(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118575
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】インクジェットシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
G06F3/12 330
G06F3/12 310
G06F3/12 325
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024931
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智良
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 暁良
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
(57)【要約】
【課題】記録媒体に対して記録動作を実行する記録装置が記録動作を実行できない状況が発生する頻度を低減すること。
【解決手段】インクを吐出する第1ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第1記録装置と、前記第1記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第1処理装置と、を少なくとも含む第1サブシステムと、インクを吐出する第2ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第2記録装置と、前記第2記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第2処理装置と、を少なくとも含む第2サブシステムと、前記第1サブシステムと前記第2サブシステムとの両方に接続する第1サーバーと、前記第1サーバーと接続する第2サーバーと、を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する第1ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第1記録装置と、前記第1記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第1処理装置と、を少なくとも含む第1サブシステムと、
インクを吐出する第2ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第2記録装置と、前記第2記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第2処理装置と、を少なくとも含む第2サブシステムと、
前記第1サブシステムと前記第2サブシステムとの両方に接続する第1サーバーと、
前記第1サーバーと接続する第2サーバーと、
を有することを特徴とするインクジェットシステム。
【請求項2】
前記第1サブシステムは、前記第1記録装置で記録動作を実行する場合の使用条件に関する第1条件情報を前記第1サーバーに送信し、
前記第1サーバーは、前記第1条件情報を受信した場合、前記第1条件情報を保存した後、前記第1条件情報を前記第2サーバーに送信し、
前記第2サーバーは、前記第1条件情報を受信した場合、前記第1条件情報に基づいて前記第1記録装置の記録動作を制御するための第1制御情報を生成した後、前記第1制御情報を前記第1サーバーに送信し、
前記第1サーバーは、前記第1制御情報を受信した場合、前記第1制御情報を保存した後、前記第1制御情報を前記第1サブシステムに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項3】
前記第2サーバーは、更に、前記第1サブシステムと前記第2サブシステムとの両方に接続し、
前記第1サブシステムは、前記第1記録装置の記録動作を実行する場合の使用条件に関する第1条件情報を前記第2サーバーに送信し、
前記第2サーバーは、前記第1条件情報を受信した場合、前記第1条件情報に基づいて、前記第1記録装置の記録動作を制御するための第1制御情報を生成した後、前記第1制御情報と、前記第1条件情報と、前記第1制御情報の宛先が前記第1サブシステムであることを示す第1宛先情報とを前記第1サーバーに送信し、
前記第1サーバーは、前記第1制御情報と前記第1条件情報と前記第1宛先情報とを受信した場合、前記第1制御情報と前記第1条件情報とを保存した後、前記第1制御情報を、前記第1宛先情報が示す前記第1サブシステムに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項4】
前記第2サーバーは、更に、前記第1サブシステムと前記第2サブシステムとの両方に接続し、
前記第1サブシステムは、前記第1記録装置の記録動作を実行する場合の使用条件に関する第1条件情報を前記第1サーバーと前記第2サーバーとのいずれのサーバーに送信するかをユーザーが選択可能なように構成され、選択されたサーバーに前記第1条件情報を送信し、
前記第1サーバーが選択された場合、
前記第1サーバーは、前記第1サブシステムから前記第1条件情報を受信した場合、前記第1条件情報を前記第2サーバーに送信し、
前記第2サーバーは、前記第1条件情報を受信した場合、前記第1条件情報に基づいて、前記第1記録装置の記録動作を制御するための第1制御情報を生成した後、前記第1制御情報を前記第1サーバーに送信し、
前記第1サーバーは、前記第1制御情報を受信した場合、前記第1制御情報を保存した後、前記第1制御情報を前記第1サブシステムに送信し、
前記第2サーバーが選択された場合、
前記第2サーバーは、前記第1条件情報を受信した場合、前記第1条件情報に基づいて前記第1制御情報を生成した後、前記第1制御情報と、前記第1条件情報と、前記第1制御情報の宛先が前記第1サブシステムであることを示す第1宛先情報とを前記第1サーバーに送信し、
前記第1サーバーは、前記第1制御情報と前記第1条件情報と前記第1宛先情報とを受信した場合、前記第1制御情報と前記第1条件情報とを保存した後、前記第1制御情報を、前記第1宛先情報が示す前記第1サブシステムに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項5】
前記第1サブシステムは、前記第1制御情報に基づき前記第1記録装置の記録動作を実行したときの前記第1ヘッドユニットの吐出特性に関する第1特性情報を、前記第2サーバーに送信する、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項6】
前記第1サブシステムは、前記第1制御情報に基づき前記第1記録装置の記録動作を実行したときの前記第1サブシステムのユーザーの評価に関する第1評価情報を、前記第2サーバーに送信する、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項7】
前記第1条件情報は、前記第1ヘッドユニットが吐出するインクの種類に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項8】
前記第1条件情報は、前記第1記録装置が記録動作を実行する記録媒体の種類に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項9】
前記第1条件情報は、前記第1サブシステムの使用環境における前記第1ヘッドユニットの温度に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項10】
前記第1ヘッドユニットは、駆動素子を有し、
前記第1制御情報は、前記駆動素子に印加する駆動信号に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項11】
前記第1処理装置は、前記データ処理として画像データに画像処理を実行することにより、記録に用いる記録データを生成し、前記記録データを前記第1記録装置に送信し、
前記第1記録装置は、前記記録データに基づいて前記記録動作を実行し、
前記第1制御情報は、前記画像処理に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェットシステム。
【請求項12】
前記第1サーバーは、前記第1サブシステムの第1ユーザーによる前記第1サーバー内のデータを参照する要求、及び、前記第2サブシステムの第2ユーザーによる前記第1サーバー内のデータを参照する要求を受け付け可能であり、
前記第2サーバーは、前記第1ユーザーによる前記第2サーバー内のデータを参照する要求、及び、前記第2ユーザーによる前記第2サーバー内のデータを参照する要求を受け付けない、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項13】
前記第1サーバーは、前記第1サブシステムの第1ユーザーによる前記第1サーバー内のデータを編集する要求、及び、前記第2サブシステムの第2ユーザーによる前記第1サーバー内のデータを編集する要求を受け付け可能であり、
前記第2サーバーは、前記第1ユーザーによる前記第2サーバー内のデータを編集する要求、及び、前記第2ユーザーによる前記第2サーバー内のデータを編集する要求を受け付けない、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項14】
前記第1サーバーは、前記第1サブシステムの第1ユーザーによる前記第1サーバー内にデータを追加する要求、及び、前記第2サブシステムの第2ユーザーによる前記第1サーバー内にデータを追加する要求を受け付け可能であり、
前記第2サーバーは、前記第1ユーザーによる前記第2サーバー内にデータを追加する要求、及び、前記第2ユーザーによる前記第2サーバー内にデータを追加する要求を受け付け可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項15】
前記第2サーバーは、前記インクジェットシステムの管理者による前記第2サーバーのプログラムをアップデートする要求を受け付け可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項16】
前記第1サーバーは、前記インクジェットシステムの管理者による前記第1サーバーのプログラムをアップデートする要求を受け付けない、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項17】
インクを吐出する第3ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第3記録装置と、前記第3記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第3処理装置と、を少なくとも含む第3サブシステムと、
前記第3サブシステムに接続する第3サーバーを、更に有し、
前記第2サーバーは、更に、前記第3サーバーにも接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクを吐出するヘッドユニットが装着され、印刷用紙等の記録媒体に対して記録動作を実行するインクジェットプリンター等の記録装置が提供されている。例えば、特許文献1には、インクを吐出するために、ヘッドユニットに設けられた駆動素子に、駆動信号が有する波形を印加する記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術に対して、記録装置、及び、データ処理を実行する処理装置のいずれかとサーバーとを接続し、サーバーに、記録動作に関するプログラムを記憶させることが考えられる。しかしながら、サーバーに記憶されたプログラムをアップデートしている等、サーバーに記憶されたプログラムを実行できない場合、記録装置が記録動作を実行できないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係るインクジェットシステムは、インクを吐出する第1ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第1記録装置と、前記第1記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第1処理装置と、を少なくとも含む第1サブシステムと、インクを吐出する第2ヘッドユニットが装着され、記録媒体に対して記録動作を実行可能な第2記録装置と、前記第2記録装置に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う第2処理装置と、を少なくとも含む第2サブシステムと、前記第1サブシステムと前記第2サブシステムとの両方に接続する第1サーバーと、前記第1サーバーと接続する第2サーバーと、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図。
【
図2】クラウド内サーバー300の構成の一例を示す図。
【
図3】クラウド内サーバー400の構成の一例を示す図。
【
図4】管理者サーバー500の構成の一例を示す図。
【
図7】インクジェットプリンター100の構成の一例を例示する模式図。
【
図8】インクジェットプリンター100の構成例を示すブロック図。
【
図10】インクジェットシステム10の機能を示す図。
【
図11】新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合のインクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートを示す図。
【
図12】第1実施形態に係る制御情報CIの一例を説明するための図。
【
図13】ステップSD2及びステップSD6の処理を説明するための図。
【
図14】インクジェットシステム10内のデータにアクセスする要求及びプログラムのアップデート要求について説明するための図。
【
図15】第2実施形態に係るインクジェットシステム10Aの機能を示す図。
【
図16】第1変形例に係る記録システム20Bの機能を示す図。
【
図17】第2変形例に係るインクジェットシステム10Cの構成例を示す概略図。
【
図18】蓄積サーバー300Cの構成の一例を示す図。
【
図19】インクジェットシステム10Cの機能を示す図。
【
図20】インクジェットシステム10C内のデータにアクセスする要求及びプログラムのアップデート要求について説明するための図。
【
図21】第3変形例に係るインクジェットシステム10Dの機能を示す図。
【
図22】第4変形例に係る制御情報CIの一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
1.第1実施形態
1-1.インクジェットシステム10の概要
図1は、第1実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図である。インクジェットシステム10は、インクジェット方式により、後述する記録媒体PPに対して記録を行う記録システム20を管理するシステムである。
図1に示す例では、インクジェットシステム10は、管理者サーバー500と、クラウド内サーバー300と、クラウド内サーバー400と、企業内システムCNとを有する。企業内システムCNは、インクジェットシステム10を使用する企業内に構築されたシステムである。以下、インクジェットシステム10を使用する企業を、「ユーザー企業」と記載することがある。企業内システムCNは、インクジェットプリンター100_1、100_2と、処理装置200_1、200_2と、携帯端末700とを有する。
【0009】
