(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118538
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電力装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20240826BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240826BHJP
B60L 9/18 20060101ALN20240826BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20240826BHJP
B60L 58/10 20190101ALN20240826BHJP
【FI】
H02J7/34 J
H02J7/00 P
B60L9/18 J
B60L53/14
B60L58/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024868
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503DA08
5G503DA16
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BB05
5H125BC05
5H125BC21
5H125BC24
(57)【要約】
【課題】装置構成が複雑になることを抑制しながら適正な充電及び給電の動作を確保することができる電力装置を提供する。
【解決手段】電力装置10は、蓄電装置11と、回転電機12と、交流充給電部16と、DC-DCコンバータ18と、電力変換部13と、給電部21とを備える。交流充給電部16は回転電機12に接続される。DC-DCコンバータ18は蓄電装置11に接続される。電力変換部13はDC-DCコンバータ18と回転電機12との間に接続される。給電部21はDC-DCコンバータ18及び電力変換部13に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部と、
回転電機と、
前記回転電機に接続される充給電部と、
前記蓄電部に接続される直流電圧変換部と、
前記直流電圧変換部と前記回転電機との間に接続される電力変換部と、
前記直流電圧変換部及び前記電力変換部に接続される給電部と
を備える
電力装置。
【請求項2】
外部電源によって前記充給電部から前記蓄電部が充電される場合、前記回転電機及び前記電力変換部は昇圧動作を行い、前記直流電圧変換部は降圧動作を行う
請求項1に記載の電力装置。
【請求項3】
外部電源によって前記充給電部から前記蓄電部が充電される場合、前記給電部は、前記回転電機及び前記電力変換部の昇圧動作によって得られる電圧を降圧して外部に給電する
請求項2に記載の電力装置。
【請求項4】
前記蓄電部の電力によって前記充給電部から外部に給電が行われる場合、前記回転電機及び前記電力変換部と、前記直流電圧変換部とは、降圧動作を行う
請求項1に記載の電力装置。
【請求項5】
前記蓄電部の電力によって前記充給電部から外部に給電が行われる場合、前記給電部は、前記直流電圧変換部の降圧動作によって得られる電圧を降圧して外部に給電する
請求項4に記載の電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
従来、外部電源により充電される蓄電装置と電力授受を行う3相のモータ及びインバータを、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路として機能させる充電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来、AC充電用に設けられる力率改善(PFC)回路を、DC充電時に昇圧動作させる充電装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-149921号公報
【特許文献2】米国特許第011165349号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する技術においては、システム構成が複雑になることを抑制しながら、外部からのAC充電及び外部へのAC給電と、モビリティ内でのAC給電との各機能を適正に備えることが課題である。
