(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118598
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】施肥装置
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20240826BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A01C15/00 F
A01C11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024965
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 公明
(72)【発明者】
【氏名】荒井 毅
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
【テーマコード(参考)】
2B052
2B060
【Fターム(参考)】
2B052BA01
2B052BC05
2B052BC16
2B052DA08
2B052DD03
2B052EC07
2B052EC09
2B060AA10
2B060AE10
2B060BA07
2B060BA09
2B060BB06
2B060BB08
(57)【要約】
【課題】従来、肥料タンク内の肥料を機外に排出する肥料回収装置を装備した施肥装置がある。然しながら、従来の肥料回収装置は、肥料タンクに設けた各条の全排出シャッタを同時に開けて肥料回収管に排出するので、肥料回収管に肥料詰まりが発生するという課題があった。そこで、肥料回収経路の肥料詰まりを防止して適切な肥料回収作業が行なえる施肥装置を提供する。
【解決手段】肥料タンク内の肥料を排出する排出シャッタ50a,50bを各肥料繰出部68毎に設け、各排出シャッタ50a,50bから排出される肥料を機外に回収する肥料回収経路65を設けた施肥装置において、各排出シャッタ50a,50bを開閉する排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bを設け、肥料回収時に該排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bにて排出シャッタ50a,50bを順次所定分づつ開く。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料タンク(67a,67b)内の肥料を排出する排出シャッタ(50a,50b)を各肥料繰出部(68)毎に設け、各排出シャッタ(50a,50b)から排出される肥料を機外に回収する肥料回収経路(65)を設けた施肥装置において、各排出シャッタ(50a,50b)を開閉する排出シャッタ用アクチュエータ(54a,54b)を設け、肥料回収時に該排出シャッタ用アクチュエータ(54a,54b)にて排出シャッタ(50a,50b)を順次所定分づつ開くことを特徴とする施肥装置。
【請求項2】
肥料回収時に排出シャッタ用アクチュエータ(54a,54b)にて排出シャッタ(50a,50b)を肥料回収経路(65)の肥料回収口(66)に近いものから開くことを特徴とする請求項1に記載の施肥装置。
【請求項3】
複数の肥料タンク(67a,67b)を装備し、肥料タンク(67a,67b)に貯留肥料が少なくなったことを検出する肥料減少センサ(55a,55b)を設け、肥料回収時に肥料回収経路(65)の肥料回収口(66)に近い肥料タンク(67a)の排出シャッタ(50a)を開き、該肥料タンク(67a)の肥料減少センサ(55a)が貯留肥料が少なくなったことを検出したことに基づいて肥料タンク(67a)よりも肥料回収口(66)から遠い肥料タンク(67b)の排出シャッタ(50b)を開くことを特徴とする請求項2に記載の施肥装置。
【請求項4】
各排出シャッタ(50a,50b)から肥料回収経路(65)に排出される肥料排出口(S1~S8)の排出面積が、肥料回収経路(65)の肥料回収口(66)に近いもの程狭いことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の施肥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料タンク内の肥料を繰り出す複数の繰出部を設けた施肥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肥料タンク内の肥料を機外に排出する肥料回収装置を装備した施肥装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の肥料回収装置は、肥料タンクに設けた各条の全排出シャッタを同時に開けて肥料回収管に排出するので、肥料回収管に肥料詰まりが発生するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、肥料回収経路の肥料詰まりを防止して適切な肥料回収作業が行なえる施肥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、肥料タンク67a,67b内の肥料を排出する排出シャッタ50a,50bを各肥料繰出部68毎に設け、各排出シャッタ50a,50bから排出される肥料を機外に回収