IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧

特開2024-118528情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図10
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図11
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118528
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2206 20180101AFI20240826BHJP
   G01N 23/2254 20180101ALI20240826BHJP
   G01N 23/20 20180101ALI20240826BHJP
【FI】
G01N23/2206
G01N23/2254
G01N23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024848
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亮暢
(72)【発明者】
【氏名】奥村 文洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 嘉代
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 邦博
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA15
2G001BA28
2G001CA03
2G001CA07
2G001DA06
2G001HA07
2G001HA13
2G001KA03
2G001LA11
2G001MA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】情報処理システムが提供される。
【解決手段】情報処理システムは、少なくとも1つ以上の制御部を有する。少なくとも1つ以上の制御部は、第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定する。第2の撮像画像は、第1の撮像画像より高倍率な撮像画像である。試料の撮像領域での第2の撮像画像の撮像指示を走査型電子顕微鏡110に対して送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
少なくとも1つ以上の制御部を有し、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定し、
前記第2の撮像画像は、前記第1の撮像画像より高倍率な撮像画像であり、
前記試料の前記撮像領域での前記第2の撮像画像の撮像指示を走査型電子顕微鏡に対して送信する、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
走査型電子顕微鏡で撮像された前記第1の撮像画像を受信し、
受信した前記第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
前記第1の撮像画像に対して画像処理を実行し、前記第1の撮像画像から前記欠陥部を抽出し、抽出した前記欠陥部に基づき前記撮像領域を設定する、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
前記試料の欠陥部を囲む矩形領域に基づき前記撮像領域に設定する、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記試料には複数の欠陥部が存在し、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
前記複数の欠陥部それぞれの矩形領域に関する重複率とカバー率とに基づいて前記撮像領域を設定し、
前記重複率は2つ以上の矩形領域で覆われた欠陥部の数/前記第1の撮像画像に含まれる欠陥部の数であり、
前記カバー率は矩形領域に含まれる欠陥部の数/前記第1の撮像画像に含まれる欠陥部の数である、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
前記重複率と前記カバー率とに基づく評価値が最小となるような前記撮像領域を設定する、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記少なくとも1つ以上の制御部は、
前記試料上の撮像領域の中心部の座標を前記走査型電子顕微鏡のステージの座標に変換し、前記撮像領域での前記第2の撮像画像の撮像指示を前記走査型電子顕微鏡に対して送信する、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記試料は、GaN結晶である、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1の撮像画像はカソードルミネッセンス像であり、
前記第2の撮像画像は反射電子像である、
情報処理システム。
【請求項10】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定し、
前記第2の撮像画像は、前記第1の撮像画像より高倍率な撮像画像であり、
前記試料の前記撮像領域での前記第2の撮像画像の撮像指示を走査型電子顕微鏡に対して送信する、
情報処理方法。
【請求項11】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の情報処理システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
結晶の欠陥の位置を評価する方法としてエッチピット法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エッチピット法は化学処理であるため、結晶が破壊される問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、少なくとも1つ以上の制御部を有する。少なくとも1つ以上の制御部は、第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定する。第2の撮像画像は、第1の撮像画像より高倍率な撮像画像である。試料の撮像領域での第2の撮像画像の撮像指示を走査型電子顕微鏡に対して送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、PC100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、同一領域のCL像及び反射電子像の一例を示す図である。
