(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118583
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】光触媒装置
(51)【国際特許分類】
B01J 35/39 20240101AFI20240826BHJP
C02F 1/30 20230101ALI20240826BHJP
C02F 1/72 20230101ALI20240826BHJP
C02F 1/70 20230101ALI20240826BHJP
【FI】
B01J35/02 J
C02F1/30
C02F1/72 101
C02F1/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024942
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】次六 寛明
【テーマコード(参考)】
4D037
4D050
4G169
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AA11
4D037BA16
4D050AA01
4D050AA12
4D050BA14
4D050BB01
4D050BC04
4D050BC09
4G169AA02
4G169BA48A
4G169BB11A
4G169BC17A
4G169BD06A
4G169CB81
4G169DA05
4G169EC22X
4G169HA01
4G169HB10
4G169HC29
4G169HE09
4G169HF02
(57)【要約】
【課題】反応効率を向上できる光触媒装置を提供する。
【解決手段】ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、前記柱状部は、液体と接する半極性面および非極性面を有し、前記柱状部に光が照射されて、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記非極性面において前記液体に含まれる物質が還元される、光触媒装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、
前記柱状部は、液体と接する半極性面および非極性面を有し、
前記柱状部に光が照射されて、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記非極性面において前記液体に含まれる物質が還元される、光触媒装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記液体は、水であり、
前記柱状部に光が照射されて、前記半極性面において酸素が発生し、前記非極性面において水素が発生する、光触媒装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記半極性面は、ファセット面であり、
前記非極性面は、m面である、光触媒装置。
【請求項4】
ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、
前記柱状部は、液体と接する極性面および半極性面を有し、
前記柱状部に光が照射されて、前記極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が還元される、光触媒装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記液体は、水であり、
前記柱状部に光が照射されて、前記極性面において酸素が発生し、前記半極性面において水素が発生する、光触媒装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記極性面は、c面であり、
前記半極性面は、ファセット面である、光触媒装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記半導体は、窒化ガリウムであり、
前記極性面は、ガリウム極性を有する、光触媒装置。
【請求項8】
請求項1または4において、
前記柱状部に照射される光は、太陽光である、光触媒装置。
【請求項9】
請求項1または4において、
前記液体を収容する容器を有する、光触媒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光が照射されることによって触媒作用を示す光触媒が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、水溶液中において光を照射することにより、水溶液の酸化ターゲット物質に酸化反応を起こさせ、水溶液の還元ターゲット物質に還元反応を起こさせる半導体光触媒膜が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような半導体光触媒では、反応効率を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光触媒装置の一態様は、
ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、
前記柱状部は、液体と接する半極性面および非極性面を有し、
前記柱状部に光が照射されて、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記非極性面において前記液体に含まれる物質が還元される。
【0007】
本発明に係る光触媒装置の一態様は、
ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、
前記柱状部は、液体と接する極性面および半極性面を有し、
前記柱状部に光が照射されて、前記極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が還元される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る光触媒装置を模式的に示す断面図。
【
図2】第1実施形態に係る光触媒装置を模式的に示す平面図。
【
図4】第1実施形態に係る光触媒装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る光触媒装置を模式的に示す断面図。
【
図6】第2実施形態に係る光触媒装置を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. 第1実施形態
1.1. 光触媒装置
1.1.1. 構成