する肥料回収経路65を設けた施肥装置において、各排出シャッタ50a,50bを開閉する排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bを設け、肥料回収時に該排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bにて排出シャッタ50a,50bを順次所定分づつ開く施肥装置である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、各排出シャッタ50a,50bを開閉する排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bを設け、肥料回収時に該排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bにて排出シャッタ50a,50bを順次所定分づつ開くので、肥料回収時に肥料回収経路65の肥料詰りを防止して適切な肥料回収作業が行なえる。
【0008】
請求項2記載の発明は、肥料回収時に排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bにて排出シャッタ50a,50bを肥料回収経路65の肥料回収口66に近いものから開く請求項1に記載の施肥装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、複数の肥料タンク67a,67bを装備し、肥料タンク67a,67bに貯留肥料が少なくなったことを検出する肥料減少センサ55a,55bを設け、肥料回収時に肥料回収経路65の肥料回収口66に近い肥料タンク67aの排出シャッタ50aを開き、該肥料タンク67aの肥料減少センサ55aが貯留肥料が少なくなったことを検出したことに基づいて肥料タンク67aよりも肥料回収口66から遠い肥料タンク67bの排出シャッタ50bを開く請求項2に記載の施肥装置である。
【0010】
請求項4記載の発明は、各排出シャッタ50a,50bから肥料回収経路65に排出される肥料排出口S1~S8の排出面積が、肥料回収経路65の肥料回収口66に近いもの程狭い請求項1~請求項3の何れか1項に記載の施肥装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の側面図である。
【
図5】同田植機の施肥装置のエアチャンバのガード体部を示す側面図である。
【
図6】同田植機の施肥装置のエアチャンバのガード体部を示す平面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態を示す肥料回収操作レバーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の施肥装置を装備した一実施形態である8条植え乗用型田植機について図面に基づき説明する。
【0013】
<全体構成>
図1に示すように、乗用型田植機は、走行車体1に昇降用リンク装置2で苗植付装置3を装着すると共に、施肥装置4を設けている。走行車体1は、駆動輪である左右各一対の前輪6、6および後輪7、7を有する四輪駆動車両である。
【0014】
なお、本明細書では、乗用型田植機の前進方向に向かって左右をそれぞれ左側と右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側という。
【0015】
<走行車体1>
走行車体1は、メインフレーム10a、10bにミッションケース11とエンジン12が配設されており、該ミッションケース11の後部側面に油圧ポンプがミッションケース11と一体に組み付けられ、ミッションケース11の前部上方にステアリングポスト14が突設されている。
【0016】
そして、ステアリングポスト14の上端部にステアリングハンドル16が設けられている。機体の上部には操縦用のフロアとなるステップフロア19が取り付けられ、エンジン12の上方部に操縦席20が設置されている。ステアリングハンドル16の右側には変速レバー17が設けられ、操縦席20の右側には畦クラッチレバーが設けられている。
【0017】
前輪6、6はミッションケース11の側方に向きを変更可能に設けた前輪支持ケース22、22に軸支されている。また、後輪7、7は、左右フレーム37の左右両端部に取り付けた後輪伝動ケース24、24の後輪駆動軸23に設けられている。左右フレーム37はメインフレーム10a、10bの後端部に支持されている。
【0018】
エンジン12の回転動力は、プーリ27、ベルト28及びプーリ29を順次経由して油圧式無段変速装置(HST)31の入力軸32aに伝えられ、HST31の出力軸32bからミッションケース11内に伝えられる。
【0019】
リヤ出力軸11a、11aの後端部はミッションケース11の後方に突出し、この突出端部に前記後輪伝動ケース24、24に伝動する左右後輪伝動軸35、35が接続されている。そして、この左右後輪伝動軸35、35により各々左右後輪7、7が駆動回転される構成となっている。
【0020】
そして、走行車体1後部に設けたPTO伝動ケースにミッションケース11から駆動軸を介して駆動力が伝達され、該PTO伝動ケースから施肥駆動機構を介して施肥装置4の各肥料繰出部68に駆動力が伝達されると共に、PTO伝動軸45を介して苗植付装置3に駆動力が伝達される。
【0021】
