(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118621
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】データ処理装置、劣化検出装置、情報処理システム、データ処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20240826BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G06F11/34 185
G06F11/07 151
G06F11/07 140M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025004
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】坂井 隆一
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA34
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC22
(57)【要約】
【課題】実稼働に沿った記憶装置の性能劣化を検出しやすいデータ処理装置、劣化検出装置、情報処理システム、データ処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ処理装置は、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属するプールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得する第一取得部と、入出力性能データに基づき、各プール単位で分析を行うように分析処理装置に指示を行う指示部と、分析処理装置から分析の結果を取得する第二取得部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属する前記プールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得する第一取得部と、
前記入出力性能データに基づき、各プール単位で分析を行うように分析処理装置に指示を行う指示部と、
前記分析処理装置から前記分析の結果を取得する第二取得部と、
を備える
データ処理装置。
【請求項2】
前記入出力性能データを蓄積する入出力性能データ蓄積部と、
前記分析処理装置から、各記憶装置の劣化検出に必要な分析対象データを特定する特定条件を取得する第三取得部と、
前記特定条件に基づき、前記入出力性能データのうち、前記分析対象データを抽出する抽出部と、
をさらに備える
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記特定条件が、各記憶装置の劣化検出に必要なデータの期間を含む
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記特定条件が、各記憶装置の劣化検出に必要なデータの種別を含む
請求項2又は3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記結果に基づき、前記複数の記憶装置のうち、性能劣化した記憶装置に対する処理を実施する分析結果処理部をさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置と、
前記分析処理装置と、
を備える
劣化検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の劣化検出装置と、
前記ストレージ装置と、
を備える
情報処理システム。
【請求項8】
複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属する前記プールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得し、
各プール単位で、前記入出力性能データの分析を行うように分析処理装置に指示を行い、
前記分析処理装置から前記分析の結果を取得する
データ処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属する前記プールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得し、
各プール単位で、前記入出力性能データの分析を行うように分析処理装置に指示を行い、
前記分析処理装置から前記分析の結果を取得する
ことを実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ処理装置、劣化検出装置、情報処理システム、データ処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理システムにおいて、システム内の各装置を監視することが知られている。
例えば、特許文献1には、ストレージ装置等の監視対象デバイスを含む情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された情報処理システムは、性能情報の取得対象のデバイスを物理ディスクとして、性能指標の異常を検出している。
