(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118584
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】印刷装置、及び印刷装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240826BHJP
B65H 23/035 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H23/035
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024943
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 拓
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BA04
2C060BC03
2C060BC12
2C060BC52
2C060BC62
2C060BC63
3F104AA02
3F104CA03
(57)【要約】
【課題】印刷媒体の斜行を抑制できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、印刷媒体を搬送する搬送部24と、搬送経路R上で印刷媒体に印刷する印刷ヘッド42と、印刷媒体に対して、印刷媒体の搬送方向の側方に配置される第1ガイド70と、印刷媒体を挟んで第1ガイド70の反対側に配置され、印刷媒体に接する位置から印刷媒体から離間する位置まで搬送方向Fに交差する交差方向Iに移動可能な第2ガイド90と、第1ガイド70及び第2ガイド90よりも搬送部24に接近する位置に配置され、印刷媒体の側方に配置される第3ガイド72と、第1ガイド70及び第2ガイド90よりも搬送部24に接近する位置に配置され、印刷媒体を挟んで第3ガイド72の反対側に配置される第4ガイド92とを備え、第3ガイド72と第4ガイド92とは、印刷媒体から離間する位置まで交差方向Iに移動可能に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送経路上で前記印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、
前記印刷媒体に対して、前記印刷媒体の搬送方向の側方に配置される第1ガイドと、
前記印刷媒体を挟んで前記第1ガイドの反対側に配置され、前記印刷媒体に接する位置から、前記印刷媒体から離間する位置まで、前記搬送方向に交差する交差方向に移動可能な第2ガイドと、
前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記搬送部に接近する位置に配置され、前記印刷媒体に対して、前記搬送方向の側方に配置される第3ガイドと、
前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記搬送部に接近する位置に配置され、前記印刷媒体を挟んで前記第3ガイドの反対側に配置される第4ガイドとを備え、
前記第3ガイドと前記第4ガイドとは、前記印刷媒体から離間する位置まで、前記交差方向に移動可能に設けられる
印刷装置。
【請求項2】
前記第3ガイドは、前記印刷媒体を挟んで前記第2ガイドの反対側に位置し、
前記第4ガイドは、前記印刷媒体を挟んで前記第1ガイドの反対側に位置し、
前記第3ガイドは、前記交差方向に沿って、前記第1ガイドよりも前記印刷媒体から離間する位置まで移動可能に設けられ、
前記第4ガイドは、前記交差方向に沿って、前記第2ガイドよりも前記印刷媒体から離間する位置まで移動可能に設けられる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
搬送される印刷媒体を挟んで対向して配置され、前記印刷媒体を案内する第1ガイド、及び第2ガイドと、
前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記印刷媒体の搬送経路の下流側に位置し、前記印刷媒体を挟んで対向して配置され、前記印刷媒体を案内する第3ガイド、及び第4ガイドと、を備える印刷装置の搬送方向調整方法であって、
前記搬送経路上の所定位置で前記印刷媒体が送り出される場合には、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体を案内し、
前記搬送経路上の複数位置で前記印刷媒体が送り出される場合には、前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体を案内する
印刷装置の調整方法。
【請求項4】
前記印刷媒体が前記搬送経路上の複数位置で送り出されることで搬送される場合に、
前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体をガイドした状態で、前記印刷媒体に印刷して印刷結果を確認することで、前記印刷媒体が所望の方向に搬送されているか否かを判定し、
搬送されていないと判定した場合には、前記印刷媒体に接する前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方の位置を前記印刷媒体の搬送方向に交差する方向に沿って変更する
請求項3に記載の印刷装置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び印刷装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体を搬送する途中に、印刷媒体が斜行や蛇行するのを抑制する可動式のガイドを備える印刷装置が知られている。
例えば、特許文献1は、搬送される印字用紙の幅に合わせるように離間距離が変更自在である一対の用紙幅ガイドにおける各用紙幅ガイドがそれぞれ対向する側であって印字用紙の用紙端部が接触する位置に、硬質プレートが配設される用紙ガイド装置を開示する。
特許文献1の用紙ガイド装置を備える印刷装置では、搬送される印字用紙の端部によって用紙幅ガイドが削られることが防止され、印字用紙の斜行や蛇行が防止され、印字用紙が適正に案内される。
