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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118569
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】収容箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20240826BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240826BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/08 080
H02G3/16
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024919
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 利宜
(72)【発明者】
【氏名】清田 浩孝
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AA06
5G361AB09
5G361AC02
5G361AC03
5G361AD03
5G361BA07
5G361BB03
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】パッキン部材の止水性を確保しつつパッキン部材の成形を良好に行える。
【解決手段】収容箱1は、開口部21を形成している本体部2と、開口部21を覆って本体部2に取り付けられるカバー部3と、本体部2とカバー部3の間の止水を行うパッキン部材4とを備え、本体部2は、カバー部3の取付方向Zに沿って形成される側壁22を有し、パッキン部材4は、カバー部3に取り付けられるパッキン本体41、パッキン本体41から突出するシール部42、及び、シール部42に対し側壁22と反対側に形成されシール部42の反対側への撓みを許容する空隙部43、を形成し、シール部42は、カバー部3が本体部2に取り付けられていない状態で取付方向Zに対して側壁22が位置する側に向けて斜めに突出し、かつ、先端部分に形成されカバー部3が本体部2に取り付けられた状態で側壁22の側面22Aに接触する第一リップ42Aを有するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容物を収容可能とし、内外を連通する開口部を形成する本体部と、
前記開口部を覆って前記本体部に取り付けられるカバー部と、
前記カバー部に設けられ、前記本体部と前記カバー部の間の止水を行うパッキン部材と、を備え、
前記本体部は、前記本体部に対する前記カバー部の取付方向に沿って形成され前記内部を囲う側壁を有し、
前記パッキン部材は、前記カバー部に取り付けられるパッキン本体、前記パッキン本体から突出し前記側壁に接触するシール部、及び、前記シール部に対し前記側壁と反対側に形成され前記シール部の前記反対側への撓みを許容する空隙部、を形成し、
前記シール部は、前記カバー部が前記本体部に取り付けられていない状態で前記カバー部の前記取付方向に対して前記側壁が位置する側に向けて斜めに突出し、かつ、先端部分に形成され前記カバー部が前記本体部に取り付けられた状態で前記側壁の側面に接触する第一リップを有している、
収容箱。
【請求項2】
前記本体部は、前記側面から突出して前記側面に対し交差する方向に形成される上面を有する棚部を形成し、
前記シール部は、先端部分に形成され前記カバー部が前記本体部に取り付けられた状態で前記棚部の前記上面に接触する第二リップを形成している、
請求項1に記載の収容箱。
【請求項3】
前記棚部は、突出方向における前記上面の幅が前記シール部の幅以上の大きさとなるように、設けられている、
請求項2に記載の収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容箱として、例えば、特許文献1、2に記載されるように、筐体に対し開閉可能な蓋体を備えた収容箱が知られている。この収容箱は、蓋体において筐体と突き当たる位置にパッキンが配置され、このパッキンにより筐体と蓋体の間の止水を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-115955号公報
【特許文献2】特開2004-019887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した収容体では、止水性を高めるようとすると筐体に対する蓋体の取り付けが困難となる場合がある。すなわち、上述した収容体では、高い止水性を得るためには筐体に対し蓋体を強く押し付ける必要がある。このため、筐体に対する蓋体の取り付けに強い力が必要となり、蓋体の取り付け作業が円滑に行えないおそれがある。