例えば、上記従来技術の充電システムによれば、単相のAC充電に対応することはできるが、3相のAC充電に対応することはできないという問題が生じる。また、AC給電の機能についての記載は無く、蓄電装置の電圧を降圧することはできないという問題が生じる。また、車内給電の実現のためには追加的なユニットが必要となり、システム構成が複雑になるという問題が生じる。
また、例えば、上記従来技術の充電装置によれば、DC充電時にAC充電回路の許容電力以上の電力で充電を行う場合、AC充電よりも過剰に許容電力設計(熱設計)を行う必要が生じ、装置構成に要する費用が嵩むおそれがある。
【0005】
本願は上記課題の解決のため、装置構成が複雑になることを抑制しながら適正な充電及び給電の動作を確保することの達成を目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る電力装置(例えば、実施形態での電力装置10)は、蓄電部(例えば、実施形態での蓄電装置11)と、回転電機(例えば、実施形態での回転電機12)と、前記回転電機に接続される充給電部(例えば、実施形態での交流充給電部16)と、前記蓄電部に接続される直流電圧変換部(例えば、実施形態でのDC-DCコンバータ18)と、前記直流電圧変換部と前記回転電機との間に接続される電力変換部(例えば、実施形態での電力変換部13)と、前記直流電圧変換部及び前記電力変換部に接続される給電部(例えば、実施形態でのAC-DCコンバータ19及び給電部21)とを備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載の電力装置では、外部電源によって前記充給電部から前記蓄電部が充電される場合、前記回転電機及び前記電力変換部は昇圧動作を行い、前記直流電圧変換部は降圧動作を行ってもよい。
【0008】
(3)上記(2)に記載の電力装置では、外部電源によって前記充給電部から前記蓄電部が充電される場合、前記給電部は、前記回転電機及び前記電力変換部の昇圧動作によって得られる電圧を降圧して外部に給電してもよい。
【0009】
(4)上記(1)に記載の電力装置では、前記蓄電部の電力によって前記充給電部から外部に給電が行われる場合、前記回転電機及び前記電力変換部と、前記直流電圧変換部とは、降圧動作を行ってもよい。
【0010】
(5)上記(4)に記載の電力装置では、前記蓄電部の電力によって前記充給電部から外部に給電が行われる場合、前記給電部は、前記直流電圧変換部の降圧動作によって得られる電圧を降圧して外部に給電してもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記(1)によれば、外部電源等から蓄電部への充電は、充給電部により、回転電機、電力変換部及び直流電圧変換部を介して行われ、蓄電部から外部への給電は、直流電圧変換部を介して充給電部及び給電部の各々により行われる。充給電部による充電時及び給電時の各々で給電部による給電を行うことができ、装置構成が複雑になることを抑制しながら適正な充電及び給電の動作を確保することができる。
【0012】
上記(2)の場合、直流電圧変換部は降圧動作によって蓄電部への充電に適した電圧を設定するので、相対的に直流電圧変換部の入力電圧を大きくすることで充電電力量を増大させることができる。
上記(3)の場合、回転電機及び電力変換部の昇圧動作で得られる電圧によって、直流電圧変換部を介した降圧後に蓄電部を充電するとともに、給電部による降圧及び給電を行うことができ、充給電部による充電及び給電部による給電の動作を適正に確保することができる。
【0013】
上記(4)の場合、直流電圧変換部は降圧動作によって回転電機及び電力変換部への入力に適した電圧を設定するので、相対的に直流電圧変換部の入力電圧を大きくすることで給電電力量を増大させることができる。
上記(5)の場合、直流電圧変換部の降圧動作で得られる電圧によって、回転電機及び電力変換部を介した降圧後に充給電部から外部に給電するとともに、給電部による降圧及び給電を行うことができ、充給電部及び給電部の各々による給電の動作を適正に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の実施形態での電力装置のAC充電の状態を示す図。
【
図3】本発明の実施形態での電力装置のAC給電の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る電力装置について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態での電力装置10の構成図である。
