(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118617
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20240826BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240826BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240826BHJP
F24F 140/10 20180101ALN20240826BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20240826BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/64
F25B1/00 304Q
F25B1/00 341C
F25B1/00 361A
F25B1/00 371C
F24F140:10
F24F140:00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024998
(22)【出願日】2023-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田沼 智
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA04
3L260CB17
3L260CB18
3L260DA02
3L260EA07
3L260EA12
3L260EA27
3L260FB02
3L260FB07
3L260FC32
(57)【要約】
【課題】圧縮機の一時停止を抑制し、状況に応じて圧縮機の運転を適切に継続させることが可能な空気調和装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る空気調和装置は、室外側配管、圧縮機、第1の圧力検出部、室外熱交換器、膨張弁、第2の圧力検出部を有する室外ユニットと、室外側配管よりも設計圧力が低い室内側配管、室内熱交換器を有する室内ユニットと、制御部とを備える。制御部は、圧縮機から吐出された冷媒の第1の圧力もしくは膨張弁で減圧された冷媒の第2の圧力に応じて圧縮機を一時停止させ、第1の圧力に応じて圧縮機を一時停止させた場合、膨張弁の開度を初期開度よりも大きくして圧縮機の運転を再開させ、第2の圧力に応じて圧縮機を一時停止させた場合、膨張弁の開度を初期開度よりも小さくして圧縮機の運転を再開させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる室外側配管と、前記室外側配管から前記冷媒を吸い込んで圧縮し、圧縮した前記冷媒を前記室外側配管に吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する第1の圧力検出部と、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を凝縮する室外熱交換器と、前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を開度に応じて減圧させる膨張弁と、前記膨張弁で減圧された前記冷媒の第2の圧力を検出する第2の圧力検出部と、を有する室外ユニットと、
前記室外側配管よりも設計圧力が低く、前記室外側配管と接続されて前記冷媒が流れる室内側配管と、前記膨張弁で減圧された前記冷媒を蒸発させる室内熱交換器と、を有する室内ユニットと、
前記圧縮機を運転もしくは一時停止させて、前記室内側配管を流れる前記冷媒の圧力が前記室内側配管の設計圧力の範囲内となるように前記室外側配管を流れる前記冷媒の圧力を調整する制御部と、を備えた空気調和装置であって、
前記制御部は、前記膨張弁の開度を調整するとともに前記第1の圧力もしくは前記第2の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させ、前記第1の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させた場合、前記膨張弁の開度を初期開度よりも大きくして前記圧縮機の運転を再開させ、前記第2の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させた場合、前記膨張弁の開度を初期開度よりも小さくして前記圧縮機の運転を再開させる
空気調和装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の圧力が第1の圧力制御値以上である場合、前記圧縮機の回転数を前記第1の圧力に応じて低下させて前記圧縮機を一時停止させ、前記第2の圧力が前記第1の圧力制御値よりも小さな第2の圧力制御値以上である場合、前記圧縮機の回転数を前記第2の圧力に応じて低下させて前記圧縮機を一時停止させる
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第1の圧力制御値は、前記室内側配管の設計圧力よりも大きく、前記第2の圧力制御値は、前記室内側配管の設計圧力よりも小さい
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記圧縮機を停止させる直近の要因を示す情報である前回停止履歴情報を書き換え自在に保持する
