(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118551
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び学習済みモデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240826BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G06Q50/10
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024893
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】523062109
【氏名又は名称】株式会社ゆうぼく
(71)【出願人】
【識別番号】512028116
【氏名又は名称】株式会社アドダイス
(74)【代理人】
【識別番号】100141427
【弁理士】
【氏名又は名称】飯村 重樹
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 晋也
(72)【発明者】
【氏名】伊東 大輔
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】畜産動物が不意に転倒した場合であっても適切に対処することができるように畜産動物を管理することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び学習済みモデルの生成方法を提供する。
【解決手段】畜産動物の行動を撮像した畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置と、画像取得装置で取得した行動情報を受け付ける受付処理、受付処理で受け付けた行動情報から畜産動物が転倒している状態であって畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理を実行する情報処理装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜産動物の行動を撮像した前記畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置と、
該画像取得装置で取得した前記行動情報を受け付ける受付処理、該受付処理で受け付けた前記行動情報から前記畜産動物が転倒している状態であって前記畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理を実行する情報処理装置と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記対象画像情報検知処理は、
前記画像において前記畜産動物が転倒している状態であって前記畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態が予め設定された任意の時間に亘って継続する場合に前記画像を前記対象画像情報として検知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記畜産動物が横臥して脚を伸長させた体勢の画像情報を教師データとし、
該教師データに基づいて、前記行動情報の入力に対して前記対象画像情報を自律的に出力する学習済みモデルによって前記対象画像情報検知処理を実行する、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記対象画像情報検知処理で前記対象画像情報を検知した際に報知データを生成する報知データ生成処理を実行する生成処理装置と、
該生成処理装置で生成した前記報知データが送信される端末と、
を備える請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
プロセッサ、プログラムが記憶されたメモリを備える情報処理装置であって、
前記プロセッサによって前記プログラムが実行されることによって、
畜産動物の行動を撮像した前記畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置で取得した前記行動情報を受け付ける受付処理と、
該受付処理で受け付けた前記行動情報から前記畜産動物が転倒している状態であって前記畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理と、
を実行する情報処理装置。
【請求項6】
プロセッサ、プログラムが記憶されたメモリを備える情報処理装置が、
畜産動物の行動を撮像した前記畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置で取得した前記行動情報を受け付ける受付処理と、
該受付処理で受け付けた前記行動情報から前記畜産動物が転倒している状態であって前記畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理と、
を実行する情報処理方法。
【請求項7】
畜産動物が横臥して脚を伸長させた体勢の画像情報を教師データとし、
該教師データに基づいて前記畜産動物の行動を撮像した前記畜産動物の行動に関する行動情報を機械学習し、前記行動情報の入力に対して、前記畜産動物が転倒している状態であって前記畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として自律的に出力する学習済みモデルを生成する、
学習済みモデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び学習済みモデルの生成方法、特に、畜産動物に関する情報処理を実行する情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び学習済みモデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食肉となる畜産動物を飼育する畜産家にとっては、例えば、畜産動物の伝染病の予防対策を講じる観点、あるいは発情の兆候や分娩の兆候といった畜産動物の変化を検知する観点等といった種々の観点から、畜産動物の個体情報に基づいて畜産動物を適切に管理する必要がある。
