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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118636
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/08 20060101AFI20240826BHJP
   B05B 7/06 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B05B7/08
B05B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025023
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】390002118
【氏名又は名称】株式会社いけうち
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 弘樹
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB13Y
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD03
4F033QD19
4F033QD24
4F033QD25
4F033QE09
4F033QF11Y
(57)【要約】
【課題】ノズルの先端に異物が付着することを抑えることができるノズルを提供する。
【解決手段】基端側から先端側に延びる軸方向と径方向とを有し、先端側から気液混合流体を噴出するノズル1であって、ノズル1の先端部は、先端に液体噴出口4を有する中心流路3と、中心流路3の周りに形成され、先端に第1気体噴出口7を有する第1外周流路6と、第1外周流路6の周りに形成され、先端に第2気体噴出口10を有する第2外周流路9とを有し、ノズル先端側から見て、液体噴出口4は第1気体噴出口7よりも径方向の内方に位置し、第1気体噴出口7は第2気体噴出口10よりも径方向の内方に位置し、第2外周流路9は、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部11を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側から先端側に延びる軸方向と径方向とを有し、先端側から気液混合流体を噴出するノズルであって、
前記ノズルの先端部は、先端に液体噴出口を有する中心流路と、前記中心流路の周りに形成され、先端に第1気体噴出口を有する第1外周流路と、前記第1外周流路の周りに形成され、先端に第2気体噴出口を有する第2外周流路とを有し、
ノズル先端側から見て、前記液体噴出口は前記第1気体噴出口よりも径方向の内方に位置し、前記第1気体噴出口は前記第2気体噴出口よりも径方向の内方に位置し、
前記第2外周流路は、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部を有することを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記第2気体噴出口の径方向の外方側の外縁は、前記第1気体噴出口の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置する請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記液体噴出口の外縁は、前記第2気体噴出口の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置しない請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記第1外周流路は、前記第1気体噴出口から基端側に延びる先端直進部を有し、前記先端直進部において、前記第1外周流路の径方向の外方側の表面が前記軸方向に略平行に延びるように形成されている請求項1に記載のノズル。
【請求項5】
前記軸方向に沿った断面において、前記先端傾斜部の流路幅は前記先端直進部の流路幅よりも広い請求項4に記載のノズル。
【請求項6】
前記第1外周流路は、ノズル先端側から見て一部が閉塞されている請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記ノズルは先端側の面に窪み部を有し、前記窪み部に前記第2気体噴出口が形成されている請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
前記第1気体噴出口における気体の圧力は、前記第2気体噴出口における気体の圧力よりも高い請求項1に記載のノズル。
【請求項9】
前記第2外周流路の上流側はオリフィスを介して前記第1外周流路に連通しており、
前記第1外周流路に供給された気体が、前記第1外周流路を通って前記第1気体噴出口から噴出されるとともに、前記オリフィスを通って前記第2外周流路に供給され、前記第2外周流路を通って前記第2気体噴出口から噴出される請求項1に記載のノズル。
【請求項10】
前記第2外周流路は、前記先端傾斜部と前記オリフィスの間に、前記先端傾斜部よりも流路幅が狭い、前記軸方向を中心とする環状の絞り部を有する請求項9に記載のノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズルに関するものであり、詳細には二流体ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体と気体を混合して噴霧する二流体ノズルが様々知られている(例えば、特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-093773号公報