請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させた場合でも、前記第2の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させた場合でもない場合に、これら以外の停止であることを示す情報に前記前回停止履歴情報を書き換える
請求項4に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室外ユニットと室外ユニットを備える空気調和装置において、室内ユニットが既設のまま、室外ユニットが更新される場合がある。例えばR22冷媒のように配管の設計圧力が低い機器から、より設計圧力の高いR410A冷媒に対応した機器に室外ユニットが更新される場合、室内ユニットの既設配管の設計圧力を超えないように冷媒の圧力を調整し、運転を行う必要がある。そのための方策の一つとして、例えば冷房運転時における既設配管の圧力を検出する圧力検出部を、室外ユニットの膨張弁(室外膨張弁)の一次側に位置する室外熱交換器に設け、該圧力検出部の検出値に応じて冷媒の圧力を調整することが考えられる。
【0003】
しかしながら、室外膨張弁の開度を上げることで圧力検出部の検出値(冷媒圧力)は低下するが、この場合には室外膨張弁の二次側に位置する既設配管の圧力が上昇してしまう。このため、例えば外気温が高い場合のように高負荷条件下での冷房運転時には、既設配管の設計圧力を超えないように圧縮機が停止もしくは断続運転されてしまう。その結果、空気調和装置の冷房能力を低下させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これを踏まえてなされたものであり、その目的は、圧縮機の一時停止を抑制し、状況に応じて圧縮機の運転を適切に継続させることが可能な空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る空気調和装置は、室外ユニットと、室内ユニットと、制御部とを備える。
前記室外ユニットは、室外側配管と、圧縮機と、第1の圧力検出部と、室外熱交換器と、膨張弁と、第2の圧力検出部とを有する。前記室外側配管には、冷媒が流れる。前記圧縮機は、前記室外側配管から前記冷媒を吸い込んで圧縮し、圧縮した前記冷媒を前記室外側配管に吐出する。前記第1の圧力検出部は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の第1の圧力を検出する。前記室外熱交換器は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒を凝縮する。前記膨張弁は、前記室外熱交換器から流出した前記冷媒を開度に応じて減圧させる。前記第2の圧力検出部は、前記膨張弁で減圧された前記冷媒の第2の圧力を検出する。
前記室内ユニットは、室内側配管と、室内熱交換器とを有する。前記室内側配管は、前記室外側配管よりも設計圧力が低く、前記室外側配管と接続されて前記冷媒が流れる。前記室内熱交換器は、前記膨張弁で減圧された前記冷媒を蒸発させる。
前記制御部は、前記圧縮機を運転もしくは一時停止させて、前記室内側配管を流れる前記冷媒の圧力が前記室内側配管の設計圧力の範囲内となるように前記室外側配管を流れる前記冷媒の圧力を調整する。また、前記制御部は、前記第1の圧力もしくは前記第2の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させ、前記第1の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させた場合、前記膨張弁の開度を初期開度よりも大きくして前記圧縮機の運転を再開させ、前記第2の圧力に応じて前記圧縮機を一時停止させた場合、前記膨張弁の開度を初期開度よりも小さくして前記圧縮機の運転を再開させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る空気調和装置を概略的に示す回路図である。
【
図2】実施形態に係る空気調和装置における開度調整処理時の制御フロー図である。
【
図3】実施形態に係る空気調和装置において、液管圧力レリース処理によって一時停止された圧縮機が運転再開された場合における膨張弁の開度、冷媒の吐出圧力および液管圧力、圧縮機の運転率の各々の時間遷移を示す図である。
【
図4】実施形態に係る空気調和装置において、吐出圧力レリース処理によって一時停止された圧縮機が運転再開された場合における膨張弁の開度、冷媒の吐出圧力および液管圧力、圧縮機の運転率の各々の時間遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和装置1を概略的に示す回路図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、冷媒が流れる流路によって接続された室外ユニット2と室内ユニット4を備える。室外ユニット2と室内ユニット4は、液側接続配管Lとガス側接続配管Gにより接続されている。流路は、複数の配管が接続されて構成されている。本実施形態において、室外ユニット2側の流路を構成する配管(以下、室外側配管という)201と、室内ユニット4側の流路を構成する配管(以下、室内側配管という)401とは、異なる設計圧力とされている。一例として、室内側配管401の設計圧力は、室外側配管201の設計圧力よりも低圧に設定されている。なお、空気調和装置1は冷房運転および暖房運転のいずれも可能であるが、本実施形態においては空気調和装置1が冷房運転される場合について説明する。本実施形態においては、便宜上、液側接続配管Lおよびガス側接続配管Gも室内側配管401に含むものとする。