しかし、特許文献1に開示された情報処理システムでは、実稼働に沿った物理ディスクの性能劣化を検出できないことがある。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を解決するデータ処理装置、劣化検出装置、情報処理システム、データ処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るデータ処理装置は、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属する前記プールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得する第一取得部と、前記入出力性能データに基づき、各プール単位で分析を行うように分析処理装置に指示を行う指示部と、前記分析処理装置から前記分析の結果を取得する第二取得部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るデータ処理方法は、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属する前記プールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得し、各プール単位で、前記入出力性能データの分析を行うように分析処理装置に指示を行い、前記分析処理装置から前記分析の結果を取得する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属する前記プールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得し、各プール単位で、前記入出力性能データの分析を行うように分析処理装置に指示を行い、前記分析処理装置から前記分析の結果を取得することを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記一態様によれば、実稼働に沿った記憶装置の性能劣化を検出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る情報処理システム全体を示すブロック図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るストレージ装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係るプール情報及びIO性能データを示す表である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係るデータ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の第一実施形態の変形例に係る情報処理システム全体を示すブロック図である。
【
図7】本開示のデータ処理装置の最小構成の実施形態に係るデータ処理装置のブロック図である。
【
図8】本開示のデータ処理方法の最小構成の実施形態に係るデータ処理方法のフローチャートである。
【
図9】本開示の各実施形態に係るデータ処理装置が備えるコンピュータのハードウェア構成の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
<第一実施形態>
以下、本開示に係る第一実施形態について、
図1~
図6を用いて説明する。
【0013】
(情報処理システムの構成)
図1に示すように、情報処理システム5は、ストレージ装置2と、劣化検出装置4とを備える。
劣化検出装置4は、ストレージ装置2の各記憶装置の劣化を検出するための装置である。
劣化検出装置4は、データ処理装置1と、分析処理装置3とを備える。
ストレージ装置2とデータ処理装置1とは、ネットワークを介して接続されている。
分析処理装置3とデータ処理装置1とは、プロセス通信等の通信手段を介して接続されている。
【0014】
(ストレージ装置の構成)
ストレージ装置2は、HDD(Hard Disk Drive;ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive;ソリッド・ステート・ドライブ)等の記憶装置を備える。
ストレージ装置2は、各記憶装置のIO(Input Output;入出力)性能データとプール情報および記憶装置情報が取得できる装置であれば、どのような装置であってもよい。
ストレージ装置2は、例えば、RAID(Redundant Array of Independent Disk) PCI(Peripheral Component Interconnect)カードやSW(Switch;スイッチ)で実装のRAID SWであってもよい。
本実施形態において、ストレージ装置2が取得するIO性能データとは、データ処理装置1の実稼働中に取得されるデータであって、サーバと各記憶装置との間の入出力動作に関して採取されるデータである。
以下一例として、ストレージ装置2が備える複数の記憶装置が、複数のHDDであって、各記憶装置を特定する記憶装置情報が、ディスク情報である場合について説明する。
【0015】
ストレージ装置2は、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数のHDDを備える。
例えば、一例として、
図2に示すように、ストレージ装置2は、複数のサーバ6との間でデータの入出力を行っている。
ストレージ装置2は、異なる複数の論理ボリュームが振り分けられている複数のプールの各々に、複数のHDDを備える。
ここで、複数のサーバ6は、各HDDに振り分けられた各論理ボリュームを介して複数のHDDとデータの入出力を行う。
【0016】
例えば、複数のプールのうち、HDDを2つ備えるディスクプール#0は、論理ボリューム#0に振り分けられる。
複数のプールのうち、HDDを4つ備えるディスクプール#1は、論理ボリューム#0とは異なる論理ボリューム#1及び#2に振り分けられている。