【特許文献2】特開2008-018400号公報
【特許文献3】特開2006-167601号公報
【特許文献4】特開2004-237206号公報
【特許文献5】特開2001-149822号公報
【特許文献6】特開2000-107651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二流体ノズルは、ノズルの先端から気液混合流体が噴霧されるが、ノズルを継続して使用していくと、ノズルの先端に埃や粉塵等の異物が付着し目詰まりを起こす場合がある。この場合、ノズルの頻繁なメンテナンスが必要になったり、ノズルの先端から液だれが起こったり、ノズルからの液体の噴霧を所望通り行うことが難しくなったりする。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルの先端に異物が付着することを抑えることができるノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明のノズルは下記の通りである。
[1] 基端側から先端側に延びる軸方向と径方向とを有し、先端側から気液混合流体を噴出するノズルであって、
前記ノズルの先端部は、先端に液体噴出口を有する中心流路と、前記中心流路の周りに形成され、先端に第1気体噴出口を有する第1外周流路と、前記第1外周流路の周りに形成され、先端に第2気体噴出口を有する第2外周流路とを有し、
ノズル先端側から見て、前記液体噴出口は前記第1気体噴出口よりも径方向の内方に位置し、前記第1気体噴出口は前記第2気体噴出口よりも径方向の内方に位置し、
前記第2外周流路は、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部を有することを特徴とするノズル。
[2] 前記第2気体噴出口の径方向の外方側の外縁は、前記第1気体噴出口の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置する[1]に記載のノズル。
[3] 前記液体噴出口の外縁は、前記第2気体噴出口の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置しない[1]または[2]に記載のノズル。
[4] 前記第1外周流路は、前記第1気体噴出口から基端側に延びる先端直進部を有し、前記先端直進部において、前記第1外周流路の径方向の外方側の表面が前記軸方向に略平行に延びるように形成されている[1]~[3]のいずれかに記載のノズル。
[5] 前記軸方向に沿った断面において、前記先端傾斜部の流路幅は前記先端直進部の流路幅よりも広い[4]に記載のノズル。
[6] 前記第1外周流路は、ノズル先端側から見て一部が閉塞されている[1]~[5]のいずれかに記載のノズル。
[7] 前記ノズルは先端側の面に窪み部を有し、前記窪み部に前記第2気体噴出口が形成されている[1]~[6]のいずれかに記載のノズル。
[8] 前記第1気体噴出口における気体の圧力は、前記第2気体噴出口における気体の圧力よりも高い[1]~[7]のいずれかに記載のノズル。
[9] 前記第2外周流路の上流側はオリフィスを介して前記第1外周流路に連通しており、前記第1外周流路に供給された気体が、前記第1外周流路を通って前記第1気体噴出口から噴出されるとともに、前記オリフィスを通って前記第2外周流路に供給され、前記第2外周流路を通って前記第2気体噴出口から噴出される[1]~[8]のいずれかに記載のノズル。
[10] 前記第2外周流路は、前記先端傾斜部と前記オリフィスの間に、前記先端傾斜部よりも流路幅が狭い、前記軸方向を中心とする環状の絞り部を有する[9]に記載のノズル。
【発明の効果】
【0006】
本発明のノズルは、中心流路の先端の液体噴出口から液体が噴出し、中心流路の周りに形成された第1外周流路の先端の第1気体噴出口から気体が噴出し、これらが合わさってノズルの先端から気液混合流体が噴出する。ノズルはさらに、第1外周流路の周りに形成された第2外周流路の先端の第2気体噴出口から気体が噴出する。第2外周流路は、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部を有するため、第2気体噴出口から噴出した気体は、径方向の内方に向かってノズルの先端から噴出することとなる。本発明のノズルは、このように第2気体噴出口から気体が噴出するように構成されているため、ノズルの先端に埃や粉塵等の異物を付着するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のノズルの構成例を表し、ノズルの軸方向断面図を表す。
図2図1に示したノズルの先端部の拡大断面図を表す。
図3】本発明のノズルの他の構成例を表し、ノズルの軸方向断面図を表す。
図4図3に示したノズルの先端部の拡大断面図を表す。
図5図1図4に示したノズルを先端側から見た正面図を表す。
図6図4に示したノズルの先端部の変形例の拡大断面図を表す。
図7図4に示したノズルの先端部の変形例の拡大断面図を表す。
