(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118520
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】受電装置
(51)【国際特許分類】
B60L 5/00 20060101AFI20240826BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20240826BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240826BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240826BHJP
H02J 50/05 20160101ALI20240826BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240826BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240826BHJP
【FI】
B60L5/00 B
B60L53/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/05
H02J50/20
H02J50/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024837
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GB08
5G503GB09
5H105AA09
5H105BA09
5H105BB07
5H105CC02
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105DD12
5H105EE15
5H125AA11
5H125AC04
5H125AC12
5H125AC25
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】移動体の変形による損傷を抑制できる受電装置を提供する。
【解決手段】送電装置2から非接触で電力が供給され、移動体10に搭載される受電装置3、3a、3b、3cは、受電アンテナ部35、35hを備え、前記受電アンテナ部は、前記移動体における変形する部分である変形箇所に配置され、可撓性を有し、前記変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置(2)から非接触で電力が供給され、移動体(10)に搭載される受電装置(3、3a、3b、3c)であって、
受電アンテナ部(35、35h)を備え、
前記受電アンテナ部は、前記移動体における変形する部分である変形箇所に配置され、可撓性を有し、前記変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である、
受電装置。
【請求項2】
送電装置(2)から非接触で電力が供給され、移動体(10)に搭載される受電装置(3d、3e、3f、3g)であって、
複数の第1部分(65)により構成される受電アンテナ部(35d)を備え、
前記複数の第1部分のそれぞれは、前記移動体における変形する部分である変形箇所を避けて配置されている、
受電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の受電装置において、前記複数の第1部分同士は、可撓性を有する部材により電気的に接続されている、受電装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の受電装置において、
前記移動体に搭載され、前記受電アンテナ部を支持する支持装置(60、60e)を更に備え、
前記支持装置は、前記変形箇所に配置され、可撓性を有し、前記移動体の前記変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である、
受電装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の受電装置において、
前記移動体に搭載され、前記受電アンテナ部を支持する支持装置(60b、60f)を更に備え、
前記支持装置は、関節部(61)を有し、前記移動体の前記変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である、
受電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の受電装置において、
前記移動体に搭載され、前記受電アンテナ部を支持する支持装置(60c、60g)を更に備え、
前記支持装置は、複数の第2部分(62)により構成されており、
前記複数の第2部分のそれぞれは、前記変形箇所を避けて配置されている、