複数のプールのうち、HDDを8つ備えるディスクプール#2は、論理ボリューム#0及び#1とは異なる論理ボリューム#3、#4及び#5に振り分けられている。
データベース動作用のサーバ#Aは、論理ボリューム#0及び#2に対し、IOを発行する。
ファイルサーバ用のサーバ#Bは、論理ボリューム#1及び#3に対し、IOを発行する。
WEB(World Wide Web)サーバ用のサーバ#Cは、論理ボリューム#4に対し、IOを発行する。
業務アプリ動作用のサーバ#Dは、論理ボリューム#5に対し、IOを発行する。
これにより、サーバ6上で動作しているサービスやアプリケーションが異なり、各プール内のHDDの数や論理ボリュームの数が異なるため、各プール単位でIO負荷やアクセス方法が異なっている。
ただし、各プール内のHDDの数、及び論理ボリュームの数は、論理ボリュームの容量、各HDDの容量、IO性能の設計値により決定されるため、ストレージ装置2の実施形態は、
図2の構成に限らない。
【0017】
(データ処理装置の構成)
データ処理装置1は、性能劣化した記憶装置の検出を行うための装置である。
図3に示すように、データ処理装置1は、プール情報・性能データ取得・格納部11と、IO性能データ蓄積部12(入出力性能データ蓄積部)と、分析データ期間・データ種類取得部13と、抽出部14と、分析処理起動制御部15と、分析結果処理部16とを備える。
データ処理装置1は、定期的に外部から起動されることで、性能劣化したHDDの分析結果を収集する。
データ処理装置1は、ストレージ装置2の内部及び外部のどちらでも動作することが可能であり、ストレージ装置2及び分析処理装置3と通信が確保できる環境であれば動作可能である。
【0018】
プール情報・性能データ取得・格納部11は、外部から起動後、ストレージ装置2と通信を行い、IO性能データ蓄積部12に対し蓄積指示を行う。
プール情報・性能データ取得・格納部11は、第一取得部111を備える。
第一取得部111は、ストレージ装置2から、各HDDのディスク情報と、複数のプールのうち、各HDDが属するプールを示す最新のプール情報と、未取得である各HDDのIO性能データとを取得する。
例えば、第一取得部111が取得するプール情報及びIO性能データはそれぞれ、
図4に示すようなデータを含む。
IO性能データに含まれる各性能の数値は、各取得間隔での数値を示す。
例えば、
図4における2022/09/01 10:00:00から10:05:00の間のIO性能データは、2022/09/01 10:05:00のIO性能データとして取得される。
【0019】
IO性能データ蓄積部12は、プール情報・性能データ取得・格納部11から与えられたディスク情報を利用し、HDD単位にIO性能データを蓄積する。
【0020】
分析データ期間・データ種類取得部13は、第三取得部131を備える。
第三取得部131は、分析処理装置3から、各HDDの劣化検出に必要な分析対象データを特定する特定条件を取得する。
第三取得部131が取得する特定条件は、各記憶装置の劣化検出に必要なデータの期間であるデータ期間情報と、各HDDの劣化検出に必要なデータの種別であるデータ種別情報とを含む。
【0021】
抽出部14は、プール情報と、第三取得部131が取得する特定条件とに基づき、IO性能データのうち、分析対象データを抽出する。
抽出部14は、IO性能データ蓄積部12に、プール情報と特定条件とを通知し、通知したプール情報と特定条件とに該当するIO性能データを出力するよう指示し、通知したプール情報と特定条件とに該当するIO性能データを、分析対象データとして取得する。これにより、抽出部14は、プール単位でIO性能データを取得する。
【0022】
分析処理起動制御部15は、指示部151と、第二取得部152とを備える。
指示部151は、IO性能データに基づき、各プール単位で分析を行うように分析処理装置3に指示を行う。
具体的には、指示部151は、抽出部14からプール単位で受け取った分析対象データを分析処理装置3に渡す処理を行う。
指示部151は、抽出部14から受け取った各プールに属する全てのディスク情報及びIO性能データ付きで分析処理装置3を起動することにより、分析処理装置3に対し、各HDDの分析指示を行う。
第二取得部152は、分析処理装置3から、分析結果を取得する。
第二取得部152は、性能劣化したHDDが検出された旨の分析結果が得られた場合、性能劣化したHDDのディスク情報を分析結果処理部16に通知する。
【0023】
分析結果処理部16は、分析処理起動制御部15から指示されたディスク情報を使用し、性能劣化したHDDに対する処理を実施する。
【0024】
(分析処理装置の構成)
分析処理装置3は、各HDDのIO性能データを分析し、性能劣化したHDDを検出する処理を行う。
分析処理装置3は、データ分析に必要なIO性能データの必要期間及びデータ種別を、分析データ期間・データ種類取得部13に渡す処理を行う。
分析処理装置3は、与えられたディスク群のIO性能データ(HDDの稼働時間やIO処理待ち数、IO応答時間等の情報)を保持するアルゴリズム等を用いてデータ分析を行い、性能劣化したHDDが検出された旨の結果を含む分析結果を、分析処理起動制御部15に応答する処理を行う。
例えば、分析処理装置3は、
図4に示すIO性能データのうち、指示部151からプール単位に取得したIO性能データどうしを比較することにより、同じプールに属するHDDのうち、IO性能が低下しているHDDを検出する。
【0025】
(データ処理装置の動作)
本実施形態のデータ処理装置1の動作について説明する。
