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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118723
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】プリズムおよび光部品
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/04 20060101AFI20240826BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240826BHJP
   G02B 6/293 20060101ALI20240826BHJP
   G02B 6/34 20060101ALI20240826BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G02B5/04 C
G02B6/32
G02B6/293 301
G02B6/34
G02B5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025161
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】横山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】畑山 均
(72)【発明者】
【氏名】中西 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 英一郎
【テーマコード(参考)】
2H042
2H137
2H148
【Fターム(参考)】
2H042CA01
2H042CA07
2H042CA10
2H042CA17
2H137BA20
2H137BC07
2H137BC31
2H137BC51
2H137BC55
2H137BC61
2H137CA13A
2H137CA43
2H137DB09
2H137HA00
2H148CA01
2H148CA11
2H148CA17
2H148CA24
(57)【要約】
【課題】小型化を実現できるとともに容易に組み立てることができるプリズムおよび光部品を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るプリズムは、光が入射するプリズム本体と、プリズム本体に固定された波長選択フィルタと、を備える。プリズム本体は、プリズム本体に入射した光を反射する第1反射面と、第1反射面において反射し、かつ波長選択フィルタにおいて反射した光を反射するための増反射膜を少なくとも一部に備える第2反射面と、を有する。プリズム本体に入射した光は第1反射面において折り返されるように反射される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射するプリズム本体と、
前記プリズム本体に固定された波長選択フィルタと、
を備え、
前記プリズム本体は、
前記プリズム本体に入射した光を反射する第1反射面と、
前記第1反射面において反射し、かつ前記波長選択フィルタにおいて反射した光を反射するための増反射膜を少なくとも一部に備える第2反射面と、
を有し、
前記プリズム本体に入射した光は前記第1反射面において折り返されるように反射される、
プリズム。
【請求項2】
前記プリズム本体は、ケイ素によって構成されており、
前記第1反射面において前記光が全反射する、
請求項1に記載のプリズム。
【請求項3】
前記プリズム本体は、二酸化ケイ素によって構成されており、
前記プリズム本体は、前記第1反射面において全反射した光を前記波長選択フィルタに向けて全反射する第3反射面を有する、
請求項1に記載のプリズム。
【請求項4】
前記第2反射面は、その一部に前記増反射膜がない透過部を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプリズム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプリズムと、
前記プリズムの前記波長選択フィルタに対向するレンズ部を有する集光レンズアレイと、
を備えた光部品。
【請求項6】
光ファイバを保持する光ファイバアレイと、
前記光ファイバアレイに保持された前記光ファイバからの光をコリメート光に変換して前記コリメート光を前記プリズムに入射するコリメートレンズアレイと、
を備える、