図4図4は、制御部210が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、GaN結晶のCL像の一例を示す図である。
図6図6は、欠陥部抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、二値化されたCL像の一例を示す図である。
図8図8は、抽出された欠陥部の一例を示す図である。
図9図9は、生成された撮像矩形の一例を示す図である。
図10図10は、撮像領域設定処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、生成されたそれぞれの撮像矩形の一例を示す図である。
図12図12は、撮像された反射電子像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0008】
本明細書において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、実施形態1においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0009】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0010】
<実施形態1>
1.情報処理システム
図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。情報処理システム1000は、システム構成として、PC(Personal Computer)100と、走査型電子顕微鏡110と、を含む。PC100は、以下に示す変形例も含めて実施形態1に係る情報処理を実行する。走査型電子顕微鏡110は、PC100からの制御に基づき電子線を絞って電子ビームとして対象に照射し、試料から放出される反射電子像等を検出することで対象を観察する。実施形態1では試料としてGaN結晶を例に説明を行う。PC100と走査型電子顕微鏡110とは有線を介して通信可能に接続されていてもよいし、無線を介して通信可能に接続されていてもよい。図1ではPC100と走査型電子顕微鏡110とは有線を介して通信可能に接続されている例を示している。
【0011】
なお、特許請求の範囲に記載の情報処理システムは、1つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。1つの装置で構成される場合、特許請求の範囲に記載の情報処理システムの一例は、PC100である。複数の装置で構成される場合、特許請求の範囲に記載の情報処理システムの一例は、PC100の機能を提供するクラウドシステムであったり、PC100と走査型電子顕微鏡110の組み合わせであったりする。情報処理システムの一例がPC100の場合、1つ以上の制御部の一例は後述する制御部210である。情報処理システムの一例が複数の装置の場合、1つ以上の制御部の一例はそれぞれの装置の1つ以上の制御部である。
【0012】
2.ハードウェア構成
図2は、PC100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、PC100は、ハードウェア構成として、制御部210と、記憶部220と、入力部230と、表示部240と、通信部250と、を含む。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等であって、PC100の全体を制御する。記憶部220は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)等の何れか、又はこれらの任意の組み合わせであって、プログラム、制御部210がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶させる。制御部210が、記憶部220に記憶されているプログラムに基づき、処理を実行することによって、PC100の機能及び後述する図4図6図10に示されるフローチャートの処理等が実現される。入力部230は、マウス及び/又はキーボード等であって、PC100の操作者の操作情報等を制御部210に入力する。表示部240は、ディスプレイ等であって、制御部210による処理の結果及び走査型電子顕微鏡110から送信されたデータ等を表示する。通信部250は、PC100をネットワークに接続し、他の装置との通信を司る。
【0013】
3.情報処理
以下、実施形態1の情報処理を説明する。
(CL像と反射電子像)
制御部210は、GaN結晶中に分布する欠陥(結晶欠陥、転位)の検出等、欠陥の判別を大面積に対して評価可能にする。実施形態1の処理は、カソードルミネッセンス像(以下、CL像という)に写る黒点と、反射電子像に写る欠陥コントラストと、が同一箇所に存在し、反射電子像の欠陥コントラストから転位の種類を判別できることが基となっている。図3は、同一領域のCL像及び反射電子像の一例を示す図である。丸310、丸320はそれぞれ転位箇所である。CL像は第1の撮像画像の一例である。反射電子像は第2の撮像画像の一例である。
【0014】
(情報処理の概要)
制御部210は、CL像に含まれるGaN結晶の欠陥部に基づき反射電子像の撮像領域を設定する。反射電子像は、CL像より高倍率な撮像画像である。制御部210は、GaN結晶の撮像領域での反射電子像の撮像指示を走査型電子顕微鏡に対して送信する。制御部210がこのような処理を実行することによって、非破壊で欠陥部を評価可能な反射電子像を得ることが可能となる。
【0015】
(情報処理の詳細)
