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特開2024-118503空間情報処理装置および空間情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118503
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】空間情報処理装置および空間情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/10 20060101AFI20240826BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G06T17/10
G01C15/00 103E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024809
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 瞳
(72)【発明者】
【氏名】久保田 善経
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA17
5B080DA01
5B080DA06
(57)【要約】
【課題】点群を取得する際、点群が存在しない箇所のステータスを付与することで、計測空間の把握が容易になる空間情報処理装置を提供すること。
【解決手段】空間情報処理装置は、レーザスキャナにより測量する計測空間に存在する物体を表す複数の点よりなる点群を取得する取得部と、上記点に基づき、上記点を取得するレーザ光が進む経路上および経路の延長線上に位置する空間に対しラベルを付ける、ラベリング部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザスキャナにより測量する計測空間に存在する物体を表す複数の点よりなる点群を取得する取得部と、
前記点に基づき、前記点を取得するレーザ光が進む経路上および前記経路の延長線上に位置する空間に対しラベルを付ける、ラベリング部と、を備える、
空間情報処理装置。
【請求項2】
前記点群を含む前記計測空間を複数のボクセルに分割する分割部を備える、
請求項1に記載の空間情報処理装置。
【請求項3】
前記ラベリング部は、前記分割部により分割された各前記ボクセル内の前記点に基づき、物体が存在する第1の空間、物体が存在しない第2の空間、物体が存在するか否か不明な第3の空間、の何れか1つのラベルを付ける、
請求項2に記載の空間情報処理装置。
【請求項4】
前記ラベリング部は、前記分割部により分割された各前記ボクセル内の前記点群に基づき、物体が存在する第1の空間、物体が存在しない第2の空間、物体が存在するか否か不明な第3の空間、の何れか1つのラベルを付ける、
請求項2に記載の空間情報処理装置。
【請求項5】
前記ラベリング部は、前記計測空間内の前記レーザスキャナの設置位置から前記計測空間の前記経路上に位置するボクセルのなかで前記第1の空間がラベリングされるボクセルがない場合、前記経路上に位置する全てのボクセルを、前記第2の空間としてラベルを付与する、
請求項4に記載の空間情報処理装置。
【請求項6】
前記点群を計測対象面として検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記計測対象面を前記ボクセルに変換し、前記ラベルに基づき、前記ボクセルに視覚的情報を付加する付加部と、を更に備える、
請求項5に記載の空間情報処理装置。
【請求項7】
前記付加部は、前記ボクセルに付けられたラベルに応じた色情報を付加する、
請求項6に記載の空間情報処理装置。
【請求項8】
前記計測空間は、部屋を含み、
前記計測対象面は、前記部屋の天井面、床面、壁面に相当する面であり、
前記検出部は、
前記レーザスキャナの設置位置を始点とした鉛直下方向の基準ベクトルを算出し、
前記計測対象面に垂直な代表ベクトルを前記計測対象面毎に算出し、
前記基準ベクトルと前記代表ベクトルとの内積に基づき、各前記計測対象面が前記部屋の天井面、床面、壁面に相当するか否かを判定する、
請求項7に記載の空間情報処理装置。
【請求項9】
レーザスキャナにより測量する計測空間に存在する物体を表す複数の点よりなる点群を取得し、
前記点に基づき、前記点を取得するレーザ光が進む経路上および前記経路の延長線上に位置する空間に対しラベルを付ける、処理を、コンピュータに実行させる、
空間情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間情報処理装置および空間情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場や建設現場等における進捗確認および出来形測量等を行うため、レーザスキャナを用いて現場の3次元データを点群データとして立体的に測量する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-277813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の測量方法は、測量対象の形状の凹凸を判定するには有効である。しかし、この測量方法では、例えば、点群が存在しない箇所のステータスを判定することは難しい。