【0003】
特許文献1には、畜産動物に付与されたタグセンサが取得した畜産動物情報と、飼育担当者が観察して入力した飼育情報とを関連づけてデータベースに記憶し、記憶した情報をデータベースから読み出して畜産動物を管理することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、畜産動物として例えば食肉用の牛を出荷する場合は、十分に太るまで育成した状態で出荷するところ、太ると不意に転倒しやすくなるとともに、転倒した場合には自力で起立することが困難になることがある。
【0006】
特に、畜産家が気づかないような夜間に転倒して自力で起立できない状態、すなわち転倒したままの状態が継続してしまうと、肺が圧迫されることによって牛が死亡してしまうことがあり、出荷直前の牛が死亡してしまうと、畜産家に多大な損害が発生することが懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、畜産動物が不意に転倒した場合であっても適切に対処することができるように畜産動物を管理することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び学習済みモデルの生成方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る情報処理システムは、畜産動物の行動を撮像した畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置と、画像取得装置で取得した行動情報を受け付ける受付処理、受付処理で受け付けた行動情報から畜産動物が転倒している状態であって畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理を実行する情報処理装置と、を備えるものである。
【0009】
これによれば、画像取得装置が取得する行動情報から、畜産動物が転倒している状態であって、この畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知することから、畜産動物が不意に転倒した場合であっても、適切に対処することができる。
【0010】
特に、畜産動物の変化に気づきにくい夜間において、畜産動物が転倒してしまい、自力で起立できない状態に陥った場合であっても、検知した対象画像情報に基づいた適切な対処をとることができることから、畜産動物が死亡してしまうリスクを未然に回避することができる。
【0011】
この情報処理システムの対象画像情報検知処理は、画像において畜産動物が転倒している状態であって畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態が予め設定された任意の時間に亘って継続する場合に、この画像を対象画像情報として検知するものである。
【0012】
この情報処理システムの情報処理装置は、畜産動物が横臥して脚を伸長させた体勢の画像情報を教師データとし、教師データに基づいて、行動情報の入力に対して対象画像情報を自律的に出力する学習済みモデルによって対象画像情報検知処理を実行するものである。
【0013】
この情報処理システムは、対象画像情報検知処理で対象画像情報を検知した際に報知データを生成する報知データ生成処理を実行する生成処理装置と、生成処理装置で生成した報知データが送信される端末と、を備えるものである。
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る情報処理装置は、プロセッサ、プログラムが記憶されたメモリを備える情報処理装置であって、プロセッサによって前記プログラムが実行されることによって、畜産動物の行動を撮像した畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置で取得した行動情報を受け付ける受付処理と、受付処理で受け付けた行動情報から畜産動物が転倒している状態であって畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理と、を実行するものである。
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る情報処理方法は、プロセッサ、プログラムが記憶されたメモリを備える情報処理装置が、畜産動物の行動を撮像した畜産動物の行動に関する行動情報を取得する画像取得装置で取得した行動情報を受け付ける受付処理と、受付処理で受け付けた行動情報から畜産動物が転倒している状態であって畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理と、を実行するものである。
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る学習済みモデルの生成方法は、畜産動物が横臥して脚を伸長させた体勢の画像情報を教師データとし、教師データに基づいて畜産動物の行動を撮像した畜産動物の行動に関する行動情報を機械学習し、行動情報の入力に対して、畜産動物が転倒している状態であって畜産動物が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報として自律的に出力する学習済みモデルを生成するものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、畜産動物が不意に転倒した場合であっても、適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図2】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの制御装置、情報処理装置、生成処理装置及び端末装置を実装するコンピュータの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図3】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの制御装置の機能の概略を説明するブロック図である。
