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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118626
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】野菜切断装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20240826BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20240826BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
B26D3/26 605E
B26D7/18 D
B26D3/26 605C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025011
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】514309697
【氏名又は名称】福澤 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】福澤 剛志
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA02
4B061BA03
4B061BB07
4B061CB01
4B061CB14
(57)【要約】
【課題】野菜の切断処理を迅速化しやすい野菜切断装置を提供する。
【解決手段】ブロッコリー切断装置1は、ブロッコリーを花蕾が下に配置された状態で下方から受ける複数の花蕾受け皿150と、花蕾受け皿150を順に切断位置10に搬送する受け皿搬送部110と、切断位置10に配置された花蕾受け皿150に対してブロッコリーを押さえ付けるように、花蕾の付け根付近における複数の箇所と上方から接触する押さえ付け部700と、押さえ付け部700によって押さえ付けられた花蕾b1の付け根付近を切断する切断部810とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茎の先端に花蕾がある野菜を、花蕾が茎の下に配置された状態で下方から受ける複数の花蕾受け部と、
前記複数の花蕾受け部を所定の切断位置に順に搬送する搬送部と、
前記所定の切断位置に配置された前記花蕾受け部に対して前記野菜を押さえ付けるように、前記野菜の花蕾の付け根付近における複数の箇所と上方から接触する押さえ付け部と、
前記押さえ付け部によって押さえ付けられた前記野菜の花蕾の付け根付近を切断する切断部とを備えていることを特徴とする野菜切断装置。
【請求項2】
前記複数の箇所が、平面視で前記野菜の茎の根本の周囲における少なくとも3箇所を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の野菜切断装置。
【請求項3】
前記押さえ付け部に、前記野菜の茎が上下に貫通する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の周縁部が前記野菜と上方から接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の野菜切断装置。
【請求項4】
前記切断部の切断によって前記野菜の下部から分離された前記野菜の上部を前記野菜の下部から離脱させるように前記野菜の上部を押し出す押し出し部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の野菜切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜の切断処理を行う野菜切断装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に係る野菜切断装置は、本体カバーに形成された貫通孔に、貫通孔1つ当たり1個のブロッコリーが手動で設置されてからスイッチが操作されると、カッターが作動してブロッコリーを切断するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3213445号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、野菜を手動で設置した位置において野菜が切断される。このため、野菜の切断動作が完了するまで次の野菜を装置に設置できない。よって、複数の野菜を切断する処理の迅速化が図りにくい。
【0005】
本発明の目的は、野菜の切断処理を迅速化しやすい野菜切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の野菜切断機は、茎の先端に花蕾がある野菜を、花蕾が茎の下に配置された状態で下方から受ける複数の花蕾受け部と、前記複数の花蕾受け部を所定の切断位置に順に搬送する搬送部と、前記所定の切断位置に配置された前記花蕾受け部に対して前記野菜を押さえ付けるように、前記野菜の花蕾の付け根付近における複数の箇所と上方から接触する押さえ付け部と、前記押さえ付け部によって押さえ付けられた前記野菜の花蕾の付け根付近を切断する切断部とを備えている。