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、点群を取得する際、点群が存在しない箇所のステータスを付与することで、計測空間の把握が容易になる空間情報処理装置および空間情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置は、レーザスキャナにより測量する計測空間に存在する物体を表す複数の点よりなる点群を取得する取得部と、点に基づき、点を取得するレーザ光が進む経路上および経路の延長線上に位置する空間に対しラベルを付ける、ラベリング部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置は、点群を含む計測空間を複数のボクセルに分割する分割部を更に備えてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、ラベリング部は、例えば、分割部により分割された各ボクセル内の点に基づき、物体が存在する第1の空間、物体が存在しない第2の空間、物体が存在するか否か不明な第3の空間、の何れか1つのラベルを付ける。
【0009】
本発明の一実施形態において、ラベリング部は、例えば、分割部により分割された各ボクセル内の点群に基づき、物体が存在する第1の空間、物体が存在しない第2の空間、物体が存在するか否か不明な第3の空間、の何れか1つのラベルを付ける。
【0010】
本発明の一実施形態において、ラベリング部は、計測空間内のレーザスキャナの設置位置から計測空間の経路上に位置するボクセルのなかで第1の空間がラベリングされるボクセルがない場合、経路上に位置する全てのボクセルを、第2の空間としてラベルを付与することができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置は、点群を計測対象面として検出する検出部と、検出部によって検出された計測対象面をボクセルに変換し、ラベルに基づき、ボクセルに視覚的情報を付加する付加部と、を更に備える構成としてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、付加部は、例えば、ボクセルに付けられたラベルに応じた色情報を付加する。
【0013】
本発明の一実施形態において、計測空間は、例えば部屋を含む。計測対象面は、例えば、部屋の天井面、床面、壁面に相当する面である。この場合、検出部は、レーザスキャナの設置位置を始点とした鉛直下方向の基準ベクトルを算出し、計測対象面に垂直な代表ベクトルを計測対象面毎に算出し、基準ベクトルと代表ベクトルとの内積に基づき、各計測対象面が部屋の天井面、床面、壁面に相当するか否かを判定してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る空間情報処理方法は、レーザスキャナにより測量する計測空間に存在する物体を表す複数の点よりなる点群を取得し、点に基づき、点を取得するレーザ光が進む経路上および経路の延長線上に位置する空間に対しラベルを付ける、処理を、コンピュータに実行させる方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、点群を取得する際、点群が存在しない箇所のステータスを付与することで、計測空間の把握が容易になる空間情報処理装置および空間情報処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置および空間情報処理方法を説明するための概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置および空間情報処理方法を説明するための概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置の機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態において空間情報処理装置のプロセッサにより実行される空間情報処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態においてレーザスキャナにより測量された計測空間に存在する物体を表す点群の一例を示す図である。
図7図5のステップS103で実行されるラベリング処理を説明するための図である。
図8図5のステップS103で実行されるラベリング処理の説明を補助する図である。
図9図5のステップS104で実行される検出処理の説明を補助する図である。
図10図5のステップS104で検出される計測対象面の一例を示す図である。
図11】床相当面の点群の一例を示す図である。
図12図5のステップS104で実行される検出処理の説明を補助する図である。
図13図5のステップS105で実行される算出処理の説明を補助する図である。
図14図5のステップS106で色情報が付加されたボクセル群が表す3次元モデルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置、空間情報処理方法および空間情報処理プログラムについて詳細に説明する。
【0018】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る空間情報処理装置および空間情報処理方法を説明するための概略図である。図1中、符号RMは、部屋(計測空間)を示す。符号OJは、部屋RMに設置された物体の1つを示す。図1および図2の例では、物体OJとしてディスプレイが示される。
