特開 2024-118716 サポートプログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024118716

(43)【公開日】2024-09-02

(54)【発明の名称】サポートプログラム

(51)【国際特許分類】

   G06F 3/12 20060101AFI20240826BHJP

   B41J 29/38 20060101ALI20240826BHJP

   H04N 1/00 20060101ALI20240826BHJP

【ＦＩ】

G06F3/12 335

G06F3/12 310

G06F3/12 328

B41J29/38 203

H04N1/00 002C

H04N1/00 127B

【審査請求】未請求

【請求項の数】9

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023025149

(22)【出願日】2023-02-21

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000291

【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】成田 建樹

(72)【発明者】

【氏名】市川 裕詞

(72)【発明者】

【氏名】細溝 仁人

(72)【発明者】

【氏名】江口 愛莉

【テーマコード（参考）】

2C061

5C062

【Ｆターム（参考）】

2C061AP01

2C061HJ08

2C061HK11

2C061HK16

2C061HN05

2C061HN15

2C061HV09

2C061HV14

2C061HV35

5C062AA05

5C062AB22

5C062AB38

5C062AB42

5C062AC04

5C062AC22

5C062AC38

5C062AE16

5C062AF14

5C062AF15

(57)【要約】

【課題】ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置にてプリンタで発生したエラーを報知する場合において、通信負荷の軽減が可能な技術を提供すること。
【解決手段】ＯＳ標準の汎用印刷プログラム４１は、プリンタ２からエラー通知を受信すると、エラーイベントを出力する。補助プログラム４２は、印刷指示に連動して、エラーイベントが汎用印刷プログラム４１から出力された場合に、プリンタ２に発生したエラーの種別を取得し、そのエラーの種別に対応するエラー報知画面１００ＡをＰＣ１のユーザＩＦ１３に表示させる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、前記情報処理装置には、汎用印刷プログラムを有するオペレーティングシステムが搭載されており、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、前記印刷指示による印刷対象の前記画像を示す印刷データに基づく印刷を前記プリンタに行わせるための処理を行う印刷処理を実行させ、前記汎用印刷プログラムは、前記印刷処理の実行によって前記プリンタからエラー通知を受信した場合に、エラーイベントを出力し、
さらに前記コンピュータに、
前記汎用印刷プログラムから前記エラーイベントが出力された場合に、前記プリンタに発生したエラーの種別を取得するエラー種別取得処理と、
前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別に対応するエラー画面情報を取得するエラー画面取得処理と、
前記エラー画面取得処理にて取得された前記エラー画面情報に基づくエラー報知画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させるエラー報知処理と、
を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項2】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記汎用印刷プログラムが前記プリンタから受信する前記エラー通知には、エラーの種別が含まれ、
前記エラー種別取得処理では、
前記汎用印刷プログラムが前記プリンタから受信した前記エラー通知に含まれる前記エラーの種別を取得する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項3】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記エラー画面取得処理では、
前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別と、取得された前記エラーの種別に対処するための対処方法と、に対応する前記エラー画面情報を取得し、
前記エラー報知処理では、
前記エラー画面取得処理にて取得された前記エラー画面情報に基づいて、前記エラーの種別と前記対処方法とが書き込まれた前記エラー報知画面を、前記ユーザインタフェースに表示させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項4】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別に対処するための対処方法に対応する対処画面情報を取得する対処画面取得処理と、
前記対処画面取得処理にて取得された前記対処画面情報に基づく対処報知画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させる対処報知処理と、
を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項5】

請求項４に記載するサポートプログラムであって、
前記エラー報知処理では、
対処方法を表示するための操作子を含む前記エラー報知画面を、前記ユーザインタフェースに表示させ、
前記コンピュータに、
前記操作子が操作されたことに応じて、前記対処画面取得処理および前記対処報知処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項6】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記エラー画面取得処理では、
前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別に対応する前記エラー画面情報を、外部デバイスから取得し、前記外部デバイスは、前記エラーの種別ごとに、前記エラー画面情報を記憶している、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項7】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記エラー画面取得処理では、
前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別に対応する前記エラー画面情報を、前記プリンタから取得し、前記プリンタは、前記エラーの種別ごとに、前記エラー画面情報を記憶している、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項8】

請求項１に記載するサポートプログラムであって、
前記エラー画面取得処理では、
前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別と、前記プリンタのモデルと、に対応する前記エラー画面情報を取得し、前記エラー画面情報は、同じ前記エラーの種別であっても、プリンタのモデルによって異なる場合がある、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項9】

請求項１から請求項８のいずれか１つに記載するサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記汎用印刷プログラムから前記エラーイベントが出力された場合に、前記汎用印刷プログラムに対して、エラー報知不要を設定する設定処理を実行させ、前記汎用印刷プログラムは、前記エラー報知不要が設定されていないと、前記プリンタから前記エラー通知を受信した場合にエラーを報知し、前記エラー報知不要が設定されていると、エラーを報知しない、
ように構成されるサポートプログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

近年、プリンタベンダから提供されるプリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム（ＯＳ）の一部を構成するＯＳ標準の汎用印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、ＯＳがプリンタを検知するとＯＳ標準の汎用印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタベンダから提供されるプリンタドライバを用いずに、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが印刷データを生成することで、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムによる印刷が可能になる。

【0003】

ＯＳ標準の汎用印刷プログラムを介して印刷を行う技術を開示した文献として、例えば特許文献１には、印刷指示によって汎用印刷プログラムから起動された補助プログラムが、プリンタからステータス情報の取得を繰り返し、取得されたステータス情報が編集アプリに渡される構成が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０２０－１２６３１９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