【
図4】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの情報処理装置の機能の概略を説明するブロック図である。
【
図5】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの情報処理装置の処理の概略を説明する図である。
【
図6】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの生成処理装置の機能の概略を説明するブロック図である。
【
図7】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの端末装置の機能の概略を説明するブロック図である。
【
図8】同じく、本実施の形態に係る情報処理システムの処理の概略を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、
図1~
図8に基づいて、本発明の実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、情報処理システム10は、画像取得装置であるカメラ20、制御装置30、情報処理装置40、生成処理装置50及び端末である端末装置60を備える。
【0021】
本実施の形態では、カメラ20が有線あるいは無線で制御装置30に接続され、制御装置30、情報処理装置40、生成処理装置50及び端末装置60がネットワークNを介して互いにアクセス可能に接続される。
【0022】
カメラ20は、畜産家1の牛舎1aに配備され、制御装置30及び端末装置60は、畜産家1に配備され、情報処理装置40は、情報処理装置40を用いたサービスを提供する第1事業者2に配備され、生成処理装置50は、生成処理装置50を用いたサービスを提供する第2事業者3に配備される。
【0023】
カメラ20は、本実施の形態では、畜産家1の牛舎1aの室内における例えば天井に設置され、牛舎1aにおいて飼育される畜産動物である食肉用の牛100を常時撮像して、撮像した画像(映像)を牛100の行動に関する行動情報として取得する。
【0024】
制御装置30、情報処理装置40、生成処理装置50及び端末装置60は、本実施の形態では、ほぼ同様のハードウェア構成を具備するコンピュータ、例えばデスクトップ型あるいはノート型のコンピュータによって実装される。
【0025】
情報処理装置40及び生成処理装置50は、本実施の形態では、クラウド環境で実装される。
【0026】
図2は、コンピュータの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、コンピュータは、プロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、送受信部104及び入出力部105を主要構成として備え、これらが互いにバス106を介して電気的に接続される。
【0027】
プロセッサ101は、コンピュータの動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、アプリケーションプログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0028】
このプロセッサ101は、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、次述するメモリ102に展開されたアプリケーションプログラムを実行して各処理を行う。
【0029】
メモリ102は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置によって実装される。
【0030】
このメモリ102は、プロセッサ101の作業領域として使用される一方、コンピュータの起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0031】
ストレージ103は、アプリケーションプログラム等による各種の処理に用いられるデータ等が格納されている。
【0032】
送受信部104は、コンピュータをネットワークNに接続するものであって、本実施の形態では、送受信部104を介したネットワークNを経由して、制御装置30、情報処理装置40、生成処理装置50及び端末装置60を相互に通信可能に接続される。
【0033】
この送受信部104は、Wi-Fi等の無線通信規格に対応するものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0034】
入出力部105には、必要に応じて、キーボードやマウスといった情報入力機器やディスプレイ等の出力機器が接続される。本実施の形態では、キーボード、マウス及びディスプレイがそれぞれ接続される。
【0035】
バス106は、接続したプロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、送受信部104及び入出力部105の間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0036】
図3は、制御装置30の機能の概略を説明するブロック図である。図示のように、制御装置30は、行動情報受付部31、行動情報送信部32、対象画像情報受付部33及び検知結果送信部34を備える。
【0037】
行動情報受付部31、行動情報送信部32、対象画像情報受付部33及び検知結果送信部34は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101で実行することによって実現される。
【0038】
