(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118713
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】乾燥装置、印刷装置、乾燥制御方法、印刷制御方法、乾燥プログラム及び印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20240826BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A45D29/00
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025146
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 雅一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB27
2C056EC14
2C056EC29
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB01
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】爪の表面に塗布された塗布材料を乾燥させる時間を有意義なものとできる。
【解決手段】乾燥装置1が、爪Tの表面上に塗布されたインクやコート剤等の塗布材料を乾燥させる乾燥機構3と、乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像(映像コンテンツ)を、乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示(第1の選択画面231や第2の選択画面235a~235cからの入力)を受け付ける制御手段として機能する制御装置10の制御部11と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の表面上に塗布された塗布材料を乾燥させる乾燥機構と、
前記乾燥機構による乾燥動作中に表示部に表示させる画像を、前記乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記選択指示は、前記表示部に表示される複数の選択肢の中からユーザがいずれかを選択することで前記制御手段に受け付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記選択肢にはキャラクタの画像が含まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記乾燥機構による乾燥動作中に表示部に表示させる前記画像は、ユーザによる選択に応じたキャラクタによる乾燥動作をイメージさせる動画像を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記乾燥機構による乾燥動作中に表示部に表示させる前記画像は、前記乾燥機構による乾燥動作の進捗状況を示す画像を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥機構は、送風手段又は加熱手段の少なくともいずれか1つを含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記乾燥機構による乾燥動作前に爪の表面上に塗布材料を印刷する印刷手段をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記選択指示は、前記印刷手段による印刷動作前に行われ、前記印刷手段による印刷動作中及び前記乾燥機構による乾燥動作中に表示部に表示させる画像をユーザが選択するものである、
ことを特徴とする請求項7に記載の乾燥装置。
【請求項9】
爪の表面上に塗布材料を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段による印刷動作中に表示部に表示させる画像を、前記印刷動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
爪の表面上に塗布された塗布材料を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程中に表示部に表示させる画像を、前記乾燥工程の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける表示選択工程と、
を含む、
ことを特徴とする乾燥制御方法。
【請求項11】
爪の表面上に塗布材料を印刷する印刷工程と、
前記印刷工程中に表示部に表示させる画像を、前記印刷工程の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける表示選択工程と、
を含む、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項12】
コンピュータに、
爪の表面上に塗布された塗布材料を乾燥させる乾燥機構を動作させる乾燥制御機能と、
前記乾燥機構による乾燥動作中に表示部に表示させる画像を、前記乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける表示選択受付け機能と、
を実現させる、
ことを特徴とする乾燥プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
爪の表面上に塗布材料を印刷する印刷手段を動作させる印刷制御機能と、
前記印刷手段による印刷動作中に表示部に表示させる画像を、前記印刷動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける表示選択受付け機能と、
を実現させる、
ことを特徴とする印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置、印刷装置、乾燥制御方法、印刷制御方法、乾燥プログラム及び印刷プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人の爪等にネイルプリントを施す印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