図8図7に示したノズルを先端側から見た正面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、気液混合流体を噴出するノズル、すなわち二流体ノズルに関するものである。二流体ノズルは、気液混合流体がノズルの先端から噴霧されるが、ノズルを継続して使用していくと、ノズルの先端に埃や粉塵等の異物が付着し目詰まりを起こす場合がある。本発明のノズルは、ノズルの先端に異物が付着して目詰まりが起こることを抑えるために、ノズル先端のパージ機能を備えるものである。以下、本発明のノズルを図面を参照して説明するが、本発明は図面に示した態様に限定されるものではない。また、各ノズルの構成は任意に置き換えたり組み合わせて実施することができる。
【0009】
図1図8には、本発明のノズルの構成例を示した。図1は第1実施形態に係るノズルの軸方向断面図を表し、図2図1に示したノズルの先端部の拡大断面図を表し、図3は第2実施形態に係るノズルの軸方向断面図を表し、図4図3に示したノズルの先端部の拡大断面図を表し、図5図1図4に示したノズルを先端側から見た正面図を表し、図6および図7図4に示したノズルの先端部の変形例の拡大断面図を表し、図8図7に示したノズルを先端側から見た正面図を表す。
【0010】
ノズル1は、基端側から先端側に延びる軸方向と、径方向とを有し、先端側から気液混合流体を噴出する。ノズル1において、軸方向とは、ノズル1の基端側から先端側に延びる方向を意味する。図1図4図6図7において、図面の右側が基端側に相当し、図面の左側が先端側に相当する。ノズル1は、液体が流れる中心流路3を有し、液体は中心流路3を基端側から先端側に向かって流れる。ノズル1は、先端側から気液混合流体を噴出する。径方向は、軸方向に対する垂直方向であって、ノズル1の軸方向の垂直断面において、中心流路3の中心(図心)から放射方向に延びる方向を意味する。ノズル1はまた、ノズル1の軸方向の垂直断面において、中心流路3の中心(図心)を取り囲む方向として周方向を有する。
【0011】
ノズル1は、ノズル1の先端を含む部分として先端部2を有する。ノズル1の先端部2は、先端に液体噴出口4を有する中心流路3と、中心流路3の周りに形成され、先端に第1気体噴出口7を有する第1外周流路6と、第1外周流路6の周りに形成され、先端に第2気体噴出口10を有する第2外周流路9とを有する。ノズル先端側から見て、液体噴出口4は第1気体噴出口7よりも径方向の内方に位置し、第1気体噴出口7は第2気体噴出口10よりも径方向の内方に位置する。そして、第2外周流路9は、ノズル1の先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部11を有する。
【0012】
ノズル1の先端部2は、内管21と中管22と外管23を有する三重管構造を有する。ノズル1の先端部2は、三重管構造を有する部分として規定することができる。内管21の内部空間に中心流路3が形成され、内管21と中管22の間の空間に第1外周流路6が形成され、中管22と外管23の間の空間に第2外周流路9が形成される。内管21の先端は液体噴出口4の外縁を形成し、中管22の先端は第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁を形成し、外管23の先端は第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁を形成する。ノズル先端側から見て、第1気体噴出口7は液体噴出口4の周りに形成され、第2気体噴出口10は第1気体噴出口7の周りに形成される。
【0013】
中心流路3には、ノズル1の先端から噴霧される液体が流れる。ノズル1から噴霧する液体としては、水、薬液、塗料、インク、調味液等が挙げられる。中心流路3の基端側には例えば送液ポンプが連通して設けられ、送液ポンプにより中心流路3に液体が供給されてもよい。あるいは、中心流路3の基端側には貯液部が設けられ、第1気体噴出口7から噴出する気体の流れによって中心流路3が減圧され、貯液部に貯まった液体が中心流路3に吸引されるように構成されてもよい。これにより、ノズル1の先端から、液体が、第1気体噴出口7から噴出される気体とともに噴霧される。
【0014】
第1外周流路6には、ノズル1の先端から液体とともに気液混合流体として噴出される気体が流れ、第2外周流路9には、ノズル1の先端に異物が付着するのを抑えるための気体が流れる。第1外周流路6と第2外周流路9を流れる気体としては、空気、窒素、アルゴン等が挙げられるが、簡便には空気を用いることが好ましい。気体は、加圧気体(例えば圧縮空気)として第1外周流路6と第2外周流路9に導入されることが好ましい。加圧気体は、例えば、ゲージ圧として0.01MPa~0.8MPaの圧力で第1外周流路6および/または第2外周流路9に導入されることが好ましい。
【0015】
第1外周流路6に導入される気体と第2外周流路9に導入される気体は同じであっても異なっていてもよいが、簡便には同一であることが好ましい。第1外周流路6の基端側と第2外周流路9の基端側にはコンプレッサー等の気体供給手段が連通して設けられる。気体供給手段は、第1外周流路6の基端側と第2外周流路9の基端側に別々に設けられてもよく、第1外周流路6の基端側に設けられる気体供給手段が第2外周流路9の基端側に設けられる気体供給手段を兼ねるものであってもよい。
【0016】
図1および図2に示したノズル1Aでは、ノズル1Aの内部で第1外周流路6と第2外周流路9が独立して形成されており、第1外周流路6と第2外周流路9に気体が別々に供給されるように構成されている。ノズル1Aにおいて、第1外周流路6の基端側と第2外周流路9の基端側にそれぞれ気体供給手段が設けられてもよく、第1外周流路6の基端側と第2外周流路9の基端側に共通の気体供給手段が設けられてもよい。一方、図3図4図6図7に示したノズル1B,1C,1Dでは、第1外周流路6と第2外周流路9がノズル1の内部で連通しており、第1外周流路6の基端側に気体供給手段が設けられ、第1外周流路6に導入された気体がノズル1の内部で第2外周流路9に導入されるように構成されている。なお、図面には示されていないが、ノズル1は、第2外周流路9の基端側に気体供給手段が設けられ、第2外周流路9に導入された気体がノズル1の内部で第1外周流路6に導入されるように構成することもできる。
