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特開2024-11867サンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011867
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】サンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/02 20060101AFI20240118BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B29C65/02
B32B3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114163
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 一浩
(72)【発明者】
【氏名】新藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大森 美琴
【テーマコード(参考)】
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04D
4F100BA07
4F100BA08
4F100GB07
4F211AA36
4F211AD16
4F211AG01
4F211AG03
4F211TA15
4F211TC09
4F211TD14
4F211TH16
4F211TN02
4F211TN44
4F211TN78
(57)【要約】
【課題】サンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法において、剥離抑制機能の向上を図ると共にコア材の成形作業の簡素化を図る。
【解決手段】板形状をなして厚さ方向の少なくとも一方の面に溝部が設けられるコア材と、複合材を用いて形成されて溝部に配置されるクラックアレスタと、複合材を用いて形成されてコア材の厚さ方向の両方の面にそれぞれ設けられる一対の面板と、複合材を用いて形成されてコア材の一方の面と面板との間から溝部とクラックアレスタとの間まで延出するように配置されるカバーと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状をなして厚さ方向の少なくとも一方の面に溝部が設けられるコア材と、
複合材を用いて形成されて前記溝部に配置されるクラックアレスタと、
複合材を用いて形成されて前記コア材の厚さ方向の両方の面にそれぞれ設けられる一対の面板と、
複合材を用いて形成されて前記コア材の一方の面と前記面板との間から前記溝部と前記クラックアレスタとの間まで延出するように配置されるカバーと、
を備えるサンドイッチパネル。
【請求項2】
前記カバーは、前記コア材の一方の面と前記面板との間に配置される第1カバー部と、前記溝部の側面と前記クラックアレスタの側面との間に配置される第2カバー部とを有し、前記複合材を構成する繊維が前記第1カバー部から前記第2カバー部にわたって配置される、
請求項1に記載のサンドイッチパネル。
【請求項3】
前記カバーは、前記溝部の底面と前記クラックアレスタの端面との間に配置される第3カバー部を有し、前記複合材を構成する繊維が前記第1カバー部から前記第2カバー部を介して前記第3カバー部にわたって配置される、
請求項2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項4】
前記クラックアレスタにおける前記コア材の厚さ方向の長さは、前記コア材の厚さ方向の長さの1/2より長い、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサンドイッチパネル。
【請求項5】
前記クラックアレスタは、前記コア材の厚さ方向に交差する第1面内方向に沿って配置される第1クラックアレスタと、前記コア材の厚さ方向および前記第1面内方向に交差する第2面内方向に沿って配置される第2クラックアレスタとを有する、
請求項1に記載のサンドイッチパネル。
【請求項6】
前記カバーは、前記コア材の前記第1面内方向に沿った第1溝部と前記第1クラックアレスタとの間に配置される第1カバーと、前記コア材の前記第2面内方向に沿った第2溝部と前記第2クラックアレスタとの間に配置される第2カバーとを有する、
請求項5に記載のサンドイッチパネル。
【請求項7】
前記クラックアレスタと前記カバーは、一体に設けられる、
請求項1に記載のサンドイッチパネル。
【請求項8】
板形状をなすコア材における厚さ方向の少なくとも一方の面に溝部を形成する工程と、
複合材を用いて形成されたカバーを前記一方の面に配置する工程と、
複合材を用いて形成されたクラックアレスタを前記カバーと共に前記溝部に挿入する工程と、
前記コア材と前記カバーと前記クラックアレスタを接合する工程と、
複合材を用いて形成された一対の面板を前記コア材の厚さ方向の両方の面にそれぞれ接合する工程と、