インク等の塗布材料を塗布してネイルデザインを施す場合、塗布した塗布材料を乾燥させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インク等の塗布材料を十分に乾燥させるには時間を要する。乾燥が完了するまでの時間、ユーザは乾燥装置の前から離れることができず、退屈な時間を過ごさざるを得ない状態となる。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、爪の表面に塗布された塗布材料を乾燥させる時間を有意義なものとできる乾燥装置、印刷装置、乾燥制御方法、印刷制御方法、乾燥プログラム及び印刷プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の乾燥装置の一態様は、
爪の表面上に塗布された塗布材料を乾燥させる乾燥機構と、
前記乾燥機構による乾燥動作中に表示部に表示させる画像を、前記乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける制御手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、爪の表面に塗布された塗布材料を乾燥させる時間を有意義なものとできるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る乾燥装置の外観構成を示す要部斜視図である。
【
図2】
図1に示す乾燥装置の乾燥空間内を模式的示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係る乾燥装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る乾燥制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】表示部に表示される第1の選択画面の一例を示す図である。
【
図6】表示部に表示される第2の選択画面の一例を示す図である。
【
図7】表示部に表示される第2の選択画面の一例を示す図である。
【
図8】表示部に表示される第2の選択画面の一例を示す図である。
【
図9】表示部に表示される再生画面の一例を示す図である。
【
図10】表示部に表示される再生画面の一例を示す図である。
【
図11】表示部に表示される再生画面の一例を示す図である。
【
図12】表示部に表示される乾燥終了報知画面の一例を示す図である。
【
図13】乾燥装置の一変形例の外観構成を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から
図12を参照しつつ、本発明に係る乾燥装置、印刷装置、乾燥制御方法、印刷制御方法、乾燥プログラム及び印刷プログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[構成]
本実施形態の乾燥装置1は、
図1に示すように、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。本実施形態の乾燥装置1は、後述するように印刷機構4等を備え、印刷装置としても機能する。
図1では筐体2内が1つの空間となっている場合を例示するが、筐体2内は例えば図示しない仕切り板等で上下2つの空間に仕切られ、上の空間で印刷機構4よる印刷を行い、下の空間で乾燥機構による乾燥を行うというように機構ごとに空間が分けられていてもよい。
なお、以下の実施形態において、乾燥装置1における上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。またX方向、Y方向は、
図1及び
図2に示した方向をいうものとする。なお、乾燥装置1の形状等は図示例に限定されない。
【0011】
筐体2の前面側(
図2においてY方向の手前側)には、開口部21が形成されている。例えば
図2に示すように、本実施形態では、爪Tの乾燥動作時に、筐体2の底面20に左右の手(
図2において左手HL及び右手HR)を並べた状態で配置することができるようになっている。このため開口部21は、装置内に両手を挿入することができるように、装置左右方向(乾燥装置1の横方向、左右方向、
図1及び
図2においてX方向)のほぼ全面に亘る広い幅に形成される。
なお、乾燥装置1は両手を挿入できるものに限定されず、例えば片手ずつ挿入したり、指1本ずつを挿入して乾燥を行うものでもよい。この場合には、開口部21の幅も狭くすることができる。また筐体2内の乾燥空間SPを広くとる必要がなく、乾燥装置1をコンパクトな構成とすることができる。
【0012】
筐体2の上面(天板)には、操作部22が設けられている。
操作部22は、ユーザが各種入力を行うものであり、例えば乾燥装置1の電源をON/OFFする電源スイッチボタン等の操作ボタンである。操作部22が操作されると、操作に応じた操作信号が制御装置10に出力され、制御装置10が操作信号にしたがった制御を行い、乾燥装置1の各部を動作させる。
【0013】
また筐体2の上面(天板)には、表示部23が設けられている。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお本実施形態では、表示部23の表面に各種の入力を行うためのタッチパネル221が一体的に構成されており、タッチパネル221が操作部22として機能する。
【0014】
本実施形態では、後述するようにユーザが操作部22(操作部22として機能するタッチパネル221を含む)等から入力・選択した内容や、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部23に表示可能となっている。なお、表示部23に表示される内容はこれに限定されない。
例えば本実施形態では、後述するように、乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を、ユーザが乾燥動作の開始に先立って選択することができるようになっており、表示部23にはユーザによって選択された画像が表示される。乾燥動作中に表示させる画像の選択も表示部23の表示画面上で行ことができるようになっていることが好ましい。なお、操作部22におけるボタン操作等によって乾燥動作中に表示させる画像の選択ができるようになっていてもよい。