【0007】
これによると、野菜を受ける複数の花蕾受け部が所定の切断位置まで順に搬送される。そして、所定の切断位置において花蕾受け部上の野菜が切断部によって切断される。よって、花蕾受け部に野菜を設置する位置と花蕾受け部上の野菜を切断する位置とが異なっている。このため、野菜の切断が完了していなくても花蕾受け部への野菜の設置を行うことができるので、切断処理の迅速化が図りやすい。
【0008】
また、花蕾の付け根付近において花蕾受け部に対して押さえ付け部が野菜を押さえ付けつつ、その花蕾の付け根付近を切断部が切断する。このため、野菜の切断箇所を確実に支持した上で切断を実行できる。
【0009】
また、本発明において、前記複数の箇所が、平面視で前記野菜の茎の根本の周囲における少なくとも3箇所を含んでいることが好ましい。これにより、茎の根元の周囲における少なくとも3箇所と押さえ付け部が接触する。したがって、野菜が確実に支持されやすい。
【0010】
また、本発明において、前記押さえ付け部に、前記野菜の茎が上下に貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔の周縁部が前記野菜と上方から接触することが好ましい。これにより、貫通孔の周縁部を野菜と接触させる。このため、周縁部に沿った領域における複数の箇所で野菜を押さえ付けることができるので、野菜が安定に支持されやすい。
【0011】
また、本発明において、前記切断部の切断によって前記野菜の下部から分離された前記野菜の上部を前記野菜の下部から離脱させるように前記野菜の上部を押し出す押し出し部をさらに備えていることが好ましい。これによると、切断によって分離された野菜の上部を下部から確実に離脱させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るブロッコリー切断装置の斜視図である。
図2図1のブロッコリー切断装置にブロッコリーを載置した図である。
図3図1のブロッコリー切断装置において、押さえ付け部がブロッコリーを押さえ付けている様子を示す図である。
図4図3のブロッコリー切断装置における押さえ付け部の平面図である。
図5図1のブロッコリー切断装置において、茎切離部が降下して、ブロッコリーの花蕾の付け根付近にカッターが近づいた様子を示す図である。
図6図1のブロッコリー切断装置において、カッターがブロッコリーの花蕾の付け根付近を切断する様子を示す図である。
図7図1のブロッコリー切断装置において、押し出し部がブロッコリーの茎部分を押し出す様子を示す図である。
図8図1のブロッコリー切断装置のカッターに係る一変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な一実施の形態について説明する。
【0014】
本発明の一実施形態に係るブロッコリー切断装置1(本発明でいう野菜切断装置)について図1図4を参照しつつ説明する。図2に示すように、切断対象となるブロッコリーBは、花蕾b1及び茎b2を有している。ブロッコリーBは、茎b2の根本において切断されることにより、根の部分が除去されている。本実施形態においては、ブロッコリーBを切断するためのブロッコリー切断装置1について述べるが、本発明は、ブロッコリー以外の茎の先端に花蕾を有する野菜、例えばカリフラワー等の野菜を切断するための野菜切断装置に適用されてもよい。
【0015】
以下、図1に示すように、ブロッコリーBの搬送方向を前方とした前後方向、及び左右方向に基づきつつ、ブロッコリー切断装置1について説明する。
【0016】
ブロッコリー切断装置1は、図1に示すように、ブロッコリー搬送部100、茎分離部200、筐体300、制御部400及び支持台500を有している。支持台500は、ブロッコリー搬送部100等の構造部が固定される支持フレーム510と、支持フレーム510を床上で支持した4本の脚部520を有している。支持フレーム510は、複数本の金属製の角型パイプによって直方体の概略形状を有するように構成されている。
【0017】
筐体300は、ブロッコリー搬送部100の一部及び茎分離部200を内部に収容した箱型の部材であり、支持台500の前部に配置されている。筐体300は、左フレーム板310、右フレーム板320、前フレーム板330及び後フレーム板340を有している。これらのフレーム板が前後左右の4面に配置されていることで、ブロッコリー搬送部100の一部及び茎分離部200を内部に収容する直方体状の空間が形成されている。
【0018】
左フレーム板310及び右フレーム板320のそれぞれは、下端において支持フレーム510の上面に固定されている。左フレーム板310の下部には、茎分離部200によって後述の通り切断されたブロッコリーBの茎b1を筐体300外に搬出するための茎搬出口315が形成されている。後フレーム板340は、左フレーム板310及び右フレーム板320の後端における上下方向に中央付近の箇所に固定されている。後フレーム板340の下方には後述の花蕾受け皿150が筐体300内に進入するための進入口370が形成されている。前フレーム板330には、花蕾受け皿150が筐体300から退出する退出口が形成されている。