また、このような印刷装置には、例えば巻取装置や剥離装置のような、印刷媒体を搬送する搬送ローラー等の搬送部を備える外付けの装置が取り付けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷装置が備える印刷ヘッドのノズル列や、キャリッジ軸等に対して、上述のような外付けの装置が備える搬送ローラーの回転軸が傾斜していると、印刷媒体が外付け装置の回転軸に対して垂直になるように搬送される。これによって、このような印刷装置では、用紙ガイド装置等によって斜行が補正された印刷媒体に対して、さらなる斜行が生じる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、印刷媒体を搬送する搬送部と、前記印刷媒体の搬送経路上で前記印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、前記印刷媒体に対して、前記印刷媒体の搬送方向の側方に配置される第1ガイドと、前記印刷媒体を挟んで前記第1ガイドの反対側に配置され、前記印刷媒体に接する位置から、前記印刷媒体から離間する位置まで、前記搬送方向に交差する交差方向に移動可能な第2ガイドと、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記搬送部に接近する位置に配置され、前記印刷媒体に対して、前記搬送方向の側方に配置される第3ガイドと、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記搬送部に接近する位置に配置され、前記印刷媒体を挟んで前記第3ガイドの反対側に配置される第4ガイドとを備え、前記第3ガイドと前記第4ガイドとは、前記印刷媒体から離間する位置まで、前記交差方向に移動可能に設けられる印刷装置である。
【0006】
本開示の別の一態様は、搬送される印刷媒体を挟んで対向して配置され、前記印刷媒体を案内する第1ガイド、及び第2ガイドと、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記印刷媒体の搬送経路の下流側に位置し、前記印刷媒体を挟んで対向して配置され、前記印刷媒体を案内する第3ガイド、及び第4ガイドと、を備える印刷装置の搬送方向調整方法であって、前記搬送経路上の所定位置で前記印刷媒体が送り出される場合には、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体を案内し、前記搬送経路上の複数位置で前記印刷媒体が送り出される場合には、前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体を案内する印刷装置の調整方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】印刷装置の搬送経路に係る各部を示す要部側面図。
【
図10】搬送ローラーに搬送されるラベル用紙の平面図。
【
図11】搬送ローラーと巻取ドラムとに搬送されるラベル用紙の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ印刷装置1に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは、印刷装置1の前方を示し、符号UPは、印刷装置1の上方を示し、符号LHは、印刷装置1の左方を示す。
【0009】
図1は、印刷装置1の搬送経路Rに係る各部を示す要部側面図である。
図1では、説明の便宜上、搬送方向Fを1点鎖線で示す。
印刷装置1は、ライン状のインクジェットヘッドを備え、当該インクジェットへッドからインクを吐出して、印刷媒体に文字や画像を印刷する、所謂ライン型のインクジェット式プリンターである。
【0010】
印刷装置1で印刷に使用される印刷媒体は、所定サイズにカットされたカットシートまたは連続シートである。これらのシートは、紙や合成樹脂等で形成される。これらのシートは、例えば、インクジェット式の印刷に適した、インクの吸収能および定着性を高める表面加工が施されたファイン紙であってもよい。
【0011】
連続シートは、例えば、ロール状に巻かれた状態で印刷装置1に収容されるロール紙や、折りたたまれた状態で印刷装置1の外部から印刷装置1に供給されるファンフォールド紙が挙げられる。ロール紙としては、普通紙やファイン紙をロール状に巻いた用紙の他、裏面に粘着剤が付された定型サイズのラベルを、台紙である剥離紙に並べてロール状に巻いたラベル用紙を用いてもよい。
【0012】
本実施形態では、裏面に粘着剤が付された所定サイズのラベル103が、粘着剤から剥離可能な剥離紙が長尺に形成された台紙上に配置され、ロール状に巻かれたラベル用紙100を印刷媒体として使用する。ラベル用紙100は、台紙101の長手方向に、複数のラベル103が等間隔で配置される。印刷装置1は、ラベル用紙100を搬送して、ラベル用紙100上の各ラベル103の印刷面に文字や画像を印刷する。この場合、ラベル用紙100は、印刷媒体に相当する。
なお、ラベル用紙100、台紙101、ラベル103は、後述する
図10、及び
図11に示す。
【0013】
印刷装置1は、略直方体状の筐体である装置ケース10を備える。装置ケース10は、側面パネルや前面パネル等が組み合わされ、印刷装置1の外殻を形成する。
図1に示すように、装置ケース10の前面には、左方寄りの略中央に、左右方向に延びるスリット状の排紙口14が形成される。印刷装置1では、排紙口14から、印刷されたラベル用紙100を排出する。
【0014】
印刷装置1は、ラベル用紙100を収容する収容部20と、ラベル用紙100に印刷する印刷部22と、収容部20から印刷部22にラベル用紙100を搬送する搬送部24とを備える。
印刷装置1において、収容部20は、後方側に設けられ、印刷部22は、収容部20前方側に設けられる。搬送部24は、印刷部22の下方に設けられる。
【0015】
収容部20は、ラベル用紙100が取り付けられるロール軸26を備える。ロール軸26は、周方向に回転可能に設けられる棒状の部材である。ラベル用紙100は、ラベル用紙100のロールの中心にロール軸26が挿通されることで、収容部20に収容される。
ロール軸26には、例えばモーター等の駆動装置が連結され、当該駆動装置の駆動に伴って回転してもよい。印刷装置1では、ロール軸26が回転することで、ラベル用紙100が回転する。
【0016】
印刷装置1には、ロール軸26に取り付けられたラベル用紙100の一端が引き出され、排紙口14にまで搬送される搬送経路Rが形成される。
搬送経路Rにおいて、収容部20に収められたラベル用紙100の上方には、テンションレバー28が取り付けられる。テンションレバー28は、周方向に曲面を備え、左右方向に延びる柱状に形成される。テンションレバー28は、ラベル用紙100に張力を与えて弛みを防止する。ラベル用紙100は、一端が上方へ向かって引き出され、テンションレバー28に接触し、テンションレバー28によって屈曲された後、前方へ向かって延びる。
【0017】
テンションレバー28の前方には、紙案内ユニット30が設けられる。紙案内ユニット30は、ラベル用紙100を前方に案内すると共に、ラベル用紙100の斜行や、ラベル用紙100の搬送のずれを抑制する。
【0018】
テンションレバー28の前方には、紙案内ユニット30が設けられる。紙案内ユニット30は、ラベル用紙100を前方に案内すると共に、ラベル用紙100の斜行や、ラベル用紙100の搬送のずれを抑制する。
