格簡易請求書の一例としての適格簡易請求書200を説明する。ここでは、顧客が2個の「イチゴショート ホール」と、「チーズ タルト」と、「チーズ タルト(TO)」との3種類の商品を注文した場合とする。3種類の商品のうち、商品「イチゴショート ホール」が仕入れ用商品であり、残りの商品がいずれも一般商品である。商品「イチゴショート ホール」は、持ち帰り用の商品である。
【0063】
適格簡易請求書200は、事業者名201、住所202、日時203、請求書情報204、商品情報205~207、外税208,209、合計金額210、お預かり額211、お釣り額212、登録番号213、業種214、外税対象215,216、消費税合計217、注218の情報を含む。
【0064】
事業者名201は、店舗の販売事業者の名称であり、読み出された事業者名41に基づく。住所202は、店舗の販売事業者の住所であり、読み出された住所44に基づく。登録番号213は、適格請求書発行事業者としての店舗の販売事業者の登録番号であり、読み出された登録番号42に基づく。事業者名201、登録番号213は、上記項目(1)の情報である。業種214は、適格簡易請求書発行事業者としての店舗の販売事業者の業種情報であり、読み出された適格簡易請求書用業種43に基づく。
【0065】
日時203は、会計時の日時情報であり、計時部17から取得された現在日時情報に基づく。日時203は、上記項目(2)の情報である。請求書情報204は、適格簡易請求書200に関する各種情報である。請求書情報204は、適格簡易請求書200発行時のECR10Aのユーザの名称「〇〇亜土夢」と、ECR10Aの端末番号「0001」と、ECR10Aで印刷した書類の一連番号「012346」と、を有する。
【0066】
商品情報205は、商品「イチゴショート ホール」の名称及び個数であり、当該商品の商品名32と入力された個数とに基づく。商品情報206は、商品「チーズ タルト」の名称及び個数であり、当該商品の商品名32と入力された個数とに基づく。商品情報207は、商品「チーズ タルト(TO)」の名称及び個数であり、当該商品の商品名32と入力された個数とに基づく。商品情報205,207は、持ち帰りに対応し、軽減税率適用の旨を示す記号「※」が含まれている。商品情報205~207は、上記項目(3)の情報である。
【0067】
外税対象215は、標準税率10%に対応する店内飲食の商品「チーズ タルト」の税抜合計金額であり、算出された10%の税種34の税抜合計金額に基づく。外税208は、店内飲食の商品「チーズ タルト」の標準税率適用の10%の消費税合計額であり、算出された10%の税種の消費税合計額に基づく。
【0068】
外税対象216は、軽減税率8%に対応する持ち帰りの商品「イチゴショート ホール」、「チーズ タルト(TO)」の税抜合計金額であり、算出された8%の税種34の税抜合計金額に基づく。外税209は、持ち帰りの商品「イチゴショート ホール」、「チーズ タルト(TO)」の軽減税率適用の8%の消費税合計額であり、算出された8%の税種の消費税合計額に基づく。
【0069】
外税対象215,216は、上記項目(4a)の情報である。外税対象215,216は、税率ごとに区分して合計した対価の額であるが、適用税率(項目(4)の条件)も含む。外税208,209は、上記項目(5a)の情報である。外税208,209は、税率ごとに区分して合計した消費税額であるが、さらに適用税率(項目(5)の条件)を含む構成としてもよい。
【0070】
消費税合計217は、外税208,209の消費税の合計金額であり、算出された8%及び10%の税種34の消費税合計額に基づく。
【0071】
合計金額210は、全商品の税込の合計金額であり、算出された税込合計金額に基づく。お預かり211は、ユーザが顧客から受け渡されたお預かり金の金額であり、入力されたお預かり金の金額に基づく。お釣り212は、ユーザが顧客に渡すお釣りの金額であり、算出されたお釣りの金額に基づく。注218は、商品情報205,207などに含まれる記号「※」が軽減税率適用を示す旨の注意書きである。
【0072】
通常レシート100は、適格簡易請求書200に比べて、登録番号213、業種214、外税対象215,216、消費税合計217及び注218の項目が必要ない。このように、通常レシート100は、同様な内容の適格簡易請求書200に比べて、用紙の印刷面積を小さくできる。このため、仕入れ商品の販売時のみに、適格簡易請求書を印刷する構成は、適格簡易請求書を一律に印刷する構成に比べて、用紙の消費量を抑制できる。
【0073】
以上、本実施の形態によれば、ECR10Aは、一取引において会計対象とする商品を登録するCPU11を備える。CPU11は、商品の対象フラグ36を用いて、登録された商品が仕入れ用商品に該当するか否かに基づいて、一取引が所定の仕入れ対象取引であるか(適格簡易請求書フラグがオンか)否かを判別する。CPU11は、一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、一取引に係る伝票を適格請求書(ここでは適格簡易請求書)に対応するフォーマットで発行することを許可する。
【0074】
商品を販売する販売事業者は、適格簡易請求書を発行する対象の業種の事業者である。
【0075】
このため、適格請求書保存方式が施行されたのちに、商品が仕入れ用商品か否かに応じて、必要な場合に適格簡易請求書を適切に発行(印刷)でき、適格簡易請求書を一律に印刷する場合に比べて、用紙の消費量を低減できる。仕入れの顧客は、発行された適格簡易請求書を確実に受け取ることができ、仕入れでない一般客は、必要ない適格簡易請求書を受け取ることによる財布などの格納先のスペースが大きく占有されることを防ぐことができる。