情報処理装置からプリンタに印刷データを送信した後、そのプリンタにてエラーが生じた場合、そのエラーの詳細を情報処理装置にて報知することが望まれる。特許文献１に開示されているように、印刷指示の後、補助プログラム（サポートプログラム）がプリンタからステータス情報の取得することで、プリンタで発生しているエラーを報知することも可能であるが、ステータス情報の取得を繰り返していることから、補助プログラムによる通信負荷が高い。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応するサポートプログラムであって、前記情報処理装置には、汎用印刷プログラムを有するオペレーティングシステムが搭載されており、前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、前記印刷指示による印刷対象の前記画像を示す印刷データに基づく印刷を前記プリンタに行わせるための処理を行う印刷処理を実行させ、前記汎用印刷プログラムは、前記印刷処理の実行によって前記プリンタからエラー通知を受信した場合に、エラーイベントを出力し、さらに前記コンピュータに、前記汎用印刷プログラムから前記エラーイベントが出力された場合に、前記プリンタに発生したエラーの種別を取得するエラー種別取得処理と、前記エラー種別取得処理にて取得された前記エラーの種別に対応するエラー画面情報を取得するエラー画面取得処理と、前記エラー画面取得処理にて取得された前記エラー画面情報に基づくエラー報知画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させるエラー報知処理と、を実行させる、ように構成される。

【0007】

上記構成のサポートプログラムは、印刷指示に連動して、エラーイベントが汎用印刷プログラムから出力された場合に、プリンタに発生したエラーの種別を取得し、そのエラーの種別に対応するエラー報知画面を情報処理装置のユーザインタフェースに表示させる。これにより、サポートプログラムは、印刷データの送信後にプリンタを監視する必要が無いため、プリンタで発生したエラーを報知するにあたって通信負荷が小さい。

【0008】

上記プログラムの機能を実現するための装置、制御方法、および当該プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。

【発明の効果】

【0009】

本明細書に開示される技術によれば、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置にてプリンタで発生したエラーを報知する場合において、通信負荷の軽減が可能な技術が実現される。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】第１実施形態におけるＰＣの電気的構成の概略を示すブロック図である。

【図2】印刷実行手順の例を示すシーケンス図である。

【図3】エラー報知画面の表示例を示す図である。

【図4】エラー報知画面の表示例を示す図である。

【図5】エラー報知画面の表示例を示す図である。

【図6】第２実施形態における印刷実行手順の例を示すシーケンス図である。

【図7】エラー報知画面の表示例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本形態のサポートプログラムを利用するパーソナルコンピュータ（以下、「ＰＣ」とする）について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、ＰＣにて実行されるサポートプログラムを開示する。

【0012】

（第１実施形態）
本形態のＰＣ１は、図１に示すように、ＣＰＵ１１と、メモリ１２と、を含むコントローラ１０を備えている。ＰＣ１は、情報処理装置の一例である。ＣＰＵ１１は、コンピュータの一例である。また、ＰＣ１は、ユーザインタフェース（以下、「ユーザＩＦ」とする）１３と、通信インタフェース（以下、「通信ＩＦ」とする）１４と、を備え、これらがコントローラ１０に電気的に接続されている。なお、図１中のコントローラ１０は、ＰＣ１の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にＰＣ１に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。

【0013】

ＰＣ１のＣＰＵ１１は、メモリ１２から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ１２には、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ１２は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。ＣＰＵ１１が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ１２の一例は、ＰＣ１に内蔵されるＲＯＭ、ＲＡＭ、ＨＤＤ等に限らず、ＣＰＵ１１が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ－ＲＯＭ等の記録媒体であっても良い。

【0014】

ユーザＩＦ１３は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアであるディスプレイ１３ａと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザＩＦ１３は、情報を表示可能なディスプレイ１３ａと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、ディスプレイ１３ａの機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。

【0015】

通信ＩＦ１４は、プリンタ２等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信ＩＦ１４の通信規格は、イーサネット（登録商標）、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）、ＵＳＢなどである。ＰＣ１は、通信ＩＦ１４を介して、インターネットに接続可能であっても良い。ＰＣ１は、複数の通信規格に対応する複数の通信ＩＦ１４を備えていてもよい。

【0016】

ＰＣ１のメモリ１２には、図１に示すように、汎用印刷プログラム４１を含むオペレーティングシステム（以下、「ＯＳ」とする）２１と、補助プログラム４２と、編集アプリ４３と、を含む、各種のプログラムや、各種のデータが記憶されている。補助プログラム４２は、サポートプログラムの一例である。編集アプリ４３は、アプリケーションプログラムの一例である。

【0017】

ＯＳ２１は複数のタスクを管理して切り換えることにより複数のタスクを並行して処理できるマルチタスクＯＳである。ＯＳ２１は、例えば、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）、ｍａｃＯＳ（登録商標）、Ｌｉｎｕｘ（登録商標）、ｉＯＳ（登録商標）、Ａｎｄｒｏｉｄ（登録商標）である。

【0018】

ＯＳ２１には、汎用印刷プログラム４１が含まれている。汎用印刷プログラム４１は、ＯＳ２１のベンダによって用意され、ＯＳ２１の一部として提供されるＯＳ標準のプログラムである。汎用印刷プログラム４１は、各プリンタに固有のプリンタドライバを利用するようには構成されていない。

【0019】

汎用印刷プログラム４１は、ユーザの指示に基づいて、複数のベンダによってそれぞれ提供される複数種類のモデルのプリンタに印刷を実行させるための機能を有するプログラムである。汎用印刷プログラム４１は、多くのプリンタにて印刷を実行可能な汎用的な機能をサポートしている。汎用印刷プログラム４１は、各プリンタに固有のプリンタドライバとは異なり、各プリンタやプリンタドライバが固有に備える機能、特に複雑な処理を要する機能をサポートしていない。