ここで、インクジェットプリンター100_1、100_2は、インクジェットプリンター100_1、100_2のメーカーが提供する装置である。以下の記載では、インクジェットプリンター100_1、100_2のそれぞれを区別せずに、インクジェットプリンター100と総称することがある。インクジェットプリンター100は、液体の一例であるインクを吐出する液体吐出装置である。インクジェットプリンター100のメーカーは、インクジェットプリンター100を製造する業者である。インクジェットプリンター100のメーカーを、「プリンターメーカー」と記載することがある。インクジェットプリンター100_1、100_2のそれぞれは、同一のプリンターメーカーによって提供されてもよいし、異なるプリンターメーカーによって提供されてもよい。但し、インクジェットプリンター100_1、100_2に組み込まれるヘッドユニットHUは、ヘッドユニットHUのメーカーが提供する。ヘッドユニットHUのメーカーは、ヘッドユニットHUを製造する業者である。以下、ヘッドユニットHUのメーカーを、「ヘッドメーカー」と記載することがある。ヘッドメーカーは、インクジェットシステム10を管理する。プリンターメーカーは、ヘッドメーカーからヘッドユニットHUの提供を受け、提供されたヘッドユニットHUをインクジェットプリンター100に組み込むことにより、インクジェットプリンター100を製造する。インクジェットプリンター100は、「記録装置」の一例である。
【0010】
以下では、1から2までのそれぞれの整数iについて、記録システム20_iを記載することがある。記録システム20_iは、インクジェットプリンター100_iと処理装置200_iとを少なくとも含む。以下の記載では、記録システム20_1、20_2のそれぞれを区別せずに、記録システム20と総称することがある。企業内システムCNは、記録システム20_1、及び、記録システム20_2を有するとも言える。記録システム20_1及び記録システム20_2は、例えば、ユーザー企業内の互いに異なる部屋内に設置される。
図1の例では、記録システム20_1は、インクジェットプリンター100_1と、処理装置200_1とを有する。記録システム20_2は、インクジェットプリンター100_2と、処理装置200_2と、携帯端末700とを有する。
【0011】
なお、
図1に示す例では、インクジェットシステム10が有するインクジェットプリンター100及び処理装置200のそれぞれの数が2個であるが、当該数は、これに限定されず、3個以上でもよい。すなわち、記録システム20の組は、2つに限定されず、3つ以上でもよい。
【0012】
また、インクジェットシステム10を使用する企業は、1つに限らず、複数でもよい。例えば、記録システム20_1が、ある企業内に構築され、記録システム20_2が、他の企業内に構築されてもよい。以下では、説明の簡略化のため、特に記載のない限り、インクジェットシステム10を使用する企業が1つであるとして説明する。
【0013】
図1には、記録システム20_1を使用するユーザーU_1と、記録システム20_2を使用するユーザーU_2と、を示してある。以下の記載では、ユーザーU_1、U_2のそれぞれを区別せずにユーザーUと総称することがある。ユーザーUは、例えば、ユーザー企業の従業員である。ユーザーUは、1から2までのそれぞれの整数iについて、ユーザーU_iは、インクジェットプリンター100_iに加えて、処理装置200_iを使用する。
【0014】
インクジェットプリンター100は、処理装置200から、記録処理を実行させる記録ジョブJBを受け付ける。記録ジョブJBは、当該記録ジョブJBを一意に識別する不図示の識別情報と、記録媒体PPに形成される画像を示す記録データDPとを含む。更に、記録ジョブJBは、記録媒体PPに形成される画像の印刷部数を示す情報を含んでもよい。記録ジョブJBは、ユーザーUの操作によって記録指示PIが処理装置200に通知された場合に、処理装置200によって生成される。記録指示PIは、記録データDPの元となる画像データを識別する情報を含む。画像データは、PostScript、PDF、XPS等のファイル形式のデータである。PDFは、Portable Document Formatの略称である。XPSは、XML Paper Specificationの略称である。画像データを識別する情報は、例えば、処理装置200内に記憶された画像データのファイルパスである。インクジェットプリンター100は、記録データDPに基づく画像を、記録媒体PPに形成する。
【0015】
なお、
図1の例では、ユーザーU_1がインクジェットプリンター100_1を操作した結果、インクジェットプリンター100_1が記録指示PIを処理装置200_1に通知しているが、これに限らない。例えば、ユーザーU_1が処理装置200_1を操作した場合、処理装置200_1が記録指示PIを生成し、処理装置200_1が、生成した記録指示PIに基づいて記録ジョブJBを生成してもよい。
【0016】
記録媒体PPは、インクジェットプリンター100が印刷可能な媒体であれば特に限定されず、例えば、各種紙、各種布又は各種フィルム等である。
【0017】
記録システム20_1内で使用されるインクと、記録システム20_2内で使用されるインクとは、同一の種類でもよいし異なる種類でもよい。同様に、記録システム20_1内で使用される記録媒体PPと、記録システム20_2内で使用される記録媒体PPとは、同一の種類でもよいし異なる種類でもよい。
【0018】
インクジェットプリンター100は、1個のヘッドユニットHUを有する。以下の記載において、ヘッドユニットHUは、ヘッドユニットHUに設けられたノズルNzからインクを吐出する。以下では、インクジェットプリンター100を構成する要素のうちヘッドユニットHUを除く要素を「プリンター本体」という場合がある。
【0019】
なお、
図1に示す例では、インクジェットプリンター100は1個のヘッドユニットHUを有するが、ヘッドユニットHUの個数は1個に限定されず、2個以上でもよい。
【0020】
処理装置200は、デスクトップ型又はノート型等のコンピューターである。処理装置200は、記録データDPを生成する画像処理と、インクジェットプリンター100による印刷を制御する処理と、を実行する。画像処理において、処理装置200は、例えば、PostScript、PDF、XPS等のファイル形式の画像データに対して、色変換処理及びRIP処理等の各種処理を実行することにより、記録データDPを生成する。RIPは、Raster image processorの略称である。色変換処理は、ファイル形式の画像データで表現されるRGB値を、ルックアップテーブルを参照して、インクジェットプリンター100が使用するインクの色であるCMYK値又はCMY値等に変換する処理である。以下の記載では、CMY値に変換する例を用いて説明を行う。ルックアップテーブルには、RGB値とCMY値との対応関係が規定されている。RIP処理は、ディザパターンを示す情報及び誤差拡散マトリクスを示す情報を用いて、インクジェットプリンター100で印刷可能なデータである記録データDPを生成する処理である。
【0021】
携帯端末700は、スマートフォン、タブレット端末等といった携帯型の端末である。
図1の例では、携帯端末700は、ユーザーU_2によって操作される。
【0022】
処理装置200は、WAN、及び、インターネット等のネットワークNWを介してクラウド内サーバー300等の他の装置に通信可能に接続される。WANは、Wide Area Networkの略称である。
【0023】
クラウド内サーバー300及びクラウド内サーバー400は、クラウドシステムCS内のコンピューターである。クラウドシステムCSは、仮想サーバーを提供するシステムである。クラウドシステムCSは、例えば、ヘッドメーカー、プリンターメーカー、及び、ユーザー企業とは異なる事業者によって管理される。以下、クラウドシステムCSを管理する事業者を、「サーバー事業者」と記載することがある。なお、本実施形態では、説明の簡略化のため、クラウド内サーバー300及びクラウド内サーバー400は、同一のサーバー事業者によって管理されるが、互いに異なるサーバー事業者によって管理されてもよい。
【0024】
管理者サーバー500は、ヘッドメーカーによって管理されるコンピューターである。但し、インクジェットシステム10は、管理者サーバー500を有さなくてもよい。本実施形態では、例えば、ヘッドメーカーに属する従業員がネットワークNWを介して管理者サーバー500を操作する。以下、ヘッドメーカーに属する従業員を、管理者と記載することがある。
【0025】
クラウド内サーバー300、クラウド内サーバー400、及び、管理者サーバー500は、ネットワークNWを介して他の装置に通信可能に接続される。
【0026】
上述のように、本実施形態では、2つのクラウド内サーバーとして、クラウド内サーバー300とクラウド内サーバー400とを利用する。2つのクラウド内サーバーを利用する理由の説明のため、1つのクラウド内サーバーを用いる場合の問題点を説明する。
【0027】
1-2.1つのクラウド内サーバーを用いる場合の問題点について
記録システム20がクラウドシステムCS内の1つのクラウド内サーバーと接続することを利用して、ヘッドユニットHUの使用条件に関する条件情報UIを1つのクラウド内サーバーに送信する構成が考えられる。ヘッドメーカーは、条件情報UIに基づいて制御情報CIを生成し、生成した制御情報CIを送信する機能をクラウド内サーバーに設けておくことにより、1つのクラウド内サーバーは、ヘッドユニットHUの使用条件に適した制御情報CIを記録システム20に送信できる。制御情報CIは、インクジェットプリンター100の記録動作を制御するための情報である。制御情報CIは、例えば、後述する駆動素子111fに供給される駆動信号Comに関する情報、及び、記録データDPを生成するデータ処理である画像処理に関する情報の一方又は両方である。説明の簡略化のため、本実施形態では、制御情報CIは、駆動信号Comに関する情報であるとして説明する。プリンターメーカー及びユーザー企業は、ヘッドユニットHUの使用条件に応じて記録動作を設定する必要がないため、プリンターメーカー及びユーザー企業の工数負荷を大幅に削減できる。
【0028】
しかしながら、1つのクラウド内サーバーを用いる態様では、以下に示す3つの問題点が発生する。第1の問題点は、ヘッドメーカーが1つのクラウド内サーバーのプログラムを更新している間には、1つのクラウド内サーバーは、条件情報UIに適した制御情報CIを生成し、生成した制御情報CIを送信する機能を提供できないため、制御情報CIを記録システム20に提供できず、インクジェットプリンター100が記録動作を実行できないことである。
【0029】
第2の問題点について、1つのクラウド内サーバーは、複数の記録システム20からアクセス可能であるため、クラウド内サーバーにアクセスが集中する可能性がある。従って、第2の問題点は、クラウド内サーバーにアクセスが集中している間、クラウド内サーバーの処理速度が低下し、ユーザービリティが低下することである。
【0030】
第3の問題点について、ユーザー企業のビジネスモデルは、ヘッドメーカー及びプリンターメーカーのビジネスモデルと異なる場合がある。例えば、ユーザー企業のビジネスモデルは、特殊な使用条件でインクジェットプリンター100を使用し、産業財を生産することである。本実施形態において、産業財とは、他の製品を生産、加工、又は、再販売することを目的として購入される商品である。例えば、ユーザー企業とは異なる企業が、ユーザー企業が生産した産業財を購入して、消費財を生産する。消費財は、消費を目的として個人及び家庭に使用される商品又はサービスである。産業財を形成するビジネスモデルでは、あるタイミングにおいて、ある特殊な使用条件でインクジェットプリンター100を使用した後、数か月又は数年後経過した場合に、再び同一の使用条件でインクジェットプリンター100を使用したい場合がある。例えば、ユーザー企業が生産する産業財を用いた消費財が、周期的に流行する場合がある。この場合、ユーザー企業は、産業財を生産するために、再度記録動作を設定するよりも、以前設定した制御情報CIを用いた方が工数負荷を軽減できるため好ましい。このように、数か月又は数年後に使用される可能性がある制御情報CIを、1つのクラウド内サーバーに記憶させておくことが考えられる。第3の問題点は、以前使用した制御情報CIを使用したい場合が、このクラウド内サーバーのプログラムが更新している間、又は、クラウド内サーバーにアクセスが集中している間であると、以前使用した制御情報CIを記録システム20が取得できないため、記録動作を実行できないことである。
【0031】
そこで、第1実施形態に係るインクジェットシステム10は、クラウド内サーバー400に、条件情報UIに適した制御情報CIを生成させ、クラウド内サーバー300に、制御情報CIを蓄積し、蓄積した制御情報CIを記録システム20に提供させる。以下、インクジェットシステム10の各装置の構成について説明する。
【0032】
1-3.インクジェットシステム10の各装置の構成
図2は、クラウド内サーバー300の構成の一例を示す図である。クラウド内サーバー300は、制御回路310と、記憶回路320と、通信装置380とを有する。制御回路310と、記憶回路320と、通信装置380とは、情報を通信するためのバス390により相互に接続される。
【0033】
制御回路310は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。CPUは、Central Processing Unitの略称である。なお、制御回路310は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0034】
記憶回路320は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路320は、制御回路310が読取可能であり、制御回路310が実行する仮想化プログラムVM1及び蓄積プログラムPMDを含む複数のプログラム、制御情報蓄積テーブルCDB、アカウント管理テーブルUDB、並びに、制御回路310が使用する各種の情報などを記憶する。仮想化プログラムVM1は、クラウド内サーバー300の制御回路310及び記憶回路320といったリソースを複数に分割し、分割したリソースのそれぞれを仮想サーバーとして動作させる。インクジェットシステム10は、クラウド内サーバー300の一部として、複数の仮想サーバーのうち一部の仮想サーバーを利用する。蓄積プログラムPMDは、制御情報CIを蓄積し、蓄積した制御情報CIを記録システム20に提供するプログラムである。蓄積プログラムPMDは、ヘッドメーカーによって開発される。制御情報蓄積テーブルCDBは、条件情報UIと制御情報CIとを関連付けて記憶する。制御情報蓄積テーブルCDBの内容については、
図13で後述する。アカウント管理テーブルUDBは、インクジェットシステム10を利用するためのユーザーUに関する情報及び管理者に関する情報を記憶する。ユーザーUに関する情報は、例えば、インクジェットシステム10を利用するためのアカウントID、パスワード、及び、ユーザーUのメールアドレスである。IDは、identifierの略称である。また、管理者に関する情報は、インクジェットシステム10の管理者のアカウントID、及び、パスワード等である。
【0035】
なお、記憶回路320が仮想化プログラムVM1を有さなくてもよく、クラウド内サーバー400等の他の装置は、仮想サーバーの替わりにクラウド内サーバー300にアクセスしてもよい。
【0036】
通信装置380は、ネットワークNWを介してクラウド内サーバー400、処理装置200、及び、管理者サーバー500等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置380は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0037】
図3は、クラウド内サーバー400の構成の一例を示す図である。クラウド内サーバー400は、制御回路410と、記憶回路420と、通信装置480とを有する。制御回路410と、記憶回路420と、通信装置480とは、情報を通信するためのバス490により相互に接続される。
【0038】
制御回路410は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路410は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0039】