紙案内ユニット30は、ラベル用紙100を下方から支持する下部案内部材32と、ラベル用紙100の上面側に位置する紙押え部材34とを備える。
ラベル用紙100は、紙案内ユニット30において、下部案内部材32と、紙押え部材34との間に挟み込まれた状態で搬送される。
【0019】
紙案内ユニット30の前方には、ラベル用紙100に印刷する印刷部22が設けられる。印刷部22は、プラテン40と、印刷ヘッド42とを備える。本実施形態の印刷ヘッド42は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを噴射して、ラベル103の印刷面にドットを形成する。印刷ヘッド42は、K(ブラック)インクを噴射するノズル部41、C(シアン)インクを噴射するノズル部43、M(マゼンダ)インクを噴射するノズル部45、及び、Y(イエロー)インクを噴射するノズル部47を備える。ノズル部41~47には、インクを噴射する複数のノズルがラベル用紙100の幅方向に列をなして並べられる。ノズル部41~47は、各々が備えるノズルが搬送方向Fに交差する交差方向Iに沿って並べられる。本実施形態では、交差方向Iは、搬送方向Fに直交する方向である。交差方向Iは、ラベル用紙100の幅方向に一致する。
交差方向Iは、後述する
図2~
図11に示す。
【0020】
印刷ヘッド42は、ラベル用紙100の幅方向において、走査を行うことなくインクを噴射可能なラインインクジェットヘッドである。従って、ノズル部41~47のノズル列は、少なくとも、ラベル用紙100の印刷可能範囲と同じか、より広い幅に形成される。本実施形態では、印刷可能範囲は、ラベル103の印刷面に相当する。
本実施形態では、ラベル用紙100の搬送方向Fに沿ってノズル部41、43、45、47の順に配置された構成例を挙げるが、搬送方向Fにおける各色のノズルの配置順序は任意である。
【0021】
プラテン40は、搬送方向Fに沿って配置される平面を有する。この平面は、搬送経路Rの下方に位置して、印刷ヘッド42に対向する。ノズル部41~47と、プラテン40とは、所謂プラテンギャップである間隔を空けて配置される。
プラテン40は、ラベル用紙100を下方から支持する。プラテン40は、少なくとも印刷部22における印刷範囲の全体に亘って設けられる。プラテン40の平面は、印刷装置1の設置状態及び使用状態において、略水平に配置される。
【0022】
搬送部24は、円柱状の搬送ローラー50を備える。搬送ローラー50は、長手方向が交差方向Iに沿って延びて配置され、周方向に回転自在に設けられる。搬送ローラー50は、紙案内ユニット30の前方、且つプラテン40の後端に配置される。
【0023】
搬送ローラー50の一方の端部には、例えば従動輪が設けられる。従動輪には、伝動ベルト51がかけられる。この伝動ベルト51は、搬送モーター52が備える駆動軸にかけられる。これによって、搬送ローラー50と、搬送モーター52とが伝動ベルト51を介して連結される。
搬送モーター52は、搬送ローラー50を回転駆動させる駆動装置である。搬送モーター52と、伝動ベルト51とは、プラテン40の下方に設けられる。
【0024】
搬送部24は、複数の紙送り従動ローラー54を備える。紙送り従動ローラー54は、搬送ローラー50の長手方向に沿って複数が回転自在に配置される。紙送り従動ローラー54は、いずれも周面が搬送ローラー50の周面に接するように付勢される。これによって、搬送ローラー50と、紙送り従動ローラー54とは、対向して配置される。
このため、搬送ローラー50は、下部案内部材32側に配置され、紙送り従動ローラー54は、紙押え部材34側に配置される。
【0025】
搬送部24では、搬送モーター52が駆動することによって、伝動ベルト51を介して、搬送ローラー50が回転駆動し、紙送り従動ローラー54が従動して回転駆動する。これによって、下部案内部材32と、紙押え部材34との間に装填されたラベル用紙100は、搬送ローラー50と、紙送り従動ローラー54との間に挟まれて、搬送ローラー50の回転駆動に伴い、印刷部22に搬送される。
【0026】
なお、搬送ローラー50は、下部案内部材32側、換言すれば、プラテン40側に配置されてもよい。また例えば、搬送部24は、搬送ローラー50に代えて、プラテン40の上面上を移動可能な搬送ベルトを備えてもよい。
【0027】
印刷装置1には、搬送経路Rにおいて、紙案内ユニット30の下流側、且つ搬送ローラー50の上流側に、ラベル検出器56が設けられる。ラベル検出器56は、ラベル用紙100の先端と後端、及びラベル103の先端と後端を検出する。
ラベル検出器56は、例えば、搬送経路Rにおいて、ラベル用紙100の下面側に発光部58を備え、ラベル用紙100の上面側に受光部59を備える光学式の透過型センサーである。発光部58と、受光部59とは、上下方向に沿って、ラベル用紙100が通過可能な程度の間隔を空けて、対向して配置される。すなわち、発光部58と、受光部59とは、前後方向において略同一の位置に配置される。
【0028】
なお、ラベル検出器56は、搬送ローラー50の下流側、且つ印刷ヘッド42の上流側に配置されてもよい。また例えば、発光部58は、紙押え部材34側に配置され、受光部59は、下部案内部材32側に配置されてもよい。同様に、発光部58は、プラテン40側に配置され、受光部59は、印刷ヘッド42側に配置されてもよい。
【0029】
発光部58には、例えばLED(Light-emitting diode)等の発光素子が用いられる。
受光部59には、例えばフォトトランジスターやフォトIC、フォトダイオード等の受光素子が用いられる。受光素子は、所定値以上の信号強度の光を受光した場合に、受光量に応じて、当該受光量を示す出力値として、検出電圧を出力する。
【0030】
ラベル検出器56では、受光部59が発光部58から出射した光を所定の信号強度で受光可能な位置に、発光部58と、受光部59とを配置可能である。この場合、受光部59の受光量を示す出力値は、受光部59の直下にラベル用紙100がない場合、台紙101がある場合、ラベル103がある場合の各々で異なる。すなわち、発光部58からの出射光と、台紙101の透過光と、ラベル103の透過光との各々の光の信号強度は、互いに異なる。このため、ラベル検出器56は、受光部59の受光量を示す出力値によって、ラベル用紙100の先端及び後端と、ラベル103の先端及び後端とを検出可能である。
【0031】