【0009】
室外ユニット2は、主たる要素として、圧縮機202、第1の圧力検出部203、室外熱交換器204、膨張弁205、第2の圧力検出部206を有する。
【0010】
圧縮機202は、第1の配管(以下、吸込管という)201aから冷媒を吸い込んで圧縮し、圧縮した冷媒を第2の配管(以下、吐出管という)201bに吐出する。吸込管201aおよび吐出管201bは、室外側配管201の一部をそれぞれ構成する。例えば、圧縮機202は、密閉容器、圧縮機構、電動機構などを備えて構成され、吐出管201bへ高温・高圧の気相冷媒を吐出する。
【0011】
また、圧縮機202に対しては、後述する冷媒の吐出圧力および液管圧力に応じて所定のレリース処理がなされる。吐出圧力レリース処理では、冷媒の吐出圧力が所定の閾値を超えた場合、圧縮機202の回転数(周波数)を低下させ、該回転数が該圧縮機202の下限回転数まで低下すると、圧縮機が停止(より具体的には一時停止)する。液管圧力レリース処理では、冷媒の液管圧力が所定の閾値を超えた場合、圧縮機202の回転数(周波数)を低下させ、該回転数が該圧縮機202の下限回転数まで低下すると、圧縮機が停止(より具体的には一時停止)する。吐出圧力レリース処理および液管圧力レリース処理については、改めて後述する。
【0012】
吐出管201bは、一端が圧縮機202の吐出口に接続され、他端が四方弁207の第1のポートに接続されている。四方弁207は、圧縮機202から吐出された冷媒を室内ユニット4に導くとともに、室内ユニット4で熱交換された冷媒を圧縮機202に導く。
【0013】
第1の圧力検出部(以下、吐出圧力検出部という)203は、吐出管201bに配置され、圧縮機202から吐出された冷媒の圧力(以下、吐出圧力という)、つまり吐出管201bを流れる高温・高圧の気相冷媒の圧力(吐出圧力)を検出する。吐出圧力検出部203は、例えば感圧素子が吐出管201bの配管内に配置されて吐出圧力を検出する圧力センサなどである。吐出圧力検出部203は、検出した吐出圧力の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0014】
また、吐出管201bには、吐出温度検出部208が配置されている。吐出温度検出部208は、圧縮機202から吐出された冷媒の温度(以下、吐出温度という)、つまり吐出管201bを流れる高温・高圧の気相冷媒の吐出温度を検出する。吐出温度検出部208は、例えば感温素子が吐出管201bの配管内に配置されて吐出温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。吐出温度検出部208は、検出した吐出温度の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0015】
室外熱交換器204は、圧縮機202から吐出された高温・高圧の気相冷媒を空気などとの熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化させる。本実施形態のように空気調和装置1が冷房運転される場合、室外熱交換器204は、凝縮器として機能する。室外熱交換器204には、第3の配管201cから高温・高圧の気相冷媒が導かれる。第3の配管201cは、一端が四方弁207の第2のポートに接続され、他端が室外熱交換器204の冷媒流入口に接続されている。室外熱交換器204の冷媒流出口には、第4の配管201dの一端が接続され、第4の配管201dの他端は膨張弁205に接続されている。第3の配管201cおよび第4の配管201dは、室外側配管201の一部をそれぞれ構成する。
【0016】
室外熱交換器204の近傍には、室外送風機209が配置される。室外送風機209は、外気を吸い込み、その吸込空気を室外熱交換器204に流通させる。これにより、かかる外気と室外熱交換器204を流れる冷媒との間で熱交換がなされる。
【0017】
第4の配管201dには、出口温度検出部210が配置されている。出口温度検出部210は、室外熱交換器204から流出した冷媒の温度(以下、出口温度という)を検出する。出口温度検出部210は、例えば感温素子が第4の配管201dの配管内に配置されて出口温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。出口温度検出部210は、検出した出口温度の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0018】
膨張弁205は、室外熱交換器204から流出した冷媒(高圧の液相冷媒)を開度に応じて減圧させ、例えば低圧の気液二相冷媒や液相冷媒に変化させる。膨張弁205は、例えば最小開度と最大開度との間で弁の開度を制御することで冷媒の絞り量が適正になるように調整される減圧器であり、供給される駆動パルスの数に応じて開度が連続的に変化するPMV(Pulse Motor Valve)として構成されている。膨張弁205は、後述する制御部6に動作制御、例えば開度調整され、開度の値を有線もしくは無線を介して制御部6に付与する。膨張弁205の一次側には第4の配管201dの他端が接続され、二次側には第5の配管(以下、液管という)201eの一端が接続されている。液管201eは、室外側配管201の一部を構成する。
【0019】