【0076】
また、CPU11は、適格簡易請求書に対応するフォーマットに、販売事業者の業種情報(業種214)を含める。このため、適格簡易請求書の業種情報を参照することで、販売事業者が適格簡易請求書発行に対応する業種であることを確実に確認できる。
【0077】
また、CPU11は、一取引が所定の仕入れ対象取引でないと判別された場合に、一取引に係る伝票を通常レシートに対応するフォーマットで発行することを許可する。このため、仕入れでない一般客に、通常レシートを確実に発行でき、用紙の消費量を低減できる。一般客は、適格簡易請求書よりも小さな通常レシートを受け取って、財布などの格納先のスペースを節約できる。
【0078】
また、CPU11は、フォーマットに基づいて、伝票(適格簡易請求書、通常レシート)を印刷部18に印刷させる。このため、伝票を印刷して確実に発行できる。
【0079】
(第2の実施の形態)
図6図8を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。まず、図6を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図6は、ECR10Bの機能構成を示すブロック図である。
【0080】
本実施の形態のECR10Bは、第1の実施の形態のECR10Aと同様に、適格請求書発行事業者でありかつ適格簡易請求書を発行可能な事業者である販売事業者の店舗の会計所に設置されているものとする。図6に示すように、ECR10Bは、本体部10bと、印刷部18と、ドロア19と、カードリーダ20と、を備える。本体部10bは、CPU11と、操作部12と、RAM13と、表示部14と、記憶部15と、通信部16と、計時部17と、を備える。
【0081】
図6では、本体部10b内部の各部と、印刷部18、ドロア19及びカードリーダ20とが、バスB2を介して接続されているものとして表している。また、ECR10Bの本体部10b、印刷部18、ドロア19は、それぞれ、ECR10Aの本体部10a、印刷部18、ドロア19と同様の構成を有する。このため、ECR10Aと同様の部分については、説明を省略し、異なる部分を主として説明する。
【0082】
CPU11は、ECR10Bの各部を制御する。特に、CPU11は、後述する第2の売上登録処理を実行する。
【0083】
記憶部15には、後述する商品情報テーブル30B、販売事業者情報テーブル40、顧客情報テーブル50と、後述する第2の売上登録処理を実行するための第2の売上登録プログラムP2と、が記憶されている。
【0084】
カードリーダ20は、顧客が所持する店舗の会員カードを磁気により読み取る読取装置である。会員カードは、事前に店舗の会員として登録された顧客に手渡されているものとする。会員カードは、所持者の顧客の顧客コードが磁気により記憶されているものとする。ただし、この構成に限定されるものではない。店舗の会員カードに顧客コードを含むバーコードなどのシンボルが印刷される構成としてもよい。この構成では、カードリーダ20が、シンボルを読み取るイメージスキャナ又はレーザスキャナとされる。
【0085】
つぎに、図7(a)、図7(b)を参照して、記憶部15に記憶される情報を説明する。図7(a)は、商品情報テーブル30Bの構成を示す図である。図7(b)は、顧客情報テーブル50の構成を示す図である。
【0086】
図7(a)に示すように、商品情報テーブル30Bは、第1の実施の形態の商品情報テーブル30Aと同様に、商品に関する情報を格納する。商品情報テーブル30Bは、商品情報テーブル30Aと同様のカラムを有するが、対象フラグのカラムがない。つまり、商品コード31の商品は、適格簡易請求書の発行要否と対応付けられていない。
【0087】
図7(b)に示すように、顧客情報テーブル50は、会員登録された顧客に関する情報を格納するデータテーブルである。顧客情報テーブル50は、顧客コード51、顧客名52、属性53、メールアドレス54、ステータス55、対象フラグ56のカラムを有する。
【0088】
顧客コード51は、会員登録された顧客の識別情報であり、当該顧客の会員カードに記憶されている情報である。顧客名52は、顧客コード51の顧客の名称である。属性53は、顧客コード51の顧客の性別、年代などの属性をアルファベットで表した情報である。
【0089】
メールアドレス54は、顧客コード51の顧客のメールアドレスである。ステータス55は、顧客コード51の顧客の状態情報であり、例えば、個人(=1)、法人(=2)とする。対象フラグ56は、顧客コード51の顧客が適格簡易請求書の発行の対象の顧客(仕入れの顧客)か否か(一般客か)を示すフラグ情報である。本実施の形態では、対象フラグ56が、固定されているものとする。
【0090】
つぎに、図8を参照して、ECR10Bの動作を説明する。図8は、第2の売上登録処理を示すフローチャートである。
【0091】
第1の実施の形態の第1の売上登録処理と同様に、ECR10Bが設置された店舗において、顧客が来店し、商品が注文される。そして、顧客から会計所で会計の要求がある場合に、操作部12を介してユーザ(店員)から第2の売上登録処理の実行指示が入力される。当該実行指示の入力の受け付けをトリガとして、CPU11は、記憶部15に記憶された第2の売上登録プログラムP2に従い、第2の売上登録処理を実行する。
【0092】
