(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118679
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】充電監視装置及び充電監視方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240826BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240826BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240826BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 M
H02J7/02 F
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025096
(22)【出願日】2023-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.九電テクノシステムズ株式会社が、幸栄電気株式会社に、上田幸雄、深川達史、中山弘行及び今村(竹口)裕己が発明した複数台EV充電システムを令和4年11月15日に販売した。 2.九電テクノシステムズ株式会社が、SolaX Power Network Technology (Zhejiang)Co.,Ltd.に、上田幸雄、深川達史、中山弘行及び今村(竹口)裕己が発明した複数台EV充電システムを令和4年11月28日に販売した。 3.九電テクノシステムズ株式会社が、深田電機株式会社に、上田幸雄、深川達史、中山弘行及び今村(竹口)裕己が発明した複数台EV充電システムを令和4年12月16日に販売した。
(71)【出願人】
【識別番号】000164391
【氏名又は名称】九電テクノシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】上田幸雄
(72)【発明者】
【氏名】深川達史
(72)【発明者】
【氏名】中山弘行
(72)【発明者】
【氏名】今村(竹口)裕己
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503CB06
5G503EA05
5G503FA06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF42
(57)【要約】
【課題】各メーカーの電動車両の様々な充電電流の制御方法に対応した充電電流の推移を監視し、適切なタイミングで充電終了(課金終了)を可能とする充電監視装置を得る。
【解決手段】充電器2に電力供給を行う際に充電動作を監視する充電監視装置10であって、充電器通信処理部11と充電器状態監視処理部12と充電器2の充電電流値、充電電流値の継続時間、設定閾値未満の充電電流値検出時から所定時間前の充電電流値、の各電流情報から電動車両1のバッテリーの満充電を判定する満充電判定処理部13と、満充電判定処理部13の判定にしたがって充電器2への停止を指令する充電開始停止処理部14と、充電器状態監視処理部12から充電器状態を把握し、満充電判定処理部13へ電流情報を出力するメイン処理部15を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載されたバッテリーを充電させる充電器を複数備え、前記複数の充電器に電力供給を行う際に充電動作を監視する充電監視装置であって、
前記各充電器との通信を行う充電器通信処理部と、
前記充電器通信処理部を介して充電器の状態を監視する充電器状態監視処理部と、
前記充電器の充電電流値、充電電流値の継続時間、設定閾値未満の充電電流値検出時から所定時間前の充電電流値、の各電流情報から前記電動車両のバッテリーの満充電を判定する満充電判定処理部と、
前記満充電判定処理部の判定にしたがって前記充電器への停止を指令する充電停止処理部と、
前記充電器状態監視処理部から充電器状態を把握し、前記満充電判定処理部へ電流情報を出力するメイン処理部を備えたことを特徴とする充電監視装置。
【請求項2】
前記満充電判定処理部は、前記充電器の電流情報が、
(1)1000mA(設定閾値)未満検出時点から15分(所定時間)前の充電電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mA未満が120秒間継続する、
の双方を満たした時に充電停止処理を行う請求項1に記載の充電監視装置。
【請求項3】
前記充電器に接続された電動車両の充電電流情報を充電電流ログとして記憶するパラメータ記憶部を備えた請求項1又は請求項2に記載の充電監視装置。
【請求項4】
電動車両に搭載されたバッテリーを充電する充電監視方法において、
充電開始から30分経過後であって、
充電電流が、
(1)1000mA未満検出時点から15分前の充電電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mA未満が120秒間継続する
