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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118601
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】乗場ドア
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B66B13/30 F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024970
(22)【出願日】2023-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 悠児
(72)【発明者】
【氏名】金子 元樹
(72)【発明者】
【氏名】玉置 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307BA07
3F307CA02
3F307CA22
3F307CA27
3F307CA29
(57)【要約】
【課題】エレベータの乗場出入口を規定する枠が変形しても戸開可能な乗場ドアを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備える、ことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備える、乗場ドア。
【請求項2】
矩形状のドアパネルと、
前記ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に、前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、を備え、
前記変形可能部は、前記ドアシューを含み、
該ドアシューは、上下方向における少なくとも上方向に移動可能に前記ドアパネルに配置される、請求項1に記載の乗場ドア。
【請求項3】
前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを備える、請求項2に記載の乗場ドア。
【請求項4】
下限ストッパを備え、
前記ドアシューは、上下方向に移動可能に前記ドアパネルに取り付けられ、
前記下限ストッパは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制する、請求項2に記載の乗場ドア。
【請求項5】
前記ドアシューを前記ドアパネルに対して相対移動可能に該ドアパネルに取り付ける取付部材を備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体を有し、
前記ドアシューは、前記溝内に嵌まり込む被ガイド部と、前記被ガイド部から上方向に延び且つ前記パネル本体に沿って広がる延設部と、を有し、
前記取付部材は、前記パネル本体との間に前記延設部を挟み込んだ状態で該パネル本体に取り付けられる、請求項3又は4に記載の乗場ドア。
【請求項6】
前記ドアシューは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを有し、
前記上限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から下方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して上方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの上方向への移動を規制する、請求項5に記載の乗場ドア。
【請求項7】
前記ドアシューは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制する下限ストッパを有し、
前記下限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から上方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して下方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの下方向への移動を規制する、請求項5に記載の乗場ドア。
【請求項8】
矩形状のドアパネルを備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記パネル下端部を含み、
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載の乗場ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗場ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータの乗場出入口を開閉する乗場ドアのドア装置が知られている(特許文献1参照)。
具体的に、このドア装置500は、図10に示すように、ドアハンガー501と、一対の乗場ドア502と、敷居505と、を備える。ドアハンガー501は、乗場ドア502の開閉方向に延び、乗場ドア502が吊り掛けられた状態で該乗場ドア502を開閉方向に案内する。各乗場ドア502は、矩形板状のドアパネル503と、ドアパネル503の下端から下方に突出するように該ドアパネル503の下端部に配置されるドアシュー504と、を有する。敷居505は、乗場ドア502の下部に設けられ、乗場ドア502の開閉方向に延びる敷居溝506を有する。この敷居溝506には各乗場ドア502のドアシュー504が上方から挿し込まれており、乗場ドア502が開閉するときに該乗場ドア502の下端部を開閉方向に案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6733855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地震等によって、乗場出入口を規定する枠が変形し、これにより、例えば、敷居505がドアハンガー501に対して傾くと(図11参照)、ドアハンガー501と敷居505との戸開側の間隔が小さくなるため、乗場ドア502の戸開時に、ドアシュー504が敷居溝506の底と当接したり、ドアパネル503の下端が敷居505と当接したりすることで、乗場ドア502が戸開できなくなる場合があった。