【0015】
さらに筐体2の上面(天板)には、スピーカ24が設けられている。
スピーカ24は各種音声案内を行う他、本実施形態では後述するようにユーザが選択した画像(映像コンテンツ)の再生を行う際に適宜音声出力を行う。
なお筐体2の構成は図示例に限定されない。例えば操作部22、表示部23、スピーカ24等の配置は、筐体2の上面(天板)に限定されず、乾燥装置1の前面や側面等であってもよい。
【0016】
本実施形態において、筐体2の内部は爪Tの表面上に塗布された塗布材料(各種コート剤やネイルプリント用のインク等)を乾燥させる乾燥空間SPとなっている。乾燥空間SP内における奥側(
図1、
図2においてY方向の奥側、後方側)には乾燥機構3が設けられている。なお、乾燥機構3を設ける位置や数、具体的な構成等は特に限定されない。例えば乾燥機構3は装置の左右に1つずつ等、複数配置されていてもよい。
乾燥機構3は、例えば図示しないモータを含み、モータの駆動によって回転駆動するプロペラ(翼)を有するシロッコファンや軸流ファン等である。
ファンを動作させるモータは後述する制御部11によって制御され、例えばモータに印加する電圧の値(以下これを「印加電圧値」ともいう。)が高くなると、モータの回転数が上がり、これによってファンからの風量や風速が大きくなる。
【0017】
なお乾燥機構3は、ファンによる送風で塗布材料を乾燥させるものに限定されない。乾燥機構3は、送風手段又は加熱手段の少なくともいずれか1つを含んでいればよく、例えば送風手段としてのファンに代えて又はファンとともに乾燥空間SP内を加熱する加熱手段としてのヒータ等を備えていてもよい。塗布材料の種類によっては、風を当てるよりも加熱した方が効果的に乾燥を促進させることができるものもある。このため乾燥機構3は、塗布材料の種類に応じて適宜ファンやヒータを使い分けて乾燥動作を行ってもよい。
乾燥機構3の手前側(Y方向の前側)には、乾燥機構3からの風を乾燥対象となる複数の指Uの爪Tに行き渡るように拡散させる拡散板等の拡散手段31が配置されていることが好ましい。これにより、ファンやヒータ等で構成される乾燥機構3が
図2に示すように装置のX方向のほぼ中央部に1つ設けられている場合にも乾燥空間SP内に配置されている全ての爪Tを風や熱を当てることができ、乾燥させることができる。
【0018】
図3は、本実施形態における乾燥装置の概略の制御構成を示す要部制御ブロック図である。
図3に示すように、乾燥装置1は、上述した乾燥機構3の他に、印刷機構4、撮影部5、通信部25、制御装置10等を備えている。
【0019】
印刷機構4は、印刷対象である爪Tに印刷(塗布材料の塗布)を施すための構成部である。印刷機構4は、乾燥機構3による乾燥動作前に爪Tの表面上に塗布材料を塗布(印刷)する。
印刷機構4は、印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構42等を備えている。なお、
図2において印刷ヘッド41を二点鎖線で示している。
本実施形態のヘッド移動機構42は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)及び装置の前後方向(Y方向)に移動させるものであり、印刷機構4はヘッド移動機構42により適宜印刷ヘッド41をXY方向に移動させて印刷を行うようになっている。ヘッド移動機構42の具体的な構成は特に限定されない。
【0020】
本実施形態の印刷ヘッド41は、例えば印刷対象面(爪表面)に対向する面が、インクを吐出させるインク吐出面(図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象である爪T等の表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクを貯留するインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等、ネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう)の印刷を行うための塗布材料(デザイン印刷用のカラーインク)や、ネイルデザインの印刷を行う前に下地となる白色等の塗布材料(下地印刷用の下地インク)を吐出可能となっている。なお、印刷機構4に設けられる印刷ヘッド41の種類や数は特に限定はされない。
【0021】
本実施形態では、筐体2の底面20上であって装置左右方向(
図1及び
図2においてX方向)のほぼ中央部には、印刷時に印刷対象の爪Tを有する指Uを配置する指配置部6が設けられている。指配置部6は、印刷ヘッド41による印刷対象である爪Tを有する指Uを印刷に適した位置に保持するものである。
図1に示すように指配置部6は、装置前面側に開口部61を有している。また指配置部6の内部には、指固定部材62が設けられている。指固定部材62は、開口部61から挿入された指を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
また、指配置部6の上面であって装置奥側(Y方向後側)は、開口した窓部63となっている。窓部63からは指配置部6内に挿入され、下側から指固定部材62によって支持された指Uの爪Tが露出するようになっている。
印刷ヘッド41は、ヘッド移動機構42によってXY方向に移動することで、窓部63から露出する爪Tの表面に適宜印刷を施す。
【0022】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、指配置部6に配置された指Uの爪Tの上方に対応する位置には、指配置部6の窓部63から露出する爪T(爪Tを含む指U)を撮影して画像(爪画像)を取得することのできる撮影部5が固定されている。
撮影部5は、例えば200万画素以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラ等であるカメラ51と、撮影対象を照明する白色LED等で構成された光源52とを備えている(
図2参照)。
なお撮影部5は、指配置部6に載置された指Uの爪T等を撮影可能な位置に配置されていればよく、その具体的な配置は特に限定されない。また、撮影部5は印刷時だけでなく、乾燥機構3による乾燥動作時にも乾燥空間SP内に配置されている指Uやその爪Tを撮影して、画像を取得してもよい。
