IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体受光デバイス 図1
  • 特開-半導体受光デバイス 図2
  • 特開-半導体受光デバイス 図3
  • 特開-半導体受光デバイス 図4
  • 特開-半導体受光デバイス 図5
  • 特開-半導体受光デバイス 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118668
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】半導体受光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025072
(22)【出願日】2023-02-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発/異種材料集積光エレクトロニクスを用いた高効率・高速処理分散コンピューティングシステム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】沖本 拓也
【テーマコード(参考)】
5F149
【Fターム(参考)】
5F149AA04
5F149AB07
5F149BA03
5F149BA14
5F149BA15
5F149DA06
5F149GA06
5F149XB18
5F149XB37
(57)【要約】
【課題】高速で動作可能な半導体受光デバイスを提供する。
【解決手段】半導体受光デバイスは、入力光導波路とテーパー光導波路と光検出部とを備える。入力光導波路は、第1コア及び第1クラッド層を備える。テーパー光導波路は、第2コア及び第2クラッド層を備える。光検出部は、光吸収層、第1導電型の第1III-V族化合物半導体層及び第1導電型の第2III-V族化合物半導体層を備える。第2III-V族化合物半導体層は、第1III-V族化合物半導体層のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有する。第2コアは第1厚さを有する。光吸収層は第2厚さを有する。第2厚さは第1厚さよりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた入力光導波路と、
前記基板上に設けられ、前記入力光導波路に接続されたテーパー光導波路と、
前記基板上に設けられ、前記テーパー光導波路に接続された光検出部と、
を備え、
前記入力光導波路は、第1コア及び第1クラッド層を備え、前記第1コアは、前記基板と前記第1クラッド層との間に配置され、
前記テーパー光導波路は、前記入力光導波路から前記光検出部に向かうに連れて大きくなる幅を有し、
前記テーパー光導波路は、第2コア及び第2クラッド層を備え、前記第2コアは、前記基板と前記第2クラッド層との間に配置され、前記第2コアは、前記第1コアに光学的に結合され、
前記光検出部は、光吸収層、第1導電型の第1III-V族化合物半導体層及び第1導電型の第2III-V族化合物半導体層を備え、前記光吸収層は、前記基板と前記第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記光吸収層と前記第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記光吸収層は、前記第2コアに光学的に結合され、前記第2III-V族化合物半導体層は、前記第1III-V族化合物半導体層のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有し、
前記第2コアは第1厚さを有し、前記光吸収層は第2厚さを有し、前記第2厚さは前記第1厚さよりも小さい、半導体受光デバイス。
【請求項2】
前記第1III-V族化合物半導体層は第3厚さを有し、
前記第2III-V族化合物半導体層は第4厚さを有し、前記第3厚さは前記第4厚さよりも小さい、請求項1に記載の半導体受光デバイス。
【請求項3】
前記第3厚さは前記第2厚さよりも小さい、請求項2に記載の半導体受光デバイス。
【請求項4】
前記テーパー光導波路と前記光検出部との界面において、前記第2クラッド層の上面は、前記第2III-V族化合物半導体層の下面よりも前記基板に近い、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体受光デバイス。
【請求項5】
前記第1クラッド層は、前記入力光導波路の入力端面における第5厚さと、前記入力光導波路の出力端面における第6厚さと、を有し、前記第6厚さは前記第5厚さよりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体受光デバイス。
【請求項6】