受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路面上に設けられた給電装置から、移動体に設けられた受電装置に非接触で給電を行う技術が種々提案されている。かかる受電装置において、受電を行う受電部(受電アンテナ部)は、移動体の下面に配置されるため、路面と接触するおそれがある。このため、例えば特許文献1は、受電アンテナ部の後端を曲面形状とすることで、路面と受電アンテナ部との干渉を抑制する技術を開示している。また、非接触給電により稼働する移動体として、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle,AGV)が知られている。AGVにおいて、段差の昇降時や障害物への乗り上げ時に安定して走行を続けるために、AGVを前後方向に二分割し、それらを接続する連結部を有する構成がある。このようなAGVは、連結部を中心として上下方向に変形(屈曲)可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなAGVにおいて、連結部に受電アンテナ部を配置すると、受電アンテナ部はAGVの変形によって損傷するおそれがある。このような問題は、上述したようなAGVだけに限らず、連結部を有する移動体において共通する。また、連結部を有しない任意の種類の移動体においても、段差の昇降時や障害物への乗り上げ時に変形しやすい箇所に受電アンテナ部が配置されると、損傷するおそれがある。このため、移動体の変形による受電アンテナ部の損傷を抑制できる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態として、送電装置(2)から非接触で電力が供給され、移動体(10)に搭載される受電装置(3、3a、3b、3c)が提供される。この受電装置は、受電アンテナ部(35、35h)を備え、前記受電アンテナ部は、前記移動体における変形する部分である変形箇所に配置され、可撓性を有し、前記変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である。
【0007】
この形態の受電装置によれば、受電アンテナ部は、移動体における変形箇所に配置され、可撓性を有し、移動体の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能なので、受電アンテナ部が可撓性を有しない構成と比較して、移動体の変形による受電アンテナ部の損傷を抑制できる。また、受電アンテナ部を変形箇所に配置できるので、受電アンテナ部の搭載位置が制約されることを抑制できる。
【0008】
本開示の他の形態として、送電装置(2)から非接触で電力が供給され、移動体(10)に搭載される受電装置(3d、3e、3f、3g)が提供される。この受電装置は、複数の第1部分(65)により構成され、受電アンテナ部(35d)を備え、前記複数の第1部分のそれぞれは、前記移動体における変形する部分である変形箇所を避けて配置されている。
【0009】
この形態の受電装置によれば、受電アンテナ部は、複数の第1部分により構成され、複数の第1部分のそれぞれは、移動体における変形箇所を避けて配置されているので、受電アンテナ部が変形箇所に配置されている構成と比較して、移動体の変形による受電アンテナ部の損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態における、非接触給電システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態におけるAGVを下面側から見た斜視図である。
【
図3】第1実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電アンテナ部を模式的に示す説明図である。
【
図4】第2実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電装置を模式的に示す説明図である。
【
図5】第3実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電装置を模式的に説明図である。
【
図6】第4実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電装置を模式的に説明図である。
【
図7】第5実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電アンテナ部を模式的に示す説明図である。
【
図8】第6実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電装置を模式的に説明図である。
【
図9】第7実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電装置を模式的に説明図である。
【
図10】第8実施形態におけるAGVが段差を降りる際の受電装置を模式的に説明図である。
【
図11】他の実施形態における受電アンテナ部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施形態:
A1.非接触給電システムの構成:
図1に示すように、非接触給電システム1は、道路4に設けられた送電装置2と、AGV(Automatic Guided Vehicle,AGV)10側に設けられた受電装置3と、を備える。非接触給電システム1は、AGV10の走行中または停車中に送電装置2からAGV10にワイヤレスで給電することができるシステムである。
【0012】
図2に示すように、本実施形態におけるAGV10は、前部52と、後部53と、連結部51と、荷台50と、一対の駆動輪43と、一対の操舵輪40と、を備える。
【0013】
AGV10は、車両の前後方向において2分割されている。2分割されたうちで前側が前部52であり、後側が後部53である。連結部51は、前部52と後部53とを連結し、AGV10における関節として機能する。より具体的には、AGV10が段差を昇降する際や障害物へ乗り上げた際に、AGV10は、連結部51を中心として、上下方向に変形できる。より具体的には、AGV10は、連結部51を中心として、上側に凸となるように屈曲できる。これにより、AGV10は、段差の昇降時や障害物への乗り上げ時であっても、安定して走行を続けることができる。本実施形態において、AGV10の下面において、AGV10が段差を昇降する際や障害物へ乗り上げた際に変形(屈曲)する部分を「変形箇所」と呼ぶ。なお、変形箇所は、AGV10が移動する際だけでなく、停止状態のAGV10を支持する床面が変動した際にも生じ得る。
【0014】
荷台50には、任意の種類の荷物が搭載される。駆動輪43は、AGV10の前後方向における中央付近且つ左右方向の端部に一対設けられており、後述するモータジェネレータ41から伝達された駆動力により、AGV10を前進または後進させる。操舵輪40は、AGV10の左右方向の中央付近であって、前後方向の端部に一対設けられており、AGV10の進行方向を変更させる。
【0015】
図1に示すように、道路4側の送電装置2は、複数の送電コイル21と、複数の送電コイル21のそれぞれに交流電圧を印加して電力を供給する複数の送電回路24と、複数の送電回路24に電力を供給する外部電源25と、送電制御部26と、を備える。
【0016】
複数の送電コイル21は、道路4の進行方向に沿って並ぶように設置されている。送電コイル21は、複数のセクタに区分されている。
【0017】
送電回路24は、外部電源25から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換して送電コイル21に印加する。送電回路24は、例えばインバータ回路、フィルタ回路、共振回路を備える。なお、インバータ回路、フィルタ回路、共振回路については、周知のものなので、これらの説明を省略する。
【0018】
外部電源25は、直流電圧を送電回路24に供給する。例えば、外部電源25は、系統電源から力率改善回路(PFC)を介して送電回路24へ供給される。なお、PFCについては、図示を省略している。外部電源25が出力する直流電圧は、完全な直流電圧でなくてもよく、ある程度の変動(リップル)を含んでいてもよい。送電制御部26は、送電回路24および送電コイル21に送電を実行させる。
【0019】
受電装置3は、メインバッテリ31と、補機バッテリ32と、給電制御部33と、受電回路34と、受電アンテナ部35と、DC/DCコンバータ回路36と、インバータ回路37と、モータジェネレータ41と、補機42と、電力メータ44と、を備える。
【0020】
受電アンテナ部35は、受電を行う。受電アンテナ部35は、受電コイルと受電コイルを収納するケースとを備える。本実施形態において、受電アンテナ部35は、AGV10における連結部51の下方、すなわち変形箇所に設けられている。受電コイルは、送電コイル21から供給される電力を受け取る。受電コイルは、例えば可撓性を有する導線により構成されている。また、ケースは、例えば可撓性を有する樹脂部材または金属部材等により構成されている。したがって、本実施形態における受電アンテナ部35は、全体として可撓性を有する。
【0021】
受電コイルは、受電回路34に接続されており、受電回路34の出力には、メインバッテリ31と、DC/DCコンバータ回路36の高圧側と、インバータ回路37と、が接続されている。DC/DCコンバータ回路36の低圧側には、補機バッテリ32と、補機42と、が接続されている。インバータ回路37には、モータジェネレータ41が接続されている。
【0022】
受電回路34は、受電コイルから出力される交流電圧を直流電圧に変換する整流回路を含む。なお、受電回路34は、整流回路にて生成した直流の電圧を、メインバッテリ31の充電に適した電圧に変換するDC/DCコンバータ回路を含んでいても良い。受電回路34から出力される直流電圧は、メインバッテリ31の充電や、インバータ回路37を介したモータジェネレータ41の駆動に利用することができる。また、DC/DCコンバータ回路36を用いて降圧することで、補機バッテリ32の充電や、補機42の駆動にも利用可能である。
【0023】