を有するサンドイッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の構造材料として、サンドイッチパネルが用いられている。サンドイッチパネルは、板形状をなすコア材の両面に複合材料から成る面板が積層されて形成される。そして、サンドイッチパネルは、コア材の内部にアレスタが配置されることで、面板とコア材との剥離が抑制される。このようなサンドイッチパネルとしては、例えば、下記特許文献1に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4928403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサンドイッチパネルは、コア材の内部に配置されたアレスタにより剥離を抑制するものであるが、さらなる剥離抑制機能の向上が望まれている。また、従来のサンドイッチパネルは、コア材が傾斜部を有し、傾斜部と面板とが鋭角で交差する先端部にアレスタが形成されており、コア材を積層するための作業に長時間を要してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、剥離抑制機能の向上を図ると共にコア材の成形作業の簡素化を図るサンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示のサンドイッチパネルは、板形状をなして厚さ方向の少なくとも一方の面に溝部が設けられるコア材と、複合材を用いて形成されて前記溝部に配置されるクラックアレスタと、複合材を用いて形成されて前記コア材の厚さ方向の両方の面にそれぞれ設けられる一対の面板と、複合材を用いて形成されて前記コア材の一方の面と前記面板との間から前記溝部と前記クラックアレスタとの間まで延出するように配置されるカバーと、を備える。
【0007】
また、本開示のサンドイッチパネルの製造方法は、板形状をなすコア材における厚さ方向の少なくとも一方の面に溝部を形成する工程と、複合材を用いて形成されたカバーを前記一方の面に配置する工程と、複合材を用いて形成されたクラックアレスタを前記カバーと共に前記溝部に挿入する工程と、前記コア材と前記カバーと前記クラックアレスタを接合する工程と、複合材を用いて形成された一対の面板を前記コア材の厚さ方向の両方の面にそれぞれ接合する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のサンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法によれば、剥離抑制機能の向上を図ることができると共に、コア材の成形作業の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のサンドイッチパネルを表す分解斜視図である。
図2図2は、サンドイッチパネルにおける第1面内方向に沿った縦断面図である。
図3図3は、サンドイッチパネルにおける第2面内方向に沿った縦断面図である。
図4図4は、サンドイッチパネルの第1変形例における第1面内方向に沿った縦断面図である。
図5図5は、サンドイッチパネルの第2変形例における第1面内方向に沿った縦断面図である。
図6図6は、サンドイッチパネルの製造方法を表すフローチャートである。
図7図7は、サンドイッチパネルの製造方法における第1溝の加工工程を表す概略図である。
図8図8は、サンドイッチパネルの製造方法における第1カバーの配置工程を表す概略図である。
図9図9は、サンドイッチパネルの製造方法における第1溝への第1複合材の挿入工程を表す概略図である。
図10図10は、サンドイッチパネルの製造方法における第2溝の加工工程を表す概略図である。
図11図11は、サンドイッチパネルの製造方法における第2カバーの配置工程を表す概略図である。
図12図12は、サンドイッチパネルの製造方法における第2溝への第2複合材の挿入工程を表す概略図である。
図13図13は、サンドイッチパネルの製造方法の変形例における第1カバーの配置工程を表す概略図である。
図14図14は、サンドイッチパネルの製造方法の変形例における第1溝への第1複合材の挿入工程を表す概略図である。
図15図15は、サンドイッチパネルにおける変形量に対する荷重を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
<サンドイッチパネル>
図1は、第1実施形態のサンドイッチパネルを表す分解斜視図である。なお、以下の説明にて、サンドイッチパネルの厚さ方向をZ方向、サンドイッチパネルの厚さ方向(Z方向)に直交するサンドイッチパネルの第1面内方向をX方向、サンドイッチパネルの厚さ方向(Z方向)および第1面内方向(X方向)に直交するサンドイッチパネルの第2面内方向をY方向として説明する。
【0012】
図1に示すように、サンドイッチパネル10は、コア材11と、第1カバー12と、第1クラックアレスタ13と、第2カバー14と、第2クラックアレスタ15と、第1面板16と、第2面板17とを備える。また、サンドイッチパネル10は、成形時において、第1面板16をコア材11の一方の面に接着する第1接着フィルム18と、第2面板17をコア材11の他方の面に接着する第2接着フィルム19とを備える。
【0013】
コア材11は、Z方向に所定の厚さを有する板形状をなす。コア材11は、厚さ方向における一方の面11aと、厚さ方向における他方の面11bとを有する。コア材11は、剛性の高い材料が用いられ、例えば、せん断弾性率が50MPa以上である。なお、コア材11のせん断弾性率は、136MPa以上362MPa以下の範囲がより好ましい。コア材11としては、例えば、樹脂系の発泡材が適用される。但し、コア材11は、樹脂系の発泡材に限らず、例えば、木材を含む多孔質の材料であるバルサであってもよく、せん断弾性率が50MPa以上である剛性の高い材料であればよい。
【0014】