第2の圧力検出部(以下、液管圧力検出部という)206は、液管201eに配置され、膨張弁205で減圧された冷媒の圧力(以下、液管圧力という)、例えば液管201eを流れる低圧の気液二相冷媒や液相冷媒の圧力(液管圧力)を検出する。液管圧力検出部206は、例えば感圧素子が液管201eの配管内に配置されて液管圧力を検出する圧力センサなどである。液管圧力検出部206は、検出した液管圧力の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0020】
また、液管201eには、液温検出部211が配置されている。液温検出部211は、膨張弁205で減圧された冷媒の温度(以下、液温という)、例えば液管201eを流れる低圧の気液二相冷媒や液相冷媒の液温を検出する。液温検出部211は、例えば感温素子が液管201eの配管内に配置されて液温を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。液温検出部211は、検出した液温の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0021】
液管201eで導かれた冷媒は、液側接続配管Lを介して室内ユニット4の室内側配管401(後述する第6の配管401fおよび第7の配管401g)を流れ、ガス側接続配管Gを介して室外ユニット2に戻される。液管201eの他端は、室外側の継手(例えばパックドバルブ)PV1、液側接続配管Lおよび室内側の継手PV3を介して第6の配管401fの一端に接続されている。第6の配管401fの他端は、後述する室内ユニット4の室内熱交換器402の冷媒流入口に接続されている。第7の配管401gは、一端が室内熱交換器402の冷媒流出口に接続され、他端が室内側の継手(例えばパックドバルブ)PV4、ガス側接続配管Gおよび室外側の継手PV2を介して第8の配管(以下、ガス管という)201hの一端に接続されている。ガス管201hは、室外側配管201の一部を構成する。
【0022】
ガス管201hは、他端が四方弁207の第3のポートに接続されている。かかる四方弁207の第4のポートには、第9の配管201iの一端に接続されている。第9の配管201iの他端には、アキュムレータ(第1のアキュムレータ)212が設けられている。第9の配管201iは、室外側配管201の一部を構成する。アキュムレータ212は、室内ユニット4に供給されて戻ってくる冷媒を気液分離させ、圧縮機202に気相冷媒のみを供給する。アキュムレータ212で気液分離された冷媒は、第10の配管201jで気液分離器(第2のアキュムレータ)213に導かれる。第10の配管201jは、一端がアキュムレータ212に接続され、他端が気液分離器213に接続されている。第10の配管201jは、室外側配管201の一部を構成する。気液分離器213は、圧縮機202が液相冷媒を圧縮しないように、冷媒をさらに気液分離する。
【0023】
第10の配管201jには、吸込温度検出部214が配置されている。吸込温度検出部214は、アキュムレータ212で気液分離された冷媒の温度(以下、吸込温度という)を検出する。吸込温度検出部214は、例えば感温素子が第10の配管201jの配管内に配置されて吸込温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。吸込温度検出部214は、検出した吸込温度の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0024】
気液分離器213の冷媒流出口には、第1の配管201aの他端が接続され、該吸込管201aによって気液分離器213で気液分離された冷媒が圧縮機202の吸込口から吸い込まれる。これにより、空気調和装置1において、冷媒が室外ユニット2と室内ユニット4の間で循環する。
【0025】
これに対し、室内ユニット4は、主たる要素として、室内熱交換器402、室内送風機403を有する。
【0026】
室内熱交換器402は、膨張弁205で減圧された気液二相冷媒や液相冷媒を空気などとの熱交換により蒸発させ、低温・低圧の気相冷媒に変化させる。本実施形態のように空気調和装置1が冷房運転される場合、室内熱交換器402は、蒸発器として機能する。室内熱交換器402には、第6の配管401fで気液二相冷媒や液相冷媒が導かれる。第6の配管401fは、一端が継手PV3、液側接続配管Lおよび継手PV1を介して液管201eに接続され、他端が室内熱交換器402の冷媒流入口に接続されている。室内熱交換器402の冷媒流出口には、第7の配管401gの一端が接続されている。第7の配管401gの他端は、継手PV4、ガス側接続配管Gおよび継手PV2を介してガス管201hの一端に接続されている。第6の配管401fおよび第7の配管401gは、室内側配管401の一部をそれぞれ構成する。
【0027】
室内熱交換器402の近傍には、室内送風機403が配置される。室内送風機403は、内気(空調対象の室内の空気)を吸い込み、その吸込空気を室内熱交換器402に流通させる。これにより、かかる内気と室内熱交換器402を流れる冷媒との間で熱交換がなされる。
【0028】
また、室内熱交換器402の近傍には、室内温度検出部404が配置されている。室内温度検出部404は、空気調和装置1によって空調される空調対象の室内の内気温度(以下、室内温度という)を検出する。室内温度検出部404は、例えば感温素子が室内ユニット4の筐体などに配置されて室内温度を検出する温度センサ(サーミスタ)などである。室内温度検出部404は、検出した室内温度の値を有線もしくは無線を介して後述する制御部6に付与する。