【0017】
中心流路3を流れる液体が液体噴出口4から噴出し、第1外周流路6を流れる気体が第1気体噴出口7から噴出し、これらが合わさって衝突することで、液体噴出口4から噴出した液体が微粒化され、ノズル1の先端から気液混合流体が噴出される。ノズル1はさらに、液体噴出口4と第1気体噴出口7の径方向の外方に形成された第2気体噴出口10から、気体が噴出する。そして、第2外周流路9は、ノズル1の先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部11を有するため、第2気体噴出口10から噴出した気体は、径方向の内方に向かってノズル1の先端から噴出することとなる。このように第2気体噴出口10から気体が噴出することにより、ノズル1の先端、例えば液体噴出口4や第1気体噴出口7に、埃や粉塵等の異物が付着しにくくなる。
【0018】
ノズル1において、各噴出口の大きさは適宜設定することができる。例えば、図5を参照すると、液体噴出口4の内径すなわち内管21の先端の内径D1は、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上がさらに好ましく、また1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましく、0.8mm以下がさらに好ましい。第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁を規定する中管22の先端の内径D2は、0.8mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.2mm以上がさらに好ましく、また2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下がより好ましく、2.0mm以下がさらに好ましい。第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁を規定する外管23の先端の内径D3は、1.8mm以上が好ましく、2.2mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましく、また5.0mm以下が好ましく、4.5mm以下がより好ましく、4.0mm以下がさらに好ましい。
【0019】
第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁を規定する中管22の先端の内径D2は、液体噴出口4の内径すなわち内管21の先端の内径D1の1.5倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましく、また6.0倍以下が好ましく、5.0倍以下がより好ましく、4.0倍以下がさらに好ましい。第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁を規定する外管23の先端の内径D3は、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁を規定する中管22の先端の内径D2の1.5倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましく、また8.0倍以下が好ましく、6.0倍以下がより好ましく、4.5倍以下がさらに好ましい。
【0020】
ノズル先端側から見た第1気体噴出口7の径方向の長さ(内管21と中管22の間の長さC1)は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、また0.8mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましく、0.4mm以下がさらに好ましい。ノズル先端側から見た第2気体噴出口10の径方向の長さ(中管22と外管23の間の長さC2)は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、また1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、1.0mm以下がさらに好ましい。
【0021】
ノズル先端側から見た第1気体噴出口7の径方向の長さ(内管21と中管22の間の長さC1)は、液体噴出口4の内径(内管21の先端の内径D1)の0.2倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましく、また1.5倍以下が好ましく、1.2倍以下がより好ましく、1.0倍以下がさらに好ましい。ノズル先端側から見た第2気体噴出口10の径方向の長さ(中管22と外管23の間の長さC2)は、ノズル先端側から見た第1気体噴出口7の径方向の長さ(内管21と中管22の間の長さC1)よりも長いことが好ましい。ノズル先端側から見た第2気体噴出口10の径方向の長さ(中管22と外管23の間の長さC2)は、ノズル先端側から見た第1気体噴出口7の径方向の長さ(内管21と中管22の間の長さC1)の1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、また5.0倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましく、3.0倍以下がさらに好ましい。