【0019】
符号LSは、空間情報を測量するレーザスキャナである。レーザスキャナLSは、例えばTLS(Terrestrial Laser Scanner)である。レーザスキャナLSは、水平方向および垂直方向に回転可能な本体部のレーザ射出口より射出されるレーザ光Lにより、レーザスキャナLSを中心としてほぼ全方位(半球状の範囲)をスキャンする。これにより、例えば、部屋RMの全体がスキャンされて、部屋RMの3次元データが点群データとして得られる。
【0020】
レーザスキャナLSは、空間情報処理装置10と無線で接続される。レーザスキャナLSは、空間情報処理装置10と有線で接続されてもよい。レーザスキャナLSは、測量により得た点群データを空間情報処理装置10へ送信する。
【0021】
空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSからの点群データを受信する。空間情報処理装置10は、部屋RM(より詳細には、部屋RMを含む空間)を複数のボクセルに分割する。なお、図2に示される格子は、ボクセルを表現している。ボクセルとは、レーザスキャナLSで計測空間である部屋RMを計測し、計測空間を任意の大きさで分割することを意味する。計測空間をボクセル化することで点群データを容易に扱うことができる。
【0022】
空間情報処理装置10は、各ボクセルに含まれる点に基づき、各ボクセルに、ラベルB0、B1、B2の何れか1つを付ける。上記の「各ボクセルに含まれる点」は、点群データをなす各点を示す。便宜上、これらの点を「点P」と記す。
【0023】
図2のレーザ光Lが進む経路(図2中、実線部分)上およびこの経路の延長線(図2中、一点鎖線部分)上に位置するボクセルを例に取り、ラベルB0~B2について説明する。便宜上、レーザ光Lが進む経路とこの経路の延長線とがなす直線を「レーザ直線路LSW」と記す。
【0024】
図2に示されるように、空間情報処理装置10は、レーザ光Lにより検知された物体OJに対応する点Pを検出する。空間情報処理装置10は、点Pが含まれるボクセル(言い換えると、物体OJが存在する空間)に、ラベルB1を付ける。空間情報処理装置10は、レーザ光Lが物体OJに遮られることによってレーザ光Lが届かないボクセル(言い換えると、物体が存在するか否か不明な空間)に、ラベルB0を付ける。空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSのレーザ射出口から射出されたレーザ光Lが物体OJに遮られる手前までのボクセル(言い換えると、物体が存在しない空間)に、ラベルB2を付ける。
【0025】
補足として、ボクセルにラベルB2が付けられた場合を考える。部屋RMには、壁、天井、床などがある。例えば壁面に相当する面(便宜上「壁相当面」と記す。)上に点群が存在しない箇所がある。例示的には、レーザ光Lは、空いているドアや透明な窓(すなわち、レーザ光Lが反射しない窓)を通過する。そのため、これらの箇所では点群が取得できない。空間情報処理装置10は、壁相当面上の箇所が部屋RMの開口部(例えば空いているドアや透明な窓)であると判定することができる。ただし空いている空間の先に、隣の部屋の壁や、窓の先の植物などが距離の離れた点群データとして存在する場合がある。計測空間以外の点群を計測データとして扱わないことで、ドアや窓の位置を検出することができる。
【0026】
本実施形態において、空間情報処理装置10は、レーザ直線路LSWに対してラベリング処理することにより、部屋RMの壁面上の点群が存在しない箇所にステータスを付与することができる。これにより、計測空間の把握が容易になる。
【0027】
また、点群データには、例えば部屋RMの天井面に相当する面(便宜上「天井相当面」と記す。)上で点群が存在しない箇所がある。例示的には、レーザ光Lは、透明な天窓を通過する。そのため、天井相当面上にも点群が存在しない領域が存在する。異なる例として、天井に設置された装飾物や梁(言い換えると物体)で遮られることによってレーザが届かない。このような場合も、点群が存在しない領域が存在する。
【0028】
例えば、レーザスキャナLSと天井相当面とを結ぶレーザ直線路LSW上に位置する全てのボクセルにラベルB2が付けられた場合を考える。この場合、レーザ光Lが、部屋RMの天井や天井に設置された物体に当たることなく、部屋RMの外部に射出されたものと推定される。そのため、空間情報処理装置10は、このレーザ直線路LSW上に位置する、天井相当面上の箇所が部屋RMの開口部(例えば透明な天窓)であると判定することができる。
【0029】
また、天井相当面上のボクセルにラベルB0が付けられた場合を考える。この場合、レーザ光Lが、例えば、部屋RMの天井に設置された物体に当たったため、天井に届いていないものと推定される。そのため、空間情報処理装置10は、ラベルB0が付けられたボクセルの、天井相当面上の箇所が、物体に遮られて測量できなかった箇所であると判定することができる。
【0030】