【0020】

汎用印刷プログラム４１は、ユーザの指示に基づいて、各種のアプリから出力された印刷指示にて印刷対象として指定された画像データを受け取り、その画像データに基づく中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。中間画像データは、例えば、ＸＰＳデータである。汎用印刷プログラム４１は、さらに、中間画像データに基づいて、各種のプリンタにて印刷に利用できる形式の印刷データを生成する機能を有している。印刷データは、例えば、ＰＷＧＲａｓｔｅｒデータ、または、ＰＤＦデータである。また、汎用印刷プログラム４１は、生成した印刷データを、ＯＳ２１による通信機能を介して、印刷を実行させる装置として指定されたプリンタに送信する機能を有している。

【0021】

補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１の処理に付随してＯＳ２１からの指示に基づいて処理を実行するプログラムまたはプログラム群であり、対象のハードウェアの制御をサポートするプログラムである。本形態の補助プログラム４２は、ＰＣ１に接続されているプリンタ２のモデルに対応するものであり、例えば、プリンタ２のベンダによって提供される。汎用印刷プログラム４１は、印刷を実行させる装置としてプリンタ２が選択された場合、プリンタ２が選択されている状態で詳細な印刷設定の指示を受け付けた場合、プリンタ２に印刷を実行させる指示を受け付けた場合、等に、プリンタ２に対応する補助プログラム４２を起動する。補助プログラム４２は、例えば、印刷サポートアプリ（略称、ＰＳＡ）、またはハードウェアサポートアプリ（略称、ＨＳＡ）と呼ばれるものである。

【0022】

なお、補助プログラム４２は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、１つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。また、補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。

【0023】

ＰＣ１のＯＳ２１は、例えば、新たなプリンタがＰＣ１に接続された場合、接続されたプリンタのタイプやモデルに応じて、適切な補助プログラムをプリンタのベンダのサーバ等からダウンロードしてＰＣ１に組み込むことができる。ＯＳ２１は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報に対応付けて、メモリ１２に記憶させる。

【0024】

編集アプリ４３は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのプログラムである。編集アプリ４３は、例えば、マイクロソフト（登録商標）製のワード（登録商標）やパワーポイント（登録商標）などであっても良いし、プリンタ２のベンダから提供されるプログラムであっても良い。編集アプリ４３は、ユーザＩＦ１３を介して、例えば、プリンタ２に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付け可能である。なお、編集アプリ４３は、データの作成や編集を行うためのプログラムに限らず、ユーザの要求に応じて、地図情報やウェブページ等の各種の情報の表示指示や印刷指示を受け付ける機能を有するプログラムであっても良い。

【0025】

本形態のＰＣ１は、通信ＩＦ１４を介して、図１に示すように、プリンタ２に接続されている。プリンタ２は、少なくとも印刷機能と通信機能とを有する装置である。プリンタ２は、例えば、ＰＣ１等から印刷データを受信した場合、受信した印刷データに基づく印刷を実行可能である。本形態のプリンタ２は、カラー印刷可能なカラープリンタであるが、プリンタ２は、単色印刷のみを実行可能なプリンタであっても良い。

【0026】

プリンタ２は、ＰＣ１などの外部装置に提供可能な情報を記憶している。外部装置に提供可能な情報は、例えば、エラー画面情報４、対処画面情報５である。エラー画面情報４及び対処画面情報５については、後述する。

【0027】

次に、プリンタ２に印刷を行わせる印刷実行手順について、図２のシーケンス図を参照して説明する。ここでは、ＰＣ１が、カラー印刷可能なプリンタ２を選択して印刷する場合を例にして、印刷実行手順を説明する。

【0028】

なお、本形態における各処理は、基本的に、補助プログラム４２などのプログラムに記述された命令に従ったＣＰＵ１１の処理を示す。ＣＰＵ１１による処理は、ＯＳ２１のＡＰＩを用いたハードウェアの制御も含む。本明細書では、ＯＳ２１の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。

【0029】

ユーザは、印刷対象の画像とプリンタ２での印刷設定とを決定した後、編集アプリ４３にて印刷実行の指示を入力する（Ｃ０１）。編集アプリ４３は、図示しない編集画面と図示しない印刷設定画面とを表示可能である。編集アプリ４３は、例えば、ユーザの指示に基づいて文章や画像の作成を編集画面を介して受け付け、編集画面にて印刷機能の選択を受け付けると、印刷設定画面を表示する。編集アプリ４３は、印刷設定画面にて印刷を実行するプリンタの指定や、各種パラメータの設定を受け付ける。編集アプリ４３は、印刷設定画面の印刷ボタンへの操作を受け付けた場合、汎用印刷プログラム４１に対して、選択中の画像の印刷をプリンタ２に行わせる実行指示を、受け付けたと判断する。

【0030】

編集アプリ４３は、受け付けた印刷指示の情報を汎用印刷プログラム４１に渡す（Ｃ０２）。汎用印刷プログラム４１は、印刷指示の情報として、印刷対象の画像を示す画像データと印刷設定を示す情報と、を編集アプリ４３から取得する。

【0031】

汎用印刷プログラム４１は、編集アプリ４３から取得した情報に基づいて、印刷対象の画像の画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで、中間画像データを生成する（Ｃ０３）。編集アプリ４３に含まれる画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム４１は、印刷対象の画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷対象の画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。

【0032】

なお、汎用印刷プログラム４１は、中間画像データの生成前に、指定されたデバイスであるプリンタ２に対応する補助プログラム４２を起動して、印刷ジョブの処理を開始したことを通知しても良い。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１から起動された場合、中間画像データを生成する際に利用される各種の指示を示す情報を、必要に応じて、汎用印刷プログラム４１に渡すことができる。