【0022】
ノズル1において、各噴出口の軸方向の位置は適宜設定すればよいが、液体噴出口4を規定する内管21の先端と、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁を規定する中管22の先端と、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁を規定する外管23の先端は、軸方向に3.0mm以内の範囲に位置することが好ましく、2.5mm以内の範囲がより好ましく、2.0mm以内の範囲がさらに好ましい。
【0023】
第2気体噴出口10から気体を噴出することによって、ノズル1の先端に異物がより付着しにくくする点から、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁は第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置することが好ましい。このようにノズル1の先端部2を構成することにより、第1気体噴出口7や第2外周流路9の径方向の内方側の表面への異物の付着を抑えることができる。この場合、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁は、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりも、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上ノズル先端側に位置し、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下、さらにより好ましくは1.0mm以下ノズル先端側に位置する。
【0024】
液体噴出口4の外縁は、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置しないことが好ましい。このようにノズル1の先端部2を構成することにより、液体噴出口4への異物の付着を抑えることができる。例えば、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁は、液体噴出口4の外縁よりも、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下、さらにより好ましくは1.0mm以下ノズル先端側に位置する。
【0025】
液体噴出口4の外縁は、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置してもよく、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル基端側に位置してもよい。図1図4図7に示したノズル1A,1B,1Dでは、液体噴出口4の外縁は、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置している。ノズル1A,1B,1Dは、液体噴出口4から噴出した液体と第1気体噴出口7から噴出した気体が第1気体噴出口7の外部で混合する、いわゆる外部混合型の二流体ノズルとなる。一方、図6に示したノズル1Cでは、液体噴出口4の外縁が第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル基端側に位置している。ノズル1Cは、液体噴出口4から噴出した液体と第1気体噴出口7から噴出した気体が第1気体噴出口7の内部で混合する、いわゆる内部混合型の二流体ノズルとなる。
【0026】
ノズル1が外部混合型の二流体ノズルである場合、すなわち液体噴出口4の外縁が第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル先端側に位置する場合、液体噴出口4の外縁は、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりも、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上ノズル先端側に位置し、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下、さらにより好ましくは0.7mm以下ノズル先端側に位置する。これにより、液体噴出口4への異物の付着が抑えられやすくなる。
【0027】
一方、ノズル1が内部混合型の二流体ノズルである場合、すなわち液体噴出口4の外縁が第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりもノズル基端側に位置する場合は、液体噴出口4の外縁は、第1気体噴出口7の径方向の外方側の外縁よりも、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.7mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下、さらにより好ましくは0.3mm以下ノズル基端側に位置する。これにより、液体噴出口4への異物の付着が抑えられやすくなる。
【0028】