【0029】
制御部6は、空気調和装置1の運転制御を行う。本実施形態において、制御部6は、膨張弁205の開度を調整するとともに圧縮機202を運転もしくは一時停止させて、室内側配管401の設計圧力の範囲内となるように室外側配管201を流れる冷媒の圧力を調整する。その際、制御部6は、圧縮機202、吐出圧力検出部203、膨張弁205、および液管圧力検出部206の動作をそれぞれ制御する。例えば、制御部6は、圧縮機202の運転開始および停止、運転中の回転数や周波数などを制御する。その際、制御部6は、冷媒の吐出圧力および液管圧力に基づいて圧縮機202を一時停止もしくは運転再開させるとともに、膨張弁205の開度を調整する。
【0030】
制御部6は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、制御部6は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理し、処理結果に基づいて圧縮機202、吐出圧力検出部203、膨張弁205、および液管圧力検出部206の動作制御を行う。その際、制御部6は、これらとの間で制御信号やデータ信号を有線もしくは無線を介して送受信する。すなわち、制御部6と上記制御対象である各構成要素とは、有線もしくは無線により電気的に接続されている。なお、
図1に示す例では、室外ユニット2の一部として制御部6が配置されているが、制御部6の所在はこれに限定されない。
【0031】
制御部6は、前回停止履歴情報を保持している。前回停止履歴情報は、圧縮機202がレリース処理によって停止もしくは一時停止した際の停止理由を示す情報である。具体的には、後述する開度調整条件の判定時の直近において、吐出圧力レリース処理および液管圧力レリース処理のいずれによって圧縮機202が停止したかを示す情報である。すなわち、前回停止履歴情報は、冷媒の吐出圧力および液管圧力のいずれに応じて圧縮機202が停止したかを示す。例えば、前回停止履歴情報は、冷媒の吐出圧力に応じて圧縮機202が停止したことを示す値(以下、吐出圧力停止値という)、あるいは吐出圧力停止値とは異なる値であって冷媒の液管圧力に応じて圧縮機202が停止したことを示す値(以下、液管圧力停止値)を格納するフラグ(以下、停止フラグという)である。停止フラグの初期値は、吐出圧力停止値および液管圧力停止値のいずれとも異なる値やNull値などである。停止フラグの値は、例えば制御部6のメモリや記憶装置(不揮発メモリ)に保持され、後述する開度調整処理において前回停止履歴(開度調整条件)の判定時に読み出されてパラメータとして使用される。
【0032】
以上のような構成を備えた空気調和装置1において、制御部6が行う空気調和装置1の運転制御、具体的には、圧縮機202の運転状況に応じて膨張弁205の開度を調整する制御(以下、開度調整処理という)について、制御部6の制御フローに従って説明する。
図2には、開度調整処理時における制御部6の制御フローを示す。制御部6は、例えば開度調整処理をCPUに実行させるためのプログラム(開度調整処理プログラム)を記憶装置に保持し、該プログラムをメモリに読み出すことで
図2に示すような制御を行う。
【0033】
開度調整処理にあたって、空気調和装置1は、冷房運転を開始する(S101)。具体的には、制御部6が圧縮機202を起動し、膨張弁205を開いて室外側配管201および室内側配管401により構成される流路に冷媒を循環させる。これにより、
図1に白抜き矢印で示すように冷媒が流路を流れる。ここでの膨張弁205の開度は予め設定された初期開度である。初期開度は、冷房運転の開始時に設定される膨張弁205の開度であり、例えば空気調和装置1の性能などに応じて予め設定されている。なお、後述するように開度調整処理において膨張弁205の開度が調整され、圧縮機202が一時停止された後に、空気調和装置1の冷房運転が再び開始(再開)される場合、膨張弁205の開度は調整された直近の開度である。空気調和装置1が冷房運転されていることは、開度調整処理の前提条件である。空気調和装置1が冷房運転開始されることをトリガーとして、制御部6は、開度調整処理を実行可能となる。したがって、空気調和装置1が冷房運転されていない場合、開度調整処理は実行されない。
【0034】
空気調和装置1が運転された状態で、制御部6は、膨張弁205の開度を調整するための判定条件(以下、開度調整条件という)が成立するか否かを判定する。開度調整条件は、膨張弁205の開度をどのように調整するかの判定条件である。本実施形態においては、開度調整条件として停止フラグの値が判定される。
【0035】
開度調整条件として、制御部6は、停止フラグが液管圧力停止値であるか否か、つまり圧縮機202の前回停止履歴が冷媒の液管圧力に応じた停止であるか否かを判定する(S102)。開度調整条件の判定にあたって、制御部6は、例えばメモリから停止フラグの値をパラメータとして読み出す。
【0036】
停止フラグが液管圧力停止値であると判定した場合(S102においてYes)、制御部6は、膨張弁205の開度を初期開度から所定開度下げた開度に設定する(S103)。すなわち、膨張弁205は初期開度よりも閉じた(絞った)状態に遷移する。初期開度からの低下度合は、任意に設定可能であり、固定値であっても変動値であってもよい。
【0037】
