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特開2024-11849ラダープログラム編集装置、編集方法および編集プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011849
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ラダープログラム編集装置、編集方法および編集プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G05B19/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114133
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】藤村 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】白根 角人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕
(72)【発明者】
【氏名】岡安 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】長尾 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】岸 佳史
(72)【発明者】
【氏名】中川 僚
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA06
5H220BB12
5H220CC06
5H220CX02
5H220DD04
5H220JJ12
5H220JJ24
5H220JJ41
(57)【要約】
【課題】操作に習熟していないユーザであっても効率的に回路部品を配置できる。
【解決手段】ユーザによるラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内における位置指定に対し、所定の位置に回路部品を追加するための処理ステップ毎の選択肢を表示する制御を行うガイド表示制御部(12)と、選択肢のいずれかを選択するユーザ入力受け付ける選択受付部(13)と、各処理ステップに則って回路部品をラダープログラムに追加する適用部(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内において、ユーザによる位置指定入力を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された指定位置を基準とする所定の位置に、前記回路部品を追加するための処理ステップ毎の選択肢を表示する制御を行うガイド表示制御部と、
前記選択肢のいずれか1つを選択するユーザ入力を受け付ける選択受付部と、
前記各処理ステップにおいて前記選択受付部によって受け付けられた前記ユーザ入力に基づき、前記回路部品を前記ラダープログラムに追加する適用部と、を備えるラダープログラム編集装置。
【請求項2】
前記処理ステップは複数あり、
前記ガイド表示制御部は、前記選択受付部によって、前記所定の処理ステップにおける前記選択肢が選択された際に、新たな前記選択肢を表示する制御を行う、請求項に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項3】
前記処理ステップは第1処理ステップ、および前記第1処理ステップに続いて行う第2処理ステップを含み、
前記第1処理ステップは、前記ラダープログラムに前記回路部品を追加する位置を選択し、
前記第2処理ステップは、前記回路部品の種類を選択する、請求項1に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項4】
前記位置検出部によって検出された前記指定位置が前記回路部品に対応した位置である、請求項1に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項5】
前記位置検出部によって検出された前記指定位置が接続線に対応した位置である場合において、
前記適用部は、前記指定位置に対応する前記接続線の接続先を、前記選択受付部によって受け付けたユーザ入力に基づいて変更する、請求項1に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項6】
前記ガイド表示制御部は、前記位置検出部によって検出された前記指定位置から所定の距離範囲内に、前記選択肢を表示する制御を行う、請求項1に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項7】
前記ガイド表示制御部は、前記ユーザ入力として用いられるキーボードのキーを示す情報を前記選択肢に表示する制御を行う、請求項1から6のいずれか1項に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項8】
前記選択受付部は、前記ユーザ入力として、前記選択肢が表示されている位置に対するポインティング操作を受け付ける、請求項1から6のいずれか1項に記載のラダープログラム編集装置。
【請求項9】
ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内において、ユーザによる位置指定入力を検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップによって検出された指定位置を基準とする所定の位置に、前記回路部品を追加するための処理ステップ毎の選択肢を表示する制御を行うガイド表示制御ステップと、
前記選択肢のいずれか1つを選択するユーザ入力を受け付ける選択受付ステップと、