図4は、制御部210が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS401において、制御部210は、GaN結晶表面のCL像を撮像するよう走査型電子顕微鏡110に対して制御信号を送信する。走査型電子顕微鏡110は、制御信号に基づき複数の欠陥部(例えば約100点ほどの欠陥部)の高倍率撮像のため、低倍率(例えば倍率1k倍)で複数の黒点が写るように撮像する。走査型電子顕微鏡110で撮像されたCL像はPC100に送信され、PC100の記憶部220等に格納される。図5は、GaN結晶のCL像の一例を示す図である。CL像中の黒点は欠陥部(結晶欠陥、転位)に相当する。図5に示されるように、GaN結晶には複数の欠陥部が存在する。そして、制御部210は、走査型電子顕微鏡で撮像されたCL像を走査型電子顕微鏡より受信する。
【0016】
ステップS402において、制御部210は、CL像に対して画像処理を実行し、CL像から欠陥部を抽出する。図6は、欠陥部抽出処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS610において、制御部210は、CL像に対して輝度値の正規化を行う。
ステップS620において、制御部210は、CL像に対して輝度値に基づき二値化を行う。図7は、二値化されたCL像の一例を示す図である。
【0017】
ステップS630において、制御部210は、二値化済み画像に基づき二値化済み画像から欠陥部を抽出する。図8は、抽出された欠陥部の一例を示す図である。
【0018】
ステップS640において、制御部210は、抽出した欠陥部を中心とした撮像矩形を生成する。撮像矩形はこの後に撮像する高倍率反射電子像の撮像範囲(例えば1280×960比率の矩形)を表す。図9は、生成された撮像矩形の一例を示す図である。図9に示されるように、1つの欠陥部に対して1つの撮像矩形が割り当てられているため複数の撮像矩形が重なって描画される。すなわち、重複率が高い。そのため、無駄な撮像が生じてしまう。そこで、制御部210は、重複率を下げつつ、多くの黒点を撮像するような(カバー率を高めるような)撮像矩形を探索する。
【0019】
図4の説明に戻る。
ステップS403において、制御部210は、低い重複率と高いカバー率を満たすような撮像矩形を探索、生成する。すなわち、制御部210は、受信したCL像に含まれる試料の欠陥部に基づき反射電子像の撮像領域を設定する。すなわち、制御部210は、CL像から抽出した試料の欠陥部に基づき撮像領域を設定する。
図10は、撮像領域設定処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS1001において、制御部210は、初期化処理として
目標撮像数=欠陥部数
評価最長値=大きな値(例えば、所定の閾値)
とする。
【0020】
ステップS1002において、制御部210は、目標撮像数の撮像位置(撮像位置リスト)を算出する。より具体的に説明すると、制御部210は、欠陥部の座標をk-meansクラスタリングして撮像位置リストを算出する。
【0021】
ステップS1003において、制御部210は、算出した撮像位置リストに含まれるそれぞれの撮像位置の座標からそれぞれの撮像矩形を生成する。図11は、生成されたそれぞれの撮像矩形の一例を示す図である。後述するように制御部210は、試料の欠陥部を囲む矩形領域に基づき撮像領域に設定する。
【0022】
ステップS1004において、制御部210は、撮像位置リストの評価値を求める。制御部210は、評価値を以下の式に基づき求める。
・評価値=重複率-重み×カバー率
・重複率=2つ以上の撮像矩形で覆われた黒点の数/CL像に含まれる黒点の数
・重み=所定値
・カバー率=撮像矩形に含まれる黒点の数/CL像に含まれる黒点の数
【0023】
ステップS1005において、制御部210は、算出した撮像位置リストの評価値と評価最小値とを比較し、評価値が評価最小値より小さいか否かを判定する。制御部210は、評価値が評価最小値より小さいと判定すると、処理をステップS1006に進める。制御部210は、評価値が評価最小値より小さくないと判定すると、処理をステップS1007に進める。
【0024】
ステップS1006において、制御部210は、カウンタに0を代入し、評価最小値に評価値を代入する。
ステップS1007において、制御部210は、カウンタの値を1増加させる。
【0025】
ステップS1008において、制御部210は、カウンタの値が閾値以上か否かを判定する。制御部210は、カウンタの値が閾値以上であると判定すると、処理をステップS1010に進める。制御部210は、カウンタの値が閾値以上でないと判定すると、処理をステップS1009に進める。
【0026】
ステップS1009において、制御部210は、目標撮像数の値を1減らす。
ステップS1010において、制御部210は、撮像位置リストに含まれるそれぞれの撮像位置座標を走査型電子顕微鏡110のステージの位置座標に変換する。この処理は、GaN結晶上の撮像領域の中心部の座標を走査型電子顕微鏡のステージの座標に変換する処理の一例である。
なお、撮像位置の算出方法は図10に示した方法に限られない。例えば、制御部210は、カウンタを早期終了判定に用い、処理を繰り返しても評価最小値が更新されない場合は、今後の改善が見込めないとして繰り返し処理を終了してもよい。
上述した処理は、制御部210が、複数の欠陥部それぞれの矩形領域に関する重複率とカバー率とに基づいて撮像領域を設定する処理の一例である。また、上述した処理は、制御部210が、重複率とカバー率とに基づく評価値が最小となるような撮像領域を設定する処理の一例でもある。
【0027】
図4の説明に戻る。
ステップS404において、制御部210は、撮像位置リストと記憶部220に記憶されている撮像条件(倍率、スキャン速度、解像度、フォーカス、検出器等)から走査型電子顕微鏡110での自動撮像指示を生成し、走査型電子顕微鏡110に送信する。この処理は、制御部210が撮像領域での反射電子像の撮像指示を走査型電子顕微鏡110に対して送信する処理の一例である。自動撮像指示を受け取った走査型電子顕微鏡110は、撮像位置リストに記された位置にステージを移動し、高倍率(例えば、20k倍)の反射電子像の撮像を実行する。図12は、撮像された反射電子像の一例を示す図である。高倍率で撮像されているので、転位の種別まで判別可能に構成されている。
【0028】
実施形態1によれば、GaNの欠陥部に対して、重複の少ない網羅的な高倍率の撮像を行い、反射電子像を生成させることができる。また、撮像された反射電子像の欠陥部のコントラストから制御部210などは、転位の種別を判定することもできる。
【0029】
(変形例1)
実施形態1の変形例1を説明する。