記憶回路420は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路420は、制御回路410が読取可能であり、制御回路410が実行する仮想化プログラムVM2及び生成プログラムPMCを含む複数のプログラム、特性・評価蓄積テーブルHDB、アカウント管理テーブルUDB、並びに、制御回路410が使用する各種の情報などを記憶する。仮想化プログラムVM2は、クラウド内サーバー400の制御回路410及び記憶回路420といったリソースを複数に分割し、分割したリソースのそれぞれを仮想サーバーとして動作させる。インクジェットシステム10は、クラウド内サーバー400の一部として、複数の仮想サーバーのうち一部の仮想サーバーを利用する。生成プログラムPMCは、条件情報UIに適した制御情報CIを生成するプログラムである。生成プログラムPMCは、ヘッドメーカーによって開発される。特性・評価蓄積テーブルHDBは、ヘッドユニットHUの吐出特性に関する情報である特性情報TIと、ユーザーUの評価に関する評価情報HIとを関連付けて記憶する。特性情報TI、及び、評価情報HIについては後述する。アカウント管理テーブルUDBは、クラウド内サーバー300の記憶回路420が記憶するアカウント管理テーブルUDBと同一である。
【0040】
なお、記憶回路420が仮想化プログラムVM2を有さなくてもよく、クラウド内サーバー400以外の装置は、仮想サーバーの替わりにクラウド内サーバー400にアクセスしてもよい。
【0041】
通信装置480は、ネットワークNWを介してクラウド内サーバー300、処理装置200、及び、管理者サーバー500等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置480は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0042】
なお、クラウド内サーバー300が、「第1サーバー」の一例である。クラウド内サーバー400が、「第2サーバー」の一例である。
【0043】
図4は、管理者サーバー500の構成の一例を示す図である。管理者サーバー500は、制御回路510と、記憶回路520と、通信装置580とを有する。制御回路510と、記憶回路520と、通信装置580とは、情報を通信するためのバス590により相互に接続される。
【0044】
制御回路510は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路510は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0045】
記憶回路520は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路520は、制御回路510が読取可能であり、制御回路510が実行するプログラム、及び、制御回路510が使用する各種の情報などを記憶する。
【0046】
通信装置580は、ネットワークNWを介してクラウド内サーバー300、クラウド内サーバー400、及び、処理装置200等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置580は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0047】
図5は、携帯端末700の構成を示す図である。携帯端末700は、制御回路710と、記憶回路720と、通信装置730と、入力装置760と、表示装置270と、撮像装置780と、を有する。制御回路710と、記憶回路720と、通信装置730と、入力装置760と、表示装置770と、撮像装置780とは、情報を通信するためのバス790により相互に接続される。
【0048】
制御回路710は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路710は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0049】
記憶回路720は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路720は、制御回路710が読取可能であり、制御回路710が実行するプログラム、及び、制御回路710が使用する各種の情報などを記憶する。記憶回路720は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。
【0050】
通信装置730は、ネットワークNWを介してクラウド内サーバー300等の他の装置と無線通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置730は、具体的には、ベースバンド回路と、RF回路と、アンテナとを有する。RFはRadio Frequencyの略である。ベースバンド回路は、制御回路710から受信した送信デジタル信号を変換し、送信アナログ信号に変換し、また、RF回路から受信した受信アナログ信号を受信デジタル信号に変換する。RF回路は、ベースバンド回路が変換した送信アナログ信号に基づき搬送波を変調して送信信号を生成し、また、アンテナを介して受信した受信信号を復調することにより受信アナログ信号を生成する。アンテナは、送信信号を電波として空間に送信し、また、受信した電波を受信信号として受信する。
【0051】
入力装置760は、ユーザーUの操作に応じた操作情報を出力するデバイスである。入力装置760は、例えば、キーボードである。
【0052】
表示装置770は、何らかの情報を示す画像をユーザーUに表示する。表示装置770は、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及び、LCDである。ELは、Electro-Luminescenceの略称である。LEDは、Light Emitting Diodeの略称である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略称である。また、入力装置760及び表示装置770が一体である構成でもよい。入力装置760及び表示装置770が一体である構成は、例えば、タッチパネルである。
【0053】
撮像装置780は、例えば、撮像光学系及び撮像素子を有する。撮像光学系は、少なくとも1つの撮像レンズを含む光学系であり、プリズム等の各種の光学素子を含んでもよいし、ズームレンズ又はフォーカスレンズ等を含んでもよい。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサー又はCMOSイメージセンサーである。CCDは、Charge Coupled Deviceの略である。CMOSは、Complementary MOSである。
【0054】
図6は、処理装置200の構成を示す図である。処理装置200は、制御回路210と、記憶回路220と、通信装置230と、通信装置240と、入力装置260と、表示装置270と、を有する。制御回路210と、記憶回路220と、通信装置230と、通信装置240と、入力装置260と、表示装置270とは、情報を通信するためのバス290により相互に接続される。
【0055】
制御回路210は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路210は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0056】
記憶回路220は、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路220は、制御回路210が読取可能であり、制御回路210が実行するインクジェットプログラムPM3を含む複数のプログラム、及び、制御回路210が使用する各種の情報などを記憶する。記憶回路220は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。インクジェットプログラムPM3は、例えば、処理装置200がインクジェットプリンター100に接続した場合に、クラウド内サーバー300上で動作する仮想サーバーからダウンロードされ、処理装置200にインストールされる。
【0057】
通信装置230は、ネットワークNWを介してクラウド内サーバー300等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。通信装置230は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラー、ネットワークカード又は通信モジュールとも表記される。
【0058】
通信装置240は、インクジェットプリンター100と通信可能な回路である。例えば、通信装置240は、USB、又はBluetooth等のネットワークカードである。USBは、Universal Serial Busの略称である。USB及びBluetoothは、登録商標である。
【0059】
入力装置260は、ユーザーUの操作に応じた操作情報を出力するデバイスである。入力装置260は、例えば、マウス及びキーボードである。
【0060】
表示装置270は、何らかの情報を示す画像をユーザーUに表示する。表示装置270は、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及び、LCDである。また、入力装置260及び表示装置270が一体である構成でもよい。
【0061】
上述のように、ヘッドメーカーがプリンターメーカーにヘッドユニットHUを提供し、プリンターメーカーは、プリンター本体にヘッドユニットHUを組み込むことにより、インクジェットプリンター100を製造するというビジネスモデルが存在する。このビジネスモデルにおいて、プリンターメーカーは、ヘッドユニットHU以外を設計及び製造することが一般的である。本実施形態では、ヘッドメーカーがクラウド内サーバー300と、処理装置200で動作するインクジェットプログラムPM3とを用意し、ユーザーUは、処理装置200をクラウド内サーバー300に接続し、処理装置200にインクジェットプログラムPM3を動作させる。以上により、本実施形態では、プリンターメーカーがインクジェットプログラムPM3を用意しなくてよい分、プリンターメーカーの設計及び製造の負荷を低減できる。
【0062】
図7は、インクジェットプリンター100の構成の一例を例示する模式図である。
図8は、インクジェットプリンター100の構成例を示すブロック図である。以下の説明では、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記し、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線であり、Z2方向は鉛直方向の下方に相当する。
【0063】
第1実施形態に係るインクジェットプリンター100は、マルチパス方式により記録媒体PPに画像を形成するシリアルプリンターである。マルチパス方式とは、複数回の走査によって記録媒体PPに画像を形成させることを言う。具体的には、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100は、
図7に示すように、インクジェットプリンター100は、副走査方向であるY1方向に記録媒体PPを搬送し主走査方向であるX1方向及びX2方向にヘッドユニットHUを移動させつつ、ノズルNzからインクを吐出することで、記録媒体PPに画像を形成する記録動作を実行する。
図7では、ヘッドユニットHUが有する複数のノズルNzのうちの一部のノズルNzが代表的に図示される。
【0064】
図7及び
図8に示すように、インクジェットプリンター100は、ヘッドユニットHUと、液体容器120と、移動機構130と、搬送機構140と、通信装置150と、記憶回路160と、制御回路170と、を有する。
【0065】
ヘッドユニットHUは、ヘッドチップ111と駆動回路112と電源回路113と駆動信号生成回路114とを有するアセンブリーである。
【0066】
図7に示す例では、ヘッドユニットHUは、ヘッドチップ111及び駆動回路112を含む液体吐出ヘッド110aと、電源回路113及び駆動信号生成回路114を含む制御モジュール110bと、に区分される。なお、ヘッドユニットHUは、液体吐出ヘッド110aと制御モジュール110bに区分される態様に限定されず、例えば、制御モジュール110bの一部又は全部が液体吐出ヘッド110aに組み込まれてもよい。
【0067】
ヘッドチップ111は、インクを記録媒体PPに向けて吐出する。
図7では、ヘッドチップ111の構成要素のうち、複数の駆動素子111fが代表的に図示される。なお、ヘッドチップ111の詳細の一例については、後に
図9に基づいて説明する。
【0068】
図8に示す例では、ヘッドユニットHUが有するヘッドチップ111の数が1個であるが、当該数は、2個以上でもよい。記録媒体PPの幅方向の一部にわたり複数のノズルNzが分布するように、1個以上のヘッドチップ111が配置される。
【0069】
駆動回路112は、制御回路170による制御のもと、ヘッドチップ111の有する複数の駆動素子111fのそれぞれについて、駆動信号生成回路114から出力される駆動信号Comを供給するか否かを切り替える。駆動回路112は、例えば、当該切り替えのためのトランスミッションゲート等のスイッチ群を含む。
【0070】
電源回路113は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、インクジェットプリンター100の各部に適宜に供給される。
図8に示す例では、電源回路113は、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドチップ111等に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路114等に供給される。
【0071】
駆動信号生成回路114は、ヘッドチップ111の有する各駆動素子111fを駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路114は、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路114では、当該DA変換回路が制御回路170からの後述の波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路113からの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することにより駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、駆動素子111fに実際に供給される波形の信号が駆動パルスPDである。
【0072】
図7に例示される通り、インクジェットプリンター100には、インクを貯留する液体容器120が設置される。例えばインクジェットプリンター100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、又は、インクを補充可能なインクタンクが、液体容器120として利用される。
【0073】
移動機構130及び搬送機構140は、制御回路170の制御のもと、記録媒体PPとヘッドユニットHUとの相対的な位置を移動させる。相対的な位置を移動とは、記録媒体PPの位置を固定したままヘッドユニットHUを移動させてもよいし、ヘッドユニットHUの位置を固定したまま記録媒体PPを移動させてもよい。本実施形態では、主走査方向であるX軸に沿う方向に対しては、記録媒体PPのX軸における位置を固定したままヘッドユニットHUをX軸に沿う方向に移動させ、副走査方向であるY1方向に対しては、ヘッドユニットHUのY軸に沿う方向の位置を固定したまま記録媒体PPをY1方向に移動させる。
【0074】
移動機構130は、制御回路170の制御のもと、ヘッドユニットHUをX軸に沿って往復させる。
図7に示すように、移動機構130は、ヘッドユニットHUを収容する略箱型のキャリッジ131と、ヘッドユニットHUが固定された無端ベルト132とを具備する。なお、液体容器120をヘッドユニットHUとともにキャリッジ131に搭載した構成も採用され得る。
【0075】
搬送機構140は、制御回路170の制御のもと、記録媒体PPをY1方向に搬送する。具体的には、搬送機構140は、回転軸がX軸に平行な不図示の搬送ローラーと、搬送ローラーを制御回路170による制御のもとで回転させる不図示のモーターとを具備する。
【0076】
通信装置150は、処理装置200と通信可能な回路である。例えば、通信装置150は、USB、又はBluetooth等のネットワークカードである。また、通信装置150は、制御回路170と一体でもよい。