【0005】
この場合、管制運転によって避難階の乗場にかごが到着できても、乗場ドア502が戸開できず、これにより、かごに乗っていた乗客等はかご内に閉じ込められてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、エレベータの乗場出入口を規定する枠が変形しても戸開可能な乗場ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の乗場ドアは、
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備える。
【0008】
かかる構成によれば、乗場ドアの下端部(変形可能部)が上方向に変形可能であるため、乗場出入口を規定する枠の変形(図5及び図6参照)によって乗場ドアの戸開時に下端部が敷居(枠の下端部)に当接したときでも、乗場ドアに戸開方向の力が加わることで下端部が上方向に変形し、これにより、該乗場ドアを前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることができる。
【0009】
前記乗場ドアは、
矩形状のドアパネルと、
前記ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に、前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、を備え、
前記変形可能部は、前記ドアシューを含み、
該ドアシューは、上下方向における少なくとも上方向に移動可能に前記ドアパネルに配置されてもよい。
【0010】
このように、ドアシューが上下方向における少なくとも上方向に移動可能にドアパネルに配置されているため、乗場出入口を規定する枠の変形によって乗場ドアの戸開時にドアシューが敷居の溝底面に当接したときでも、乗場ドアに戸開方向の力が加わることでドアシューが上方向に移動し、これにより、該乗場ドアを前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることができる。
【0011】
また、前記乗場ドアは、
前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを備えてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、ドアシューがドアパネルに対して上方向へ移動し過ぎることを防ぐことができ、これにより、ドアシューが敷居の溝から抜けることを防ぐことができる。
【0013】
また、前記乗場ドアは、
下限ストッパを備え、
前記ドアシューは、上下方向に移動可能に前記ドアパネルに取り付けられ、
前記下限ストッパは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、ドアシューがドアパネルに対して下方向へ移動し過ぎることを防ぐことができ、これにより、ドアパネルからのドアシューの抜け落ち等を防ぐことができる。
【0015】
また、前記乗場ドアは、
前記ドアシューを前記ドアパネルに対して相対移動可能に該ドアパネルに取り付ける取付部材を備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体を有し、
前記ドアシューは、前記溝内に嵌まり込む被ガイド部と、前記被ガイド部から上方向に延び且つ前記パネル本体に沿って広がる延設部と、を有し、
前記取付部材は、前記パネル本体との間に前記延設部を挟み込んだ状態で該パネル本体に取り付けられてもよい。
【0016】
このように、延設部をパネル本体と取付部材とによって挟み込むことでドアシューをパネル本体に取り付ける(即ち、二つの部材間に挟み込んだときの摩擦によって位置を保持させる)ことで、ドアシューがパネル本体に対して上方向に移動可能な構成の簡素化を図ることができる。
【0017】
また、前記乗場ドアでは、
前記ドアシューは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを有し、
前記上限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から下方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して上方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの上方向への移動を規制してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、簡素な構成によってドアシューの上方向への移動し過ぎによる敷居の溝からの抜けを防ぐことができる。
【0019】
また、前記乗場ドアでは、
前記ドアシューは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制する下限ストッパを有し、
前記下限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から上方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して下方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの下方向への移動を規制してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、簡素な構成によってドアシューのパネル本体からの抜け落ちを防ぐことができる。
【0021】
また、前記乗場ドアは、
矩形状のドアパネルを備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記パネル下端部を含み、
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能であってもよい。
【0022】
