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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011859
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】空調機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/70 20180101AFI20240118BHJP
   F24F 1/0007 20190101ALI20240118BHJP
【FI】
F24F11/70
F24F1/0007 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114147
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】落合 優介
(72)【発明者】
【氏名】坂野 雄治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 僚祐
(72)【発明者】
【氏名】村神 厚
【テーマコード(参考)】
3L050
3L260
【Fターム(参考)】
3L050BB03
3L050BB04
3L260AB09
3L260BA32
3L260CB90
3L260FB80
(57)【要約】
【課題】水タンク用ポンプを効率的に駆動制御することができる空調機を提供する。
【解決手段】空調機は、冷却ユニットと、前記冷却ユニットに水を給水する給水部と、前記冷却ユニットから滴下する水を貯水し、前記給水部と供給水路を介して接続されるドレンパンと、前記ドレンパンに接続される水タンクと、前記ドレンパンから前記給水部に水を供給する給水ポンプと、前記水タンクから前記ドレンパンに水を供給するタンク用ポンプと、前記供給水路に配置され、前記ドレンパンから前記給水部に流れる水の流量を検知する流量センサと、前記ドレンパンの貯水空間に配置される水位センサと、前記給水ポンプ及び前記タンク用ポンプの駆動制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記水位センサ及び前記流量センサから出力される出力信号を取得し、取得した出力信号に基づき、前記タンク用ポンプの駆動状態を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ユニットと、
前記冷却ユニットに水を給水する給水部と、
前記冷却ユニットから滴下する水を貯水し、前記給水部と供給水路を介して接続されるドレンパンと、
前記ドレンパンに接続される水タンクと、
前記ドレンパンから前記給水部に水を供給する給水ポンプと、
前記水タンクから前記ドレンパンに水を供給するタンク用ポンプと、
前記供給水路に配置され、前記ドレンパンから前記給水部に流れる水の流量を検知する流量センサと、
前記ドレンパンの貯水空間に配置される水位センサと、
前記給水ポンプ及び前記タンク用ポンプの駆動制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記水位センサ及び前記流量センサから出力される出力信号を取得し、
取得した出力信号に基づき、前記タンク用ポンプの駆動状態を変更する
ことを特徴とする空調機。
【請求項2】
前記制御部は、前記流量センサからの出力信号が前記ドレンパンから前記給水部に流れる水の流量が所定の流量値以下であることを示し、前記水位センサからの出力信号が前記ドレンパンの水位が所定の水位以下であることを示す場合、前記タンク用ポンプを駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記制御部は、前記給水ポンプを駆動する際、前記タンク用ポンプを停止する
ことを特徴とする請求項2に記載の空調機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記タンク用ポンプを所定時間駆動した後、前記水位センサからの出力信号が前記ドレンパンの水位が所定の水位以下であることを示す場合、前記給水ポンプを駆動し、
前記給水ポンプを所定時間駆動した後、前記流量センサからの出力信号に基づき、前記水タンクに水が残っているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の空調機。
【請求項5】
前記制御部は、前記水タンクに水が残っていないと判定した場合、前記給水ポンプの停止状態を維持する
ことを特徴とする請求項4に記載の空調機。
【請求項6】
前記制御部は、前記水タンクに水が残っていないと判定した場合、前記流量センサからの出力信号が前記ドレンパンから前記給水部に流れる水の流量が所定の流量値以下であることを示すまで、前記給水ポンプの駆動を継続する
ことを特徴とする請求項5に記載の空調機。
【請求項7】
前記制御部は、前記流量センサからの出力信号が前記ドレンパンから前記給水部に流れる水の流量が所定の流量値以下であることにより前記給水ポンプの駆動を停止した後、前記タンク用ポンプを所定期間、駆動する
ことを特徴とする請求項6に記載の空調機。
【請求項8】
前記ドレンパンと前記水タンクとを接続する補充水路には、タンク用流量センサが配置され、
前記制御部は、
前記タンク用流量センサから出力される出力信号を取得し、
取得した出力信号に基づき、前記水タンクに水が残っているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を吸い込み、水の気化熱を利用し雰囲気温度を低下させて冷却した空気を室内に吹き出す気化冷却式の空調機が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の空調機において、第2流路を流れる空気は顕熱交換器が有する複数のチューブ内を通過し、第1流路を流れる空気は複数のチューブの周りを通過する。この結果、第2流路を流れる空気と、第1流路を流れる空気と、が熱交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-092338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の空調機においては、水タンクからドレンパンに水を給水する観点から、水タンク用ポンプを効率的に駆動制御する点について考慮がされていない。