印刷ヘッド42の下流側、すなわち前方側には、カッターユニット110が配置される。カッターユニット110は、搬送経路Rを挟んで配置された固定刃112と可動刃114とを備え、可動刃114は、カッターを駆動するモーター等の駆動装置にギヤ等を介して連結される。カッターユニット110では、モーターが駆動すると、可動刃114が固定刃112側に移動して、ラベル用紙100をカットする。カッターユニット110は、ラベル用紙100の幅方向において一部を切り残すカットをするものであってもよいし、ラベル用紙100を完全に切断するものであってもよい。印刷装置1は、カッターユニット110によって、印刷ヘッド42で印刷されたラベル用紙100を所定の長さにカットして、排紙口14から排出する。
なお、カッターユニット110は、印刷装置1とは別体に形成され、例えば印刷装置1の前面に着脱可能に設けられてもよい。
【0032】
印刷装置1は、当該印刷装置1の各部を制御する制御基板18を備える。制御基板18は、演算実行部としてのCPU、ROM、RAM等を備える。制御基板18のROMには、CPUによって実行可能なファームウェア、ファームウェアに係るデータ等が不揮発的に記憶される。また、RAMには、CPUが実行するファームウェアに係るデータ等が一時的に記憶される。制御基板18は、その他の周辺回路等を備えてもよい。制御基板18は、制御プログラムや、これら制御プログラムに関するデータ等、各種のプログラムやデータを不揮発的に記憶可能な記憶部を備えていてもよい。
【0033】
制御基板18は、ユーザーによる操作や、ラベル用紙100の搬送量等を検出可能に形成される。
制御基板18は、搬送モーター52等の印刷装置1が備える駆動装置を制御可能に形成される。
制御基板18は、印刷ヘッド42において、インクタンクからインクを供給するポンプや、印刷ヘッド42のノズル部41~47に設けられるピエゾ素子に電圧を供給して、これらを動作させる。これにより、印刷装置1では、ノズル部41~47の各ノズルからインク滴が吐出されてドットが形成される。
制御基板18は、発光素子を発光させると共に、ラベル検出器56の検出値を取得可能に形成される。すなわち、ラベル検出器56は、制御基板18と共同して、検出手段として機能する。
【0034】
印刷装置1の前面は、排紙口14の下方に、巻取ユニット120を着脱可能に形成される。巻取ユニット120は、排紙口14から排出されるラベル用紙100を巻き取る巻取ドラム122と、巻取ドラム122を回転させる駆動装置である巻取モーター124とを備える。
巻取ドラム122は、長手方向が交差方向Iに沿って延びる円柱状、あるいは円筒状の軸部材である。
【0035】
巻取ドラム122は、巻取ユニット120が備える巻取モーター124により駆動される。巻取ドラム122は、印刷装置1の前方側に向かって回転して、排紙口14から排出されるラベル用紙100を巻き取る。巻取ユニット120が使用される場合、印刷装置1は、カッターユニット110でラベル用紙100をカットせず、ラベル用紙100を長尺の状態のまま排紙口14から排出する。巻取ユニット120は、例えば、印刷装置1の1回の動作で、収容部20に収容される1巻きのラベル用紙100の全部に印刷を施し、巻取ドラム122に巻き取ることが可能である。
なお、巻取ドラム122は、搬送モーター52からギヤ列等を介して伝達される回転力により、駆動されてもよい。
【0036】
次いで、紙案内ユニット30について詳述する。
図2は、紙案内ユニット30を左方から視た斜視図である。
図3は、紙案内ユニット30を右方から視た斜視図である。
図2、
図3では、搬送方向Fと、交差方向Iとを1点鎖線で示し、ラベル用紙100を2点鎖線で示す。
図2、
図3に示すように、下部案内部材32は、上面33が略平坦に形成される支持プレート36を備える。支持プレート36は、前後方向に所定の長さ寸法を備え、左右方向に沿って、ラベル用紙100の幅寸法よりも長い幅寸法を備える。支持プレート36は、紙案内ユニット30に案内されるラベル用紙100を下方から支持する部材である。
【0037】
支持プレート36の略中央には、上下方向に貫通するスライド開口35が設けられる。スライド開口35は、交差方向Iに沿って延びる長孔である。
下部案内部材32は、ガイド軸38を備える。ガイド軸38は、支持プレート36の下面側に配置され、長手方向が交差方向Iに沿って延びる軸部材である。
【0038】
支持プレート36の上面33において、交差方向Iに沿って位置する両端部には、紙押え部材34が設けられる。紙押え部材34は、下部案内部材32に対向してラベル用紙100の上方に位置し、連続用紙Pの浮き上がりを押さえる部材である。紙押え部材34は、固定押え部材60と、可動押え部材80とを備える。
【0039】
固定押え部材60は、支持プレート36において、右側の端部に設けられ、可動押え部材80は、左側の端部に設けられる。固定押え部材60と、可動押え部材80とは、上面33において、交差方向Iに沿って、対向して配置される。紙案内ユニット30に案内されるラベル用紙100は、固定押え部材60と、可動押え部材80との間を搬送される。
【0040】
図4は、固定押え部材60を左方から視た斜視図である。
図5では、搬送方向Fと、交差方向Iとを1点鎖線で示し、ラベル用紙100を2点鎖線で示す。
固定押え部材60は、支持プレート36の上面33に固定される。固定押え部材60は、押え部材本体62を備える。押え部材本体62は、長手方向が前後方向に沿って延び、可動押え部材80に対向する面が開口して開放される箱形状を備える。
押え部材本体62の下端には、支持プレート36に沿って、可動押え部材80側に、所定の長さ寸法で延びる延在部63が設けられる。延在部63は、押え部材本体62の長手方向全体に亘って設けられる。
【0041】
図5は、固定押え部材60を左方から視た斜視図である。
図5では、押圧子61が支持プレート36に対向するように押圧部64を回動させた状態を示す。
図5では、搬送方向Fと、交差方向Iとを1点鎖線で示し、ラベル用紙100を2点鎖線で示す。
押え部材本体62の内部には、押圧部64が収められる。押圧部64は、長手方向が前後方向に沿って延び、下面と、可動押え部材80に対向する面とが開放される箱形状を備える。押圧部64には、可動押え部材80に対向する面に押圧部開口65が設けられる。これによって、押圧部64では、可動押え部材80に対向する面が開放される。
【0042】
押圧部64は、両端が回動軸68によって、押え部材本体62に回動可能に軸支される。
図4、
図5に示すように、押圧部64は、可動押え部材80に対向する位置から、支持プレート36に対向する位置に押圧部開口65が移動するように、回動可能に支持される。
【0043】
図6は、固定押え部材60を左方から視た斜視図である。
図6では、押圧子61が支持プレート36に対向するように押圧部64を回動させた状態を示す。
図6では、説明の便宜上、押圧部64を破線で示す。
図6では、搬送方向Fと、交差方向Iとを1点鎖線で示し、ラベル用紙100を2点鎖線で示す。