このように、ドアパネルの下端部がパネル本体より変形し易い又はパネル本体に対して上方向に移動可能なパネル下端部によって構成されることで、乗場出入口を規定する枠の変形によって乗場ドアの戸開時にドアパネルが敷居に当接したときでも、乗場ドアに戸開方向の力が加わることでパネル下端部が変形し又は上方向に移動し、これにより、該乗場ドアを前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明によれば、エレベータの乗場出入口を規定する枠が変形しても戸開可能な乗場ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの乗場ドア装置を昇降路側から見た図である。
図2図2は、乗場ドア装置が備える乗場ドアのドアシュー及びその周辺を示す拡大図である。
図3図3は、図2のIII-III位置の断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV位置の断面図である。
図5図5は、乗場出入口の下端を規定する敷居が傾いた状態で乗場ドアが戸開しようとしたときを説明するための模式図である。
図6図6は、前記乗場出入口を規定する枠が歪んだ状態を説明するための模式図である。
図7図7は、他実施形態に係る乗場ドアのドアシュー及びその周辺を示す拡大図である。
図8図8は、他実施形態に係る乗場ドアのドアシュー及びその周辺を示す拡大図である。
図9図9は、他実施形態に係る乗場ドアの下端部を示す図である。
図10図10は、従来のエレベータの乗場ドア装置を昇降路側から見た図である。
図11図11は、敷居が傾いた状態で乗場ドアが戸開しようとしたときを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(1)本実発明の一実施形態に係る乗場ドアは、
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備える。
【0026】
(2)上記(1)に記載の乗場ドアにおいて、
矩形状のドアパネルと、
前記ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に、前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、を備え、
前記変形可能部は、前記ドアシューを含み、
該ドアシューは、上下方向における少なくとも上方向に移動可能に前記ドアパネルに配置されてもよい。
【0027】
(3)上記(2)に記載の乗場ドアにおいて、
前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを備えてもよい。
【0028】
(4)上記(2)又は(3)に記載の乗場ドアにおいて、
下限ストッパを備え、
前記ドアシューは、上下方向に移動可能に前記ドアパネルに取り付けられ、
前記下限ストッパは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制してもよい。
【0029】
(5)上記(2)~(4)のいずれかに記載の乗場ドアにおいて、
前記ドアシューを前記ドアパネルに対して相対移動可能に該ドアパネルに取り付ける取付部材を備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体を有し、
前記ドアシューは、前記溝内に嵌まり込む被ガイド部と、前記被ガイド部から上方向に延び且つ前記パネル本体に沿って広がる延設部と、を有し、
前記取付部材は、前記パネル本体との間に前記延設部を挟み込んだ状態で該パネル本体に取り付けられてもよい。
【0030】
(6)上記(5)に記載の乗場ドアにおいて、
前記ドアシューは、前記上限ストッパを有し、
前記上限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から下方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して上方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの上方向への移動を規制してもよい。
【0031】
(7)上記(5)又は(6)に記載の乗場ドアにおいて、
前記ドアシューは、前記下限ストッパを有し、
前記下限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から上方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して下方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの下方向への移動を規制してもよい。
【0032】
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の乗場ドアにおいて、
矩形状のドアパネルを備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記パネル下端部を含み、
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能であってもよい。
【0033】
以下、本発明の一実施形態について、図1図6を参照しつつ説明する。
【0034】
本実施形態に係る乗場ドア1は、図1に示すように、エレベータの乗場に設置されている乗場ドア装置100に用いられる。この乗場ドア装置100は、昇降路を規定する壁に形成された乗場出入口(かごへの乗降口)9を開閉する装置である。この乗場出入口9では、三方枠91と敷居95とが開口縁部に沿って配置されることで、該乗場出入口9を規定している。これら三方枠91と敷居95とは、乗場出入口9を規定する枠90を構成している。
【0035】
三方枠91は、乗場出入口9の側縁に沿って上下方向に延びる一対の縦枠92と、乗場出入口9の上縁に沿って水平方向に延び且つ一対の縦枠92の上端部間に架け渡されている上枠93と、を有する。
【0036】
敷居95は、乗場出入口9の下縁に沿って水平方向に延びている。この敷居95は、乗場ドア1の開閉方向(以下、単に「開閉方向」と称する。)に延び且つ該乗場ドア1の下端部を案内する溝96を有する。この溝96は、上方に向けて開口し、開閉方向の各位置での深さは一定である。本実施形態の敷居95は、乗場ドア装置100の一部も構成している。
【0037】