また、走行車体1前部に設けたペダルは、メインクラッチと左右後輪ブレーキ装置(図示せず)を共に操作することができ、ステアリングハンドル16の右下側に配置されており、このペダルを踏み込むとメインクラッチが切れ、続いて左右後輪ブレーキがかかり、機体は停止する。
【0022】
また、機体の前方にはフロントアーム88を突設し、フロントアーム88の先端部からフロントアーム88内にセンターマスコット89を挿脱自在に取り付けて、フロントアーム88とセンターマスコット89を一体化し、センターマスコット89の先端にランプ89aを設けて、フロントアーム88とセンターマスコット89を1本のレバーとする。また、ステップフロア19の前方両サイドにはサイドマーカ44が設けられている。
【0023】
なお、走行車体1前部左右両側には、予備苗載台99が設けられている。
【0024】
<苗植付装置3>
苗植付装置3は、走行車体1に昇降用リンク装置2で昇降自在に装着されている。
【0025】
走行車体1に基部が回動自在に設けられた一般的なリフトシリンダー36のピストン上端部を昇降用リンク装置2に連結し、走行車体1に設けた油圧ポンプにて昇降バルブ(図示せず)を介してリフトシリンダー36に圧油を供給・排出して、リフトシリンダー36のピストンを伸進・縮退させて昇降用リンク装置2に連結した苗植付装置3が上下動されるように構成されている。
【0026】
苗植付装置3は、昇降用リンク装置2の後部にローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース38と、該植付伝動ケース38に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台39と、植付伝動ケース38の後端部に装着され、苗載台39の下端より1株づつ苗を圃場に植え付ける苗植付具41と、植付伝動ケース38の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体であるセンター(センサー)フロート42とサイドフロート43等にて構成されている。センターフロート42とサイドフロート43は、苗植付具41にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。
【0027】
PTO伝動軸45は、両端にユニバーサルジョイントを有し、ミッションケース11からの動力を苗植付装置3の植付伝動ケース38に伝達すべく設けている。
【0028】
また、昇降リンクセンサ51は、メインフレーム10a,10bに立設した昇降リンク基部フレーム15と昇降用リンク装置2の上下動する昇降用の平行リンク部材2a、2bの間に設けられ、昇降用リンク装置2の動きを検出するポテンショメータであり、手動操作等により苗植付装置3を最上昇位置へ上昇したことを検出できる。
【0029】
そして、センターフロート42の前部に設けられた迎い角センサ(図示せず)は、苗植付装置3の対地高さを検出するものであり、該迎い角センサの検出値に基づいて、制御装置により昇降バルブを制御してリフトシリンダー36にて苗植付装置3の上下位置を制御するように構成されている。
【0030】
即ち、センターフロート42の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられたことを迎い角センサにより検出した時には油圧ポンプにてミッションケース11内から汲み出された圧油をリフトシリンダー36に送り込んでピストンを突出させて昇降用リンク装置2を上動させて苗植付装置3を所定位置まで上昇させ、また、センターフロート42の前部が適正範囲以下に下がったことを迎い角センサにより検出した時にはリフトシリンダー36内の圧油をミッションケース11内に戻して昇降用リンク装置2を下動させて苗植付装置3を所定位置まで下降させる。
【0031】
そして、センターフロート42の前部が適正範囲にあるとき(迎い角センサの検出値が適正範囲にあり、苗植付装置3が適正な対地高さである時)には、リフトシリンダー36内の圧油の出入りを止めて苗植付装置3を一定位置に保持させている。
【0032】
このように、センターフロート42を苗植付装置3の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0033】
苗植付装置3は8条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース38、苗を載せて左右往復動し苗を一株づつ各条の苗取出口39aに供給する苗載台39、苗取出口39aに供給された苗を圃場に植付ける苗植付具41等を備えている。
【0034】
センターフロート42の前方にはロータ70aが配置され、該ロータ70aはサイドフロート43の前方にあるロータ70bより前方に配置されている。ロータ70aは後輪7の伝動ケース24内のギアから伝動軸25を介して動力が伝達され、ロータ70bは両方のロータ70a,70aの駆動軸(図示せず)からそれぞれ動力が伝達される左右一対のチェーンケース71,71内の一対のチェーン(図示せず)から動力伝達される。
【0035】
また、ロータ70aは梁部材73に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
【0036】