図4に示すように、押圧部64において、押圧部開口65の上縁には、複数の押圧子61が設けられる。押圧子61は、当該上縁から、可動押え部材80側に向かって所定の長さ寸法で突出する。本実施の形態では、押圧子61は、押圧部開口65の上縁の前端部と、後端部との各々に設けられる。
図6に示すように、押圧部開口65が上面33に対向する位置まで移動するように押圧部64が回動すると、押圧子61は、延在部63に対向する位置まで移動する。
【0044】
図5、
図6に示すように、押圧部64は、長手方向の略中央で、引張ばね66によって、押え部材本体62に連結される。押圧部64は、引張ばね66によって、可動押え部材80から遠ざかる方向に引かれるように付勢される。押圧部64は、押圧子61が延在部63に対向する位置まで移動すると、当該位置を維持するように固定される。
図5、
図6に示すように、押圧部64には、可動押え部材80とは反対側に位置する面に、露出孔67が設けられる。
【0045】
図4に示すように、押え部材本体62には、第1ガイド70と、第3ガイド72とが設けられる。第1ガイド70と、第3ガイド72とは、いずれも押圧部64の内部に収められる。第1ガイド70は、固定押え部材60の後端側に配置され、第3ガイド72は、固定押え部材60の前端側に配置される。
【0046】
図7は、固定押え部材60の下面図である。
第1ガイド70は、押え部材本体62に固定される。
第3ガイド72は、押え部材本体62に対して、交差方向Iに沿って、スライド移動可能に設けられる。
図7に示すように、第3ガイド72は、引張ばね74によって、押え部材本体62に連結される。第3ガイド72は、引張ばね74によって、可動押え部材80から遠ざかる方向に引かれるように付勢される。
【0047】
図4に示すように、第1ガイド70と、第3ガイド72とは、いずれも所定の長さ寸法で、可動押え部材80側に突出する当接子76を備える。
第1ガイド70が備える当接子76は、固定押え部材60の後端部に配置され、第3ガイド72が備える当接子76は、固定押え部材60の前端部に配置される。
【0048】
第1ガイド70と、第3ガイド72との各々が備える当接子76は、押圧部開口65が可動押え部材80に対向するように押圧部64が配置されると、当該押圧部開口65を介して、外部に露出する。
図5、
図6に示すように、第1ガイド70と、第3ガイド72と、これら各々が備える当接子76とは、押圧子61が延在部63に対向する位置まで押圧部64が移動すると、いずれも当該押圧部64によって、上方と、可動押え部材80に対向する側とが覆われる。
【0049】
上述の通り、第3ガイド72は、押え部材本体62に対して、交差方向Iに沿って、スライド移動可能に設けられる。押圧部開口65が上面33に対向する位置まで移動するように押圧部64が回動すると、第3ガイド72は、当該押圧部64に押圧されて、可動押え部材80から遠ざかる方向にスライド移動する。すなわち、第3ガイド72は、第1ガイド70よりも、交差方向Iにおいて、支持プレート36の中央から離間する位置に配置される。
押圧部開口65が可動押え部材80に対向する位置に配置されるように、押圧部64が再度回動すると、第3ガイド72は、当該押圧部64に押圧されて、可動押え部材80に接近する方向にスライド移動する。
【0050】
図8は、固定押え部材60の平面図である。
図8では、回転軸rを挟んで、膨出面79が可動押え部材80とは反対側に位置する状態を示す。
図8では、説明の便宜上、押圧部64を破線で示す。
図6に示すように、固定押え部材60には、第3ガイド72に隣接する位置に、調節体78が設けられる。調節体78は、上下方向に沿って延びる柱形状を備える。調節体78は、周方向に回転可能に形成される。
図8に示すように、調節体78は、平面視で、側面の一部の箇所が他の箇所よりも回転軸rから離間する所謂カム形状を備える。以下の説明では、調節体78の側面において、他の箇所よりも回転軸rから離間する箇所を膨出面79という。
【0051】
図8に示すように、調節体78の上端には、つまみ77が設けられる。つまみ77は、ユーザーが保持可能に形成され、ユーザーがつまみ77を回転させると、調節体78が周方向に回転する。
図5、6、8に示すように、押圧子61が延在部63に対向する位置まで押圧部64が移動すると、つまみ77は、露出孔67を介して、押圧部64の外部に露出する。
【0052】
図8に示すように、回転軸rを挟んで、膨出面79が可動押え部材80とは反対側に位置する場合、第3ガイド72は、引張ばね74に引かれ、可動押え部材80から遠ざかる方向に引かれる。この場合、交差方向Iにおいて、第3ガイド72の当接子76は、第1ガイド70の当接子76よりも、ラベル用紙100から離間する位置に配置される。
【0053】
図9は、固定押え部材60の平面図である。
図9では、膨出面79が可動押え部材80側に移動した状態を示す。
図9では、説明の便宜上、押圧部64を破線で示す。
図9に示すように、例えばユーザーがつまみ77を回転させ、膨出面79を可動押え部材80側に移動させると、第3ガイド72は、当該膨出面79に押圧されて、可動押え部材80側にスライド移動する。この場合、第3ガイド72の当接子76は、交差方向Iにおいて、第1ガイド70の当接子76よりも、可動押え部材80側に接近する位置に配置される。
【0054】
次いで、可動押え部材80について説明する。
図2、
図3に示すように、可動押え部材80は、支持プレート36の上面33に設けられる。可動押え部材80は、押え部材本体82を備える。押え部材本体82は、長手方向が前後方向に沿って延び、可動押え部材80に対向する面が開放される箱形状を備える。
押え部材本体82の下端には、支持プレート36に沿って、可動押え部材80側に、所定の長さ寸法で延びる延在部83が設けられる。延在部83は、押え部材本体82の長手方向全体に亘って設けられる。
【0055】
押え部材本体82の底面には、軸挿通部81が設けられる。軸挿通部81は、長手方向が交差方向Iに沿って延びる略直方体状に形成される。軸挿通部81の長手方向に位置する両端には、軸孔87が設けられる。
軸孔87の各々には、ガイド軸38が挿通される。これによって、可動押え部材80は、交差方向Iに沿ってスライド移動可能に支持される。可動押え部材80において、押え部材本体82は、支持プレート36の上面側に配置され、軸挿通部81は、支持プレート36の下面側に配置される。
【0056】
可動押え部材80には、当該可動押え部材80をガイド軸38に対してロック・アンロックするロック機構91を備える。押え部材本体82の天面には、ロック解除レバー93が設けられる。ユーザーは、ロック解除レバー93を操作することで、可動押え部材80をガイド軸38に対してロック・アンロックすることが可能である。
【0057】