乗場ドア装置100は、ドアレール102を有する上部フレーム101と、少なくとも一つの乗場ドア1と、敷居95と、を備える。本実施形態の乗場ドア装置100は、二つの乗場ドア1を備え、これら二つの乗場ドア1が開閉方向に接離することで乗場出入口9を開閉する、いわゆる両開き式(センターオープン式)の乗場ドア装置である。尚、乗場ドア装置100は、両開き式に限定されず、片開式であってもよい。また、乗場ドア装置100が備える乗場ドア1の数は、一つ又は三つ以上でもよい。
【0038】
上部フレーム101は、上下方向及び開閉方向に広がる板状の部位を有し、開閉方向に延びている。この上部フレーム101は、三方枠91の上枠93に固定されている。尚、上部フレーム101の固定場所は、上枠93に限定されない。
【0039】
ドアレール102は、乗場ドア1を案内するためのレールであり、開閉方向(水平方向)に延びている。このドアレール102は、敷居95と平行な状態で上部フレーム101に取り付けられている。
【0040】
乗場ドア1は、エレベータの乗場出入口9を該乗場出入口9の幅方向(開閉方向)に移動することによって開閉する。この乗場ドア1は、上方向に変形可能な変形可能部Dを下端部に備える。本実施形態の変形可能部Dは、乗場ドア1の下端部に配置されたドアシュー3と隙間塞ぎ部材26とを含む。
【0041】
具体的に、乗場ドア1は、乗場出入口9の出入り方向(以下、単に「出入り方向」と称する。)から見て矩形状のドアパネル2と、ドアパネル2の下端から下方に突出するように配置される少なくとも一つのドアシュー3と、を備える。本実施形態の乗場ドア1は、図2図4にも示すように、ドアシュー3をドアパネル2に対して相対移動可能に該ドアパネル2に取り付ける少なくとも一つの取付部材4も備える。また、乗場ドア1は、ドアパネル2を吊り下げるドアハンガー5を備える。
【0042】
このドアハンガー5は、出入り方向に延びる軸まわりに回転可能な複数のローラ51を有し、ドアパネル2の上端部に取り付けられた状態でドアレール102に配置されている。そして、ドアハンガー5は、ドアパネル2を吊り下げた状態でローラ51がドアレール102に対して転動することで開閉方向に移動する。
【0043】
ドアパネル2は、開閉方向及び上下方向に広がるパネル本体20と、パネル本体20の下端から下方向に延びてドアパネル2の下端を構成する隙間塞ぎ部材(パネル下端部)26と、を有する。
【0044】
パネル本体20は、開閉方向及び上下方向に広がる矩形板状の主面部21と、主面部21に取り付けられ且つドアシュー3を支持する支持部23と、を有する。また、パネル本体20は、主面部21の開閉方向における両端部から延びる折り返し部22を有する。主面部21と二つ(両端部)の折り返し部22とは、出入り方向と直交する面方向に広がる矩形の板状部材の開閉方向の両端部がコ字状に折り返されることによって形成されている。本実施形態のパネル本体20は、金属製である。
【0045】
支持部23は、開閉方向及び上下方向に広がる配置面24aを有する配置部24と、配置部24と主面部21とを接続する接続部25と、を有する。本実施形態の支持部23において、配置部24と接続部25とは、一体であり、一つの金属製の板状部材が所定形状に折り曲げられることによって形成されている。
【0046】
隙間塞ぎ部材26は、ドアパネル2に上下方向に挟み込む力(所定の大きさ以上の力)が加わったときにパネル本体20より変形し易い、又はパネル本体20に対して上方向に移動可能である。本実施形態の隙間塞ぎ部材26は、ドアパネル2に上下方向に挟み込む力が加わったときにパネル本体20より変形(詳しくは、塑性変形)し易い。即ち、隙間塞ぎ部材26の曲げ剛性や座屈荷重等が、パネル本体20の曲げ剛性や座屈荷重等より小さい。
【0047】
この隙間塞ぎ部材26は、パネル本体20における主面部21の下端から下方に延びる樹脂製の部材である。本実施形態の隙間塞ぎ部材26は、開閉方向における主面部21の一端から他端まで延び(図1参照)且つ横断面(開閉方向と直交する断面)がJ又はU字状(図3参照)になるように形成されている。
【0048】
ドアシュー3は、乗場ドア1において、乗場出入口9の下端を規定する敷居95に設けられた開閉方向に延びる溝96に嵌まり込む部位である。このドアシュー3は、上下方向における少なくとも上方向に移動可能にドアパネル2(詳しくは、パネル本体20の配置部24)に配置されている。本実施形態の乗場ドア1では、一つのドアパネル2に対して二つのドアシュー3が開閉方向に間隔をあけて配置されている。これら二つのドアシュー3は、それぞれ、上下方向に移動可能にドアパネル2に配置されている。
【0049】
具体的に、ドアシュー3は、敷居95の溝96内に嵌まり込む被ガイド部31と、被ガイド部31から上方向に延び且つパネル本体20(詳しくは、配置部24)に沿って広がる延設部32と、を有する。また、ドアシュー3は、該ドアシュー3のドアパネル2に対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパ33と、ドアシュー3のドアパネル2に対する下方向への移動距離を規制する下限ストッパ34との少なくとも一方を有する。本実施形態のドアシュー3は、上限ストッパ33と下限ストッパ34とを有する。
【0050】
被ガイド部31は、開閉方向に延びると共に、溝96の幅(出入り方向の寸法)と対応する出入り方向の寸法を有する(図3参照)。この被ガイド部31は、乗場ドア1が開閉するときに上下方向の下端側の一部又は全部が溝96に嵌まり込んだ状態で該溝96内を開閉方向に移動又は摺動する。これにより、乗場ドア1の開閉時に該乗場ドア1の下端部が開閉方向に案内される。
【0051】
延設部32は、開閉方向及び上下方向(即ち、出入り方向と直交する面方向)に広がる板状の部位であり、出入り方向から見て矩形状である。
【0052】
上限ストッパ33は、ドアシュー3がパネル本体20(詳しくは、配置部24)に対して上方向に移動して取付部材4に当接することでそれ以上の該ドアシュー3の上方向への移動を規制する。具体的に、上限ストッパ33は、延設部32における取付部材4から下方向に間隔をあけた位置において出入り方向におけるパネル本体20から離れる向きに突出し且つ開閉方向に延びている。
【0053】