前記一対のリンク部材76,77は梁部材73に一端部が固着支持された第一リンク部材76と該第一リンク部材76の他端部に一端が回動自在に連結した第二リンク部材77からなり、該第二リンク部材77の他端部と図示しない補強部材に回動自在に支持された取付片との間に前記スプリング78が接続している。
【0037】
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部は支持枠体72に回動自在に支持されている。第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ70aを上方に上げることができる。なお、ロータ70aを上方に移動させると、ロータ70bも同時に上方に移動する機構になっている。
【0038】
<施肥装置4>
図2及び
図3に示すように、施肥装置4は、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の肥料を各肥料繰出部68によって一定量づつ下方に繰り出し、その繰り出された肥料を送風機69により各施肥ホース62を通して各施肥ガイド80まで移送し、該各施肥ガイド80の前側に設けた作溝体82によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込んで圃場中に粒状肥料を施肥する。
【0039】
右肥料タンク67a及び左肥料タンク67bは左右対称の構成で、上部に開閉可能な蓋が取り付けられている。右肥料タンク67a及び左肥料タンク67bの下部は施肥条数分に分岐して漏斗状になっており、その下部が各繰出部68の上端に接続されている。右肥料タンク67a及び左肥料タンク67bは、左右昇降リンク基部フレーム15、15の上端部に固定された左右方向に長い施肥装置側フレーム63に支持されている。
【0040】
PTO伝動ケースから施肥装置4の各肥料繰出部68に駆動力を伝達する施肥駆動機構は、従来周知の連繋ロッドと回転アームにより構成されていると共に、繰出し量調節具としての繰出し量調節ハンドルにて該回転アームの回動支点を移動させて各肥料繰出部68の繰出駆動軸68aの単位時間当たりの回転数を変更調節することにより、各肥料繰出部68の肥料繰出し量を調節する(例えば、特開2006-166820号公報に記載された施肥駆動機構)。
【0041】
各繰出部68の吐出口には、前後方向に連通する接続管74が接続されている。そして、この接続管74の後端部に施肥ホース62が接続されている。施肥ホース62の外周螺旋溝に施肥装置側フレーム63の下端部が係合しているので、施肥ホース62が接続管74から抜けにくい。
【0042】
一方、各条の接続管74の前端部はエアチャンバ61の背面部に挿入連結されている。エアチャンバ61の左端部はエア切替管75を介して送風機69に接続されており、該送風機69からのエアがエアチャンバ61を経由して接続管74から施肥ホース62に吹き込まれるようになっている。
【0043】
また、各繰出部68の背面部には、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の肥料を取り出すための肥料排出口S1~S8が形成されている。各繰出部68の肥料排出口S1~S8は、各繰出部68の後方に設けた左右方向に長い肥料回収経路としての肥料回収管65に接続されている。
【0044】
なお、各繰出部68の肥料排出口S1~S8には、排出シャッタ50a,50bが各々設けられている。施肥作業時には、排出シャッタ50a,50bを閉じて、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の粒状肥料は各繰出部68に落下供給され、肥料排出時には、排出シャッタ50a,50bを開いて、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の粒状肥料は肥料排出口S1~S8から肥料回収管65内に落下する。
【0045】
肥料回収管65の左端部は、前記エア切替管75を介して送風機69に接続されている。エア切替管75は二股状の管であって、一方にエアチャンバ61が接続され、他方に肥料回収管65が接続されている。エア切替管75にはエア切替部としてのエア切替シャッタが設けられ、送風機69から吹き出されるエアをエアチャンバ61側に供給する状態と肥料回収管65側に供給する状態とに切り替えられようになっている。エア切替シャッタは、エアチャンバ61と肥料回収管65の間の前後中央部にあるので、両者へのエア供給が安定している。
【0046】
そして、肥料回収管65の右端部は肥料回収口66になっており、施肥作業時には開閉自在の蓋にて閉ざされている。
【0047】
肥料回収時には、蓋を開けて肥料回収口66に接続されている筒状の肥料誘導網66aを下方に垂らせて、下方に置いてあるバケツ等の回収容器内に肥料誘導網66a下端部を入れると、肥料回収口66から噴出する肥料を回収容器に回収できる。
【0048】
施肥装置4の右端部の肥料回収口66近傍には、肥料回収スイッチ53が設けられている。
【0049】
この肥料回収スイッチ53は、前記各排出シャッタ50a,50bを開閉させる排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bとエア切替シャッタを切り替えるエア切替シャッタ用アクチュエータを後述する制御フローのように作動させて右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の肥料を回収する。