【0077】
記憶回路160は、制御回路170が実行する各種プログラムと、制御回路170が処理する記録ジョブJB等の各種データと、を記憶する。記憶回路160は、例えば、RAM等の揮発性の1又は複数のメモリーとROM、EEPROM又はPROM等の1又は複数の不揮発性メモリーとの一方又は両方の半導体メモリーを含む。なお、記憶回路160は、制御回路170の一部として構成されてもよい。
【0078】
制御回路170は、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御する機能と、各種データを処理する機能と、を有する。制御回路170は、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路170は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0079】
制御回路170は、記憶回路160に記憶されるプログラムを実行することにより、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御する。ここで、制御回路170は、インクジェットプリンター100の各部の動作を制御するための信号として、制御信号Sk1、制御信号Sk2、印刷信号SI及び波形指定信号dCom等の信号を生成する。
【0080】
制御信号Sk1は、移動機構130の駆動を制御するための信号である。制御信号Sk2は、搬送機構140の駆動を制御するための信号である。印刷信号SIは、駆動回路112の駆動を制御するための信号である。具体的には、印刷信号SIは、駆動回路112が駆動信号生成回路114からの駆動信号Comを駆動素子111fに対して供給するか否かを所定の単位期間ごとに指定する。この指定により、ヘッドチップ111から吐出されるインク量等が指定される。波形指定信号dComは、駆動信号生成回路114で生成される駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。
【0081】
記録動作が実行される場合、制御回路170は、まず、処理装置200から供給される記録ジョブJBを、記憶回路160に記憶させる。次に、制御回路170は、記憶回路160に記憶されている記録ジョブJBに含まれる記録データDP等の各種データに基づいて、印刷信号SI、波形指定信号dCom、制御信号Sk1、及び、制御信号Sk2等の各種制御信号を生成する。そして、制御回路170は、各種制御信号と、記憶回路160に記憶されている各種データに基づいて、ヘッドユニットHUに対する記録媒体PPの相対位置を変化させるように搬送機構140及び移動機構130を制御しつつ、駆動素子111fが駆動されるようにヘッドユニットHUを制御する。これにより、制御回路170は、駆動素子111fからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、記録データDPに基づく画像を記録媒体PPに形成する記録動作の実行を制御する。
【0082】
図9は、ヘッドチップ111の構成例を示す断面図である。以下の説明は、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸を適宜に用いる。以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向及びY2方向である。Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向及びZ2方向である。
【0083】
図7及び
図9に示すように、ヘッドチップ111は、Y軸に沿う方向に配列される複数のノズルNzを有する。
図7に示すように、当該複数のノズルNzは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1及び第2列L2のそれぞれは、Y軸に沿う方向に直線状に配列される複数のノズルNzの集合である。
【0084】
ヘッドチップ111は、X軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。ただし、第1列L1の複数のノズルNzと第2列L2の複数のノズルNzとのY軸に沿う方向での位置は、互いに一致してもよいし異なってもよい。
図9では、第1列L1の複数のノズルNzと第2列L2の複数のノズルNzとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0085】
図9に示すように、ヘッドチップ111は、流路基板111aと圧力室基板111bとノズル板111cと吸振体111dと振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとを有する。
【0086】
流路基板111a及び圧力室基板111bは、この順でZ1方向に積層されており、複数のノズルNzにインクを供給するための流路を形成する。流路基板111a及び圧力室基板111bからなる積層体よりもZ1方向に位置する領域には、振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとが設置される。他方、当該積層体よりもZ2方向に位置する領域には、ノズル板111cと吸振体111dとが設置される。ヘッドチップ111の各要素は、概略的にはY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により、互いに接合される。以下、ヘッドチップ111の各要素を順に説明する。
【0087】
ノズル板111cは、第1列L1及び第2列L2のそれぞれの複数のノズルNzが設けられた板状部材である。複数のノズルNzのそれぞれは、インクを通過させる貫通孔である。ここで、ノズル板111cのZ2方向を向く面がノズル面FNである。ノズル板111cは、例えば、ドライエッチング又はウェットエッチング等の加工技術を用いる半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、ノズル板111cの製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。また、ノズルNzの断面形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されず、例えば、多角形又は楕円形等の非円形状であってもよい。
【0088】
流路基板111aには、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、空間R1と複数の供給流路Raと複数の連通流路Naとが設けられる。空間R1は、Z軸に沿う方向でみた平面視で、Y軸に沿う方向に延びる長尺状の開口である。供給流路Ra及び連通流路Naのそれぞれは、ノズルNzごとに形成された貫通孔である。各供給流路Raは、空間R1に連通する。
【0089】
圧力室基板111bは、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、キャビティと称される複数の圧力室CVが設けられた板状部材である。複数の圧力室CVは、Y軸に沿う方向に配列される。各圧力室CVは、ノズルNzごとに形成され、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状の空間である。流路基板111a及び圧力室基板111bそれぞれは、前述のノズル板111cと同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、流路基板111a及び圧力室基板111bのそれぞれの製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。
【0090】
圧力室CVは、流路基板111aと振動板111eとの間に位置する空間である。第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、複数の圧力室CVがY軸に沿う方向に配列される。また、圧力室CVは、連通流路Na及び供給流路Raのそれぞれに連通する。従って、圧力室CVは、連通流路Naを介してノズルNzに連通し、かつ、供給流路Raを介して空間R1に連通する。
【0091】
圧力室基板111bのZ1方向を向く面には、振動板111eが配置される。振動板111eは、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板111eは、例えば、第1層と第2層とを有し、これらがこの順でZ1方向に積層される。第1層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成される弾性膜である。当該弾性膜は、例えば、シリコン単結晶基板の一方の面を熱酸化することにより形成される。第2層は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)で構成される絶縁膜である。当該絶縁膜は、例えば、スパッタ法によりジルコニウムの層を形成し、当該層を熱酸化することにより形成される。なお、振動板111eは、前述の第1層及び第2層の積層による構成に限定されず、例えば、単層で構成されてもよいし、3層以上で構成されてもよい。
【0092】
振動板111eのZ1方向を向く面には、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、互いにノズルNzに対応する複数の駆動素子111fが配置される。各駆動素子111fは、駆動信号Comの供給により変形する受動素子である。各駆動素子111fは、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状をなす。複数の駆動素子111fは、複数の圧力室CVに対応するようにY軸に沿う方向に配列される。駆動素子111fは、平面視で圧力室CVに重なる。
【0093】
各駆動素子111fは、圧電素子であり、図示しないが、第1電極と圧電体層と第2電極とを有し、この順でこれらがZ1方向に積層される。第1電極及び第2電極のうちの一方の電極は、駆動素子111fごとに互いに離間して配置される個別電極であり、当該一方の電極には、駆動パルスPDが供給される。第1電極及び第2電極のうちの他方の電極は、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状の共通電極であり、当該他方の電極には、オフセット電位VBSが供給される。これらの電極の金属材料としては、例えば、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)等の金属材料が挙げられ、これらのうち、1種を単独で又は2種以上を合金又は積層等の態様で組み合わせて用いることができる。圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電材料で構成されており、例えば、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状をなす。ただし、圧電体層は、複数の駆動素子111fにわたり一体でもよい。この場合、圧電体層には、互いに隣り合う各圧力室CVの間隙に平面視で対応する領域に、当該圧電体層を貫通する貫通孔がX軸に沿う方向に延びて設けられる。以上の駆動素子111fの変形に連動して振動板111eが振動すると、圧力室CV内の圧力が変動することで、インクがノズルNzから吐出される。
【0094】
保護板111gは、振動板111eのZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、複数の駆動素子111fを保護するとともに振動板111eの機械的な強度を補強する。ここで、保護板111gと振動板111eとの間には、複数の駆動素子111fが収容される。保護板111gは、例えば、樹脂材料で構成される。
【0095】
ケース111hは、複数の圧力室CVに供給されるインクを貯留するための部材である。ケース111hは、例えば、樹脂材料で構成される。ケース111hには、第1列L1及び第2列L2のそれぞれについて、空間R2が設けられる。空間R2は、前述の空間R1に連通する空間であり、空間R1とともに、複数の圧力室CVに供給されるインクを貯留するリザーバーRとして機能する。ケース111hには、各リザーバーRにインクを供給するための導入口IHが設けられる。各リザーバーR内のインクは、各供給流路Raを介して圧力室CVに供給される。
【0096】
吸振体111dは、コンプライアンス基板とも称され、リザーバーRの壁面を構成する可撓性の樹脂フィルムであり、リザーバーR内のインクの圧力変動を吸収する。なお、吸振体111dは、金属製の可撓性を有する薄板であってもよい。吸振体111dのZ1方向を向く面は、流路基板111aに接着剤等により接合される。
【0097】
配線基板111iは、振動板111eのZ1方向を向く面に実装されており、ヘッドチップ111と駆動回路112及び制御モジュール110b等とを電気的に接続するための実装部品である。配線基板111iは、例えば、COF、FPC又はFFC等の可撓性の配線基板である。本実施形態の配線基板111iには、前述の駆動回路112が実装される。COFは、Chip On Filmの略称である。FPCは、Flexible Printed Circuitの略称である。FFCは、Flexible Flat Cableの略称である。
【0098】
1-4.インクジェットシステム10の機能及び動作
図10から
図14を用いて、インクジェットシステム10の機能及び動作を説明する。
図10から
図13では、記録動作を実行する場合の機能及び動作について説明する。
図14では、インクジェットシステム10内のデータにアクセスする要求及びインクジェットシステム10内のプログラムのアップデート要求があった場合の処理について説明する。
【0099】
図10は、インクジェットシステム10の機能を示す図である。
図10では、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合のインクジェットシステム10の機能を示してある。処理装置200内の制御回路210は、インクジェットプログラムPM3を読み出して、読み出したインクジェットプログラムPM3を実行することにより、取得部211と、制御部213と、受付部215として機能する。クラウド内サーバー300は、仮想化プログラムVM1を読み出し、読み出した仮想化プログラムVM1を実行することにより、複数の仮想サーバーとして機能する。この複数の仮想サーバーのうち、インクジェットシステム10が使用する1つの仮想サーバーを、蓄積サーバーDCSと記載することがある。蓄積サーバーDCSによって、蓄積プログラムPMDが読み出され、蓄積プログラムPMDが実行されることによって、蓄積サーバーDCSは、第1転送部301と、関連付け部303として機能する。また、蓄積プログラムPMDが実行されることによって、制御情報蓄積テーブルCDBが更新される。
【0100】
クラウド内サーバー400は、仮想化プログラムVM2を読み出し、読み出した仮想化プログラムVM2を実行することにより、複数の仮想サーバーとして機能する。この複数の仮想サーバーのうち、インクジェットシステム10が使用する1つの仮想サーバーを、生成サーバーCCSと記載することがある。生成サーバーCCSによって、生成プログラムPMCが読み出され、生成プログラムPMCが実行されることによって、生成部401と、保存部403として機能する。また、生成プログラムPMCが実行されることによって、特性・評価蓄積テーブルHDBが更新される。
【0101】
なお、インクジェットプリンター100が、入力装置及び表示装置を有し、取得部211と、制御部213と、受付部215として機能してもよい。更に、第1実施形態では、処理装置200がネットワークNWに接続したが、インクジェットプリンター100がネットワークNWに接続する態様でもよい。
【0102】
また、クラウド内サーバー300が仮想サーバーとして機能しない場合、クラウド内サーバー300の制御回路310が蓄積プログラムPMDを実行することにより、制御回路310が、第1転送部301と関連付け部303として機能すればよい。
【0103】