また、点群データには、例えば部屋RMの床面に相当する面(便宜上「床相当面」と記す。)上で点群が存在しない箇所がある。例示的には、レーザ光Lは、施工中で開口部となっている床部分を通過する。そのため、床相当面上に位置する、これらの箇所には、点群が存在しない。また、例えば、床に置かれた物体で遮られることによってレーザが届かない、床相当面上の箇所にも、点群が存在しない。
【0031】
例えば、レーザスキャナLSと床相当面とを結ぶレーザ直線路LSW上に位置する全てのボクセルにラベルB2が付けられた場合を考える。この場合、レーザ光Lが、部屋RMに置かれた物体や床に当たることなく、部屋RMの外部に射出されたものと推定される。そのため、空間情報処理装置10は、このレーザ直線路LSW上に位置する、床相当面上の箇所が、部屋RMの開口部(例えば施工中で開口部となっている床部分)であると判定することができる。
【0032】
また、床相当面上のボクセルにラベルB0が付けられた場合を考える。この場合、レーザ光Lが、例えば、部屋RMに置かれた物体に当たったため、部屋RMの床に届いていないものと推定される。そのため、空間情報処理装置10は、ラベルB0が付けられたボクセルの、床相当面上の箇所が、物体に遮られて測量できなかった箇所であると判定することができる。
【0033】
このように、本実施形態では、計測空間内の各ボクセルにラベルB0~B2が付けられる。空間情報処理装置10は、例えば、点群が存在しない、部屋RMの壁相当面、天井相当面、床相当面等の各箇所にステータスを付与することができる。これにより、計測空間の把握が容易になる。
【0034】
本実施形態に係る空間情報処理装置、空間情報処理方法および空間情報処理プログラムについて、より具体的な説明を行う。
【0035】
図3は、空間情報処理装置10のハードウェア構成を示す図である。
【0036】
空間情報処理装置10は、例えば汎用のPC(Personal Computer)である。図3に示されるように、空間情報処理装置10は、バス100を備える。バス100に、プロセッサ111、メモリ112、補助記憶装置113、通信インタフェース114、入力装置115および出力装置116が接続される。なお、空間情報処理装置10は、図3に示されていない他の構成を備えていてもよい。すなわち、空間情報処理装置10の態様には自由度があり、各種の設計変更が可能である。
【0037】
プロセッサ111は、メモリ112上に展開されたプログラムを実行する。プロセッサ111により実行されるプログラムには、本発明の一実施形態に係る空間情報処理プログラム113Aが含まれる。
【0038】
プロセッサ111は、例えばシングルプロセッサまたはマルチプロセッサであり、少なくとも1つのプロセッサを含む。複数のプロセッサを含む構成とした場合、プロセッサ111は、単一の装置としてパッケージ化されたものであってもよく、空間情報処理装置10内で物理的に分離した複数の装置で構成されてもよい。
【0039】
メモリ112は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、ワークエリアを提供する。
【0040】
補助記憶装置113は、種々の情報を記憶する記憶装置であり、例えばハードディスクドライブや半導体メモリである。補助記憶装置113には、空間情報処理プログラム113Aを含む各種プログラムが記憶される。プロセッサ111は、メモリ112内に確保したワークエリアにプログラムを展開し、展開されたプログラムに従って空間情報処理装置10を制御する。
【0041】
コンピュータの一例である空間情報処理装置10は、空間情報処理プログラム113Aにより、本発明の一実施形態に係る空間情報処理方法を実行する。
【0042】
例示的には、空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSにより測量する計測空間に存在する物体(例えば、部屋RMの壁、天井、床、計測空間に置かれたディスプレイ等の物体)を表す複数の点Pよりなる点群を取得し、点Pに基づき、点Pを取得するレーザ光Lが進む経路上と経路の延長線(すなわちレーザ直線路LSW)上の位置する空間に対しラベルを付ける(図2参照)、という一連の処理を実行する。より詳細には、空間情報処理装置10は、点群を含む計測空間を複数のボクセルに分割し、分割された各ボクセル内に含まれる点P(または複数の点Pを含む点群)に基づき、各ボクセルに、物体が存在する第1の空間、物体が存在しない第2の空間、物体が存在するか否か不明な第3の空間、の何れか1つのラベルを付ける、という一連の処理を実行する。
【0043】
空間情報処理装置10が空間情報処理プログラム113Aを実行することにより、例えば、上述したように、点群が存在しない、部屋RMの壁相当面、天井相当面、床相当面等の各箇所にステータスを付与することができる。これにより、計測空間の把握が容易になる。空間情報処理プログラム113Aの詳細は後述する。
【0044】
通信インタフェース114は、レーザスキャナLSと空間情報処理装置10とを相互通信可能に接続する。また、通信インタフェース114は、例えば、外部ネットワークを介して空間情報処理装置10をクラウドコンピューティングと接続してもよい。この場合、クラウドコンピューティングが空間情報処理プログラム113Aを備えていてもよい。すなわち、空間情報処理プログラム113Aによる処理は、空間情報処理装置10に代えて、クラウドコンピューティングで実行されてもよい。
【0045】