【0005】
発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、水タンク用ポンプを効率的に駆動制御することができる空調機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る空調機は、冷却ユニットと、前記冷却ユニットに水を給水する給水部と、前記冷却ユニットから滴下する水を貯水し、前記給水部と供給水路を介して接続されるドレンパンと、前記ドレンパンに接続される水タンクと、前記ドレンパンから前記給水部に水を供給する給水ポンプと、前記水タンクから前記ドレンパンに水を供給するタンク用ポンプと、前記供給水路に配置され、前記ドレンパンから前記給水部に流れる水の流量を検知する流量センサと、前記ドレンパンの貯水空間に配置される水位センサと、前記給水ポンプ及び前記タンク用ポンプの駆動制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記水位センサ及び前記流量センサから出力される出力信号を取得し、取得した出力信号に基づき、前記タンク用ポンプの駆動状態を変更する。
【発明の効果】
【0007】
水タンク用ポンプを効率的に駆動制御する空調機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る空調機の一構成例を示す模式的側断面図である。
図2】空調機の外観の前面を示す斜視図である。
図3】空調機の外観の後面を示す斜視図である。
図4】空調機の外観の下面を示す斜視図である。
図5】空調機における各機能部を示すブロック図である。
図6】制御部による処理手順を示すフローチャートである。
図7】制御部による処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る制御部による処理手順を示すフローチャートである。
図9】制御部による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る空調機1等を、図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。
【0010】
(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る空調機1の一構成例を示す模式的側断面図である。図2は、空調機1の外観の前面を示す斜視図である。図3は、空調機1の外観の後面を示す斜視図である。図4は、空調機1の外観の下面を示す斜視図である。図1は、空調機1の前面からの断面を模式的に示したものである。図1においては、空調機1の載置状態を空調機1の通常の使用態様とし、上下左右を示す。図2図3図4においては、空調機1の載置状態を空調機1の通常の使用態様として、上下及び前後左右を示す。本実施形態において、鉛直方向は、上下方向を示す。第1水平方向は、左右方向を示す。第2水平方向は、前後方向を示す。
【0011】
空調機1は、例えば、フォークリフト、トラック等の商用車、牽引車、高所作業車、ミニショベル、ゴルフカート等の車両に搭載される。空調機1が、例えばフォークリフト等の移動体に載置される場合、空調機1の本体の電源のオン・オフは、フォークリフトのエンジンのキースイッチのオン・オフに連動して行われるものであってもよい。すなわち、フォークリフトのエンジンをオンにすることにより空調機1の電源はオンにされ、フォークリフトのエンジンをオフにすることにより空調機1の電源はオフにされるものであってもよい。
【0012】
筐体10は、樹脂製又は金属製から成る矩形状の箱体を成し、本体11と、本体11に対して開閉自在な扉12を有する。箱体を成す筐体10は、上面、下面、及び側壁を有する。側壁は、第1側壁111、第2側壁112、第3側壁113、及び第4側壁114を含む。本実施形態において、第1側壁111は後側壁に相当する。第2側壁112は前側壁に相当する。第3側壁113は右側壁に相当する。第4側壁114は左側壁に相当する。従って、第1側壁111と第2側壁112とは対向している。第3側壁113と第4側壁114とは対向している。第3側壁113は、第1側壁111と第2側壁112とを連結している。第4側壁114は、第1側壁111と第2側壁112とを連結している。第1側壁111は、本体側第1側壁1111と、扉側第1側壁1112とで、第1側壁111が構成される。
【0013】
扉12は、本体11の上方に配置されており、本体11に対して開閉可能に構成されている。具体的には、扉側第1側壁1112は、2つの支持部115により、本体側第1側壁1111に連結されている。なお、支持部115は、例えばヒンジを用いることができる。
【0014】
筐体10の第3側壁113及び第4側壁114のそれぞれ下方から下面に亘って、窪み状から成る手掛け部118が、形成されている。当該手掛け部118は、使用者が空調機1を持ち運ぶ際、把持される部分となる。
【0015】
筐体10の上面には、給気を吹き出すダクト431が配置されている。筐体10の第2側壁112の横には、水タンク8が配置される。筐体10の第2側壁112の下方には、水タンク8を配置するためのタンク台部116が位置している。水タンク8は、タンク台部116の上に配置されることにより、第2側壁112を覆うものとなる。タンク台部116の下方には、ドレンパン6から水を排水するための排水路781が設置されている。水タンク8は、筐体10に対し着脱可能に篏合されている。水タンク8は、把持部を有し、筐体10から取り外すことができる。水タンク8への水の補充を行う際、水タンク8のみを水道の蛇口に持っていくことが可能となり、空調機1の利用者による水の補充作業負荷が軽減される。水タンク8の側面には縦長の水位確認窓82が配置されている。使用者は、水位確認窓82を介して、水タンク8における残水量を視認できる。
【0016】