中心流路3は、液体噴出口4から基端側に軸方向に略平行に延びるように形成されていることが好ましい。例えば、中心流路3は、液体噴出口4と略同径で、液体噴出口4から基端側に軸方向に略平行に延びる先端小径部5を有することが好ましい(図2図4図6図7を参照)。先端小径部5の基端側では、中心流路3は、先端小径部5よりも大きい径で形成されていることが好ましい。このように中心流路3が形成されることにより、液体噴出口4から液体を勢いよく噴出することが容易になる。中心流路3の先端小径部5の軸方向の長さは、例えば、液体噴出口4の内径の3倍以上となるように形成されることが好ましく、5倍以上がより好ましい。中心流路3の先端小径部5の軸方向の長さの上限は特に限定されないが、先端小径部5での液体の圧損を抑える点から、先端小径部5の軸方向の長さは、液体噴出口4の内径の30倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、15倍以下がさらに好ましい。
【0029】
第1外周流路6は、第1気体噴出口7から基端側に延びる先端直進部8を有し、先端直進部8において、第1外周流路6の径方向の外方側の表面(すなわち中管22の内面)が軸方向に略平行に延びるように形成されていることが好ましい(図2図4図6図7を参照)。このように第1外周流路6が形成されることにより、液体噴出口4から噴出した液体が第1気体噴出口7から噴出した気体とよく混合されるとともに、第1気体噴出口7から噴出した気体のせん断作用によって微粒化されやすくなる。その結果、液体をより小さい粒子径の液滴で噴霧することが可能となる。第1外周流路6において、先端直進部8は、第1外周流路6の径方向の外方側の表面が軸方向に略平行に延びるように形成された部分となる。
【0030】
第1外周流路6の先端直進部8の軸方向の長さは、ノズル先端側から見た第1気体噴出口7の径方向の長さ(内管21と中管22の間の長さC1)の2倍以上となることが好ましく、3倍以上がより好ましい。第1外周流路6の先端直進部8の軸方向の長さの上限は特に限定されないが、先端直進部8での気体の圧損を抑える点から、先端直進部8の軸方向の長さは、ノズル先端側から見た第1気体噴出口7の径方向の長さの15倍以下が好ましく、10倍以下がより好ましく、5倍以下がさらに好ましい。
【0031】
第1外周流路6の径方向の内方側の表面(すなわち内管21の外面)は、先端直進部8において、軸方向に略平行に延びるように形成されているか、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜して形成されていることが好ましい。このように第1外周流路6が形成されることにより、液体噴出口4から噴出した液体が第1気体噴出口7から噴出した気体によって微粒化されやすくなる。なお、先端直進部8において、第1外周流路6の径方向の内方側の表面は、軸方向に略平行に延びるように形成された部分を有することがより好ましい。例えば、先端直進部8の全体にわたって、第1外周流路6の径方向の内方側の表面が軸方向に略平行に延びるように形成されたり、あるいは、先端直進部8の先端部において、第1外周流路6の径方向の内方側の表面がノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜して形成され、それよりも基端側において、第1外周流路6の径方向の内方側の表面が軸方向に略平行に延びるように形成されることが好ましい。
【0032】
第1外周流路6は、軸方向に沿った断面において、先端直進部8の流路幅が、先端直進部8よりも上流側の部分の流路幅よりも狭く形成されていることが好ましい。第1外周流路6の流路幅は、軸方向に沿った断面において、第1外周流路6の延在方向に対して垂直な方向の第1外周流路6の幅を意味する。このように第1外周流路6が形成されていれば、第1外周流路6を流れる気体の圧損を少なく抑えることができるとともに、液体噴出口4から噴出した液体の第1気体噴出口7から噴出した気体によるせん断作用を高めることができる。
【0033】
第1外周流路6は、ノズル1の先端部2において、軸方向を中心に周方向に略均等に形成されていてもよいが、ノズル先端側から見て一部が閉塞されて形成されていてもよく、そのような構成例が図7および図8に示されている。図7および図8に示されたノズル1Dでは、第1外周流路6が、ノズル1の先端部2において、ノズル先端側から見て一部が閉塞されて形成されている。このように第1外周流路6が形成されていれば、第1外周流路6の軸方向の垂直方向における断面積を変えずに第1外周流路6の径方向の長さ(すなわち内管21と中管22のクリアランス)を長く取ることができ、第1外周流路6に異物が詰まりにくくすることができる。この場合、第1外周流路6は、先端直進部8において、ノズル先端側から見て一部が閉塞されていることが好ましい。
【0034】
第1外周流路6を一部閉塞する態様としては、内管21の外面の一部を外方に突出させる態様、中管22の内面の一部を内方に突出させる態様、内管21の外面と中管22の内面の間にスペーサー部材を配置する態様などが挙げられる。図7および図8では、内管21の外面の一部が外方に突出しており、これにより第1外周流路6の一部が閉塞されている。なお、第1外周流路6は、先端直進部8よりも上流側の部分においては、軸方向を中心に周方向に略均等に形成されている、すなわち軸対称に形成されていることが好ましい。
【0035】
第2外周流路9は、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜した先端傾斜部11を有する。先端傾斜部11は、第1気体噴出口7を囲んで形成されることが好ましい。第2外周流路9が先端傾斜部11を有することにより、第2気体噴出口10から気体が径方向の内方に向かって噴出し、液体噴出口4や第1気体噴出口7やその周囲に埃や粉塵等の異物が付着するのを抑えることができる。
【0036】