本実施形態のデータ処理装置1の動作は、本実施形態のデータ処理方法に相当する。
【0026】
図5に示すように、定期的に外部から起動されたデータ処理装置1は、プール情報・性能データ取得・格納部11によりストレージ装置2と通信を行う。ストレージ装置2と通信が正常に行える場合、プール情報・性能データ取得・格納部11は、第一取得部111により、ストレージ装置2からプール情報と未取得のIO性能データを取得し、正常にデータが取得できた場合、プール情報・性能データ取得・格納部11は、ディスク情報及びIO性能データ時刻情報とIO性能データをIO性能データ蓄積部12に対し蓄積指示を行う(S101)。
なお、第一取得部111は、時刻情報と前の時刻情報間のIO性能データを取得し、例えば5分間隔でIO性能データを取得するものとする。
【0027】
ST101の実施に続いて、プール情報・性能データ取得・格納部11のIO性能データ蓄積指示を受けたIO性能データ蓄積部12は、ディスク情報とIO性能データの時刻情報を利用し、HDD単位にIO性能データを蓄積する(S102)。
【0028】
ST102の実施に続いて、分析データ期間・データ種類取得部13は、分析処理装置3からHDDの劣化検出に必要なIO性能データの期間及びデータ種別を取得する(S103)。
【0029】
ST103の実施に続いて、IO性能データ蓄積部12の処理完了後、抽出部14は、プール単位に属する全てのHDDのディスク情報及び分析データ期間・データ種類取得部13で得られたデータ期間及びデータ種別をIO性能データ蓄積部12に指示し、指示したプールに属している全てのHDDに該当するIO性能データを抽出する(S104)。
以降、データ処理装置1は、抽出が完了したプール単位でディスク情報とIO性能データとを付加し、分析処理装置3に分析指示を行い、全てのプールが完了するまで
図5に示すようにST103からST108の処理を繰り返す。
【0030】
ST104の実施に続いて、分析処理起動制御部15の指示部151は、抽出部14から受け取ったプールに属する全てのディスク情報、及びIO性能データ付きで分析処理装置3を起動し、分析処理起動制御部15の第二取得部152は、分析処理装置3から分析結果を取得し、取得された分析結果を分析結果処理部16に通知する(S105)。
【0031】
S105において、様々な分析処理装置3に対応するため、指示部151は、ディスク情報やIO性能データを分析処理装置3が処理できるデータ形式に変換する。
【0032】
S105において、プール内の一部のHDDのIO性能データの一部に欠損が存在した場合、指示部151は、欠損期間に対するプールに属する全てのHDDのIO性能データの削除など、プールに属する全てのHDDが同一条件で分析できるようにデータの加工を行う。
ここでプール内の一部のHDDにおいて、IO性能データの一部に欠損が存在した場合、欠損部分においてIO性能データが存在しないため、全て0として扱うなど、欠損期間に対するプールに属する全てのHDDのIO性能データの削除する必要がある。
すなわち、一部のHDDにおいてIO性能データの一部に欠損が存在し、他のHDDにおいて正しくIO性能データが取得されている場合、一部のHDDと他のHDDとの間で、IO性能データの著しい乖離が発生し、IO性能データに欠損が存在するHDDが異常と判断され、性能劣化HDDと判断される可能性がある。
このため、上記のように、プール内のIO性能データの一部に欠損が存在した場合、プール内の全てのHDDのIO性能データを0(IO性能データを削除)にすることで、データの著しい乖離を回避し、精度が高い性能劣化HDDの検出ができるようにデータ加工を行うことができる。
【0033】
ST105の実施に続いて、分析処理起動制御部15から分析結果が通知された分析結果処理部16は、性能劣化したHDDの検出が通知されたか否か判定する(S106)。性能劣化したHDDの検出が通知されたと判定する場合(S106:YES)、分析結果処理部16は、性能劣化が検出されたHDDの処置を実施し(S107)、S108の処理に進む。性能劣化したHDDの検出が通知されたと判定しない場合(S106:NO)、分析結果処理部16は、S108の処理に進む。
ST107において、分析処理装置3より性能劣化指数など劣化度の数値を入手することができれば、分析結果処理部16において劣化度の数値に従った様々な処理の実施が可能となる。
【0034】
ST108では、分析結果処理部16は、全てのプールの処理が完了したか否かを判定する。
全てのプールの処理が完了したと判定した場合(S108:YES)、データ処理装置1は処理を終了する。
全てのプールの処理が完了したと判定しない場合(S108:NO)、データ処理装置1はS103の処理に再び進む。
【0035】
(作用及び効果)
本実施形態のデータ処理装置1によれば、各プール単位で複数のHDDの入出力性能データを分析できる。
これにより、実稼働で似た動作をする複数のHDDの間で入出力性能データを分析できる。
したがって、本実施形態のデータ処理装置1によれば、実稼働に沿った記憶装置の性能劣化を検出しやすい。
【0036】
例えば、プール間のHDDのIO負荷・アクセス方法(ランダム・シーケンシャル)の違いにより、プール間においてHDDのIO性能データのばらつきが大きくなることがある。
比較例として、ストレージ装置の全てのディスクを平等に扱った性能劣化検出を行った場合、ディスク毎(特にプール毎)でIO性能データのばらつきが大きい場合、性能劣化による性能数値悪化なのか、IO負荷増やアクセス方法に依存する性能数値悪化なのかが分からず、性能劣化ディスクの誤検出が多数発生する可能性がある。