コア材11は、複数の溝部20を有する。溝部20は、第1溝部21と、第2溝部22とから構成される。第1溝部21および第2溝部22は、コア材11の一方の面11aに設けられる。第1溝部21は、Y方向に沿うと共に、X方向に間隔を空けて複数(本実施形態では、4個)設けられる。複数の第1溝部21は、互いに平行をなす。なお、複数の第1溝部21は、X方向に等間隔で設けられることが好ましいが、所定の範囲に異なる間隔で設けられていてもよい。第2溝部22は、X方向に沿うと共に、Y方向に間隔を空けて複数(本実施形態では、3個)設けられる。複数の第2溝部22は、互いに平行をなす。なお、複数の第2溝部22は、Y方向に等間隔で設けられることが好ましいが、所定の範囲に異なる間隔で設けられていてもよい。第1溝部21と第2溝部22は、コア材11の面内方向に直交するように設けられるが、直交方向に限らず、単に交差する方向であってもよい。また、第1溝部21と第2溝部22の数は、本実施形態に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0015】
なお、後述するが、第1溝部21は、コア材11に何も装着されていない状態で、一方の面11a側に形成される。一方、第2溝部22は、コア材11に第1カバー12と第1クラックアレスタ13が装着された状態で、一方の面11a側に形成される。つまり、コア材11に第2溝部22を形成するとき、コア材11だけでなく、第1カバー12および第1クラックアレスタ13の一部も切除することとなる。
【0016】
すなわち、第1溝部21は、第1カバー12の一部および第1クラックアレスタ13に全部収まる寸法に設定される。つまり、第1溝部21は、X方向の幅が第1カバー12の厚さの2倍に第1クラックアレスタ13の厚さを加算した幅である。また、第1溝部21は、Y方向の長さが第1カバー12と第1クラックアレスタ13の長さと同じである。また、第1溝部21は、Z方向の深さが第1カバー12の厚さに第1クラックアレスタ13の高さを加算した深さである。第1溝部21は、コア材11の一方の面11aに対して機械加工(例えば、切削加工)が施されることで形成される。
【0017】
一方、第2溝部22は、第2カバー14の一部および第2クラックアレスタ15に全部収まる寸法に設定される。つまり、第2溝部22は、X方向の幅が第2カバー14の厚さの2倍に第2クラックアレスタ15の厚さを加算した深さである。また、第2溝部22は、Y方向の長さが第2カバー14と第2クラックアレスタ15の長さと同じである。また、第2溝部22は、Z方向の深さが第2カバー14の厚さに第2クラックアレスタ15の高さを加算した深さある。第2溝部22は、コア材11の一方の面11aに対して機械加工(例えば、切削加工)が施されることで形成される。
【0018】
第1カバー12は、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて板状に形成される。複合材としては、例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)などの複合材が用いられる。なお、複合材は、CFRPに限定されず、何れの強化繊維や樹脂を含む複合材であってもよい。第1カバー12は、一部がコア材11における溝部20の第1溝部21の内部に配置される。
【0019】
第1クラックアレスタ13は、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて、所定の方向に長い棒形状をなす。第1クラックアレスタ13は、コア材11の厚さ方向に長い長方形断面形状をなす。複合材としては、第1カバー12と同様に、CFRPなどの複合材が用いられる。なお、複合材は、CFRPに限定されず、何れの強化繊維や樹脂を含む複合材であってもよい。
【0020】
第1クラックアレスタ13は、コア材11の一方の面11a側に配置される。具体的に、第1クラックアレスタ13は、第1カバー12と共に、コア材11に形成された第1溝部21の内部に配置される。すなわち、第1クラックアレスタ13は、X方向の長さが第1溝部21のX方向の長さと同等であるが、Y方向の幅とZ方向の高さが第1溝部21のY方向の幅とZ方向の高さより若干短い。
【0021】
第1クラックアレスタ13は、第1溝部21への装着時に、第1カバー12の一部を第1溝部21に押し込む。そのため、第1クラックアレスタ13と共に第1カバー12の一部が第1溝部21の内部に配置されたとき、第1カバー12は、コア材11の一方の面11a上に位置すると共に、第1溝部21と第1クラックアレスタ13との間に位置する。
【0022】
第2カバー14は、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて板状に形成される。複合材としては、例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)などの複合材が用いられる。なお、複合材は、CFRPに限定されず、何れの強化繊維や樹脂を含む複合材であってもよい。すなわち、第2カバー14は、第1カバー12と同材料であってもよく、異なる材料であってもよい。第2カバー14は、一部がコア材11における溝部20の第2溝部22の内部に配置される。
【0023】
第2クラックアレスタ15は、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて、所定の方向に長い棒形状をなす。第2クラックアレスタ15は、コア材11の厚さ方向に長い長方形断面形状をなす。複合材としては、第2カバー14と同様に、CFRPなどの複合材が用いられる。なお、複合材は、CFRPに限定されず、何れの強化繊維や樹脂を含む複合材であってもよい。すなわち、第2クラックアレスタ15は、第1クラックアレスタ13と同材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0024】