入力装置115は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等であり、例えば、オペレータによる入力を受け付ける。
【0046】
出力装置116は、表示装置、音声出力装置、プリンタ等を含む。出力装置116は、例えば、空間情報処理プログラム113Aによる処理結果を出力する。
【0047】
図4は、空間情報処理装置10の機能ブロック図である。空間情報処理装置10は、図4に示されるように、機能ブロックとして、点群取得部100A、ボクセル分割部100B、ラベリング部100C、計測対象面検出部100Dおよび視覚的情報付加部100Eを含む。各機能ブロックは、コンピュータの一例である空間情報処理装置10が実行する空間情報処理プログラム113Aにより実現される。各機能ブロックは、一部または全部が専用の論理回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0048】
点群取得部100Aは、レーザスキャナLSにより測量された計測空間に存在する物体を表す複数の点Pよりなる点群を取得する。ボクセル分割部100Bは、点群を含む計測空間を複数のボクセルに分割する。ラベリング部100Cは、ボクセル分割部100Bにより分割された各ボクセル内の点P(または複数の点Pを含む点群)に基づき、各ボクセルに、ラベルB0~B2の何れか1つを付ける。これら機能ブロックの動作により、例えば、上述したように、点群が存在しない、部屋RMの壁相当面、天井相当面、床相当面等の各箇所にステータスを付与することができる。これにより、計測空間の把握が容易になる。
【0049】
図5は、空間情報処理装置10のプロセッサ111により実行される空間情報処理を示すフローチャートである。例えば、入力装置115に対するオペレータの操作に応じて、プロセッサ111がレーザスキャナLSに対してスキャンを指示すると、図5に示される空間情報処理の実行が開始される。
【0050】
レーザスキャナLSは、プロセッサ111からの指示に従い、例えば自身を中心とした一定範囲内の空間をスキャンする。レーザスキャナLSは、スキャンにより得られた計測空間の点群を空間情報処理装置10に出力する。
【0051】
図6は、レーザスキャナLSにより測量された計測空間に存在する物体を表す点群の一例を示す。図6の例では、点P(または点群)が存在する領域を白で示し、点P(または点群)が存在しない領域を黒で示す。図6中、鉛直方向をz軸方向とし、z軸方向と直交し且つ互いに直交する2つの軸方向をそれぞれx軸方向、y軸方向とする。互いに直交するx軸方向、y軸方向およびz軸方向は、右手系をなす。図6に示される符号RC1については後に説明する。
【0052】
図6に示されるように、レーザスキャナLSにより測量される計測空間は、x軸、y軸、z軸の3軸で定義される三次元空間である。
【0053】
空間情報処理装置10は、図6に例示される点群を取得する(ステップS101)。このように、ステップS101において、空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSにより測量された計測空間に存在する物体を表す複数の点Pよりなる点群を取得する取得部(すなわち、点群取得部100A)として動作する。
【0054】
空間情報処理装置10は、計測空間を複数のボクセルに分割する(ステップS102)。例示的には、空間情報処理装置10は、ステップS101で取得された点群のxyz座標の最大値および最小値を用いて、全ての点Pを囲う直方体のバウンディングボックスを作成する。空間情報処理装置10は、作成されたバウンディングボックス内の空間(計測空間)を複数のボクセルに分割する。一例として、空間情報処理装置10は、計測空間を、一辺が10cmの立方体のボクセルに分割する。なお、ボクセルの設定サイズは任意に変更できることが好ましい。
【0055】
このように、ステップS102において、空間情報処理装置10は、点群を含む計測空間を複数のボクセルに分割する分割部(すなわち、ボクセル分割部100B)として動作する。
【0056】
空間情報処理装置10は、ステップS102で分割された各ボクセル内の点P(または複数の点Pを含む点群)に基づき、各ボクセルに、ラベルB0~B2の何れか1つを付ける(ステップS103)。
【0057】
ステップS103で実行されるラベリング処理を図7を用いて説明する。図7に示される格子は、バウンディングボックス内で分割されたボクセルを表現している。白丸(〇)が付記されたボクセルは、レーザスキャナLSが位置するボクセルを示す。白三角(△)が付記されたボクセルは、ラベルB0が付けられたボクセルを示す。黒丸(●)が付記されたボクセルは、ラベルB1が付けられたボクセルを示す。白四角(□)が付記されたボクセルは、ラベルB2が付けられたボクセルを示す。
【0058】
図7中、斜線のハッチングで示される領域は、点群が存在する領域を示す。符号W1およびW2が付された斜線のハッチング領域は、計測空間内に設けられた壁を示す。符号OP2が付されたドットのハッチング領域は、壁W2に設けられた開口部(例えばドアや窓)を示す。図7では、全方位に順次射出されるレーザ光のうち、レーザ光L1とレーザ光L2を代表して示す。符号LSW1は、レーザ光L1に対応するレーザ直線路を示す。符号LSW2は、レーザ光L2に対応するレーザ直線路を示す。
【0059】