実施形態1の制御部210は、画像処理によってCL像から欠陥部を抽出した。しかし、変形例1の制御部210は、CL像を入力データ、CL像に含まれる欠陥部を出力データとして学習された学習済みデータを生成する。そして、制御部210は、学習済みデータにCL像を入力し、欠陥部を出力データとして取得する。
【0030】
変形例1によれば、機械学習を用いてCL像から欠陥部を抽出することができる。
【0031】
(変形例2)
実施形態1の変形例2を説明する。
実施形態1の制御部210は、目的関数に基づく最適化によって撮像位置リストを生成した。しかし、変形例2の制御部210は、欠陥部に基づき抽出された撮像候補位置リストと、後述する高度最適化で求めた撮像位置リストと、を学習データセットとして撮像候補位置リストから撮像位置リストを求めるSequence-to-Sequence型のネットワークを学習してもよい。ここで、高度最適化とは、評価値の算出において撮像位置リストの並び順を考慮したもので、例えば、ステージ移動量を少なくするために、以下に示すように、評価値に総ステージ移動距離を評価に加えたもの等である。
評価値=重複率-重み×カバー率+重み×総ステージ移動距離
【0032】
変形例2によっても撮像位置リストを生成することができる。
【0033】
(変形例3)
実施形態1の変形例3を説明する。
実施形態1では、欠陥部抽出処理と、撮像位置リスト算出処理と、に分けて説明を行った。しかし、変形例3の制御部210は、両者をEnd-to-Endで実施するImage-to-sequenceネットワークを学習するようにしてもよい。
【0034】
変形例3の態様によっても、実施形態1に示した効果を奏することができる。
【0035】
<付記>
発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0036】
(1)情報処理システムであって、少なくとも1つ以上の制御部を有し、前記少なくとも1つ以上の制御部は、第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定し、前記第2の撮像画像は、前記第1の撮像画像より高倍率な撮像画像であり、前記試料の前記撮像領域での前記第2の撮像画像の撮像指示を走査型電子顕微鏡に対して送信する、情報処理システム。
【0037】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記少なくとも1つ以上の制御部は、走査型電子顕微鏡で撮像された前記第1の撮像画像を受信し、受信した前記第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定する、情報処理システム。
【0038】
(3)上記(1)又は(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記少なくとも1つ以上の制御部は、前記第1の撮像画像に対して画像処理を実行し、前記第1の撮像画像から前記欠陥部を抽出し、抽出した前記欠陥部に基づき前記撮像領域を設定する、情報処理システム。
【0039】
(4)上記(1)から(3)までの何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記少なくとも1つ以上の制御部は、前記試料の欠陥部を囲む矩形領域に基づき前記撮像領域に設定する、情報処理システム。
【0040】
(5)上記(4)に記載の情報処理システムにおいて、前記試料には複数の欠陥部が存在し、前記少なくとも1つ以上の制御部は、前記複数の欠陥部それぞれの矩形領域に関する重複率とカバー率とに基づいて前記撮像領域を設定し、前記重複率は2つ以上の矩形領域で覆われた欠陥部の数/前記第1の撮像画像に含まれる欠陥部の数であり、前記カバー率は矩形領域に含まれる欠陥部の数/前記第1の撮像画像に含まれる欠陥部の数である、情報処理システム。
【0041】
(6)上記(5)に記載の情報処理システムにおいて、前記少なくとも1つ以上の制御部は、前記重複率と前記カバー率とに基づく評価値が最小となるような前記撮像領域を設定する、情報処理システム。
【0042】
(7)上記(1)から(6)までの何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記少なくとも1つ以上の制御部は、前記試料上の撮像領域の中心部の座標を前記走査型電子顕微鏡のステージの座標に変換し、前記撮像領域での前記第2の撮像画像の撮像指示を前記走査型電子顕微鏡に対して送信する、情報処理システム。
【0043】
(8)上記(1)から(7)までの何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記試料は、GaN結晶である、情報処理システム。
【0044】
(9)上記(1)から(8)までの何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記第1の撮像画像はカソードルミネッセンス像であり、前記第2の撮像画像は反射電子像である、情報処理システム。
【0045】
(10)情報処理システムが実行する情報処理方法であって、第1の撮像画像に含まれる試料の欠陥部に基づき第2の撮像画像の撮像領域を設定し、前記第2の撮像画像は、前記第1の撮像画像より高倍率な撮像画像であり、前記試料の前記撮像領域での前記第2の撮像画像の撮像指示を走査型電子顕微鏡に対して送信する、情報処理方法。
【0046】
(11)プログラムであって、コンピュータを、上記(1)から(9)までの何れか1つに記載の情報処理システムとして機能させるためのプログラム。
もちろん、この限りではない。
【0047】
例えば、上述のプログラムを記憶させる、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体として提供してもよい。
上述した実施形態及び変形例の全部又は一部は任意に組み合わせて実施されてもよい。
【0048】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
100 :PC
110 :走査型電子顕微鏡
210 :制御部
220 :記憶部
230 :入力部
240 :表示部
250 :通信部
1000 :情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12