の双方を満たした時に充電停止処理を行うことを特徴とする充電監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各メーカーから販売される種々の電動車両の充電を行うに際し、充電制御を監視するための充電監視装置及び充電監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(電動車両)が普及するためには、充電設備のインフラが重要であるが、充電が必要な車両に対して、迅速且つ確実に満充電を検知して充電及び課金を終了させる充電設備(充電システム)が望まれている。
【0003】
充電システムは、
図7に示すように、電動車両1に充電コネクタを接続することで車載バッテリーへの充電を行う充電器2と、充電器2への充電制御を行う充電コントローラ3と、充電コントローラ3からの信号を受け充電処理に対する課金を行う課金サーバ4と、を備えて構成されている。
充電システムは、充電器2の充電コネクタが接続された後、充電コントローラ3からの充電指令を受けた充電器2が電動車両1への充電動作を開始し、充電コントローラ3は充電中の信号を課金サーバ4へ出力する。そして、電動車両1から充電コネクタが取り外された場合に、充電コントローラ3が充電終了の信号を課金サーバ4へ出力し、充電動作及び課金を終了する方式が採用されていた。
【0004】
この方式による充電動作においては、充電コネクタを電動車両1から取り外すまで、充電器2で「充電中」が維持されるため、実際に充電が終わっていても充電コントローラ3は、充電終了を検出することができない。そのため、充電コネクタが電動車両1に接続されている時間が課金時間となり、場合により充電量に対して料金請求が多くなる可能性がある。
【0005】
また、充電システムにおいて確実に充電動作及び課金を終了させため、利用者が充電器の操作画面において充電途中で充電終了を選択したり、充電開始時に予め充電時間を設定することが可能であるが、利用者による充電器での設定操作が必要となり煩雑となる。
【0006】
そこで、利用者による充電コネクタの取り外しや、充電器での充電終了設定操作を必要とすることなく、自動的に電動車両への充電終了を検知できる制御方式が望まれていた。
例えば、特許文献1には、充電システムにおいて、電動車両に供給している充電電流が所定の低電流値となりその充電状態が最低持続時間続いたことを充電終了条件とする制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、各メーカーから販売される種々の電動車両の充電特性を測定(充電電流の変化を実測)したところ、電気自動車のメーカーや車種によって充電電流の制御方法が異なることを見出した。
すなわち、特許文献1に記載の充電制御のように、「単純に充電電流が少なくなった」「その状態が一定時間持続する」ことを条件に充電を終了するという制御方法では、「いつまでも充電終了できない」又は「満充電前に充電を終了してしまう」という現象が生じる可能性があることが判明した。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、各メーカーの電動車両の様々な充電電流の制御方法に対応した充電電流の推移を監視し、適切なタイミングで充電終了(課金終了)を可能とする充電監視装置及び充電監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明(請求項1)は、電動車両(1)に搭載されたバッテリーを充電させる充電器(2)を複数備え、複数の充電器(2)に電力供給を行う際に充電動作を監視する充電監視装置(10)であって、次の構成を具備することを特徴としている。
前記各充電器(2)との通信を行う充電器通信処理部(11)。
前記充電器通信処理部(11)を介して充電器の状態を監視する充電器状態監視処理部(12)。
前記充電器(2)の充電電流値、充電電流の継続時間、設定閾値未満の充電電流検出時から所定時間前の充電電流値、の各電流情報から前記電動車両のバッテリーの満充電を判定する満充電判定処理部(13)。
前記満充電判定処理部(13)の判定にしたがって前記充電器(2)への停止を指令する充電停止処理部(充電開始停止処理部14)と、
前記充電器状態監視処理部(12)から充電器状態を把握し、前記満充電判定処理部(13)へ電流情報を出力するメイン処理部(15)。
【0011】
請求項2は、請求項1の充電監視装置において、
前記満充電判定処理部(13)は、前記充電器の電流情報が、
(1)1000mA未満検出時点から15分前の充電電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mA未満が120秒間継続する、
の双方を満たした時に充電停止処理を行うことを特徴としている。
【0012】
請求項3は、請求項1又は請求項2の充電監視装置において、
前記充電器に接続された電動車両の充電電流情報を充電電流ログとして保存するログ処理部(16)と、満充電判定を行うための閾値を記憶するパラメータ記憶部(20)を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項4は、電動車両に搭載されたバッテリーを充電する充電監視方法において、
充電開始から30分経過後であって、
充電電流が、
(1)1000mA未満検出時点から15分前の充電電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mAが120秒間継続する