また、クラウド内サーバー400が仮想サーバーとして機能しない場合、クラウド内サーバー400の制御回路410が生成プログラムPMCを実行することにより、制御回路410が、生成部401と、保存部403として機能すればよい。
【0104】
図11は、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合のインクジェットシステム10の一連の動作を示すフローチャートである。
図11に示す一連の動作は、インクジェットプリンター100が記録動作を実行するため、ユーザーUが制御情報CIの提供を受けることを処理装置200に指示した場合に実行される。
図11に示すステップSK2の前に、ユーザーUの操作によって、処理装置200が、蓄積サーバーDCSにアクセスし、ユーザーUのアカウントID及びパスワードを用いてインクジェットシステム10にログインする。ログイン後、ステップSK2において、取得部211として機能する制御回路210は、条件情報UIを取得する。
【0105】
条件情報UIは、ヘッドユニットHUの種類に関する情報と、インクの種類に関する情報と、記録媒体PPの種類に関する情報と、ヘッドユニットHUの使用環境における温度に関する情報とのうち1つの情報又は複数の情報を有する。ヘッドユニットHUの種類に関する情報は、例えば、ヘッドユニットHUの型番を示す文字列、又は、ヘッドユニットHUの識別番号である。インクの種類に関する情報は、例えば、インクの特性を示す情報、若しくは、インクの種類を示す名称又は型番である。インクの特性を示す情報は、例えば、粘度である。記録媒体PPの種類に関する情報は、記録媒体PPの特性を示す情報、又は、記録媒体PPの種類を示す名称である。記録媒体PPの特性は、例えば、滲みやすさである。ヘッドユニットHUの使用環境における温度とは、いわゆる環境温度である。環境温度は、ヘッドユニットHUが装着されたインクジェットプリンター100が設置されている空間の温度とも言えるし、インクジェットプリンター100の周囲の温度とも言える。環境温度に関する情報は、例えば、環境温度の摂氏温度を示す情報である。なお、条件情報UIは、上述した各情報に替わって、又は、追加して、上述した各情報以外の情報を有してもよい。例えば、条件情報UIは、ヘッドユニットHUの使用環境における湿度に関する情報、インクの静的表面張力又は動的表面張力に関する情報、及び、記録媒体PPの普通紙、コート紙、塩化ビニルシートなどの分類に関する情報のうち1つ又は複数の情報などを含んでもよい。
【0106】
例えば、取得部211は、条件情報UIに含まれる各情報を、ユーザーUに入力装置260を用いて入力させることにより、条件情報UIを取得する。又は、取得部211は、インクジェットプリンター100から条件情報UIに含まれる各情報を取得可能である場合、インクジェットプリンター100から取得してもよい。例えば、インクジェットプリンター100が温度センサーを有している場合、取得部211は、インクジェットプリンター100から、この温度センサーが計測した温度を示す値を取得する。更に、携帯端末700が、取得部211として機能してもよい。例えば、ヘッドユニットHUの筐体の側面等に、ヘッドユニットHUの識別番号を示すバーコード又は二次元コードが印字されていてもよい。携帯端末700は、ユーザーUの操作によって、撮像装置780によってバーコード又は二次元コードを撮像する。携帯端末700内の制御回路710は、撮像装置780によって撮像された画像を示す画像情報を取得する。画像情報を取得した場合、制御回路710は、画像情報を解析して、ヘッドユニットHUの識別番号を取得する。
【0107】
ステップSK2の処理終了後、制御回路210の制御のもと、通信装置230は、ステップSK4において、条件情報UIを蓄積サーバーDCSに送信する。処理装置200は、蓄積サーバーDCSから応答があるまで待ち受ける。なお、携帯端末700が、取得部211として機能した場合、通信装置730が、条件情報UIであるヘッドユニットHUの識別番号と、条件情報UIに対応する制御情報CIを処理装置200に送信する指示とを蓄積サーバーDCSに送信する。条件情報UIに対応する制御情報CIを処理装置200に送信する指示は、例えば、処理装置200のIPアドレスを含む。IPは、Internet Protocolの略称である。
【0108】
蓄積サーバーDCSは、条件情報UIを受信した場合、ステップSD2において、条件情報UIを制御情報蓄積テーブルCDBに保存する。ステップSD2の処理の詳細については、ステップSD6を説明する箇所で後述する。ステップSD2の処理終了後、蓄積サーバーDCSは、第1転送部301として機能し、ステップSD4において、条件情報UIを生成サーバーCCSに送信する。蓄積サーバーDCSは、生成サーバーCCSの応答を待ち受ける。
【0109】
生成サーバーCCSは、条件情報UIを受信した場合、生成部401として機能して、ステップSC2において、条件情報UIに基づいて制御情報CIを生成する。第1実施形態に係る制御情報CIの一例について、
図12を用いて説明する。
【0110】
図12は、第1実施形態に係る制御情報CIの一例を説明するための図である。
図12では、駆動信号Comが有する波形PXの一例を示してある。波形PXは、中間電位V0を維持する期間と、中間電位V0から最低電位VLXまで電位を降下させる期間と、最低電位VLXを維持する期間と、最低電位VLXから最高電位VHXまで電位を上昇させる期間と、最高電位VHXを維持する期間と、最高電位VHXから中間電位V0まで電位を降下させる期間とを有する。最低電位VLXと最高電位VHXとの電位差ΔVhを大きくする程、吐出量を多くできる。
【0111】
第1実施形態では、制御情報CIは、駆動信号Comに関する情報の一例である、駆動信号Comが有する波形PXに関するパラメーターである。波形PXに関するパラメーターは、例えば、波形PXの形状を示す情報でもよいし、最低電位VLX及び最高電位VHXのうち一方又は両方を示す情報でもよい。以下の説明では、制御情報CIは、波形PXの形状を示す情報であるとして説明する。
【0112】
ヘッドユニットHUには、ある程度の製造誤差が生じ得る。ある所定の駆動信号ComをヘッドユニットHUに印加した場合でも、製造誤差によって圧力室CVの形状が、ヘッドメーカーが想定した形状からずれた結果、ヘッドユニットHUから吐出されたインクの吐出量が、ヘッドメーカーが規定した所定の吐出量とは異なることが生じ得る。例えば、条件情報UIに含まれる情報が、ヘッドユニットHUの識別番号であると想定する。生成サーバーCCSは、ヘッドユニットHUの識別番号ごとに、ヘッドユニットHUの吐出量を示すテーブルを記憶する。生成部401は、条件情報UIに含まれるヘッドユニットHUの識別番号から、前述のテーブルを参照して、製造誤差を相殺するような電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして決定する。
【0113】
また、インクの種類によって吐出量が変動することが起こり得る。例えば、インクの粘度が高くなることに応じて、吐出量が低下する傾向にある。条件情報UIに含まれる情報が、インクの粘度を示す情報であり、一般的な粘度よりも高粘度を示す前提とする。この前提のもと、生成部401は、初期状態の波形PXの電位差ΔVhよりも大きい電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして決定する。
【0114】
また、記録媒体PPの種類によって、インクが記録媒体PPの着弾した後の状態が変動することが起こり得る。例えば、記録媒体PPの厚みが薄くなることに応じて、インクが滲みやすくなる傾向にある。条件情報UIに含まれる情報が、記録媒体PPの特性を示す情報であり、インクが滲みやすい特性を有する前提とする。この前提のもと、生成部401は、初期状態の波形PXの電位差ΔVhよりも小さい電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして決定する。
【0115】
また、環境温度によって吐出量が変動することが起こり得る。例えば、環境温度が低下するほどインクが増粘し、インクが増粘した結果、吐出量が低下する傾向にある。条件情報UIに含まれる情報が、環境温度に関する情報であり、常温よりも低い温度を示す前提とする。この前提のもと、生成部401は、初期状態の波形PXの電位差ΔVhよりも大きい電位差ΔVhを有する波形PXの形状を示す情報を、制御情報CIとして決定する。
【0116】
説明を
図11に戻す。ステップSC2の処理終了後、生成サーバーCCSは、ステップSC4において、決定した制御情報CIを蓄積サーバーDCSに送信する。
【0117】
蓄積サーバーDCSは、制御情報CIを受信した場合、ステップSD6において、関連付け部303として機能し、制御情報CIを、ステップSD2の処理によって受信した条件情報UIに関連付けて、制御情報蓄積テーブルCDBに記憶する。ステップSD2及びステップSD6の処理について、
図13を用いて説明する。
【0118】
図13は、ステップSD2及びステップSD6の処理を説明するための図である。
図13では、条件情報UIが、ヘッドユニットHUの識別番号、及び、インクの種類を示す型番である場合を想定してある。
図13の上部では、ステップSD2の処理直後の制御情報蓄積テーブルCDBの一例を示してある。
図13に示すように、制御情報蓄積テーブルCDBは、条件情報UIごとに、制御情報CIを記憶する。
図13の上部に示す制御情報蓄積テーブルCDBは、レコードRC-1からレコードRC-6までの6つのレコードが登録されている。例えば、レコードRC-1は、ヘッドユニットHUの識別情報が「hid-a1」であり、且つ、インクの種類を示す型番が「kid-b1」である場合に、制御情報CIが、波形PXの形状を示す情報dPX1であることを示す。
【0119】
ステップSD2において、蓄積サーバーDCSは、処理装置200から受信した条件情報UIを有するレコードを、制御情報蓄積テーブルCDBに追加する。
図13の上部の例では、蓄積サーバーDCSは、レコードRC-6を制御情報蓄積テーブルCDBに追加する。なお、
図11では、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合のインクジェットシステム10の一連の動作を示しているが、既存の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合、処理装置200から受信した条件情報UIと同一の情報が制御情報蓄積テーブルCDBに既に登録されている。従って、蓄積サーバーDCSは、処理装置200から受信した条件情報UIと同一の情報に関連付けられた制御情報CIを、処理装置200に送信する。
【0120】
ステップSD6において、蓄積サーバーDCSは、ステップSD2の処理によって制御情報蓄積テーブルCDBに追加したレコードの制御情報CIのフィールドに、生成サーバーCCSから受信した制御情報CIを登録する。
図13の下部の例では、蓄積サーバーDCSは、レコードRC-6の制御情報CIのフィールドに、生成サーバーCCSから受信した制御情報CIの一例である情報dPX2を登録する。なお、ステップSD6において、制御情報蓄積テーブルCDB内の複数のレコードのうち、ステップSD2の処理によって追加されたレコードがいずれであるかを容易に特定するため、例えば、制御情報蓄積テーブルCDBは、各レコードに互いに異なるシーケンス番号を追加してもよい。ステップSD4において、蓄積サーバーDCSは、条件情報UIとシーケンス番号とを生成サーバーCCSに送信する。ステップSC4において、生成サーバーCCSは、条件情報UIとシーケンス番号とを蓄積サーバーDCSに送信する。ステップSD6において、蓄積サーバーDCSは、生成サーバーCCSから受信したシーケンス番号を参照することにより、ステップSD2の処理によって追加されたレコードを特定できる。
【0121】
説明を
図11に戻す。ステップSD6の処理終了後、蓄積サーバーDCSは、ステップSD8において、制御情報CIを処理装置200に送信する。なお、携帯端末700が取得部211として機能した場合、蓄積サーバーDCSは、条件情報UIに対応する制御情報CIを処理装置200に送信する指示に従って、制御情報CIを処理装置200に送信する。
【0122】
制御回路210は、制御情報CIを受信した場合、制御部213として機能し、ステップSK6において、制御情報CIを用いてインクジェットプリンター100の記録動作を制御する。具体的には、制御回路210は、インクジェットプリンター100に制御情報CIを送信する。インクジェットプリンター100は、ステップSP2において、制御情報CIが示す波形PXを駆動素子111fに印加する。
【0123】
記録動作の終了後、制御回路210は、ステップSK8において、受付部215として機能し、特性情報TIと評価情報HIとを受け付ける。特性情報TIは、例えば、ヘッドユニットHUが有するノズルNzからのインクの吐出量を示す情報、ノズルNzから吐出されたインクの吐出速度を示す情報、ノズルNzからのインクの吐出安定性を示す情報のうち1つの情報又は複数の情報である。吐出安定性は、ノズルNzから吐出されるインクが、ヘッドメーカーが想定する着弾位置に着弾する性質を意味する。具体的には、ノズルNzから吐出されるインクの実際の着弾位置が、ヘッドメーカーが想定する着弾位置に近い程、吐出安定性が高いことを意味する。
【0124】
吐出量を示す情報及び吐出速度を示す情報の一方又は両方を受け付けるため、例えば、インクジェットプリンター100は、ノズルNzよりもZ2方向の位置に、ノズルNzから吐出された空中のインクを撮像するために設けられた撮像装置を有する。制御回路210は、撮像装置が所定期間撮像して得られた動画像を示す動画像情報をインクジェットプリンター100から受け付ける。そして、制御回路210は、動画像情報を解析することにより、吐出量を示す情報及び吐出速度を示す情報を受け付ける。又は、制御回路210は、動画像情報そのものを、特性情報TIとして受け付けてもよい。
【0125】
また、吐出安定性を示す情報を受け付けるため、例えば、インクジェットプリンター100は、複数のノズルNzのそれぞれから吐出されたインクが着弾した後の記録媒体PPを撮像可能な撮像装置を有する。制御回路210は、撮像装置が撮像して得られた画像を示す画像情報をインクジェットプリンター100から受け付ける。そして、制御回路210は、画像情報を解析することにより、吐出安定性を示す情報を受け付ける。又は、制御回路210は、画像情報そのものを、特性情報TIとして受け付けてもよい。
【0126】
評価情報HIは、例えば、制御情報CIの1又は複数の評価項目に対してユーザーUに評価させた評価結果を示す。評価項目は、総合評価と、印刷品質と、波形提供期間と、文字のがたつきと、色の滲みとのうち1つの項目又は複数の項目である。総合評価とは、記録動作に関する総合評価である。印刷品質は、記録媒体PPに形成される画像の質である。波形提供期間は、ユーザーUが制御情報CIの提供を受けることを処理装置200に指示してから吐出動作が終了するまでの期間である。文字のがたつきは、記録媒体PPに形成される画像に文字が含まれる場合に、この文字の輪郭のがたつきである。色の滲みは、記録媒体PPに形成される画像の色のにじみである。
【0127】
但し、評価項目は、上述した項目に限らない。例えば、評価項目は、上述した複数の項目に替わって、又は、追加して、粒状感の程度、バンディングの程度、明度、彩度、赤みの程度、青みの程度、緑みの程度のうち1つ又は複数である。バンディングは、隣り合うパスに対応する部分画像同士が形成された場合に生じるスジである。
【0128】
制御回路210は、ユーザーUによる入力装置260の操作によって、評価情報HIを受け付ける。例えば、制御回路210は、複数の評価項目に対する評価結果を入力可能な画像を表示装置270に表示させる。ユーザーUは、表示装置270に表示された画像を見ながら、入力装置260を操作して、評価結果を入力する。
【0129】
ステップSK8の処理終了後、制御回路210は、ステップSK10において、特性情報TI及び評価情報HIを生成サーバーCCSに送信する。
【0130】
