(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118517
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】太陽電池の検査装置
(51)【国際特許分類】
H02S 50/15 20140101AFI20240826BHJP
G01N 21/95 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02S50/15
G01N21/95 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024833
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100201455
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 宏治
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【テーマコード(参考)】
2G051
5F251
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB01
2G051BA04
2G051BB01
2G051CA04
2G051EA11
2G051EA17
5F251DA03
5F251DA10
5F251KA08
5F251KA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、黒点の候補となる黒点候補領域を抽出可能な太陽電池の検査装置を提供する。
【解決手段】光吸収スペクトルが500nmから650nmに少なくとも一のピーク波長を有する太陽電池の受光面を検査するものであり、太陽電池の受光面に対して、太陽電池の一のピーク波長よりも50nm以上長波長であって、かつ750nm以下の光を照射する発光部と、発光部の光軸に対して交差する撮像軸をもち、太陽電池の受光面を撮像する撮像部と、撮像部が撮像した撮像データから原色の階調で表された撮像画像を生成する画像生成部と、撮像画像を所定の閾値で二値化して受光面の画像内における黒点の候補となる黒点候補領域を抽出する黒点抽出部を備える構成とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光吸収スペクトルが500nmから650nmに少なくとも一のピーク波長を有する太陽電池の受光面を検査する太陽電池の検査装置であって、
前記太陽電池の受光面に対して、前記太陽電池の前記一のピーク波長よりも50nm以上長波長であって、かつ750nm以下の光を照射する発光部と、
前記発光部の光軸に対して交差する撮像軸をもち、前記太陽電池の受光面を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像データから原色の階調で表された階調加工画像を生成する画像生成部と、
前記階調加工画像を所定の閾値で二値化して前記階調加工画像内における黒点の候補となる黒点候補領域を抽出する黒点抽出部を備える、太陽電池の検査装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記撮像部が撮像した撮像データから赤色の階調で表された階調加工画像を生成する、請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記階調加工画像に対して、フィルタによってぼかしたフィルタ処理画像を生成し、
前記黒点抽出部は、前記階調加工画像と前記フィルタ処理画像に対して、所定の面積の複数の領域に分割し、各領域において画素の階調値の平均値の差分と閾値を比較して二値化し、黒点候補領域を抽出する、請求項1又は2に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項4】
前記黒点候補領域の大きさから前記太陽電池の良否を評価する黒点評価部を備える、請求項1又は2に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項5】
前記太陽電池は、裏面側に正極部及び負極部が設けられ、前記受光面に正極部及び負極部が設けられていないバックコンタクト型の太陽電池である、請求項1又は2に記載の太陽電池の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、裏面側のみに電極部が形成された複数の太陽電池セルが電気的に接続されたバックコンタクト型の太陽電池モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。