本実施形態の上限ストッパ33の取付部材4(詳しくは、後述の押さえ部材41)との上下方向の間隔である第一距離α1(図2参照)は、ドアシュー3(被ガイド部31)において敷居95の溝96に嵌まり込んでいる上下方向の寸法である第二距離α2(図3参照)より小さい。即ち、第一距離α1<第二距離α2、である。これにより、ドアシュー3の上方向への移動し過ぎによるドアシュー3の敷居95の溝96からの抜けを防ぐことができる。
【0054】
尚、本実施形態の乗場ドア装置100では、ドアシュー3(被ガイド部31)の下端から溝96の底面96aまでの上下方向の距離である第三距離α3(図3参照)は、ドアパネル2(隙間塞ぎ部材26)の下端から敷居95の上端までの上下方向の距離である第四距離α4(図3参照)より小さい。即ち、第三距離α3<第四距離α4、である。
【0055】
下限ストッパ34は、ドアシュー3がパネル本体20(詳しくは、配置部24)に対して下方向に移動して取付部材4に当接することでそれ以上の該ドアシュー3の下方向への移動を規制する。具体的に、下限ストッパ34は、延設部32における取付部材4から上方向に間隔をあけた位置において出入り方向におけるパネル本体20から離れる向きに突出し且つ開閉方向に延びている。
【0056】
取付部材4は、ドアパネル2のパネル本体20(詳しくは、配置部24)との間に延設部32を挟み込んだ状態で該パネル本体20に取り付けられている。本実施形態の乗場ドア1では、一つのドアシュー3が二つの取付部材4によってドアパネル2に取り付けられている。これら二つの取付部材4は、開閉方向に間隔(延設部32の開閉方向の寸法と対応する間隔)をあけて配置され、開閉方向における延設部32の両端部をパネル本体20との間に挟み込む。
【0057】
具体的に、取付部材4は、出入り方向において延設部32を配置部24に押さえつけることで該配置部24との間に延設部32を挟み込む押さえ部材41と、押さえ部材41を配置部24に固定する固定部材42と、を有する。本実施形態において、押さえ部材41は、いわゆるスライディングクリップであり、固定部材42は、ボルト421及び該ボルト421に螺合するナット422である。
【0058】
以上の乗場ドア1を備える乗場ドア装置100では、乗場出入口9を規定する枠90の変形(図5及び図6参照)によって乗場ドア1の戸開時に該乗場ドア1の下端部が敷居95(枠90の下端部)に当接したときでも、乗場ドア1に戸開方向の力が加わることで下端部(変形可能部D)が上方向に変形(又は変位)し、これにより、該乗場ドア1を前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることができる。詳しくは、以下の通りである。
【0059】
地震等によって乗場出入口9を規定する枠90が変形したとき、詳しくは、例えば、図5に示すように、敷居95が戸閉側の端部より戸開側の端部が上方向に位置するように変形したときや、図6に示すように、枠90全体が歪んだときに、敷居95と、ドアレール102(上枠93に固定されている上部フレーム101のドアレール102)の上下方向の間隔が枠90の変形前より小さくなる領域が生じる。このようなときには、ドアシュー3と敷居95の溝96(底面96a)とが当接し、又は、ドアパネル2の下端と敷居95とが当接することによって、エレベータかご等に設置されているドアオペレータ(かごドアを開閉駆動することによって、かごの乗場への到着(着床)によってかごドアと係合した乗場ドア1を該かごドアに追従させて一緒に開閉させる装置)の駆動力のみでは、乗場ドア1が戸開できない場合がある。尚、上部フレーム101の固定場所は、上枠93に限定されない。この場合でも、地震等によって大きな力が加わることで、変形や歪み等によって敷居95と上部フレーム101のドアレール102との間隔が小さくなるときがある。
【0060】
このような場合、管制運転によって避難階の乗場にかごが到着できても、ドアオペレータの駆動力のみでは乗場ドア1が戸開できず、これにより、かごに乗っていた乗客等がかご内に閉じ込められてしまう。
【0061】
しかし、本実施形態の乗場ドア装置100が備える乗場ドア1は、上方向に変形(又は変位)可能な変形可能部D(本実施形態の例では、ドアシュー3、隙間塞ぎ部材26)を下端部に備えているため、乗場出入口9を規定する枠90の変形(図5及び図6参照)によって乗場ドア1の戸開時に該乗場ドア1の下端部が敷居95(枠の下端部)に当接したときでも、乗場ドア1に戸開方向の力(例えば、かご等に配置されたドアオペレータからの駆動力)が加わることで下端部が上方向に変形する。即ち、前記当接位置より更に戸開方向に乗場ドア1を移動させようとしたときに、敷居95とドアレール102(三方枠91の上枠93)との間隔がより小さくなる又は小さくなっているため、ドアパネル2に加わる上下方向に挟み込む力がより大きくなる、又は既に十分に大きいが、この力(詳しくは、ドアパネル2の下端に対する上方向の力)によって変形可能部Dが上方向に変形(又は変位)し又は変形(又は変位)していることで該乗場ドア1を前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることが可能になる。
【0062】
これにより、乗場ドア1が全開位置まで戸開できなくても、乗客がかごから乗場に降りることができる程度の戸開ができ、その結果、避難階の乗場に到着したかごでの乗客の閉じ込めを防ぐことが可能となる。
【0063】
本実施形態の乗場ドア1は、矩形状のドアパネル2と、ドアパネル2の下端から下方に突出するように配置されると共に、乗場出入口9の下端を規定する敷居95に設けられた開閉方向に延びる溝96に嵌まり込むドアシュー3と、を備える。そして、変形可能部Dは、ドアシュー3を含み、該ドアシュー3は、上下方向における少なくとも上方向に移動可能にドアパネル2に配置されている。
【0064】
このように、ドアシュー3が上下方向における少なくとも上方向に移動可能にドアパネル2に配置されているため、乗場出入口9を規定する枠90の変形によって乗場ドア1の戸開時にドアシュー3が敷居95の溝96の底面96aに当接したときでも、乗場ドア1に戸開方向の力が加わることでドアシュー3が上方向に移動し、これにより、該乗場ドア1を前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることができる。