請求項5に記載の光部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリズムおよび光部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光サブアセンブリと、ガラスプレートとを備えたプリズムが記載されている。光サブアセンブリには光ファイバを保持するフェルールが固定されている。光サブアセンブリは非球面レンズを有し、上記の光ファイバからの光が非球面レンズを通ってガラスプレートに入射する。非球面レンズは、光ファイバからの光をコリメート光に変換してガラスプレートに入射する。
【0003】
ガラスプレートには、第1の薄膜フィルタ、第2の薄膜フィルタ、第3の薄膜フィルタ、および第4の薄膜フィルタが対向している。第1の薄膜フィルタ、第2の薄膜フィルタ、第3の薄膜フィルタ、および第4の薄膜フィルタは、この順で並んでいる。ガラスプレートは、非球面レンズからの光が入射する入射面と、入射面とは反対方向を向く反射面とを有する。
【0004】
非球面レンズから入射面に入射した光は、反射面において反射し、第1の薄膜フィルタに入射する。第1の薄膜フィルタは、特定波長の光を透過するとともに、特定波長以外の光を反射面に向けて反射する。第1の薄膜フィルタから反射面に向かう光は、反射面において反射し、第2の薄膜フィルタに入射する。第2の薄膜フィルタは、特定波長の光を透過するとともに、特定波長以外の光を反射面に向けて反射する。
【0005】
第2の薄膜フィルタから反射面に向かう光は、反射面において反射し、第3の薄膜フィルタに入射する。第3の薄膜フィルタは、特定波長の光を透過するとともに、特定波長以外の光を反射面に向けて反射する。第3の薄膜フィルタから反射面に向かう光は、反射面において反射し、第4の薄膜フィルタに入射する。第4の薄膜フィルタに入射した光は、プリズムおよび非球面レンズに入射し、非球面レンズにおいて集光されてフォトディテクタに結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0165828号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、プリズムでは、配置の制約等を満たすために小型化し、かつ組み立てを容易に行えることが望まれる場合がある。しかしながら、前述したプリズムでは、反射面および薄膜フィルタにおいて反射する光が、薄膜フィルタが並ぶ方向に進むので、小型化が難しい懸念がある。前述したプリズムのように、多くの部品を備える場合には小型化が難しく組立工数が多いという現状がある。
【0008】
本開示は、小型化を実現できるとともに容易に組み立てることができるプリズムおよび光部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るプリズムは、光が入射するプリズム本体と、プリズム本体に固定された波長選択フィルタと、を備える。プリズム本体は、プリズム本体に入射した光を反射する第1反射面と、第1反射面において反射し、かつ波長選択フィルタにおいて反射した光を反射するための増反射膜を少なくとも一部に備える第2反射面と、を有する。プリズム本体に入射した光は第1反射面において折り返されるように反射される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、小型化を実現できるとともに容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る光部品を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る光部品を示す側面図である。
図3図3は、第1変形例に係る光部品を示す側面図である。
図4図4は、第2変形例に係る光部品を示す側面図である。
図5図5は、第3変形例に係る光部品を示す側面図である。
図6図6は、第4変形例に係る光部品を示す側面図である。
図7図7は、第5変形例に係る光部品を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示に係るプリズムおよび光部品の内容を列記して説明する。一実施形態に係るプリズムは、(1)光が入射するプリズム本体と、プリズム本体に固定された波長選択フィルタと、を備える。プリズム本体は、プリズム本体に入射した光を反射する第1反射面と、第1反射面において反射し、かつ波長選択フィルタにおいて反射した光を反射するための増反射膜を少なくとも一部に備える第2反射面と、を有する。プリズム本体に入射した光は第1反射面において折り返されるように反射される。
【0013】
このプリズムは、入射した光を反射する第1反射面と、第1反射面において反射し、かつ波長選択フィルタにおいて反射した光を反射する第2反射面とを有する。第2反射面は、その少なくとも一部に増反射膜を有する。よって、第2反射面の増反射膜が設けられた部分においてより確実に光を反射させることができる。さらに、プリズムを、光を反射する部品であるプリズム本体として一部品とすることができるので、小型化を実現できるとともに組み立てを容易に行うことができる。プリズム本体に入射した光は第1反射面において折り返されるように反射されるので、プリズム本体の光路の領域を狭めることができる。したがって、プリズムをさらに小型化させることが可能となる。