例えば、特許文献1の太陽電池モジュールは、太陽電池セルの端辺同士を重ね、太陽電池セルの電極部間をインターコネクタで接続されており(いわゆる、シングリング接続)、有効受光面積を大きくでき、従来に比べて出力が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池セルの製造過程において、異物(例えば、電極部に含まれる有機物成分)が混入した状態でモジュール化して発電すると、混入した異物が酸化して黒くなってみえる、いわゆる黒点が発生することがある。
特許文献1のようなバックコンタクト型の太陽電池モジュールは、太陽電池セルの受光面に電極部が存在しないため、受光面全体が均一な外観になる。そのため、太陽電池セルに黒点が発生すると、モジュール化したときに、従来の太陽電池モジュールに比べて目立ちやすく、品質として許容できる範囲が狭い。
この黒点は、従来から検査員の目視によって検査されているが、発生箇所と周囲との間のコントラスト差が小さく非常に見えにくい。そのため、バックコンタクト型の太陽電池モジュールで要求される精度で、目視により黒点の発生を検査することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、画像解析により、黒点の候補となる黒点候補領域を抽出可能な太陽電池の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための本発明の一つの様相は、光吸収スペクトルが500nmから650nmに少なくとも一のピーク波長を有する太陽電池の受光面を検査する太陽電池の検査装置であって、前記太陽電池の受光面に対して、前記太陽電池の前記一のピーク波長よりも50nm以上長波長であって、かつ750nm以下の光を照射する発光部と、前記発光部の光軸に対して交差する撮像軸をもち、前記太陽電池の受光面を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した撮像データから原色の階調で表された階調加工画像を生成する画像生成部と、前記階調加工画像を所定の閾値で二値化して前記階調加工画像内における黒点の候補となる黒点候補領域を抽出する黒点抽出部を備える、太陽電池の検査装置である。
【0007】
本様相によれば、太陽電池の光吸収スペクトルにおけるピーク波長よりも長波長側の光を照射して撮像し、その撮像データから原色の階調で表された撮像画像を生成し、原色の階調で表された撮像画像を所定の閾値で二値化して黒点候補領域を抽出する。すなわち、太陽電池セルの主な吸収波長よりも長波長側に離れた光を照射するので、太陽電池セルの部分で光が吸収されすぎず、異物たる黒点の陰影が形成されやすい。そのため、黒点がない良品箇所を目立たせず、黒点の候補となる黒点候補領域を強調することができる。その結果、検査品質の安定化及び属人化していた検査工程の自動化が可能となる。
【0008】
好ましい様相は、前記画像生成部は、前記撮像部が撮像した撮像データから赤色の階調で表された階調加工画像を生成する。
【0009】
本様相によれば、黒点候補領域とその周囲でコントラスト差を大きくでき、黒点候補領域を抽出しやすい。
【0010】
好ましい様相は、前記画像生成部は、前記階調加工画像に対して、フィルタによってぼかしたフィルタ処理画像を生成し、前記黒点抽出部は、前記階調加工画像と前記フィルタ処理画像に対して、所定の面積の複数の領域に分割し、各領域において画素の階調値の平均値の差分と閾値を比較して二値化し、黒点候補領域を抽出する。
【0011】
本様相によれば、黒点候補領域とその周囲でコントラスト差をより大きくでき、黒点候補領域を抽出しやすい。
【0012】
好ましい様相は、前記黒点候補領域の大きさから前記太陽電池の良否を評価する黒点評価部を備える。
【0013】
本様相によれば、自動で太陽電池の良否を評価できる。
【0014】
好ましい様相は、前記太陽電池は、裏面側に正極部及び負極部が設けられ、前記受光面に正極部及び負極部が設けられていないバックコンタクト型の太陽電池である。
【0015】
本様相によれば、黒点の有無の要求精度が高いバックコンタクト型の太陽電池であっても、黒点を抽出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の太陽電池の検査装置によれば、画像解析により、黒点の候補となる黒点候補領域を抽出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態の太陽電池の検査装置を概念的に示した側面図である。