第2クラックアレスタ15は、コア材11の一方の面11a側に配置される。具体的に、第2クラックアレスタ15は、第2カバー14と共に、コア材11に形成された第2溝部22の内部に配置される。すなわち、第2クラックアレスタ15は、Y方向の長さが第2溝部22のY方向の長さと同等であるが、X方向の長さとZ方向の長さが第2溝部22のX方向の長さとZ方向より若干短い。
【0025】
第2クラックアレスタ15は、第1溝部21に第1カバー12および第1クラックアレスタ13に装着された後に形成された第2溝部22へ装着される。第2クラックアレスタ15は、第2溝部22への装着時に、第2カバー14の一部を第2溝部22に押し込む。そのため、第2クラックアレスタ15と共に第2カバー14の一部が第2溝部22の内部に配置されたとき、第2カバー14は、コア材11の一方の面11aに配置された第1カバー12および第1クラックアレスタ13上に位置すると共に、第2溝部22と第2クラックアレスタ15との間に位置する。
【0026】
コア材11は、一方に面11aに第1カバー12が配置された後、第1クラックアレスタ13が第1カバー12と共に第1溝部21に押し込まれる。コア材11は、第1溝部21に第1カバー12と第1クラックアレスタ13が押し込まれた状態で、オートクレーブ等で加熱することで硬化する。その後、コア材11は、一方の面11aに第2溝部22が形成される。このとき、コア材11と共に第1カバー12および第1クラックアレスタ13の一部が除去されて第2溝部22が形成される。そして、コア材11は、一方に面11aに第2カバー14が配置された後、第2クラックアレスタ15が第2カバー14と共に第2溝部22に押し込まれる。コア材11は、第2溝部22に第2カバー14と第2クラックアレスタ15が押し込まれた状態で、オートクレーブ等で加熱することで硬化する。
【0027】
第1面板16および第2面板17は、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて板状に形成される。複合材としては、例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)などの複合材が用いられる。なお、複合材は、CFRPに限定されず、何れの強化繊維及び樹脂を含む複合材であってもよい。第1面板16は、コア材11の一方の面11a側に接合され、第2面板17は、コア材11の他方の面11b側に接合される。
【0028】
第1接着フィルム18は、サンドイッチパネル10の成形前において、コア材11の一方の面11a側と第1面板16との間に配置される。第2接着フィルム19は、サンドイッチパネル10の成形前において、コア材11の他方の面11b側と第2面板17との間に配置される。第1接着フィルム18および第2接着フィルム19は、例えば、熱硬化性樹脂である。第1接着フィルム18は、サンドイッチパネル10の成形時に、加熱されることで低粘度化した後に、熱硬化する。そのため、コア材11は、一方の面11a側の第2カバー14および第2クラックアレスタ15に第1面板16が接合される。また、第2接着フィルム19は、サンドイッチパネル10の成形時に、加熱されることで低粘度化した後に、熱硬化する。そのため、コア材11は、他方の面11bに第2面板17が接合される。
【0029】
<サンドイッチパネルの断面形状>
図2は、サンドイッチパネルにおける第1面内方向に沿った縦断面図、図3は、サンドイッチパネルにおける第2面内方向に沿った縦断面図である。
【0030】
図2および図3に示すように、コア材11は、溝部20として、Y方向に沿う第1溝部21と、X方向に沿う第2溝部22とを有する。第1溝部21は、第1側面21aと、第2側面21bと、底面21cとより構成されることで、Z方向の一方側(面11a側)に開口する。第1側面21aと第2側面21bとは、X方向に沿って互いに対向し、且つ、平行をなす。底面21cは、X方向およびY方向に沿い、第1側面21aと第2側面21bとを接続し、且つ、第1側面21aおよび第2側面21bに直交する。そのため、第1溝部21は、Z方向に長い長方形の断面形状をなす。第1側面21aと第2側面21bと底面21cは、Y方向に沿って長い平坦形状をなし、Y方向のいずれの位置でも同様の断面形状である。
【0031】
なお、本実施形態にて、第1溝部21を長方形の断面形状としたが、この形状に限定されるものではない。例えば、底面21c側に比べて面11a側の寸法が大きい台形の断面形状であってもよく、また、三角形や半円などの断面形状であってもよい。
【0032】
第1クラックアレスタ13は、第1側面13aと、第2側面13bと、上面13cと、下面13dとより構成される。第1側面13aと第2側面13bとは、X方向に沿って互いに対向し、且つ、平行をなす。上面13cと下面13dとは、Z方向に沿って互いに対向し、且つ、平行をなす。上面13cは、X方向およびY方向に沿い、第1側面13aと第2側面13bとを接続し、且つ、第1側面13aおよび第2側面13bに直交する。下面13dは、X方向およびY方向に沿い、第1側面13aと第2側面13bとを接続し、且つ、第1側面13aおよび第2側面13bに直交する。そのため、第1クラックアレスタ13は、Z方向に長い長方形の断面形状をなす。第1側面13aと第2側面13bと上面13cと下面13dは、Y方向に沿って長い平坦形状をなし、Y方向のいずれの位置でも同様の断面形状である。第1クラックアレスタ13は、Z方向の高さがコア材11のZ方向の厚さの1/2より長い。