実施形態の電力装置10は、例えば、電動車両等の車両に搭載されている。電動車両は、電気自動車、ハイブリッド車両及び燃料電池車両等である。電気自動車は、バッテリを動力源として駆動する。ハイブリッド車両は、バッテリ及び内燃機関を動力源として駆動する。燃料電池車両は、燃料電池を動力源として駆動する。
図1に示すように、電力装置10は、例えば、蓄電装置11と、回転電機12と、電力変換部13と、ノイズフィルタ14と、リレー15と、交流充給電部16と、DC-DCコンバータ18と、AC-DCコンバータ19と、給電部21と、切替スイッチ22と、第1コンタクター23及び第2コンタクター24と、キャパシタ25と、ダイオード26と、制御装置27とを備える。
【0016】
蓄電装置11は、例えば車両の動力源である高圧のバッテリである。蓄電装置11は、直列又は並列に接続される複数のバッテリセルを備える。各バッテリセルは、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池及び全固体電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ又は二次電池とキャパシタとの組み合わせによる複合電池等である。各バッテリセルは、充電及び放電を繰り返して行う。
蓄電装置11は、後述する電力変換部13を介して回転電機12との間で電力を授受する。蓄電装置11は、車両の外部の電源(外部電源)によって充電されるとともに、車両の外部及び内部に給電を行う。
【0017】
回転電機12は、例えば3相交流のブラシレスDCモータ等である。回転電機12は、界磁用の永久磁石を有する回転子と、回転子を回転させる回転磁界を発生させる3相のステータ巻線12aを有する固定子とを備える。3相のステータ巻線12aは、後述する電力変換部13の3相の交流端子13cと、後述する3相のノイズフィルタ14とに接続される。
回転電機12は、3相のステータ巻線12aのうちの2つの組み合わせに接続される2つのコンタクター12bを備える。第1のコンタクター12bは、3相のステータ巻線12aのうちの第1のステータ巻線12aと第2のステータ巻線12aとの間に接続される。第2のコンタクター12bは、3相のステータ巻線12aのうちの第2のステータ巻線12aと第3のステータ巻線12aとの間に接続される。各コンタクター12bは、回転電機12の力行動作及び回生動作時にオン(導通)に設定され、3相のステータ巻線12aは、いわゆるスター結線(Y結線)に設定される。各コンタクター12bは、後述する充電時及び給電時にオフ(遮断)に設定され、3相のステータ巻線12aは、互いに切り離される。
【0018】
回転電機12は、電力変換部13から供給される電力により力行動作することによって回転駆動力を発生させる。回転電機12は、例えば、車両の車輪に連結可能である場合、電力変換部13から供給される電力により力行動作することによって走行駆動力を発生させる。回転電機12は、車両の車輪側から入力される回転動力により回生動作することによって発電電力を発生させてもよい。回転電機12は、車両の内燃機関に連結可能である場合、内燃機関の動力によって発電してもよい。
【0019】
電力変換部13は、例えばインバータ等である。電力変換部13は、直流電力と交流電力との変換を行う。電力変換部13は、蓄電装置11と回転電機12との間に接続される。
電力変換部13は、例えば、3相でブリッジ接続される複数のスイッチング素子及び整流素子によって形成されるブリッジ回路を備える。各スイッチング素子は、例えば、SiCのMOSFET等のトランジスタである。複数のスイッチング素子は、各相で対を成すハイサイドアーム及びローサイドアームのトランジスタ13a,13bである。ハイサイドアームのトランジスタ13aのコレクタは正極端子13pに接続されている。ローサイドアームのトランジスタ13bのエミッタは負極端子13nに接続されている。ハイサイドアームのトランジスタ13aのエミッタとローサイドアームのトランジスタ13bのコレクタとは交流端子13cを介して回転電機12のステータ巻線12aに接続されている。整流素子は、例えば、各トランジスタ13a,13bのコレクタ-エミッタ間でエミッタからコレクタに向けて順方向に並列に接続される還流ダイオードである。なお、例えばスイッチング素子がMOSFETである場合等において、スイッチング素子のボディダイオードを還流ダイオードとして機能させることによって、整流素子は省略されてもよい。