【
図2】
図1の太陽電池の説明図であり、(a)受光面側からみた斜視図であり、(b)(a)をR方向に回転させて裏面側からみた斜視図である。
【
図3】
図1の検査装置の検査動作のフローチャートである。
【
図4】
図1の検査装置の検査動作で生成する撮像画像の説明図であり、(a)は撮像部による撮像データをもとに生成した生撮像画像であり、(b)は(a)を赤色の階調で表した階調加工画像であり、(c)は(b)に対して二値化処理を行った二値化処理画像を階調加工画像に重ねた画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明の第1実施形態の太陽電池の検査装置1(以下、単に検査装置1ともいう)は、太陽電池100を検査する装置であり、太陽電池100の黒点の有無を検査する外観検査装置である。
具体的には、検査装置1は、
図1のように、側射照明部2と、撮像部3と、ステージ部5と、解析部6を備えている。
【0020】
(側射照明部2)
側射照明部2は、
図1のように、第1側射側発光部10と、第2側射側発光部11を有し、各側射側発光部10,11から撮像軸P1に対して傾斜した方向から光を当てる部位である。
側射側発光部10,11は、太陽電池100の光吸収スペクトルのピーク波長(吸収波長)よりも50nm以上長波長であって、かつ750nm以下の光を照射することが可能となっている。
側射側発光部10,11は、側面視したときに撮像軸P1に対して左右対称位置に設けられており、同一位置に向かった光を照射可能となっている。
図1に示される各側射側発光部10,11の照射光の光路L1,L2は、側面視したときに、太陽電池100の受光面101に対して傾斜角度θ1,θ2で傾斜し、撮像軸P1に対しても傾斜角度(90-θ1),(90-θ2)で傾斜している。
傾斜角度θ1,θ2は、0度超過90度未満であり、15度以上60度以下であることが好ましい。
【0021】
(撮像部3)
撮像部3は、側射照明部2から照射された光の太陽電池100の受光面101での反射光を受光し、太陽電池100の受光面101の一部又は全部を撮像するカメラ部である。
【0022】
(ステージ部5)
ステージ部5は、被検査物たる太陽電池100を撮像軸P1が通過するように載置する載置台である。
【0023】
(解析部6)
解析部6は、撮像部3と接続され、撮像部3で撮像された撮像データから黒点の候補となる黒点候補領域120の有無を解析する部位である。
具体的には解析部6は、ハードウェア構成として、各装置を制御する制御装置とデータに対する演算を行う演算装置で構成される中央処理装置と、データを記憶する記憶装置、外部からデータを入力する入力装置、外部にデータを出力する出力装置を備えたコンピュータである。
【0024】
解析部6は、
図1のように、画像取得部20と、画像生成部21と、黒点抽出部22と、黒点評価部23を備えている。
画像取得部20は、撮像部3で撮像された画像データを取得する部位である。
画像生成部21は、画像取得部20で取得した画像データを画像処理し、撮像画像を生成する部位である。
本実施形態の画像生成部21は、画像取得部20で取得した画像データからRGB画像である撮像画像(以下、生撮像画像ともいう)を生成し、生撮像画像を赤色、緑色、青色のいずれかの原色のみの階調で表された撮像画像(以下、階調加工画像ともいう)に加工することが可能となっている。
また、画像生成部21は、フィルタ処理により、階調加工画像をぼかした撮像画像(以下、フィルタ処理画像ともいう)を生成することが可能となっている。
【0025】
黒点抽出部22は、画像生成部21で生成された階調加工画像とフィルタ処理画像を用いて黒点候補領域120を抽出する部位である。
黒点抽出部22は、階調加工画像とフィルタ処理画像に対して、所定の面積の複数の領域に分割し、各領域において画素の階調値の平均値の差分と閾値を比較し、閾値を境界に二値化して二値化処理画像を生成し、二値化画像から階調加工画像内の黒点候補領域を抽出することが可能となっている。
【0026】
黒点評価部23は、黒点抽出部22によって抽出された黒点候補領域120を評価する部位であり、黒点抽出部22で抽出された二値化処理画像における黒点候補領域120の大きさを算出し、黒点候補領域120の大きさを所定の基準値と比較して太陽電池100の黒点を評価する部位である。
【0027】
(太陽電池100)
太陽電池100は、検査装置1で検査される検査対象物であり、
図2のように、受光面101と裏面102を両主面とする略長方形状の板状パネルである。