【0033】

汎用印刷プログラム４１は、中間画像データを生成した後、補助プログラム４２を起動する（Ｃ０５）。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１に要求することで、汎用印刷プログラム４１によって生成された中間画像データを取得できる。そして、補助プログラム４２は、印刷設定画面を介して受け付けた印刷設定に基づいて、汎用印刷プログラム４１から受け取った中間画像データや印刷設定の情報を編集する。

【0034】

補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１にエラーイベントの発行を登録する（Ｃ１１）。本形態のエラーイベントは、印刷を実行するプリンタ２からエラーを知らせるエラー通知を汎用印刷プログラム４１が受信した場合に、汎用印刷プログラム４１が出力可能なイベントである。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１に対してエラーイベントの発行を登録することにより、汎用印刷プログラム４１から出力されるエラーイベントを受け取ることが可能になる。

【0035】

なお、Ｃ１１に示すエラーイベント登録処理を実行するタイミングは、印刷指示に連動して補助プログラム４２が起動された後（Ｃ０５にて実行指示を受け付けた後）、補助プログラム４２が印刷処理を行う前（後述するＣ２１にて印刷データを出力する前）であれば、いつでもよい。本形態では、印刷指示がある度に、補助プログラム４２がエラーイベントの発行を汎用印刷プログラム４１に登録しているが、汎用印刷プログラム４１がエラーイベントの発行の登録を維持する機能を有する場合には、補助プログラム４２は、Ｃ１１の処理を省略してもよい。

【0036】

補助プログラム４２は、中間画像データを汎用印刷プログラム４１に渡し、汎用印刷プログラム４１にラスタライズを要求する（Ｃ１２）。汎用印刷プログラム４１は、中間画像データをラスタライズし、ビットマップデータであるラスタデータを生成する（Ｃ１３）。さらに、汎用印刷プログラム４１は、生成したラスタデータを補助プログラム４２に渡す（Ｃ１４）。これにより、補助プログラム４２は、ラスタデータを取得する。

【0037】

なお、汎用印刷プログラム４１に代えて補助プログラム４２がラスタライズを行っても良い。その場合、補助プログラム４２は、印刷の実行指示にて受け取った中間画像データに基づいてラスタライズを実行し、ラスタデータを生成する。補助プログラム４２にてラスタライズすれば、汎用印刷プログラム４１にてラスタライズする場合に比較して自由度が大きく、プリンタ２での印刷に適したラスタデータが生成される可能性が高い。一方、汎用印刷プログラム４１によってラスタライズするとすれば、補助プログラム４２の処理が少なく、補助プログラム４２のプログラムサイズを小さくできる。

【0038】

そして、補助プログラム４２は、Ｃ１４にて取得したラスタデータを必要に応じて加工し、加工済みのラスタデータをＰＤＬデータにエンコードして、印刷データを生成する（Ｃ１５）。さらに、補助プログラム４２は、生成した印刷データを汎用印刷プログラム４１に渡し、プリンタ２への送信を指示する（Ｃ２１）。Ｃ２１は、プリンタ２に印刷させるための処理であり、「印刷処理」の一例である。

【0039】

図２のＣ２１にて補助プログラム４２が汎用印刷プログラム４１に渡す印刷データは、プリンタ２にて印刷可能な形式のデータであればよい。なお、補助プログラム４２によって生成されるＰＤＬデータは、プリンタ２のモデル以外のプリンタでの印刷にも使用できる形式のデータであっても良い。

【0040】

汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２の指示に応じて、印刷データをプリンタ２に送信し、印刷を指示する（Ｃ２２）。プリンタ２は、受信した印刷データに基づいて、印刷を実行する（Ｃ２３）。これにより、編集アプリ４３から出力された印刷指示に基づく印刷物が生成される。

【0041】

印刷を実行するプリンタ２は、その印刷結果を汎用印刷プログラム４１に通知する。例えば、プリンタ２は、印刷中にエラーが発生し、印刷に失敗した場合、エラーが発生したことを示すエラー通知を汎用印刷プログラム４１に通知する（Ｃ３１）。エラー通知には、エラーの種別が含まれる。エラーの種別は、例えば、ドアオープン、着色材なし、着色材極少量、着色材少量、用紙なし、用紙詰まり、排紙トレイの空き無し、排紙トレイの空き少量、である。

【0042】

汎用印刷プログラム４１は、エラーの種別を含むエラー通知をプリンタ２から受信すると、エラーイベントの発行が登録されていることを条件として、エラーイベントを出力する（Ｃ３２）。例えば、汎用印刷プログラム４１は、エラー通知に含まれるエラーの種別を付加したエラーイベントを出力する。

【0043】

補助プログラム４２は、Ｃ３３にて、汎用印刷プログラム４１から出力されたエラーイベントを受け取ると、エラー報知を不要とする抑制通知を汎用印刷プログラム４１に渡し、エラー報知不要を汎用印刷プログラム４１に設定する（Ｃ３４）。Ｃ３４の処理は「設定処理」の一例である。

【0044】

汎用印刷プログラム４１は、プリンタ２からエラー通知を受信した場合、汎用印刷プログラム４１自ら、エラーを報知するエラー報知画面をユーザＩＦ１３に表示させることができる。しかし、汎用印刷プログラム４１は、エラー通知に含まれるエラーの種別を認識できない場合がある。その場合、汎用印刷プログラム４１が表示させるエラー報知画面は、標準的なエラーの表示になってしまうため、エラーの詳細を報知できない。一方、補助プログラム４２は、後述するように、プリンタ２によって付加されたエラーの種別を認識し、エラーの詳細を報知することが可能である。