前記各処理ステップにおいて前記選択受付ステップによって受け付けられた前記ユーザ入力に基づき、前記回路部品を前記ラダープログラムに追加する適用ステップと、を含むラダープログラムの編集方法。
【請求項10】
請求項1に記載のラダープログラム編集装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記位置検出部、上記表示制御部、上記選択受付部および上記適用部としてコンピュータを機能させるための編集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラダープログラム編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IDE(Integrated Development Environment)によって、プログラムを開発することが一般的である。IDEでは、ユーザの入力量を削減するために、入力された情報に基づき、入力内容を補完する入力支援機能が搭載されている。
【0003】
FA(Factory Automation)システムでは、PLC(Programmable Logic Controller)を用いることが多い。PLCのプログラミング言語に関しては、IEC61131-3にて規定されている5言語がある。
【0004】
このうち、ラダー言語はグラフィカルにプログラムを開発することが特徴であり、母線間に多数の接点、コイル、および命令を配置した、疑似的なリレー回路をプログラムによって作成する。
【0005】
例えば、特許文献1では、同じラダー回路、または類似するラダー回路が繰り返し出現するラダープログラムの作成編集効率を向上させるためのラダー図プログラム作成支援装置が開示されている。このラダー図プログラム作成支援装置では、部分回路検索部が、入力されたコマンド名のラダー回路に対応する部分回路を検索し抽出する。表示部4が、部分回路検索部によって抽出された部分回路に対応する入力候補を出力する。置換処理部が、表示部が出力した入力候補の選択を受け付けると、入力操作部においてコマンド名が入力されたラダー回路を、選択された入力候補に置き換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-159893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ラダー言語では、接点、コイル、および命令などの回路部品(プログラム部品)を配置する位置を、適切に指定する必要がある。しかしながら、回路部品を配置するためのユーザーインタフェースは各メーカ固有のものであり、統一化されていない。つまり、回路部品の配置方法および、そのためのキーボードによるショートカットキーが各メーカで異なっている。そのため、ユーザは各メーカのユーザーインタフェースに関して個別に習熟する必要があり、慣れたIDEでないとプログラムの作成効率が悪くなる。
【0008】
また、ショートカットキーを覚えていないユーザでもプログラムを作成できるようにするために一部のコマンドに関してはショートカットキーを画面に表示している場合もあるが、当該ショートカットキーがプログラムの編集領域から外れた範囲に表示されているため、視線が動くことになる。そのため、ユーザはプログラム作成に集中することができなく、非効率である。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、操作に習熟していないユーザであっても効率的に回路部品を配置できるラダープログラム編集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラダープログラム編集装置は、ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内において、ユーザによる位置指定入力を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された指定位置を基準とする所定の位置に、前記回路部品を追加するための処理ステップ毎の選択肢を表示する制御を行うガイド表示制御部と、前記選択肢のいずれか1つを選択するユーザ入力を受け付ける選択受付部と、前記各処理ステップにおいて前記選択受付部によって受け付けられた前記ユーザ入力に基づき、前記回路部品を前記ラダープログラムに追加する適用部と、を備える。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の別の態様に係るラダープログラムの編集方法は、ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内において、ユーザによる位置指定入力を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップによって検出された指定位置を基準とする所定の位置に、前記回路部品を追加するための処理ステップ毎の選択肢を表示する制御を行うガイド表示制御ステップと、前記選択肢のいずれか1つを選択するユーザ入力を受け付ける選択受付ステップと、前記各処理ステップにおいて前記選択受付ステップによって受け付けられた前記ユーザ入力に基づき、前記回路部品を前記ラダープログラムに追加する適用ステップと、を含む。
【0012】
上記の構成によれば、ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内において、ユーザによって指定された指定位置を基準とする所定の位置に、ユーザが選択するための選択肢が表示される。そのため、編集領域外にあるメニューバーなどに視線を動かす必要がなく、集中してプログラミングを行うことができる。また、ユーザは選択肢を選択するだけであるため、操作に習熟していないユーザであっても効率的に回路部品を配置することができる。
【0013】