筐体10には、被空調空間の空気を吸い込む給気吸込口42及び排気吸込口52が形成されている。更に、筐体10には、給気吹出口43及び排気吹出口53が形成されている。給気吸込口42は、筐体10の第3側壁113に形成されている。排気吸込口52は、筐体10の一部を成す扉12に形成されている。給気吹出口43は、筐体10の上面に形成され、ダクト431と連通している。ダクト431は、給気吹出口43の周方向に回転可能に構成され、ダクト431からの吹き出す給気の風向きを調整する風向調整板432を有するものであってもよい。排気吹出口53は、筐体10の第4側壁114に形成されている。
【0017】
空調機1は、水を貯水する水タンク8と、水タンク8から給水される気化フィルタ2及び顕熱交換器3を含む冷却ユニット20とを備える。気化フィルタ2は、気化フィルタケースに収納されている。顕熱交換器3は、熱交ケースに収納されている。気化フィルタ2は、水タンク8から供給された水の気化熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却する。顕熱交換器3は、水タンク8から供給された水の顕熱及び潜熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却する。気化フィルタ2は、給気の流れ方向において、顕熱交換器3よりも下流側に配置されている。すなわち、気化フィルタ2は、顕熱交換器3と、給気吹出口43との間に配置されている。
【0018】
顕熱交換器3及び気化フィルタ2を通過し、顕熱交換器3及び気化フィルタ2によって二段階によって冷却された空気が、給気吹出口43から被空調空間に給気として吹き出される。また、顕熱交換器3を通過する際、顕熱交換器3に給水された水により冷却された後、顕熱交換器3にて給気と顕熱交換された空気が、排気吹出口53から空調機1の外部に排気として吹き出される。
【0019】
給気吸込口42と給気吹出口43とは連通しており、給気吸込口42を給気の入口、給気吹出口43を給気の出口として、給気となる空気が流れる給気流路4が、形成される。すなわち、給気は、給気吸込口42から給気流路4に流入し、給気吹出口43から流出する。給気吸込口42には、給気吸込口42から吸い込んだ給気の塵埃を捕集する給気用集塵フィルタが配置されているものであってもよい。
【0020】
排気吸込口52と排気吹出口53とは連通しており、排気吸込口52を排気の入口、排気吹出口53を排気の出口として、排気となる空気が流れる排気流路5が、形成される。すなわち、排気は、排気吸込口52から排気流路5に流入し、排気吹出口53から流出する。排気吸込口52には、排気吸込口52から吸い込んだ排気の塵埃を捕集する排気用集塵フィルタが配置されているものであってもよい。
【0021】
空調機1は、給気及び排気を搬送するためのファンを備える。ファンは、給気を搬送する給気ファン41と、排気を搬送する排気ファン51とを含む。給気ファン41及び排気ファン51は、例えばプロペラファン等の軸流ファン、又はシロッコファンであってもよい。給気ファン41は、給気吹出口43の近傍に配置されており、給気流路4における給気の流れ方向において、冷却ユニット20よりも下流側に位置し、吸い込みファンとして機能する。
【0022】
排気ファン51は、排気吹出口53の近傍に配置されており、排気流路5における排気の流れ方向において、顕熱交換器3よりも下流側に位置し、吸い込みファンとして機能する。給気ファン41及び排気ファン51は、これら態様に限定されず、いずれも押し出しファン又は吸い込みファンであってもよい。給気ファン41及び排気ファン51を押し出しファンとする場合、給気ファン41は、給気吸込口42の近傍に配置され、排気ファン51は、排気吸込口52の近傍に配置される。
【0023】
排気ファン51によって搬送される排気は、排気吸込口52から吸い込まれ、顕熱交換器3の排気経路32に流入する。排気吸込口52は、扉12に形成されているため、排気吸込口52から吸い込まれた排気は、扉12を通過した後、顕熱交換器3の排気経路32に流入する。
【0024】
顕熱交換器3には、給気が流れる給気経路31と排気が流れる排気経路32とが配置されている。すなわち、顕熱交換器3は、給気経路31及び排気経路32を含む。上述のとおり、空調機1には、空気の流通経路として、給気が流れる給気流路4と排気が流れる排気流路5とが配置されている。顕熱交換器3の給気経路31は給気流路4の一部を構成し、顕熱交換器3の排気経路32は排気流路5の一部を構成する。
【0025】
顕熱交換器3における給気経路31と排気経路32とは、中空構造を有する複数の樹脂プレートにより形成され、これらプレート夫々を並列に配置することにより積層して、顕熱交換器3が構成される。顕熱交換器3は、樹脂プレートの板厚が薄くされることにより、伝熱性が向上すると共に顕熱交換器3の重量が低減される。中空構造は、金属プレートにより構成されるものであってもよい。
【0026】
給気経路31と排気経路32とは、互いに垂直に複数の樹脂プレートが積層されて配置されており、これら樹脂プレートを介して、給気及び排気との間の顕熱交換が行われる。これら積層される複数の樹脂プレートの積層方向は、給気経路31及び排気経路32のそれぞれの経路方向に対し、垂直となる。すなわち本実施形態において、給気経路31の経路方向は右から左となり、排気経路32は上から下となり、これに対し、積層方向は、これら左右及び上下の双方の方向に対し垂直となる前後方向となる。このように給気経路31と排気経路32とが互いに直交することにより、給気経路31を流れる給気と排気経路32を流れる排気とによって、直交流が形成される。
【0027】
顕熱交換器3における対向する2つの側面それぞれには、給気経路31の入口及び出口が形成されている。本実施形態における図示において、給気経路31の入口は顕熱交換器3の右面に位置し、給気経路31の出口は顕熱交換器3の左面に位置している。
【0028】
給気経路31は、給気経路31の入口から給気経路31の出口に向けて連通された複数の空間が積層されて、形成されている。顕熱交換器3における上面には排気経路32の入口が形成され、下面には排気経路32の出口が形成されている。排気経路32は、排気経路32の入口から排気経路32の出口に向けて連通された複数の空間が積層されて、形成されている。