の双方を満たした時に充電停止処理を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、充電器(2)の充電電流値、充電電流の継続時間、設定閾値未満の充電電流値検出時から所定時間前の充電電流値、の各電流情報から前記電動車両(1)のバッテリーの満充電を判定し充電終了させる充電制御を行う。
【0015】
すなわち、充電器(2)の電流情報が、
(1)1000mA未満検出時点から15分前の充電電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mA未満が120秒間継続する、
の双方を満たした時に充電停止処理を行うことで、電動車両(1)の様々な充電電流の制御方法に対応した充電電流の推移を監視し、適切なタイミングで充電終了(課金終了)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の充電監視装置の機能ブロック図である。
【
図2】充電監視装置による充電制御を説明するためのフローチャートである。
【
図3】充電監視装置の充電制御における充電状態監視を説明するためのフローチャートである。
【
図4】電動車両Aの充電電流の推移を示すグラフである。
【
図5】電動車両Bの充電電流の推移を示すグラフである。
【
図6】電動車両Cの充電電流の推移を示すグラフである。
【
図7】従来の充電システムの概略を説明するモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る充電監視装置の実施の形態について、
図1~
図3を参照して説明する。
本実施形態の充電監視装置は、電動車両(電気自動車)1に搭載された二次電池(車載バッテリー)を充電するためのものであり、例えば、電気自動車用の充電スタンドやショッピングモール等の商業施設に設置され、バッテリーを充電させる充電器2を複数備え、複数の電動車両(電気自動車)1に対して同時に充電動作を可能とし、複数の充電器2に電力供給を行う際に充電動作を監視して充電自動終了機能を行うように構成されている。
【0018】
充電監視装置(充電コントローラ)10は、各充電器2との通信を行う充電器通信処理部11と、充電器通信処理部11を介して充電器2の状態を監視する充電器状態監視処理部12と、充電器2の電流情報から電動車両1のバッテリーの満充電を判定する満充電判定処理部13と、充電器2への充電開始及び停止を指令する充電開始停止処理部14と、充電器状態監視処理部12から充電器状態を把握し、前記満充電判定処理部13へ電流情報を出力するメイン処理部15と、を備えている。
そして、充電器状態監視処理部12、満充電判定処理部13及び充電開始停止処理部14により、各充電器2に接続された電動車両1の充電状態監視が行われる。
【0019】
充電器通信処理部11は、複数の充電器2に対して接続された各電動車両が搭載するバッテリーの充電電流値を検出し、充電器状態として充電器状態監視処理部12へ出力する(状態監視)。また、充電開始停止処理部14からの指令を受け、各充電器2へ充電開始又は充電終了の指令を出力する。
【0020】
充電器状態監視処理部12は、充電器通信処理部11から入力された充電器2の充電器状態から常時充電電流値を検出し、監視処理しメイン処理部15へ出力する監視処理が行われる。充電器2が出力する充電電流値は、充電器の仕様により、例えば「500msサンプリングにおける1分間の移動平均(単位mA)」に設定されている。
【0021】
満充電判定処理部13には、メイン処理部15から充電電流値(電流情報)が入力される。
そして、充電電流値が、
(1)1000mA未満検出時点から15分前の電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mA未満が120秒間継続する、
の双方を満たした時に充電開始停止処理部14へ停止指令を出力する。
【0022】
充電開始停止処理部14は、メイン処理部15からの充電開始/停止指令を受け充電開始からの時間を管理するとともに、満充電判定処理部13からの停止指令を受け、充電器通信処理部11へ充電の開始及び終了に関する指令を出力する。
【0023】
メイン処理部15は、充電器状態監視処理部12から入力された充電器状態に基づいた電流情報を満充電判定処理部13及びログ処理部16へ出力する。
メイン処理部15では、充電器状態監視処理部12を介して電動車両1のプラグ(充電コネクタ)の充電器2への接続を検出する。また、充電器2に対する利用者の操作に対応する画面表示や、利用者認証、課金処理を行うため、画面表示/操作処理部17、サーバ通信処理部18、認証処理部19との間でそれぞれ情報の入出力が行われる。
【0024】
画面表示/操作処理部17では、利用者が使用する充電器を選択し、充電器2の画面表示と操作情報表示に関する処理が行われる。利用者が充電器2に対して、会員カード(ICカード)を用いた認証、又は、画面に表示されるQRコード(登録商標)を利用者のスマートフォン側で読み取り認証を行うことで充電器が選択される。
充電器側では、表示情報として「利用可」「車両接続」「認証中」「認証失敗」「充電準備中」「充電中」「充電終了」「故障中」の表示が行われ、実装されている各充電器の現在状態が示される。
【0025】