【0023】
通信部25は、外部装置との間で通信する通信手段である。なお、本実施形態において「外部装置」とは例えば図示しないスマートフォン等の端末装置や、ネットワーク回線等によって接続が可能な外部のサーバ等である。
通信部25は通信相手である外部装置の通信部に対応する方式での通信が可能に構成されており、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信、有線接続による通信、インターネット等のネットワーク回線を使った通信等が可能となっている。
本実施形態の乾燥装置1は、例えば表示部23に表示させる各種の画像(映像コンテンツ)等を、通信部25を介して外部のサーバから取得可能となっている。なお、画像(映像コンテンツ)の詳細については後述する。
【0024】
乾燥装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備え、乾燥装置1を制御するコンピュータである。本実施形態では、制御装置10が乾燥制御装置として機能する。
【0025】
記憶部12には、乾燥装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部12のROM等には、例えば各種の乾燥制御処理を行うための乾燥プログラム、印刷機構が印刷処理を行う際に印刷制御処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムを制御部11がRAMの作業領域に展開して実行することによって、乾燥装置1の各部が統括制御される。すなわち、制御部11の各機能は、制御部11のCPUと記憶部12のROM121に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
また本実施形態では、乾燥機構3による乾燥動作中に画像(映像コンテンツ)を表示部23に表示させるようになっており、記憶部12には、デフォルトとしての画像(映像コンテンツ)が1又は複数記憶されていてもよい。
【0026】
制御部11は、まず乾燥機構3の動作を制御する。
例えば制御部11は、乾燥機構3を構成するファンの送風条件(どの程度の強さの風を当てるか)、ヒータの加熱条件(どの程度加熱するか)等、乾燥動作に関する各種設定を行う。なお、乾燥動作に関する各種設定値は、爪Tに塗布された塗布材料の種類、塗布された塗布材料の厚み、乾燥対象となる爪Tの数、乾燥装置1が設置されている環境(例えば設置場所の温度や湿度)等によって異なる可能性がある。このため、ユーザがこれらの条件を操作部22や表示部23のタッチパネル221等から入力した場合には、制御部11は、入力された条件に対応する設定値を乾燥機構3に適用し、適切な乾燥動作が行われるように制御してもよい。
なお、筐体2内にセンサ等を設けて、塗布材料の乾燥の程度等を制御部11において把握することができる場合には、乾燥具合に応じて制御部11が風の強さや向き、加熱の程度等を適宜調整してもよい。
【0027】
また乾燥動作の開始がユーザの入力により指示されると、制御部11は乾燥機構3を制御して乾燥動作を行わせる。なお、本実施形態では後述するようにユーザによる画像(映像コンテンツ)の選択指示が受け付けられると、乾燥開始が指示されたものとされる。
また制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、爪画像(爪Tを含む指Uの画像)等を撮影させ、撮影によって得られた画像データを取得する。
また制御部11は、印刷機構4の印刷ヘッド41やヘッド移動機構42を適宜制御し、印刷動作を行わせる。
さらに制御部11は、通信部25を制御して各種外部装置とデータの送受信を可能とする。
【0028】
また前述のように本実施形態では、乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を、乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択するようになっており、制御部11はこの選択指示を受け付ける制御手段として機能する。例えば乾燥機構3が起動すると、制御部11は、乾燥機構3による乾燥動作が始まる前に選択指示を受け付ける選択画面231(
図5の第1の選択画面231、
図6~
図8の第2の選択画面235a,235b,235c参照)を表示部23に表示させる。
この場合選択指示は、例えば表示部23に表示される複数の選択肢の中からユーザがいずれかを選択することで制御部11に受け付けられる。
【0029】
[作用]
本実施形態の乾燥装置1は、爪Tの表面上に塗布された塗布材料を乾燥させる乾燥動作を行うものである。なお爪Tに塗布材料を塗布する手法は特に限定されない。
すなわち、乾燥装置1は、乾燥装置1内に設けられた印刷機構4によって爪Tに塗布(印刷)された塗布材料を乾燥させるために用いられてもよいし、ユーザが装置外で下地用の塗布材料等を爪Tの表面に手塗りした場合に当該爪Tの表面上に塗布された塗布材料を乾燥させるために用いられてもよい。
なお、印刷機構4によって塗布材料を爪Tに塗布(印刷)する場合には、例えば制御部11が撮影部5のカメラ51によって撮影された画像から印刷範囲となる爪領域を検出し、印刷するデザインのデータを爪領域に合わせ込んで印刷用の印刷データを生成する。そして印刷機構4はこの印刷データに基づいて塗布材料の塗布(印刷)を行う。
【0030】
いずれの場合もユーザは、爪Tへの塗布材料の塗布処理(ステップS1)が完了すると、塗布材料が塗布された爪Tを、指配置部6を避けて乾燥空間SP内におけるX方向の左右に配置する。なお、例えば両手の指Uの爪T全てに塗布材料の塗布を行うような場合には、塗布する全ての爪Tに塗布材料を塗布した後、全ての爪Tについてまとめて乾燥を行うことが好ましい。
塗布処理が完了するとユーザは操作部22等を操作し、乾燥装置1(乾燥装置1の乾燥機構3)を起動させる(ステップS2)。なお、乾燥装置1は、前述のように撮影部5を備えている。撮影部5が乾燥空間SP内を撮影することができる場合には、乾燥空間SP内に指Uが配置されたことを撮影画像から判断して乾燥装置1(乾燥装置1の乾燥機構3)を起動させるようになっていてもよい。
【0031】