【0033】
第1カバー12は、コア材11の一方の面11aに配置される。すなわち、第1カバー12は、コア材11の一方の面11aと第1面板16との間に配置される。第1カバー12は、一部がコア材11の第1溝部21の内部に配置される。すなわち、第1カバー12は、一部がコア材11の第1溝部21と第1クラックアレスタ13との間に配置される。第1カバー12は、第1カバー部12aと、第2カバー部12b、12cと、第3カバー部12dとを有する。
【0034】
第1カバー部12aは、コア材11の一方の面11aと第1面板16との間、具体的には、コア材11の一方の面11aと第2カバー14との間に配置され、X方向およびY方向に沿う。第2カバー部12bは、第1溝部21の第1側面21aと第1クラックアレスタ13の第1側面13aとの間に配置され、Y方向およびZ方向に沿う。第2カバー部12cは、第1溝部21の第2側面21bと第1クラックアレスタ13の第2側面13bとの間に配置され、Y方向およびZ方向に沿う。第3カバー部12dは、第1溝部21の底面21cと第1クラックアレスタ13の下面13dとの間に配置され、X方向およびY方向に沿う。すなわち、第1カバー12は、複合材を構成する繊維が第1カバー部12aから第2カバー部12b、12cを介して第3カバー部12dにわたって連続して配置される。
【0035】
一方、第2溝部22は、第1側面22aと、第2側面22bと、底面22cとより構成されることで、Z方向の一方側(面11ba側)に開口する。第1側面22aと第2側面22bとは、X方向に沿って互いに対向し、且つ、平行をなす。底面22cは、X方向およびY方向に沿い、第1側面22aと第2側面22bとを接続し、且つ、第1側面22aおよび第2側面22bに直交する。そのため、第2溝部22は、Z方向に長い長方形の断面形状をなす。第1側面22aと第2側面22bと底面22cは、Y方向に沿って長い平坦形状をなし、Y方向のいずれの位置でも同様の断面形状である。
【0036】
なお、本実施形態にて、第2溝部22を長方形の断面形状としたが、この形状に限定されるものではない。例えば、底面22c側に比べて面11a側の寸法が大きい台形の断面形状であってもよく、また、三角形や半円などの断面形状であってもよい。また、第1溝部21と第2溝部22は、ほぼ同様の形状としたが、異なる形状や寸法であってもよい。
【0037】
第2クラックアレスタ15は、第1側面15aと、第2側面15bと、上面15cと、下面15dとより構成される。第1側面15aと第2側面15bとは、X方向に沿って互いに対向し、且つ、平行をなす。上面15cと下面15dとは、Z方向に沿って互いに対向し、且つ、平行をなす。上面15cは、X方向およびY方向に沿い、第1側面15aと第2側面15bとを接続し、且つ、第1側面15aおよび第2側面15bに直交する。下面15dは、X方向およびY方向に沿い、第1側面15aと第2側面15bとを接続し、且つ、第1側面15aおよび第2側面15bに直交する。そのため、第2クラックアレスタ15は、Z方向に長い長方形の断面形状をなす。第1側面15aと第2側面15bと上面15cと下面15dは、Y方向に沿って長い平坦形状をなし、Y方向のいずれの位置でも同様の断面形状である。第2クラックアレスタ15は、Z方向の深さは、コア材11のZ方向の厚さと同等、もしくは、浅くなる。
【0038】
第2カバー14は、コア材11の一方の面11aに配置される。すなわち、第2カバー14は、コア材11の一方の面11aと第1面板16との間に配置される。第2カバー14は、一部がコア材11の第2溝部22の内部に配置される。すなわち、第2カバー14は、一部がコア材11の第2溝部22と第2クラックアレスタ15との間に配置される。第2カバー14は、第1カバー部14aと、第2カバー部14b、14cと、第3カバー部14dとを有する。
【0039】
第1カバー部14aは、コア材11の一方の面11aと第1面板16との間、具体的には、コア材11の一方の面11aに配置された第1カバー12と第2カバー14との間に配置され、X方向およびY方向に沿う。第2カバー部14bは、第2溝部22の第1側面21aと第2クラックアレスタ15の第1側面15aとの間に配置され、Y方向およびZ方向に沿う。第2カバー部14cは、第2溝部22の第2側面21bと第2クラックアレスタ15の第2側面15bとの間に配置され、Y方向およびZ方向に沿う。第3カバー部14dは、第2溝部22の底面22cと第2クラックアレスタ15の下面15dとの間に配置され、X方向およびY方向に沿う。すなわち、第2カバー14は、複合材を構成する繊維が第1カバー部14aから第2カバー部14b、14cを介して第3カバー部14dにわたって連続して配置される。
【0040】
本実施形態のサンドイッチパネル10は、互いに直交するX方向およびY方向に沿ってクラックアレスタ13、15が配置されていることで、X方向およびY方向に対する強度が高くなる。そのため、コア材に曲げ応力などが作用したとき、コア材11に対する面板16、17の剥離が抑制される。
【0041】
<サンドイッチパネルの断面形状の第1変形例>
図4は、サンドイッチパネルの第1変形例における第1面内方向に沿った縦断面図である。
【0042】