先端傾斜部11は、ノズル1の軸方向に沿った断面において、軸方向に対して斜めに延びるように形成されている。ノズル1の軸方向に沿った断面において、先端傾斜部11の延在方向と軸方向とがなす角度は、例えば、25°以上が好ましく、30°以上がより好ましく、35°以上がさらに好ましく、また65°以下が好ましく、60°以下がより好ましく、55°以下がさらに好ましい。なお、先端傾斜部11の延在方向は、軸方向に沿った断面で見て、先端傾斜部11における第2外周流路9の中心線の延在方向に基づき定めることができる。
【0037】
先端傾斜部11において、第2外周流路9は、径方向の内方側と外方側の表面がノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜していることが好ましい。第2外周流路9は、先端傾斜部11の先端側が第2気体噴出口10に臨むように形成されていることが好ましく、先端傾斜部11において、第2外周流路9の径方向の内方側の表面がノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜して延び、第2気体噴出口10の径方向の内方側の外縁に接続していることが好ましい。すなわち、第2外周流路9の径方向の内方側の表面は、第2気体噴出口10の径方向の内方側の外縁まで、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜して延びるように形成されていることが好ましい。第2外周流路9の径方向の外方側の表面は、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜して延び、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁に接続していてもよく、ノズル先端に向かって径方向の内方に傾斜して延びた後、軸方向に略平行に延び、第2気体噴出口10の径方向の外方側の外縁に接続していてもよい。
【0038】
軸方向に沿った断面において、第2外周流路9の先端傾斜部11の流路幅は第1外周流路6の先端直進部8の流路幅よりも広く形成されていることが好ましい。先端傾斜部11の流路幅は、軸方向に沿った断面において、先端傾斜部11の延在方向に対して垂直な方向の第2外周流路9の幅を意味し、先端直進部8の流路幅は、軸方向に沿った断面において、先端直進部8の延在方向に対して垂直な方向の第1外周流路6の幅を意味する。このように先端傾斜部11と先端直進部8が形成されていれば、ノズル1の先端から気液混合流体を安定して噴出しやすくなる。
【0039】
第2外周流路9は、ノズル1の先端部2において、軸方向を中心に周方向に略均等に形成されている、すなわち軸対称に形成されていることが好ましい。このように第2外周流路9が形成されることにより、第2気体噴出口10から気体が周方向の全体にわたって噴出されやすくなり、ノズル1の先端に埃や粉塵等の異物が付着しにくくなる。
【0040】
第1気体噴出口7における気体の圧力は、第2気体噴出口10における気体の圧力よりも高いことが好ましい。このように第1気体噴出口7と第2気体噴出口10から気体が噴出されることにより、第2気体噴出口10から噴出される気体によって液体噴出口4と第1気体噴出口7から噴出される気液混合流体の流れが阻害されにくくなり、ノズル1から好適に気液混合流体を噴出しやすくなる。同様の観点から、第1気体噴出口7から噴出する気体の流量は、第2気体噴出口10から噴出する気体の流量よりも多いことが好ましい。
【0041】
図3図4図6図7に示されるように、第2外周流路9の上流側は第1外周流路6に連通していることが好ましい。このようにノズル1を構成することにより、ノズル1の小型化を図ることができる。また、第1外周流路6の基端側に設けられる気体供給手段が第2外周流路9の基端側に設けられる気体供給手段を兼ねるものとなり、ノズル1の周辺装置の簡略化を図ることができる。この場合、第1外周流路6に供給された気体が、第1外周流路6を通って第1気体噴出口7から噴出されるとともに、第1外周流路6に供給された気体が第2外周流路9に供給され、第2外周流路9を通って第2気体噴出口10から噴出されることとなる。
【0042】
第2外周流路9の上流側はオリフィス14を介して第1外周流路6に連通していることが好ましい(図4図6図7を参照)。オリフィス14は、その上流側の第1外周流路6とその下流側の第2外周流路9よりも流路面積の狭い小流路として形成される。第2外周流路9の上流側がオリフィス14を介して第1外周流路6に連通することにより、第1外周流路6に供給された気体が、第1外周流路6を通って第1気体噴出口7から噴出されるとともに、オリフィス14を通って第2外周流路9に供給され、第2外周流路9を通って第2気体噴出口10から噴出される。これにより、第2気体噴出口10における気体の圧力を、第1気体噴出口7における気体の圧力よりも低くすることを簡便に実現できる。あるいは、第2気体噴出口10から噴出する気体の流量を、第1気体噴出口7から噴出する気体の流量よりも少なくすることを簡便に実現できる。オリフィス14は、第1外周流路6の先端直進部8よりも上流側の部分と、第2外周流路9の先端傾斜部11よりも上流側の部分とを繋ぐように設けられることが好ましい。
【0043】
オリフィス14は、軸方向断面において周方向に複数設けられることが好ましく、周方向に略等間隔で複数設けられることがより好ましい。オリフィス14の数は、例えば、2~12が好ましく、2~8がより好ましく、3~6がさらに好ましい。
【0044】