また印刷機構4による印刷(塗布)に続いて乾燥動作を行う場合には、印刷動作(塗布動作)の終了後に乾燥モードに切り替わって乾燥機構3が起動してもよい。この場合、表示部23等に、乾燥を行う爪Tに対応する指Uを筐体2の底面20上に配置するようユーザに促すメッセージ画面等を表示させてもよい。なお1本の指Uの爪Tについて印刷した後、当該爪Tに塗布した塗布材料のみ乾燥させればよい場合には、指配置部6に指Uを配置させたまま印刷動作から乾燥動作までを続けて行ってもよい。
【0032】
乾燥装置1が起動すると、乾燥動作の開始前に、制御部11は表示部23の表示動作を制御して、ユーザに乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を選択させる選択画面(
図5の第1の選択画面231参照)を表示部23に表示させる(ステップS3)。そして制御部11は、いずれかの画像(映像コンテンツ)が選択されたか否かを判断する(ステップS4)。いずれの画像(映像コンテンツ)も選択されない場合(ステップS4;NO)には、ステップS4の判断を繰り返す。なおこの場合、乾燥動作中に見たい画像を選択するようユーザに促すメッセージ等を表示部23に表示させてもよい。
【0033】
選択画面(第1の選択画面231)は、例えば
図5に示すように、乾燥装置1の表示部23等において表示可能な画像(映像コンテンツ)をサムネイル等として一覧表示させた画面である。第1の選択画面231には、画像選択ボタン232、決定ボタン233等が設けられる。
図5に示す例では、画像(映像コンテンツ)のサムネイル画像が画像選択ボタン232となっており、これにカーソルを合わせることで画像選択ボタン232が選択されたアクティブな状態となる(例えば
図5に示す例において「グループA」が選択状態)。いずれかの画像(映像コンテンツ)が選択された状態で決定ボタン233が操作されると、当該画像(映像コンテンツ)が選択されたものとされ(ステップS4;YES)、当該ユーザの選択指示が制御部11に受け付けられる(ステップS5)。
【0034】
乾燥動作中に表示部23に表示させる画像(映像コンテンツ)の選択肢としてはどのようなものが含まれていてもよい。例えば選択肢には人や動物等のキャラクタの画像が含まれていてもよい。
乾燥装置1が通信部25を介してインターネット等のネットワーク回線に接続できる場合には、外部のサーバ等から随時新しい画像(映像コンテンツ)を取得して、表示部23に表示させることのできる画像(映像コンテンツ)が更新されるようにしてもよい。
例えば人気グループのメンバーの画像(映像コンテンツ)が選択できてもよいし、動物たち等の画像(映像コンテンツ)が選択できてもよい。なおこの場合のグループや動物等は実在するグループや動物であってもよいし、架空のアニメーションやイラスト上のものでもよい。
また画像(映像コンテンツ)としては、例えばアニメーション番組の画像が選択できてもよいし、最新映画やドラマ等の宣伝画像等が選択できてもよい。
【0035】
図5に示す例では、第1の選択画面231に、「グループAの画像」「グループBの画像」「アニマル画像」「アニメーション画像A」「アニメーション画像B」「映画宣伝画像」を示す画像選択ボタン232(サムネイル画像)が選択肢として表示されている。なお、さらに多くの画像(映像コンテンツ)が選択肢として用意され、表示部23の画面をスクロールすることで、他の選択肢が順次表示されるようになっていてもよい。また、第1の選択画面231中に「次のページ」「前のページ」といった画面遷移を行うためのボタンが用意され、ボタンが押されるごとに異なる選択肢が表示された第1の選択画面231に切り替わるようにしてもよい。
【0036】
制御部11は、第1の選択画面231においてユーザによって選択された画像(映像コンテンツ)が、個別のキャラクタ(キャラクタの画像、キャラクタ画像)の選択がさらに必要なものであるか否かをさらに判断する(ステップS6)。
例えば、第1の選択画面231においてユーザによって「アニメーション画像A」「アニメーション画像B」「映画宣伝画像」を示す画像選択ボタン232が選択された場合には、制御部11は、個別のキャラクタの選択が不要な画像(映像コンテンツ)であると判断する(ステップS6;NO)。
【0037】
この場合には、第1の選択画面231においていずれかの画像(映像コンテンツ)が選択された状態で決定ボタン233が操作されることでユーザによる選択指示が最終的に決定され、選択された画像(映像コンテンツ)が表示部23に表示される再生画面に切り変わる(ステップS7)。制御部11は、当該画像に対応する音声が出力されるようにスピーカ24の音声出力も制御する。また乾燥機構3による乾燥動作も開始される(ステップS8)。なお、選択指示の決定は決定ボタン233によって行われる場合に限定されない。例えばいずれかの画像選択ボタン232にカーソルを当てた状態でクリック操作等を行うだけで選択指示が決定されてもよい。
【0038】
乾燥動作中に表示される再生画面内には、乾燥完了までの時間がカウントダウン方式等で表示されたり、残り時間を示すスライドバー表示等、乾燥動作の進捗状況を示す表示等が行われてもよい。乾燥完了までの残り時間が分かることで、ユーザがストレスなく画像を見ながら乾燥を待つことができる。
なお、乾燥にかかる時間は、乾燥させる爪Tの数や爪Tの大きさ、爪Tに塗布された塗布材料の種類(例えばデザイン印刷用のカラーインクであるか下地用のインクであるか)等に応じて算出された時間であってもよい。
また、塗布材料の塗布が終了すれば、空気中にただ放置するだけでも徐々に塗布材料の乾燥が進む。このため、「乾燥完了までの残り時間」は、塗布材料の塗布後、ユーザが乾燥動作中に表示部23に表示させる画像(映像コンテンツ)の選択に迷っている間の時間等を差し引いた時間としてもよい。
【0039】
他方、例えば、
図5に示す第1の選択画面231においてユーザによって「グループAの画像」「グループBの画像」「アニマル画像」のように、複数のキャラクタの集合体を示す画像(映像コンテンツ)が選択された場合には、制御部11は、個別のキャラクタの選択が必要な画像(映像コンテンツ)が選択されたと判断する(ステップS6;YES)。
この場合には制御部11は、さらにユーザに乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を選択させる画面として、個別のキャラクタ画像の選択を求める選択画面(