前記処理ステップは複数あり、前記ガイド表示制御部は、前記選択受付部によって、前記所定の処理ステップにおける前記選択肢が選択された際に、新たな前記選択肢を表示する制御を行ってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、処理ステップを多段階で構成することができるため、複雑な処理を行うことができる。また、複雑な処理であっても、簡単な処理に分解して表示されるため、ユーザに対して理解しやすいインターフェースを提供することができる。
【0015】
前記処理ステップは第1処理ステップ、および前記第1処理ステップに続いて行う第2処理ステップを含み、前記第1処理ステップは、前記ラダープログラムに前記回路部品を追加する位置を選択し、前記第2処理ステップは、前記回路部品の種類を選択してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、ユーザは、基準となる指定位置に対する位置を決定した後に、配置する回路部品の種類を選択することができる。すなわち、位置の指定と回路部品の選択とを連続する2つの連続する簡易な処理ステップによって実現できるため、ユーザにとって効率的でかつ操作性のよいインターフェースを提供することができる。
【0017】
前記位置検出部によって検出された前記指定位置が前記回路部品に対応した位置であってもよい。
【0018】
上記の構成によれば、既存の回路部品を基点として、対応した位置に回路部品を配置することができる。そのため、回路部品の配置における操作を容易にすることができる。
【0019】
前記位置検出部によって検出された前記指定位置が接続線に対応した位置である場合において、前記適用部は、前記指定位置に対応する前記接続線の接続先を、前記選択受付部によって受け付けたユーザ入力に基づいて変更してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、既存の接続線を位置指定することによって、当該接続線の接続先を変更することができる。また、接続線の接続先とすることができる位置を選択肢として表示することができ、操作に習熟していないユーザであっても、容易にプログラムを作成することができる。
【0021】
前記ガイド表示制御部は、前記位置検出部によって検出された前記指定位置から所定の距離範囲内に、前記選択肢を表示する制御を行ってもよい。
【0022】
上記の構成によれば、編集領域内でも、指定位置から所定の距離範囲内に選択肢が表示されるため、ユーザは視線を移動させることなく、選択肢を確認することができる。そのため、ユーザはプログラミングに集中することができる。
【0023】
前記ガイド表示制御部は、前記ユーザ入力として用いられるキーボードのキーを示す情報を前記選択肢に表示する制御を行ってもよい。
【0024】
上記の構成によれば、キーボード操作だけでもって、回路部品の配置を行うことができ、効率的にプログラムを作成することができる。
【0025】
前記選択受付部は、前記ユーザ入力として、前記選択肢が表示されている位置に対するポインティング操作を受け付けてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、ポインティング操作でもって、回路部品を配置する位置を視覚的に入力することができるため、配置間違いをすることが防げる。そのため、操作に習熟していないユーザであっても容易にプログラムを作成することができる。
【0027】
本発明の各態様に係るラダープログラム編集装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記ラダープログラム編集装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記ラダープログラム編集装置をコンピュータにて実現させるラダープログラム編集装置のプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、操作に習熟していないユーザであっても、容易に効率的に回路部品を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ラダープログラム編集装置の要部の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係るラダープログラム編集装置において回路部品を追加する動作例を示すフローチャートである。
図3】ガイド表示制御部によって、回路部品を追加する位置を指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。
図4】ガイド表示制御部によって、回路部品の種類を指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。
図5】適用部によって、受け付けた位置に受け付けた種類の回路部品を追加した編集領域の一例である。
図6】実施形態1に係るラダープログラム編集装置において接続線を移動する動作例を示すフローチャートである。
図7】ガイド表示制御部によって、接続線を変更するか否かを指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。
図8】ガイド表示制御部によって、接続線の接続を変更する位置を指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。
図9】適用部によって、受け付けた位置に接続線を変更した編集領域の一例である。
図10】接続線を変更する前の編集領域を示す一例である。
図11図10に対し、ある接続線の接続先を変更した一例である。
図12図11に対し、さらに別の接続線の接続先を変更した一例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
§1.適用例
ラダー言語では、接点、コイルおよび命令(ファンクションまたはファンクションブロック)を母線間に配置し、回路を接続することによってプログラムを作成する。そのため、ラダー言語では、回路部品の配置と、接続線の接続の処理が必要である。