これに対し、停止フラグが液管圧力停止値でないと判定した場合(S102においてNo)、制御部6は、開度調整条件として、制御部6は、停止フラグが吐出圧力停止値であるか否か、つまり圧縮機202の前回停止履歴が冷媒の吐出圧力に応じた停止であるか否かを判定する(S104)。
【0038】
停止フラグが吐出圧力停止値であると判定した場合(S104においてYes)、制御部6は、膨張弁205の開度を初期開度から所定開度上げた開度に設定する(S105)。すなわち、膨張弁205は初期開度よりも開いた(緩まった)状態に遷移する。初期開度からの上昇度合は、任意に設定可能であり、固定値であっても変動値であってもよい。
【0039】
これに対し、停止フラグが吐出圧力停止値でないと判定した場合(S104においてNo)、制御部6は、膨張弁205の開度を初期開度に設定する(S106)。初期開度は、冷房運転開始時の膨張弁205の開度である。
【0040】
S103、S105、S106のいずれかにおいて膨張弁205の開度を調整すると、制御部6は、室外熱交換器204における冷媒の過冷却度が目標値となるように膨張弁205の開度を制御する(以下、過冷却制御という)(S107)。室外熱交換器204における冷媒の過冷却度は、室外熱交換器204における冷媒の凝縮温度と室外熱交換器204から流出する冷媒の温度(液温検出部211の検出温度)との差として検出することができる。冷媒の凝縮温度は、吐出圧力検出部203が検出する冷媒の圧力から換算して求めることができる。
【0041】
続いて、制御部6は、液管圧力レリース処理の実行条件を判定する。液管圧力レリース処理の実行条件は、液管圧力レリース処理の実行を開始するか否かの判定条件である。液管圧力レリース処理の実行条件の判定にあたって、制御部6は、冷媒の液管圧力の値が液管圧力制御値以上であるか否かを判定する(S108)。冷媒の液管圧力の値は、液管圧力検出部206の検出値として制御部6に付与される。液管圧力制御値(後述する吐出圧力制御値である第1の圧力制御値に対する第2の圧力制御値)は、冷媒の液管圧力が過度に上昇することを抑止するための液管圧力の規制値(閾値)であり、例えば空気調和装置1の性能などに応じて、室内側配管401の設計圧力の値よりも小さな値に予め設定されている。液管圧力制御値は、例えば制御部6の記憶装置に保持され、液管圧力レリース処理の実行条件の判定時にメモリに読み出されてパラメータとして使用される。
【0042】
冷媒の液管圧力の値が液管圧力制御値以上であると判定した場合(S108においてYes)、制御部6は、液管圧力レリース処理を実行する(S109)。液管圧力レリース処理において、制御部6は、圧縮機202の回転数を液管圧力に応じて低下させる。そして、制御部6は、圧縮機202の下限回転数となるまで回転数を低下させ、圧縮機202を停止(より具体的には一時停止)させる。これにより、空気調和装置1の冷房運転が一時停止される。
【0043】
続けて、制御部6は、停止フラグの値を液管圧力停止値に設定する、つまり圧縮機202の停止履歴として冷媒の液管圧力に応じた停止であることを前回停止履歴として記録する(S110)。これにより、圧縮機202の前回停止履歴情報として、圧縮機202が液管圧力レリース処理によって停止(一時停止)したことを示す情報が保持される。停止フラグの設定値(液管圧力停止値)は、例えば制御部6のメモリに保持され、以降の開度調整条件の判定時に読み出されてパラメータとして使用される。
【0044】
これに対し、冷媒の液管圧力の値が液管圧力制御値未満であると判定した場合(S108においてNo)、制御部6は、開度調整条件として、制御部6は、吐出圧力レリース処理の実行条件を判定する。吐出圧力レリース処理の実行条件は、吐出圧力レリース処理の実行を開始するか否かの判定条件である。吐出圧力レリース処理の実行条件の判定にあたって、制御部6は、冷媒の吐出圧力の値が吐出圧力制御値以上であるか否かを判定する(S111)。冷媒の吐出圧力の値は、吐出圧力検出部203の検出値として制御部6に付与される。吐出圧力制御値(第1の圧力制御値)は、冷媒の吐出圧力が過度に上昇することを抑止するための吐出圧力の規制値(閾値)であり、例えば空気調和装置1、具体的には圧縮機202の性能などに応じて、室内側配管401の設計圧力の値よりも大きな値に予め設定されている。吐出圧力制御値(第1の圧力制御値)は、液管圧力制御値(第2の圧力制御値)よりも大きい。吐出圧力制御値は、例えば制御部6の記憶装置に保持され、吐出圧力レリース処理の実行条件の判定時にメモリに読み出されてパラメータとして使用される。
【0045】
冷媒の吐出圧力の値が吐出圧力制御値以上であると判定した場合(S111においてYes)、制御部6は、吐出圧力レリース処理を実行する(S112)。吐出圧力レリース処理において、制御部6は、圧縮機202の回転数を吐出圧力に応じて低下させる。そして、制御部6は、圧縮機202の下限回転数となるまで回転数を低下させ、圧縮機202を停止(より具体的には一時停止)させる。これにより、空気調和装置1の冷房運転が一時停止される。
【0046】
続けて、制御部6は、停止フラグの値を吐出圧力停止値に設定する、つまり圧縮機202の停止履歴として冷媒の吐出圧力に応じた停止であることを前回停止履歴として記録する(S113)。これにより、圧縮機202の前回停止履歴情報として、圧縮機202が液管圧力レリース処理によって停止(一時停止)したことを示す情報が保持される。停止フラグの設定値(吐出圧力停止値)は、例えば制御部6のメモリに保持され、以降の開度調整条件の判定時に読み出されてパラメータとして使用される。