図6~
図8の第2の選択画面235a,235b,235c参照)を表示部23に表示させる(ステップS9)。
【0040】
例えば本実施形態では、乾燥動作中に表示部23に表示させる画像(映像コンテンツ)として、ユーザの選択に応じたキャラクタによる乾燥動作をイメージさせる動画像が用意されている。例えば「グループAの画像」「グループBの画像」が選択された場合には、第2の選択画面235a,235b,235cにおいて、当該グループの中のどのメンバーに乾燥動作を行ってほしいかを選択する。また「アニマル画像」が選択された場合であれば、第2の選択画面において、そのうち乾燥動作を行ってほしい動物を選択する。
【0041】
制御部11は、いずれかのキャラクタ画像が選択されたか否かを判断し(ステップS10)し、いずれのキャラクタ画像も選択されない場合(ステップS410;NO)には、ステップS10の判断を繰り返す。なおこの場合、乾燥動作中に見たいキャラクタの画像を選択するようユーザに促すメッセージ等を表示部23に表示させてもよい。
キャラクタの選択はどのように行われてもよいが、例えば
図7に示す第2の選択画面235bには複数のキャラクタが並んだ画面の右下に選択ボタン236が設けられている。ユーザがいずれかのキャラクタ画像にカーソルを合わせることで当該キャラクタ画像が選択されたアクティブな状態となる。いずれかのキャラクタ画像が選択された状態で選択ボタン236が操作されると、当該キャラクタ画像が選択されたものとされ(ステップS10;YES)、当該ユーザの選択指示が制御部11に受け付けられる(ステップS11)。
【0042】
また、例えば
図8に示す第2の選択画面235cでは、複数のキャラクタ画像が並んだ画面のみが表示され、個々のキャラクタ画像が選択ボタン237を構成している例を示している。この場合には、いずれかのキャラクタ画像(選択ボタン237)にカーソルを当てた状態でクリック操作等を行うだけで当該キャラクタ画像を選択する旨の選択指示が決定され、当該ユーザの選択指示が制御部11に受け付けられる。
【0043】
いずれかのキャラクタ画像が選択され、その選択指示が制御部11に受け付けられると、ユーザの選択に応じたキャラクタによる乾燥動作をイメージさせる動画像が画像(映像コンテンツ)として乾燥動作中に表示部23に表示される。すなわち、制御部11が表示部23を制御して、所望の動画像が画像(映像コンテンツ)として表示部23に表示されるように再生画面を切り替える(ステップS7)。また制御部11は、当該画像に対応する音声が出力されるようにスピーカ24の音声出力を制御する。なお、音声はキャラクタの音声を録音したものやキャラクタの声に似せて合成したもの等を用いることが好ましい。さらに画像(映像コンテンツ)の再生と同期して乾燥機構3による乾燥動作も開始される(ステップS8)。
【0044】
図9から
図11は、
図7又は
図8の第2の選択画面235b,235cにおいていずれかのキャラクタの画像(
図7、
図8では、前列左から3人目のキャラクタ(
図7においてC君)が選択された場合を例示)が選択された場合に、乾燥動作中に表示部23に表示される画像(映像コンテンツ)の再生画面238a~238cの例を示したものである。
いずれかのキャラクタ画像がユーザにより選択され、その選択指示が制御部11に受け付けられると、選択されたキャラクタの画像(例えば
図9に示す再生画面238a等)に遷移し、画面上に乾燥動作の開始までのカウントダウン等が表示される。なお、
図9に示す再生画面238aを表示させることは必須ではなくユーザによる選択指示が制御部11に受け付けられるとすぐに
図10、
図11のような乾燥動作中の画像(再生画面238b、再生画面238c)に遷移してもよい。
【0045】
そして乾燥機構3から風が吹き出したり、ヒータによって乾燥空間SP内が加熱されたりする乾燥動作が開始されると、当該乾燥動作をあたかも画面上のキャラクタが行っているかのような再生画面238b~238dが表示部23に表示される。ファンによる乾燥動作ではユーザを刺激しないように、始めは弱く穏やかに風を送り、途中から印加電圧値を上げて次第に風量が多くなるように制御することが好ましい。この場合、対応する再生画面238b、238cでも少しずつ息を吹きかけ、途中からは強く息を吹きかけるようなイメージの画像を表示させることが好ましい(
図10及び
図11参照)。また乾燥機構3がファンからの風の向きを変える機構を有している場合には、風向きに応じて再生画面238b、238c中のキャラクタの向きも変わるように同期する画像としてもよい。
なお図示例では、「キャラクタによる乾燥動作をイメージさせる動画像」としてキャラクタが、口で息を吹きかけてくれるような画像を示したが、「キャラクタによる乾燥動作をイメージさせる動画像」はこれに限定されない。例えば扇子や団扇で扇ぐ仕草や送風機を自ら操作して風を送ってくれる仕草等の画像であってもよい。キャラクタにやってほしい仕草をユーザがさらに選択できてもよい。
【0046】
またこのようにキャラクタ画像を表示させる場合にも、乾燥動作中に表示される再生画面(例えば
図10、
図11の再生画面238b、238c)内には、乾燥完了までの時間がカウントダウン方式等で表示されたり、残り時間を示すスライドバー表示等、乾燥動作の進捗状況を示す表示等が行われてもよい。乾燥完了までの残り時間が分かることで、ユーザがストレスなく画像を見ながら乾燥を待つことができる。
なお、乾燥にかかる時間の算出については、「アニメーション画像」や「映画宣伝画像」等の画像(映像コンテンツ)が選択された場合において前述したものと同様であるため、説明を省略する。
【0047】
制御部11は、乾燥機構3による乾燥が所定時間行われたか否かを適宜判断し(ステップS12)、乾燥が所定時間行われるまで(ステップS12;NO)は、ステップS12の判断を繰り返す。
一方、乾燥が所定時間行われると(ステップS12;YES)、制御部11は乾燥機構3の乾燥動作を停止させる(ステップS13)。また乾燥機構3の停止に合わせて表示部23に表示させていた再生画面238b、238c等の画像(映像コンテンツ)の表示も終了させる(ステップS14)。なお再生画面238b、238c等の画像(映像コンテンツ)を終了させるにあたって、制御部11は、例えば