押え部材本体82の内部には、押圧部84が収められる。押圧部84は、押圧部64と略同一形状に形成される。押圧部84は、長手方向が前後方向に沿って延び、下面と固定押え部材60に対向する面とが開放される箱形状を備える。押圧部84には、固定押え部材60に対向する面に押圧部開口85が設けられる。これによって、押圧部84では、固定押え部材60に対向する面が開放される。
【0058】
押圧部84は、両端が回動軸88によって、押え部材本体82に回動可能に軸支される。
押圧部64と同様に、押圧部84は、固定押え部材60に対向する位置から、支持プレート36に対向する位置に押圧部開口85が移動するように、回動可能に支持される。
【0059】
押圧部84において、押圧部開口85の上縁には、複数の押圧子61が設けられる。押圧子61は、当該上縁から、固定押え部材60側に向かって所定の長さ寸法で突出する。本実施の形態では、押圧子61は、押圧部開口85の上縁の前端部と、後端部との各々に設けられる。押圧部84が備える押圧子61は、押圧部64が備える押圧子61と略同一形状である。
押圧部開口85が上面33に対向する位置まで移動するように押圧部84が回動すると、押圧子61は、延在部83に対向する位置まで移動する。
【0060】
押圧部64と同様に、押圧部84は、長手方向の略中央で、引張ばねによって、押え部材本体82に連結される。押圧部84は、引張ばねによって、固定押え部材60から遠ざかる方向に引かれるように付勢される。押圧部84は、押圧子61が延在部63に対向する位置まで移動すると、当該位置を維持するように固定される。
【0061】
押え部材本体82には、第2ガイド90と、第4ガイド92とが設けられる。第2ガイド90と、第4ガイド92とは、いずれも押圧部84の内部に収められる。第2ガイド90は、可動押え部材80の後端側に配置され、第4ガイド92は、可動押え部材80の前端側に配置される。
【0062】
第2ガイド90は、ラベル用紙100を挟んで第1ガイド70に対向する位置に配置され、第4ガイド92は、ラベル用紙100を挟んで第3ガイド72に対向する位置に配置される。すなわち、紙案内ユニット30において、第2ガイド90は、ラベル用紙100を挟んで第1ガイド70の反対側に配置され、第4ガイド92は、ラベル用紙100を挟んで第3ガイド72の反対側に配置される。
【0063】
第2ガイド90と、第4ガイド92とは、押え部材本体82に対して、交差方向Iに沿って、スライド移動可能に設けられる。第2ガイド90と、第4ガイド92とは、押圧部開口85が上面33に対向する位置まで移動するように押圧部84が回動すると、当該押圧部84に押圧されて、固定押え部材60から遠ざかる方向にスライド移動する。第2ガイド90と、第4ガイド92とは、押圧部開口85が固定押え部材60に対向する位置に配置されるように、再度押圧部84が回動すると、当該押圧部84に押圧されて、固定押え部材60に接近する方向にスライド移動する。
この場合、第4ガイド92は、第2ガイド90よりも、交差方向Iにおいて、支持プレート36の中央から離間する位置に配置される。
【0064】
固定押え部材60と同様に、第4ガイド92は、引張ばねによって、押え部材本体82に連結される。第4ガイド92は、引張ばねによって、固定押え部材60から遠ざかる方向に引かれるように付勢される。
【0065】
第2ガイド90と、第4ガイド92とは、いずれも所定の長さ寸法で、可動押え部材80側に突出する当接子96を備える。当接子96は、当接子76と略同一形状に形成される。
第2ガイド90が備える当接子96は、可動押え部材80の後端部に配置され、第4ガイド92が備える当接子96は、可動押え部材80の前端部に配置される。
【0066】
第2ガイド90と、第4ガイド92との各々が備える当接子96は、押圧部開口85が固定押え部材60に対向するように押圧部84が配置されると、押圧部開口85を介して、外部に露出する。
第2ガイド90と、第4ガイド92と、これら各々が備える当接子96とは、押圧子61が延在部63に対向する位置まで押圧部84が移動すると、いずれも当該押圧部84によって、上方と、固定押え部材60に対向する側とが覆われる。
【0067】
可動押え部材80には、第4ガイド92に隣接する位置に、調節体が設けられる。この調節体は、調節体78と同様に、上下方向に沿って延びる柱形状を備える。当該調節体は、周方向に回転可能に形成される。
当該調節体は、調節体78と同様に、平面視で、側面の一部の箇所が他の箇所よりも回転軸から離間する所謂カム形状を備える。調節体の上端には、つまみ97と略同一形状のつまみが設けられる。このつまみは、ユーザーが保持可能に形成され、ユーザーが当該つまみを回転させると、調節体が周方向に回転する。
押圧子61が延在部63に対向する位置まで押圧部84が移動すると、つまみ97は、固定押え部材60と同様に、固定押え部材60とは反対側に位置する押圧部84の面に設けられる露出孔を介して、押圧部84の外部に露出する。
【0068】
固定押え部材60と同様に、例えばユーザーが可動押え部材80に設けられるつまみを回転させることで、第4ガイド92は、可動押え部材80側にスライド移動する。この場合、第4ガイド92の当接子96は、交差方向Iにおいて、第2ガイド90の当接子96よりも、固定押え部材60側に接近する位置に配置される。
【0069】
次いで、本実施形態の動作について説明する。
まず、巻取ユニット120が取り外された印刷装置1について説明する。
印刷装置1では、搬送部24によって、収容部20に収容されるラベル用紙100が印刷部22に搬送され、ラベル用紙100上のラベル103が備える印刷面の各々に印刷される。印刷装置1では、ラベル用紙100は、ラベル検出器56によって、ラベル103の先端や後端が検出される。具体的には、ラベル103の先端、または後端が受光素子を通過する場合に、ラベル検出器56の検出値が変化する。制御基板18は、ラベル検出器56の検出値の変化に基づき、ラベル103の先端、または後端がラベル検出器56の配置位置に達したことを検出する。印刷装置1では、ラベル検出器56の検出に基づいて、ラベル103に対する印刷を行う。
【0070】
ラベル用紙100が紙案内ユニット30に配置される場合には、まず、可動押え部材80が可動範囲の右端に配置された状態で、ユーザーは、支持プレート36の上面33にラベル用紙100を載置する。次いで、ユーザーは、ロック解除レバー93を操作して可動押え部材80をガイド軸38に対してアンロックする。ユーザーは、この状態で、可動押え部材80をラベル用紙100の紙幅方向、すなわち交差方向Iにスライドさせることで、固定押え部材60と、可動押え部材80との距離を調整する。
【0071】
ユーザーは、第1ガイド70の当接子76がラベル用紙100の左側端に当接し、第2ガイド90の当接子76がラベル用紙100の右側端に当接した状態で、ロック解除レバー93を操作して可動押え部材80をガイド軸38に対してロックする。これによって、可動押え部材80は、ラベル用紙100の右側端に当接した状態で固定される。