生成サーバーCCSは、特性情報TI及び評価情報HIを受信した場合、保存部403として機能し、ステップSC6において、特性情報TI及び評価情報HIを条件情報UIに関連付けて特性・評価蓄積テーブルHDBに保存する。また、生成サーバーCCSは、特性情報TI及び評価情報HIを、ユーザーUのアカウントIDに関連付けて特性・評価蓄積テーブルHDBに保存してもよい。また、生成サーバーCCSは、特性情報TI及び評価情報HIを条件情報UIに関連付けずに特性・評価蓄積テーブルHDBに保存してもよい。ステップSC6の終了後、インクジェットシステム10は、
図11に示す一連の処理を終了する。
【0131】
図14は、インクジェットシステム10内のデータにアクセスする要求及びプログラムのアップデート要求について説明するための図である。
図14に示すインクジェットシステム10内のデータとは、アカウント管理テーブルUDB、制御情報蓄積テーブルCDB、及び、特性・評価蓄積テーブルHDBである。
図14に示すインクジェットシステム10内のプログラムは、蓄積プログラムPMD、及び、生成プログラムPMCである。本実施形態において、データにアクセスする要求とは、データの参照要求、データの編集要求、及び、データの追加要求の総称である。本実施形態において、データの編集は、データの更新と、データの削除とを含む。
【0132】
図14に示すように、蓄積サーバーDCSは、ユーザーUによるデータの参照要求を受け付け可能である。例えば、処理装置200が、ユーザーUの操作に基づいて、蓄積サーバーDCSのアカウント管理テーブルUDB内のユーザーU自身のアカウントID、及び、メールアドレスを参照する要求を蓄積サーバーDCSに送信したことを想定する。この想定において、蓄積サーバーDCSは、この要求に基づいて、ユーザーU自身のアカウントID、及び、メールアドレスを処理装置200に送信する。
【0133】
また、
図14に示すように、生成サーバーCCSは、ユーザーUによるデータの参照要求の受け付けを拒否する。例えば、処理装置200が、ユーザーUによるデータの参照要求を生成サーバーCCSに送信した場合、生成サーバーCCSは、参照要求を拒否することを示す否定応答を、処理装置200に送信する。なお、要求を拒否することを示す否定応答を送信することは、「要求を受け付けない」ことの一例である。
【0134】
また、
図14に示すように、蓄積サーバーDCSは、ユーザーUによるデータの編集要求を受け付け可能である。例えば、処理装置200が、ユーザーUの操作に基づいて、蓄積サーバーDCSのアカウント管理テーブルUDB内のユーザーU自身のメールアドレスを編集する要求を蓄積サーバーDCSに送信したことを想定する。この想定において、蓄積サーバーDCSは、この要求に基づいて、アカウント管理テーブルUDB内のメールアドレスを更新する。
【0135】
また、
図14に示すように、生成サーバーCCSが、ユーザーUによるデータの編集要求の受け付けを拒否する。例えば、処理装置200が、ユーザーUの操作に基づいて、データの編集要求を生成サーバーCCSに送信した場合、生成サーバーCCSは、この編集要求を拒否することを示す否定応答を、処理装置200に送信する。
【0136】
なお、生成サーバーCCSは、
図14で示したアクセス要求を拒否することを示す否定応答を送信する替わりに、アクセス要求に対して応答を送信しなくてもよい。要求に対する応答を送信しないことは、「要求を受け付けない」ことの一例である。
【0137】
また、
図14に示すように、蓄積サーバーDCS及び生成サーバーCCSは、ユーザーUによるデータの追加要求の受け付けを許可する。例えば、処理装置200が、ユーザーUの操作に基づいて、データの追加要求を蓄積サーバーDCSに送信した場合、蓄積サーバーDCSは、この追加要求に基づいて、データを追加する。例えば、
図11に示したステップSK4の処理である、処理装置200による条件情報UIを蓄積サーバーDCSに送信する処理は、蓄積サーバーDCSに対するユーザーUによるデータの追加要求に相当する。同様に、
図11に示したステップSK10の処理である、特性情報TI及び評価情報HIを生成サーバーCCSに送信する処理は、生成サーバーCCSに対するユーザーUによるデータの追加要求に相当する。
【0138】
また、
図14に示すように、蓄積サーバーDCS及び生成サーバーCCSは、管理者によるデータのアクセス要求の受け付けを許可する。蓄積サーバーDCS及び生成サーバーCCSは、例えば、インクジェットシステム10のログインIDによって、アクセス要求がユーザーUによる要求か、アクセス要求が管理者による要求かを判断する。
【0139】
また、
図14に示すように、蓄積サーバーDCSは、管理者による蓄積プログラムPMDのアップデート要求の受け付けを拒否する。例えば、管理者サーバー500が、蓄積プログラムPMDのアップデート要求を蓄積サーバーDCSに送信した場合、蓄積サーバーDCSは、このアップデート要求を拒否することを示す否定応答を、管理者サーバー500に送信する。
【0140】
蓄積プログラムPMDをアップデートする方法として、例えば、処理装置200は、ユーザーUの操作に基づいて、管理者によって生成された蓄積プログラムPMDを、管理者サーバー500から処理装置200の記憶回路220に記憶しておく。そして、処理装置200は、ユーザー企業の都合がよい時、例えば、ユーザー企業の業務時間外に、蓄積プログラムPMDを含む蓄積プログラムPMDのアップデート要求を蓄積サーバーDCSに送信する。蓄積サーバーDCSは、このアップデート要求に基づいて、記憶回路320に記憶された蓄積プログラムPMDをアップデートする。より具体的には、蓄積サーバーDCSは、処理装置200からアップデート要求を受け付けた場合、蓄積プログラムPMDの実行を終了する。次に、蓄積サーバーDCSは、記憶回路320に記憶された蓄積プログラムPMDを、アップデート要求に含まれる蓄積プログラムPMDで更新する。そして、蓄積サーバーDCSは、更新された蓄積プログラムPMDを実行する。
【0141】
また、
図14に示すように、生成サーバーCCSは、管理者による生成プログラムPMCのアップデート要求の受け付けを許可する。例えば、管理者サーバー500が、生成プログラムPMCのアップデート要求を生成サーバーCCSに送信した場合、このアップデート要求に基づいて、生成プログラムPMCをアップデートする。
【0142】
1-5.第1実施形態のまとめ
以下、第1実施形態のまとめを記載する。説明を容易にするため、インクジェットプリンター100_1に含まれるヘッドユニットHUを、ヘッドユニットHU_1と記載することがある。また、インクジェットプリンター100_1で記録動作を実行する場合の使用条件に関する条件情報UIを、条件情報UI_1と記載することがある。条件情報UI_1に基づいてインクジェットプリンター100_1の記録動作を制御するための制御情報CIを、制御情報CI_1と記載することがある。また、制御情報CI_1に基づきインクジェットプリンター100_1の記録動作を実行したときのヘッドユニットHU_1の吐出特性に関する特性情報TIを、特性情報TI_1と記載することがある。また、制御情報CI_1に基づきインクジェットプリンター100_1の記録動作を実行したときの記録システム20_1のユーザーU_1の評価に関する評価情報HIを、評価情報HI_1と記載することがある。なお、ヘッドユニットHU_1が「第1ヘッドユニット」の一例である。インクジェットプリンター100_1が「第1記録装置」の一例である。処理装置200_1が「第1処理装置」の一例である。記録システム20_1が、「第1サブシステム」の一例である。ユーザーU_1が、「第1ユーザー」の一例である。条件情報UI_1が「第1条件情報」の一例である。制御情報CI_1が「第1制御情報」の一例である。特性情報TI_1が「第1特性情報」の一例である。評価情報HI_1が「第1評価情報」の一例である。
【0143】
また、インクジェットプリンター100_2に含まれるヘッドユニットHUを、ヘッドユニットHU_2と記載することがある。また、インクジェットプリンター100_2で記録動作を実行する場合の使用条件に関する条件情報UIを、条件情報UI_2と記載することがある。条件情報UI_2に基づいてインクジェットプリンター100_2の記録動作を制御するための制御情報CIを、制御情報CI_2と記載することがある。また、制御情報CI_2に基づきインクジェットプリンター100_2の記録動作を実行したときのヘッドユニットHU_2の吐出特性に関する特性情報TIを、特性情報TI_2と記載することがある。また、制御情報CI_2に基づきインクジェットプリンター100_2の記録動作を実行したときの記録システム20_2のユーザーU_2の評価に関する評価情報HIを、評価情報HI_2と記載することがある。なお、ヘッドユニットHU_2が「第2ヘッドユニット」の一例である。インクジェットプリンター100_2が「第2記録装置」の一例である。処理装置200_2が「第2処理装置」の一例である。記録システム20_2が、「第2サブシステム」の一例である。ユーザーU_2が、「第2ユーザー」の一例である。条件情報UI_2が「第2条件情報」の一例である。制御情報CI_2が「第2制御情報」の一例である。特性情報TI_2が「第2特性情報」の一例である。評価情報HI_2が「第2評価情報」の一例である。
【0144】
第1実施形態に係るインクジェットシステム10は、インクを吐出するヘッドユニットHU_1が装着され、記録媒体PPに対して記録動作を実行可能なインクジェットプリンター100_1と、インクジェットプリンター100_1に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置200_1と、を少なくとも含む記録システム20_1と、インクを吐出するヘッドユニットHU_2が装着され、記録媒体PPに対して記録動作を実行可能なインクジェットプリンター100_2と、インクジェットプリンター100_2に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置200_2と、を少なくとも含む記録システム20_2と、記録システム20_1と記録システム20_2との両方に接続する蓄積サーバーDCSとして機能するクラウド内サーバー300と、蓄積サーバーDCSと接続する生成サーバーCCSとして機能するクラウド内サーバー400と、を有する。
第1実施形態によれば、生成プログラムPMCがアップデート中等により生成プログラムPMCを実行できない場合であっても、蓄積サーバーDCSに記憶された制御情報CIであれば蓄積サーバーDCSから提供できるため、1つのクラウド内サーバーを用いる態様と比較して、記録動作を実行できない状況が発生する頻度を低減できる。また、生成サーバーCCSにアクセスが集中したとしても、蓄積サーバーDCSにアクセスが集中していないことがある。従って、第1実施形態によれば、生成サーバーCCSにアクセスが集中しても蓄積サーバーDCSの処理速度が低下しないため、ユーザービリティが低下することを抑制できる。なお、生成プログラムPMCを実行できない場合は、生成プログラムPMCが更新中である場合に限らない。例えば、サーバー事業者が、クラウド内サーバー400をメンテナンス等によりシャットダウンする場合である。
【0145】
また、記録システム20_1は、条件情報UI_1を蓄積サーバーDCSに送信し、蓄積サーバーDCSは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1を保存した後、条件情報UI_1を生成サーバーCCSに送信し、生成サーバーCCSは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1に基づいて制御情報CI_1を生成した後、制御情報CI_1を蓄積サーバーDCSに送信し、蓄積サーバーDCSは、制御情報CI_1を受信した場合、制御情報CI_1を保存した後、制御情報CI_1を記録システム20_1に送信する。同様に、記録システム20_2は、条件情報UI_2を蓄積サーバーDCSに送信し、蓄積サーバーDCSは、条件情報UI_2を受信した場合、条件情報UI_2を保存した後、条件情報UI_2を生成サーバーCCSに送信し、生成サーバーCCSは、条件情報UI_2を受信した場合、条件情報UI_2に基づいて制御情報CI_2を生成した後、制御情報CI_2を蓄積サーバーDCSに送信し、蓄積サーバーDCSは、制御情報CI_2を受信した場合、制御情報CI_2を保存した後、制御情報CI_2を記録システム20_2に送信する。
記録システム20は、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合、及び、既存の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合のいずれであっても、蓄積サーバーDCSに接続すればよい。従って、第1実施形態によれば、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合と、既存の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合とによって接続先のサーバーを切り替える態様と比較して、記録システム20の構成を簡素化できる。
【0146】
また、記録システム20_1は、特性情報TI_1を生成サーバーCCSに送信する。
ヘッドメーカーは、生成サーバーCCSの特性・評価蓄積テーブルHDBに保存された特性情報TI_1を参照することにより、次回以降に適切な制御情報CIを提供できる。例えば、特性情報TI_1に吐出量を示す情報が含まれる場合を想定する。この想定のもと、特性情報TI_1に含まれる吐出量を示す情報が、ヘッドメーカーの想定より少ない量を示す場合には、ヘッドメーカーは、吐出量が多くなるような制御情報CIを生成できる生成プログラムPMCを生成する。
【0147】
また、記録システム20_1は、評価情報HI_1を生成サーバーCCSに送信する。
ヘッドメーカーは、生成サーバーCCSの特性・評価蓄積テーブルHDBに保存された評価情報HI_1を参照することにより、次回以降に適切な制御情報CIを提供できる。例えば、評価情報HI_1に、印刷品質の評価と、波形提供期間の評価とが含まれる場合を想定する。この想定のもと、評価情報HI_1に含まれる印刷品質の評価が5段階のうち最低評価であれば、ヘッドメーカーは、吐出量及び吐出速度等を改善する。また、評価情報HI_1に含まれる波形提供期間の評価が最低評価であれば、ヘッドメーカーは、例えば、生成プログラムPMCの動作を高速化させる。
【0148】
また、本実施形態のように、特性情報TI_1と評価情報HI_1とを、条件情報UIと関連付けて特性・評価蓄積テーブルHDBに保存することにより、ヘッドメーカーは、例えば、得られた特性情報TI及び評価情報HIの一方又は両方に注目した場合、条件情報UIに基づいて、ユーザーUのヘッドユニットHUの使用条件を再現できる。
【0149】
また、条件情報UI_1は、ヘッドユニットHU_1が吐出するインクの種類に関する情報を含んでもよい。
上述したように、インクの種類によってインクの吐出量が変動することが起こり得る。条件情報UIがインクの種類に関する情報を含むことにより、生成サーバーCCSは、インクの種類に応じた吐出量の変動を相殺するような制御情報CIを生成できる。
【0150】
また、条件情報UI_1は、インクジェットプリンター100_1が記録動作を実行する記録媒体PPの種類に関する情報を含んでもよい。
上述したように、記録媒体PPの種類によって、インクが記録媒体PPの着弾した後のインクの状態が変動することが起こり得る。条件情報UIが記録媒体PPの種類に関する情報を含むことにより、生成サーバーCCSは、記録媒体PPの種類に応じたインクの状態の変動を相殺するような制御情報CIを生成できる。
【0151】
また、条件情報UI_1は、記録システム20_1の使用環境におけるヘッドユニットHU_1の温度に関する情報を含んでもよい。
上述したように、環境温度によってインクの吐出量が変動することが起こり得る。条件情報UIが環境温度に関する情報を含むことにより、生成サーバーCCSは、環境温度に応じたインクの吐出量の変動を相殺するような制御情報CIを生成できる。
【0152】
また、ヘッドユニットHU_1は、圧電素子である駆動素子111fを有し、制御情報CI_1は、駆動素子111fに印加する駆動信号Comに関する情報を含む。