図12に示すように乾燥が終わった旨をユーザに知らせる乾燥終了報知画面239を表示部23等に表示させてもよい。乾燥終了報知画面239は、
図12に例示するように、乾燥動作中に表示される再生画面(例えば
図10、
図11の再生画面238b、238c)に応じたもの(例えば共通のキャラクタが登場する画像等)とすることが好ましい。
【0048】
このように、本実施形態では、爪Tに塗布された塗布材料を乾燥させる間、乾燥動作の開始前にユーザ自身が選んだ画像を表示部23に表示させることができ、ユーザが退屈せずに乾燥の完了を待つことができる。
【0049】
[効果]
以上のように、本実施形態の乾燥装置1は、爪Tの表面上に塗布された塗布材料を乾燥させる乾燥機構3と、乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を、乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける制御手段としての制御部11と、を備えている。
ネイルプリントを行うインクやデザインを印刷する前に爪Tに塗布される下地用のインクを乾燥させるには、例えば数分ないしそれ以上の時間を要する。乾燥機構3が乾燥動作を行う間、ユーザは乾燥装置1内に爪T(爪Tに対応する指Uや手HL、HR)を配置したまま、装置の前から移動することもできずに、じっと乾燥が完了するのを待たなければならない。このため、無駄な時間が生じ、退屈してしまう。
この点、本実施形態のように、ユーザ自らが乾燥開始前に見たい画像を選んで乾燥動作中には当該画像を見ていることができれば、乾燥に時間がかかる場合でも退屈せず、むしろ乾燥時間を楽しみ、有意義に過ごすことができる。
【0050】
また本実施形態において選択指示は、表示部23に表示される複数の選択肢の中からユーザがいずれかを選択することで制御部11に受け付けられる。
このため、乾燥動作中に見る画像を簡易に選択することができる。
【0051】
また本実施形態において選択肢にはキャラクタの画像が含まれる。
このため、好きなタレントや動物等の画像を見ながら、楽しく乾燥動作の完了を待つことができる。
【0052】
また本実施形態において乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像は、ユーザによる選択に応じたキャラクタによる乾燥動作をイメージさせる動画像を含む。
このため、好きなタレントや動物等が爪Tに塗布された塗布材料の乾燥を手伝ってくれているような感覚で乾燥時間を過ごすことができる。これにより、乾燥に時間がかかる場合でも退屈せず、むしろ乾燥時間を楽しむことができ、有意義に活用することができる。
【0053】
また本実施形態において乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像は、乾燥機構3による乾燥動作の進捗状況を示す画像を含む。
このため、乾燥動作がどの程度進んだか、残り時間がどの程度であるかを、画像を見ながらユーザが知ることができ、乾燥に時間がかかる場合でもイライラしたりせずに待つことができる。
【0054】
また本実施形態において乾燥機構3は、送風手段又は加熱手段の少なくともいずれか1つを含んでいる。
塗布材料を効果的、かつ仕上がりよく乾燥させる手法は、塗布材料の種類や装置周辺の温度、湿度等様々な条件によってそれぞれ異なることが考えられる。例えば風を当てるのがいい場合、温めるのがいい場合、温めながら風を当てるのがいい場合等があり得る。
この点本実施形態のように、送風手段や加熱手段を適宜備えることで各条件に応じた効果的な乾燥動作を行うことができる。
【0055】
また本実施形態において乾燥機構3による乾燥動作前に爪Tの表面上に塗布材料を印刷する印刷手段としての印刷機構4をさらに備えている。
このため、爪Tへの印刷(塗布材料の塗布)と乾燥とを1つの装置で行うことができ、別個の装置となっているよりもユーザにとって便利である。
【0056】
[変形例]
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0057】
例えば、本実施形態では、乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する場合を例示したが、画像の選択指示を行うタイミングはこれに限定されない。
例えば本実施形態のように乾燥装置1が印刷手段としての印刷機構4を備え、印刷装置としても機能する場合には、乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を印刷機構4による印刷動作前にユーザが選択してもよい。
この場合には印刷を行う前から乾燥動作時に観る画像を考え、選ぶ楽しさがあり、乾燥装置1を用いた一連の処理(印刷から乾燥まで)がより一層楽しくなる。
【0058】
また、このように表示部23に表示させる画像を印刷機構4による印刷動作前にユーザが選択する場合には、選択指示は印刷機構4による印刷動作中及び乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を選択するものであってもよい。
この場合には、乾燥動作時間に加えて印刷動作時間も画像を鑑賞する時間とすることができる。このため、より長い時間画像を楽しむことができる。また乾燥時間に比べれば短いとはいえ、装置の前から離れることのできないことには変わらない印刷時間を、好みの画像を見る、楽しい時間として有意義に活用することができる。
また印刷機構を備える印刷装置において、印刷動作中に表示部に表示させる画像を、印刷動作の開始に先立ってユーザが選択できるようにし、この選択指示を制御部が受け付けてユーザによって選択された画像が印刷動作中に表示部に表示される印刷装置単体の装置であってもよい。この場合、印刷動作中ユーザが退屈せずに印刷の完了を待つことができる。
【0059】
また、本実施形態では、乾燥装置1が印刷機構4を含み印刷装置としても機能する場合を例示したが、乾燥装置は印刷装置と一体となったものに限定されず、乾燥装置単体として構成されているものであってもよい。
例えば
図13に、単体として構成された乾燥装置1aの例を示す。なお、
図13では実施形態で説明した乾燥装置1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