メインバッテリ31は、モータジェネレータ41を駆動するための比較的高い直流電圧を出力する2次電池である。モータジェネレータ41は、3相交流モータとして動作し、AGV10の走行のための駆動力を発生する。モータジェネレータ41は、AGV10の減速時にはジェネレータとして動作し、3相交流電圧を発生する。インバータ回路37は、モータジェネレータ41がモータとして動作するとき、メインバッテリ31の直流電圧を3相交流電圧に変換してモータジェネレータ41に供給する。インバータ回路37は、モータジェネレータ41がジェネレータとして動作するとき、モータジェネレータ41が出力する3相交流電圧を直流電圧に変換してメインバッテリ31に供給する。
【0024】
DC/DCコンバータ回路36は、メインバッテリ31の直流電圧を、補機42の駆動に適した直流電圧に変換して補機バッテリ32及び補機42に供給する。補機バッテリ32は、補機42を駆動するための直流電圧を出力する2次電池である。補機42は、AGV10のライト、荷台50の昇降装置など様々なアクセサリーを含む。
【0025】
電力メータ44は、受電コイルにおいて供給された電力を計量する。計量された電力は、AGV10に設けられた表示装置に表示されてもよいし、AGV10の外部に設けられたサーバー等のコンピュータに送信されてもよい。
【0026】
A2.受電アンテナ部35の変形:
図3に示すように、AGV10が紙面左方向から右方向に向かって段差Sを降りる際に、AGV10は連結部51を中心として、上下方向に変形する。換言すると、AGV10は、連結部51を中心として、上方向に凸となるように屈曲する。なお、
図3では説明の便宜上、前部52と、後部53と、操舵輪40と、受電アンテナ部35とを除く他の構成については、省略している。上述したように受電アンテナ部35は、全体として可撓性を有しており、AGV10の変形箇所に配置されている。このため、受電アンテナ部35は、AGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である。このようなことから、受電アンテナ部35を変形箇所に配置しても、AGV10の変形による受電アンテナ部35の損傷を抑制できる。
【0027】
以上説明した第1実施形態の受電アンテナ部35によれば、受電アンテナ部35は、AGV10における変形する変形箇所に配置され、可撓性を有し、AGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能なので、受電アンテナ部35が可撓性を有しない構成と比較して、AGV10の変形時の受電アンテナ部35の損傷を抑制できる。
【0028】
また、受電アンテナ部35を変形箇所に配置できるので、受電アンテナ部35の搭載位置が制約されることを抑制できる。
【0029】
B.第2実施形態:
図4に示す第2実施形態の受電装置3aは、支持装置60を更に備える点で、第1実施形態の受電装置3と異なる。第2実施形態の受電装置3aにおけるその他の構成は、第1実施形態の受電装置3と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、支持装置60は、AGV10の下面における変形箇所に設けられており、受電アンテナ部35を支持している。支持装置60は、例えば可撓性を有する部材により構成される。そのような部材は、例えば樹脂材料を加工して製造された可撓性を有するブラケット、アングル、ワイヤ、制振シート等である。したがって、本実施形態における支持装置60は、全体として可撓性を有する。
【0031】
支持装置60は、AGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能である。このため、AGV10の変形箇所に支持装置60を配置しても、支持装置60の損傷を抑制できる。また、受電アンテナ部35とAGV10との間に、支持装置60が在ることにより、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、受電アンテナ部35に加えられる衝撃を低減できる。
【0032】
以上説明した第2実施形態の受電装置3aによれば、第1実施形態の受電装置3と同様の効果を奏する。また、第2実施形態の受電装置3aは、受電アンテナ部35を支持する支持装置60を更に備え、支持装置60は、可撓性を有し、AGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能であるので、AGV10の変形時における支持装置60の損傷を抑制できる。また、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、支持装置60を備えない構成と比較して、受電アンテナ部35に加えられる衝撃を低減できる。
【0033】
C.第3実施形態:
図5に示す第3実施形態の受電装置3bは、支持装置60bを更に備える点で、第1実施形態の受電装置3と異なる。第3実施形態の受電装置3bにおけるその他の構成は、第1実施形態の受電装置3と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、支持装置60bは、AGV10の下面の変形箇所に設けられており、受電アンテナ部35を支持している。支持装置60bは、ブラケット、アングル、ワイヤ、制振シート等により構成される。第3実施形態の支持装置60bは、第2実施形態の支持装置60と異なり、必ずしも可撓性を有する部材により構成されていなくてもよい。支持装置60bは、関節部61を備える。関節部61は、AGV10の変形に応じて支持装置60bが上下方向に変形(屈曲)できるように設けられた関節構造である。関節部61は、例えば蝶番、ボールジョイント、歯車、リンク機構、継手などとして構成される。なお、関節部61はこれらの構造に限定されず、支持装置60bの屈曲を実現できる任意の構造であってもよい。また、
図5では関節部61が変形箇所に一つ設けられているが、関節部61は一つに限らず複数個設けられていてもよい。
【0035】
以上説明した第3実施形態の受電装置3bによれば、第1実施形態の受電装置3と同様の効果を奏する。また、第3実施形態の受電装置3bは、支持装置60bを更に備え、支持装置60bは、関節部61を有しておりAGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能なので、AGV10の変形時における支持装置60bの損傷を抑制できる。また、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、支持装置60bを備えない構成と比較して、受電アンテナ部35に加えられる衝撃を低減できる。
【0036】
D.第4実施形態:
図6に示す第4実施形態の受電装置3cは、複数の第2部分62により構成される支持装置60cを更に備える点で、第1実施形態の受電装置3と異なる。第3実施形態の受電装置3cにおけるその他の構成は、第1実施形態の受電装置3と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、支持装置60cは、AGV10の下面の変形箇所に設けられており、受電アンテナ部35を支持している。支持装置60cは、複数の第2部分62により構成されている。複数の第2部分62のそれぞれは、AGV10の変形箇所を避けて配置されている。なお、
図6では複数の第2部分62が前部52と後部53とに1個ずつの計2個設けられているが、2個に限らず、3個以上の任意の数の第2部分62が設けられてもよい。複数の第2部分62のそれぞれは、ブラケット、アングル、ワイヤ、制振シート等により構成される。
【0038】
以上説明した第4実施形態の受電装置3cによれば、第1実施形態の受電装置3と同様の効果を奏する。また、第4実施形態の受電装置3cは、複数の第2部分62により構成された支持装置60cを有し、複数の第2部分62のそれぞれは、AGV10の変形箇所を避けて配置されるので、AGV10の変形時における支持装置60cの破損を抑制できる。また、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、支持装置60cを備えない構成と比較して、受電アンテナ部35に加えられる衝撃を低減できる。
【0039】
E.第5実施形態:
図7に示す第5実施形態の受電装置3dは、受電アンテナ部35dが複数の第1部分65により構成される点と、複数の第1部分65同士が電気的に接続されている点とにおいて、第1実施形態の受電装置3と異なる。第5実施形態の受電装置3dにおけるその他の構成は、第1実施形態の受電装置3と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
複数の第1部分65のそれぞれは、受電コイルと受電コイルを収納するケースとを備える。第1実施形態の受電コイルおよびケースは可撓性を有していたが、第5実施形態における受電コイルおよびケースは、必ずしも可撓性を有していなくてもよい。複数の第1部分65のそれぞれは、AGV10の下面において変形箇所を避けて配置されている。複数の第1部分65のそれぞれは、導線73により互いに電気的に接続されている。本実施形態における導線73は、可撓性を有する材料により構成されている。そのような材料は、例えば銅である。なお、
図7では複数の第1部分65が前部52と後部53とに1個ずつの計2個設けられているが、2個に限らず、3個以上の任意の数の第1部分65が設けられてもよい。
【0041】
以上説明した第5実施形態の受電アンテナ部35dによれば、受電アンテナ部35dは、複数の第1部分65により構成され、複数の第1部分65のそれぞれは、AGV10における変形する変形箇所を避けて配置されているので、受電アンテナ部35dが変形箇所に配置されている構成と比較して、AGV10の変形による受電アンテナ部35dの損傷を抑制できる。
【0042】
F.第6実施形態:
図8に示す第6実施形態の受電装置3eは、支持装置60eを更に備える点で、第5実施形態の受電装置3dと異なる。第6実施形態の受電装置3eにおけるその他の構成は、第5実施形態の受電装置3dと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図8に示すように、支持装置60eは、AGV10の下面における変形箇所に設けられており、受電アンテナ部35dを支持している。より具体的には、支持装置60eは、複数の第1部分65のそれぞれを支持している。支持装置60eは、第2実施形態の支持装置60と同様に、可撓性を有する部材により構成されるので、全体として可撓性を有する。
