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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118608
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20240826BHJP
   F16L 21/02 20060101ALI20240826BHJP
   F16L 37/088 20060101ALI20240826BHJP
   B29C 45/38 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
F16L21/08 G
F16L21/02 Z
F16L37/088
B29C45/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024981
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔太
(72)【発明者】
【氏名】川▲高▼ 俊基
(72)【発明者】
【氏名】頼 蘭馨
(72)【発明者】
【氏名】上杉 行乃
(72)【発明者】
【氏名】近本 博章
【テーマコード(参考)】
3H015
3J106
4F202
【Fターム(参考)】
3H015BB01
3H015BC01
3H015JA02
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE24
3J106CA02
3J106EA03
3J106EB02
3J106EC01
3J106ED13
4F202AG08
4F202AG28
4F202AH11
4F202AR07
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK06
4F202CK12
(57)【要約】
【課題】パイプを挿入する時にパイプや施工者の手を傷つけることがなく、かつ施工時にインコアを視認できることが可能な管継手を提供することを目的とする。
【解決手段】継手本体と、前記継手本体の内周面に配置されたインコアと、前記継手本体の端部に配置されたキャップ102と、を備え、前記キャップ102の端面102cは複数の貫通凹部200を有し、前記貫通凹部200の少なくとも1つにゲート痕201がある、管継手。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体と、
前記継手本体の内周面に配置されたインコアと、
前記継手本体の端部に配置されたキャップと、を備え、
前記キャップの端面は複数の貫通凹部を有し、
前記貫通凹部の少なくとも1つにゲート痕がある、管継手。
【請求項2】
前記キャップの端面において、前記貫通凹部の端面が一部凹構造である、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記キャップの端面において、前記貫通凹部が3か所以上均等に配置されている、請求項1または2に記載の管継手。
【請求項4】
前記キャップの端面において、前記貫通凹部が占める面積の割合が2%~20%である、請求項1または2に記載の管継手。
【請求項5】
前記貫通凹部の深さが0.5mm~3mmである、請求項1または2に記載の管継手。
【請求項6】
前記貫通凹部の周方向における切り欠きの長さが1.0mm~4.0mmである、請求項1または2に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物内の給水、給湯、又は空調機器等に用いられるパイプを接続するために、管継手が用いられている(例えば、特許文献1参照)。管継手は、内周面に収容凹部が形成された筒状の継手本体と、収容凹部に収容され、継手本体の内側に挿入されるパイプの外周面に接触する抜け止めリングと、継手本体の内周面に配置された環状のスペーサーと、を備えている。スペーサーは、第1の抜け止めリングと第2の抜け止めリングに挟まれている。また、第1の抜け止めリングは、ベースとスペーサーに挟まれている。また、継手本体には、合成樹脂製のキャップが装着されている。合成樹脂製のキャップは、射出成型によって製造されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-139495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャップの射出成形工程において、ゲート痕が残ることがある。特許文献1の管継手のようにキャップの内周面にゲート用の凹部を設けてその内部にゲート痕を形成すると、パイプを挿入した時に、ゲート痕の切れ残りによりパイプが傷つくことがあり、止水することができないことがあった。また、施工現場で管継手のパイプを挿入する工程において、インコアをキャップに挿入したとき、インコアがキャップの端面に対して1mm程度しか飛び出ておらず、視認しにくい問題点もあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、施工現場で管継手のパイプを挿入する時にパイプを傷つけにくく、かつインコアを視認できることが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の管継手は、継手本体と、前記継手本体の内周面に配置されたインコアと、前記継手本体の端部に配置されたキャップと、を備え、前記キャップの端面は複数の貫通凹部を有し、前記貫通凹部の少なくとも1つにゲート痕がある、管継手。
【0007】
この発明によれば、キャップの端面が複数の貫通凹部を有し、貫通凹部の少なくとも1つにゲート痕があるため、施工現場でパイプを挿入する時にパイプを傷つけにくい。また、貫通凹部を通してインコアを視認することができる。
【0008】
また、上記の管継手において、前記キャップの端面において、前記貫通凹部の端面が一部凹構造であってもよい。