また、IO負荷が低いプールに属するディスクは総じて悪化した性能数値を示さないケースが多く、性能劣化ハードディスクの検出が困難な可能性がある。
これに対し、本実施形態のデータ処理装置1によれば、上記のとおり、各プール単位で複数の記憶装置の入出力性能データを分析できるため、誤検出が多数発生し難く、性能劣化した記憶装置を検出しやすい。
【0037】
また、本実施形態によれば、ストレージ装置2が収集しているIO性能データを分析することができる。
比較例として、診断用IOを発行し、診断用IOの実行結果を利用してHDDの障害を検出する場合、実稼働IOに診断用IOを割り込ませる必要があるため、診断用IO発行によるHDDへの負荷が増えるため、実稼働IOを妨げることがある。
他方、このような比較例において、診断用IO発行によるHDDへの負荷影響を軽減するため、診断用IOの発行数を極力少なくしたとしても、IO性能データの数が少ないことにより検出精度が低くなってしまう。
さらに、このような比較例でも、IO発行時のディスク負荷・アクセス方法の不均衡が解決できず、実稼働に沿った性能劣化を検出しにくい。
加えて、このような比較例では、検出された劣化HDDの処置を行う場合、人手によるデータの検証実施後、劣化HDDに対する対処を実施しているため、対処に時間や費用が必要である。
これに対し、本実施形態によれば、性能劣化診断のための診断用IOなど特殊な処理を追加することなく、上記のとおり、サーバ等との実稼働IOにより取得される記憶装置のIO性能データを利用できるため、実稼働IOを妨げにくい。
他方、実稼働IOを利用できるため、実稼働に沿った性能劣化が検出でき、性能劣化した記憶装置の検出精度が向上する。
性能劣化した記憶装置の検出精度が向上すれば、例えば、自動的にスペアディスクなど未使用ハードディスクへの交換など、性能劣化した記憶装置の処置の自動化により、保守運用費用の削減及びシステム可用性の向上に寄与する。
【0038】
また、本実施形態によれば、分析処理装置3から特定条件を取得しているため、データ処理装置1は、分析処理装置3毎に、蓄積された入出力データのうち、記憶装置の分析に必要な入出力データを提供できる。
このため、分析処理におけるデータ処理量の適正化が可能である。
したがって、計算量軽減及び劣化検出時間を短縮することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、特定条件が各記憶装置の劣化検出に必要なデータの期間を含むため、データ処理装置1は、分析処理装置3毎に、蓄積された入出力データのうち、記憶装置の分析に必要な期間のデータを提供できる。
このため、分析処理におけるデータ処理量の適正化が可能である。
したがって、計算量軽減及び劣化検出時間を短縮することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、特定条件が各記憶装置の劣化検出に必要なデータの種別を含むため、データ処理装置1は、分析処理装置3毎に、蓄積された入出力データのうち、記憶装置の分析に必要な種別のデータを提供できる。
このため、分析処理におけるデータ処理量の適正化が可能である。
したがって、計算量軽減及び劣化検出時間を短縮することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、分析結果処理部16は、性能劣化した記憶装置に対する処理を実施できる。
これにより、データ処理装置1は、スペアディスクなど未使用HDDへの交換など、性能劣化した記憶装置の処置が可能となり、保守運用費用の削減及びシステム可用性の向上に寄与する。
【0042】
本実施形態の劣化検出装置4によれば、ストレージ装置2が収集しているHDDのIO性能データをプール単位に分析することにより、経年劣化によりIO性能が低下しているHDDの検出精度を向上することができる。
【0043】
(変形例)
本実施形態では、劣化検出装置4が、1台の分析処理装置3を備えるが、入出力データを分析できるなら、分析処理装置3は何台であってもよい。
変形例として、
図6に示すように、劣化検出装置4は、分析処理装置3を複数台備えてもよい。
本変形例によれば、複数の分析処理装置3でデータ分析を行うことで、データ処理装置1は、各分析処理装置3から報告された分析結果を総合的に判断し、性能劣化検出精度をさらに向上することができる。
他の変形例として、劣化検出装置4が複数の分析処理装置3を備え、各分析処理装置3が、HDDの種類(回転数やHDDサイズの違い)、RAIDタイプ(RAID1・RAID5・RAID6)の違い、ストレージ装置2の種類に応じた専用の分析処理装置であってもよい。
本変形例によれば、専用の分析処理装置に分析させることで性能劣化検出精度を向上することができる。
【0044】
本実施形態では、分析結果処理部16が、性能劣化した記憶装置に対する処理を実施でしているが、性能劣化した記憶装置を検出できるなら、分析結果処理部16が行う処理はどのような処理であってもよい。
性能劣化した記憶装置に対する処置として、
a.スペアディスクなどフレッシュで未使用なディスクに自動的に予防的交換を行う。
(予防的交換が行われた場合、ストレージ装置2などから通報が発行される。)
b.保守部門に対する通報を行い、遠隔操作により自動処置の変更を行うことができる。
c.分析処理装置3より劣化度の数値が報告される場合であって、劣化度の数値の悪化がある場合、予告的な通報を行う。
など、様々な処理を行ってもよい。
【0045】
本実施形態では、指示部151は、抽出部14からプール単位で受け取った分析対象データを分析処理装置3に渡す処理を行っているが、IO性能データに基づき、プール単位で分析を行うように分析処理装置3に指示を行うなら、どのような処理であってもよい。