【0044】
以上説明した第6実施形態の受電装置3eによれば、第5実施形態の受電装置3dと同様の効果を奏する。また、第6実施形態の受電装置3eは、受電アンテナ部35dを支持する支持装置60eを更に備え、支持装置60eは、可撓性を有し、AGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能であるので、AGV10の変形時における支持装置60eの損傷を抑制できる。また、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、支持装置60eを備えない構成と比較して、受電アンテナ部35dに加えられる衝撃を低減できる。
【0045】
G.第7実施形態:
図9に示す第7実施形態の受電装置3fは、支持装置60fを更に備える点で、第5実施形態の受電装置3dと異なる。第7実施形態の受電装置3fにおけるその他の構成は、第5実施形態の受電装置3dと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、支持装置60fは、AGV10の下面の変形箇所に設けられており、第1部分65のそれぞれを支持している。支持装置60fは、ブラケット、アングル、ワイヤ、制振シート等により構成される。第7実施形態の支持装置60fは、第6実施形態の支持装置60eと異なり、必ずしも可撓性を有する部材により構成されていなくてもよい。第7実施形態の支持装置60fは、第3実施形態の支持装置60bと同様に、関節部61を有する。なお、
図9では関節部61が変形箇所に一つ設けられているが、関節部61は、一つに限らず複数個設けられていてもよい。
【0047】
以上説明した第7実施形態の受電装置3fによれば、第5実施形態の受電装置3dと同様の効果を奏する。また、第7実施形態の受電装置3fは、支持装置60fを更に備え、支持装置60fは、関節部61を有しAGV10の変形に応じて少なくとも部分的に変形可能なので、AGV10の変形時における支持装置60fの損傷を抑制できる。また、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、支持装置60fを備えない構成と比較して、受電アンテナ部35dに加えられる衝撃を低減できる。
【0048】
H.第8実施形態:
図10に示す第8実施形態の受電装置3gは、複数の第2部分62により構成される支持装置60gを更に備える点で、第5実施形態の受電装置3dと異なる。第8実施形態の受電装置3gにおけるその他の構成は、第5実施形態の受電装置3dと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0049】
図10に示すように、支持装置60gは、AGV10の下面の変形箇所に設けられており、複数の第1部分65を支持している。第8実施形態の支持装置60gは、第4実施形態の支持装置60cと同様に、複数の第2部分62により構成されている。複数の第2部分62のそれぞれは、AGV10の変形箇所を避けて配置されている。なお、
図6では複数の第2部分62が前部52と後部53とに1個ずつの計2個設けられているが、2個に限らず、3個以上の任意の数の第2部分62が設けられてもよい。
【0050】
以上説明した第8実施形態の受電装置3gによれば、第5実施形態の受電装置3dと同様の効果を奏する。また、第8実施形態の受電装置3gは、複数の第2部分62により構成された支持装置60gを有し、複数の第2部分62のそれぞれは、AGV10の変形箇所を避けて配置されるので、AGV10の変形時における支持装置60cの破損を抑制できる。また、AGV10に大きな振動などの衝撃が加えられた場合であっても、支持装置60gを備えない構成と比較して、受電アンテナ部35dに加えられる衝撃を低減できる。
【0051】
I.他の形態:
(I1)上記各実施形態において、受電装置3,3b,3c,3d,3e,3f,3gはAGV10に搭載されていたが、本開示はこれに限定されない。受電装置3,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3gは、任意の種類の移動体に搭載されていてもよい。なお、任意の種類の移動体は、連結部51を有しなくてもよい。かかる連結部51を有しない構成において、第1実施形態~第4実施形態で説明した受電アンテナ部35は、任意の種類の移動体が段差Sを昇降する際における変形しやすい箇所に配置され得る。また、第5実施形態~第8実施形態で説明した受電アンテナ部35dは、変形しやすい箇所を避けて配置され得る。変形しやすい箇所は、例えば移動体の下部における前後方向および左右方向の中央付近である。
【0052】