【0020】
電力変換部13は、例えば車両の走行時等において、電力の授受によって回転電機12の動作を制御する。電力変換部13は、例えば回転電機12の力行時には、蓄電装置11の電力に基づき正極端子13p及び負極端子13nから入力される直流電力を3相交流電力に変換して、3相交流電力を回転電機12に供給する。電力変換部13は、回転電機12の3相のステータ巻線12aへの通電を順次転流させることによって回転駆動力を発生させる。電力変換部13は、例えば回転電機12の回生時には、回転電機12の回転に同期がとられた各相のスイッチング素子のオン(導通)及びオフ(遮断)の駆動によって、3相のステータ巻線12aから入力される3相交流電力を直流電力に変換する。電力変換部13は、3相交流電力から変換された直流電力を、後述のDC-DCコンバータ18を介して蓄電装置11に供給することが可能である。
【0021】
回転電機12及び電力変換部13は、例えば車両停止中の後述する充電時及び給電時において、いわゆる3相又は単相のフルブリッジレス型(又はブリッジレス及びトーテムポール型)の力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路として動作する。いわゆるブリッジレスPFCは、ブリッジ接続される複数のダイオードによるブリッジ整流器を備えていないPFCである。いわゆるトーテムポールPFCは、同方向に直列に接続(トーテムポール接続)される同一導電型の一対のスイッチング素子を備えるPFCである。
インダクタとして機能する回転電機12の3相のステータ巻線12aと電力変換部13の3相のブリッジ回路とは、例えば、いわゆる3相又は2相のインターリーブによって電圧変換を行う。3相のスイッチング制御の周期は、適宜の順序で順次に1/3周期(120度)だけずらされる。2相のスイッチング制御の周期は、相互に半周期だけずらされる。
【0022】
ノイズフィルタ14は、例えばEMC(ElectroMagnetic Compatibility)フィルタ等である。ノイズフィルタ14は、回転電機12の3相のステータ巻線12aとリレー15との間に接続される。
リレー15は、例えば3相のリレーである。リレー15は、ノイズフィルタ14と交流充給電部16との間に接続される。
【0023】
交流充給電部16は、例えば所定規格の交流電力用の接続器(コネクター)等を備える。所定規格は、例えば所定の公称電圧の3相4線等である。例えば3相4線の場合、3相はリレー15に接続され、N相は後述の2つのダイオード26の接続点に接続される。
交流充給電部16は、例えば車両停止中の充電(AC充電)時に交流の外部電源に接続される。交流の外部電源は、例えば電力系統に接続された商用電源等である。交流充給電部16は、例えば車両停止中の給電(AC給電)時には外部電源に接続されずに、蓄電装置11の電力によって外部に給電を行う。
【0024】
DC-DCコンバータ18は、例えば昇圧及び降圧の双方向で直流電圧を変換するDC-DCコンバータである。DC-DCコンバータ18は、例えばDAB(Dual Active Bridge)コンバータ等の絶縁型双方向のDC-DCコンバータである。DC-DCコンバータ18は、例えば、一対のインダクタの1次側及び2次側の各々に2相でブリッジ接続される複数のスイッチング素子によって形成されるブリッジ回路を備える。
DC-DCコンバータ18は、例えば、第1正極端子18p及び第1負極端子18nと、後述する切替スイッチ22を介した第2正極端子19p及び第2負極端子19nとの間に接続される。第1正極端子18p及び第1負極端子18nは、蓄電装置11の正極端子及び負極端子に接続される。第2正極端子19p及び第2負極端子19nは、電力変換部13の正極端子13p及び負極端子13nに接続される。
【0025】
AC-DCコンバータ19は、例えば、直流電力を交流電力に変換する、いわゆるフルブリッジレス型(又はブリッジレス及びトーテムポール型)の力率改善(PFC)回路を備える。AC-DCコンバータ19の直流端子は、後述する切替スイッチ22を介した第2正極端子19p及び第2負極端子19nに接続される。AC-DCコンバータ19の交流端子は給電部21に接続される。
【0026】
給電部21は、例えば所定規格の交流電力用の接続器(コネクター)等を備える。給電部21は、例えば車両停止中の充電時に交流充給電部16に接続される外部電源の電力によって外部に給電を行う。給電部21は、例えば車両停止中の給電時又は車両の走行時等において、蓄電装置11の電力によって外部に給電を行う。