【0050】
右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内には、貯留肥料が少なったことを検出する肥料減少センサ55a,55bが設けられている。
【0051】
【0052】
作業者が肥料回収スイッチ53を押すと、エア切替シャッタ用アクチュエータを作動して送風機69から肥料回収管65にエアが吹き出されるようにし、肥料回収口66に近い側の右肥料タンク67aの排出シャッタ用アクチュエータ54aを所定量回動させて4つの各条の排出シャッタ50aを開け、右肥料タンク67a内の肥料を肥料回収管65内に落下させ、送風機69からの搬送エアにて肥料回収管65内を右側の肥料回収口66に向けて搬送し、肥料回収口66から肥料誘導網66aを経て回収容器に回収する。
【0053】
そして、右肥料タンク67aの肥料減少センサ55aが貯留肥料の減少を検出して所定時間T秒経過する(右肥料タンク67aの肥料が全て排出される時間)と、肥料回収口66に遠い側の左肥料タンク67bの排出シャッタ用アクチュエータ54bを所定量回動させて4つの各条の排出シャッタ50bを開け、左肥料タンク67b内の肥料を肥料回収管65内に落下させ、送風機69からの搬送エアにて肥料回収管65内を右側の肥料回収口66に向けて搬送し、肥料回収口66から肥料誘導網66aを経て回収容器に回収する。
【0054】
そして、左肥料タンク67bの肥料減少センサ55bが貯留肥料の減少を検出して所定時間T’秒経過する(左肥料タンク67bの肥料が全て排出される時間)と、報知手段(報知音、報知音声メッセージ、報知ランプ、モニタ表示等)を作動させて作業者に肥料回収が終了したことを報知する。
【0055】
そして、作業者が肥料回収スイッチ53を再び押すと、エア切替シャッタ用アクチュエータを作動して送風機69からエアチャンバ61にエアが吹き出されるようにし、排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bを所定量回動させて全ての排出シャッタ50a,50bを閉じる。
【0056】
従って、右肥料タンク67aと左肥料タンク67bの片方づつ肥料排出が行なえて、大量の肥料が肥料回収管65等の排出経路に流れないので、排出肥料の詰まりが防止できて良好な肥料排出(肥料回収)が行なえる。
【0057】
なお、上記の実施形態では、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67bの排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bを所定量回動させて各条の排出シャッタ50a,50bを同時に開ける例を示したが、排出シャッタ用アクチュエータ54a,54bの作動にて回動する回転ロッド56a,56bに肥料回収口66に近い排出シャッタ50a,50bから順次係合する係合部を設けて、肥料回収口66に近い排出シャッタ50a,50bから順次所定時間後毎に開く構成としても良い。
【0058】
肥料回収口66に近い排出シャッタ50a,50bから順次所定時間後毎に開くので、肥料が各排出シャッタ50a,50bから順次肥料回収管65等の排出経路に流れ、排出肥料の詰まりが防止できて良好な肥料排出(肥料回収)が行なえる。
【0059】
なお、肥料回収口66に遠い排出シャッタ50a,50bから順次所定時間後毎に開く構成としても良い。
【0060】
また、上記の実施形態では、右肥料タンク67aから先に肥料排出する例を示したが、同様の手段で左肥料タンク67bから先に肥料排出を行なうようにしても良い。
【0061】
一方、肥料排出口S1~S8は、肥料回収口66に一番近い肥料排出口S1の排出口面積が最も狭く、そして、肥料回収口66から遠くなる程、肥料排出口S2~S8の排出口面積が順次広くなるように構成している。
【0062】
換言すると、肥料排出口S8の排出口面積よりも肥料排出口S7の排出口面積が狭く、肥料排出口S7の排出口面積よりも肥料排出口S6の排出口面積が狭く、肥料排出口S6の排出口面積よりも肥料排出口S5の排出口面積が狭く、肥料排出口S5の排出口面積よりも肥料排出口S4の排出口面積が狭く、肥料排出口S4の排出口面積よりも肥料排出口S3の排出口面積が狭く、肥料排出口S3の排出口面積よりも肥料排出口S2の排出口面積が狭く、肥料排出口S2の排出口面積よりも肥料排出口S1の排出口面積が狭い。
【0063】
従って、肥料回収口66に近い肥料回収管65への肥料排出口S1~S8程排出面積が狭いので、肥料回収管65の肥料詰まりが防止できる。
【0064】
右肥料タンク67a及び左肥料タンク67bの前側面で操縦席20の後方部位に送風機69の停止及び風量変更のダイヤルスイッチを設ける。
【0065】
従って、該ダイヤルスイッチにて送風機69の停止操作や肥料の比重に合わせて風量の変更調節を行なう。
【0066】
なお、ダイヤルスイッチ以外の如何なる操作具であっても良い。
【0067】
また、送風機69の停止及び風量変更のダイヤルスイッチ等の操作具を肥料回収口66近くの肥料回収スイッチ53の周辺に設けても良い。肥料回収作業時に、肥料の比重に合わせて風量の変更調節をして肥料回収作業を適切に行って肥料回収作業の時間短縮が図れる。