前記第2厚さは500nm以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体受光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体受光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板上に形成された入力導波路と、基板上に形成されたフォトダイオードと、基板上に形成されたテーパー導波路とを有する受光デバイスを開示する。テーパー導波路は、入力導波路とフォトダイオードとを接続する。テーパー導波路の幅は、入力導波路に接続された入力端から、フォトダイオードに接続された出力端に向かって広がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-199373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高速で動作可能な半導体受光デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る半導体受光デバイスは、基板上に設けられた入力光導波路と、前記基板上に設けられ、前記入力光導波路に接続されたテーパー光導波路と、前記基板上に設けられ、前記テーパー光導波路に接続された光検出部と、を備え、前記入力光導波路は、第1コア及び第1クラッド層を備え、前記第1コアは、前記基板と前記第1クラッド層との間に配置され、前記テーパー光導波路は、前記入力光導波路から前記光検出部に向かうに連れて大きくなる幅を有し、前記テーパー光導波路は、第2コア及び第2クラッド層を備え、前記第2コアは、前記基板と前記第2クラッド層との間に配置され、前記第2コアは、前記第1コアに光学的に結合され、前記光検出部は、光吸収層、第1導電型の第1III-V族化合物半導体層及び第1導電型の第2III-V族化合物半導体層を備え、前記光吸収層は、前記基板と前記第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記光吸収層と前記第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記光吸収層は、前記第2コアに光学的に結合され、前記第2III-V族化合物半導体層は、前記第1III-V族化合物半導体層のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有し、前記第2コアは第1厚さを有し、前記光吸収層は第2厚さを有し、前記第2厚さは前記第1厚さよりも小さい。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、高速で動作可能な半導体受光デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る半導体受光デバイスを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、他の一実施形態に係る半導体受光デバイスを模式的に示す断面図である。
図4図4は、他の一実施形態に係る半導体受光デバイスを模式的に示す断面図である。
図5図5は、光吸収層の厚さと3dB帯域との関係の例を示すグラフである。
図6図6は、光吸収層の厚さと3dB帯域との関係の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)基板上に設けられた入力光導波路と、前記基板上に設けられ、前記入力光導波路に接続されたテーパー光導波路と、前記基板上に設けられ、前記テーパー光導波路に接続された光検出部と、を備え、前記入力光導波路は、第1コア及び第1クラッド層を備え、前記第1コアは、前記基板と前記第1クラッド層との間に配置され、前記テーパー光導波路は、前記入力光導波路から前記光検出部に向かうに連れて大きくなる幅を有し、前記テーパー光導波路は、第2コア及び第2クラッド層を備え、前記第2コアは、前記基板と前記第2クラッド層との間に配置され、前記第2コアは、前記第1コアに光学的に結合され、前記光検出部は、光吸収層、第1導電型の第1III-V族化合物半導体層及び第1導電型の第2III-V族化合物半導体層を備え、前記光吸収層は、前記基板と前記第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記光吸収層と前記第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記光吸収層は、前記第2コアに光学的に結合され、前記第2III-V族化合物半導体層は、前記第1III-V族化合物半導体層のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有し、前記第2コアは第1厚さを有し、前記光吸収層は第2厚さを有し、前記第2厚さは前記第1厚さよりも小さい、半導体受光デバイス。
【0009】