【0027】
切替スイッチ22は、DC-DCコンバータ18と、電力変換部13及びAC-DCコンバータ19の各々との接続を切り替える。切替スイッチ22は、例えば車両停止中の充電時及び給電時において、DC-DCコンバータ18を電力変換部13及びAC-DCコンバータ19の各々に接続させる。切替スイッチ22は、例えば車両の走行時等において、DC-DCコンバータ18をAC-DCコンバータ19に接続させる。
【0028】
2つの第1コンタクター23は、DC-DCコンバータ18の第1正極端子18pと第2正極端子19pとの間と、DC-DCコンバータ18の第1負極端子18nと第2負極端子19nとの間とに接続されている。
2つの第2コンタクター24は、DC-DCコンバータ18の第1正極端子18pと蓄電装置11の正極端子との間と、DC-DCコンバータ18の第1負極端子18nと蓄電装置11の負極端子との間とに接続されている。
【0029】
キャパシタ(コンデンサ)25は、DC-DCコンバータ18の第1正極端子18pと第1負極端子18nとの間に接続されている。キャパシタ25は、DC-DCコンバータ18の各スイッチング素子のオン(導通)及びオフ(遮断)の切換動作に伴って発生する電圧変動を平滑化する。
2つのダイオード26は、電力変換部13の正極端子13pと負極端子13nとの間で直列に接続される。
【0030】
制御装置27は、例えば、電力装置10を統合的に制御する。制御装置27は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマーなどの電子回路を備えるECUである。なお、制御装置27の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0031】
制御装置27は、例えば、各スイッチング素子をオン(導通)及びオフ(遮断)に駆動するタイミングを示す制御信号を生成するとともに、制御信号に基づいて各スイッチング素子を実際にオン(導通)及びオフ(遮断)に駆動するためのゲート信号を生成する。
例えば、制御装置27は、電力変換部13、DC-DCコンバータ18及びAC-DCコンバータ19の各スイッチング素子のスイッチングを制御することによって、電力及び電圧を変換しつつ力率改善を行う。
【0032】
図2は、実施形態での電力装置10のAC充電の状態を示す図である。
図3は、実施形態での電力装置10のAC給電の状態を示す図である。
図2に示すように、例えば車両停止中において交流充給電部16から交流電力によって蓄電装置11を充電するAC充電時には、例えば、制御装置27は、回転電機12及び電力変換部13を力率改善(PFC)回路として動作させる。制御装置27は、力率改善を行いつつ、交流電力を直流電力に変換するとともに、交流の所定規定の公称電圧(例えば、100Vから240V等)を、蓄電装置11の電圧よりも大きな所定の直流電圧(例えば、650Vから800V等)に昇圧する。
【0033】
制御装置27は、例えば、切替スイッチ22によって電力変換部13とDC-DCコンバータ18とを接続するとともに、DC-DCコンバータ18を降圧動作させる。制御装置27は、DC-DCコンバータ18によって、所定の直流電圧(例えば、650Vから800V等)を、蓄電装置11の充電に適正な所定の目標直流電圧(例えば、240Vから400V等)に降圧変換(整流又は調整)する。なお、制御装置27は、例えば、DC-DCコンバータ18の入力側の電圧を出力側の電圧よりも高く設定する。
また、制御装置27は、例えば、切替スイッチ22によって電力変換部13とAC-DCコンバータ19とを接続するとともに、AC-DCコンバータ19を電力変換及び降圧動作させる。制御装置27は、力率改善を行いつつ、直流電力を交流電力に変換するとともに、所定の直流電圧(例えば、650Vから800V等)を、給電部21の所定規格に適した交流電圧(例えば、100Vから240V等)に降圧変換(整流又は調整)する。
【0034】
図3に示すように、例えば車両停止中において蓄電装置11から交流充給電部16に交流電力を給電するAC給電時には、例えば、制御装置27は、切替スイッチ22によって電力変換部13とDC-DCコンバータ18とを接続するとともに、DC-DCコンバータ18を降圧動作させる。制御装置27は、DC-DCコンバータ18によって、蓄電装置11の所定の直流電圧(例えば、240Vから400V等)を、直流の所定規定の公称電圧(例えば、100Vから400V等)に降圧変換(整流又は調整)する。なお、制御装置27は、例えば、DC-DCコンバータ18の入力側の電圧を出力側の電圧よりも高く設定する。