まず、第1実施形態に係る光触媒装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る光触媒装置100を模式的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る光触媒装置100を模式的に示す平面図である。なお、
図1は、
図2のI-I線断面図である。
【0011】
光触媒装置は、
図1および
図2に示すように、例えば、基板10と、柱状部20と、液体Wを収容する容器30と、を有している。なお、便宜上、
図2では、容器30の図示を省略している。
【0012】
基板10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板、SiC基板などである。
【0013】
柱状部20は、基板10上に設けられている。柱状部20は、基板10から上方に突出している。柱状部20は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部20の平面形状は、例えば、六角形などの多角形、円である。
図2に示す例では、柱状部20の平面形状は、正六角形である。柱状部20の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。
【0014】
なお、「柱状部20の径」とは、柱状部20の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部20の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部20の径は、柱状部20の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部20の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0015】
柱状部20は、例えば、複数設けられている。複数の柱状部20は、互いに離隔している。隣り合う柱状部20の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部20は、積層方向からみて、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部20は、例えば、三角格子状、正方格子状に配列されている。
図2に示す例では、複数の柱状部20は、正三角格子状に配列されている。なお、複数の柱状部20は、所定のピッチを持たず、ランダムに配列されてもよい。
【0016】
なお、「柱状部20のピッチ」とは、所定の方向に隣り合う柱状部20の中心間の距離である。「柱状部20の中心」とは、柱状部20の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部20の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部20の中心は、柱状部20の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部20の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0017】
柱状部20は、ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成されている。柱状部20の材質は、例えば、III族窒化物半導体である。具体的には、柱状部20の材質は、窒化ガリウム(GaN)である。
【0018】
柱状部20には、
図1に示すように、光Lが照射される。図示の例では、光Lは、上方から照射される。図示はしないが、光Lは、側方から照射されてもよいし、下方から照射されてもよい。下方から光Lが照射される場合、基板10は、光Lを透過させる。光Lは、太陽光である。なお、光Lは、図示せぬ光源から照射されてもよい。
【0019】
柱状部20は、半極性面22と、非極性面24と、を有している。柱状部20は、極性面を有していない。
【0020】
柱状部20の半極性面22は、ファセット面である。半極性面22は、極性面に比べて分極の度合いが小さい。半極性面22の結晶方位は、例えば、(11-22)である。半極性面22は、基板10の上面に対して傾斜している。半極性面22は、非極性面24に対して傾斜している。半極性面22の非極性面24に対する傾斜角は、特に限定されない。
【0021】
柱状部20の非極性面24は、半極性面22に接続されている。非極性面24は、極性を有していない。非極性面24は、m面である。非極性面24の結晶方位は、例えば、(1-100)である。非極性面24は、例えば、基板10の上面に対して垂直である。図示の例では、非極性面24は、柱状部20の側面である。
【0022】
ここで、
図3は、GaNのバンド構造を説明するための図である。極性面と非極性面との分極特性の違いを利用して、GaNの液体Wと接する接触面Sの近傍におけるエネルギーバンド構造を設計する。GaNの液体Wと接する接触面Sが極性面である場合、
図3のBに示すように、GaNのエネルギーバンドは、接触面Sの近傍において、上に曲がるように設計しやすい。接触面Sが非極性面である場合、
図3のAに示すように、GaNのエネルギーバンドは、接触面Sの近傍において、下に曲がるように設計しやすい。
【0023】
柱状部20では、半極性面22の近傍において、
図3のBのように、エネルギーバンドが上に曲がるように設計されている。例えば、柱状部20の導電型の種類、ドーパントの種類、ドープ濃度などによって、半極性面22の近傍において、エネルギーバンドが上に曲がるように設計できる。柱状部20のエネルギーバンドは、非極性面24の近傍において、
図3のAに示すように、下に曲がるように設計されている。
【0024】
容器30は、
図1に示すように、液体Wを収容している。図示の例では、容器30は、基板10上に設けられている。容器30の底部は、基板10によって構成されている。容器30は、複数の柱状部20を収容している。なお、図示はしないが、容器30の底部は、基板10によって構成されておらず、容器30は、複数の柱状部20および基板10を収容していてもよい。容器30は、例えば、光Lを透過させる。容器30の材質は、特に限定されない。
【0025】
容器30に収容されている液体Wは、水である。半極性面22および非極性面24は、液体Wと接している。図示の例では、基板10も液体Wと接している。なお、液体Wは、二酸化炭素などの物質が含まれた水、水酸化ナトリウム水溶液などの水溶液であってもよい。
【0026】