上記半導体受光デバイスによれば、光検出部の光吸収層を薄くできる。薄い光吸収層は、キャリアの走行時間を短縮するので、上記半導体受光デバイスは高速で動作可能である。
【0010】
(2)上記(1)において、前記第1III-V族化合物半導体層は第3厚さを有してもよく、前記第2III-V族化合物半導体層は第4厚さを有してもよく、前記第3厚さは前記第4厚さよりも小さくてもよい。この場合、光検出部の第1III-V族化合物半導体層を薄くできる。よって、光検出部の直列抵抗を小さくできる。
【0011】
(3)上記(2)において、前記第3厚さは前記第2厚さよりも小さくてもよい。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記テーパー光導波路と前記光検出部との界面において、前記第2クラッド層の上面は、前記第2III-V族化合物半導体層の下面よりも前記基板に近くてもよい。この場合、テーパー光導波路の第2コアから光検出部の第2III-V族化合物半導体層に光が漏れ難くなる。よって、光検出部の第2III-V族化合物半導体層による光吸収を抑制できる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、前記第1クラッド層は、前記入力光導波路の入力端面における第5厚さと、前記入力光導波路の出力端面における第6厚さと、を有してもよく、前記第6厚さは前記第5厚さよりも小さくてもよい。この場合、入力光導波路の入力端面において第1クラッド層が厚くなる。よって、入力端面に入力される光の損失を低減できる。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記第2厚さは500nm以下であってもよい。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には必要に応じてXYZ座標系が示される。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(例えば直交)する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る半導体受光デバイスを模式的に示す斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図2は、Y軸方向に直交するXZ断面を示す。図1及び図2に示される半導体受光デバイス100は、例えば130GBaud以上の変調速度を有する光通信デバイスにおいて用いられてもよい。半導体受光デバイス100は、基板10上に設けられた入力光導波路20と、基板10上に設けられたテーパー光導波路30と、基板10上に設けられた光検出部40とを備える。テーパー光導波路30は、入力光導波路20に接続される。光検出部40は、テーパー光導波路30に接続される。入力光導波路20、テーパー光導波路30及び光検出部40は、光軸方向(X軸方向)に沿って順に配列される。入力光導波路20及びテーパー光導波路30は、互いに接触してもよい。テーパー光導波路30及び光検出部40は、互いに接触してもよい。入力光導波路20に入力された光は、入力光導波路20及びテーパー光導波路30を通って進み、光検出部40によって検出される。
【0017】
基板10は、半絶縁性のIII-V族化合物半導体基板であってもよい。基板10は、半絶縁性のインジウムリン(InP)基板であってもよい。
【0018】
入力光導波路20は、メサ構造を有してもよい。入力光導波路20は、X軸方向に沿って延在する。入力光導波路20は、X軸方向に直交する幅W1(Y軸方向の長さ)を有する。入力光導波路20は、基板10の主面に直交するZ軸方向に高さを有する。
【0019】
入力光導波路20は、第1コア22及び第1クラッド層24を備える。第1コア22は、基板10と第1クラッド層24との間に配置される。第1コア22の厚さは、200nm以上であってもよいし、600nm以下であってもよい。第1クラッド層24の厚さは、800nm以下であってもよい。入力光導波路20は、第2導電型(例えばn型)のIII-V族化合物半導体層26を更に備えてもよい。第2導電型は、第1導電型(例えばp型)とは反対の導電型である。III-V族化合物半導体層26は、基板10と第1コア22との間に配置される。III-V族化合物半導体層26は、バッファ層又はクラッド層であってもよい。III-V族化合物半導体層26の厚さは、500nm以下であってもよい。基板10、III-V族化合物半導体層26、第1コア22及び第1クラッド層24のうち隣り合う部材は、互いに接触してもよい。
【0020】
第1コア22は、i型(ノンドープ)のIII-V族化合物半導体層であってもよい。第1コア22は、ガリウムインジウムヒ素リン(GaInAsP)を含んでもよい。第1クラッド層24は、i型のInPを含んでもよい。III-V族化合物半導体層26は、第2導電型のInPを含んでもよい。