【0005】
これに対し、蓋体に取り付けられるパッキンを筐体の側面に当接させて筐体と蓋体の間の止水を行うことが考えられる。この場合、蓋体の取付方向とパッキンの当接方向が異なるため、蓋体の取り付け作業の円滑化が期待できる。しかしながら、パッキンからリップを突出させて筐体の側面に当接させようとすると、パッキンの製造が困難になる点で改善の余地がある。例えば、パッキンのリップが蓋体の取付方向に対し交差方向へ突出することとなる。この場合、パッキンの成形による製造において、リップがアンダーカットとなり、パッキンの成形が困難となるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、パッキン部材による止水機能を確保しつつパッキン部材の成形を良好に行える収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る収容箱は、内部に収容物を収容可能とし、内外を連通する開口部を形成する本体部と、前記開口部を覆って前記本体部に取り付けられるカバー部と、前記カバー部に設けられ、前記本体部と前記カバー部の間の止水を行うパッキン部材と、を備え、前記本体部は、前記本体部に対する前記カバー部の取付方向に沿って形成され前記内部を囲う側壁を有し、前記パッキン部材は、前記カバー部に取り付けられるパッキン本体、前記パッキン本体から突出し前記側壁に接触するシール部、及び、前記シール部に対し前記側壁と反対側に形成され前記シール部の前記反対側への撓みを許容する空隙部、を形成し、前記シール部は、前記カバー部が前記本体部に取り付けられていない状態で前記カバー部の前記取付方向に対して前記側壁が位置する側に向けて斜めに突出し、かつ、先端部分に形成され前記カバー部が前記本体部に取り付けられた状態で前記側壁の側面に接触する第一リップを有するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る収容箱によれば、パッキン部材による止水機能を確保しつつパッキン部材の成形を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る収容箱の分解斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る収容箱の斜視図である。
図3図3は、図2のIII-IIIにおける収容箱の断面図である。
図4図4は、本体部とカバー部が離間した場合の収容箱の断面図である。
図5図5は、実施形態に係る収容箱におけるパッキン部材の説明図である。
図6図6は、実施形態に係る収容箱におけるパッキン部材の説明図である。
図7図7は、実施形態に係る収容箱における成形性の説明図である。
図8図8は、実施形態に係る収容箱における成形性の説明図である。
図9図9は、実施形態に係る収容箱における成形性の説明図である。
図10図10は、実施形態に係る収容箱の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
本実施形態は、収容箱に関する。以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「奥行方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「取付方向Z」という。ここでは、奥行方向Xと幅方向Yと取付方向Zとは、相互に直交する。取付方向Zは、本体部に対するカバー部の取付方向であり、本体部及びカバー部の高さ方向に相当する。奥行方向Xと幅方向Yとは、取付方向Zと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る収容箱1は、収容物を収容する箱体であり、例えば、車両に搭載され、フューズ及びリレーを含む電子部品9を収容する電気接続箱として用いられる。収容箱1は、本体部2、カバー部3及びパッキン部材4を備えている。本体部2は、上面を開放した箱部材であり、例えば直方体を呈している。ここでいう直方体は、ほぼ直方体を含む。本体部2は、内部に収容物として電子部品9を収容可能とし、上面に内外を連通する開口部21を形成している。本体部2の開口部21は、カバー部3が取り付けられることにより塞がれる。開口部21は、例えば本体部2の上面全体を開放した開口とされる。図1において、本体部2は、底部を有しているが、底部を開放し、開放した底部にロアカバーを着脱可能としてもよい。
【0013】