変形例として、指示部151は、プール情報を含むIO性能データを、複数のプールに亘って分析処理装置3に渡し、分析処理装置3に、各プールに属するIO性能データを選別し、プール単位で分析を行うように指示するものであってもよい。
【0046】
<データ処理装置の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係るデータ処理装置の最小構成の実施形態について、
図7を用いて説明する。
図7に示すように、本実施形態のデータ処理装置9は、第一取得部911と、指示部951と、第二取得部952と、を備える。
第一取得部911は、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属するプールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得する。
指示部951は、入出力性能データに基づき、各プール単位で分析を行うように分析処理装置に指示を行う。
第二取得部952は、分析処理装置から分析の結果を取得する。
本実施形態のデータ処理装置9によれば、各プール単位で複数の記憶装置の入出力性能データを分析できる。
これにより、実稼働で似た動作をする複数の記憶装置の間で入出力性能データを分析できる。
したがって、本実施形態のデータ処理装置9によれば、実稼働に沿った記憶装置の性能劣化を検出しやすい。
【0047】
<データ処理方法の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係るデータ処理方法の最小構成の実施形態について、
図8を用いて説明する。
図8に示すように、本実施形態のデータ処理方法は、複数のプールのうち、いずれかのプールに各々が属する複数の記憶装置を備えるストレージ装置から、各記憶装置が属するプールを示すプール情報と各記憶装置の入出力性能データとを取得し(ST01)、各プール単位で、入出力性能データの分析を行うように分析処理装置に指示を行い(ST02)、分析処理装置から分析の結果を取得する(ST03)。
本実施形態のデータ取得方法によれば、各プール単位で複数の記憶装置の入出力性能データを分析できる。
これにより、実稼働で似た動作をする複数の記憶装置の間で入出力性能データを分析できる。
したがって、本実施形態のデータ処理方法によれば、実稼働に沿った記憶装置の性能劣化を検出しやすい。
【0048】
<データ処理装置のハードウェア構成>
上述の各実施形態におけるデータ処理装置を実現するためのハードウェア構成の一例について、
図9を用いて説明する。
図9に示すように、上述の各実施形態におけるデータ処理装置は、プロセッサ81と、メモリ82と、記憶/再生装置83と、通信I/F(通信Interface)84と、IO I/F(Input Output Interface)85の各ハードウェアを備えたコンピュータ8を備える。
【0049】
プロセッサ81は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
メモリ82は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶媒体である。
記憶/再生装置83は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の外部メディアへプログラム、データ等を記憶したり、外部メディアのプログラム、データ等を再生したりするための装置である。
通信I/F84は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、コンピュータ8と他の装置との間で通信を行うインターフェースである。
IO I/F85は、ソースプログラムの入力、コンピュータ8と他の装置との間で情報等の入出力等を行うためのインターフェースである。
【0050】
<コンピュータプログラム>
上述の各実施形態におけるデータ処理装置の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0051】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0052】
また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0053】
また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含むとする。
【0054】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0055】
例えば、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0056】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 データ処理装置
2 ストレージ装置
3 分析処理装置
4 劣化検出装置
5 情報処理システム
6 サーバ
8 コンピュータ
9 データ処理装置
11 プール情報・性能データ取得・格納部
12 IO性能データ蓄積部
13 分析データ期間・データ種類取得部
14 抽出部
15 分析処理起動制御部
16 分析結果処理部
81 プロセッサ
82 メモリ
83 記憶/再生装置
84 通信I/F
85 IO I/F
111 第一取得部
131 第三取得部
151 指示部
152 第二取得部
911 第一取得部
951 指示部
952 第二取得部