【0021】
テーパー光導波路30は、メサ構造を有してもよい。テーパー光導波路30は、入力光導波路20から光検出部40に向かうに連れて大きくなる幅を有する。テーパー光導波路30は、入力光導波路20に接続される入力端面において幅W2(Y軸方向の長さ)を有する。幅W2は幅W1よりも大きい。幅W2と幅W1との差は、100nm以上であってもよい。幅W2と幅W1との差によって、高次モードが励起され得る。その結果、テーパー光導波路30と光検出部40との界面において、Z軸方向における光の染み出しを抑制できる。テーパー光導波路30は、光検出部40に接続される出力端面において幅W3(Y軸方向の長さ)を有する。幅W3は幅W2よりも大きい。光検出部40は幅W3と同じ幅を有してもよい。
【0022】
テーパー光導波路30は、第2コア32及び第2クラッド層34を備える。第2コア32は、基板10と第2クラッド層34との間に配置される。第2コア32は、第1コア22に光学的に結合される。第2コア32は第1厚さD1を有する。第1厚さD1は、600nm以下であってもよいし、200nm以上であってもよい。第2クラッド層34の厚さは、800nm以下であってもよい。テーパー光導波路30は、第2導電型のIII-V族化合物半導体層36を更に備えてもよい。III-V族化合物半導体層36は、基板10と第2コア32との間に配置される。III-V族化合物半導体層36は、バッファ層又はクラッド層であってもよい。III-V族化合物半導体層36の厚さは、500nm以下であってもよい。基板10、III-V族化合物半導体層36、第2コア32及び第2クラッド層34のうち隣り合う部材は、互いに接触してもよい。
【0023】
第2コア32に含まれる材料の例は、第1コア22に含まれる材料の例と同じであってもよい。第2クラッド層34に含まれる材料の例は、第1クラッド層24に含まれる材料の例と同じであってもよい。III-V族化合物半導体層36に含まれる材料の例は、III-V族化合物半導体層26に含まれる材料の例と同じであってもよい。
【0024】
光検出部40は、PINフォトダイオードであってもよい。光検出部40は、メサ構造を有してもよい。光検出部40は、光吸収層42、第1導電型の第1III-V族化合物半導体層44及び第1導電型の第2III-V族化合物半導体層45を備える。光吸収層42は、基板10と第1III-V族化合物半導体層44との間に配置される。光吸収層42は、第2コア32に光学的に結合される。第1III-V族化合物半導体層44は、光吸収層42と第2III-V族化合物半導体層45との間に配置される。第1III-V族化合物半導体層44は、クラッド層であってもよい。第2III-V族化合物半導体層45は、コンタクト層であってもよい。第2III-V族化合物半導体層45は、第1III-V族化合物半導体層44のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有する。第2III-V族化合物半導体層45のドーパント濃度は、1×1018cm-3以上であってもよい。
【0025】
光吸収層42は第2厚さD2を有する。第2厚さD2は、第2コア32の第1厚さD1よりも小さい。第2厚さD2は、500nm以下であってもよいし、200nm以上であってもよい。第1III-V族化合物半導体層44は第3厚さD3を有してもよい。第3厚さD3は、300nm以下であってもよいし、100nm以上であってもよい。第2III-V族化合物半導体層45は第4厚さD4を有してもよい。第4厚さD4は、400nm以下であってもよいし、100nm以上であってもよい。第3厚さD3は第4厚さD4より小さくてもよい。第3厚さD3は光吸収層42の第2厚さD2より小さくてもよい。
【0026】
光吸収層42は、i型(ノンドープ)のIII-V族化合物半導体層であってもよい。光吸収層42は、ガリウムインジウムヒ素(GaInAs)を含んでもよい。第1III-V族化合物半導体層44に含まれる材料の例は、第1クラッド層24に含まれる材料の例と同じであってもよい。第2III-V族化合物半導体層45は、GaInAsを含んでもよい。
【0027】
第2III-V族化合物半導体層45は、第2III-V族化合物半導体層45の厚さ方向(Z軸方向)に直交するXY断面を有してもよい。第2III-V族化合物半導体層45のXY断面の面積は、8μm以上であってもよいし、120μm以下であってもよい。第2III-V族化合物半導体層45のXY断面は、矩形形状を有してもよい。第2III-V族化合物半導体層45のXY断面において、X軸方向に沿った長さは4μm以上であってもよいし、12μm以下であってもよい。第2III-V族化合物半導体層45のXY断面において、Y軸方向に沿った長さは2μm以上であってもよいし、10μm以下であってもよい。
【0028】