【0047】
そして、停止フラグの値を吐出圧力停止値(S110)もしくは液管圧力停止値(S113)に設定すると、制御部6は、空気調和装置1の冷房運転を再び開始(再開)する(S101)。例えば、制御部6は、所定時間に亘って空気調和装置1の冷房運転再開を保留し、室内ユニット4が冷房サーモオフ状態からサーモオン状態に遷移した時点で空気調和装置1の冷房運転を再開させる。これにより、一時停止されていた圧縮機202の運転が再開される。再開後、膨張弁205の開度は、停止フラグに応じてS103、S105のいずれかで調整される。
【0048】
一方、冷媒の吐出圧力の値が吐出圧力制御値未満であると判定した場合(S111においてNo)、制御部6は、空気調和装置1の運転停止条件を判定する(S114)。運転停止条件は、空気調和装置1を運転停止させるか否かの判定条件であり、本実施形態では冷媒の液管圧力に応じた停止および吐出圧力に応じた停止のいずれでもない理由で空気調和装置1の冷房運転を停止させるか否かの判定条件である。運転停止条件は、例えば制御部6が空気調和装置1の運転停止を示す信号を受信したか否かなどに応じて判定される。運転停止を示す信号は、例えば室外ユニット2の操作パネルや室内ユニット4のリモコンなどからユーザ等が運転停止を選択することで発信される。すなわち、ユーザ等の自発的な操作による運転停止(通常の運転停止)であれば、運転停止条件が成立する(満たされる)。
【0049】
運転停止条件が成立する場合(S114においてYes)、制御部6は、停止フラグの値を初期値に設定(リセット)する、つまり圧縮機202の停止履歴として冷媒の液管圧力および吐出圧力のいずれでもない理由による停止であることを前回停止履歴として記録する(S115)。これにより、圧縮機202の前回停止履歴情報として、圧縮機202がレリース処理(液管圧力レリース処理および吐出圧力レリース処理)以外によって停止したことを示す情報が保持される。停止フラグの設定値(初期値)は、例えば制御部6の記憶装置(不揮発メモリ)に保持される。保持された停止フラグの設定値(初期値)は、S116において冷房運転が停止された空気調和装置1がその後に再び冷房運転を開始した際、新たに実行される開度調整処理での開度調整条件の判定時に読み出され、パラメータとして使用される。
【0050】
そして、制御部6は、空気調和装置1の冷房運転を停止する(S116)。ここでの停止は、S114において例えば室外ユニット2の操作パネルや室内ユニット4のリモコンなどからユーザ等が選択することによる通常の運転停止であり、レリース処理における停止(S109,S112)とは異なる。この場合、停止した空気調和装置1がその後に再び冷房運転を開始する際には、別途新たに開度調整処理が実行される。
【0051】
これに対し、運転停止条件が成立しない場合(S114においてNo)、制御部6は、過冷却制御(S107)を継続し、以降の処理(S108~S116)を選択的に実行する。
すなわち、空気調和装置1が冷房運転されている間、一連の開度調整処理が繰り返される。そして、空気調和装置1の冷房運転が停止されると、一連の開度調整処理も終了する。
【0052】
図3および
図4には、このような開度調整処理によって膨張弁205の開度が調整される態様例をそれぞれ示す。
図3は、開度調整条件の判定時の直近において、液管圧力レリース処理によって圧縮機202が一時停止され、その後に運転再開された場合における膨張弁205の開度、冷媒の吐出圧力および液管圧力、圧縮機202の運転率の各々の時間遷移を示す図である。
図4は、開度調整条件の判定時の直近において、吐出圧力レリース処理によって圧縮機202が一時停止され、その後に運転再開された場合における膨張弁205の開度、冷媒の吐出圧力および液管圧力、圧縮機202の運転率の各々の時間遷移を示す図である。
図3および
図4において、横軸は時間を示し、縦軸は冷媒の圧力、膨張弁205の開度、圧縮機202の運転率の各々の値を示す。
【0053】
図3において、L31は冷媒の吐出圧力、L32は冷媒の液管圧力、L33は膨張弁205の開度、L34は圧縮機202の運転率についての各々の時間遷移(軌跡)の一例をそれぞれ示す。
図3に示す例では、時刻t30から時刻t31までの間、圧縮機202は停止している。この場合、時刻t30の直前に冷媒の液管圧力が液管圧力制御値以上となり、圧縮機202が液管圧力レリース処理によって一時停止し、停止フラグの値が液管圧力停止値となっている(
図2のS108,S109,S110に対応)。
【0054】
時刻t31となると、一時停止していた圧縮機202の運転が再開される(
図2のS101に対応)。これにより、冷媒の吐出圧力および液管圧力、膨張弁205の開度、圧縮機202の運転率は、いずれも時刻t32まで上昇する。
図3に示す破線X33は、膨張弁205の初期開度(
図2のS106)の値を示す。このとき、停止フラグの値が液管圧力停止値となっているため、膨張弁205の開度は、初期開度より所定開度小さい開度まで上昇する。
【0055】
その状態で時刻t33になると、過冷却制御(S107)によって膨張弁205の開度が制御される。膨張弁205の開度は、室外熱交換器204における過冷却度が目標値となるように制御される。これに伴って、冷媒の吐出圧力は変動するが、吐出圧力制御値(破線X31)を超えない値に維持される。また、冷媒の液管圧力は変動するが、液管圧力制御値(破線X32)を超えない値に維持される。