この発明によれば、貫通凹部の端面が一部凹構造であるため、キャップを縦断面で見たときに段差が形成され、インコアを視認することができる。
【0009】
また、上記の管継手において、キャップの端面において、前記貫通凹部が3か所以上均等に配置されていてもよい。
この発明によれば、施工時にキャップを前後左右どの方向から見てもゲート痕が視認できるので、施工現場でパイプを挿入する時にパイプをより傷つけにくい。さらに前後左右どの方向から見てもインコアを視認することができる。
【0010】
また、上記の管継手において、前記キャップの端面において、前記貫通凹部が占める面積の割合が2%~20%であってもよい。
この発明によれば、キャップの射出成形工程において、キャップの端面の貫通凹部から合成樹脂が均等に流れやすくなるため、例えば、キャップが真円になるように成形される。
【0011】
また、上記の管継手において、前記貫通凹部の深さが0.5mm~3mmであってもよい。
この発明によれば、貫通凹部をより深くすることで管継手の成形工程において貫通凹部に対してトルクを大きくかけることができ、キャップを管継手に対して容易に締めこむことができる。
【0012】
また、上記の管継手において、前記貫通凹部の周方向における切り欠きの長さが1.0mm~4.0mmであってもよい。
この発明によれば、管継手の成形工程において用いる十字の継手治具の強度を確保できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施工現場で管継手のパイプを挿入する時にパイプを傷つけにくく、かつインコアを視認できる管継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る管継手を示す図であって、一部断面を含む斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る管継手の部品構成を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るキャップの形状を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るキャップの形状を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るキャップの縦断面図の一部である。
図6】本発明の一実施形態に係るインコアを挿入した時のキャップの縦断面図の一部である。
図7】本発明の一実施形態に係るキャップの雌ねじ部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図2を参照し、本発明の一実施形態に係る管継手100について説明する。図1は、継手本体101と、継手本体101の内周面に配置された環状のパッキン103aと、継手本体101の内周面に配置された環状のベース部材103bと、継手本体101の内周面に配置された環状のスペーサー104cと、継手本体101の内周面に配置された第1の抜け止めリング104aと、継手本体101の内周面に配置された第2の抜け止めリング104bと、継手本体101の内周面に配置された樹脂製のインコア105と、継手本体101の端部に配置されたキャップ102を備える。
本実施形態に係る管継手100は、建物内の吸水、給湯又は空調機器用の複数のパイプ(配管)を接続するための部材である。管継手100と、この管継手100に接続されるパイプと、は配管構造を構成する。
【0016】
管継手100は、筒状の継手本体101と、継手本体101の端部に設けられたキャップ102と、を備えている。
以下では、継手本体101の中心軸線に沿う方向を軸方向といい、継手本体101を軸方向から見た平面視で、前記中心軸線と交差する方向を径方向という。また、前記平面視で前期中心軸線回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
継手本体101の軸方向の端部における内周面には、段113が形成されている。段113は、継手本体101の内周面から径方向の内側に向けて突出している。段113は、周方向の全周にわたって設けられている。段113において、継手本体101の内径は、軸方向の外側から内側に向けて段階的に(段状に)縮径している。段113には、継手本体101とは別体で形成されたインコア105が突き当たる。
以下では、継手本体101のうち、継手本体101の端面から段113に至るまでの部分を、継手本体101の開口端という。
【0018】
継手本体101の軸方向の両端部それぞれにおける外周面には、外フランジ部101bと、雄ねじ部101cと、が形成されている。
外フランジ部101bは、継手本体101から径方向の外側に向けて突出する。外フランジ部101bは、継手本体101の外周面に、全周にわたって延びている。
雄ねじ部101cは、継手本体101の外周面のうち、外フランジ部101bよりも軸方向の外側(即ち、継手本体101の端部寄り)に位置する部分に形成されている。
【0019】
図1図2に示すように、キャップ102は、軸方向に段階的に外径が小さくなっている筒状である。キャップ102は、内周面に雌ねじが形成された第1筒102aと、第1筒102aよりも軸方向に沿って外側に位置する第2筒102bと、を備えている。
第1筒102aは、雄ねじ部101cに螺着する。キャップ102の内周の第1筒102aと第2筒102bとの境界に相当する部分には段差102dが設けられている。段差102dは、周方向の全周にわたって延びている。段差102dは、継手本体101において軸方向の外側を向く端面に接触又は近接する。
【0020】
第2筒102bは、第1筒102aよりも小径である。第2筒102bは、第1筒102aから軸方向の外側に延びる。