本体部2の側壁22には、被係止部23が設けられている。側壁22は、本体部2の側部を構成する部位であり、カバー部3の取付方向Zに沿って形成され本体部2の内部を囲っている。側壁22は、例えば、前後左右に四つ形成されている。本体部2の内部は、本体部2の内部空間であり、例えば、側壁22などにより囲われる空間である。被係止部23は、カバー部3の係止部33に掛け止められる部位である。被係止部23は、側壁22の外側の表面22Cから離間して設けられる被係止片23Aを有している。被係止部23は、例えば、対向する二つの側壁22の上部の位置に一つずつ設けられている。
【0014】
カバー部3は、本体部2の開口部21を覆うアッパーカバーであり、開口部21を覆って本体部2に取り付け可能となっている。カバー部3は、天面部31及び垂下部32を有する。天面部31は、カバー部3の上面部分であり、本体部2の形状に合わせた形状とされ、例えば矩形又は略矩形の形状とされる。垂下部32は、天面部31の外縁から下方へ向けて延びる壁部であり、天面部31の外縁全周に渡って形成されている。カバー部3には、係止部33が設けられている。係止部33は、本体部2の被係止部23と係合して本体部2に対しカバー部3を保持及び保持解除を行う部位である。係止部33は、例えば、垂下部32の外側の表面32Aに設けられ、被係止部23に対応する位置に設けられる。係止部33は、被係止片23Aの内側へ挿入されて被係止片23Aに係止される係止アーム33Bを有している。この係止部33は、被係止部23と共にロック機構を構成している。なお、このロック機構は、本体部2に対しカバー部3を着脱可能であれば、上述した係止部33及び被係止部23以外の構造のロック機構であってもよい。
【0015】
パッキン部材4は、本体部2とカバー部3の間の止水を行う止水部材であり、例えば、樹脂により形成されている。パッキン部材4は、カバー部3と比べて剛性の低い材料により形成され、例えば、エラストマなどの弾性樹脂により形成される。パッキン部材4は、カバー部3の垂下部32の下部に沿って設けられ、垂下部32の下部の形状に合わせて矩形のリング形状に形成される。パッキン部材4は、例えば、二色成形によって設けられる。すなわち、パッキン部材4は、例えば、カバー部3との二色成形により設けられ、カバー部3が樹脂成形された後に異なる樹脂によって樹脂成形される。
【0016】
図2に示すように、パッキン部材4は、カバー部3に設けられ、本体部2とカバー部3の間に配置され、本体部2とカバー部3の間の止水を行う。図2は、収容箱1の斜視図であり、収容箱1のほぼ半分を切り欠いた状態で示している。パッキン部材4は、例えば、カバー部3の垂下部32の下部に形成される溝34内に設けられている。溝34は、下方を開放した空間を形成し、垂下部32の下部に沿って奥行方向X及び幅方向Yへ連続的に形成されいている。溝34には、本体部2とカバー部3の取付時において、本体部2の側壁22が下方から挿入される。側壁22と溝34の内面との間にパッキン部材4が介在することにより、本体部2とカバー部3の間の止水が行われる。
【0017】
図3に示すように、パッキン部材4は、カバー部3に形成される溝34内に設けられている。図3は、収容箱1の拡大断面図であり、本体部2に対しカバー部3が取り付けられた状態を示している。溝34は、垂下部32の下部に設けられる外壁35と内壁36の間に形成されている。垂下部32は、下部で内外に分岐して内壁36と外壁35を形成している。内壁36は、垂下部32の下部に形成される壁部である。外壁35は、突出部37を介し外側に分岐する壁部であり、内壁36の外側に位置し内壁36から所定距離を隔てて内壁36と並んで設けられている。突出部37は、垂下部32の下部から外側に向けて突出して設けられ、先端から外壁35を垂下させている。また、外壁35の下方には、延長部38が連なって形成されている。延長部38は、本体部2の側壁22の外側を覆う壁部である。溝34は、内壁36、突出部37及び外壁35に囲われて形成され、下方を開放した空間となっている。この溝34は、垂下部32の下部の延在方向(図3では、奥行方向X)に沿って形成されている。
【0018】
図4に示すように、パッキン部材4は、溝34の内面34Aに取り付けられて設けられている。図4は、収容箱1の拡大断面図であり、本体部2とカバー部3が離間した状態を示している。パッキン部材4は、パッキン本体41及びシール部42を有し、パッキン本体41が溝34の内面34Aに取り付けられている。パッキン本体41は、例えば、断面矩形の直方体に形成され、外壁35の内側及び突出部37の内側の内面34Aに取り付けられている。シール部42は、パッキン本体41からカバー部3の取付方向Zに対し斜めに突出し、本体部2の側壁22に接触して止水を行う。すなわち、シール部42は、カバー部3が本体部2に取り付けられていない状態でカバー部3の取付方向Zに対して側壁22が位置する側に向けて斜めに突出し、かつ、カバー部3が本体部2に取り付けられた状態で本体部2の側壁22に接触して本体部2とカバー部3の間の止水を行う。パッキン部材4は、側壁22の上端面22Dに突き当てられて止水するものでなく、側壁22の側部にシール部42を接触させて止水する。このため、収容箱1は、本体部2に対するカバー部3の取付において強い力を要せず、カバー部3の取り付けが容易に行うことができる。