第2外周流路9は、先端傾斜部11とオリフィス14の間に、先端傾斜部11よりも流路幅が狭い、軸方向を中心とする環状に形成された絞り部12を有することが好ましい。このように第2外周流路9に環状の絞り部12が設けられることにより、オリフィス14を通って第2外周流路9に供給された気体が周方向に略均等に分配されやすくなり、第2気体噴出口10から気体を周方向の全体にわたって噴出させることが容易になる。
【0045】
第2外周流路9は、絞り部12とオリフィス14の間に、絞り部12よりも流路幅が広い、軸方向を中心とする環状のバッファー空間13を有することが好ましい。オリフィス14は第2外周流路9のバッファー空間13に接続していることが好ましい。このようにバッファー空間13を設けることにより、オリフィス14を通って第2外周流路9に供給された気体が周方向に略均等に分配されやすくなる。
【0046】
第2外周流路9は、オリフィス14よりも下流側において、軸方向を中心に周方向に略均等に形成されている、すなわち軸対称に形成されていることが好ましい。このように第2外周流路9が形成されることにより、第2気体噴出口10から気体が周方向に略均等に噴出されやすくなり、ノズル1の先端に埃や粉塵等の異物が付着しにくくなる。
【0047】
ノズル1は先端側の面がフラットに形成されていてもよいが、ノズル1は先端側の面に窪み部15を有し、窪み部15に第2気体噴出口10が形成されていることが好ましい。ノズル1の先端側の面に窪み部15を形成することにより、液を噴霧していないときでもノズル1の先端に埃や粉塵等の異物が付着しにくくなる。
【0048】
窪み部15の外縁は、軸方向に沿った断面で、ノズル1の基端側に向かって径方向の内方に傾斜していることが好ましい。窪み部15は、窪み部15の深さが、窪み部15の径方向の長さよりも短く形成されていることが好ましく、例えば、窪み部15の深さは、窪み部15の径方向の長さの1/20以上が好ましく、1/15以上がより好ましく、また1/3以下が好ましく、1/5以下がより好ましい。
【0049】
ノズル1は、金属や樹脂から構成することができる。金属としては、鉄、鉄合金(炭素鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼等)、銅、銅合金(真鍮等)、アルミ合金(ジュラルミン等)、ニッケル合金(ハステロイ、モネル等)などが挙げられる。樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等が挙げられる。
【0050】
ノズル1は、先端側の面がフッ素系樹脂から構成されていることが好ましい。ノズル1の先端側の面に窪み部15が形成される場合は、窪み部15を含むノズル1の先端側の面がフッ素系樹脂から構成されていることが好ましい。これにより、ノズル1の先端側の面への埃や粉塵等の異物の付着を抑えることができる。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン等が挙げられる
【0051】
ノズル1から噴霧された液体の平均粒子径は、例えば50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。噴霧された液体の平均粒子径の下限は特に限定されず、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。液体はドライフォグとして噴霧されてもよく、すなわち触れても濡れを感じない程度の微細な霧状に噴霧されてもよい。液体を例えば平均粒子径10μm以下のドライフォグとして噴霧することで、噴霧対象空間を濡らすことなく、液体を短時間で満遍なく対象空間に行き渡らせることができる。ここで説明した平均粒子径は、ノズル1から噴霧された液体に対して、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用い、ノズル1の先端から30cm先の地点での液滴の粒子径分布を測定したときのザウター平均粒子径を意味する。
【0052】
本発明はまた、本発明のノズルを用いて、液体噴出口から液体を噴出し、第1気体噴出口から気体を噴出し、第2気体噴出口から気体を噴出する噴霧方法を提供することができる。液体噴出口から噴出した液体と第1気体噴出口から噴出した気体は気液混合流体としてノズルの先端から噴出されることが好ましく、第2気体噴出口から噴出する気体は、液体噴出口と第1気体噴出口からの気液混合流体を囲むように噴出されることが好ましい。
【0053】
本発明のノズルは、加湿、冷却、静電気防止、空気清浄、殺菌洗浄、感染予防など様々な目的のために使用することができる。噴霧対象空間は、屋外であってもよく、壁や屋根で囲まれた屋内空間であってもよく、屋根や壁の一部がなく外気の出入りが自由な半屋内空間であってもよい。屋内の噴霧対象空間としては、工場、クリーンルーム、倉庫、ホール、事務所、工場、病院、老人ホーム、店舗、学校、住宅、畜舎、ビニルハウス、植物工場、きのこ栽培室等が挙げられる。また、排ガス冷却や、排ガス脱硝等の排ガス中の大気汚染物質の除去などに使用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1: ノズル
2: 先端部
3: 中心流路
4: 液体噴出口
5: 先端小径部
6: 第1外周流路
7: 第1気体噴出口
8: 先端直進部
9: 第2外周流路
10: 第2気体噴出口
11: 先端傾斜部
12: 絞り部
13: バッファー空間
14: オリフィス
15: 窪み部
21: 内管
22: 中管
23: 外管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8