管継手100において、継手本体101とキャップ102との間には、止水部103及び固定部104を収容するための収容凹部106が形成されている。収容凹部106は、段差102dと、継手本体101において軸方向の外側を向く端面と、の間に形成されている。収容凹部106は、周方向の全周にわたって延びている。
【0021】
継手本体101は、例えば、合成樹脂材料の射出成形又は金属材料の切削加工、鋳造若しくは鍛造により形成されている。
キャップ102は、例えば、合成樹脂材料の射出成形又は金属材料の切削加工、鋳造若しくは鍛造により形成されている。
前記合成樹脂材料としては、例えば、架橋ポリエチレン、ポリブデン、塩化ビニル(PVC)、ポリサルフォン樹脂(PSU)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ガラス繊維強化PPS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。また、切削加工や融着等の他の加工方法を用いてもよい。
前記金属材料としては、ステンレス鋼、低合金鋼、炭素鋼、低温用炭素鋼、低温用合金鋼、真鍮、砲金、アルミニウム合金、マグネシウム合金等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。
【0022】
管継手100における軸方向の各端部には、継手本体101の端部に向かって順に、パッキン103a(シール部材)と、ベース部材103bと、抜け止めリング104a(第1の抜け止めリング)と、スペーサー104cと、抜け止めリング104b(第2の抜け止めリング)と、が設けられている。即ち、固定部104は止水部103よりも端部寄りに位置している。
パッキン103a及びベース部材103bは止水部103を構成する。止水部103によって、パイプPの内容物が管継手100から漏れ出ることを防ぐ。
抜け止めリング104a、スペーサー104c及び抜け止めリング104bは固定部104を構成する。管継手100に挿入したパイプPは、固定部104によって管継手100に固定される。
【0023】
パッキン103a(シール部材)は、継手本体101の内周面に配置されている。パッキン103aは、図示の例では1つだが、軸方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。パッキン103aは、断面円形の環状である。パッキン103aは、周方向の全周にわたって延びている。図示の例では、パッキン103aとしてOリングが採用されている。パッキン103aの材質としては、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、ビニルメチルシリコンゴム(VMQ)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム材料を採用することができる。
【0024】
ベース部材103bは、パッキン103aと抜け止めリング104aとの間に配置されている。ベース部材103bは、パッキン103aと抜け止めリング104aとが接触することを規制する。ベース部材103bは、環状に形成されている。ベース部材103bは、周方向の全周にわたって延びている。ベース部材103bは、継手本体101の開口端内に嵌め込まれている。ベース部材103bは、継手本体101の内周面に設けられた段である第1段に接触している。ベース部材103bは、継手本体101の前記第1段に対して軸方向の外側から引っ掛けられている。ベース部材103bの内径は、パッキン103aの内径よりも大きい。
ベース部材103bは、例えば、合成樹脂材料の射出成形又は金属材料の切削加工、鋳造若しくは鍛造により形成されている。
前記合成樹脂材料としては、例えば、架橋ポリエチレン、ポリブデン、塩化ビニル(PVC)、ポリサルフォン樹脂(PSU)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ガラス繊維強化PPS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。また、切削加工や融着等の他の加工方法を用いてもよい。
前記金属材料としては、ステンレス鋼、低合金鋼、炭素鋼、低温用炭素鋼、低温用合金鋼、真鍮、砲金、アルミニウム合金、マグネシウム合金等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。
【0025】
抜け止めリング104a、104b(第1の抜け止めリング、第2の抜け止めリング)及びスペーサー104cは、ベース部材103bに対して軸方向の外側に配置されている。抜け止めリング104a、104b及びスペーサー104cは、継手本体101の収容凹部に配置されている。収容凹部は、前記第1段よりも軸方向の外側に位置している。抜け止めリング104a、104b及びスペーサー104cは、前記収容凹部に対して、軸方向に若干の遊びをもった状態で配置されている。抜け止めリング104a、スペーサー104c及び抜け止めリング104bは、軸方向の外側から内側に向けてこの順に並べられて配置されている。スペーサー104cは、前記収容凹部において、抜け止めリング104a及び抜け止めリング104bの間に軸方向に挟まれて配置されている。
【0026】
さらに、図3又は図4に示すように、キャップ102の端面102cは、複数の貫通凹部200を有し、貫通凹部200の少なくとも1つにゲート痕201がある。複数の貫通凹部200は、周方向にみて3か所以上均等に配置されていてもよい。図3では、貫通凹部200を周方向にみて4か所均等に設けている。図4では、貫通凹部200を周方向にみて8か所均等に設けている。これにより、施工現場でパイプPをキャップ102に挿入するときであっても、ゲート痕201の切れ残りがキャップ102の内周面ではなく端面102cにあるため、パイプPを傷つけにくい。そのため、パイプPの傷による水漏れを防ぐことができる。さらに、貫通凹部200を3か所以上均等に配置すると、前後左右どの方角から見てもゲート痕201を視認することができるので、より確実にパイプPを傷つけることがなく施工を行うことができる。