【0019】
ブロッコリー搬送部100は、ブロッコリーBを茎分離部200に搬送する部分である。ブロッコリー搬送部100は、ユーザの手作業によってコンテナ等から移送されたブロッコリーBを受ける花蕾受け皿150(本発明でいう花蕾受け部)及び花蕾受け皿150を搬送する受け皿搬送部110(本発明でいう搬送部)を有している。
【0020】
受け皿搬送部110は、花蕾受け皿150を所定の搬送経路に沿って搬送する左搬送フレーム120、右搬送フレーム130及び受け皿支持部140を有している。以下の説明において、「上流」及び「下流」とは花蕾受け皿150の搬送経路に関して上流及び下流を示す。
【0021】
左搬送フレーム120は前後方向に延びている。左搬送フレーム120は左フレーム板121、前プーリ122a、後プーリ122b及びチェーン125を有している。左フレーム板121の下端は支持フレーム510に固定されている。前プーリ122aは左フレーム板121の前部に回転可能に支持されている。後プーリ122bは左フレーム板121の後部に回転可能に支持されている。前プーリ122a及び後プーリ122bには無端のチェーン125が巻き掛けられている。チェーン125の移動経路は、左フレーム板121の周縁部に沿って延びている。チェーン125には、その移動経路の外側に向かって突出した複数の支持金具126が固定されている。支持金具126は、チェーン125の移動経路に沿って所定の間隔で配列されている。
【0022】
右搬送フレーム130は前後方向に延びている。右搬送フレーム130は右フレーム板131、前プーリ132a、後プーリ(図示なし)及びチェーン135を有している。右フレーム板131の下端は支持フレーム510に固定されている。前プーリ132aは右フレーム板131の前部に回転可能に支持されている。後プーリは右フレーム板131の後部に回転可能に支持されている。前プーリ132a及び後プーリには無端のチェーン135が巻き掛けられている。チェーン135の移動経路は、右フレーム板131の周縁部に沿って延びている。チェーン135には、その移動経路の外側に向かって突出した複数の支持金具136が固定されている。支持金具136は、チェーン135の移動経路に沿って所定の間隔で配列されている。
【0023】
左搬送フレーム120及び右搬送フレーム130は、左右方向に対向しており、複数の固定板190によって互いに固定されている。前プーリ122a及び132aは左右方向に沿った軸で互いに固定されている。後プーリ122b及び右搬送フレーム130に支持された後プーリも、同様に、左右方向に沿った軸で互いに固定されている。前プーリ側の軸はモーターの回転軸に接続されている。モーターから前プーリの軸に駆動力が伝達されると2つの前プーリが回転し、前プーリに巻き掛けられたチェーン125及び135が上記移動経路に沿って走行する。2つの後プーリは、チェーン125及び135の走行に従動して回転する。
【0024】
受け皿支持部140は、平板状の金属板がコの字形状に折り曲げられて構成された部材である。受け皿支持部140の左端部141は、左チェーン125に沿って並んだ支持金具126に1つ置きに固定されている。受け皿支持部140の右端部142は右チェーン135に沿って並んだ支持金具136に1つ置きに固定されている。受け皿支持部140は、左チェーン125及び右チェーン135に沿って等間隔に配列されている。
【0025】
花蕾受け皿150は、花蕾b1が茎b2の下方に配置された状態のブロッコリーBを受ける部材である。花蕾受け皿150は受け部搬送部110に支持されており、左チェーン125及び右チェーン135に沿って等間隔に配列されている。花蕾受け皿150は、平板部151、窪み部152、左側壁153及び右側壁154を有している。平板部151は矩形状の部材である。窪み部152は、平板部151の一方の面から反対側に向かってすり鉢状に落ち込んだ部分である。窪み部152は、ブロッコリーBの花蕾b1を受けてこれを支持するために適度な大きさに構成されている。
【0026】
左側壁153は、平板部151の左端から平板部151と直交する方向に延びている。左側壁153は、平板部151の下流側の端部から上流側の端部付近まで延びている。左側壁153より上流側には切り欠き部153aが形成されている。左側壁153の前部は取り付け金具153bに回転可能に支持されている(図2参照)。右側壁154は、平板部151の右端から平板部151と直交する方向に延びている。右側壁154は、平板部151の下流側の端部から上流側の端部付近まで延びている。右側壁154より上流側には切り欠き部154aが形成されている。右側壁154の前部は取り付け金具154bに回転可能に支持されている(図2参照)。取り付け金具153b及び154bは支持金具126及び支持金具136にそれぞれ固定されている。これにより、花蕾受け皿150が、取り付け金具153b及び154bを中心として回転可能に、チェーン125及び135に支持されている。
【0027】