【0032】
回路部品の配置では、既存の回路部品に対する相対的な位置関係をユーザは指定することになる。本実施形態では、回路部品を選択した際に、ユーザの入力を入力支援する入力支援表示が選択している回路部品の周りに表示される。当該入力支援表示としては2ステップあり、当該回路部品の上下左右のどの位置に新しい回路部品を追加するかの1ステップ目と、その位置に何の回路部品を追加するかの2ステップ目とがある。また、入力支援表示において、キーボードショートカットが表示されていてもよい。キーボードショートカットとは、画面に表示されているコマンドをポインティング操作なく、キーボード操作のみで実行するためのキーボードのキーである。
【0033】
また、接続線は、既存の回路部品間を接続する。本実施形態では、接続線を選択した際に、ユーザの入力を入力支援する入力支援表示が、当該接続線の接続先を変更可能な位置に表示される。入力支援表示としては2ステップあり、当該接続線の接続先を変更するかの確認を行う1ステップ目と、具体的な接続線の接続先の変更位置を指定する2ステップ目とがある。また、入力支援表示において、キーボードショートカットが表示されていてもよい。
【0034】
入力支援表示は、指定位置を基準とする所定の位置に、表示される。入力支援表示によって、キーボードショートカットおよびIDE自体の操作方法に習熟していないユーザでも、操作方法等が容易にわかるようになる。また、入力支援表示は、IDEにおける編集領域に表示されるため、編集領域外に表示されるツールバー等に比べて、ユーザの視線移動が少なく、効率的にプログラム開発をすることができるようになる。ここで、編集領域は、ラダープログラムが表示される領域である。
【0035】
§2.構成例
図1は、ラダープログラム編集装置1の要部の構成を示すブロック図である。ラダープログラム編集装置1は、位置検出部11と、ガイド表示制御部12と、選択受付部13と、適用部14とを備える。また、ラダープログラム編集装置1は、マウスおよびキーボードなどの入力装置20と、ディスプレイなどの表示装置30と、が接続されている。
【0036】
(ラダープログラム編集装置1)
位置検出部11は、ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内において、入力装置20を用いて、ユーザによる位置指定入力を検出する。具体的には、ユーザは、マウス入力またはキーボードの矢印キー入力などにより、ラダープログラムの回路部品を選択する。なお、編集領域がセル方式の場合は、ユーザはセルを選択し、位置検出部11は、選択されたセルを指定位置とする。
【0037】
選択される回路部品は、接点、コイル、ファンクション、およびファンクションブロックなどの演算用の回路部品である。
【0038】
ガイド表示制御部12は、位置検出部11によって検出された指定位置を基準とする所定の位置に、回路部品を追加するための処理ステップ毎の選択肢を表示装置30に表示する制御を行う。この詳細に関しては後述する。
【0039】
選択受付部13は、ガイド表示制御部12によって表示された選択肢のいずれかを選択するユーザ入力を受け付ける。この詳細もまとめて後述する。
【0040】
適用部14は、選択受付部13によって受け付けられたユーザ入力に基づき、回路部品をラダープログラムに追加する。
【0041】
§3.動作例
(回路部品の追加)
図2は、実施形態1に係るラダープログラム編集装置1において回路部品を追加する動作例を示すフローチャートである。
【0042】
位置検出部11は、既存の接点、コイルおよび命令などの回路部品に対する位置指定入力を検出する(S101)。その後、ガイド表示制御部12は、当該指定位置を基準とする所定の位置、例えば、既存の接点、コイルおよび命令などの回路部品の周囲の近傍などに、回路部品を追加する位置を指定するための選択肢を表示する(S102)。なお、ガイド表示制御部12は、当該指定位置を基準とする所定の距離範囲内に選択肢を表示する制御を行ってもよい。所定の距離範囲内とは、例えば、指定された回路部品の外周に接する位置であってもよいし、指定された回路部品の外周から、該回路部品の縦幅または横幅よりも短い所定距離範囲内であってもよい。
【0043】
図3は、ガイド表示制御部12によって、回路部品を追加する位置を指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。図3において、位置検出部11は、回路部品101を指定位置として検出している。ガイド表示制御部12は、当該回路部品101の周囲に回路部品を追加する位置を指定するガイド102を表示する。ガイド102は、当該回路部品101の上下左右にそれぞれ表示される。ただし、回路部品101がコイルであった場合は、右側のガイド102がなくてもよい。なお、ガイド102が半透明であり、下の図や文字が透けて見えるように表示されていてよい。
【0044】
上側のガイド102は「上へ追加」と、下側のガイド102は「下へ追加」と、左側のガイド102は「左へ追加」と、右側のガイド102は「右へ追加」と、表示されている。ここでは、視覚的に分かり易くするために、当該回路部品101に対し上下左右にガイド102を表示したが、これに限定されず、ラダープログラムの編集領域に位置する任意の表示形態をとってもよい。
【0045】
それぞれのガイド102には、ガイド102が有する機能の表示に加え、当該ガイド102をキーボード入力によって選択するためのキーボードショートカットに関する情報が付記されていてもよい。
【0046】
選択受付部13は、回路部品を追加する位置の選択を受け付ける(S103)。具体的には、選択受付部13は、ガイド102に対するマウスクリックまたはキーボードによるキーボードショートカットの入力を受けると、対応したガイド102が選択されたものと受け付ける。マウスクリックに限定されず、任意のポインティングデバイス、例えばタッチパネルによる入力などであってもよい。