【0019】
パッキン部材4には、空隙部43が形成されている。空隙部43は、シール部42における側壁22の反対側への撓みを許容するための空間であり、シール部42に対し側壁22と反対側に形成されている。シール部42は、突出する反対側に空隙部43が形成されることにより、シール部42がアンダーカット形状であってもシール部42が空隙部43側へ撓むことができる。このため、パッキン部材4の成形が可能となる。
【0020】
図3、4において、シール部42は、第一リップ42A及び第二リップ42Bを有している。第一リップ42A及び第二リップ42Bは、本体部2に接触して止水を行う部位であり、シール部42の先端部分に形成されている。第一リップ42Aは、本体部2の側壁22の側面22Aへ向けて突出する止水リップであり、側壁22の側面22Aに接触して止水を行う。すなわち、第一リップ42Aは、カバー部3が本体部2に取り付けられた状態において側壁22の側面22Aに接触して本体部2とカバー部3の間の止水を行う。シール部42は、本体部2にカバー部3が取り付けられた状態において第一リップ42Aの側面22Aへの接触により空隙部43側へ撓んでいる。第一リップ42Aの突出形状は、例えば、断面半月状又は断面山型とされる。側壁22の側面22Aは、側壁22の表面であって取付方向Zに沿って形成される面である。
【0021】
第二リップ42Bは、側壁22の棚部221の上面221Aへ向けて断面半月状又は断面山型に突出する止水リップであり、棚部221の上面221Aに接触して止水を行う。棚部221は、側壁22の側面22Aから突出した部位であり、側面22Aに対し交差する方向に形成される上面221Aを有している。つまり、棚部221は、側壁22の上部において側壁22の厚み方向(図4では、幅方向Y)へ突出しており、側壁22において部分的に厚みを大きくすることで棚のように上面221Aを有している。第二リップ42Bは、本体部2に対しカバー部3が取り付けられた状態において、側壁22の棚部221へ向けて突出して設けられ、棚部221の上面221Aに接触して本体部2とカバー部3の間の止水を行う。第二リップ42Bの突出形状は、例えば、断面半月状又は断面山型とされる。シール部42は、第一リップ42A及び第二リップ42Bを有することにより、二段リップを構成しており、本体部2とカバー部3の間の止水性を高めている。
【0022】
図5に示すように、棚部221は、突出長がシール部42の幅以上の大きさとなるように設けられている。すなわち、棚部221は、突出方向(図5では、幅方向Y)における上面221Aの幅W1がシール部42の幅W2以上の大きさとなるように設けられている。このため、本体部2に対しカバー部3が取り付けられた状態において、シール部42が棚部221の幅W1内に収められ側壁22に接触する。これにより、パッキン部材4は、止水性を高めることが可能となる。
【0023】
図6に示すように、シール部42は、本体部2に対しカバー部3が取り付けられた状態において、第二リップ42Bが側面22A側へ倒れるように設けられている。例えば、シール部42は、シール幅の中心位置42Cに第二リップ42Bが形成され、側面22A側へ斜めに形成される。これにより、第二リップ42Bが上面221Aに当接した場合、第二リップ42Bは、側面22A側へ倒れることとなる。
【0024】
図3において、側壁22の棚部221の下方には突出片24が形成されている。突出片24は、側壁22から突出する部位であり、カバー部3の垂下部32と当接してカバー部3の下方へ移動を規制している。突出片24は、側壁22の上部の位置に形成され、例えば、四つの側壁22の全周に連なって形成されている。突出片24は、外壁35の下端に当接するように設けられている。このように、突出片24が外壁35に当接することにより、突出片24により溝34が塞がれ、外部から溝34内への水などの進入が抑制される。
【0025】
次に、本実施形態に係る収容箱1における止水性について説明する。
【0026】
図4に示すように、本体部2に対しカバー部3が離間した状態から本体部2の側壁22の上部をカバー部3の溝34へ挿入させて、本体部2に対しカバー部3の取り付けられる。すなわち、本体部2の開口部21に対しカバー部3が配置され、カバー部3により開口部21が覆われる。そして、カバー部3の係止部33と本体部2の被係止部23が係合され、本体部2に対しカバー部3の取り付けられる。