第1実施形態によれば、生成サーバーCCSが、駆動信号Comに関する情報を記録システム20に送信することにより、記録システム20は、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた吐出動作を実行できる。
【0153】
また、蓄積サーバーDCSは、ユーザーU_1による蓄積サーバーDCS内のデータを参照する要求、及び、ユーザーU_2による蓄積サーバーDCS内のデータを参照する要求を受け付け可能であり、生成サーバーCCSは、ユーザーU_1による生成サーバーCCS内のデータを参照する要求、及び、ユーザーU_2による生成サーバーCCS内のデータを参照する要求の受け付けを拒否する。
第1実施形態によれば、生成サーバーCCSがユーザーUによるデータを参照する要求を受け付けないことにより、生成サーバーCCSがユーザーUによるデータを参照する要求を受け付け可能な態様と比較して、生成サーバーCCSの処理負荷が高くなることを抑制できる。
【0154】
また、蓄積サーバーDCSは、ユーザーU_1による蓄積サーバーDCS内のデータを更新する要求、及び、ユーザーU_2による蓄積サーバーDCS内のデータを更新する要求を受け付け可能であり、生成サーバーCCSは、ユーザーU_1による生成サーバーCCS内のデータを更新する要求、及び、ユーザーU_2による生成サーバーCCS内のデータを更新する要求の受け付けを拒否する。
第1実施形態によれば、生成サーバーCCSがユーザーUによるデータを更新する要求を受け付けないことにより、生成サーバーCCSがユーザーUによるデータを更新する要求を受け付け可能な態様と比較して、生成サーバーCCSの処理負荷が高くなることを抑制できる。
【0155】
また、蓄積サーバーDCSは、ユーザーU_1による蓄積サーバーDCS内にデータを追加する要求、及び、ユーザーU_2による蓄積サーバーDCS内にデータを追加する要求を受け付け可能であり、生成サーバーCCSは、ユーザーU_1による生成サーバーCCS内のデータを追加する要求、及び、ユーザーU_2による生成サーバーCCS内のデータに追加する要求を受け付け可能である。
第1実施形態によれば、記録システム20は、ユーザーUによるデータを追加する要求を蓄積サーバーDCS及び生成サーバーCCSのいずれにも発行できるため、記録システム20は、データの種類に応じて蓄積サーバーDCS及び生成サーバーCCSに適切に送信できる。例えば、特性情報TI及び評価情報HIは、ヘッドメーカーが必要とする情報であるため、記録システム20は、ステップSK10のように、生成サーバーCCSに送信する。
【0156】
また、生成サーバーCCSは、管理者による生成サーバーCCSのプログラムである生成プログラムPMCをアップデートする要求を受け付け可能である。
第1実施形態によれば、生成プログラムPMCをアップデートしている間であっても、記録システム20は、蓄積サーバーDCSから制御情報CIを取得できるので、記録動作を実行できない状況が発生する頻度を低減できる。
【0157】
蓄積サーバーDCSは、管理者による蓄積サーバーDCSのプログラムである蓄積プログラムPMDをアップデートする要求の受け付けを拒否する。
第1実施形態によれば、蓄積サーバーDCSが、管理者による蓄積プログラムPMDのアップデート要求の受け付けを拒否するため、ユーザー企業が記録動作を実行したい場合に、蓄積プログラムPMDのアップデートのため蓄積サーバーDCSから制御情報CIを取得できないという状況を避けることができる。
【0158】
2.第2実施形態
第1実施形態に係るインクジェットシステム10において、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合、記録システム20は、蓄積サーバーDCSに条件情報UIを送信する。一方、第2実施形態にインクジェットシステム10において、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合、記録システム20は、生成サーバーCCSに条件情報UIを送信する。以下、第2実施形態について説明する。
【0159】
2-1.第2実施形態に係るインクジェットシステム10Aの機能
図15は、第2実施形態に係るインクジェットシステム10Aの機能を示す図である。インクジェットシステム10Aは、記録システム20の替わりに記録システム20Aを有し、クラウド内サーバー300が蓄積サーバーDCSの替わりに蓄積サーバーDCSAとして機能し、クラウド内サーバー400が生成サーバーCCSの替わりに生成サーバーCCSAとして機能する点で、インクジェットシステム10と相違する。
【0160】
記録システム20Aは、取得部211の替わりに取得部211Aとして機能する点で、記録システム20と相違する。
図15の例では、記録システム20A_1に含まれる処理装置200_1が取得部211Aとして機能し、取得部211Aは、条件情報UIを、生成サーバーCCSAに送信する。
【0161】
生成サーバーCCSAは、生成部401の替わりに生成部401Aとして機能する点で、生成サーバーCCSと相違する。生成部401Aは、記録システム20Aから条件情報UIを受信した場合、条件情報UIに基づいて制御情報CIを生成する。そして、生成部401Aは、制御情報CIと、条件情報UIと、宛先情報DSTとを蓄積サーバーDCSAに送信する。宛先情報DSTは、制御情報CIの宛先が記録システム20_1であることを示す情報である。宛先情報DSTは、具体的には、条件情報UIの送信元である処理装置200_1のIPアドレスである。生成部401Aは、条件情報UIが含まれるIPパケットの送信元IPアドレスから、処理装置200_1のIPアドレスを特定する。又は、携帯端末700から条件情報UIが送信された場合には、制御情報CIを処理装置200に送信したいため、例えば、アカウント管理テーブルUDBには、アカウントIDに関連付けて制御情報CIの宛先となる処理装置200のIPアドレスが含まれる。そして、生成部401Aは、アカウント管理テーブルUDBを参照して、ユーザーUのアカウントIDに関連付けられたIPアドレスを、宛先情報DSTとして生成する。
【0162】
蓄積サーバーDCSAは、第1転送部301として機能せず、関連付け部303の替わりに関連付け部303Aとして機能する点で、蓄積サーバーDCSと相違する。関連付け部303Aは、制御情報CIと条件情報UIと宛先情報DSTとを受信した場合、制御情報CIと条件情報UIとを関連付けて制御情報蓄積テーブルCDBに保存する。関連付け部303Aは、制御情報CIと条件情報UIとを保存した後、制御情報CIを、宛先情報DSTが示す記録システム20A_1の処理装置200A_1に送信する。
【0163】
2-2.第2実施形態のまとめ
以下、第2実施形態のまとめを記載する。説明を容易にするため、上述した第1実施形態のまとめで規定した文言を使用することがある。更に、記録システム20A_1が条件情報UI_1を生成サーバーCCSAに送信した場合、制御情報CI_1の宛先が記録システム20A_1であることを示す宛先情報DSTを、宛先情報DST_1と記載することがある。また、記録システム20A_2が条件情報UI_2を生成サーバーCCSAに送信した場合、制御情報CI_2の宛先が記録システム20A_2であることを示す宛先情報DSTを、宛先情報DST_2と記載することがある。宛先情報DST_1が「第1宛先情報」の一例である。宛先情報DST_2が「第2宛先情報」の一例である。
【0164】
生成サーバーCCSAは、更に、記録システム20A_1と記録システム20A_2との両方に接続し、記録システム20A_1は、条件情報UI_1を生成サーバーCCSAに送信し、生成サーバーCCSAは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1に基づいて、制御情報CI_1を生成した後、制御情報CI_1と、条件情報UI_1と、宛先情報DST_1とを蓄積サーバーDCSAに送信し、蓄積サーバーDCSAは、制御情報CI_1と条件情報UI_1と宛先情報DST_1とを受信した場合、制御情報CI_1と条件情報UI_1とを保存した後、制御情報CI_1を、宛先情報DST_1が示す記録システム20_1に送信する。また、記録システム20A_2は、条件情報UI_2を生成サーバーCCSAに送信し、生成サーバーCCSAは、条件情報UI_2を受信した場合、条件情報UI_2に基づいて、制御情報CI_2を生成した後、制御情報CI_2と、条件情報UI_2と、宛先情報DST_2とを蓄積サーバーDCSAに送信し、蓄積サーバーDCSAは、制御情報CI_2と条件情報UI_2と宛先情報DST_2とを受信した場合、制御情報CI_2と条件情報UI_2とを保存した後、制御情報CI_2を、宛先情報DST_2が示す記録システム20_2に送信する。
第2実施形態では、新規の条件情報UIに応じた記録動作を実行する場合、記録システム20Aは、蓄積サーバーDCSAに条件情報UIを生成サーバーCCSAに転送しなくてもよい。従って、第2実施形態によれば、第1実施形態と比較して、蓄積サーバーDCSAの処理負荷を低減できる。
【0165】
3.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0166】
3-1.第1変形例
上述した第1実施形態と第2実施形態とを、切り替えることが可能であってもよい。第1実施形態と第2実施形態と切替可能な態様について、
図16を用いて説明する。
【0167】
図16は、第1変形例に係る記録システム20Bの機能を示す図である。記録システム20B内の処理装置200B_1が、取得部211、制御部213、及び、受付部215に加えて、選択部217として機能する点で、記録システム20と相違する。
【0168】
選択部217は、取得部211が取得した条件情報UIを蓄積サーバーDCSと生成サーバーCCSとのいずれのサーバーに送信するかを、ユーザーUに選択させる。このように、第1変形例では、条件情報UIを、蓄積サーバーDCSと生成サーバーCCSとのいずれのサーバーに送信するかをユーザーUが選択可能である。例えば、制御回路210は、条件情報UIを蓄積サーバーDCSと生成サーバーCCSとのいずれのサーバーに送信するかを選択させる画像を、表示装置270に表示させる。ユーザーUは、表示装置270に表示された画像を参照して、蓄積サーバーDCSと生成サーバーCCSとのいずれかを選択する。選択部217は、選択したサーバーに条件情報UIを送信する。
【0169】
蓄積サーバーDCSが選択された場合、第1実施形態と同様の構成となる。以下の記載では、説明を容易にするため、上述した第1実施形態のまとめ及び第2実施形態のまとめで規定した文言を使用することがある。蓄積サーバーDCSが選択された場合、蓄積サーバーDCSは、記録システム20_1から条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1を生成サーバーCCSに送信し、生成サーバーCCSは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1に基づいて制御情報CI_1を生成した後、制御情報CI_1を蓄積サーバーDCSに送信し、蓄積サーバーDCSは、制御情報CI_1を受信した場合、制御情報CI_1を保存した後、制御情報CI_1を記録システム20B_1に送信する。
【0170】
一方、生成サーバーCCSが選択された場合、生成サーバーCCSは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1に基づいて制御情報CI_1を生成した後、制御情報CI_1と、条件情報UI_1と、宛先情報DST_1とを蓄積サーバーDCSに送信し、蓄積サーバーDCSは、制御情報CI_1と条件情報UI_1と宛先情報DST_1とを受信した場合、制御情報CI_1と条件情報UI_1とを保存した後、制御情報CI_1を、宛先情報DST_1が示す記録システム20_1に送信する。
【0171】
第1変形例によれば、ユーザーUの選択に応じて、第1実施形態と第2実施形態とを、切り替えることができる。例えば、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、蓄積サーバーDCSAの処理負荷を低減できるため、ユーザーUが、条件情報UIを生成サーバーCCSに送信することを選択することにより、蓄積サーバーDCSAの処理負荷を低減できる。また、生成サーバーCCSに条件情報UIを送信する場合に、悪意のある第三者によって条件情報UIを取得されないようにするため、条件情報UIを暗号化して送信したい状況がある。この状況のもと、クラウド内サーバー300と記録システム20とが専用線で接続されていると想定する。この想定では、記録システム20から蓄積サーバーDCSに条件情報UIに送信する場合には、条件情報UIを暗号化しなくてもよい。従って、ユーザーUは、条件情報UIを蓄積サーバーDCSに送信することを選択することにより、記録システム20が暗号化する処理を実行しなくてよい分、記録システム20にかかる処理負荷を軽減できる。
【0172】
3-2.第2変形例
上述の第1実施形態では、蓄積サーバーDCSは、クラウド内サーバー300によって実現されたが、これに限らない。
【0173】
図17は、第2変形例に係るインクジェットシステム10Cの構成例を示す概略図である。インクジェットシステム10Cは、クラウド内サーバー300を有さない替わりに蓄積サーバー300Cを有し、企業内システムCNの替わりに企業内システムCNCを有する点で、インクジェットシステム10と相違する。
【0174】
蓄積サーバー300Cは、物理サーバーであり、企業内システムCNに含まれる。蓄積サーバー300Cは、いわゆるオンプレミスサーバーである。オンプレミスサーバーは、サーバーを企業が管理する設備内に設置し、運用するサーバーであることを意味する。第2変形例において、蓄積サーバー300Cが「第1サーバー」の一例である。
【0175】
企業内システムCNCは、処理装置200_1、及び、処理装置200_2に加えて、蓄積サーバー300Cを有する点で、企業内システムCNと相違する。第2変形例において、処理装置200_1、処理装置200_2、及び、蓄積サーバー300Cは、LAN等のネットワークNW1によって互いに通信可能に接続される。LANは、Local Area Networkの略称である。クラウド内サーバー400、蓄積サーバー300C、及び、管理者サーバー500は、WAN、及び、インターネット等のネットワークNW2を介して互いに通信可能に接続される。
【0176】
図17から理解されるように、記録システム20は、クラウド内サーバー400、及び、管理者サーバー500には接続していない。記録システム20がクラウド内サーバー400、又は、管理者サーバー500にデータを送信する場合には、蓄積サーバー300Cを経由する。
【0177】
図18は、蓄積サーバー300Cの構成の一例を示す図である。蓄積サーバー300Cは、制御回路310Cと、記憶回路320Cと、通信装置340と、通信装置380Cとを有する。制御回路310Cと、記憶回路320Cと、通信装置340と、通信装置380Cとは、情報を通信するためのバス390Cにより相互に接続される。
【0178】
制御回路310Cは、例えば、1個以上のCPU等のプロセッサーを含む。なお、制御回路310Cは、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0179】
記憶回路320Cは、磁気記憶装置又はフラッシュROM等で構成される。記憶回路320Cは、制御回路310Cが読取可能であり、制御回路310Cが実行する蓄積プログラムPMDを含む複数のプログラム、制御情報蓄積テーブルCDB、アカウント管理テーブルUDB、及び、制御回路310Cが使用する各種の情報などを記憶する。
【0180】
通信装置340は、ネットワークNW1を介して処理装置200等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。
【0181】
通信装置380Cは、ネットワークNW2を介してクラウド内サーバー400、処理装置200、及び、管理者サーバー500等の他の装置と通信を行うための通信回路を有するハードウェアである。なお、通信装置340と通信装置380Cとが1つのハードウェアでもよい。
【0182】