図3に示す破線X30は、室内側配管401の設計圧力の値を示す。
【0056】
直前に冷媒の液管圧力が液管圧力制御値以上となり、圧縮機202が一時停止した後の運転再開後に、液管圧力が液管圧力制御値(破線X32)を超えないので、圧縮機202が直ぐに停止することがなく、上昇した圧縮機202の運転率は、時刻t32での値が維持されて安定する。
【0057】
図4において、L41は冷媒の吐出圧力、L42は冷媒の液管圧力、L43は膨張弁205の開度、L44は圧縮機202の運転率についての各々の時間遷移(軌跡)の一例をそれぞれ示す。
図4に示す例では、時刻t40から時刻t41までの間、圧縮機202は停止している。この場合、時刻t40の直前に冷媒の吐出圧力が吐出圧力制御値以上となり、圧縮機202が吐出圧力レリース処理によって一時停止し、停止フラグの値が吐出圧力停止値となっている(
図2のS111,S112,S113に対応)。
【0058】
時刻t41となると、一時停止していた圧縮機202の運転が再開される(
図2のS101に対応)。これにより、冷媒の吐出圧力および液管圧力、膨張弁205の開度、圧縮機202の運転率は、いずれも時刻t42まで上昇する。
図4に示す破線X43は、膨張弁205の初期開度(
図2のS106)の値を示す。このとき、停止フラグの値が吐出圧力停止値となっているため、膨張弁205の開度は、初期開度より所定開度大きい開度まで上昇する。
【0059】
その状態で時刻t43になると、過冷却制御(S107)によって膨張弁205の開度が制御される。膨張弁205の開度は、室外熱交換器204における過冷却度が目標値となるように制御される。これに伴って、冷媒の吐出圧力は変動し、所定時間内は吐出圧力制御値(破線X41)を超えない値に維持される。また、冷媒の液管圧力は変動するが、液管圧力制御値(破線X42)を超えない値に維持される。
図4に示す破線X40は、室内側配管401の設計圧力の値を示す。
【0060】
直前に冷媒の吐出圧力が吐出圧力制御値以上となり、圧縮機202が一時停止した後の運転再開後に、吐出圧力が吐出圧力制御値(破線X41)を超えないので、圧縮機202が直ぐに停止することがない。このため、上昇した圧縮機202の運転率は、時刻t42での値が維持されて安定する。
【0061】
以上のように本実施形態によれば、圧縮機202の停止フラグの値、つまり前回停止履歴情報に応じて膨張弁205の開度を適切に調整することができる。例えば
図3および
図4に示す例のいずれの場合であっても、圧縮機202の一時停止の頻度を抑制できる。これにより、状況に応じて圧縮機202の運転を適切に継続させるとともに、運転率を上げることができる。
【0062】
例えば、空気調和装置1の冷房運転時において冷媒の循環量が比較的大きな条件下では、室外熱交換器204および膨張弁205での圧力損失により、吐出圧力と液管圧力との圧力差が大きくなる。このため、吐出圧力レリース処理がなされて圧縮機202が一時停止される場合が多い。これに対し、冷房運転開始時などの冷媒の循環量が比較的小さな条件下では、室外熱交換器204および膨張弁205での圧力損失が小さく、吐出圧力と液管圧力との圧力差も小さくなる。このため、液管圧力レリース処理がなされて圧縮機202が一時停止される場合が多い。
【0063】
本実施形態によれば、圧縮機202が一時停止された後、運転再開される際、前回停止履歴情報に応じて膨張弁205の開度を適切に調節することができる。
【0064】
すなわち、圧縮機202の運転再開時、直近で液管圧力レリース処理によって圧縮機202が一時停止されていた場合、膨張弁205の初期開度を低下させることで液管圧力を低下させる。これにより、液管圧力レリース処理を低減させるとともに、圧縮機202が短時間で一時停止と運転再開を繰り返すことを抑制させることができる。その結果、空気調和装置1の冷房能力の低下を抑制可能となる。
【0065】
一方、圧縮機202の運転再開時、直近で吐出圧力レリース処理によって圧縮機202が一時停止されていた場合、膨張弁205の初期開度を上昇させることで吐出圧力を低下させる。これにより、吐出圧力レリース処理を低減させるとともに、圧縮機202が短時間で一時停止と運転再開を繰り返すことを抑制させることができる。その結果、空気調和装置1の冷房能力の低下を抑制可能となる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。かかる新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…空気調和装置、2…室外ユニット、4…室内ユニット、6…制御部、201…室外側配管、201a…第1の配管(吸込管)、201b…第2の配管(吐出管)、201c…第3の配管、201d…第4の配管、201e…第5の配管(液管)、201h…第8の配管(ガス管)、201i…第9の配管、201j…第10の配管、202…圧縮機、203…第1の圧力検出部(吐出圧力検出部)、204…室外熱交換器、205…膨張弁、206…第2の圧力検出部(液管圧力検出部)、207…四方弁、208…吐出温度検出部、209…室外送風機、210…出口温度検出部、211…液温検出部、212…アキュムレータ、213…気液分離器、214…吸込温度検出部、401…室内側配管、401f…第6の配管、401g…第7の配管、402…室内熱交換器、403…室内送風機、404…室内温度検出部、G…ガス側接続配管、L…液側接続配管、PV1,PV2,PV3,PV4…継手。