【0027】
この状態において、図3に示すように、溝34内に設けられるパッキン部材4は、本体部2とカバー部3の間に配され、本体部2とカバー部3の間の水の進入を抑制して止水する。このとき、パッキン部材4のシール部42は、側壁22に押圧された状態となる。すなわち、シール部42の第一リップ42Aは側面22Aに押圧され、第二リップ42Bは棚部221の上面221Aに押圧された状態となる。つまり、シール部42は、二段リップを構成し、高い止水性を発揮する。
【0028】
また、図6に示すように、本体部2に対しカバー部3の取り付けられ、シール部42の先端部分が棚部221の上面221Aに当接する際、シール部42の先端部分の第二リップ42Bが側面22Aへ倒れるように、シール部42が設置される。このため、第一リップ42Aが側面22Aへ強く押圧され、シール部42の止水性を高めることができる。
【0029】
更に、図5に示すように、側壁22に棚部221が形成され、第一リップ42A及び第二リップ42Bへ直接に水がかかりにくい構造となっている。すなわち、収容箱1の外部から水が溝34内へ水WAが進入した場合であっても、水WAは空隙部43内へ入り込み、直接的に第一リップ42A及び第二リップ42B側へ進入することが抑制される。このとき、水WAは、空隙部43側からシール部42を側面22Aが押圧するように作用するため、シール部42の止水性が高められる。従って、パッキン部材4は、水WAが第一リップ42A及び第二リップ42Bと側壁22の間に進入することを抑制することができる。このように、収容箱1は、本体部2とカバー部3の間の止水性に優れ、止水機能を確保することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る収容箱1における成形性について説明する。
【0031】
図1において、パッキン部材4は、樹脂成形により製造される。例えば、パッキン部材4は、カバー部3と共に二色成形により製造される。この場合、異なる二つの異なる樹脂を用いて、カバー部3及びパッキン部材4が成形される。つまり、カバー部3が樹脂成形されカバー部3が冷却された後、パッキン部材4が樹脂成形される。そして、パッキン部材4が冷却されたら、金型が開かれ、カバー部3及びパッキン部材4は、一体となった成形品として金型から取り出される。
【0032】
図7は、カバー部3及びパッキン部材4が成形及び冷却固化され、型開きする直前の状態を示している。カバー部3及びパッキン部材4は、金型81と金型82の間で成形されている。例えば、金型81は固定型であり、金型82は移動型である。金型82の移動方向は、図7において下方向である。固定型の金型81に対し移動型の金型82、カバー部3及びパッキン部材4が移動され、金型81から離間される。
【0033】
そして、図8に示すように、金型82に密着しているカバー部3及びパッキン部材4が金型82から取り外される。例えば、エジェクトピンなどの取外し部材の作動により、カバー部3及びパッキン部材4が金型82から離間される。このとき、パッキン部材4のシール部42が取外方向(図8では、上方向)に対し斜めに突出しているため、アンダーカットとなっている。しかしながら、パッキン部材4には、シール部42の背後に空隙部43が形成されている。このため、カバー部3及びパッキン部材4の取外し時において、シール部42が空隙部43側へ撓むように変形し、シール部42に強い圧縮力が加わることが抑制される。
【0034】
そして、図9に示すように、更にカバー部3及びパッキン部材4が金型82から離間されると、パッキン部材4のシール部42が空隙部43側へ撓んで弾性変形し、カバー部3及びパッキン部材4を金型82から無理なく円滑に取り外していくことができる。このため、パッキン部材4の損傷及び塑性変形を抑制して、カバー部3及びパッキン部材4の樹脂成形を行うことができる。従って、本実施形態に係る収容箱1は、カバー部3及びパッキン部材4の成形が良好に行うことができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る収容箱1によれば、シール部42及び空隙部43を形成したパッキン部材4を備えることにより、シール部42を本体部2の側壁22に接触させて止水機能を確保すると共に、空隙部43によってシール部42の撓みを許容することでパッキン部材4の成形を良好に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態に係る収容箱1は、パッキン部材4が側壁22に接触する第一リップ42A及び第二リップ42Bを備えることにより、第一リップ42A及び第二リップ42Bにより二段シールを構成することができ、本体部2とカバー部3のとの間の止水性を高めることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る収容箱1は、本体部2の側壁22に設けられる棚部221の上面221Aの幅W1がシール部42の幅W2以上の大きさとされることにより、パッキン部材4の位置に水が進入した場合であっても、シール部42に対し直接水がかかることを抑制することができる。このため、シール部42が進入した水で捲れ上がることが抑制され、止水機能を確保することができる。