【0029】
冷却ユニット20、すなわち気化フィルタ2及び顕熱交換器3の下方には、上部に開口部を有する箱状のドレンパン6が配置されている。ドレンパン6は、熱交用給水部33から供給された水であって、顕熱交換器3を通過した水を受ける。更に、ドレンパン6は、フィルタ用給水部21から供給された水であって、気化フィルタ2を通過した水を受ける。ドレンパン6は、開口部を気化フィルタ2及び顕熱交換器3の下面に向け、排気の流れ方向において顕熱交換器3よりも下流側に配置されている。すなわち、ドレンパン6の内部空間である貯水空間は、排気流路5の一部を形成する。
【0030】
排気ファン51によって排気吸込口52から吸い込まれ、顕熱交換器3の排気経路32を通過した排気は、上面が開口された箱状を成すドレンパン6の貯水空間を通過して、排気吹出口53から吹き出される。排気は、顕熱交換器3の排気経路32を通過する際、当該排気経路32に対し熱交用給水部33から給水する水と混在する。すなわち、顕熱交換器3の排気経路32において、排気の流れ方向と、水の流れ方向とが同じ方向となり、排気と水とは並行流を形成する。
【0031】
本実施形態における図1上の例示において、給気が流れる給気経路31は、顕熱交換器3の右面から左面に向かって、直線状に配置されている。給気の流れ方向において、給気経路31の出口の下流側には、気化フィルタ2が配置されている。気化フィルタ2は、顕熱交換器3と給気吹出口43との間の給気流路4上に配置されている。顕熱交換器3と気化フィルタ2との間には、第1中間給気流路44が位置するものとなり、当該第1中間給気流路44は、給気流路4の一部を構成する。
【0032】
気化フィルタ2は、矩形状の一面を、給気経路31の出口が形成された顕熱交換器3の左面に対向させて、配置されている。このように気化フィルタ2は、冷却エレメントとして機能する。気化フィルタ2は、例えばレーヨン・ポリエステル、又は不織布等によって成形されている。気化フィルタ2の上部には、ノズルを有するフィルタ用給水部21が配置されている。気化フィルタ2は吸水性を有し、フィルタ用給水部21から給水された水が気化フィルタ2の全面に浸透することにより、水の気化を促進する。気化フィルタ2から給気吹出口43までの給気流路4は、気化フィルタ2から上方に向かって延設されている。
【0033】
顕熱交換器3の給気経路31から流出した給気は、気化フィルタ2を通過し、給気吹出口43から被空調空間に吹き出される。給気経路31の出口から流出した給気は、顕熱交換器3を介して排気により一次冷却されており、気化フィルタ2よって二次冷却されることにより、二段階にて冷却されるものとなる。従って、例えば、気化フィルタ2のみを用いる直接気化方式と比較して、給気の温度が更に低下する。
【0034】
顕熱交換器3の残留水及び気化フィルタ2ユニットの残留水は、顕熱交換器3及び気化フィルタ2の下方に位置するドレンパン6によって受けられ、当該残留水は、ドレンパン6の貯水空間にて貯水されることにより、回収される。ドレンパン6に回収された水は、供給水路7を介して気化フィルタ2ユニット及び顕熱交換器3に供給される。
【0035】
図1に示すように、供給水路7には、ドレンパンフィルタ75、流量センサ77、及び給水ポンプ76が配置されている。供給水路7は、例えば樹脂製又は金属製のパイプにて構成される。給水ポンプ76を駆動することによりドレンパン6に貯水された水は、気化フィルタ2の上方に配置されるフィルタ用給水部21、及び顕熱交換器3の上方に配置される熱交用給水部33のそれぞれに給水ポンプ76により供給される。フィルタ用給水部21のノズルから滴下された水が、気化フィルタ2に供給される。熱交用給水部33のノズルから滴下された水が、顕熱交換器3の排気経路32に供給される。このように供給水路7、熱交用給水部33、フィルタ用給水部21、及びドレンパン6によって、冷却ユニット20を構成する気化フィルタ2及び顕熱交換器3と、ドレンパン6との間にて水を循環させる循環水路が形成される。
【0036】
供給水路7は、ドレンパン6の底面61に形成された底孔611に連通している。供給水路7は、筐体10の第1側壁111に沿って、下方から上方に延びて配置される第1給水路71と、熱交用給水部33に接続される第2給水路72、第1給水路71と第2給水路72とを連結する連結給水路73、及び、熱交用給水部33とフィルタ用給水部21とを連結する給水部連結路74を含む。熱交用給水部33、フィルタ用給水部21、給水部連結路74、及び第2給水路72は、扉12に固定されている。第1給水路71、第2給水路72、及び、給水部連結路74は、例えば樹脂製又は金属製のパイプにて構成される。
【0037】
熱交用給水部33は、例えば樹脂製又は金属製の直方体形状の中空パイプで構成され、顕熱交換器3と対向する面である下面には、穴が形成されたノズルが、複数配置されている。第2給水路72は、熱交用給水部33の上方を通過しており、熱交用給水部33の上部に設けられた連通口に接続される。連結給水路73から第2給水路72に流れ込んだ水は、熱交用給水部33の上部に設けられた連通口を介して熱交用給水部33に供給される。そして、熱交用給水部33に供給された水は、下面に位置する複数のノズルの穴から顕熱交換器3の上面に滴下される。
【0038】
フィルタ用給水部21は、例えば樹脂製又は金属製の直方体形状の中空パイプで構成され、気化フィルタ2と対向する面である下面には、穴が形成されたノズルが、複数配置されている。また、フィルタ用給水部21の右面、すなわち熱交用給水部33側の側面にも穴が設けられている。フィルタ用給水部21は、上下方向において給水部連結路74と同じ高さに位置しており、フィルタ用給水部21の側面に設けられた連通口に接続される。第2給水路72から給水部連結路74に流れ込んだ水は、フィルタ用給水部21の側面に設けられた連通口を介してフィルタ用給水部21に供給される。そして、フィルタ用給水部21に供給された水は、下面に位置する複数のノズルの穴から気化フィルタ2の上面に滴下される。
【0039】