1.1.2. 動作
光触媒装置100では、光Lが柱状部20に照射されると、柱状部20が光Lを吸収し、光Lによって電子Eおよび正孔Hが励起される。上記のように、柱状部20のエネルギーバンドは、半極性面22の近傍で上に曲がり、非極性面24の近傍で下に曲がっている。そのため、電子Eと正孔Hとを分離させ易く、正孔Hは、半極性面22に移動し、電子Eは、非極性面24に移動する。これにより、半極性面22において、液体Wに含まれる物質が酸化され、非極性面24において、液体Wに含まれる物質が還元される。液体Wが水の場合、半極性面22において、水が酸化されて酸素が発生し、非極性面24において、水が還元されて水素が発生する。
【0027】
このように、光触媒装置100は、柱状部20の半極性面22と非極性面24との間の電界によって、電子Eと正孔Hとを分離および移動させて、水素および酸素を生成できる。光触媒装置100は、人工光合成を実現できる。
【0028】
1.1.3. 作用効果
光触媒装置100では、ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部20を有する。柱状部20は、液体Wと接する半極性面22および非極性面24を有する。柱状部20に光Lが照射されて、半極性面22において液体Wに含まれる物質が酸化され、非極性面24において液体Wに含まれる物質が還元される。
【0029】
そのため、光触媒装置100では、柱状部20の半極性面22と非極性面24との間の電界によって、電子Eと正孔Hとを分離させ易く、かつ、電子Eと正孔Hとを移動させて、電子Eと正孔Hとの再結合を抑制できる。したがって、反応効率を向上できる。
【0030】
光触媒装置100では、液体Wは、水であり、柱状部20に光Lが照射されて、半極性面22において酸素が発生され、非極性面24において水素が発生される。そのため、光触媒装置100では、水素および酸素を効率よく生成できる。
【0031】
光触媒装置100では、半極性面22は、ファセット面であり、非極性面24は、m面である。このように、光触媒装置100では、ファセット面を半極性面22とし、m面を非極性面24とすることができる。極性面と非極性面とを有する柱状部に比べて、半極性面22と非極性面24とを有する柱状部20は、容易に製造することができる。
【0032】
光触媒装置100では、柱状部20に照射される光Lは、太陽光である。そのため、光触媒装置100では、電力の消費を抑えられる。
【0033】
光触媒装置100では、液体Wを収容する容器30を有する。そのため、光触媒装置100では、液体Wが漏れることを抑制できる。
【0034】
1.2. 光触媒装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る光触媒装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図4は、第1実施形態に係る光触媒装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0035】
図4に示すように、基板10上に、マスク層40を形成する。マスク層40は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタ法などによって形成される。マスク層40は、例えば、チタン層、酸化シリコン層、酸化チタン層、酸化アルミニウム層などである。
【0036】
次に、マスク層40をパターニングして、複数の開口部42を形成する。パターニングは、例えば、EB(Electron Beam)露光およびエッチングによって行われる。開口部42は、マスク層40を貫通する。
【0037】
次に、マスク層40をマスクとして、基板10上に、柱状部20をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。エピタキシャル成長は、柱状部20が半極性面22および非極性面24を有する条件で行われる。柱状部20は、開口部42に形成される。
【0038】
図1に示すように、マスク層40を除去する。マスク層40は、例えば、エッチングによって除去される。なお、マスク層40は、除去されなくてもよいが、非極性面24の液体Wとの接触面積を増やすことを考慮すると、マスク層40を除去した方が好ましい。
【0039】
以上の工程により、光触媒装置100を製造できる。
【0040】
1.3. 光触媒装置の変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る光触媒装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第1実施形態の変形例に係る光触媒装置110を模式的に示す断面図である。以下、第1実施形態の変形例に係る光触媒装置110において、上述した第1実施形態に係る光触媒装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
光触媒装置110では、
図5に示すように、半極性面22の非極性面24に対する傾斜角θは、光触媒装置100よりも小さい。そのため、光触媒装置110では、光触媒装置100に比べて、上方から柱状部20に照射された光Lを、隣の柱状部20に向けて反射させ易い。これにより、複数の柱状部20は、より多くの光Lを吸収できる。傾斜角θは、鋭角である。傾斜角θは、45°以下であり、好ましくは5°以上30°以下である。傾斜角θは、例えば、柱状部20をエピタキシャル成長させる際の成長温度によって制御される。
【0042】
2. 第2実施形態
2.1. 光触媒装置
次に、第2実施形態に係る光触媒装置について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る光触媒装置200を模式的に示す断面図である。以下、第2実施形態に係る光触媒装置200において、上述した第1実施形態に係る光触媒装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
上述した光触媒装置100では、
図1に示すように、柱状部20は、半極性面22と、非極性面24と、を有していた。
【0044】
これに対し、光触媒装置200では、
図6に示すように、柱状部20は、半極性面22と、極性面26と、を有している。柱状部20は、非極性面を有していない。
【0045】
柱状部20の極性面26は、半極性面22に接続されている。極性面26は、極性を有している。極性面26は、ガリウム極性を有するガリウム極性面である。極性面26は、c面である。極性面26の結晶方位は、例えば、(0001)である。極性面26は、例えば、基板10の上面に対して平行である。図示の例では、柱状部20の形状は、台形である。極性面26は、液体Wと接している。