図7の例では、レーザスキャナLSより射出されたレーザ光L1は、壁W1に当たる。レーザ光L1が当たった壁W1の領域(空間)には点群が存在する。この空間には物体が存在するため、当該空間が位置するボクセルには、ラベルB1が付けられる。すなわち、空間情報処理装置10は、このようなボクセルに、「物体が存在する第1の空間」を示すラベルB1を付ける。
【0060】
附言するに、点群に基づく物体検知の判定精度を向上させるため、予め適正に設定された閾値(便宜上「閾値TH」と記す。)以上の数の点Pが当該空間に存在する場合、この空間が位置するボクセルに物体が存在するものと判定されて、ラベルB1が付けられる。
【0061】
壁W1に遮られることによってレーザ光L1が届かない空間に位置するボクセルには、ラベルB0が付けられる。言い換えると、計測空間内のレーザスキャナLSの設置位置から計測空間の外部へ延びるレーザ直線路LSW1上に位置するボクセルのなかで、レーザスキャナLSに対し、ラベルB1が付けられたボクセルよりも離れて位置するボクセルには、ラベルB0が付けられる。すなわち、空間情報処理装置10は、このようなボクセルに、「物体が存在するか否か不明な第3の空間」を示すラベルB0を付ける。
【0062】
点Pの数が閾値TH未満のボクセルは、物体が存在しないものと判定される。そのため、このようなボクセルには、ラベルB2が付けられる。言い換えると、計測空間内のレーザスキャナLSが位置するボクセルとラベルB1が付けられたボクセル(すなわち、物体が存在すると判定されるボクセル)との間のボクセルは、レーザ光L1が通過する空間に対応する。そのため、このようなボクセルには、ラベルB2が付けられる。すなわち、空間情報処理装置10は、このようなボクセルに、「物体が存在しない第2の空間」を示すラベルB2を付ける。
【0063】
図8を用いて、レーザスキャナLSが位置するボクセルとラベルB1が付けられたボクセルとの間のボクセルを検知する方法の一例を説明する。図8中、符号Aは、レーザスキャナLSの位置を示す。符号Bは、物体が存在する位置を示す。符号pは、位置Aと位置Bとを結ぶ直線上の位置を示す。
【0064】
位置pは、次式により示される。
【0065】
p=(1-t)A+tB
0≦t≦1
【0066】
ステップS103において、空間情報処理装置10は、位置pを計算し、計算された位置pを含む各ボクセルを、レーザスキャナLSが位置するボクセルとラベルB1が付けられたボクセルとの間のボクセルとして検知する。空間情報処理装置10は、検知された各ボクセルに、ラベルB2を付ける。
【0067】
また、図7の例では、レーザスキャナLSより射出されたレーザ光L2は、壁W2に当たらず開口部OP2を通過する。レーザスキャナLSの設置位置から計測空間の外部へ延びるレーザ直線路LSW2上には、点Pの数が閾値TH以上のボクセルがない。空間情報処理装置10は、レーザ直線路LSW2上に位置するボクセルのなかでラベルB1のボクセルがない場合、レーザ直線路LSW2上に位置する全てのボクセルに、ラベルB2を付ける。
【0068】
ラベルB0~B2のラベリングの順序について補足する。ステップS103において、空間情報処理装置10は、まず、計測空間内の全てのボクセルに、ラベルB0を付ける。次いで、空間情報処理装置10は、物体が存在すると判定される全てのボクセルのラベルを、ラベルB1に書き換える。続いて、空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSが位置するボクセルとラベルB1のボクセルとの間に位置する全てのボクセルのラベルを、ラベルB2に書き換える。このような順序でラベリングを行うことにより、比較的軽い処理負荷で全てのボクセルに対するラベリングを完了させることができる。
【0069】
このように、ステップS103において、空間情報処理装置10は、点Pに基づき、レーザ直線路LSW上(すなわち点Pを取得するレーザ光が進む経路上およびこの経路の延長線上)に位置する空間に対しラベルを付ける、ラベリング部(すなわち、ラベリング部100C)として動作する。附言するに、ラベリング部100Cとして動作する空間情報処理装置10は、ボクセル分割部100Bにより分割された各ボクセル内の点Pに基づき、各ボクセルに、物体が存在する第1の空間、物体が存在しない第2の空間、物体が存在するか否か不明な第3の空間、の何れか1つのラベルB0~B2を付ける。
【0070】
空間情報処理装置10は、ステップS101で取得された点群に基づき、計測空間内の計測対象面を検出する(ステップS104)。
【0071】
図9を用いて、計測対象面の検出方法の一例を説明する。ここでは、部屋RMの天井相当面、床相当面、壁相当面を計測対象面とする。図9中、符号Scは、部屋RMの天井相当面を示す。符号Sfは、部屋RMの床相当面を示す。符号Swは、部屋RMの壁相当面を示す。
【0072】
ステップS104において、空間情報処理装置10は、例えば、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)を用いて点群から平面を検出する。xyz座標空間の平面の方程式は次に示される。
【0073】
ax+by+cz+d=0
【0074】