【0045】

汎用印刷プログラム４１は、エラー報知不要が設定されていない場合、エラー通知の受信に応じてエラーを自ら報知する。一方、汎用印刷プログラム４１は、エラー報知不要が設定されている場合、エラー通知の受信に応じてエラーを自ら報知しない。そのため、補助プログラム４２が汎用印刷プログラム４１にエラー報知不要を設定することにより、汎用印刷プログラム４１と補助プログラム４２とが重複してエラー報知することを回避できる。

【0046】

補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１から出力されたエラーイベントに付加されたエラーの種別を取得する（Ｃ３５）。Ｃ３５は「エラー種別取得処理」の一例である。補助プログラム４２は、プリンタ２と通信することなく、エラーの種別を取得できる。

【0047】

なお、エラー通知がエラーの種別ごとに専用に設定されたエラーコードを含む場合、汎用印刷プログラム４１は、エラーコードに対応する種類のエラーイベントを出力してもよい。この場合、補助プログラム４２は、エラーイベントの種類を解析することによって、エラーの種別を取得してもよい。

【0048】

また、例えば、プリンタ２から送信されるエラー通知にはエラーの種別が含まれるが、汎用印刷プログラム４１がエラーの種別を特定しないエラーイベントを出力した場合、補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１からエラー通知に含まれていたエラーの種別を取得してもよい。この場合も、補助プログラム４２は、プリンタ２と通信することなく、エラーの種別を汎用印刷プログラム４１から取得できる。

【0049】

また、例えば、プリンタ２から送信されるエラー通知にエラーの種別が含まれていない場合には、補助プログラム４２は、プリンタ２からエラーの種別を取得してもよい。この場合、補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１を介してプリンタ２からエラーの種別を取得してもよい。この際、汎用印刷プログラム４１は、ＯＳ２１を介して、例えば、ＩＰＰ（internet printing protocolの略）に応じた通信によって、プリンタ２との通信を行う。また、補助プログラム４２は、例えば、ＭＩＢ（Management Information Baseの略）を使って、プリンタ２からエラー種別を直接取得してもよい。

【0050】

補助プログラム４２は、Ｃ３５にて取得したエラーの種別と、印刷指示にて指定されたプリンタのモデルと、に対応するエラー画面情報４を取得する（Ｃ３６）。エラー画面情報４は、エラーを報知するエラー報知画面を表示するための情報である。エラー画面情報４は、プリンタのモデルに対応するように、エラーの種別ごとにカスタマイズされた情報である。エラー画面情報４は、例えば、画像やテキストの配置を示すレイアウト、エラーの内容を示すエラー情報、プリンタのモデルに対応する画像データ、を含む。Ｃ３６は、「エラー画面取得処理」の一例である。

【0051】

本形態では、プリンタベンダが、プリンタのモデルに対応するエラー画面情報４を、各プリンタに記憶させている。補助プログラム４２は、Ｃ３５にて取得したエラーの種別に対応するエラー画面情報４を、印刷指示にて指定されたプリンタ２から取得する。このように、エラーの種別ごとのエラー画面情報４をプリンタ２に記憶しておき、補助プログラム４２が、エラーを報知する際にそのプリンタ２からエラー画面情報４を取得することで、補助プログラム４２のサイズを小さくすることができる。また、補助プログラム４２は、プリンタ２に適した詳細なメッセージをＰＣ１のディスプレイ１３ａに表示させることができる。

【0052】

なお、エラー画面情報４は、サーバ等の外部デバイスに記憶されていてもよい。サーバは、例えば、プリンタベンダが管理するサーバであり、プリンタベンダが提供するエラー画面情報４を全て記憶している。この場合、補助プログラム４２は、例えば、通信ＩＦ１４を用いて、サーバにエラー画面情報４の送信を要求する。この要求には、プリンタ２のモデルと取得したエラーの種別とが付加されている。サーバは、要求に付加されたモデルとエラーの種別に対応するエラー画面情報４を抽出し、ＰＣ１に送信する。補助プログラム４２は、通信ＩＦ１４を用いてエラー画面情報４を受信することによって、サーバからエラー画面情報４を取得する。このように、エラーの種別ごとのエラー画面情報４をサーバなどの外部デバイスに記憶しておき、補助プログラム４２が、エラーを報知する際にその外部デバイスからエラー画面情報４を取得することで、補助プログラム４２のサイズを小さくすることができる。また、補助プログラム４２を変更しなくても、エラー画面情報４あるいはエラー報知画面の内容を変更することが可能になる。

【0053】

エラー画面情報４は、メモリ１２に設けられた補助プログラム４２用の記憶領域に記憶されていてもよい。この場合、補助プログラム４２は、補助プログラム４２が対応可能なプリンタのモデルに関するエラー画面情報４を記憶している。補助プログラム４２は、印刷指示にて指定されたプリンタ２のモデルと、Ｃ３５にて取得したエラーの種別と、に対応するエラー画面情報４をメモリ１２から読み出して取得する。これによれば、補助プログラム４２は、プリンタ２やサーバなどの外部装置と通信を行わずに、エラー画面情報４を取得し、エラー報知画面を表示することが可能になる。

【0054】

エラー画面情報４がメモリ１２に記憶されていても、補助プログラム４２がエラーの種別を何らかの事情で認識できない場合、補助プログラム４２はそのエラーの種別に対応するエラー画面情報４をメモリ１２から取得できない。この場合、補助プログラム４２は、サーバなどの外部デバイスに不明なエラーの種別を渡し、対応するエラー画面情報４を取得してもよい。つまり、補助プログラム４２がエラー画面情報４を取得する方法は、取得時の状況に応じて変えてもよい。