【0027】
また、図5に示すように、キャップ102の端面102cにおいて、複数の貫通凹部200の端面202が一部凹構造となっている。貫通凹部200は、径方向から見た正面視において矩形状である。これにより、キャップ102を縦断面で見たとき、端面102cと端面202の間に段差が生じる。この段差を貫通凹部200の深さとする。パイプPを挿入した時、キャップ102の端面102cにおいて、インコア105は数ミリ飛び出すように設計されているが、端面102cと端面202の間に段差を設けることで、図6に示すようにパイプPを挿入した時でも、段差が窓として機能しインコア105が挿入されたことを施工者が視認することができる。管継手100はインコア105が挿入されていないと施工不良を起こすことがあるため、施工者はインコア105が挿入されたことを視認することでより確実に施工を行うことができる。
【0028】
またキャップ102は、射出成型によって製造される。合成樹脂をキャップ102の端面102c側から縦方向に流し込むことにより、合成樹脂製のキャップ102が成形される。また、管継手100を製造する際、キャップ102は、最後の工程として、例えば十字の継手治具を用いて継手本体101に対して締めこまれる。言い換えると、継手本体101の収容凹部に前述した各部材が配置された状態で、キャップ102が継手本体101に対して絞め込まれる。このとき、貫通凹部200に対して継手治具を嵌め込んだ状態で、継手治具を周方向に回転させると、継手治具がキャップ102に対してひっかかり、キャップ102が継手本体101に装着される。
【0029】
貫通凹部200の深さを0.5mm未満とすると、施工者は十分にインコア105が挿入されたことを視認することが出来ない。一方、貫通凹部200の深さを3mm以上とすると、キャップ102の縦方向の切り欠きが大きくなるため、キャップ102自体の衝撃に対する強度が弱くなる可能性がある。そのため、貫通凹部200の深さは、0.5mm~3mmとすることが好ましく、0.5mm~2mmとすることがより好ましい。貫通凹部200の深さを0.5mm~3mmとすることで、管継手100の施工工程においても貫通凹部200にトルクを大きくかけることができ、キャップ102を管継手100に対して容易に締めこむことができる。
【0030】
図7に示すように、キャップ102の内側に雌ねじ部203が設けられている。雌ねじ部203は、管継手を施工する際に雄ねじ部101cに嵌め込まれる部材である。合成樹脂はキャップ102の端面102c側から、複数の貫通凹部200を介して均等に縦方向に流し込まれるため、射出成型後の残留応力がキャップ102の縦方向に残る。一方、キャップ102の内径方向には残留応力が残りにくい。そのため、雌ねじ部203が真円状に成形される。雌ねじ部203を真円状とすることで、雄ねじ部101cをより滑らかに締め込むことが可能になる。キャップ102の端面102cにおいて、貫通凹部200が占める面積の割合を2%~20%とすることで、貫通凹部200を複数設けることができ、かつ、キャップ102の表面全体を覆うシール材との接触面積を確保できる。貫通凹部200が占める面積の割合は、3%~15%とすることがより好ましい。
【0031】
さらに、貫通凹部200の周方向における切り欠きの長さを1.0mm~4.0mmとすることが好ましい。貫通凹部200の周方向における切り欠きの長さを1.0mm未満とすると、管継手100を施工する際、キャップ102を締め込むための十字の継手治具の強度が低くなる。切り欠きの長さを4.0mm以上とすると、キャップ102の表面全体を覆うシール材との接触面積が減る。なお、シール材は、商品として管継手100が市場に流通する際、管継手100の内部からインコア105が離脱するのを規制するための部材である。
【0032】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、本実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【実施例0033】
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は後述する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
【0034】
(実施例)
実施例では、キャップ102の端面102cにおいて、貫通凹部200が4か所均等に設けられている場合の貫通凹部200の面積割合、貫通凹部200が8か所均等に設けられている場合の貫通凹部200の面積割合を測定した。継手口径は10A、13A、16A、20Aであるものを用いた。このときの結果を表1、表2に示す。表1は貫通凹部200が4か所均等に設けられている図3の例、表2は貫通凹部200が8か所均等に設けられている図4の例で測定した結果を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
表1、表2にも示されるように、キャップ102の端面102cにおいて、複数の貫通凹部200を均等に設けることで、様々な大きさの継手口径を用いても貫通凹部200が占める面積の割合は2%~20%となった。
【符号の説明】
【0038】
100 管継手
101 継手本体
101b 外フランジ部
101c 雄ねじ部
102 キャップ
102a 第1筒
102b 第2筒
102c 端面
102d 段差
103 止水部
103a パッキン
103b ベース部材
104 固定部
104a 抜け止めリング
104b 抜け止めリング
104c スペーサー
105 インコア
106 収容凹部
113 段
200 貫通凹部
201 ゲート痕
202 端面
203 雌ねじ部
P パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7