【0035】
制御装置27は、回転電機12及び電力変換部13を力率改善(PFC)回路として動作させる。制御装置27は、力率改善を行いつつ、交流電力を直流電力に変換することによって、直流の所定規定の公称電圧(例えば、100Vから400V等)を交流の所定規定の公称電圧(例えば、100Vから240V等)に変換する。
また、制御装置27は、例えば、切替スイッチ22によって電力変換部13とAC-DCコンバータ19とを接続するとともに、AC-DCコンバータ19を電力変換及び降圧動作させる。制御装置27は、力率改善を行いつつ、直流電力を交流電力に変換するとともに、直流の所定規定の公称電圧(例えば、100Vから240V等)を、給電部21の所定規格に適した交流電圧(例えば、100Vから240V等)に降圧変換(整流又は調整)する。
【0036】
上述したように、実施形態の電力装置10によれば、AC充電及びAC給電時に車両停止等に応じて動作停止する回転電機12及び電力変換部13を力率改善(PFC)回路として動作させることで、装置構成が複雑になることを抑制することができる。車両停止中の充電時及び給電時と車両の走行時等との各々で電力変換部13及びAC-DCコンバータ19の各々に対する接続が切り替えられるDC-DCコンバータ18を備えることによって、交流充給電部16による充電時及び給電時の各々で給電部21による給電の動作を適正に確保することができる。
【0037】
回転電機12及び電力変換部13による車外からの電力の昇圧及びAC-DC変換と、給電部21への降圧及びDC-AC変換とを、独立的に動作させることにより、車外からの交流充給電部16を介したAC充電中であっても給電部21を介した外部への給電を行うことができる。また、回転電機12及び電力変換部13によるDC-DCコンバータ18からの電力の降圧及びAC-DC変換と、給電部21への降圧及びDC-AC変換とを、独立的に動作させることにより、車外への交流充給電部16を介したAC給電中であっても給電部21を介した外部への給電を行うことができる。
【0038】
外部電源等から蓄電装置11への充電は、交流充給電部16により、回転電機12、電力変換部13及びDC-DCコンバータ18を介して行われ、蓄電装置11から外部への給電は、DC-DCコンバータ18を介して交流充給電部16及び給電部21の各々により行われる。交流充給電部16による充電時及び給電時の各々で給電部21による給電を行うことができ、装置構成が複雑になることを抑制しながら適正な充電及び給電の動作を確保することができる。
【0039】
DC-DCコンバータ18は降圧動作によって蓄電装置11への充電に適した電圧を設定するので、相対的にDC-DCコンバータ18の入力電圧を大きくすることで充電電力量を増大させることができる。
回転電機12及び電力変換部13の昇圧動作で得られる電圧によって、DC-DCコンバータ18を介した降圧後に蓄電装置11を充電するとともに、AC-DCコンバータ19による降圧及び給電部21による給電を行うことができ、交流充給電部16による充電及び給電部21による給電の動作を適正に確保することができる。
【0040】
DC-DCコンバータ18は降圧動作によって回転電機12及び電力変換部13への入力に適した電圧を設定するので、相対的にDC-DCコンバータ18の入力電圧を大きくすることで給電電力量を増大させることができる。
DC-DCコンバータ18の降圧動作で得られる電圧によって、回転電機12及び電力変換部13を介した降圧後に交流充給電部16から外部に給電するとともに、AC-DCコンバータ19による降圧及び給電部21による給電を行うことができ、交流充給電部16及び給電部21の各々による給電の動作を適正に確保することができる。
【0041】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
10…電力装置、11…蓄電装置(蓄電部)、12…回転電機、13…電力変換部、14…ノイズフィルタ、15…リレー、16…交流充給電部(充給電部)、18…DC-DCコンバータ(直流電圧変換部)、19…AC-DCコンバータ(給電部)、21…給電部、22…切替スイッチ、23…第1コンタクター、24…第2コンタクター、25…キャパシタ、26…ダイオード、27…制御装置。