【0055】

補助プログラム４２は、Ｃ３６にて取得したエラー画面情報４に基づくエラー報知画面をユーザＩＦ１３のディスプレイ１３ａに表示させる（Ｃ３７）。上述したようにエラー画面情報４は、エラーの種別ごとにカスタマイズされている。そのため、補助プログラム４２は、エラーの種別によって内容が異なるエラー報知画面をディスプレイ１３ａに表示させることができる。Ｃ３７は、「エラー報知処理」の一例である。エラー報知画面の表示例を図３～図５に示す。

【0056】

例えば、補助プログラム４２は、Ｃ３６にてインクなしのエラーの種別に対応するエラー画面情報４を取得した場合、図３に示すエラー報知画面１００Ａをディスプレイ１３ａに表示させる。エラー報知画面１００Ａは、デバイス表示領域１１０と、印刷結果表示領域１２０と、トラブルシューティングボタン１３０と、ステータス表示領域１４０と、消耗品購入サイト表示ボタン１５０と、閉じるボタン１６０と、が配置されている。

【0057】

デバイス表示領域１１０には、印刷指示にて指定されたプリンタ２のデバイス名「ＸＸＸ１」が表示される。印刷結果表示領域１２０には、印刷エラーを示すエラーマーク１２１と、インクの交換を促すメッセージ１２２と、が含まれる。ユーザは、エラーマーク１２１と、メッセージ１２２と、から、プリンタ２から離れた場所にいてもインク不足によりプリンタ２での印刷に失敗したことを把握できる。

【0058】

トラブルシューティングボタン１３０は、エラーの種別に対処するための対処方法を表示するための操作子である。トラブルシューティングボタン１３０は、「操作子」の一例である。トラブルシューティングボタン１３０の操作により実行される処理については、後述する。

【0059】

ステータス表示領域１４０は、プリンタ２から取得したステータス情報を表示する領域である。例えば、補助プログラム４２は、Ｃ３６にてエラー画面情報を取得する際に、プリンタ２からステータス情報を取得する。ステータス情報は、例えば、インクや用紙などの消耗材の残量を示す残量情報を含む。ステータス表示領域１４０は、例えば、インクの残量を色ごとに示す画像１４１と、用紙の残量をトレイごとに示す画像１４２と、を含む。さらに、ステータス表示領域１４０は、例えば、残量が不足する消耗材には空マーク１４３が付加され、残量が不足に近い消耗材にはＬＯＷマーク１４４が付加される。よって、ユーザは、ステータス表示領域１４０の表示内容から、どの色のインクカートリッジを交換する必要があるかや、どのトレイの用紙がなくなったか、を把握できる。また、ユーザは、交換時期が近いインクカートリッジや、用紙の補充時期が近い用紙トレイなどを把握することもできる。

【0060】

消耗品購入サイト表示ボタン１５０は、消耗品の購入を受け付ける購入画面のウェブページを開くための操作子である。消耗品購入サイト表示ボタン１５０には、購入画面のウェブページを示すＵＲＬが関連付けられている。補助プログラム４２は、消耗品購入サイト表示ボタン１５０がユーザＩＦ１３を用いて操作されると、そのＵＲＬを図示しないブラウザに渡す。ブラウザは、ＵＲＬが示すウェブページを管理するサーバから購入画面を提供され、表示する。なお、補助プログラム４２は、自身がブラウザ機能を有する場合には、ＵＲＬに基づいてサーバにアクセスし、サーバから提供される購入画面を表示してもよい。

【0061】

例えば、補助プログラム４２は、Ｃ３６にて用紙詰まりのエラー種別に対応するエラー画面情報４を取得した場合、図４に示すエラー報知画面１００Ｃをディスプレイ１３ａに表示させる。エラー報知画面１００Ｃは、デバイス表示領域１１０と、印刷結果表示領域１２０と、トラブルシューティングボタン１３０と、閉じるボタン１６０と、が配置されている。用紙詰まりの対処に消耗材の確認や購入を必要としないので、本形態のエラー報知画面１００Ｃは、ステータス表示領域１４０と、消耗品購入サイト表示ボタン１５０と、が配置されていない。

【0062】

また、エラー報知画面１００Ｃは、印刷結果表示領域１２０の内容がエラー報知画面１００Ａと異なる。具体的に、エラー報知画面１００Ｃは、エラーマーク１２１と共に、エラーの種別「用紙詰まり」と、エラーの発生位置を示す内容「内部／前」とを示すメッセージ１２６が表示されている。また、エラー報知画面１００Ｃは、プリンタ２のモデルに対応する画像１２７が表示され、用紙詰まりの位置を示す位置マーク１２８が表示されている。ユーザは、エラーマーク１２１と、メッセージ１２６と、から、プリンタ２から離れた場所にいても、用紙詰まりにより印刷に失敗したことや、用紙詰まりの詳細な内容を把握できる。さらに、ユーザは、画像１２７と、位置マーク１２８と、から、用紙詰まりの内容を具体的に把握でき、用紙詰まりを解消しやすい。

【0063】

上述したようにエラー画面情報４は、プリンタのモデルに対応するようにカスタマイズできる。そのため、補助プログラム４２は、同じエラーの種別であっても、プリンタのモデルによって異なる内容のエラー報知画面をディスプレイ１３ａに表示させることができる。具体的に、例えば、プリンタは、詳細な情報を表示可能な液晶パネルを有するモデルと、そのような液晶パネルを有していないモデルと、がある。液晶パネルを有していないモデルのプリンタが用紙詰まりのエラーを生じた場合、補助プログラム４２は、例えば図４に示すエラー報知画面１００ＣをＰＣ１のディスプレイ１３ａに表示させることができる。