花蕾受け皿150が受け皿搬送部110の上部に配置された状態においては、受け皿支持部140が切り欠き部153a及び154aに嵌ることにより、花蕾受け皿150が、取り付け金具153b及び154b並びに受け皿支持部140を通じてチェーン125及び135に支持される。受け部搬送部110は、チェーン125及び135を走行させることで、これらのチェーンに支持された花蕾受け皿150を茎分離部200の下部に設定された切断位置10(本発明でいう所定の切断位置)に順に搬送する。一方、花蕾受け皿150が受け皿搬送部110の下部に配置された状態においては、受け皿支持部140が切り欠き部153a及び154aから外れ、花蕾受け皿150が取り付け金具153b及び154bを通じてチェーン125及び135にぶら下げられた状態を取る。
【0028】
茎分離部200は、筐体300内に配置され、ブロッコリー搬送部100によって搬送されたブロッコリーBの茎b2の少なくとも一部を花蕾b1から分離する部分である。茎分離部200は、筐体300内の切断位置10に配置された花蕾受け皿150上のブロッコリーBを花蕾受け皿150に対して押さえ付ける押さえ付け部700及び押さえ付け部700によって押さえ付けられたブロッコリーBの茎b2を切離する茎切離部800を有している。
【0029】
押さえ付け部700は、水平方向に沿った概略正方形の平面形状を有する平板部710並びにアクチュエータ311及び312を有している。平板部710は貫通孔720を有している。貫通孔720は、平板部710の中央部に形成された、円形の平面形状を有する貫通孔である。貫通孔720は、切断位置10にある花蕾受け皿150の窪み部152の上方に位置する。貫通孔720は、平面視で、花蕾受け皿150上のブロッコリーBの花蕾b1より小さく、茎b2より大きい(図4参照)。
【0030】
アクチュエータ311及び312は、平板部710を昇降させる駆動部であり、左フレーム板310に固定されている。アクチュエータ311は、図3に示すように、シリンダー311a及びロッド311bを有している。ロッド311bはシリンダー311a内に挿入されている。ロッド311bの下端は平板部710の左前端部付近に固定されている。アクチュエータ312は、図3に示すように、シリンダー312a及びロッド312bを有している。ロッド312bはシリンダー312a内に挿入されている。ロッド312bの下端は平板部710の左後端部付近に固定されている。アクチュエータ311及び312は、ロッド311b及び312bをシリンダー311a及び312aから下方に向かって突出させたり、シリンダー311a及び312a内に引き込んだりする。これにより、切断位置10にある花蕾受け皿150に対して平板部710を昇降させる。平板部710が降下すると、花蕾受け皿150上のブロッコリーBの茎b2が平板部710に形成された貫通孔720を下方から貫通する。図4に示すように、貫通孔720の周縁部721(図中、斜線のハッチング領域)では、花蕾b1(図中、グレーの領域)の根元の周囲における複数の箇所(例えば、矢印P1、P2及びP3で示す3箇所)が、平板部710と上方から接触する。
【0031】
茎切離部800は、図2に示すように、切断部810、押し出し部850及び茎分離フレーム890を有している。茎分離フレーム890は切断部810及び押し出し部850を支持する。茎分離フレーム890は上方から見て左方に開口したコの字形状を有する部材である。茎分離フレーム890は、前壁891、後壁892及び右壁893、並びに昇降部895を有している。前壁891、後壁892及び右壁893は矩形状の平板部材である。前壁891の前面891aには、後述するスライダー381aが固定部材891bを介して固定されている。同様に、後壁892の後面892aには、後述するスライダー382aが固定部材892bを介して固定されている。固定部材891b及び892bは、いずれも、上方から見てコの字型のフレームである。
【0032】
茎分離フレーム890は、図1に示すように、2つのスライダー381a及び2つのスライダー382a並びにレール381b及びレール382bによって昇降可能に筐体300に支持されている。2つのスライダー381aは、上下に並んで固定部材891bに固定されている。2つのスライダー382aは、上下に並んで固定部材892bに固定されている。レール381bは、茎分離フレーム890の前方において上下に延びたレールである。レール382bは、茎分離フレーム890の後方において上下に延びたレールである。
【0033】
図1及び図5に示すように、昇降部895は、シリンダー895a、ロッド895b及び挟持アーム895cを有するアクチュエータである。上下方向に延びたシリンダー895aにロッド895bが挿入されている。ロッド895bに挟持アーム895cが固定されている。挟持アーム895cの下部は前後二股に分かれている。二股の一方は茎分離フレーム890の前壁891の上端部に固定され、二股の他方は茎分離フレーム890の後壁892の上端部に固定されている。シリンダー895aからロッド895bが出入りすることで茎分離フレーム890が昇降する。このとき、茎分離フレーム890の2つのスライダー381a及び2つのスライダー382aがそれぞれレール381b及びレール382bに沿って昇降する。これにより、茎切離部800が、切断位置にある花蕾受け皿150の上方に退避した退避位置と、切断位置10にある花蕾受け皿150上のブロッコリーBを切断可能な降下位置との間で移動することができる。