光検出部40は、第2導電型のIII-V族化合物半導体層46を更に備えてもよい。III-V族化合物半導体層46は、基板10と光吸収層42との間に配置される。III-V族化合物半導体層46はバッファ層であってもよい。III-V族化合物半導体層46の厚さは、300nm以下であってもよい。III-V族化合物半導体層46に含まれる材料の例は、III-V族化合物半導体層26に含まれる材料の例と同じであってもよい。
【0029】
光検出部40は、i型のIII-V族化合物半導体層48を更に備えてもよい。III-V族化合物半導体層48は、III-V族化合物半導体層46と光吸収層42との間に配置される。III-V族化合物半導体層48はバッファ層であってもよい。III-V族化合物半導体層48の厚さは、300nm以下であってもよい。III-V族化合物半導体層48は、GaInAsPを含んでもよい。
【0030】
半導体受光デバイス100は、第2導電型のIII-V族化合物半導体層12を更に備えてもよい。III-V族化合物半導体層12は、基板10と光検出部40との間に配置される。III-V族化合物半導体層12は、基板10と入力光導波路20との間に配置されてもよい。III-V族化合物半導体層12は、基板10とテーパー光導波路30との間に配置されてもよい。III-V族化合物半導体層12は、コンタクト層であってもよい。III-V族化合物半導体層12は、III-V族化合物半導体層46のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有する。III-V族化合物半導体層12のドーパント濃度は、1×1017cm-3以上であってもよい。基板10、III-V族化合物半導体層12、III-V族化合物半導体層46、III-V族化合物半導体層48、光吸収層42、第1III-V族化合物半導体層44及び第2III-V族化合物半導体層45のうち隣り合う部材は、互いに接触してもよい。
【0031】
半導体受光デバイス100は、第1電極50を更に備えてもよい。第1電極50は、第2III-V族化合物半導体層45に接続される。第1電極50と第2III-V族化合物半導体層45との接合面積は、80μm以下であってもよい。半導体受光デバイス100は、III-V族化合物半導体層12に接続される第2電極を更に備えてもよい。第1電極50及び第2電極にはそれぞれ配線が接続され得る。第1電極50と第2電極との間には、逆バイアス電圧が印加され得る。
【0032】
半導体受光デバイス100において、第1電極50と第2電極との間の直列抵抗は、60Ω(オーム)以下であってもよいし、40Ω以下であってもよい。第1III-V族化合物半導体層44の第3厚さD3が小さいと、半導体受光デバイス100の直列抵抗が小さくなる。
【0033】
半導体受光デバイス100において、第1電極50と第2電極との間の静電容量は、40fF(フェムトファラド)以下であってもよいし、10fF以上であってもよい。第2III-V族化合物半導体層45のXY断面の断面積を小さくすると、半導体受光デバイス100の静電容量が小さくなる。
【0034】
半導体受光デバイス100によれば、光検出部40の光吸収層42を薄くできる。薄い光吸収層42は、キャリアの走行時間を短縮するので、半導体受光デバイス100が高速で動作することができる。半導体受光デバイス100の3dB帯域は、50GHz以上であってもよい。
【0035】
第1III-V族化合物半導体層44の第3厚さD3が第2III-V族化合物半導体層45の第4厚さD4より小さい場合、光検出部40の第1III-V族化合物半導体層44を薄くできる。よって、半導体受光デバイス100の直列抵抗を小さくできる。
【0036】
図3は、他の一実施形態に係る半導体受光デバイスを模式的に示す断面図である。図3に示される半導体受光デバイス100Aは、入力光導波路20及びテーパー光導波路30に代えて入力光導波路120及びテーパー光導波路130をそれぞれ備えること以外は半導体受光デバイス100と同じ構成を備える。入力光導波路120は、第1クラッド層24に代えて第1クラッド層124を備えること以外は入力光導波路20と同じ構成を備える。第1クラッド層124は、第1クラッド層24よりも薄い。テーパー光導波路130は、第2クラッド層34に代えて第2クラッド層134を備えること以外はテーパー光導波路30と同じ構成を備える。第2クラッド層134は、第2クラッド層34よりも薄い。第2クラッド層134は、第1クラッド層124と同じ厚さを有してもよい。
【0037】
テーパー光導波路130と光検出部40との界面において、第2クラッド層134の上面134Uは、第2III-V族化合物半導体層45の下面45Lよりも基板10に近い。その結果、第2クラッド層134が第2III-V族化合物半導体層45に接触しなくなる。
【0038】