サーバ通信処理部18は、メイン処理部15による充電開始及び充電停止の充電開始停止情報を把握し、外部の課金サーバ4とのやり取りを行うことで、充電処理時間に対応した課金処理が行われる。
【0026】
認証処理部19では、充電監視装置(充電コントローラ)10で読み込まれた利用者情報(ICカードのID情報をサーバ通信処理部経由、または、QRコード(登録商標)を利用したスマートフォン経由)を外部の課金サーバ4にて照合する。課金サーバ4による照合結果(認否)を受け取った認証処理部19は、メイン処理部15へ認否を通知し、充電開始または充電拒否の処理を行う。
【0027】
ログ処理部16では、充電器2に接続された電動車両1の充電電流情報を充電電流ログとして保存し、外部装置として接続されるパーソナルコンピュータ5へ出力される。充電電流ログは、例えば、充電終了から30分前までの充電電流値を1秒間隔で記録している。
充電電流ログは、パーソナルコンピュータ5へ出力され、予め格納されたソフトを使用することで、充電電流ログから満充電判定を行うための閾値を算出し、パラメータ記憶部20に出力する。
【0028】
パラメータ記憶部20は、充電電流状態(満充電判定)に関するパラメータ(設定閾値1000mA、持続時間120秒、所定時間15分などの各値)が記憶されている。各数値は現時点のデフォルト値であり、今後発売される新型電気自動車の電流制御に追従するために(未知の電流制御方法が電気自動車に実装されていた場合)、値を変更する可能性がある。
例えば、今後登場する新型電気自動車を充電した際に、現在搭載している充電自動終了処理で充電が停止できなかった場合には、ログ処理部16を介して取得した電流情報を参考データとして、パラメータ(1000mA、120秒、15分などの各値)を調整することができる。
【0029】
上述した構造の充電監視装置を使用して電動車両に充電を行う場合の動作について、
図1、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0030】
充電監視装置(充電コントローラ)10の電源投入後、ソフトウェアを起動し、充電準備(メイン処理)を行う(ステップ20)。
【0031】
メイン処理起動後、初期化および充電自動終了などに使用する各パラメータの読み込みを完了させる(ステップ21)。
利用者が充電器2に電動車両1側のプラグを差し込み、メイン処理部15がプラグの接続を自動検出し、充電器2の画面に表示し、利用者が画面を操作して当該充電器の選択を行う(ステップ22)。
【0032】
充電監視装置(充電コントローラ)10の現在状態を課金サーバ4と送受信(充電状態[開始/停止/操作キャンセル/故障情報]の通知、認証認否情報の取得)を行う(ステップ23)。
課金サーバ4から利用者の認証認否情報を受領し、充電許可と充電拒否を判定する(ステップ24)。
【0033】
実装されている充電器2への定期的な送受信処理で状態監視要求を実施し、必要に応じ、充電開始と停止の指令を実行する(ステップ25)。
充電器2から受信した動作状態や充電電流情報を参照し、画面表示や充電停止判断を行う(ステップ30)。
ステップ22からステップ30の処理を繰り返し呼び出し、動作する。
【0034】
続いて、充電状態監視(ステップ30)で行われる処理について、
図3を参照しながら説明する。
図3では電動車両1台分の監視について説明するが、実際には全ての充電器2に対して行われる。
【0035】
充電器通信処理部11より、充電器2に接続された電動車両1の充電状態(充電電流値)を取得する(ステップ31)。
【0036】
充電電流値から充電中であるかどうかを判断する(ステップ32)。ここでは、充電器から受領した充電器状態が「充電中」で、充電電流値が存在していれば充電中と判断する。充電中と最初に判断した時間を充電開始時間として記憶しておく。
【0037】
ステップ32が肯定の場合(充電中の場合)、充電開始から30分経過したかどうかを判断する(ステップ33)。
【0038】
ステップ33が肯定の場合(充電開始から30分以上経過している場合)、現在の充電電流が1000mA未満であるかどうかを判断する(ステップ34)。
【0039】
ステップ34が肯定の場合、15分前の電流値が5000mA未満であるかどうかを判断する(ステップ35)。
【0040】
ステップ35が肯定の場合、監視タイマー未起動であるかどうかを判定し(ステップ36)、未起動である場合は監視時間(持続時間)として120秒(監視タイマー)をセットする(ステップ41)。これは、充電停止の条件として、充電電流の充電電流値1000mAが120秒継続することを確認するためである。
【0041】
監視タイマーが起動されている場合は、監視タイマー時間のカウントダウン(監視タイマーカウントダウン)が行われる(ステップ37)。
続いて、監視タイマー時間(120秒)が満了したかを判断する(ステップ38)。
【0042】
ステップ38で監視時間(持続時間)が満了している場合は、充電器通信処理部11へ充電停止指令を通知し(ステップ39)、サーバ通信処理部18へ充電終了を通知する(ステップ40)。
【0043】
サーバ通信処理部18では充電終了の通知を受けて課金サーバへ課金終了通知を行うことで課金サーバでの充電処理に対する課金が終了する。
【0044】