供給水路7は、排水路781に分岐する分岐部78を有する。排水路781は、分岐部78を基端として、先端には、開閉弁又はコックを有する排水口が取り付けられている。排水路781は、例えば樹脂製のパイプにて構成される。排水路781の端部となる先端に配置される排水口は、空調機1が運転される等の通常使用時において、開閉弁が全閉状態とされている。空調機1のメンテナンス等の保守作業時において、開閉弁を開くことにより、ドレンパン6内にて貯水されている水を、排水口から空調機1の外に排出することができる。
【0040】
ドレンパン6と、水タンク8とは、補充水路9によって連通されている。補充水路9は、例えば樹脂製又は金属製のパイプにて構成される。補充水路9には、タンク用ポンプ91及びタンク用流量センサ92が配置されている。補充水路9の一端は水タンク8の下部に接続され、補充水路9の他端は、ドレンパン6の壁面62に形成された給水孔621に接続されている。給水孔621は、供給水路7が接続される底孔611よりも、上方に位置して形成されている。ドレンパン6の底面61の上には、水位センサ63が、センサ固定部材によって固定されている。水位センサ63は、給水孔621から給水される水の射出方向、すなわち出水方向に対し、ずれた位置に固定されている。
【0041】
図5は、空調機1における各機能部を示すブロック図である。空調機1は、制御部101を含む基板100を有する。基板100には、メモリ及びMPU等を含むマイコン等が実装され、マイコンは、給水ポンプ76及びタンク用ポンプ91等の駆動制御を行う制御部101として機能する。メモリには、制御部101が実行するプログラムが記憶されている。
【0042】
基板100は、例えば、排気流路5を形成する流路壁の外面に配置され、当該流路壁と熱的に接続されることにより、排気流路5を流れる排気によって冷却されるものであってもよい。空調機1が備える電装部品である給気ファン41、排気ファン51、水位センサ63、給水ポンプ76、流量センサ77、タンク用ポンプ91、及びタンク用流量センサ92は、基板100に設けられた制御部101と通信線により通信可能に接続されている。
【0043】
水位センサ63は、例えばフロートセンサ等であり、ドレンパン6に貯水された水の水位の検出結果に関する信号である水位信号を、制御部101に出力する。流量センサ77及びタンク用流量センサ92は例えば羽根車式又はクランプオン式のセンサである。流量センサ77は、供給水路7に流れる水の流量の検出結果に関する信号である第1流量信号を、制御部101に出力する。タンク用流量センサ92は、補充水路9に流れる水の流量の検出結果に関する信号である第2流量信号を、制御部101に出力する。
【0044】
制御部101は、水位センサ63からの取得した信号である水位信号に基づき、ドレンパン6の水位が所定値以下であるか否かを判定し、所定値以下と判定した場合、タンク用ポンプ91を駆動することにより、水タンク8からドレンパン6に水を補充する。なお、所定値は、例えばドレンパン6の許容水量の上限値に相当する値である。制御部101は、流量センサ77及びタンク用流量センサ92からの第1流量信号、第2流量信号に基づき、故障検知又は、水タンク8が空か否かを判定するものであってもよい。
【0045】
基板100には、メモリ及びMPU等を含むマイコン等が実装され、当該マイコンが制御部101として機能するものであってもよい。メモリには、制御部101が実行するプログラム、及びプログラムを実行するための設定値等のパラメータが記憶されている。制御部として機能するマイコンは、入出力インターフェイスを含むものであってもよい。この場合、当該入出力インターフェイスは、給気ファン41、排気ファン51、水位センサ63、流量センサ77及びタンク用流量センサ92からの信号が入力される入力部として機能する。又、当該入出力インターフェイスは、給気ファン41、排気ファン51、給水ポンプ76及びタンク用ポンプ91に制御信号を出力する出力部として機能する。
【0046】
図6及び図7は、制御部101による処理手順を示すフローチャートである。基板100に実装された制御部101は、例えば空調機1が空調動作を行うにあたり、以下のような処理を行う。
【0047】
制御部101は、空調機1の主電源がONになると、給水ポンプ76を駆動する(S101)。給水ポンプ76を駆動することにより、ドレンパン6に貯水されている水が、供給水路7を介して、フィルタ用給水部21及び熱交用給水部33に供給される。制御部101は、給水ポンプ76を駆動する際、タンク用ポンプ91を停止状態に維持するものであってもよい。
【0048】
制御部101は、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水が有か否かを判定する(S102)。制御部101は、流量センサ77から、例えばパルス信号等による第1流量信号を取得する。制御部101は、給水ポンプ76の駆動期間中において、取得したパルス信号の個数をカウントし、当該カウント値である積算パルス数が所定パルス数以上である場合、流量センサ77が配置されている供給水路7に水が流れており、ドレンパン6の貯水が有ると判定するものであってもよい。制御部101は、積算パルス数が所定パルス数未満である場合、ドレンパン6の貯水が無いと判定するものであってもよい。
【0049】
制御部101は、給水ポンプ76を駆動し、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水の有無を判定する際、タンク用ポンプ91の停止状態を維持する。制御部101は、給水ポンプ76を駆動する際、タンク用ポンプ91を停止するため、水タンク8からドレンパン6への水の供給は停止する。これにより、ドレンパン6の水位が不安定となることを抑制し、水位センサ63の検出精度を担保することができ、例えば水位センサ63の誤検知によって発生するドレンパン6からの漏水リスクを低減することができる。
【0050】
ドレンパン6の貯水が有りと判定した場合(S102:YES)、制御部101は、給水ポンプ76を所定期間駆動した後、停止する(S103)。制御部101は、給水ポンプ76の停止した後、所定期間が経過した後、再度S101の処理を実行すべく、ループ処理を行う。このようなループ処理を繰り返すことにより、ドレンパン6に貯水されている水が無いと判定されるまで、タンク用ポンプ91の停止状態を維持しつつ、給水ポンプ76の駆動を継続又は間欠的に繰り返すため、タンク用ポンプ91を過度に稼働させることなく積算駆動時間を減少させ、タンク用ポンプ91の耐用年数を向上させることができる。