空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSの座標(例えばレーザスキャナLSの光学系の主点)からxy平面に垂直なベクトルVrを算出する。ベクトルVrは、レーザスキャナLSの設置位置を始点とした鉛直下方向の基準ベクトルである。
【0075】
空間情報処理装置10は、パラメータa、bおよびcを用いて、点群から検出された各平面の代表ベクトルを算出する。附言するに、空間情報処理装置10は、計測対象面が天井相当面、床相当面、壁相当面であることから、一定以上の面積をもつ平面に対してのみ代表ベクトルを算出する。ここでは、平面Sc、Sf、Swの代表ベクトルVc、Vf、Vwが算出される。
【0076】
空間情報処理装置10は、次式により、ベクトルVrと各代表ベクトルとの内積を計算する。
【0077】
ベクトルVr・代表ベクトル=|ベクトルVr|・|代表ベクトル|cosθ
【0078】
上記式において、cosθの絶対値が0.1以下となる場合、ベクトルVrと代表ベクトルとが実質的に垂直となる。図9の例では、ベクトルVrと代表ベクトルVwとの内積においてcosθの絶対値が0.1以下となる。そのため、代表ベクトルVwに対応する平面Swが、xy平面に対して垂直に立つ、一定以上の面積をもつ面といえる。従って、空間情報処理装置10は、平面Swを部屋RMの壁相当面として検出する。
【0079】
上記式において、cosθの絶対値が0.9以上となる場合、ベクトルVrと代表ベクトルとが実質的に平行となる。図9の例では、ベクトルVrと代表ベクトルVcとの内積においてcosθの絶対値が0.9以上となる。また、ベクトルVrと代表ベクトルVfとの内積においてcosθの絶対値が0.9以上となる。そのため、代表ベクトルVc、Vfに対応する平面Sc、Sfが、xy平面に対して平行な、一定以上の面積をもつ面、言い換えると、天井相当面または床相当面であるといえる。
【0080】
天井相当面は、レーザスキャナLSの上方に位置する。床相当面は、レーザスキャナLSの下方に位置する。そこで、空間情報処理装置10は、平面Sc、Sf上の任意のz座標と、レーザスキャナLSのz座標と、を比較する。
【0081】
図9の例では、平面Scのz座標がレーザスキャナLSのz座標よりも大きい。そのため、平面Scは、レーザスキャナLSの上方に位置する。従って、空間情報処理装置10は、平面Scを部屋RMの天井相当面として検出する。
【0082】
また、図9の例では、平面Sfのz座標がレーザスキャナLSのz座標よりも小さい。そのため、平面Sfは、レーザスキャナLSの下方に位置する。従って、空間情報処理装置10は、平面Sfを部屋RMの床相当面として検出する。
【0083】
このように、ステップS104において、空間情報処理装置10は、計測空間内の計測対象面を点群に基づいて検出する検出部(すなわち、計測対象面検出部100D)として動作する。附言するに、計測対象面検出部100Dとして動作する空間情報処理装置10は、レーザスキャナLSの設置位置を始点とした鉛直下方向のベクトルVrを算出し、計測対象面に垂直な代表ベクトルを計測対象面毎に算出し、ベクトルVrと代表ベクトルとの内積に基づき、各計測対象面が部屋RMの天井面、床面、壁面に相当するか否かを判定する。
【0084】
なお、レーザスキャナLSは、レーザスキャナLS直下の領域RCにはレーザ光をスキャンすることができない。そのため、この領域RCには点群が存在しない。なお、図9の例では、領域RCは、ベクトルVrに対して角度θ1をなす、円錐の母線L11の、平面Sf上の射影領域である。また、図6の例では、符号RC1で示される領域が領域RCに相当する。
【0085】
図10は、ステップS104で検出される計測対象面の一例を示す。図10に示されるように、ステップS104では、平面Swが壁相当面として検出され、平面Sfが床相当面として検出され、平面Scが天井相当面として検出される。また、レーザ光がスキャンされない領域RCが検出される。
【0086】
ステップS104の検出処理について更に補足する。図11は、床相当面の点群の一例を示す。図11中、最も長い壁相当面と床相当面との交線をx軸とし、x軸と直交し且つ床相当面と接する軸をy軸とし、x軸およびy軸と直交する軸をz軸とする。
【0087】
図12の上段図は、図11に示される点群から検出される壁相当面の一例を示す。図12の上段図に示されるように、空間情報処理装置10は、点群が密な領域と点群が疎な領域との境界上の点群を検出する。符号OP3は、点群が存在しない領域であり、例えば空いているドアに対応する。符号ERは、例えば家具等の物体の面を示す。図12の上段図の例では、このような物体の面が壁相当面として誤検出されている。
【0088】
空間情報処理装置10は、このような誤った検出部分を除去するため、図12の中段図に示されるように、点群がなす各直線同士の交点IPを抽出する。次いで、空間情報処理装置10は、図12の下段図に示されるように、抽出された各交点IPを接続する。これにより、符号ERに例示される誤検出部分が除去されて、壁相当面が確定する。
【0089】
なお、計測対象面は、平面に限らない。計測対象面は、曲面を含む面であってもよい。
【0090】
空間情報処理装置10は、ステップS104で検出された測定対象面とボクセルとの対応関係を算出する(ステップS105)。言い換えると、空間情報処理装置10は、ステップS104で検出された測定対象面をボクセルに変換する。
【0091】