【0034】
切断部810は、図2に示すように、カッター820、前支持部830、後支持部840、前モーター835及び後モーター845を有している。カッター820は、長尺な平板部材を半円状に湾曲させることで構成されている。カッター820の幅方向の一端部が刃821を形成している。カッター820の前端部は前支持部830に固定されている。前支持部830の前端部は軸831を有している。軸831は、前方に突出して前壁891を貫通し、前壁891の前面に固定された前モーター835の回転軸に接続されている。カッター820の後端部は後支持部840に固定されている。後支持部840の後端部は軸841を有している。軸841は後方に突出して後壁892を貫通し、後壁892の後面に固定された後モーター845の回転軸に接続されている。カッター820は、前モーター835及び後モーター845に駆動され、前後方向に沿った回転軸に対して回転する。図6に示すように、カッター820が回転することで、花蕾b1の付け根付近における複数の箇所に囲まれた部分が、刃821によって切断される。
【0035】
押し出し部850は、図7に示すように、押し出し板860、前支持部870、後支持部880、前モーター875、後モーター885を有している。押し出し板860は、本体部861及びアーム部862を有している。本体部861は矩形状の平板部分であり、下端部が左方に若干折れ曲がっている。アーム部862は、本体部861の上端から前方且つ上方に延びた前アーム862aと、本体部861の上端から後方且つ上方に延びた後アーム862bとを有し、全体として左方から見てU字形状を有する平板部材である。前アーム862aの上端は前支持部870に固定されている。前支持部870の前端部は軸871を有している。軸871は前方に突出しつつ前壁891を貫通し、前モーター875の回転軸に接続されている。後アーム862bの上端は、後支持部880に固定されている。後支持部880の後端部は軸881を有している。軸881は後方に突出して後壁892を貫通し、後壁892の後面に固定された後モーター885の回転軸に接続されている。押し出し板860は、前モーター875及び後モーター885によって駆動され、前後方向に沿った回転軸に対して回転する。カッター820の切断によってブロッコリーBの茎b2を花蕾b1から離脱させるように茎b2を押し出す。
【0036】
制御部400は、ブロッコリー切断装置1の各部の動作を制御する機能に特化したコンピュータと、制御回路等のハードウェアと、ハードウェアに各種の処理を実行させるソフトウェアとから構成されている。この各種の処理には、ブロッコリー搬送部100及び茎分離部200の各動作を制御する処理が含まれている。また、制御部400は複数のスイッチ410を有している。スイッチ410は昇降部895の上端部に固定されている。制御部400は、これら複数のスイッチ410の操作状況に基づき、装置の動作を開始させたり、装置を強制停止させたりする処理を行う。
【0037】
次に、ブロッコリー切断装置1に対するユーザによる操作と制御部400よる各部の動作制御について、図2図7を用いて説明する。
【0038】
まず、ブロッコリー切断装置1のスイッチ410がユーザにより操作されると、装置の動作が開始される。受け皿搬送部110の上部において、左搬送フレーム120及び右搬送フレーム130が後方から前方に向かって移動する。ユーザは、花蕾b1が茎b2の下方に配置された状態で、受け皿搬送部110の上部の各花蕾受け皿150にブロッコリーBを載置する。ブロッコリーBが載置された花蕾受け皿150が前方に向かって搬送され、順に進入口370を通過する。進入口370を通過した花蕾受け皿150は、図2に示すように茎分離部200の下部に設定された切断位置10に到達する。
【0039】
次に、図3に示すように、押さえ付け部700のアクチュエータ311及び312において、ロッド311b及びロッド312bが下方に向かってシリンダー311a及び311bから突出する。これにより、平板部710が切断位置10にある花蕾受け皿150に対して降下する。花蕾受け皿150上のブロッコリーBの茎b2が平板部710に形成された貫通孔720を下方から貫通する。また、平板部710が、図4に示すように、貫通孔720の周縁部721においてブロッコリーBの花蕾b1の根元の周囲における複数の箇所と上方から接触する。これによって、平板部710が花蕾受け部150に対してブロッコリーBを押さえ付ける。
【0040】
次に、図5に示すように、昇降部895において、ロッド895bが下方に向かって、シリンダー895aから突出する。茎分離フレーム890の2つのスライダー381a及び2つのスライダー382aがそれぞれレール381b及びレール382bに沿って降下する。これにより、切断位置10にある花蕾受け皿150上のブロッコリーBを切断可能な降下位置まで茎切離部800が降下する。
【0041】
次に、図6に示すように、カッター820は、前モーター835及び後モーター845に駆動され、前後方向に沿った回転軸に対して回転する。回転軸の下方においてカッター820の先端がブロッコリーBの茎b2の右方から左方へと移動するようにカッター820が回転することで、花蕾b1の付け根付近が、カッター820の刃821によって切断される。