行動情報受付部31は、本実施の形態では、カメラ20で取得した牛100の行動情報の入力を受け付ける処理を実行するものであり、行動情報送信部32は、本実施の形態では、受け付けた行動情報を情報処理装置40に送信する処理を実行するものである。
【0039】
対象画像情報受付部33は、本実施の形態では、情報処理装置40で実行される後述の対象画像情報検知処理の成果である対象画像情報の入力を受け付ける処理を実行するものである。
【0040】
検知結果送信部34は、本実施の形態では、対象画像情報受付部33で対象画像情報の入力を受け付けると、対象画像情報を受け付けた旨の検知結果を生成処理装置50に送信する処理を実行するものである。
【0041】
図4は、情報処理装置40の機能の概略を説明するブロック図である。図示のように、情報処理装置40は、第1記憶領域41、第2記憶領域42、行動情報受付部43、対象画情報検知部44及び情報送信部45を備える。
【0042】
第1記憶領域41及び第2記憶領域42は、ストレージ103の記憶領域が区画されることによって実現される。本実施の形態では、第1記憶領域41にはカメラで取得された行動情報D1が格納され、第2記憶領域42には後述する学習済みモデルD2が格納される。
【0043】
行動情報受付部43、対象画情報検知部44及び情報送信部45は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101で実行することによって実現される。
【0044】
行動情報受付部43は、本実施の形態では、制御装置30が受け付けて制御装置30によって送信された、カメラ20で取得した牛100の行動情報D1の入力を受け付ける処理を実行するものである。
【0045】
対象画情報検知部44は、本実施の形態では、牛100が転倒している状態であって、牛100が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を、
受け付けた行動情報D1の中から対象画像情報として検知する対象画像情報検知処理を実行するものである。
【0046】
対象画像情報は、本実施の形態では、例えば、予め設定された任意の時間に亘って、牛100が横臥して脚を伸長させた体勢で静止している状態が継続しているような画像(映像)に関する情報であり、このような場合は、牛100が自力で起立することが困難であると把握される。
【0047】
牛100は、転倒して自力で起立することが困難な体勢となってから3時間程度は生存可能であることが知られていることから、例えば、対象画像情報D5を検知してから3時間以内であって畜産家1が牛舎1aに赴いて牛100の対処をすることが十分に可能な時間が確保できるように、任意の時間が予め設定される。
【0048】
具体的には、例えば、牛100が横臥して脚を伸長させた体勢のまま静止している状態が、(転倒して自力で起立することが困難な体勢となってから3時間以内である)5分間に亘って継続した場合に、その画像を対象画像情報として検知する。
【0049】
対象画像情報として検知する時間は、畜産家1や獣医師等のこれまでの知見や経験に基づいて、牛100が横臥して脚を伸長させて静止した状態が異常な体勢であると判断できる時間が時間データとして、例えばメモリ102に予め設定される。
【0050】
この対象画像情報検知部44における対象画像情報検知処理は、本実施の形態では、学習済みモデルD2によって自律的に実行される。
【0051】
図5は、情報処理装置40で学習済みモデルを生成する処理及び学習済みモデルに基づいて自律的に実行される対象画像情報検知処理の概略を説明する図である。
【0052】
図示のように、情報処理装置40は、カメラ20で取得した牛100の行動情報D1に教師データD3を関連づけることによって、学習データD4を生成する。この教師データD3は、本実施の形態では、画像情報dによって構成される。
【0053】
画像情報dは、本実施の形態では、牛100が横臥して脚を伸長させた体勢で静止している状態が継続しているような画像に関する情報であり、例えば、畜産家1によってこれまで取得された大量の画像、コホート研究の際に取得された大量の画像等で構成される。
【0054】
学習データD4の生成に続いて、情報処理装置40は、生成された学習データD4で機械学習を行うことによって、学習済みモデルD2を生成する。機械学習を行う手法としては、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)等、各種のアルゴリズムが適宜用いられる。
【0055】
このように生成した学習済みモデルD2に基づいて、情報処理装置40は、対象画像情報検知処理を実行する。対象画像情報検知処理では、カメラ20が実時間で取得する行動情報D1を解析して(推定処理)、牛100が転倒している状態であって、牛100が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を検出して、その状態が予め設定された任意の時間に亘って継続した場合は、その画像を対象画像情報D5として自律的に検知する。
【0056】
図4で示す情報送信部45は、本実施の形態では、対象画像情報D5を検知した場合に、対象画像情報D5を検知した旨とともに対象画像情報D5を制御装置30に情報として送信する処理を実行するものである。
【0057】
図6は、生成処理装置50の機能の概略を説明するブロック図である。図示のように、生成処理装置50は、記憶領域51、検知結果受付部52、報知データ生成処理部53及び報知データ送信部54を備える。
【0058】
記憶領域51は、ストレージ103の記憶領域が区画されることによって実現される。本実施の形態では、記憶領域51にはログ情報D6が格納される。
【0059】
ログ情報D6は、例えば、対象画像情報D5を検知した時刻、対象画像情報D5を検知した旨の検知結果を受け付けた時刻、対象画像情報D5のサムネイル等といった種々のデータによって構成される。
【0060】
検知結果受付部52、報知データ生成処理部53及び報知データ送信部54は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101で実行することによって実現される。