【0014】
(2)上記(1)において、プリズム本体は、ケイ素によって構成されていてもよく、第1反射面において光が全反射してもよい。この場合、プリズム本体がケイ素によって構成されていることにより、第1反射面に増反射膜が設けられていなくても第1反射面において光を全反射させることができる。したがって、第1反射面に増反射膜を形成する必要がないので、増反射膜のコストの低減に寄与する。
【0015】
(3)上記(1)において、プリズム本体は、二酸化ケイ素によって構成されており、プリズム本体は、第1反射面において全反射した光を波長選択フィルタに向けて全反射する第3反射面を有してもよい。この場合、第1反射面において全反射した光は、第3反射面に入射し、第3反射面において全反射して波長選択フィルタに到達する。プリズム本体が二酸化ケイ素によって構成されていることにより、第1反射面および第3反射面に増反射膜が設けられていなくても、第1反射面および第3反射面において光を全反射させることができる。したがって、第1反射面および第3反射面に増反射膜を形成する必要がないので、増反射膜のコストを低減させることができる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、第2反射面は、その一部に増反射膜がない透過部を有してもよい。この場合、第2反射面の一部から増反射膜が省略されているので、増反射膜のコストの低減に寄与する。さらに、プリズム本体の迷光を透過部からプリズム本体の外部に排出することができる。
【0017】
(5)一実施形態に係る光部品は、上記(1)から(4)のいずれかのプリズムと、プリズムの波長選択フィルタに対向するレンズ部を有する集光レンズアレイと、を備える。この光部品では、集光レンズアレイのレンズ部によって波長選択フィルタを透過した光を集光させることができる。
【0018】
(6)上記(5)において、光部品は、光ファイバを保持する光ファイバアレイと、光ファイバアレイに保持された光ファイバからの光をコリメート光に変換してコリメート光をプリズムに入射するコリメートレンズアレイと、を備えてもよい。この場合、光ファイバアレイに保持された光ファイバからの光を、コリメートレンズアレイによってコリメート光に変換して前述したプリズムに入射させることができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
実施形態に係るプリズムおよび光部品の具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載したものに限定されない。
【0020】
図1は、一例としての光部品1を示す斜視図である。光部品1は、光ファイバFを保持する光ファイバアレイ10と、光ファイバアレイ10に固定されたコリメートレンズアレイ20と、コリメートレンズアレイ20に対向するプリズム30と、プリズム30の下部に位置する集光レンズアレイ40とを有する。光ファイバFは、第1方向D1に沿って延在している。
【0021】
光ファイバアレイ10は、複数の光ファイバFを保持する。光ファイバアレイ10において、複数の光ファイバFは、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って並んでいる。一例として、光ファイバアレイ10が保持する光ファイバFの数は8である。例えば、光ファイバアレイ10は、光ファイバFが載せられる台11と、台11に載せられた光ファイバFを覆う蓋12とを有する。蓋12および台11は、第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に沿って並んでいる。
【0022】
以下では、台11から見て蓋12が設けられる方向を上、上側または上方と称することがあり、蓋12から見て台11が設けられる方向を下、下側または下方と称することがある。しかしながら、これらの方向を示す語句は、説明の便宜のためのものであり、部品の配置位置及び方向を限定するものではない。
【0023】
台11は、第1方向D1および第2方向D2の双方に沿って延在する上面11bと、上面11bとは反対方向を向く下面11hと、第1方向D1および第3方向D3の双方に沿って延在する側面11cと、コリメートレンズアレイ20が固定される端面11dとを有する。上面11bは、光ファイバFが第3方向D3に対向する第1上面11fと、光ファイバFが載せられる第2上面11gとを含む。下面11hから第1上面11fまでの距離は、下面11hから第2上面11gまでの距離よりも短い。