【0051】
ドレンパン6の貯水が無いと判定した場合(S102:NO)、制御部101は、水位センサ63からの水位信号に基づき、ドレンパン6の水位が所定の水位以下であるか否かを判定する(S104)。水位センサ63は、例えばフロートスイッチにより構成されており、ドレンパン6の水位が所定値よりも小さいである場合、フロートスイッチがオフであることを示す水位信号、すなわちオフ信号を出力する。この場合、水位センサ63は、フロートOFFの状態となる。水位センサ63は、ドレンパン6の水位が所定値以上である場合、フロートスイッチがオンであることを示す水位信号、すなわちオン信号を出力する。この場合、水位センサ63は、フロートONの状態となる。
【0052】
ドレンパン6の水位が所定の水位以下でない場合(S104:NO)、すなわちオン信号が出力された場合、制御部101は、異常検出する(S1041)。この場合、流量センサ77からの第1流量信号はドレンパン6の貯水が無いことを示すにもかからず、水位センサ63からの水位信号は、オン信号であり、ドレンパン6の水位が所定の水位よりも大きく、ドレンパン6の貯水が有ることを示すものとなる。すなわち、流量センサ77の検出結果と、水位センサ63の検出結果とが矛盾する結果となるものであり、この場合、制御部101は、供給水路7又は補充水路9において何らかの異常が発生したと判定する。
【0053】
流量センサ77からの第1流量信号に基づきドレンパン6の貯水が無いと判定し(S102:NO)、さらにドレンパン6の水位が所定の水位以下である場合(S104:YES)、すなわち水位センサ63のオフ信号が出力された場合、制御部101は、タンク用ポンプ91を駆動する(S105)。タンク用ポンプ91を駆動することにより、補充水路9を介して、水タンク8からドレンパン6に水が供給される。制御部101は、タンク用ポンプ91を駆動する際、給水ポンプ76の停止状態を維持するものであってもよい。
【0054】
制御部101は、水位センサ63からの水位信号に基づき、ドレンパン6の水位が所定の水位以下であるか否かを判定する(S106)。上述のとおり、ドレンパン6の水位が所定の水位以下である場合、制御部101は、水位センサ63からオフ信号を取得する。ドレンパン6の水位が所定の水位よりも大きい場合、制御部101は、水位センサ63からオン信号を取得する。
【0055】
ドレンパン6の水位が所定の水位以下でない場合(S106:NO)、すなわちオン信号を取得した場合、制御部101は、タンク用ポンプ91を停止する(S1061)。水位センサ63からのオン信号は、ドレンパン6の水位が所定の水位よりも大きいことを示すものであり、この場合、水位センサ63はフロートONの状態となる。制御部101は、オン信号を取得した場合、タンク用ポンプ91を停止する。
【0056】
これにより、ドレンパン6に過度に水が供給され、ドレンパン6から水が漏れることを確実に防止することができる。制御部101は、オン信号を取得しない場合であっても、すなわち水位センサ63からオフ信号が出力される場合であっても、タンク用ポンプ91の駆動時間が、予め定められた最大駆動時間に達した場合、タンク用ポンプ91を停止するものであってもよい。最大駆動時間は、マイコン等にて構成される制御部101がアクセス可能なメモリ等にて予め記憶されている。このように水位センサ63からオフ信号が出力されるフロートOFFの状態であっても、タンク用ポンプ91の駆動時間が最大駆動時間を超過した場合、タンク用ポンプ91を停止するため、例えば、水位センサ63が故障している場合であっても、ドレンパン6から水が漏れることを確実に防止することができる。
【0057】
制御部101は、給水ポンプ76を駆動する(S1062)。制御部101は、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水が有か否かを判定する(S1063)。ドレンパン6の貯水が有りと判定した場合(S1063:YES)、制御部101は、再度、S103を実行すべく、ループ処理を行う。このように水タンク8に水が残っている間は、当該ループ処理が繰り返されることにより、給水ポンプ76及びタンク用ポンプ91が間欠的に駆動され、ドレンパン6に貯水された水が、フィルタ用給水部21及び熱交用給水部33に供給される。
【0058】
ドレンパン6の貯水が無いと判定した場合(S1063:NO)、制御部101は、異常検出する(S1064)。この場合、流量センサ77からの第1流量信号はドレンパン6の貯水が無いことを示すにもかからず、水位センサ63からの水位信号は、オン信号であり、ドレンパン6の水位が所定の水位よりも大きく、ドレンパン6の貯水が有ることを示すものとなる。すなわち、流量センサ77の検出結果と、水位センサ63の検出結果とが矛盾する結果となるものであり、この場合、制御部101は、供給水路7又は補充水路9において何らかの異常が発生したと判定する。
【0059】
ドレンパン6の水位が所定の水位以下である場合(S106:YES)、すなわちオフ信号を取得した場合、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6から供給された水量が所定値以下であるか否かを判定する(S107)。制御部101は、給水ポンプ76を所定期間駆動すると共に、流量センサ77からの第1流量信号を取得する。上述のとおり、水位センサ63からオフ信号が出力されるフロートOFFの状態であっても、タンク用ポンプ91の駆動時間が最大駆動時間を超過した場合、制御部101は、タンク用ポンプ91を停止する。従って、本処理にて給水ポンプ76を駆動する際、タンク用ポンプ91は停止している。
【0060】
制御部101は、給水ポンプ76の駆動期間中において、取得したパルス信号の個数をカウントし、当該カウント値である積算パルス数が所定数以下であるかにより、ドレンパン6から供給された水量が所定値以下であるか否かを判定するものであってもよい。積算パルス数が所定パルス数以上である場合、流量センサ77が配置されている供給水路7に水が流れており、従って水タンク8は空ではないと判定するものであってもよい。制御部101は、積算パルス数が所定パルス数未満である場合、水タンク8は空であると判定するものであってもよい。