【0042】
次に、図7に示すように、押し出し板860は、前モーター875及び後モーター885によって駆動され、前後方向に沿った回転軸に対して回転する。回転軸の下方において本体部861がブロッコリーBの茎b2の右方から左方へと移動するように押し出し板860が回転し、本体部861の左面が茎b2に当たる。これにより、本体部861は、カッター820によって切断された茎b2を花蕾b1から離脱させるように押し出す。このように押し出し板860によって押し出された茎b2は、茎搬出口315(図1参照)から排出される。
【0043】
以上に述べたように、ブロッコリーBを受ける複数の花蕾受け皿150が所定の切断位置10まで順に搬送される。そして、所定の切断位置10において花蕾受け皿150上のブロッコリーBがカッター820によって切断される。よって、花蕾受け皿150にブロッコリーBを設置する位置と花蕾受け皿150上のブロッコリーBを切断する位置とが異なっている。このため、ブロッコリーBの切断が完了していなくても花蕾受け皿150へのブロッコリーBの設置を行うことができるので、切断処理の迅速化が図りやすい。
【0044】
また、花蕾b1の付け根付近において花蕾受け皿150に対して押さえ付け部700がブロッコリーBを押さえ付けつつ、押さえ付けられたブロッコリーBの花蕾b1の付け根付近をカッター820が切断する。このため、ブロッコリーBの切断箇所を確実に支持した上で切断を実行できる。
【0045】
また、茎b2の根元の周囲における複数の箇所(例えば、図2の矢印P1、P2及びP3が示す箇所)と押さえ付け部700が接触する。したがって、ブロッコリーBが確実に支持されやすい。
【0046】
また、貫通孔720の周縁部721がブロッコリーBと接触する。このため、周縁部721に沿った領域における複数の箇所でブロッコリーBを押さえ付けることができるので、ブロッコリーBが安定に支持されやすい。
【0047】
また、切断によって分離されたブロッコリーBの上部(茎b2)がブロッコリーBの下部(花蕾b1)から確実に離脱されやすい。
【0048】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0049】
上述の実施形態では、押さえ付け部700と茎切離部800が別々に昇降する。しかし、同時に昇降してもよい。例えば、ブロッコリー切断装置は、レール381b及びレール382bの下端が平板部710に固定されて、茎切離部800の昇降と押さえ付け部700の昇降が連動するような構造を有していてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、ブロッコリーBを押さえ付ける押さえ付け部700が、貫通孔720を有する1枚の矩形の平板部710によって構成されている。これに対し、その他の構成を有する押さえ付け部が採用されてもよい。例えば、環状の平面形状を有する平板によって押さえ付け部が構成されていてもよい。また、複数枚の平板によって構成されていてもよい。さらに、下方に向かって突出する複数本の突起によって構成されていてもよい。いずれの構成においても、ブロッコリーBの花蕾b1の付け根付近における複数箇所と上方から接触するような構成が採用されていることが好ましい。
【0051】
また、上述の実施形態では、貫通孔720の周縁部721において、花蕾b1の根元の周囲におけるP1、P2及びP3で示す3箇所が、平板部710と上方から接触する。これに対し、花蕾b1の根元の周囲における2箇所又は4箇所以上が平板部710と上方から接触していてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態に係るカッター820の代わりに、図8のカッター920が採用されてもよい。カッター920は円筒形状を有している。カッター920は、中心軸が上下方向に沿うように、切断位置10に設置されたブロッコリーBの上方に配置されている。カッター920は、ブロッコリー切断装置1に設置された駆動部によって昇降可能である。ブロッコリーBの切断時には、押さえ付け部700によって花蕾受け皿150へと押さえ付けられたブロッコリーBに向かって駆動部がカッター920を降下させる。駆動部は、カッター920の内部を茎b2が通るようにカッター920を降下させつつ、花蕾b1の付け根の位置からカッター920をブロッコリーBに挿入させると共に、カッター920の下端がブロッコリーBの下端を通過するまでカッター920を降下させる。これにより、平面視でカッター920の内部に相当するブロッコリーBの円柱部分が、カッター920によって花蕾b1のその他の部分から茎b2ごと切離される。
【符号の説明】
【0053】
1 ブロッコリー切断装置
10 切断位置
110 受け皿搬送部
150 花蕾受け皿
700 押さえ付け部
720 貫通孔
721 周縁部
810 切断部
850 押し出し部
B ブロッコリー
b1 花蕾
b2 茎
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8