【0061】
検知結果受付部52は、本実施の形態では、対象画像情報D5を検知した旨の検知結果を制御装置30から受け付ける処理を実行するものである。
【0062】
報知データ生成処理部53は、本実施の形態では、制御装置30から検知結果を受け付けると、検知結果を受け付けた旨の報知データを生成する報知データ生成処理を実行するものである。
【0063】
報知データ送信部54は、本実施の形態では、生成した報知データを端末装置60に送信する処理を実行するものである。
【0064】
図7は、端末装置60の機能の概略を説明するブロック図である。図示のように、端末装置60は、報知データ受付部61及び報知データ処理部62を備える。これら報知データ受付部61及び報知データ処理部62は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101で実行することによって実現される。
【0065】
報知データ受付部61は、本実施の形態では、生成処理装置50から送信される報知データを受け付ける処理を実行するものである。
【0066】
報知データ処理部62は、本実施の形態では、報知データに基づいて報知処理を実行するものであり、例えば、端末装置60に接続されるディスプレイに対象画像情報D5を検知した旨を表示したり、端末装置60に接続されるスピーカを介して対象画像情報D5を検知した旨の音声を発信したり、端末装置60に接続される警告灯を介して対象画像情報D5を検知した旨の発光(点灯)表示をしたり等といった処理を実行する。
【0067】
次に、情報処理システム10の処理について説明する。
【0068】
図8は、情報処理システム10の処理の概略を説明するフローチャートである。図示のように、ステップS1において、カメラ20が牛舎1a内の牛100を実時間で常時撮像して、行動情報D1を取得する。
【0069】
カメラ20が行動情報D1を取得すると、ステップS2において、制御装置30が行動情報D1を受け付けるとともに、ステップS3において、受け付けた行動情報D1を情報処理装置40に送信する。
【0070】
続くステップS4において、情報処理装置40が行動情報D1を受け付ける(受付処理)と、情報処理装置40において、学習済みモデルD2に基づいた行動情報D1の解析を実行する。
【0071】
行動情報D1の解析によって、行動情報D1から、牛100が転倒している状態であって、牛100が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を検出して、その状態が予め設定された任意の時間に亘って継続した場合は、ステップS5において、その画像を対象画像情報D5として自律的に検知する(対象画像情報検知処理)。
【0072】
対象画像情報D5を検知すると、情報処理装置40は、対象画像情報D5を検知した旨とともに対象画像情報D5を制御装置30に情報として送信し、制御装置30は、ステップS6において、その情報を受け付ける。
【0073】
制御装置30が対象画像情報D5等を受け付けると、続くステップS7において、制御装置30は、対象画像情報D5等を受け付けた旨の検知結果を生成処理装置50に送信する。
【0074】
生成処理装置50は、ステップS8において検知結果を受け付けると、ステップS9おいて、検知結果を受け付けた旨の報知データを生成し(報知データ生成処理)、ステップS10において、生成した報知データを端末装置60に送信する。
【0075】
続いて、ステップS11において、端末装置60が報知データを受け付けると、ステップS12において、報知データの処理を実行する。報知データの処理の実行によって、端末装置60あるいは端末装置60に接続された各種の外部機器を介して、任意の報知が畜産家1に向けて実行される。
【0076】
このように、カメラ20が実時間で取得する行動情報D1から、牛100が転倒している状態であって、牛100が自力で起立することが困難であると把握される状態の画像を対象画像情報D5として自律的に検知することから、牛100が不意に転倒した場合であっても、適切に対処することができる。
【0077】
特に、畜産家1が牛100の変化に気づきにくい夜間において、牛100が転倒してしまい、自力で起立できない状態に陥った場合であっても、検知した対象画像情報D5に基づいた適切な対処をすることによって、牛100が死亡してしまうリスクを未然に回避することができる。
【0078】
ところで、生成した学習済みモデルD2に基づいて実行する対象画像情報検知処理において、検知した対象画像情報D5が誤検知であると判明した場合(例えば報知に基づいて畜産家1が牛舎1aに赴いたところ、牛100が自力で起立していたような場合)には、検知した対象画像情報D5を教師データとして、カメラ20が実時間で取得する行動情報D1を解析する際に学習データを生成して、この学習データで再度、機械学習を実行すれば、学習済みモデルD2の精度が向上する。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0080】
上記実施の形態では、端末装置60がデスクトップ型あるいはノート型のコンピュータで実装される場合を説明したが、例えばスマートフォンやタブレット型端末等といった携帯型情報処理端末であってもよい。
【0081】
上記実施の形態では、生成処理装置50を用いて報知データが生成される場合を説明したが、生成処理装置50を用いないで、例えば端末装置60において報知データが生成されるものであってもよい。
【0082】
上記実施の形態では、畜産動物が牛100である場合を説明したが、牛100に限られるものではなく、例えば豚、鶏、馬等の種々の畜産動物であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 畜産家
10 情報処理システム
20 カメラ(画像取得装置)
30 制御装置
40 情報処理装置
50 生成処理装置
60 端末装置
100 牛(畜産動物)