【0072】
次いで、ユーザーは、押圧子61の各々が延在部63、あるいは延在部83に対向する位置まで押圧部64と押圧部84とを回動させる。これによって、ラベル用紙100は、押圧子61の各々と、延在部63、あるいは延在部83とに上下方向から挟み込まれる。
このため、印刷装置1では、ラベル用紙100が支持プレート36の上面33から浮き上がることが抑制され、ラベル用紙100のジャミングや印刷位置ズレなどが生じることが抑制される。
【0073】
押圧子61の各々が延在部63、あるいは延在部83に対向する位置まで押圧部64と押圧部84とが回動されると、第2ガイド90と、第3ガイド72と、第4ガイド92とは、ラベル用紙100から離間する方向に移動する。
第3ガイド72と、第4ガイド92とがラベル用紙100から離間することで、印刷装置1では、台紙101において、ラベル103が貼られない所謂カストリ部が第3ガイド72と、第4ガイド92とに接することが抑制される。
これによって、印刷装置1では、搬送に伴って、第3ガイド72と、第4ガイド92とにカストリ部が接して、当該カストリ部におけるラベル用紙100の左右に位置する端部の折れ曲がりが生じることが抑制される。
【0074】
さらに、第2ガイド90がラベル用紙100から離間することで、印刷装置1では、ラベル用紙100交差方向Iに沿う幅寸法が搬送方向Fに沿って不均一である場合に、第2ガイド90が当該ラベル用紙100に接することが抑制される。
これによって、印刷装置1では、交差方向Iに沿うラベル用紙100の幅寸法が搬送方向Fにおいて不均一である場合に、第2ガイド90が当該ラベル用紙100に接し、当該ラベル用紙100の左右に位置する端部に折れ曲がりが生じることが抑制される。
【0075】
図10は、搬送ローラー50に搬送されるラベル用紙100を示す平面図である。
図10に示すように、巻取ユニット120が取り外された印刷装置1において、ラベル用紙100は、搬送方向Fにおいて、搬送ローラー50からより離間した位置に配置される第1ガイド70と、第2ガイド90とによって交差方向Iに沿って挟み込まれる。
これによって、印刷装置1では、第1ガイド70と、第2ガイド90とによってラベル用紙100が案内され、当該ラベル用紙100の斜行や蛇行が抑制される。
【0076】
ここで、印刷装置1において、印刷装置1の組み立て精度等によって、搬送方向Fに対して、長手方向が直交しない方向に延びるように搬送ローラー50が配置される場合がある。この場合、搬送されるラベル用紙100は、搬送ローラー50の長手方向に対して直交するように、蛇行や斜行する。
本実施形態の印刷装置1では、上述のような斜行や蛇行が生じた場合であっても、第2ガイド90の位置を交差方向Iに沿ってユーザーが調整することで、当該斜行や蛇行を矯正することができる。
【0077】
この場合、第3ガイド72と、第4ガイド92とは、第1ガイド70や第2ガイド90よりもラベル用紙100から離間する位置に配置される。このため、印刷装置1では、第2ガイド90の位置の調節に伴って、第3ガイド72と、第4ガイド92とに搬送されるラベル用紙100が接し、当該ラベル用紙100の左右に位置する端部に折れ曲がりが生じることが抑制される。
【0078】
図11は、搬送ローラー50と巻取ドラム122とに搬送されるラベル用紙100を示す平面図である。
次いで、巻取ユニット120が取り付けられた印刷装置1について説明する。
図11に示すように、巻取ユニット120が取り付けられた印刷装置1において、ラベル用紙100は、搬送ローラー50と巻取ドラム122とに搬送される。
印刷装置1において、印刷装置1の組み立て精度等によって、搬送方向Fに対して、長手方向が直交しない方向に延びるように、搬送ローラー50や巻取ドラム122が配置される場合がある。この場合、搬送されるラベル用紙100は、搬送ローラー50と、巻取ドラム122との各々の長手方向に対して直交するように、蛇行や斜行する。
このように、2つの搬送装置によって、複数の位置で送り出される場合、第1ガイド70や第2ガイド90による案内では、ラベル用紙100の斜行や蛇行を抑制できない場合がある。
【0079】
印刷装置1では、第1ガイド70や第2ガイド90に加えて、搬送方向Fにおいて、第1ガイド70や第2ガイド90よりも搬送ローラー50に接近した位置に、第3ガイド72と、第4ガイド92とが設けられる。
第3ガイド72と、第4ガイド92とは、調節体78を調節することで、交差方向Iに沿って移動可能である。すなわち、印刷装置1は、搬送方向Fにおいて、第3ガイド72と、第4ガイド92とによって、交差方向Iに沿って、ラベル用紙100を挟み込むことが可能に形成される。
【0080】
印刷装置1では、ラベル用紙100に上述のような斜行や蛇行が生じた場合であっても、第1ガイド70や第2ガイド90に加えて、第3ガイド72と、第4ガイド92との位置を交差方向Iに沿って調整することで、当該斜行や蛇行を矯正できる。すなわち、印刷装置1では、搬送方向Fにおいて、複数個所でラベル用紙100の搬送を調整可能に形成されるため、搬送ローラー50や巻取ドラム122等の搬送装置の精度に関わらず、ラベル用紙100の搬送精度を確保できる。
【0081】
具体的には、
図11に示すように、印刷装置1において、ユーザーは、第3ガイド72と、第4ガイド92とのいずれかがラベル用紙100に当接された状態で、当該ラベル用紙100に印刷して印刷結果を確認する。
図11では、第4ガイド92が当接する。ユーザーは、当該印刷結果を視認し、ラベル103に所望の印刷がされているか否かを判定する。
【0082】
ラベル103に対する印刷のずれ等が生じる場合、ユーザーは、ラベル用紙100が所望の方向に搬送されていないと判定し、ラベル用紙100に当接する第3ガイド72と、第4ガイド92のいずれかの位置を、交差方向Iに沿って、再度調整する。
図11では、第4ガイド92の位置を調整することとなる。そして、ユーザーは、再度ラベル用紙100に印刷して印刷結果を確認する。
【0083】
なお、この手順において、ユーザーは、ラベル用紙100に当接しない第3ガイド72と、第4ガイド92のいずれかの位置を、交差方向Iに沿って、調整してもよい。
【0084】
上記の手順を繰り返すことで、ユーザーは、ラベル103に所望の印刷がされるように、ラベル用紙100の搬送の調整をすることができる。
このように、印刷装置1では、搬送方向Fに対して、長手方向が直交しない方向に延びるように、搬送ローラー50や巻取ドラム122が配置される場合であっても、ラベル103の所望の位置に印刷されるようにラベル用紙100の搬送の調整ができる。換言すれば、印刷装置1では、ラベル用紙100の搬送に関わる搬送装置の配置位置や配置数に応じて、第1ガイド70と、第2ガイド90と、第3ガイド72と、第4ガイド92とを用いて、ラベル用紙100の搬送を調整できる。