【0064】

これに対して、液晶パネルを有するモデルのプリンタが用紙詰まりのエラーを生じた場合、補助プログラム４２は、例えば図５に示すエラー報知画面１００ＤをＰＣ１のディスプレイ１３ａに表示させることができる。プリンタに液晶パネルがある場合、ユーザは、ＰＣ１のディスプレイ１３ａを見るよりもプリンタ本体の液晶パネルを見た方が、用紙詰まりに対処しやすい。そのため、エラー報知画面１００Ｄは、図４の画像１２７と位置マーク１２８の代わりに、例えば「プリンタの液晶パネルに表示される手順に従って、用紙詰まりを解消してください。」など、ユーザをプリンタの設置場所へ行かせるためのメッセージ１２９を表示する。よって、補助プログラム４２は、プリンタのモデルに適切な報知を行うことができる。

【0065】

図２に戻り、補助プログラム４２は、例えば図３に示すエラー報知画面１００Ａのトラブルシューティングボタン１３０がユーザＩＦ１３を用いて操作されると、対処表示指示を受け付け（Ｃ４１）、対処画面情報５を取得する（Ｃ４２）。トラブルシューティングボタン１３０には、エラーの種別に対応する対処画面情報５の保存場所が関連付けられている。補助プログラム４２は、トラブルシューティングボタン１３０に関連付けられた保存場所にアクセスして、対処画面情報５を取得する。Ｃ４２は、「エラー画面取得処理」の一例である。

【0066】

対処画面情報５は、エラーの対処方法を報知する対処報知画面を表示するための情報である。対処方法は、プリンタのモデルごとに取り決められている。対処画面情報５は、例えば、手順を説明するテキストデータのみで構成されてもよいし、複数の画像データを組み合わせて構成されてもよいし、テキストデータと画像データとを組み合わせて構成されてもよい。対処画面情報５は、動画データであってもよい。

【0067】

本形態では、プリンタベンダが、プリンタのモデルに対応する対処画面情報５を、各プリンタに記憶させている。補助プログラム４２は、トラブルシューティングボタン１３０が操作されると、対処画面情報５をプリンタ２から取得する。プリンタ２が対処画面情報５を記憶することで、補助プログラム４２のサイズが小さくなる。

【0068】

なお、対処画面情報５は、サーバ等に外部デバイスに記憶されていてもよい。この場合、補助プログラム４２は、通信ＩＦ１４を用いてサーバにアクセスし、サーバから対処画面情報５を取得してもよい。サーバが対処画面情報５を記憶することで、補助プログラム４２のサイズが小さくなる。また、補助プログラム４２を変更しなくても、対処画面情報５あるいは対処報知画面の内容を変更することが可能になる。

【0069】

また、対処画面情報５は、メモリ１２に設けられた補助プログラム４２用の記憶領域に記憶されていてもよい。この場合、補助プログラム４２は、補助プログラム４２用の記憶領域から対処画面情報５を読み出して取得する。これによれば、補助プログラム４２は、外部装置と通信を行わずに、対処画面情報５を取得して対処報知画面を表示することが可能になる。

【0070】

対処画面情報５とエラー画面情報４との保存場所は異なってもよい。例えば、エラー画面情報４は、補助プログラム４２用の記憶領域に記憶され、対処画面情報５は、サーバに記憶されていてもよい。

【0071】

補助プログラム４２は、Ｃ４２にて取得した対処画面情報５に基づく対処報知画面をディスプレイ１３ａに表示させる（Ｃ４３）。対処報知画面は、エラー報知画面と別の画面として表示されてもよいし、エラー報知画面に組み込んでエラー報知画面と一体に表示されてもよい。Ｃ４３は、「対処報知処理」の一例である。対処報知画面の表示例を図３に示す。

【0072】

例えば、図３の対処報知画面３００は、インク不足のエラーを報知するエラー報知画面１００Ａのトラブルシューティングボタン１３０が操作された場合に表示される画面である。対処報知画面３００は、エラー報知画面１００Ａと別にディスプレイ１３ａに表示される。対処報知画面３００には、例えば、インクカートリッジの交換位置を示す画像３０１と、インクを交換する手順を説明するテキスト３０２と、が表示される。これにより、ユーザがインク不足のエラーに関する対処方法を具体的に把握できるので、ユーザによるインクカートリッジの交換が期待できる。また、エラー報知画面１００Ａにトラブルシューティングボタン１３０を用意し、トラブルシューティングボタン１３０の操作に応じて対処報知画面３００がエラー報知画面１００Ａと別に表示されるので、報知内容が煩雑にならず、エラーの対処方法がユーザに伝わりやすい。

【0073】

補助プログラム４２は、対処報知画面３００の閉じるボタン３０３あるいはエラー報知画面１００Ａの閉じるボタン１６０がユーザＩＦ１３を用いて操作されることによって、対処報知画面３００やエラー報知画面１００Ａの表示を終了する。

【0074】

なお、本形態では、補助プログラム４２がエラー報知画面１００Ａと対処報知画面３００の表示を制御しているが、ＯＳ２１が補助プログラム４２からの依頼に応じてエラー報知画面１００Ａや対処報知画面３００の表示を制御してもよい。

【0075】

以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム４２は、印刷指示に連動して、エラーイベントが汎用印刷プログラム４１から出力された場合に、プリンタ２に発生したエラーの種別を取得し、そのエラーの種別に対応するエラー報知画面１００ＡをＰＣ１のユーザＩＦ１３に表示させる。これにより、補助プログラム４２は、印刷データの送信後にプリンタ２を監視する必要が無い。すなわち、補助プログラム４２は、エラー発生時のみの通信であって、印刷指示後にステータスを繰り返し取得し続けるといった必要がない。よって、補助プログラム４２は、プリンタ２で発生したエラーを報知するにあたって通信負荷が小さい。