【0038】
なお、以上のように実施形態に係る収容箱1を説明したが、本発明に係る収容箱は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。また、本実施形態に係る収容箱1は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0039】
例えば、上述した実施形態では、パッキン部材4のシール部42に第一リップ42A及び第二リップ42Bが形成されている場合について説明したが、シール部42に第一リップ42Aのみが形成される場合であってもよい。また、シール部42に対し第一リップ42A及び第二リップ42B以外のリップを形成し、側壁22の側面22A又は棚部221の上面221Aに接触させてもよい。これらの場合であっても、上述した実施形態と同様に、シール部42を本体部2の側壁22に接触させて止水機能を確保すると共に、空隙部43によってシール部42の撓みを許容することでパッキン部材4の成形を良好に行うことができる。
【0040】
また、上述した実施形態では、二色成形により形成したカバー部3及びパッキン部材4を用いる場合について説明したが、カバー部3とパッキン部材4を個別に製造し、カバー部3にパッキン部材4が取り付けられる収容箱であってもよい。例えば、図10に示すように、パッキン部材4は、例えば、パッキン本体41が断面L型とされ、溝34の上部に嵌め付け可能としてもよい。パッキン部材4は、例えば、樹脂、ゴムなどを成形して製造したものが用いられる。このような収容箱1であっても、上述した実施形態と同様に、シール部42を本体部2の側壁22に接触させて止水性を確保すると共に、空隙部43によってシール部42の撓みを許容することでパッキン部材4の成形を良好に行うことができる。
【0041】
また、上述した実施形態では、収容箱1として、車両に搭載され電子部品9を収容する電気接続箱に適用する場合について説明したが、本発明に係る収容箱は、車両に搭載されない収容箱に適用してもよい。また、本発明に係る収容箱は、電子部品9以外の収容物を収容する収容箱に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:収容箱
2:本体部
3:カバー部
4:パッキン部材
9:電子部品(収容物)
21:開口部
22:側壁
22A:側面
41:パッキン本体
42:シール部
42A:第一リップ
42B:第二リップ
43:空隙部
221:棚部
221A:上面
W1:幅
W2:幅
Z:取付方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容物を収容可能とし、内外を連通する開口部を形成する本体部と、
前記開口部を覆って前記本体部に取り付けられるカバー部と、
前記カバー部に設けられ、前記本体部と前記カバー部の間の止水を行うパッキン部材と、を備え、
前記本体部は、前記本体部に対する前記カバー部の取付方向に沿って形成され前記内部を囲う側壁を有し、
前記パッキン部材は、前記カバー部に取り付けられるパッキン本体、前記パッキン本体から突出し前記側壁に接触するシール部、及び、前記シール部に対し前記側壁と反対側に形成され前記シール部の前記反対側への撓みを許容する空隙部、を形成し、
前記シール部は、前記カバー部が前記本体部に取り付けられていない状態で前記カバー部の前記取付方向に対して前記側壁が位置する側であって前記本体部側に向けて斜めに突出し、かつ、先端部分に形成され前記カバー部が前記本体部に取り付けられた状態で前記側壁の側面に接触する第一リップを有している、
収容箱。
【請求項2】
前記本体部は、前記側面から突出して前記側面に対し交差する方向に形成される上面を有する棚部を形成し、
前記シール部は、先端部分に形成され前記カバー部が前記本体部に取り付けられた状態で前記棚部の前記上面に接触する第二リップを形成している、
請求項1に記載の収容箱。
【請求項3】
前記棚部は、突出方向における前記上面の幅が前記シール部の幅以上の大きさとなるように、設けられている、
請求項2に記載の収容箱。