【0046】
柱状部20では、半極性面22の近傍において、
図3のAのように、エネルギーバンドが下に曲がるように設計されている。例えば、柱状部20の導電型の種類、ドーパントの種類、ドープ濃度などによって、半極性面22の近傍において、エネルギーバンドが下に曲がるように設計できる。柱状部20のエネルギーバンドは、極性面26の近傍において、
図3のBに示すように、上に曲がるように設計されている。
【0047】
光触媒装置200では、光Lが柱状部20に照射されると、柱状部20が光Lを吸収し、光Lによって電子Eおよび正孔Hが励起される。上記のように、柱状部20のエネルギーバンドは、半極性面22の近傍で下に曲がり、極性面26の近傍で上に曲がっている。そのため、電子Eと正孔Hとを分離させ易く、電子Eは、半極性面22に移動し、正孔Hは、極性面26に移動する。これにより、半極性面22において、液体Wに含まれる物質が還元され、極性面26において、液体Wに含まれる物質が酸化される。液体Wが水の場合、半極性面22において、水が還元されて水素が発生し、極性面26において、水が酸化されて酸素が発生する。
【0048】
このように、光触媒装置200は、柱状部20の半極性面22と極性面26との間の電界によって、電子Eと正孔Hとを分離および移動させて、水素および酸素を生成できる。
【0049】
光触媒装置200では、柱状部20は、液体Wと接する極性面26および半極性面22を有し、柱状部20に光Lが照射されて、極性面26において液体Wに含まれる物質が酸化され、半極性面22において液体Wに含まれる物質が還元される。そのため、光触媒装置200では、光触媒装置100と同様に、反応効率を向上できる。
【0050】
光触媒装置200では、液体Wは、水であり、柱状部20に光Lが照射されて、極性面26において酸素が発生し、半極性面22において水素が発生する。そのため、光触媒装置200では、水素および酸素を効率よく生成できる。
【0051】
光触媒装置200では、極性面26は、c面であり、半極性面22は、ファセット面である。このように、光触媒装置200では、c面を極性面26とし、ファセット面を半極性面22とすることができる。
【0052】
光触媒装置200では、半導体は、窒化ガリウムであり、極性面26は、ガリウム極性を有する。そのため、光触媒装置200では、柱状部20のエネルギーバンドは、極性面26の近傍において、上に曲がるように設計しやすい。
【0053】
2.2. 光触媒装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る光触媒装置200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
第2実施形態に係る光触媒装置200の製造方法では、柱状部20のエピタキシャル成長は、柱状部20が半極性面22および極性面26を有する条件で行われる。このこと以外は、第2実施形態に係る光触媒装置200の製造方法では、上述した第1実施形態に係る光触媒装置100の製造方法と、基本的に同じである。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0055】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0056】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0057】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0058】
光触媒装置の一態様は、
ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、
前記柱状部は、液体と接する半極性面および非極性面を有し、
前記柱状部に光が照射されて、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記非極性面において前記液体に含まれる物質が還元される。
【0059】
この光触媒装置によれば、反応効率を向上できる。
【0060】
前記光触媒装置の一態様において、
前記液体は、水であり、
前記柱状部に光が照射されて、前記半極性面において酸素が発生し、前記非極性面において水素が発生してもよい。
【0061】
この光触媒装置によれば、水素および酸素を効率よく生成できる。
【0062】
前記光触媒装置の一態様において、
前記半極性面は、ファセット面であり、
前記非極性面は、m面であってもよい。
【0063】
この光触媒装置によれば、ファセット面を半極性面とし、m面を非極性面とすることができる。
【0064】
光触媒装置の一態様は、
ウルツ鉱型結晶構造を有する半導体で構成された柱状部を有し、
前記柱状部は、液体と接する極性面および半極性面を有し、
前記柱状部に光が照射されて、前記極性面において前記液体に含まれる物質が酸化され、前記半極性面において前記液体に含まれる物質が還元される。
【0065】
この光触媒装置によれば、反応効率を向上できる。
【0066】
前記光触媒装置の一態様において、
前記液体は、水であり、
前記柱状部に光が照射されて、前記極性面において酸素が発生し、前記半極性面において水素が発生してもよい。
【0067】
この光触媒装置によれば、水素および酸素を効率よく生成できる。
【0068】
前記光触媒装置の一態様において、
前記極性面は、c面であり、
前記半極性面は、ファセット面であってもよい。
【0069】
この光触媒装置によれば、c面を極性面とし、ファセット面を半極性面とすることができる。
【0070】
前記光触媒装置の一態様において、
前記半導体は、窒化ガリウムであり、
前記極性面は、ガリウム極性を有してもよい。
【0071】
この光触媒装置によれば、柱状部のエネルギーバンドは、極性面の近傍において、上に曲がるように設計しやすい。
【0072】
前記光触媒装置の一態様において、
前記柱状部に照射される光は、太陽光であってもよい。
【0073】
この光触媒装置によれば、電力の消費を抑えられる。
【0074】
前記光触媒装置の一態様において、
前記液体を収容する容器を有してもよい。
【0075】
この光触媒装置によれば、液体が漏れることを抑制できる。
【符号の説明】
【0076】
10…基板、20…柱状部、22…半極性面、24…非極性面、26…極性面、30…容器、40…マスク層、42…開口部、100,110,200…光触媒装置