【0047】
ガイド表示制御部12は、選択受付部13によって選択されたガイド102を残して、他のガイド102を消去する。その後、ガイド表示制御部12は、回路部品の種類に関する選択肢を表示する(S104)。
【0048】
図4は、ガイド表示制御部12によって、回路部品の種類を指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。図4において、ガイド表示制御部12は、当該回路部品101の周囲に回路部品の種類を指定するガイド103を表示する。ガイド103は、回路部品101に対して、ガイド102を挟んで外側に表示される。例えば、図4では、ガイド102が「下へ追加」が選択されたため、ガイド103もガイド102のさらに下に表示される。
【0049】
ガイド103の種類としては、「A接点」、「B接点」、「FUN」、および「FB」などが挙げられる。ここで、「FUN」はファンクションを意味し、「FB」はファンクションブロックを意味する。また、「コイル」が選択肢として表示されていても構わない。
【0050】
選択受付部13は、回路部品の種類に関する選択を受け付ける(S105)。選択受付部13への入力方法はS103と同様である。
【0051】
適用部14は、ガイド102およびガイド103の表示を解除し、回路部品101に対して受け付けた位置に、受け付けた種類の回路部品を追加する(S106)。
【0052】
図5は、適用部14によって、受け付けた位置に受け付けた種類の回路部品を追加した編集領域の一例である。図5に示すように、適用部14は、回路部品104を受け付けた位置(ここでは回路部品101の下)に、受け付けた種類(ここではファンクション)の回路部品を追加した。
【0053】
(接続線の変更)
図6は、実施形態1に係るラダープログラム編集装置1において接続線を移動する動作例を示すフローチャートである。
【0054】
位置検出部11は、既存の接続線である回路部品に対する位置指定入力を検出する(S201)。その後、ガイド表示制御部12は、当該指定位置を基準とする所定の位置、例えば、既存の接続線である回路部品の近傍に、接続線を変更するか否かを指定するための選択肢を表示する(S202)。選択肢は、接続線を変更することだけを表示してもよいし、接続線を削除する選択肢などを表示してもよい。所定の位置は、所定の距離範囲内であってもよい。
【0055】
図7は、ガイド表示制御部12によって、接続線を変更するか否かを指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。図7において、位置検出部11は、接続線111を指定位置として検出している。ガイド表示制御部12は、当該接続線111の近傍に接続線を変更するか否かを指定するガイド112を表示する。ガイド112にはキーボードショートカットが表示されてもよい。
【0056】
選択受付部13は、接続線を変更するか否かの選択を受け付ける(S203)。選択受付部13への入力方法はS103と同様である。
【0057】
ガイド表示制御部12は、ガイド112の表示を解除し、当該接続線111の接続先を変更できる位置にガイド113を表示する(S204)。接続先を変更できる位置は、他の接続線の交点の箇所から、適宜表示される。
【0058】
図8は、ガイド表示制御部12によって、接続線の接続を変更する位置を指定するための選択肢を表示している編集領域の一例である。図8において、ガイド表示制御部12は、当該接続線111の接続先を変更できる位置にガイド113を表示する。なお、ガイド113が半透明であり、下の図や文字が透けて見えるように表示されていてよい。
【0059】
ここで、ガイド表示制御部12は、回路上等電位の箇所ごとに、接続線の接続先を変更する先とすることができるか否かを判定し、接続線の接続先を変更する先とすることができる場合、ガイド113を表示する。そのため、当該接続線111の接続を変更できない位置にはガイド113は表示されないため、制御プログラムの作成に習熟していないユーザが、プログラム間違いすることを防げる。
【0060】
選択受付部13は、接続線の接続先を変更位置の指定を受け付ける(S205)。選択受付部13への入力方法はS103と同様である。
【0061】
適用部14は、ガイド113の表示を解除し、接続線111の接続先を変更する(S206)。
【0062】
図9は、適用部14によって、受け付けた位置に接続線を変更した編集領域の一例である。図9に示すように、接続線111は、接続先が変更されて、接続線114となった。そのために、接続線115が新規に自動で追加されている。このため、回路部品の接続を変更するために、従来では幾度かの入力が必要だった場合でも1アクションで接続を変更することができるようになっている。
【0063】
接続線の変更の別の事例を図10図12に示す。図10は、接続線を変更する前の編集領域を示す一例である。図11は、図10に対し、ある接続線の接続先を変更した一例である。図12は、図11に対し、さらに別の接続線の接続先を変更した一例である。
【0064】
図10において、接続線121を選択することによって、ガイド122が表示される。当該ガイド122を選択することによって、ガイド123が表示される。ガイド123のうちキーボードショートカットが「2」のガイドを選択すると、図10図11のような回路になる。この際、接続線121は、接続線124に変更される。
【0065】
図11において、接続線131を選択することによって、ガイド132が表示される。当該ガイド132を選択することによって、ガイド133が表示される。ガイド133のうちキーボードショートカットが「1」のガイドを選択すると、図11図12のような回路になる。この際、接続線131は、接続線134に変更される。