【0065】
また、本実施形態の乗場ドア1は、ドアシュー3のドアパネル2に対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパ33を備えている。これにより、ドアシュー3がドアパネル2に対して上方向へ移動し過ぎることを防ぐことができる。その結果、ドアシュー3が敷居95の溝96から抜けることを防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態の乗場ドア1では、ドアシュー3は、上下方向に移動可能にドアパネル2に取り付けられている。そして、乗場ドア1は、ドアシュー3のドアパネル2に対する下方向への移動距離を規制する下限ストッパ34を備えている。これにより、ドアシュー3がドアパネル2に対して下方向へ移動し過ぎることを防ぐことができる。その結果、メンテナンス等におけるドアシュー3の上下方向の位置の調整時や、取付部材4の固定部材42の緩み等によるドアパネル2からのドアシュー3の抜け落ち等を確実に防ぐことができる。
【0067】
また、本実施形態の乗場ドア1は、ドアシュー3をドアパネル2に対して相対移動可能に該ドアパネル2に取り付ける取付部材4を備え、ドアパネル2は、開閉方向及び上下方向に広がるパネル本体20を有し、ドアシュー3は、溝96内に嵌まり込む被ガイド部31と、被ガイド部31から上方向に延び且つパネル本体20(詳しくは、配置部24)に沿って広がる延設部32と、を有する。そして、取付部材4(詳しくは、押さえ部材41)は、パネル本体20との間に延設部32を挟み込んだ状態で該パネル本体20に取り付けられる。
【0068】
このように、延設部32をパネル本体20と取付部材4とによって挟み込むことでドアシュー3をパネル本体20に取り付ける(即ち、二つの部材20、4間に挟み込んだときの摩擦によって位置を保持させる)ことで、乗場ドア1に対して上下方向に挟み込む力(所定の大きさ以上の力)が加わったときにドアシュー3がパネル本体20に対して上方向に移動可能な構成の簡素化を図ることができる。
【0069】
また、本実施形態の乗場ドア1では、ドアシュー3が上限ストッパ33を有し、この上限ストッパ33は、延設部32における取付部材4(詳しくは、押さえ部材41の下端)から下方向に間隔をあけた位置に配置され、ドアシュー3がパネル本体20に対して上方向に移動して取付部材4(詳しくは、押さえ部材41)に当接することでそれ以上の該ドアシュー3の上方向への移動を規制する。このような簡素な構成によって、ドアシュー3の上方向への移動し過ぎによる敷居95の溝96からの抜けを確実に防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態の乗場ドア1では、ドアシュー3が下限ストッパ34を有し、この下限ストッパ34は、延設部32における取付部材4(詳しくは、押さえ部材41の上端)から上方向に間隔をあけた位置に配置され、ドアシュー3がパネル本体20に対して下方向に移動して取付部材4(詳しくは、押さえ部材41)に当接することでそれ以上の該ドアシュー3の下方向への移動を規制する。このような簡素な構成によって、ドアシュー3のパネル本体20からの抜け落ちを防ぐことができる。
【0071】
また、本実施形態の乗場ドア1は、矩形状のドアパネル2を備え、このドアパネル2は、開閉方向及び上下方向に広がるパネル本体20と、該パネル本体20の下端から下方向に延びて該ドアパネル2の下端を構成する隙間塞ぎ部材(パネル下端部)26と、を有する。そして、変形可能部Dは、隙間塞ぎ部材26を含み、隙間塞ぎ部材26は、ドアパネル2に上下方向に挟み込む力が加わったときにパネル本体20より変形し易い。
【0072】
このように、ドアパネル2の下端部がパネル本体20より変形し易い隙間塞ぎ部材26によって構成されることで、乗場出入口9を規定する枠90の変形によって乗場ドア1の戸開時にドアパネル2が敷居95に当接したときでも、乗場ドア1に戸開方向の力が加わることで隙間塞ぎ部材26が変形し、これにより、該乗場ドア1を前記当接した位置から更に戸開方向に移動させることができる。
【0073】
尚、本発明の乗場ドアは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0074】
取付部材4の具体的な構成は限定されない。この取付部材4は、ドアシュー3に所定の大きさ以上の上方向の力が加わったときに該ドアシュー3が上下方向における少なくとも上方向に移動できる構成であればよい。
【0075】
上記実施形態の乗場ドア1では、スライディングクリップ(押さえ部材)41と、ボルト421及びナット422(固定部材42)と、によって延設部32がスライディングクリップ41とパネル本体20(上記実施形態の例では、配置部24)との間に挟み込まれることで、ドアシュー3は、上下方向に移動可能に取り付けられているが、この構成に限定されない。例えば、ドアシュー3において、図7に示すように、延設部32が上下方向に延びる少なくとも一つの長孔32aを有し、取付部材4が長孔32a及びパネル本体20に挿通されるボルト421と該ボルト421に螺合するナット422とによって構成されていてもよい。このとき、長孔32aの数と取付部材4(ボルト421及びナット422)の数とは、それぞれ一つに限定されず、複数ずつ設けられてもよい。これらの構成によっても、延設部32がパネル本体20とボルト421又はナット422等との間に挟み込まれることによって、ドアシュー3が上下方向に移動可能に取り付けられる。また、ボルト421及びナット422の締付具合の調整によってパネル本体20と延設部32との間の摩擦力を調整することができる。
【0076】
また、上記実施形態の乗場ドア1では、ドアシュー3が上方向に動き始めるときのドアシュー3に加わる上方向への力(ドアパネル2を上下方向から挟み込む向きの力)の大きさは、パネル本体20(配置部24)とドアシュー3の延設部32との間の摩擦力の大きさを調整することによって変更することができるが、この構成に限定されない。
【0077】