【0061】
ドレンパン6から供給された水量が所定値以下である場合(S107:YES)、制御部101は、水タンク8は空であると判定し、空調機1を送風運転状態とする(S108)。このように、制御部101は、タンク用ポンプ91を所定時間駆動した後、水位センサ63からの出力信号がドレンパン6の水位が所定の水位以下であることを示す場合、給水ポンプ76を駆動し、給水ポンプ76を所定時間駆動した後、流量センサ77からの出力信号に基づき、水タンク8に水が残っているか否かを判定するため、判定精度を担保することができる。制御部101は、給水ポンプ76及びタンク用ポンプ91を停止させた状態を維持しつつ、給気ファン及び排気ファンを駆動することにより、空調機1を送風運転状態とする。水タンク8に水が残っていないと判定した場合、給水ポンプ76の停止状態を維持するため、給水ポンプ76が過度に駆動されることを抑制することができる。
【0062】
ドレンパン6から供給された水量が所定値以下でない場合(S107:NO)、制御部101は、給水ポンプ76を駆動する(S109)。制御部101は、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水が有か否かを判定する(S110)。制御部101は、S102、S1063と同様に流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水が有か否かを判定する。
【0063】
ドレンパン6の貯水が有と判定した場合(S110:YES)、制御部101は、給水ポンプ76を停止する(S111)。制御部101は、給水ポンプ76の停止した後、所定期間が経過した後、再度S109の処理を実行すべく、ループ処理を行う。このようなループ処理を繰り返すことにより、ドレンパン6に貯水されている水を使いきることができる。すなわち、水タンク8は空であるためタンク用ポンプ91の停止状態を維持しつつ、給水ポンプ76の駆動を継続又は間欠的に繰り返すことにより、ドレンパン6が空になるまで、ドレンパン6にて貯水されている水を使いきることができ、空調機1による冷房運転を最大限継続することができる。
【0064】
ドレンパン6の貯水が無いと判定した場合(S110:NO)、制御部101は、タンク用ポンプ91を駆動する(S112)。制御部101は、タンク用ポンプ91を駆動する際、給水ポンプ76を停止している。制御部101は、水位センサ63からのオン信号の取得、又はタンク用ポンプ91の駆動時間が最大駆動時間に達するまで、タンク用ポンプ91を駆動する。
【0065】
制御部101は、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6から供給された水量が所定値以下であるか否かを判定する(S113)。ドレンパン6から供給された水量が所定値以下でない場合(S113:NO)、制御部101は、異常検出する(S1131)。
【0066】
ドレンパン6から供給された水量が所定値以下である場合(S113:YES)、制御部101は、水タンク8は空であると判定し、空調機1を送風運転状態とする(S114)。このようにタンク用ポンプ91を再度駆動してリトライを行い、その上で再度、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6から供給された水量を検知することにより、水タンク8が空であることを確実に判定することができる。すなわち、流量センサ77からの出力信号がドレンパン6から給水部に流れる水の流量が所定の流量値以下であることにより給水ポンプ76の駆動を停止した後、タンク用ポンプ91を例えば30秒等の所定期間、駆動することにより、水タンク8が空であると判定された場合であってもタンク用ポンプ91の再駆動を実施する。制御部101は、当該タンク用ポンプ91の再駆動を実施した後、再度、流量センサ77からの出力信号に基づき、水タンク8が空であるかの判定を行うため、当該判定の精度を担保することができる。
【0067】
制御部101は、水位センサ63から出力される水位信号、及び流量センサ77から出力される第1流量信号に基づき、タンク用ポンプ91の駆動状態を変更するため、例えば水位センサ63のみを用いてタンク用ポンプ91のオン又はオフ等の駆動制御を行うよりも、ドレンパン6から水が漏れる状態が発生することを抑制することができる。このように水位センサ63と流量センサ77とを組み合わせることにより、ドレンパン6からの漏水リスクを低減すると共に、ドレンパン6から給水部に供給された後、ドレンパン6にて回収される循環水を最小限にすることができる。又、水タンク8からドレンパン6への水の供給量を削減することができ、これによりタンク用ポンプ91の駆動頻度を低減させて耐用年数を延ばすことができる。
【0068】
(実施形態2)
図8及び図9は、実施形態2に係る制御部101による処理手順を示すフローチャートである。基板100に実装された制御部101は、例えば空調機1が空調動作を行うにあたり、以下のような処理を行う。実施形態2においては、制御部101は、タンク用流量センサ92から出力される第2流量信号に基づき、各種処理を行う点で、実施形態1と異なる。制御部101は、実施形態1のS101からS1064と同様に、S201からS2064までの処理を行う。
【0069】
制御部101は、上述のとおり実施形態1のS105と同様に、S205の処理の実行後、水位センサ63からの水位信号に基づき、ドレンパン6の水位が所定の水位以下であるか否かを判定する(S206)。ドレンパン6の水位が所定の水位以下でない場合(S206:NO)、すなわちオン信号を取得した場合、制御部101は、実施形態1のS1061と同様に、タンク用ポンプ91を停止する(S2061)。以降の処理は実施形態1と同様である。
【0070】