図19は、インクジェットシステム10Cの機能を示す図である。蓄積サーバー300Cが、蓄積プログラムPMDを読み出し、蓄積プログラムPMDを実行することにより、第1転送部301、関連付け部303、及び、第2転送部305として機能する。
【0183】
受付部215が、特性情報TIと評価情報HIとを蓄積サーバーDCSに送信する。第2転送部305は、特性情報TIと評価情報HIとを受信した場合、生成サーバーCCSに特性情報TIと評価情報HIとを送信する。
【0184】
図20は、インクジェットシステム10C内のデータにアクセスする要求及びプログラムのアップデート要求について説明するための図である。インクジェットシステム10からの変更点は、生成サーバーCCSに対するユーザーUによるデータのアクセス要求である。
【0185】
第2変形例では、ユーザーUによるデータの参照要求、データの編集要求、及び、データの追加要求が生成サーバーCCSに送信されようとしても、蓄積サーバー300Cが各要求を拒否する。従って、生成サーバーCCSには、ユーザーUによるデータの参照要求、データの編集要求、及び、データの追加要求が到達しない。要求が到達しないことは、「要求を受け付けない」ことの一例である。
【0186】
3-3.第3変形例
上述した各態様に係るインクジェットシステム10は、1つの蓄積サーバーDCSを有したが、複数の蓄積サーバーDCSを有してもよい。
【0187】
図21は、第3変形例に係るインクジェットシステム10Dの機能を示す図である。
図21では、図面の煩雑化を防ぐため、記録システム20が特性情報TIと評価情報HIとを送信する記載を省略してある。
【0188】
インクジェットシステム10Dは、蓄積サーバーDCSとして機能するサーバーとして、クラウド内サーバー300_aと、クラウド内サーバー300_bという2つのクラウド内サーバー300を有し、記録システム20_1と、記録システム20_2と、記録システム20_3と、記録システム20_4という4つの記録システム20を有する。但し、インクジェットシステム10Dが有する、蓄積サーバーDCSとして機能するクラウド内サーバー300の個数は、
図21に示す例では2個であるが、3個以上であってもよい。生成サーバーCCSは、クラウド内サーバー300_aと、クラウド内サーバー300_bとに接続する。
【0189】
クラウド内サーバー300_aが複数の仮想サーバーとして機能し、この複数の仮想サーバーのうち1つの仮想サーバーが、蓄積プログラムPMDを実行する。この蓄積プログラムPMDを実行する仮想サーバーを、以下、蓄積サーバーDCS_aと記載する。また、クラウド内サーバー300_bが複数の仮想サーバーとして機能し、この複数の仮想サーバーのうち1つの仮想サーバーが、蓄積プログラムPMDを実行する。この蓄積プログラムPMDを実行する仮想サーバーを、以下、蓄積サーバーDCS_bと記載する。第3変形例において、クラウド内サーバー300_aが「第1サーバー」の一例であり、クラウド内サーバー300_bが「第3サーバー」の一例である。
【0190】
クラウド内サーバー300_aは、記録システム20_1と記録システム20_2と両方に接続する。クラウド内サーバー300_bも、記録システム20_1と記録システム20_2と両方に接続する。
【0191】
以下、説明を容易にするため、上述した第1実施形態のまとめで規定した文言を使用することがある。更に、記録システム20_3内のインクジェットプリンター100_3に含まれるヘッドユニットHUを、ヘッドユニットHU_3と記載することがある。また、インクジェットプリンター100_3で記録動作を実行する場合の使用条件に関する条件情報UIを、条件情報UI_3と記載することがある。条件情報UI_3に基づいてインクジェットプリンター100_3の記録動作を制御するための制御情報CIを、制御情報CI_3と記載することがある。記録システム20_4内のインクジェットプリンター100_4に含まれるヘッドユニットHUを、ヘッドユニットHU_4と記載することがある。また、インクジェットプリンター100_4で記録動作を実行する場合の使用条件に関する条件情報UIを、条件情報UI_4と記載することがある。条件情報UI_4に基づいてインクジェットプリンター100_4の記録動作を制御するための制御情報CIを、制御情報CI_4と記載することがある。
【0192】
記録システム20_1は、条件情報UI_1を蓄積サーバーDCS_aに送信する。蓄積サーバーDCS_aは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、条件情報UI_1を蓄積サーバーDCS_aに送信する。生成サーバーCCSは、条件情報UI_1を受信した場合、条件情報UI_1に基づいて制御情報CI_1を生成し、蓄積サーバーDCS_aに送信する。蓄積サーバーDCS_aは、制御情報CI_1を受信した場合、制御情報CI_1を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、制御情報CI_1を記録システム20_1に送信する。
【0193】
記録システム20_2は、条件情報UI_2を蓄積サーバーDCS_aに送信する。蓄積サーバーDCS_aは、条件情報UI_2を受信した場合、条件情報UI_2を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、条件情報UI_2を蓄積サーバーDCS_aに送信する。生成サーバーCCSは、条件情報UI_2を受信した場合、条件情報UI_2に基づいて制御情報CI_2を生成し、蓄積サーバーDCS_aに送信する。蓄積サーバーDCS_aは、制御情報CI_2を受信した場合、制御情報CI_2を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、制御情報CI_2を記録システム20_2に送信する。
【0194】
記録システム20_3は、条件情報UI_3を蓄積サーバーDCS_bに送信する。蓄積サーバーDCS_bは、条件情報UI_3を受信した場合、条件情報UI_3を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、条件情報UI_3を蓄積サーバーDCS_bに送信する。生成サーバーCCSは、条件情報UI_3を受信した場合、条件情報UI_3に基づいて制御情報CI_3を生成し、蓄積サーバーDCS_bに送信する。蓄積サーバーDCS_bは、制御情報CI_3を受信した場合、制御情報CI_3を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、制御情報CI_3を記録システム20_3に送信する。
【0195】
記録システム20_4は、条件情報UI_4を蓄積サーバーDCS_bに送信する。蓄積サーバーDCS_bは、条件情報UI_4を受信した場合、条件情報UI_4を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、条件情報UI_4を蓄積サーバーDCS_bに送信する。生成サーバーCCSは、条件情報UI_4を受信した場合、条件情報UI_4に基づいて制御情報CI_4を生成し、蓄積サーバーDCS_bに送信する。蓄積サーバーDCS_bは、制御情報CI_4を受信した場合、制御情報CI_4を制御情報蓄積テーブルCDBに保存して、制御情報CI_4を記録システム20_4に送信する。
【0196】
以下、第3変形例に係るインクジェットシステム10Dは、インクを吐出するヘッドユニットHU_3が装着され、記録媒体PPに対して記録動作を実行可能なインクジェットプリンター100_3と、インクジェットプリンター100_3に記録動作を実行させるためのデータ処理を行う処理装置200_3と、を少なくとも含む記録システム20_3と、記録システム20_3に接続する蓄積サーバーDCS_bとして機能するクラウド内サーバー300_bを、更に有し、生成サーバーCCSは、更に、クラウド内サーバー300_bにも接続する。なお、ヘッドユニットHU_3が「第3ヘッドユニット」の一例である。インクジェットプリンター100_3が「第3記録装置」の一例である。処理装置200_3が「第3処理装置」の一例である。記録システム20_3は、「第3サブシステム」の一例である。
第3変形例によれば、インクジェットシステム10Dは、複数の蓄積サーバーDCSを有することにより、蓄積サーバーDCSの負荷を分散できる。
【0197】
3-4.第4変形例
上述したように、制御情報CIは、画像処理に関する情報でもよい。画像処理に関する情報は、例えば、画像処理に含まれる色変換処理において使用されるルックアップテーブルの一部又は全部、画像処理に含まれるRIP処理において使用されるディザパターンの一部又は全部を示す情報、又は、画像処理に含まれるRIP処理において使用される誤差拡散マトリクスの一部又は全部を示す情報である。以下、画像処理に関する情報が、ルックアップテーブルであるとして、第4変形例を説明する。
【0198】
図22は、第4変形例に係る制御情報CIの一例を説明するための図である。
図22では、インクジェットプログラムPM3の初期値であるルックアップテーブルLT1と、第4変形例に係る制御情報CIであるルックアップテーブルLT2とを示す。ルックアップテーブルLT1とルックアップテーブルLT2との差異は、(R,G,B)=(0,0,128)の変換後のCMY値が、(C,M,Y)=(128,128,0)から、(C,M,Y)=(172,64,0)に変更されている。
【0199】
ルックアップテーブルを変更することにより、第4変形例に係るインクジェットシステム10は、第1実施形態と同様に、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた吐出動作を実行できる。例えば、ヘッドユニットHUの使用条件によって吐出量が少なくなる場合、CMY値のうち1つの値又は複数の値を大きくすればよい。例えば、条件情報UIに含まれる情報が、インクの粘度を示す情報であり、一般的な粘度よりも高粘度を示す前提とする。この前提のもと、生成部401は、ルックアップテーブルを、CMY値のうち1つの値又は複数の値を大きくするように生成する。条件情報UIに含まれる情報が、ヘッドユニットHUの種類に関する情報、記録媒体PPの種類に関する情報、及び、温度に関する情報のいずれか1つ又は複数であっても、インクの種類に関する情報と同様に適用できる。
【0200】
第4変形例に係るインクジェットシステム10の一連の動作について、ステップSK6において、制御回路210は、第4変形例に係る制御情報CIであるルックアップテーブルLT2を受信し、記憶回路220に記憶されたルックアップテーブルLT1を、ルックアップテーブルLT2で上書きする。
【0201】
処理装置200_1は、データ処理として画像データに画像処理を実行することにより、記録に用いる記録データDPを生成し、記録データDPをインクジェットプリンター100_1に送信し、インクジェットプリンター100_1は、記録データDPに基づいて記録動作を実行し、制御情報CI_1は、画像処理に関する情報を含む。
第4変形例に係るインクジェットシステム10によれば、蓄積サーバーDCSが、画像処理に関する情報を記録システム20に送信することにより、記録システム20は、ヘッドユニットHUの使用条件に応じた吐出動作を実行できる。第1実施形態と比較すると、第4変形例では、駆動信号Comの細かい調整が不要である。従って、第4変形例に係るインクジェットシステム10は、駆動素子111fが発熱素子でもよい。発熱素子は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、加熱により圧力室CVの内部に気泡を発生させて、圧力室CVの内部の圧力を変動させる。
【0202】
3-5.第5変形例
上述の各態様において、インクジェットプリンター100が、入力装置及び表示装置を有し、取得部211と、制御部213と、受付部215として機能する場合、制御回路170が取得部211と、制御部213と、受付部215として機能するが、これに限らない。例えば、ヘッドユニットHUが、CPU等の制御回路を有する場合、この制御回路が、取得部211と、制御部213と、受付部215として機能してもよい。
【0203】
3-6.第6変形例
上述の各態様において、インクジェットプリンター100がネットワークNWと接続可能である場合、通信装置150がネットワークNWと接続するが、これに限らない。例えば、ヘッドユニットHUが通信装置を有する場合、この通信装置が、ネットワークNWと通信してもよい。
【0204】
3-7.第7変形例
上述の各態様において、記録システム20は、特性情報TI及び評価情報HIを、生成サーバーCCSに送信したが、特性情報TI及び評価情報HIの一方又は両方を生成サーバーCCSに送信しなくてもよい。
【0205】
3-8.第8変形例
上述の各態様において、生成サーバーCCSは、ユーザーUによる生成サーバーCCS内のデータを参照する要求を受け付けてもよい。また、生成サーバーCCSは、ユーザーUによる生成サーバーCCS内のデータを更新する要求を受け付けてもよい。管理者による蓄積サーバーDCSのプログラムである蓄積プログラムPMDをアップデートする要求を受け付けてもよい。
【0206】
3-9.第9変形例
上述の各態様では、ヘッドユニットHUを、X軸に沿う方向に往復動させるシリアル方式のインクジェットプリンター100を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター100は、複数のノズルNzが、記録媒体PPの全幅に亘り分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0207】
3-10.その他の変形例
上述のインクジェットプリンター100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の記録装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する記録装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する記録装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0208】
10,10A,10C,10D…インクジェットシステム、20,20A,20B…記録システム、100…インクジェットプリンター、110a…液体吐出ヘッド、110b…制御モジュール、111…ヘッドチップ、111a…流路基板、111b…圧力室基板、111c…ノズル板、111d…吸振体、111e…振動板、111f…駆動素子、111g…保護板、111h…ケース、111i…配線基板、112…駆動回路、113…電源回路、114…駆動信号生成回路、120…液体容器、130…移動機構、131…キャリッジ、132…無端ベルト、140…搬送機構、150…通信装置、160…記憶回路、170…制御回路、300…クラウド内サーバー、300C…蓄積サーバー、300_a,300_b,400…クラウド内サーバー、500…管理者サーバー、700…携帯端末、CCS,CCSA…生成サーバー、CDB…制御情報蓄積テーブル、CI…制御情報、CN…企業内システム、CS…クラウドシステム、CV…圧力室、Com…駆動信号、DCD…蓄積プログラム、DCS,DCSA,DCS_a,DCS_b…蓄積サーバー、DP…記録データ、DST…宛先情報、FN…ノズル面、HDB…特性・評価蓄積テーブル、HI…評価情報、HU…ヘッドユニット、IH…導入口、JB…記録ジョブ、L1…第1列、L2…第2列、LT1,LT2…ルックアップテーブル、NW,NW1,NW2…ネットワーク、Na…連通流路、Nz…ノズル、PD…駆動パルス、PI…記録指示、PM3…インクジェットプログラム、PMD…蓄積プログラム、PP…記録媒体、PX…波形、R…リザーバー、R1,R2…空間、RC-1,RC-6…レコード、Ra…供給流路、SI…印刷信号、Sk1,Sk2…制御信号、TI,TI_1,TI_2…特性情報、U…ユーザー、UDB…アカウント管理テーブル、UI…条件情報、U…ユーザー、V0…中間電位、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、VHX…最高電位、VLX…最低電位、VM1,VM2…仮想化プログラム、dCom…波形指定信号、dPX1,dPX2…情報、ΔVh…電位差。