図13を用いてステップS105の算出処理の一例を示す。図13の上段図は、空間情報処理装置10により抽出される、点群がなす各直線同士の交点IPを示す。空間情報処理装置10は、図13の中段図に示されるように、各交点IPを接続する直線上(図12の下段図参照)に位置する各ボクセルを算出する。空間情報処理装置10は、アルゴリズム(例えばWinding Number Algorithm)を用いて、ボクセルの内外判定を行う。この内外判定により、図13の下段図に示されるように、図13の中段図に示されるボクセルで囲われるボクセル(ここでは、床相当面のボクセル)が算出される。
【0092】
なお、空間情報処理装置10は、他の測定対象面(各壁相当面および天井相当面)に対しても同様の処理を行い、ボクセルとの対応関係を算出する。
【0093】
空間情報処理装置10は、ステップS104で検出された測定対象面上の領域をボクセル単位で視覚的に区別できるように、測定対象面上の各領域に位置するボクセルのラベルB0~B2に基づき、計測対象面上の各領域(言い換えると、ボクセル)に、ラベルに応じた色情報を付加する(ステップS106)。
【0094】
図14は、色情報が付加されたボクセル群が表す部屋RMの3次元モデルの一例を示す。図14の例では、各測定対象面(部屋RMの天井相当面、壁相当面、床相当面)上のボクセルのうち、ラベルB0が付けられたボクセルは、黄色(図14では便宜上、斜線のハッチング)で示される。また、ラベルB1が付けられたボクセルは、水色(図14では便宜上、白)で示される。また、ラベルB2が付けられたボクセルは、オレンジ色(図14では便宜上、ドットのハッチング)で示される。
【0095】
上述したように、レーザスキャナLS直下の領域RC2には、レーザ光がスキャンされない。そのため、領域RC2に位置するボクセルには、ラベルB0が付けられる。空間情報処理装置10は、領域RC2を視覚的に区別できるように、領域RCに位置するボクセルに、黄色以外の色(例えば赤色)を付加してもよい。
【0096】
図14に例示される3次元モデルは、例えば空間情報処理装置10の表示装置に表示される。オペレータは、このような3次元モデルを確認することにより、例えば、符号OP3で示される部分が部屋RMの開口部(例えばドア)であることを判断したり、符号UK1およびUK2で示される部分がドア(引き戸)で隠れている壁面部分であるものと推定できたりする。また、符号UK3で示される部分が、天井に設置された装飾物で隠れている部分であるものと推定したり、符号UK4で示される部分が、物体に遮られてレーザ光が届かなかった部分であるものと推定したり、符号UK5で示される部分が、床面の段差部分であるものと推定できたりする。
【0097】
また、オペレータは、このような3次元モデルを確認することにより、点群計測時の形状データの取り逃しの有無を判断したり、BIM(Building Information Modeling)の支援情報として活用できたりする。
【0098】
例えば、3次元モデルを確認したオペレータは、赤色で表示される領域RCが未計測部分であることを把握できる。そのため、オペレータは、この未計測部分を測量するため、レーザスキャナLSを部屋RMの異なる位置に移動させて、レーザスキャナLSに部屋RMを再度スキャンさせることができる。
【0099】
空間情報処理装置10は、異なるスキャン位置で測量された複数の点群データをマージすることにより、例えば、未計測部分のない3次元モデルを作成することができる。なお、測量精度を担保するため、複数の点群データは、マージ前に事前にレジストレーションされることが望ましい。
【0100】
なお、上記の色情報の付加方法は一例に過ぎない。例えば、ラベルB0が付けられたボクセルは、一律に黄色でなく、測定対象面毎に異なる色情報が付加されてもよい。ラベルB1、B2が付けられたボクセルも、それぞれ、一律に水色、オレンジ色でなく、測定対象面毎に異なる色情報が付加されてもよい。
【0101】
このように、ステップS105~S106において、空間情報処理装置10は、計測対象面検出部100Dにより検出された計測対象面をボクセルに変換し、ラベルB0~B2に基づき、ボクセルに視覚的情報を付加する付加部(すなわち、視覚的情報付加部100E)として動作する。附言するに、視覚的情報付加部100Eとして動作する空間情報処理装置10は、ボクセルに付けられたラベルに応じた色情報を付加する。これにより、例えば、オペレータは、ステータスの異なる計測対象面上の領域をボクセル単位で視覚的に区別することができる。
【0102】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等または自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
10 :空間情報処理装置
100 :バス
100A :点群取得部
100B :ボクセル分割部
100C :ラベリング部
100D :計測対象面検出部
100E :視覚的情報付加部
111 :プロセッサ
112 :メモリ
113 :補助記憶装置
113A :空間情報処理プログラム
114 :通信インタフェース
115 :入力装置
116 :出力装置
B0~B2:ラベル
LS :レーザスキャナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14