ドレンパン6の水位が所定の水位以下である場合(S206:YES)、すなわちオフ信号を取得した場合、タンク用流量センサ92からの第2流量信号に基づき、水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第1所定値以上であるか否かを判定する(S207)。制御部101は、タンク用流量センサ92から、例えばパルス信号等による第2流量信号を取得する。制御部101は、タンク用ポンプ91の駆動期間中において、取得したパルス信号の個数をカウントし、当該カウント値である積算パルス数が所定パルス数以上である場合、タンク用流量センサ92が配置されている補充水路9に水が流れており、水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第1所定値以上であると判定するものであってもよい。
【0071】
水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第1所定値以上である場合(S207:YES)、制御部101は、異常検出する(S2071)。S207の判定に用いられる第1所定値は、例えば、水タンク8の許容水量の上限に対応した値として設定されており、後述する水タンク8の空判定に用いられる第2所定値よりも大きい値となっている。タンク用流量センサ92からの第2流量信号が、水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第1所定値以上である旨を示す場合、仮に第2流量信号のみに基づけば、水タンク8からドレンパン6に対し十分な水が供給されており、ドレンパン6の水位が所定の水位よりも大きくなっていることが想定される。しかしながら、S207の判定処理は、S206の処理にてドレンパン6の水位が所定の水位以下であると判定(S206:YES)された場合に行われるものであり、すなわち、水位センサ63からの水位信号は、ドレンパン6の水位が所定の水位以下であることを示している。この場合、例えば、水位センサ63が常にフロートOFFとなる固着状態となっており、常に水無しと誤判定する異常が発生していることが懸念される。このように、水位センサ63の検出結果と、タンク用流量センサ92の検出結果とが矛盾する結果となるものであり、制御部101は、水位センサ63等において何らかの異常が発生したと判定する。
【0072】
水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第1所定値以上でない場合(S207:NO)、すなわち水量が第1所定値よりも少ない場合、制御部101は、タンク用流量センサ92からの第2流量信号に基づき、水タンク8からドレンパン6に供給された水量が、第1所定値よりも小さい第2所定値以下であるか否かを判定する(S208)。第2所定値は、第1所定値よりも小さい値として設定されており、これらは、記憶部に記憶されている。
【0073】
水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第2所定値以下である場合(S208:YES)、制御部101は、水タンク8は空であると判定し、空調機1を送風運転状態とする(S2081)。制御部101は、給水ポンプ76及びタンク用ポンプ91を停止させた状態を維持しつつ、給気ファン及び排気ファンを駆動することにより、空調機1を送風運転状態とする。このように制御部101は、タンク用流量センサ92から出力される第2流量信号を取得し、取得した出力信号に基づき、水タンク8に水が残っているか否かを判定するため、水タンク8内の水の有無を効率的に判定することができる。
【0074】
水タンク8からドレンパン6に供給された水量が第2所定値以下でない場合(S208:NO)、すなわち第2所定値よりも大きくかつ第1所定値よりも少ない場合、制御部101は、給水ポンプ76を駆動する(S209)。制御部101は、流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水が有か否かを判定する(S210)。制御部101は、実施形態1のS102等と同様に流量センサ77からの第1流量信号に基づき、ドレンパン6の貯水が有か否かを判定する。
【0075】
ドレンパン6の貯水が無いと判定した場合(S210:NO)、制御部101は、異常検出する(S2101)。この場合、流量センサ77の検出結果と、タンク用流量センサ92の検出結果とが矛盾する結果となるものであり、制御部101は、供給水路7又は補充水路9において何らかの異常が発生したと判定する。
【0076】
ドレンパン6の貯水が有と判定した場合(S210:YES)、制御部101は、再度S203の処理を実行すべく、ループ処理を行う。当該ループ処理を繰り返すことにより、水タンク8内の水が無くなり空となった場合であっても、ドレンパン6に貯水されている水を使いきることができる。
【0077】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【0078】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
1 空調機
100 基板
101 制御部
10 筐体
11 本体
111 第1側壁
1111 本体側第1側壁
1112 扉側第1側壁
112 第2側壁
113 第3側壁
114 第4側壁
115 支持部
116 タンク台部
118 手掛け部
12 扉
20 冷却ユニット
2 気化フィルタ
21 フィルタ用給水部(給水部)
3 顕熱交換器
31 給気経路
32 排気経路
33 熱交用給水部(給水部)
4 給気流路
41 給気ファン
42 給気吸込口
43 給気吹出口
431 ダクト
432 風向調整板
44 第1中間給気流路
5 排気流路
51 排気ファン
52 排気吸込口
53 排気吹出口
6 ドレンパン
61 底面
611 底孔
62 壁面
621 給水孔
63 水位センサ
7 供給水路
71 第1給水路
72 第2給水路
73 連結給水路
74 給水部連結路
75 ドレンパンフィルタ
76 給水ポンプ
77 流量センサ
78 分岐部
781 排水路
8 水タンク
82 水位確認窓
9 補充水路
91 タンク用ポンプ
92 タンク用流量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9