【0024】
台11は、例えば、光ファイバFが入り込むV溝を有する。台11のV溝は第2上面11gにおいて第1方向D1に沿って延在している。第2上面11gには複数のV溝が形成されている。複数のV溝は、第2上面11gにおいて第2方向D2に沿って並んでいる。複数の光ファイバFのそれぞれは、台11の各V溝に挿入された状態で位置決めされている。
【0025】
蓋12は、第1方向D1および第2方向D2の双方に沿って延在する上面12bと、第1方向D1および第3方向D3の双方に沿って延在する側面12cと、コリメートレンズアレイ20が固定される端面12dと、上面12bとは反対方向を向く下面12fとを有する。図2は、第2方向D2に沿って見たときにおける光部品1の側面図である。図1および図2に示されるように、台11の端面11d、および蓋12の端面12dは、第2方向D2に沿って延びるとともに、第3方向D3に対して傾斜する方向に延在している。
【0026】
例えば、台11の端面11dは、蓋12の端面12dと面一となっている。端面11dは、下面11hから上面11bに向かうにつれて第1方向D1に突出するように第3方向D3に対して傾斜している。端面12dは、下面12fから上面12bに向かうにつれて第1方向D1に突出するように第3方向D3に対して傾斜している。光ファイバFは、端面11dにおいて光ファイバアレイ10の外方に露出している。
【0027】
コリメートレンズアレイ20は、台11の端面11d、および蓋12の端面12dに接着剤を介して固定されている。コリメートレンズアレイ20は、光ファイバFからの光Lが入射する光入射部21と、光Lをコリメート光に変換するレンズ部22とを有する。例えば、光入射部21は、直方体状を呈する。光入射部21は、光ファイバアレイ10に固定される第1面21bと、第1面21bとは反対方向を向く第2面21cとを有する。レンズ部22は第2面21cにおいて突状をなすように形成されている。コリメートレンズアレイ20は、複数のレンズ部22を有する。複数のレンズ部22は、第2方向D2に沿って並んでいる。一例として、コリメートレンズアレイ20に形成されているレンズ部22の数は8である。
【0028】
前述したように、端面11dおよび端面12dは、上方に向かうにしたがって第1方向D1に突出するように傾斜している。よって、光ファイバFから出射した光Lは、光ファイバアレイ10から斜め下方に出射する。端面11dおよび端面12dは、例えば、光ファイバFが延在する第1方向D1に直交する方向である第3方向D3に対して、3度傾斜している。光Lは、光入射部21に入射しレンズ部22においてコリメート光に変換される。レンズ部22においてコリメート光に変換された光Lはプリズム30に入射する。
【0029】
プリズム30は、その内部で光Lを複数回反射させる反射プリズムである。プリズム30は、光Lを通すプリズム本体31と、プリズム本体31の内部において反射した光Lを受光する波長選択フィルタ32とを有する。例えば、プリズム本体31の材料は、ガラスであり、一例としてはSiO(二酸化シリコン)ガラスである。第2方向D2に沿って見たときにおけるプリズム本体31の形状は、例えば、五角形状である。
【0030】
プリズム本体31は、入射した光Lが反射する第1反射面31bと、第1反射面31bの上端からコリメートレンズアレイ20に向かって延びる第2反射面31cとを有する。プリズム本体31に入射した光Lは、第1反射面31bにおいて折り返されるように反射される。光Lが折り返されるように反射されるとは、第1反射面31bに入射する光Lが進行する方向とは逆の方向に向かうように光Lが反射することを示している。本実施形態では、光Lは、第1反射面31bにおいて第1方向D1の反対方向に向かって(図2では左に向かって)反射する。
【0031】
プリズム本体31は、波長選択フィルタ32が固定されたフィルタ固定面31dを有する。さらに、プリズム本体31は、第1反射面31bからフィルタ固定面31dまで延びる第1側面31fと、第2反射面31cからフィルタ固定面31dまで延びる第2側面31gとを有する。例えば、第2反射面31cおよびフィルタ固定面31dは、第1方向D1に沿って互いに平行に延在している。第1側面31fおよび第2側面31gは、第3方向D3に沿って互いに平行に延在している。
【0032】
例えば、第1反射面31bおよび第2反射面31cは増反射膜33を備える。増反射膜33が第1反射面31bおよび第2反射面31cに貼り付けられていることにより、第1反射面31bおよび第2反射面31cでは光Lが全反射する。増反射膜33は、例えばTa(五酸化タンタル)とSiO(二酸化シリコン)薄膜が交互に積層された誘電体多層膜からなり、合計厚みは約7μmの膜である。第2反射面31cは、第1方向D1および第2方向D2の双方に沿って延在している。第1反射面31bは、例えば、第1反射面31bに入射する光Lの光軸に対して斜め下方に延在している。第1反射面31bは、第2反射面31cから離隔するにつれて斜め下方に延在している。一例として、第2反射面31cに対する第1反射面31bの傾斜角度は40°以上かつ60°以下である。