乾燥装置1aが印刷機構を備えない場合には、爪Tを所定位置に配置するための指配置部を設ける必要がない。また、爪Tを配置する位置よりも上方に印刷ヘッド41等を設ける必要もない。また印刷範囲としての爪Tの領域を検出するための撮影部を設ける必要もない。なお乾燥装置1aにも、塗布材料が塗布された爪Tや爪Tに対応する指や手が装置内に配置されたか否か、配置状況等を確認するための撮影部は備えていてもよい。
【0060】
このように乾燥装置1aでは上方位置に印刷機構等を設ける必要がない。このため、例えば
図13に示すように、乾燥機構7を筐体内の上部等に配置して、筐体内に配置された爪T(爪Tを含む手や指)の上方から風を当てる等してもよい。
また筐体2内の底面のほぼ全体に亘って爪Tや爪Tに対応する指や手を載置するための載置台8が設けられていてもよい。載置台8は例えば柔軟性のある各種樹脂等で形成されたものを適用する。これにより、手や指を長い時間載せていても疲れにくく好ましい。
なお、乾燥装置1aが単体の装置である場合にも、乾燥装置1aは、両手を装置内に配置できる構成でもよいし、片手ずつ配置して爪Tの乾燥を行う構成のものでもよい。
【0061】
また、本実施形態では、乾燥装置1が単体で乾燥処理(印刷装置としても機能する場合には印刷処理も)を完結することができるように構成されたものを例示したが、乾燥装置1はここに示すようなものに限定されず、例えばスマートフォンやタブレット端末等の端末装置等、各種の外部装置と連携して乾燥処理等を行うものであってもよい。
【0062】
乾燥装置1が外部装置(例えばスマートフォンやタブレット端末等である端末装置)と連携して各種処理を行う場合、例えば乾燥機構3による乾燥動作中に表示部23に表示させる画像を、乾燥動作の開始に先立ってユーザが選択する選択指示を受け付ける制御手段は、乾燥装置1の制御部11に限定されない。例えば乾燥機構3と連携する図示しないスマートフォン等である端末装置の制御部が、
図5、
図6等に示したような第1の選択画面、第2の選択画面を端末装置の表示部等に表示させ、選択指示を入力させるようにしてもよい。この場合端末装置の制御部がユーザの選択指示を受け付ける制御手段として機能する。
【0063】
また、ユーザの選択指示に基づいて各種画像(映像コンテンツ)を表示させる表示部も、乾燥装置1に設けられているものに限定されない。例えば乾燥機構3と連携するスマートフォンやタブレット端末等である端末装置の表示部に画像(映像コンテンツ)が表示されるようにしてもよい。
なお、このように選択指示の入力を行う操作部、選択結果である各種画像(映像コンテンツ)を表示させる表示部が乾燥機構3と連携するスマートフォンやタブレット端末等である端末装置の操作部や表示部である場合には、乾燥装置1に操作部や表示部を備えない構成とすることもできる。
【0064】
また例えば、送風条件(どの程度の強さの風を当てるか)、加熱条件(どの程度加熱するか)等、乾燥動作に関する各種設定処理をスマートフォン等の外部の端末装置から設定してもよい。また、デザイン用のインクが塗布された場合には〇〇秒乾燥動作、下地用のインクが塗布された場合には〇〇分乾燥動作を行う、といったデフォルトの設定値等が端末装置側に記憶されていてもよい。この場合、乾燥動作を行う際は端末装置の操作部等で必要な項目(塗布材料として何が塗布されたか等)を入力するだけで乾燥装置1において適切な設定値が適用され、乾燥動作が行われるようにしてもよい。
【0065】
さらに乾燥装置1が印刷機構4や撮影部5を備える場合、例えば撮影部5により取得された爪画像からの爪情報の検出処理や印刷データの生成処理等の印刷関係の処理が、外部装置(例えばスマートフォン等である端末装置)において行われる構成としてもよい。
この場合には、撮影部5のカメラ51により爪が撮影され爪画像(指を含む爪の画像)が取得されると、撮影部5によって取得された爪画像は、通信部25を介して外部装置に送られる。そして外部装置の制御装置によって爪情報の検出や印刷データの生成が行われて、生成された印刷データが乾燥装置1において印刷装置として機能する印刷機構4に送られるようになっていてもよい。
この場合、乾燥装置1は乾燥機構3の他、印刷機構4、撮影部5を備えていればよく、制御部11が印刷に関する情報を処理する必要がない。このため乾燥装置1の構成を簡易なものとすることができる。
【0066】
また、乾燥動作中に表示部23に表示させる画像(映像コンテンツ)をユーザに選択させる選択画面(
図5の第1の選択画面231参照)に、選択肢として表示される画像選択ボタン232の種類は、常に同じでなくてもよい。
例えば乾燥装置1を使用する度に徐々にユーザの好みに沿うように、選択画面の表示内容がカスタマイズされるようになっていてもよい。具体的には乾燥装置1で表示させることの可能な画像(映像コンテンツ)を例えばサーバからダウンロードする場合に、ユーザの好みを反映させるフィルタ処理等を行う。
【0067】
例えばユーザが過去に選択した選択肢の情報を記憶部12等に記憶させておき、選択される頻度の高いジャンルの画像(映像コンテンツ)に関する画像選択ボタン232の種類が多くなるようになってもよい。すなわち、例えばユーザが音楽グループの画像を多く選択している場合には、音楽グループに関する画像(映像コンテンツ)を選択する画像選択ボタン232の種類が多くなってもよいし、音楽のプロモーション情報、コンサート等の予告映像等が選択できるようになってもよい。また、ユーザが猫の画像(映像コンテンツ)を多く選択している場合には、猫や小動物に関する画像(映像コンテンツ)を選択する画像選択ボタン232の種類が多くなってもよい。
このように乾燥動作中に表示部23に表示させる画像(映像コンテンツ)の種類が、ユーザの過去の選択結果の蓄積等によりカスタマイズされる場合には、乾燥動作中に、より興味のある内容の画像(映像コンテンツ)を見ることができる。このため、乾燥完了を待っている時間を、ユーザにとって一層有意義な時間とすることができる。
【0068】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0069】
1 乾燥装置
2 筐体
3 乾燥機構
4 印刷機構
41 印刷ヘッド
5 撮影部
51 カメラ
6 指配置部
11 制御部
12 記憶部
22 操作部
23 表示部
24 スピーカ
25 通信部
SP 乾燥空間