ドアシュー3は、図8に示すように、弾性部材(図8に示す例では、バネ)45によって下向きに付勢されており、該ドアシュー3に所定の大きさ以上の上方向の力が加わったときに該ドアシュー3が上方向に移動する構成等でもよい。このように、ドアシュー3が下方向に向けて弾性部材45等によって付勢されている構成の場合には、弾性力(図8に示す例では、バネ定数)が調整されることによってドアシュー3が上方向に動き始めるときの力(ドアシュー3に加わる上方向の力)の大きさを変更できる。
【0078】
また、上記実施形態のドアシュー3は、ドアパネル2の配置部24に取り付けられているが、この構成に限定されない。ドアシュー3は、ドアパネル2の主面部21に取り付けられる構成でもよい。この場合、例えば、スライディングクリップ41は、溶接等によって主面部21に固定されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態の乗場ドア1では、ドアシュー3の上下方向の移動距離を規制する上限ストッパ33及び下限ストッパ34は、ドアシュー3に設けられているが、この構成に限定されない。上限ストッパ33及び下限ストッパ34の少なくとも一方が、パネル本体20(配置部24又は主面部21等)に設けられていてもよい。即ち、ドアパネル2が上限ストッパ33及び下限ストッパ34の少なくとも一方を有する構成であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態の乗場ドア1では、ドアパネル2の下端に所定の大きさ以上の上方向の力が加わったときにパネル本体20より変形し易い隙間塞ぎ部材(パネル下端部)26によってドアパネル2の下端部が構成されているが、この構成に限定されない。例えば、図9に示すように、パネル下端部26Aは、図7に示すドアシュー3及び取付部材4の構成と同様の構成によって、ドアパネル2の下端(即ち、パネル下端部26の下端)に所定の大きさ以上の上方向の力が加わったときにパネル本体20に対して上方向に移動する構成であってもよい。
【0081】
また、ドアパネル2は、変形し易い又は上方向に移動可能なパネル下端部(隙間塞ぎ部材)26、26Aを備えない構成であってもよい。即ち、ドアパネル2が上端から下端までパネル本体20によって構成されていてもよい。
【0082】
また、ドアパネル2が、変形し易い又は上方向に移動可能なパネル下端部26、26Aを備える構成の場合、ドアシュー3がパネル本体20に対して固定されている構成であってもよい。敷居95の溝96が十分に深く(即ち、第三距離α3>第四距離α4:図3参照)、これにより、乗場出入口9を規定する枠90が変形し、戸開時にドアシュー3が敷居95の溝96の底面96aに当接せずにドアパネル2の下端が敷居95に当接するときには、パネル下端部26、26Aが変形又は上方向に移動することで、乗場ドア1に戸開方向の力を加えることでドアパネル2の下端が敷居95に当接した位置から更に乗場ドア1を戸開させることができる。
【符号の説明】
【0083】
1…乗場ドア、2…ドアパネル、20…パネル本体、21…主面部、22…折り返し部、23…支持部、24…配置部、24a…配置面、25…接続部、26、26A…隙間塞ぎ部材(パネル下端部)、3…ドアシュー、31…被ガイド部、32…延設部、32a…長孔、33…上限ストッパ、34…下限ストッパ、4…取付部材、41…スライディングクリップ(押さえ部材)、42…固定部材、421…ボルト、422…ナット、45…弾性部材、5…ドアハンガー、51…ローラ、9…乗場出入口、90…枠、91…三方枠、92…縦枠、93…上枠、95…敷居、96…溝、96a…底面、100…乗場ドア装置、101…上部フレーム、102…ドアレール、500…ドア装置、501…ドアハンガー、502…乗場ドア、503…ドアパネル、504…ドアシュー、505…敷居、506…敷居溝、D…変形可能部、α1…第一距離、α2…第二距離、α3…第三距離、α4…第四距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備えると共に、矩形状のドアパネルと、該ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、を備え、
前記変形可能部は、前記ドアシューを含み、
このドアシューは、該ドアシューの下端と前記溝の底面との間に上下方向の間隔をあけた位置が摩擦によって保持されるように前記ドアパネルに配置され、前記乗場出入口の上下方向の間隔が狭くなって該ドアシューが前記底面に押されたときに前記ドアパネルに対して上方に移動する、乗場ドア。
【請求項2】
前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを備える、請求項に記載の乗場ドア。
【請求項3】
下限ストッパを備え、
前記ドアシューは、上下方向に移動可能に前記ドアパネルに取り付けられ、
前記下限ストッパは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制する、請求項に記載の乗場ドア。
【請求項4】
前記ドアシューを前記ドアパネルに対して相対移動可能に該ドアパネルに取り付ける取付部材を備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体を有し、
前記ドアシューは、前記溝内に嵌まり込む被ガイド部と、前記被ガイド部から上方向に延び且つ前記パネル本体に沿って広がる延設部と、を有し、
前記取付部材は、前記パネル本体との間に前記延設部を挟み込んだ状態で該パネル本体に取り付けられる、請求項又はに記載の乗場ドア。
【請求項5】
前記ドアシューは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパを有し、
前記上限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から下方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して上方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの上方向への移動を規制する、請求項に記載の乗場ドア。
【請求項6】
前記ドアシューは、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制する下限ストッパを有し、