図4に示すように、第1変形例のサンドイッチパネル10Aは、コア材11Aと、第1カバー12と、第1クラックアレスタ13と、第1面板16と、第2面板17とを備える。また、サンドイッチパネル10Aは、成形時において、第1面板16をコア材11の一方の面に接着する第1接着フィルム18と、第2面板17をコア材11の他方の面に接着する第2接着フィルム19とを備える。
【0043】
すなわち、第1変形例のサンドイッチパネル10Aは、上述したサンドイッチパネル10に対して、第2カバー14と第2クラックアレスタ15を有していない。また、サンドイッチパネル10Aは、コア材11Aに第2溝部が設けられていない。その他の構成は、上述した実施形態同様であり、説明は省略する。
【0044】
第1変形例のサンドイッチパネル10Aは、Y方向に沿ってクラックアレスタ13が配置されていることで、Y方向に対する強度が高くなる。そのため、コア材に曲げ応力などが作用したとき、コア材11に対する面板16、17の剥離が抑制される。
【0045】
<サンドイッチパネルの断面形状の第2変形例>
図5は、サンドイッチパネルの第2変形例における第1面内方向に沿った縦断面図である。
【0046】
図5に示すように、第2変形例のサンドイッチパネル10Bは、コア材11Bと、第1カバー12Bと、第1クラックアレスタ13Bと、第1面板16と、第2面板17とを備える。また、サンドイッチパネル10Bは、成形時において、第1面板16をコア材11の一方の面に接着する第1接着フィルム18と、第2面板17をコア材11の他方の面に接着する第2接着フィルム19とを備える。
【0047】
すなわち、第2変形例のサンドイッチパネル10Bは、第1変形例のサンドイッチパネル10Aと同様に、サンドイッチパネル10に対して、第2カバー14と第2クラックアレスタ15を有していない。また、サンドイッチパネル10Bは、コア材11Bに第2溝部が設けられていない。
【0048】
また、第2変形例のサンドイッチパネル10Bは、第1カバー12Bと第1クラックアレスタ13Bとが一体に設けられる。上述した実施形態では、第1カバー12と第1クラックアレスタ13を、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて個別に成形した。一方、第2変形例では、第1カバー12Bと第1クラックアレスタ13Bを、強化繊維に樹脂が含浸する複合材を用いて一体に成形した。例えば、比較的長い炭素繊維からなる材料を用いて、第1カバー12Bおよび第1クラックアレスタ13Bからなる基礎形状の構造体を成形し、構造体をプレス成形することで、第1クラックアレスタ13Bを有する第1カバー12Bを成形する。
【0049】
第2変形例のサンドイッチパネル10Bは、プレス成形により第1カバー12Bおよび第1クラックアレスタ13Bを形成するため、複雑な形状の第1カバー12Bおよび第1クラックアレスタ13Bを形成することができる。すなわち、上述した実施形態のサンドイッチパネル10だけでなく、3個以上のクラックアレスタ13を有するサンドイッチパネルや、ハニカム形状のクラックアレスタ13を有するサンドイッチパネルを形成することができる。
【0050】
<サンドイッチパネルの製造方法>
図6は、サンドイッチパネルの製造方法を表すフローチャート、図7は、サンドイッチパネルの製造方法における第1溝の加工工程を表す概略図、図8は、サンドイッチパネルの製造方法における第1カバーの配置工程を表す概略図、図9は、サンドイッチパネルの製造方法における第1溝への第1複合材の挿入工程を表す概略図、図10は、サンドイッチパネルの製造方法における第2溝の加工工程を表す概略図、図11は、サンドイッチパネルの製造方法における第2カバーの配置工程を表す概略図、図12は、サンドイッチパネルの製造方法における第2溝への第2複合材の挿入工程を表す概略図である。
【0051】
図6および図7に示すように、ステップS11にて、コア材11における一方の面11aに複数の第1溝部21を形成する。例えば、切削加工を行う加工装置を用いて、コア材11の面11aに対して切削加工を行うことで、複数の第1溝部21を形成する。複数の第1溝部21は、Y方向に沿って延在して形成されると共に、X方向に所定の間隔を空けて平行に形成される。
【0052】
図6および図8に示すように、ステップS12にて、コア材11の一方の面11a上に第1カバー12を配置する。第1カバー12は、X方向の長さがコア材11のX方向の長さより長く、Y方向の長さがコア材11のY方向の長さと同じである。また、複数の第1クラックアレスタ13を用意する。
【0053】
図6および図9に示すように、ステップS13にて、複数の第1クラックアレスタ13をコア材11の各第1溝部21に挿入する。このとき、第1クラックアレスタ13は、第1カバー12の一部を第1溝部21に押し込むように挿入する。第1カバー12および第1クラックアレスタ13を構成する複合材としては、強化繊維に樹脂が含浸された硬化前の複合材が用いられ、具体的に、Y方向に延びる連続繊維となる一方向材が用いられる。すなわち、コア材11は、各第1溝部21の長手方向が繊維方向となるように複合材が配置される。
【0054】
ステップS14にて、第1カバー12および第1クラックアレスタ13が第1溝部21に配置されたコア材11をオートクレーブ等で加熱することで、樹脂を硬化させる。すると、第1カバー12および第1クラックアレスタ13は、コア材11に固定される。
【0055】