半導体受光デバイス100Aによれば、半導体受光デバイス100と同じ作用効果が得られる。さらに、テーパー光導波路130の第2コア32から光検出部40の第2III-V族化合物半導体層45に光が漏れ難くなる。よって、光検出部40の第2III-V族化合物半導体層45による光吸収を抑制できる。
【0039】
図4は、他の一実施形態に係る半導体受光デバイスを模式的に示す断面図である。図4に示される半導体受光デバイス100Bは、入力光導波路120に代えて入力光導波路220を備えること以外は半導体受光デバイス100Aと同じ構成を備える。入力光導波路220は、第1クラッド層124に代えて第1クラッド層224を備えること以外は入力光導波路120と同じ構成を備える。第1クラッド層224は、入力光導波路220の入力端面224aにおける第5厚さD5と、入力光導波路220の出力端面224bにおける第6厚さD6とを有する。第6厚さD6は第5厚さD5よりも小さい。第6厚さD6は、第2クラッド層134の厚さと同じであってもよい。入力光導波路220は、出力端面224bを含む第1部分と、入力端面224aを含む第2部分とを有してもよい。入力光導波路220の第1部分は、一定の厚みを有してもよい。入力光導波路220の第2部分は、出力端面224bから入力端面224aに向かって大きくなる厚みを有してもよい。第1クラッド層224の表面には凹部が形成されてもよい。そのような凹部は、フォトリソグラフィー及びウェットエッチングにより形成され得る。
【0040】
半導体受光デバイス100Bによれば、半導体受光デバイス100Aと同じ作用効果が得られる。さらに、入力光導波路220の入力端面224aにおいて第1クラッド層224が厚くなるので、入力端面224aに入力される光の損失を低減できる。
【0041】
半導体受光デバイス100と同じ構造を有する半導体受光デバイスについて、シミュレーションを行った。このシミュレーションは本開示を限定するものではない。シミュレーションは、以下の式(1)を用いて行われた。
【数1】
【0042】
式(1)中、f1は、半導体受光デバイスの3dB帯域の値を示す。f2は、以下の式(2)で表される。
【数2】

式(2)中、vは電子及びホールの平均飽和速度(5.35×10[cm/s])を示す。Dは、光吸収層の厚さを示す。
【0043】
式(1)中、f3は、以下の式(3)で表される。
【数3】

式(3)中、Cは、半導体受光デバイスに含まれるフォトダイオードの静電容量を示す。RLは、負荷抵抗(50Ω)を示す。Rsは、半導体受光デバイスに含まれるフォトダイオードの直列抵抗を示す。Rsは、フォトダイオードの光吸収層上のクラッド層の厚さによって変化する。シミュレーション結果を図5及び図6に示す。
【0044】
図5及び図6のそれぞれは、光吸収層の厚さと3dB帯域との関係の例を示すグラフである。横軸は、光吸収層の厚さ(μm)を示す。縦軸は、3dB帯域(GHz)を示す。図5は、フォトダイオードの直列抵抗Rsが50Ωである場合のシミュレーション結果を示す。図6は、フォトダイオードの直列抵抗Rsが20Ωである場合のシミュレーション結果を示す。図5及び図6のそれぞれにおいて、10fF、20fF、30fF、40fF及び50fFのそれぞれは、フォトダイオードの静電容量Cを示す。各曲線は、フォトダイオードの静電容量Cが各値である場合のシミュレーション結果を示す。図5及び図6のそれぞれにおいて、基準線REFは、フォトダイオードの静電容量Cが0fFであると仮定した場合のシミュレーション結果を示す。
【0045】
図5及び図6に示されるように、フォトダイオードの静電容量が小さくなると、3dB帯域が大きくなることが分かる。また、フォトダイオードの直列抵抗が小さくなると、3dB帯域が大きくなることが分かる。さらに、光吸収層の厚さが小さくなると、3dB帯域が大きくなることが分かる。
【0046】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
10…基板
12…III-V族化合物半導体層
20…入力光導波路
22…第1コア
24…第1クラッド層
26…III-V族化合物半導体層
30…テーパー光導波路
32…第2コア
34…第2クラッド層
36…III-V族化合物半導体層
40…光検出部
42…光吸収層
44…第1III-V族化合物半導体層
45…第2III-V族化合物半導体層
45L…下面
46…III-V族化合物半導体層
48…III-V族化合物半導体層
50…第1電極
100…半導体受光デバイス
100A…半導体受光デバイス
100B…半導体受光デバイス
120…入力光導波路
124…第1クラッド層
130…テーパー光導波路
134…第2クラッド層
134U…上面
220…入力光導波路
224…第1クラッド層
224a…入力端面
224b…出力端面
REF…基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6