【0076】

（第２実施形態）
続いて、第２実施形態について説明する。第２実施形態では、補助プログラム４２がエラー画面情報４と対処画面情報５とを同じタイミングで取得する。この点が、エラー画面情報４と対処画面情報５とを異なるタイミングで取得する第１実施形態と相違し、その他の点は、第１実施形態と共通している。以下では、第１実施形態と相違する点を中心に説明し、第１実施形態の共通する構成や処理には、第１実施形態と同じ符号を用いて適宜説明を省略する。

【0077】

図６に示すように、補助プログラム４２は、エラーの種別を取得すると（Ｃ３５）、エラー画面情報４と、対処画面情報５と、を取得する（Ｃ１０１）。エラー画面情報４と対処画面情報５との保存場所は、同じでもよいし、異なってもよい。Ｃ１０１は、「エラー画面取得処理」の一例である。

【0078】

補助プログラム４２は、Ｃ１０１にて取得したエラー画面情報４と、対処画面情報５と、に基づいて、エラーの種別とエラーの対処方法とが書き込まれたエラー報知画面をＰＣ１のディスプレイ１３ａに表示させる（Ｃ１０２）。Ｃ１０２は、「エラー報知処理」の一例である。エラー報知画面の表示例を図７に示す。

【0079】

例えば、ユーザがプリンタ２のカバーを開けてインク交換した際に、カバーが完全に閉じられなかった場合、プリンタ２は、カバーオープンのエラー種別を含むエラー通知を汎用印刷プログラム４１に送信する。この場合、補助プログラム４２は、カバーオープンに対応するエラー画面情報４と対処画面情報５とを取得し、図７に示すエラー報知画面１００ＦをＰＣ１のディスプレイ１３ａに表示させる。

【0080】

エラー報知画面１００Ｆは、デバイス表示領域１１０と、印刷結果表示領域１２０と、対処メッセージ１３１と、画像１３２と、閉じるボタン１６０と、が配置されている。

【0081】

エラー報知画面１００Ｆは、エラーマーク１２１と共に、エラーの種別「カバーオープン」を示すメッセージ１２５が表示されている。また、エラー報知画面１００Ｆは、例えば、「プリンタの前面扉を閉じてください。」など、カバーオープンの対処方法を示す対処メッセージ１３１が表示されている。エラー報知画面１００Ｆには、エラーを生じている前面扉の位置を示す画像１３２が表示されている。

【0082】

本形態の補助プログラム４２は、エラー種別に対処するための対処方法（対処メッセージ１３１、画像１３２）もエラーの種別（メッセージ１２５）と同時にエラー報知画面１００Ｆに報知することで、ユーザがエラーの種別に加え、そのエラーの対処方法も把握できることから、ユーザによるエラーの対処が期待できる。

【0083】

なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、ＰＣ１に接続される装置は、プリンタに限らず、複合機、複写機、ＦＡＸ装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、ＰＣ１に接続されるプリンタの数は、図示の例に限らず、２台以上でも良い。

【0084】

図３のエラー報知画面１００Ａは、トラブルシューティングボタン１３０および消耗品購入サイト表示ボタン１５０を、それぞれ、対応するサイトのＵＲＬのリンクを表示してもよいし、対応するサイトのＵＲＬをテキストのみで表示してもよい。ただし、エラー報知画面１００Ａは、トラブルシューティングボタン１３０および消耗品購入サイト表示ボタン１５０が用意されることにより、ユーザが対処方法や購入画面を表示させやすい。

【0085】

エラー画面情報４は、プリンタのモデルに共通する内容であってもよい。ただし、同じエラー種別であっても、プリンタのモデルごとに内容の異なるエラー画面情報４を用意しておくことで、そのプリンタのモデルに適切な報知を行うことができる。

【0086】

図２のＣ３４の処理を省略し、補助プログラム４２と汎用印刷プログラム４１とが、エラーを報知してもよい。ただし、汎用印刷プログラム４１でエラーを報知することが通常動作の場合、補助プログラム４２が、抑制通知を汎用印刷プログラム４１に渡し、エラー報知不要を設定して汎用印刷プログラム４１でのエラー報知を回避することで、消耗材不足によるエラー報知を汎用印刷プログラム４１と補助プログラム４２とが重複して行うことを回避できる。

【0087】

図６に示すように、エラー画面情報４と対処画面情報５とを同じタイミングで取得した場合にも、エラー報知画面と対処報知画面とを別々の画面として表示してもよい。この場合、例えば図３に示すように、エラー報知画面に含まれる操作子の操作に応じて対処報知画面を表示してもよいし、エラー報知画面と対処報知画面とを同時に並べて表示してもよい。

【0088】

また、実施の形態では、補助プログラム４２の動作として、印刷動作のみを詳細に記載しているが、補助プログラム４２は、さらに他の役割を有していても良い。また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム４２に限らず、汎用印刷プログラム４１を用いた印刷を行う際に、ＯＳ２１または汎用印刷プログラム４１から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフローアプリ（Print workflow）でも良い。

【0089】

また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。

【0090】

また、実施の形態に開示されている処理は、単一のＣＰＵ、複数のＣＰＵ、ＡＳＩＣなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。

【符号の説明】

【0091】

１ ＰＣ
２ プリンタ
１１ ＣＰＵ
１３ ユーザＩＦ
２１ ＯＳ
４１ 汎用印刷プログラム
４２ 補助プログラム
４３ 編集アプリ
１００Ａ エラー報知画面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】