図6および図10に示すように、ステップS15にて、コア材11における一方の面11aに複数の第2溝部22を形成する。例えば、切削加工を行う加工装置を用いて、コア材11の面11aに対して切削加工を行うことで、複数の第2溝部22を形成する。加工装置により複数の第2溝部22を切削加工するとき、コア材11だけでなく、第1カバー12および第1クラックアレスタ13の一部も除去する。複数の第2溝部22は、X方向に沿って延在して形成されると共に、Y方向に所定の間隔を空けて平行に形成される。
【0056】
図6および図11に示すように、ステップS16にて、コア材11の一方の面11a上に第2カバー14を配置する。具体的には、コア材11に固定された第1カバー12および第1クラックアレスタ13の上に第2カバー14を配置する。第2カバー14は、Y方向の長さがコア材11のY方向の長さより長く、X方向の長さがコア材11のX方向の長さと同じである。また、複数の第2クラックアレスタ15を用意する。
【0057】
図6および図12に示すように、ステップS17にて、複数の第2クラックアレスタ15をコア材11の各第2溝部22に挿入する。このとき、第2クラックアレスタ15は、第2カバー14の一部を第2溝部22に押し込むように挿入する。第2カバー14および第2クラックアレスタ15を構成する複合材としては、強化繊維に樹脂が含浸された硬化前の複合材が用いられ、具体的に、Y方向に延びる連続繊維となる一方向材が用いられる。すなわち、コア材11は、各第2溝部22の長手方向が繊維方向となるように複合材が配置される。
【0058】
ステップS18にて、第2カバー14および第2クラックアレスタ15が第2溝部22に配置されたコア材11の樹脂を硬化させる。すると、第2カバー14および第2クラックアレスタ15は、コア材11に固定される。そして、ステップS19にて、トリミング加工を行うことで、コア材11における一方の面11a側を平滑形状とする。
【0059】
その後、ステップS20にて、コア材11における一方の面11a側に複合材である第1面板16を第1接着フィルム18により接着する。また、コア材11における他方の面11b側に複合材である第2面板17を第2接着フィルム19により接着する。そして、ステップS21にて、面板16、17と接着フィルム18、19を加熱して熱硬化させることにより、サンドイッチパネル10とする。
【0060】
<サンドイッチパネルの製造方法の変形例>
図13は、サンドイッチパネルの製造方法の変形例における第1カバーの配置工程を表す概略図、図14は、サンドイッチパネルの製造方法の変形例における第1溝への第1複合材の挿入工程を表す概略図である。
【0061】
上述の説明では、1枚の第1カバー12を用意し、X方向の長さがコア材11のX方向の長さより長いものとした。変形例では、図13に示すように、第1溝部21と同数枚の第1カバー12Aを用意する。複数枚の第1カバー12Aは、各第1溝部21の上方を被覆するように、コア材11における一方の面11a上に載置する。
【0062】
そして、図14に示すように、複数の第1クラックアレスタ13をコア材11の各第1溝部21に挿入する。このとき、第1クラックアレスタ13は、各第1カバー12Aの一部を第1溝部21に押し込むように挿入する。コア材11は、各第1溝部21の長手方向が繊維方向となるように複合材が配置される。
【0063】
<サンドイッチパネルの作用>
図15は、サンドイッチパネルにおける変形量に対する荷重を表すグラフである。
【0064】
図2および図3に示すように、サンドイッチパネル10は、コア材11の溝部20にクラックアレスタ13、15と共にカバー12、14の一部が配置され、両側に面板16、17が固定されて構成される。飛来物が、サンドイッチパネル10に向かって飛来すると、飛来物による衝撃を伴う外力がサンドイッチパネル10の厚さ方向に作用する。つまり、飛来物による衝撃を伴う外力によって、サンドイッチパネル10に厚さ方向のせん断力が付与される。このとき、カバー12、14がコア材11の一方の面11aから溝部20とクラックアレスタ13、15との間に延びていることから、せん断力に対する抗力を有する構造となり、剥離の発生と進展範囲が抑制される。具体的には、コア材11における一方の面11aからの第1カバー12の剥がれが第1カバー部12aと第2カバー部12b、12cとの屈曲部で止まる。
【0065】
図15に示すように、カバーおよびクラックアレスタのない従来のサンドイッチパネルは、図15に点線で表すように、コア材と面板との剥離部で座屈が発生し、剥離が進展することで、圧縮破壊が生じる。一方、カバー12がクラックアレスタ13、15と共にコア材11の溝部20まで入り込んである本実施形態のサンドイッチパネル10は、図15に実線で表すように、コア材11と面板16との剥離部で座屈が発生するが、カバー12とクラックアレスタ13、15により、剥離の進展抑制と、荷重伝達が可能であり、強度が向上する。
【0066】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るサンドイッチパネルは、板形状をなして厚さ方向の少なくとも一方の面11aに溝部20が設けられるコア材11と、複合材を用いて形成されて溝部20に配置されるクラックアレスタ13、15と、複合材を用いて形成されてコア材11の厚さ方向の両方の面にそれぞれ設けられる一対の面板16、17と、複合材を用いて形成されてコア材11の一方の面11aと面板16との間から溝部20とクラックアレスタ13、15との間まで延出するように配置されるカバー12、14とを備える。
【0067】