【0085】
上記各実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0086】
例えば、上述した実施形態では、印刷装置1の前面には、巻取ユニット120が設けられるとした。しかしながらこれに限らず、印刷装置1の前面には、ラベル103を台紙101から剥離する処理を行うピーラーや、カッターユニット110等の他の装置が設けられてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、印刷装置1としてラベルプリンターを例示した。しかしながら、印刷装置1は、ラベルプリンターに限定されない。印刷装置1は、印刷媒体を搬送する搬送装置と、印刷媒体に印刷を行う印刷部とを備える装置であればよい。例えば、印刷装置1は、ラージフォーマットプリンターや、捺染を行う捺染機等でもよい。
【0088】
上述した実施形態では、印刷ヘッド42として、ラインヘッド式を例示したが、これに限らず、シリアルヘッド式であってもよい。また、印刷ヘッド42の印刷方式は、インクジェット式に限定されない。
【0089】
印刷装置1は、紙案内ユニット30の後部、換言すれば上流部に、用紙検出器が設けられてもよい。この用紙検出器は、ラベル検出器56のように、紙押え部材34側に発光部を備え、下部案内部材32側に受光部を備えた透過型のセンサーであってもよい。この用紙検出器の受光量を示す出力値は、当該用紙検出器の位置におけるラベル用紙100の有無により異なる。これによって、印刷装置1は、用紙検出器を用いてラベル用紙100の先端及び後端を検出可能である。
【0090】
上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状と同じ作用効果を奏するいわゆる均等の範囲を含む。
【0091】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0092】
(付記1)
印刷媒体を搬送する搬送部と、前記印刷媒体の搬送経路上で前記印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、前記印刷媒体に対して、前記印刷媒体の搬送方向の側方に配置される第1ガイドと、前記印刷媒体を挟んで前記第1ガイドの反対側に配置され、前記印刷媒体に接する位置から、前記印刷媒体から離間する位置まで、前記搬送方向に交差する交差方向に移動可能な第2ガイドと、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記搬送部に接近する位置に配置され、前記印刷媒体に対して、前記搬送方向の側方に配置される第3ガイドと、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記搬送部に接近する位置に配置され、前記印刷媒体を挟んで前記第3ガイドの反対側に配置される第4ガイドとを備え、前記第3ガイドと前記第4ガイドとは、前記印刷媒体から離間する位置まで、前記交差方向に移動可能に設けられる印刷装置。
これにより、印刷装置では、第1ガイド、及び第2ガイドに加えて、第3ガイドと、第4ガイドとで、印刷媒体の搬送を調整可能に形成されるため、搬送部の精度に関わらず、印刷媒体の搬送精度を確保できる。
【0093】
(付記2)
前記第3ガイドは、前記印刷媒体を挟んで前記第2ガイドの反対側に位置し、前記第4ガイドは、前記印刷媒体を挟んで前記第1ガイドの反対側に位置し、前記第3ガイドは、前記交差方向に沿って、前記第1ガイドよりも前記印刷媒体から離間する位置まで移動可能に設けられ、前記第4ガイドは、前記交差方向に沿って、前記第2ガイドよりも前記印刷媒体から離間する位置まで移動可能に設けられる付記1に記載の印刷装置。
これにより、印刷装置1では、搬送部に加えて他の搬送部が取り付けられた場合であっても、第1ガイドと、第2ガイドと、第3ガイドと、第4ガイドとで、印刷媒体の搬送を調整することで、搬送部の精度に関わらず、印刷媒体の搬送精度を確保できる。
【0094】
(付記3)
搬送される印刷媒体を挟んで対向して配置され、前記印刷媒体を案内する第1ガイド、及び第2ガイドと、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドよりも前記印刷媒体の搬送経路の下流側に位置し、前記印刷媒体を挟んで対向して配置され、前記印刷媒体を案内する第3ガイド、及び第4ガイドと、を備える印刷装置の搬送方向調整方法であって、前記搬送経路上の所定位置で前記印刷媒体が送り出される場合には、前記第1ガイド、及び前記第2ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体を案内し、前記搬送経路上の複数位置で前記印刷媒体が送り出される場合には、前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体を案内する印刷装置の調整方法。
これにより、印刷装置では、搬送媒体の搬送に関わる搬送部の配置位置や配置数に応じて、第1ガイド位置と第2ガイド位置とで搬送媒体の搬送を調整できる。
【0095】
(付記4)
前記印刷媒体が前記搬送経路上の複数位置で送り出されることで搬送される場合に、前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方を用いて前記印刷媒体をガイドした状態で、前記印刷媒体に印刷して印刷結果を確認することで、前記印刷媒体が所望の方向に搬送されているか否かを判定し、搬送されていないと判定した場合には、前記印刷媒体に接する前記第3ガイド、及び前記第4ガイドの少なくともいずれか一方の位置を前記印刷媒体の搬送方向に交差する方向に沿って変更する請求項3に記載の印刷装置の調整方法。
これにより、印刷装置では、第1ガイドと、第2ガイドと、第3ガイドと、第4ガイドとで搬送媒体の搬送を調整することで、印刷媒体に所望の印刷を行うことができる。
【符号の説明】
【0096】
1…印刷装置、22…印刷部、24…搬送部、30…紙案内ユニット、32…下部案内部材、33…上面、34…紙押え部材、35…スライド開口、36…支持プレート、38…ガイド軸、50…搬送ローラー、60…固定押え部材、61…押圧子、62…押え部材本体、63…延在部、64…押圧部、65…押圧部開口、66…引張ばね、67…露出孔、68…回動軸、70…第1ガイド、72…第3ガイド、74…引張ばね、76…当接子、77…つまみ、78…調節体、79…膨出面、80…可動押え部材、82…押え部材本体、83…延在部、84…押圧部、85…押圧部開口、88…回動軸、90…第2ガイド、91…ロック機構、92…第4ガイド、93…ロック解除レバー、96…当接子、100…ラベル用紙、F…搬送方向、I…交差方向。