太陽電池100は、裏面102側に端子部110a~110d,111を備え、受光面101側に端子部を備えないバックコンタクト型の太陽電池である。
太陽電池100は、光エネルギーを電気エネルギーに変換可能な光電変換基板を備えており、光吸収スペクトルにおいて500nmから650nmに少なくとも一のピーク波長を有するものである。
光電変換基板は、p型半導体とn型半導体が直接又は真性半導体を介して接合されたpn接合部と、p型半導体と電気的に接続された正極部と、n型半導体に接続された負極部を有している。
【0028】
第1端子部110a~110dは、光電変換基板の正極部又は負極部の一部をなす端子である。
第1端子部110a~110dは、導電性粒子と液状樹脂を含んだ電極ペーストをスクリーン印刷法によって塗布して形成されるものであり、導電体成分と、有機物成分を含んでいる。
【0029】
第2端子部111は、第1端子部110a~110dと対をなし、光電変換基板の負極部又は正極部の一部をなす端子である。
すなわち、第2端子部111は、第1端子部110a~110dが光電変換基板の正極部の一部をなす場合は、光電変換基板の負極部の一部をなす負極側端子であり、第1端子部110a~110dが光電変換基板の負極部の一部をなす場合は、光電変換基板の正極部の一部となる正極側端子である。
第2端子部111は、導電性粒子と液状樹脂を含んだ電極ペーストをスクリーン印刷法によって塗布して形成されるものであり、導電体成分と、有機物成分を含んでいる。
第2端子部111に使用される電極ペーストは、第1端子部110a~110dと同様のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0030】
続いて、本実施形態の検査装置1によって太陽電池100を検査する際の検査動作について
図3のフローチャートに即して説明する。
【0031】
検査装置1の検査動作は、側射照明部2の各側射側発光部10,11を点灯させ、各側射側発光部10,11から太陽電池100に対して光を照射して太陽電池100を照らし、太陽電池100での反射光(拡散反射光)を撮像部3で受光して撮像し、撮像部3で撮像された画像データを画像取得部20で取得する(ステップS1-1)。
【0032】
続いて、取得した画像データから画像生成部21によって生撮像画像(
図4(a)参照)を生成し(ステップS1-2)、生撮像画像を加工して赤色のみの階調で表された赤色画像たる階調加工画像(
図4(b)参照)を生成する(ステップS1-3)。
【0033】
このとき、階調加工画像では、
図4(a)のように生撮像画像では確認できなかった黒点候補領域120が
図4(b)のようにぼやけつつも陰影が形成された黒点候補領域120が確認される。
【0034】
続いて、階調加工画像をフィルタによってぼやかしてフィルタ処理画像を生成する(ステップS1-4)。
具体的には、階調加工画像をフィルタによってX軸方向の位置とY軸方向の位置を所定量動かしてぼかし、フィルタ処理画像を生成する。
【0035】
このときに使用されるフィルタとしては、例えば、ドロップシャドウフィルタなどが使用できる。
フィルタによって動かす量は、X軸方向とY軸方向で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態では、フィルタ処理画像は、階調加工画像をフィルタによってX軸方向の位置とY軸方向の位置を同じ距離分、動かしてぼかしている。
【0036】
続いて、黒点抽出部22によって、階調加工画像とフィルタ処理画像に対して、所定の面積の複数の領域に分割し、各領域において画素の階調値の平均値の差分と閾値を比較し、閾値を境界に二値化して二値化処理画像を生成し(ステップS1-5)、二値化処理画像内の黒点候補領域120を抽出する(ステップS1-6)。
具体的には、黒点抽出部22は、各領域における階調加工画像とフィルタ処理画像の画素の階調値の平均値の差分が所定の閾値よりも低い領域を第1色(例えば、白)にし、所定の閾値以上の領域を第1色とは異なる第2色(例えば、黒)とすることで、二値化処理画像を生成し、二値化処理画像において第2色で表される領域を黒点候補領域120として抽出する。
【0037】
このときに使用される所定の閾値は、太陽電池100の種類や要求される品質(黒点の許容範囲)によって適宜設定される。例えば、赤色が256階調で表現される場合、5以上30以下であることが好ましく、10以上20以下であることがより好ましい。
またこのとき、二値化処理画像では、
図4(b)のように階調加工画像の黒点候補領域120に対応する位置が
図4(c)のように黒塗りとなる。なお、