前記下限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から上方向に間隔をあけた位置に配置され、前記ドアシューが前記パネル本体に対して下方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの下方向への移動を規制する、請求項に記載の乗場ドア。
【請求項7】
記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記パネル下端部を含み、
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の乗場ドア。
【請求項8】
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備えると共に、矩形状のドアパネルと、前記ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に、前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、を備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記ドアシューと、前記パネル下端部と、を含み、
これらドアシューとパネル下端部とは、別体であり、
前記ドアシューは、上下方向における少なくとも上方向に移動可能に前記ドアパネルに配置され
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能である、乗場ドア。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備えると共に、矩形状のドアパネルと、該ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、前記ドアシューを前記ドアパネルに対して相対移動可能に該ドアパネルに取り付ける取付部材と、を備え、
前記変形可能部は、前記ドアシューを含み、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体を有し、
前記ドアシューは、前記溝内に嵌まり込む被ガイド部と、前記被ガイド部から上方向に延び且つ前記パネル本体に沿って広がる延設部と、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する上方向への移動距離を規制する上限ストッパと、を有し、
このドアシューは、該ドアシューの下端と前記溝の底面との間に上下方向の間隔をあけた位置が摩擦によって保持されるように前記ドアパネルに配置され、前記乗場出入口の上下方向の間隔が狭くなって該ドアシューが前記底面に押されたときに前記ドアパネルに対して上方に移動し、
前記取付部材は、前記パネル本体との間に前記延設部を挟み込んだ状態で該パネル本体に取り付けられ、
前記上限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から下方向に間隔をあけた位置において出入方向における前記パネル本体から離れる向きに突出し且つ開閉方向に延び、前記ドアシューが前記パネル本体に対して上方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの上方向への移動を規制する、乗場ドア。
【請求項2】
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備えると共に、矩形状のドアパネルと、該ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、前記ドアシューを前記ドアパネルに対して相対移動可能に該ドアパネルに取り付ける取付部材と、を備え、
前記変形可能部は、前記ドアシューを含み、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体を有し、
前記ドアシューは、上下方向に移動可能に前記ドアパネルに取り付けられ、前記溝内に嵌まり込む被ガイド部と、前記被ガイド部から上方向に延び且つ前記パネル本体に沿って広がる延設部と、前記ドアシューの前記ドアパネルに対する下方向への移動距離を規制する下限ストッパと、を有し、
このドアシューは、該ドアシューの下端と前記溝の底面との間に上下方向の間隔をあけた位置が摩擦によって保持されるように前記ドアパネルに配置され、前記乗場出入口の上下方向の間隔が狭くなって該ドアシューが前記底面に押されたときに前記ドアパネルに対して上方に移動し、
前記取付部材は、前記パネル本体との間に前記延設部を挟み込んだ状態で該パネル本体に取り付けられ、
前記下限ストッパは、前記延設部における前記取付部材から上方向に間隔をあけた位置において出入方向における前記パネル本体から離れる向きに突出し且つ開閉方向に延び、前記ドアシューが前記パネル本体に対して下方向に移動して前記取付部材に当接することでそれ以上の該ドアシューの下方向への移動を規制する、乗場ドア。
【請求項3】
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記パネル下端部を含み、
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能である、請求項1又は2に記載の乗場ドア。
【請求項4】
エレベータの乗場出入口を該乗場出入口の幅方向に移動することによって開閉する乗場ドアであって、
該乗場ドアは、上方向に変形可能な変形可能部を下端部に備えると共に、矩形状のドアパネルと、前記ドアパネルの下端から下方に突出するように配置されると共に、前記乗場出入口の下端を規定する敷居に設けられた前記幅方向に延びる溝に嵌まり込むドアシューと、を備え、
前記ドアパネルは、前記幅方向及び上下方向に広がるパネル本体と、該パネル本体の下端から下方向に延びて該ドアパネルの下端を構成するパネル下端部と、を有し、
前記変形可能部は、前記ドアシューと、前記パネル下端部と、を含み、
これらドアシューとパネル下端部とは、別体であり、
前記ドアシューは、上下方向における少なくとも上方向に移動可能に前記ドアパネルに配置され、
前記パネル下端部は、前記ドアパネルに上下方向に挟み込む力が加わったときに前記パネル本体より変形し易い、又は前記パネル本体に対して上方向に移動可能である、乗場ドア。