【0066】
このように、数回連続で接続線の接続先を変更することによって、元の回路部品の接続状態とは大きく異なる接続状態に組み替えることが容易にできる。
【0067】
§4.作用・効果
ラダープログラムの回路部品が表示される編集領域内に、ユーザ入力を促すガイド102、103、112、および113が表示されるため、操作に習熟していないユーザであっても効率的に回路部品の配置または接続線の変更をすることができる。また、回路部品の配置および接続線の変更が可能な位置を表示することができるため、プログラムに習熟していない場合であっても、操作を容易にすることができ、容易にプログラムを作成することを可能とする。
【0068】
また、既存の回路部品の所定の距離範囲内において、ガイド102、103、112、および113が表示されるため、ユーザの視線が大きく移動することがない。そのため、ユーザはプログラミングに集中することができ、効率的である。
【0069】
ガイド102、103、112、および113の選択は、キーボードまたはポインティングデバイスの操作によってユーザ入力することができる。そのため、容易に操作することができる。特に、キーボード操作においては、ガイド102、103、112、および113に表示されているキーボードショートカットに対応したキーを入力するだけであるため、専用のショートカットキーを記憶する必要がない。そのため、操作に習熟する学習コストを低減することができる。
【0070】
〔変形例1〕
マウスジェスチャーを用いて、上記の実施形態における回路部品の配置と同様の処理を行ってもよい。例えば、既存の回路部品をクリックすることで、当該クリックした位置を中心とした円形にクロックメニューがガイド表示(選択肢)として表示される。クロックメニューは、例えば角度でもって16等分されており、上下左右の方向ごとに4個のメニューが一つのブロックに大きくわかれていてもよい。各ブロックには「A接点」、「B接点」、「ファンクション」、および「ファンクションブロック」がそれぞれ割り付いていてもよい。配置したい回路部品の位置と回路部品の種類の方向に対し、ポインティングデバイスを押し込んだままドラッグし、離すこと(ドロップ)によって、当該指定された位置に指定された回路部品を配置することができてもよい。
【0071】
上記の実施形態では回路部品の配置を既存の接点、コイル、または命令の何れかに対する相対的な位置関係で指定したが、これに限定されない。
【0072】
例えば、回路部品が配置されていない任意の位置でもって上述したマウスジェスチャーを行ってもよい。この場合、回路部品の配置位置はクリックした位置となる。そのため、回路部品の配置位置を指定する必要がないため、クロックメニューの項目を増やすことができる。つまり、クロックメニューに「A接点」、「B接点」、「ファンクション」、および「ファンクションブロック」などの基本的なものに加えて、よく使用する回路部品(例えば、タイマ、カウンタなど)を、ユーザ設定によって登録していてもよい。
【0073】
〔変形例2〕
既存の回路部品の並び方を変更し、既存の回路部品を用いて、AND条件またはOR条件を組み替えることが想定される。
【0074】
既存の接点、およびファンクションを回路部品として位置指定した際に、表示されるガイド(選択肢)に「回路部品の入れ替え」を追加表示してもよい。当該「回路部品の入れ替え」を選択した場合は、クリックした位置の回路部品と、位置指定された回路部品との位置を入れ替える。この際、回路部品だけを入れ替えるだけであり、接続線の接続は変更しない。すなわち、位置指定された回路部品は、選択された回路部品の接続線の接続となる。また、回路部品の入れ替えに際し、OR回路はまとめたブロックとして入れ替えてもよい。
【0075】
また、ガイドメニューによる「回路部品の入れ替え」に限定されず、例えばポインティングデバイスによるドラッグ&ドロップであってもよい。
【0076】
さらに、回路部品を位置指定した際に、「Shiftキー(またはCtrlキー)」との同時押しによって選択肢をガイド表示して、キーボードショートカットによって「回路部品の入れ替え」を行ってもよい。
【0077】
〔変形例3〕
既存の接続線の接続先を変更するに際し、接続可能な位置をガイド表示することを示した。ガイドに加えて、「Shiftキー(またはCtrlキー)+左右キー」の同時押しによって、位置指定している接続線の接続先を接続可能な次の左右の位置に変更してもよい。この場合、接続線の組み換えに際し、文字キーまたはテンキーなどのキーではなく、十字キーの操作が主体となるため、効率的に接続線の組み換えを行うことができる。なお、ガイドとして、「Shiftキー(またはCtrlキー)+左右キー」による接続線の接続先を変更する表示を行っていてもよい。
【0078】
〔ソフトウェアによる実現例〕
ラダープログラム編集装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0079】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0080】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0081】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0082】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0083】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 ラダープログラム編集装置
11 位置検出部
12 ガイド表示制御部
13 選択受付部
14 適用部
20 入力装置
30 表示装置
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