図4(c)では理解を容易にするために二値化処理画像を階調加工画像に重ねており、実際には黒点候補領域120が黒く、それ以外の部分が白いモノクロ二階調の画像となる。
【0038】
続いて、二値化処理画像から抽出された黒点候補領域120の大きさが所定の基準以下であるかどうかを黒点評価部23が判断する(ステップS1-7)。
【0039】
このときの基準は、太陽電池100の種類や要求される品質(黒点の許容範囲)によって適宜設定されるものである。
黒点候補領域120の大きさの評価方法は、特に限定されない。黒点候補領域120の面積が面積基準値以下となるかどうかで評価してもよいし、黒点候補領域120が所定の直径の基準円に収まるかどうかで評価してもよい。
例えば、面積で評価する場合は、面積基準値を0.5mm2以上1mm2以下の値と設定することができ、基準円で評価する場合は、基準円の直径を0.5mm以上1.5mm以下の値と設定することができる。
【0040】
ステップS1-7において、黒点候補領域120の大きさが所定の基準以下である場合には(ステップS1-7でYes)、黒点評価部23は、検査対象の太陽電池100に対して、黒点が発生していないか許容できる範囲内に収まっているとして良品と判定し(ステップS1-8)、検査動作を終了する。
【0041】
一方、ステップS1-7において、黒点候補領域120の大きさが所定の基準超過である場合には(ステップS1-7でNo)、黒点評価部23は、検査対象の太陽電池100に対して、黒点が許容できる範囲内に収まっていないとして不良品と判定し(ステップS1-9)、検査動作を終了する。
【0042】
本実施形態の検査装置1によれば、太陽電池100の光吸収スペクトルにおけるピーク波長よりも長波長側の光を照射して撮像し、その撮像データから赤色のみの階調で表された階調加工画像を生成し、階調加工画像を所定の閾値で二値化して黒点候補領域120を抽出するので、黒点がない良品箇所を目立たせず、黒点の候補となる黒点候補領域120を強調することができる。その結果、検査品質の安定化及び属人化していた検査工程の自動化が可能となる。また、黒点候補領域120とその周囲でコントラスト差を大きくでき、黒点候補領域120を抽出しやすい。
【0043】
本実施形態の検査装置1によれば、階調加工画像とフィルタ処理画像の差分によって二値化処理画像を生成し、黒点候補領域120を抽出する。フィルタ処理画像では、異物が存在する黒点候補領域120ではフィルタ処理により異物周囲の輝度勾配が小さくなり、黒点候補領域120の周囲は他の領域に比べて輝度値が高いか低くなるので、二値化処理画像では黒点候補領域120とその周囲でコントラスト差がより大きくなり、黒点候補領域120の大きさを判定しやすい。
【0044】
上記した実施形態では、画像生成部21によって画像データから生撮像画像を生成してから階調加工画像を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像データから直接階調加工画像を生成してもよい。
【0045】
上記した実施形態では、側射照明部2は、2つの側射側発光部10,11で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。側射照明部2は、1つの側射側光源部で構成されていてもよいし、3つ以上の側射側光源部で構成されていてもよい。
【0046】
上記した実施形態では、階調加工画像は、生撮像画像を赤色のみの階調で表された撮像画像であったが、本発明はこれに限定されるものではない。階調加工画像は、生撮像画像を他の原色のみ、すなわち、青色のみの階調で表された撮像画像であってもよいし、緑色のみの階調で表された撮像画像であってもよい。
【0047】
上記した実施形態では、バックコンタクト型の太陽電池100を検査したが、本発明はこれに限定されるものではない。両面に端子部を有した太陽電池を検査してもよい。
【0048】
上記した実施形態では、各領域の階調加工画像とフィルタ処理画像との階調値の差分から直接二値化処理画像を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。各領域の階調加工画像とフィルタ処理画像との階調値の差分で表した差分処理画像を生成し、差分処理画像から二値化処理画像を生成してもよい。
【0049】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0050】
1 検査装置
2 側射照明部
3 撮像部
10 第1側射側発光部
11 第2側射側発光部
20 画像取得部
21 画像生成部
22 黒点抽出部
23 黒点評価部
100 太陽電池
101 受光面
120 黒点候補領域