第1の態様に係るサンドイッチパネルによれば、クラックアレスタ13、15とカバー12、14がコア材11の溝部20に入り込んで、カバー12、14がコア材11の一方の面11aと面板16との間から溝部20とクラックアレスタ13、15との間まで延出する。サンドイッチパネル10に対してZ方向の外力が作用して厚さ方向のせん断力が付与されると、サンドイッチパネル10が曲げ変形しようとする。このとき、力は、カバー12、14を介して溝部20内のクラックアレスタ13、15に伝達される。ところが、カバー12、14は、溝部20内でクラックアレスタ13、15に押さえつけられていることから、力がカバー12、14を介してクラックアレスタ13、15により、剥離の発生と進展範囲が抑制される。そのため、剥離抑制機能の向上を図ることができる。また、クラックアレスタ13、15と共にカバー12、14をコア材11の溝部20に押し込めばよく、コア材11の成形作業の簡素化を図ることができる。
【0068】
第2の態様に係るサンドイッチパネルは、第1の態様に係るサンドイッチパネルであって、さらに、カバー12、14は、コア材11の一方の面11aと面板16との間に配置される第1カバー部12a、14aと、溝部20の側面とクラックアレスタ13、15の側面との間に配置される第2カバー部12b、12c、14b、14cとを有し、複合材を構成する繊維が第1カバー部12a、14aから第2カバー部12b、12c、14b、14cにわたって配置される。これにより、力は、第2カバー部12b、12c、14b、14cが溝部20内のクラックアレスタ13、15に押さえつけられていることで、剥離の発生と進展範囲を抑制することができる。
【0069】
第3の態様に係るサンドイッチパネルは、第2の態様に係るサンドイッチパネルであって、さらに、カバー12、14は、溝部20の底面とクラックアレスタ13、15の端面との間に配置される第3カバー部12d、14dを有し、複合材を構成する繊維が第1カバー部12a、14aから第2カバー部12b、12c、14b、14cを介して第3カバー部12d、14dにわたって配置される。これにより、第2カバー部12b、12c、14b、14cだけでなく、第3カバー部12d、14dも溝部20内のクラックアレスタ13、15に押さえつけられていることから、さらなる剥離の発生と進展範囲を抑制することができる。
【0070】
第4の態様に係るサンドイッチパネルは、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係るサンドイッチパネルであって、さらに、クラックアレスタ13、15におけるコア材11の厚さ方向の長さは、コア材11の厚さ方向の長さの1/2より長い。これにより、クラックアレスタ13、15によるコア材11の剛性力を向上することができると共に、剥離の発生を抑制することができる。
【0071】
第5の態様に係るサンドイッチパネルは、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係るサンドイッチパネルであって、さらに、クラックアレスタは、コア材11の厚さ方向に交差する第1面内方向(X方向)に沿って配置される第1クラックアレスタ13と、コア材11の厚さ方向(Z方向)および第1面内方向(X方向)に交差する第2面内方向(Y方向)に沿って配置される第2クラックアレスタ15とを有する。これにより、X方向およびY方向に対してコア材11の剛性力を向上することができる。
【0072】
第6の態様に係るサンドイッチパネルは、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係るサンドイッチパネルであって、さらに、カバーは、コア材11の第1面内方向に沿った第1溝部21と第1クラックアレスタ13との間に配置される第1カバー12と、コア材11の第2面内方向に沿った第2溝部22と第2クラックアレスタ15との間に配置される第2カバー14とを有する。これにより、X方向およびY方向に対して剥離の発生を抑制することができる。
【0073】
第7の態様に係るサンドイッチパネルは、第1の態様から第6の態様のいずれか一つに係るサンドイッチパネルであって、さらに、カバー12Bとクラックアレスタ14Bは、一体に設けられる。これにより、コア材11とカバー12Bとクラックアレスタ14Bとの組付作業の作業性を向上することができる。
【0074】
第8の態様に係るサンドイッチパネルの製造方法は、板形状をなすコア材11における厚さ方向の少なくとも一方の面に溝部20を形成する工程と、複合材を用いて形成されたカバー12、14を一方の面11aに配置する工程と、複合材を用いて形成されたクラックアレスタ13、15をカバー12、14と共に溝部20に挿入する工程と、コア材11とカバー12、14とクラックアレスタ13、15を接合する工程と、複合材を用いて形成された一対の面板16、17をコア材11の厚さ方向の両方の面11a、11bにそれぞれ接合する工程とを有する。これにより、クラックアレスタ13、15と共にカバー12、14をコア材11の溝部20に押し込めばよく、コア材11の成形作業の簡素化を図ることができる。
【符号の説明】
【0075】
10、10A、10B サンドイッチパネル
11 コア材
12、12A、12B 第1カバー
13、13B 第1クラックアレスタ
14 第2カバー
15 第2クラックアレスタ
16 第1面板
17 第2面板
18 第1接着フィルム
19 第2接着フィルム
20 溝部
21 第1溝部
22 第2溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15