ステップ33が否定の場合(充電開始から30分以上経過していない場合)、ステップ34が否定の場合(現在の充電電流が1000mA未満でない)、ステップ35が否定の場合(15分前の電流値が5000mA未満でない)、監視タイマーの停止(監視タイマークリア)を行う(ステップ42)。
ステップ42で監視タイマーの停止(監視タイマークリア)が行われた場合、及び、ステップ38で監視時間(持続時間)が満了している場合、充電処理が継続される。
【0045】
充電監視装置は、
図3の処理を行うことで、充電開始から30分間は、電動車両の充電状態に関係なく、充電自動終了機能を動作させない。
充電自動終了判定処理は、「充電平均電流1000mA未満が120秒間継続」を満たし、更に「15分前の平均電流が5000mA未満」の条件を満たした時に、充電終了間際と判断して起動する。
「充電平均電流1000mA未満が120秒間継続」の条件を満たしても、15分前の平均電流が5000mA以上である場合には、充電継続中の充電一時休止と判断し、充電自動終了判定処理を起動しない。
すなわち、充電開始から30分経過後であって、充電電流が、
(1)1000mA未満検出時点から15分前の充電電流値が5000mA未満である、
(2)充電電流値1000mAが120秒間継続する
の双方を満たした時に、充電器2へ対して充電停止処理を行い、充電による課金を終了させることができる。
【0046】
次に、実際に各メーカーから販売される電動車両の充電特性を測定(充電電流の変化を実測)した結果について、
図4~
図6を参照して説明する。
【0047】
図4は、N社が販売する電動車両Aに搭載されたバッテリーがほぼ満充電となった状態の充電電流の変化を表示したものである。
電動車両Aの充電特性は、以下の特性を持つ。
(a)電流が流れる区間と電流が流れない区間がある。
(b)流れない時は200mA~300mAである。
(c)流れる時は4000mA~6000mAである。
(d)流れない時間は約240秒持続する。
(e)流れる時間は約320秒持続する。
(f)この状態が繰り返される。
【0048】
上述した構造の充電監視装置を使用して電動車両Aへの充電処理を行った場合、充電電流が流れない時間が120秒継続した時点で充電停止条件(充電電流値1000mAが120秒間継続すること)が満たされて充電停止となる。電動車両Aの場合、電流が流れない区間の電流値は200mA~300mA程度なので1000mAの閾値で問題ない。
上記充電監視装置では、充電電流が流れない時間(約240秒)が変動しても、充電停止条件の検出漏れが発生しないよう、約半分の120秒に設定している。
【0049】
図5は、M社が販売する電動車両Bに搭載されたバッテリーがほぼ満充電となった状態の充電電流の変化を表示したものである。
電動車両Bの充電特性は、以下の特性を持つ。
(g)電動車両Aのような電流上昇低下サイクルは無い。
(h)充電電流は満充電になるにつれて徐々に低下する。
【0050】
上述した構造の充電監視装置を使用して電動車両Bへの充電処理を行った場合、充電電流が1000mA以下である時間が120秒継続した時点で充電停止条件(充電電流値1000mAが120秒間継続すること)が満たされて充電停止となる。
電動車両Bのように、充電電流が徐々に低下する動作となる場合、満充電判定閾値 =1000mA未満と判断して問題ないことが確認できた。
【0051】
図6は、M社が販売する電動車両Cに搭載されたバッテリーが走行などにより残量が減り、最大電流で数時間程度充電が継続する状態の充電電流の変化を表示したものである。
(i)最大電流で充電中、突然電流が流れなくなる(充電休止)。これは、バッテリー冷却時間と推察した。
(j)休止期間は10分前後である。
(k)どのタイミングで発生するかは分からない。
【0052】
上述した構造の充電監視装置を使用して電動車両Bへの充電処理を行うに際して、「1000mA未満検出時点から15分前の充電電流値が5000mA未満である」という条件が無い場合、充電休止中に「充電電流値1000mAが120秒間継続する」が成立すると、充電終了となってしまう。
そこで、休止時間が10分前後であることを実測で確認することで、充電終了とならないように、1000mA未満検出時点から15分前の電流値を確認するようにした。15分前に前述の「1000mA=充電終了間際ではない」を十分超えている場合(5000mA以上)は、この場合の「電流なし」は充電休止区間と判断し、充電終了に移行しない
【0053】
上述した充電監視装置によれば、電動車両A、電動車両B、電動車両Cの全ての車両の充電特性に対して、充電電流の推移を監視し、適切なタイミングで充電終了(課金終了)を行うことができる。
【0054】
また、上述した充電監視装置では、充電開始から30分経過しないと充電停止機能が動作し、充電開始から30分間は無条件に充電状態を維持するように制御する。
これは、電動車両の状態によって充電休止が発生するタイミングが不明であること、充電開始直後に充電休止が発生した場合に15分前の電流値は参照不可能であることによる。
【符号の説明】
【0055】
1…電動車両
2…充電器
3…充電コントローラ
4…課金サーバ
10…充電監視装置(充電コントローラ)
11…充電器通信処理部
12…充電器状態監視処理部
13…満充電判定処理部
14…充電開始停止処理部
15…メイン処理部
16…ログ処理部
20…パラメータ記憶部