まず、CPU11は、カードリーダ20により顧客の会員カードの顧客コードを読み取り、RAM13に記憶(登録)する(ステップS30)。ステップS30において、店員は、顧客から会員カードを借りてカードリーダ20に挿入し、読み取り後に、会員カードを顧客に返却する。
【0093】
そして、CPU11は、ステップS31を実行する。ステップS31は、図3の第1の売上登録処理のステップS11と同様である。そして、CPU11は、記憶部15の顧客情報テーブル50を参照し、ステップS30で読み取られた顧客コード51に対応する対象フラグ56がオン(=1)であるか(顧客が仕入れの顧客に該当するか)否かを判別する(ステップS32)。
【0094】
対象フラグ56がオンである場合(ステップS32;YES)、CPU11は、ステップS33を実行する。ステップS33は、図3のステップS13と同様である。対象フラグ56がオフである場合(ステップS32;NO)、CPU11は、ステップS34を実行する。以下、ステップS34~S42は、それぞれ、図3のステップS14~S42と同様である。
【0095】
ステップS37,S38で印刷される通常レシートは、例えば、図4の通常レシート100と同様である。ただし、本実施の形態では、一般客が、一般商品を購入する場合だけでなく、第1の実施の形態における仕入れ用商品を含む商品を購入する場合も、通常レシートが印刷される。
【0096】
ステップS40,S41で印刷される適格簡易請求書は、例えば、図5の適格簡易請求書200と同様である。ただし、本実施の形態では、仕入れの顧客が、仕入れ用商品を購入する場合だけでなく、第1の実施の形態における一般商品のみを購入する場合も、適格簡易請求書が印刷される。
【0097】
以上、本実施の形態によれば、ECR10Bは、一取引において顧客識別情報(顧客コード)及び会計対象とする商品を登録するCPU11を備える。CPU11は、顧客コードの対象フラグ56を用いて、登録された顧客コードが仕入れの顧客コードに該当するか否かに基づいて、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であるか(適格簡易請求書フラグがオンか)否かを判別する。CPU11は、前記一取引が所定の仕入れ対象取引であると判別された場合に、一取引に係る伝票を適格請求書(ここでは適格簡易請求書)に対応するフォーマットで発行することを許可する。
【0098】
このため、適格請求書保存方式が施行されたのちに、顧客が仕入れの顧客か否かに応じて、必要な場合に適格簡易請求書を適切に発行(印刷)でき、適格簡易請求書を一律に印刷する場合に比べて、用紙の消費量を低減できる。
【0099】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部15を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0100】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る伝票発行装置、伝票発行方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0101】
例えば、第1の実施の形態及び第2の実施の形態を適宜組み合わせる構成としてもよい。例えば、仕入れの顧客が任意の商品を購入する場合、又は一般客が第1の実施の形態における仕入れ用商品を含む商品を購入する場合に、ECRが適格簡易請求書を印刷する構成としてもよい。その他の場合に、ECRが通常レシートを印刷する。この構成では、例えば、一般客が、店舗への申請無しに事業を開始し、仕入れ用商品を購入する場合にも、漏れなく適格簡易請求書を印刷できる。
【0102】
また、仕入れの顧客が一般商品を購入する場合に、ECRが通常レシートを印刷する構成としてもよい。その他の場合に、ECRが通常レシートを印刷する。この構成では、例えば、仕入れの顧客が、普段は店舗で仕入れをしているが、仕入れ目的でない一般商品を購入する場合に、通常レシートを印刷できる。
【0103】
また、上記第1、第2の実施の形態では、商品又は顧客が仕入れに対応する場合に、ECRが適格簡易請求書を印刷する構成としたが、これに限定されるものではない。第2の実施の形態において、仕入れの顧客が商品を購入する場合に、ECRが適格請求書を印刷する構成としてもよい。適格請求書は、上記項目(1)~(3)、(4a)、(5a)を含む適格簡易請求書に比べて、上記項目(4a)、(5a)を上記項目(4)、(5)に代え、上記項目(6)をさらに含む。項目(6)は、第2の売上登録処理のステップS30で取得した顧客コード51に対応する顧客名52に対応する。
【0104】
例えば、顧客名「請求花子」の顧客の場合、ステップS40において、CPU11は、例えば、図5の適格簡易請求書200の業種214と日時203との間に、顧客名「請求花子 様」を含めて、適格請求書データを生成する。そして、ステップS41,S42で、CPU11は、適格請求書データを印刷及び記憶する。なお、適格請求書では、適格請求書データにおいて、業種214の項目を削除する構成としてもよい。
【0105】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0106】
10A,10B ECR
10a,10b 本体部
11 CPU
12 操作部
13 RAM
14 表示部
15 記憶部
16 通信部
17 計時部
18 印刷部
19 ドロア
20 カードリーダ
B1,B2 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8