【0068】
図5及び
図6は、合成樹脂で形成されたエアチャンバ61のガード体85の支持構成を示す。
【0069】
即ち、ガード体85は、施肥装置側フレーム63に基部が固定されたステーに固着された板体にて構成され、走行車体1のステップフロア19後端部(操縦席20後方のリヤステップ後端部)とエアチャンバ61の間に配置されエアチャンバ61上部よりも上方まで延びている。
【0070】
従って、ステップフロア19上の作業者が足等でエアチャンバ61をおし潰して破損することを防止できると共に、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b下部に設けた条毎の肥料繰出しを停止する操作レバー86等の操作の支障とならず作業性も良い。
【0071】
図7は、上記実施形態の肥料回収スイッチ53に換えて、肥料回収操作レバー90を用いた例を示す。
【0072】
即ち、肥料回収操作レバー90は、エア切替シャッタ及び各排出シャッタ50a,50bを連繋機構にて切替える操作具であり、肥料回収口66近傍に配置されている。
【0073】
肥料回収操作レバー90をレバーガイド91の施肥位置にすると、連繋機構にてエア切替シャッタを送風機69から吹き出されるエアがエアチャンバ61側に供給される状態となり、連繋機構にて各排出シャッタ50a,50bが閉じた状態となって施肥作業が行なえる。
【0074】
肥料回収操作レバー90をレバーガイド91の排出位置(1)にすると、連繋機構にてエア切替シャッタを送風機69から吹き出されるエアが肥料回収管65側に供給される状態とし、連繋機構にて各排出シャッタ50a,50bが半開き状態となって、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の肥料を機外にゆっくりと回収する肥料回収作業が行なえる。
【0075】
肥料回収操作レバー90をレバーガイド91の排出位置(2)にすると、連繋機構にてエア切替シャッタを送風機69から吹き出されるエアが肥料回収管65側に供給される状態とし、連繋機構にて各排出シャッタ50a,50bが全開状態となって、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内の肥料を機外に急速回収する肥料回収作業が行なえる。
【0076】
例えば、8条植田植機にこの肥料回収操作レバー90を装備した場合は、肥料回収操作レバー90を肥料の状態に応じて排出位置(1)と排出位置(2)に操作して、肥料の状態に応じた適切な肥料回収作業が行なえる。
【0077】
10条植田植機にこの肥料回収操作レバー90を装備した場合は、右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内に貯留される肥料が多いので肥料回収操作レバー90を排出位置(2)に操作して各排出シャッタ50a,50bを全開状態にすると大量の肥料が肥料回収管65内に落下して比重の重い肥料や大きな粒径等の肥料の種類によっては肥料回収管65が詰まってしまうので、排出位置(2)に操作できないようにした方が良い場合がある。
【0078】
そこで、レバーガイド91の排出位置(2)の部分に規制具92を螺子にて固定し、肥料回収操作レバー90が排出位置(2)に操作できないようにする。
【0079】
従って、肥料回収操作レバー90及びレバーガイド91を8条植田植機や10条植田植機等の植付条数の異なる型式で共用できて安価な構成とすることができ、比重の重い肥料や大きな粒径等の肥料の種類によって肥料回収操作レバー90を排出位置(2)に操作できないようにして肥料回収管65が詰まってしまうことを未然に防止できる。
【0080】
他の実施形態として、レバーガイド91に施肥切位置を設けて、肥料回収操作レバー90を施肥切位置に操作すると、施肥装置4の作動が停止するようにしても良い。
【0081】
即ち、肥料回収操作レバー90を施肥切位置に操作すると、各肥料繰出部68の駆動が停止し、送風機69が停止し、肥料減少センサ55a,55bの検出による肥料切れ警報も停止する。
【0082】
従って、送風機69を停止する停止スイッチを別途設けなくてもよくなり、施肥作業を行なわない場合に右肥料タンク67a及び左肥料タンク67b内に肥料を入れていないことによる肥料切れ警報も作動しないので煩わしくなく、消費電力も抑えることができる。
【0083】
そして、全自動施肥装置付き田植機とした場合には、肥料回収操作レバー90を電動モータにて自動操作するように構成するが、肥料回収操作レバー90を施肥切位置に操作するのは手動操作のみとする。
【0084】
換言すると、施肥作業時には肥料回収操作レバー90が電動モータにて必ず施肥作業位置にあることとなり、施肥作業時に施肥切位置になる誤操作を防止できる。
【0085】
なお、肥料回収操作レバー90の自動操作等の制御設定を行なうコントローラパネルは、肥料回収口66付近の機体側端部に設けて、施肥作業の操作が一カ所で行えるようにすると作業性が良い。
【符号の説明】
【0086】
50a,50b 排出シャッタ
54a,54b 排出シャッタ用アクチュエータ
55a,55b 肥料減少センサ
65 肥料回収経路(肥料回収管)
66 肥料回収口
67a 肥料タンク(右肥料タンク)
67b 肥料タンク(左肥料タンク)
68 肥料繰出部
S1~S8 肥料排出口