(I2)上記実施形態において、変形箇所は、AGV10の下面において、AGV10が段差を昇降する際や障害物へ乗り上げた際に変形(屈曲)する部分であったが、本開示はこれに限定されない。変形箇所は、移動体の側面や上面であってもよい。変形箇所が側面である一例として、トレーラーにおける運転席と荷台との連結部分や、列車における車両同士の連結部分が挙げられる。かかる変形箇所は、トレーラーまたは列車の旋回時に左右方向に変形(屈曲)する。また、受電アンテナ部35,35dは、AGV10の下部に設けられていたが、本開示はこれに限定されない。受電アンテナ部35,35dは、移動体の側部または上部に設けられてもよい。
【0053】
(I3)上記第1~第4実施形態において、受電アンテナ部35,35dは、可撓性を有する受電コイルおよびケースにより構成されることで、受電アンテナ部35,35d全体として可撓性を有していたが、本開示はこれに限定されない。
図11に示すように、受電アンテナ部35hは、複数の分割コイル70と、分割コイル70を覆う柔らかいフィルム71により構成されてもよい。複数の分割コイル70同士は、導線により互いに電気的に接続される。かかる構成によっても、受電アンテナ部35hは、分割コイル70同士の接続部分で折れ曲がることができる。これにより、受電アンテナ部35h全体として可撓性を有する。
【0054】
(I4)上記各実施形態において、受電アンテナ部35,35d,35hは、シールドおよびフェライトコアを更に有してもよい。シールドは、受電アンテナ部35,35d,35h以外の他の装置に電磁波が伝播することを抑制する。シールドは、例えばアルミニウムなどの可撓性を有する金属により構成される。フェライトコアは、受電コイルのインダクタンスの調節に用いられる。フェライトコアは、例えばゴムフェライトなど、可撓性を有する磁性体により構成される。
【0055】
(I5)上記各実施形態において、受電アンテナ部35,35d,35hは、ケースを備えていたが、本開示はこれに限定されない。受電アンテナ部35,35d,35hは、ケースを備えない構成であってもよい。
【0056】
(I6)上記各実施形態において、受電装置3,3b,3c,3d,3e,3f,3gにおける受電アンテナ部35,35d,35h以外の他の構成は、変形箇所を避けて搭載され得る。
【0057】
(I7)上記第5~第8実施形態において、複数の第1部分65のそれぞれは、導線により互いに電気的に接続されていたが、本開示はこれに限定されない。複数の第1部分65は、互いに非接触で電力を供給可能に接続されていてもよい。
【0058】
(I8)上記各実施形態において、非接触給電システム1は、送電コイル21および受電コイルにより給電を行う磁界結合方式であったが、本開示はこれに限定されない。非接触給電システム1は、電界結合方式や、電波受信方式などの任意の非接触給電方式であってもよい。電界結合方式の場合、非接触給電システム1は、送電コイル21および受電コイルに代えて、送電側電極および受電側電極を備える。また、受電アンテナ部35,35d,35hは、少なくとも受電側電極を備える。このような構成において、受電側電極は、可撓性を有する部材により構成されるか、複数の部分により構成される。電波受信方式の場合、非接触給電システム1は、送電コイル21および受電コイルに代えて、送電アンテナおよび受電アンテナを備える。また、受電アンテナ部35,35d,35は、少なくとも受電アンテナを備える。このような構成において、受電アンテナは、可撓性を有する部材により構成されるか、複数の部分により構成される。
【0059】
(I9)上記第3実施形態および第7実施形態において、支持装置60b,60fは、複数の第2部分62同士が関節部61により接続された構成であってもよい。
【0060】
(I10)上記第1~第4実施形態において、受電アンテナ部35は、全体として可撓性を有していたが、本開示はこれに限定されない。受電アンテナ部35は、移動体の変形に応じて変形可能であれば、部分的に可撓性を有する構成であってもよい。また、上記第2実施形態および第6実施形態において、支持装置60,60eは、全体として可撓性を有していたが、本開示はこれに限定されない。支持装置60,60eは、移動体の変形に応じて変形可能であれば、部分的に可撓性を有する構成であってもよい。
【0061】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…非接触給電システム、2…送電装置、3,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g…受電装置、4…道路、21…送電コイル、24…送電回路、25…外部電源、26…送電制御部、31…メインバッテリ、32…補機バッテリ、33…給電制御部、34…受電回路、35,35d,35h…受電アンテナ部、36…DC/DCコンバータ回路、37…インバータ回路、40…操舵輪、41…モータジェネレータ、42…補機、43…駆動輪、44…電力メータ、50…荷台、51…連結部、52…前部、53…後部、60,60b,60c,60e,60f,60g…支持装置、61…関節部、62…第2部分、65…第1部分、70…分割コイル、71…フィルム、73…導線、S…段差