【0033】
例えば、フィルタ固定面31dは、第1方向D1および第2方向D2の双方に沿って延在している。例えば、プリズム30は複数の波長選択フィルタ32を有し、フィルタ固定面31dにおいて複数の波長選択フィルタ32が第1方向D1に沿って並んでいる。例えば、波長選択フィルタ32の反りの曲率半径は3000mm以上である。この場合、波長選択フィルタ32の平坦性を高めることができ、集光レンズアレイ40への光Lの挿入損失を0.1dB以下にすることができる。複数の波長選択フィルタ32は、第1反射面31bにおいて反射した光Lが入射する第1波長選択フィルタ32bと、第2反射面31cにおいて反射した光Lが入射する第2波長選択フィルタ32cとを含む。第2波長選択フィルタ32cおよび第1波長選択フィルタ32bは第1方向D1に沿って並んでいる。例えば、第1波長選択フィルタ32bは第1反射面31bの下方に設けられ、第2波長選択フィルタ32cは第2反射面31cの下方に設けられている。
【0034】
第1波長選択フィルタ32bは、第1反射面31bから反射した光Lのうち、特定波長を含む波長範囲の光Lを透過するとともに当該波長範囲外の光Lを第2反射面31cに向けて反射する。当該波長範囲外の光Lは、第2反射面31cに入射し第2反射面31cにおいて第2波長選択フィルタ32cに向けて反射する。例えば、第2波長選択フィルタ32cは、第2反射面31cにおいて反射した光を透過する。一例では、プリズム30に入射する光Lは、波長1260nmから1360nmの光であり、第1波長選択フィルタ32bは、波長1291nmの光を透過する。その他の光は第2反射面31cに向けて反射され、第2反射面31cにおいて第2波長選択フィルタ32cに向けて反射される。第2波長選択フィルタ32cでは波長1311nmの光が透過され、その他の光は反射されプリズム30の外部に放射される。
【0035】
集光レンズアレイ40は、第1波長選択フィルタ32bを透過した光L、および第2波長選択フィルタ32cを透過した光Lを集光する。集光レンズアレイ40は、例えば、プリズム30の下方に配置されている。集光レンズアレイ40は、波長選択フィルタ32に対向するレンズ部41と、レンズ部41を通った光Lが通る光透過部42とを有する。集光レンズアレイ40は、複数のレンズ部41を有する。複数のレンズ部41は、第1波長選択フィルタ32bを透過した光Lを受光する第1レンズ部41bと、第2波長選択フィルタ32cを透過した光Lを受光する第2レンズ部41cとを含む。
【0036】
第1レンズ部41bは第1波長選択フィルタ32bの下方に設けられ、第2レンズ部41cは第2波長選択フィルタ32cの下方に設けられている。第2レンズ部41cおよび第1レンズ部41bは、第1方向D1に沿って並んでいる。集光レンズアレイ40は、複数の第1レンズ部41b、および複数の第2レンズ部41cを含む。複数の第1レンズ部41bは、第2方向D2に沿って並んでいる。複数の第2レンズ部41cは、第2方向D2に沿って並んでいる。例えば、集光レンズアレイ40の第1レンズ部41bおよび第2レンズ部41cのそれぞれにおいて集光された光Lは、集光レンズアレイ40の下方に設けられるシリコン導波路に入射する。
【0037】
次に、実施形態に係るプリズム30および光部品1から得られる作用効果について説明する。プリズム30は、入射した光Lを反射する第1反射面31bと、第1反射面31bにおいて反射し、かつ波長選択フィルタ32において反射した光Lを反射する第2反射面31cとを有する。第2反射面31cは、その少なくとも一部に増反射膜33を有する。よって、第2反射面31cの増反射膜33が設けられた部分においてより確実に光Lを反射させることができる。
【0038】
さらに、プリズム30を、光Lを反射する部品であるプリズム本体31として一部品とすることができるので、小型化を実現できるとともに組み立てを容易に行うことができる。プリズム本体31に入射した光Lは第1反射面31bにおいて折り返されるように反射されるので、プリズム本体31の光路の領域を狭めることができる。したがって、プリズム30をさらに小型化させることが可能となる。
【0039】
前述したように、光部品1は、プリズム30と、プリズム30の波長選択フィルタ32に対向するレンズ部41を有する集光レンズアレイ40と、を備えてもよい。光部品1では、集光レンズアレイ40のレンズ部41によって波長選択フィルタ32を透過した光Lを集光させることができる。
【0040】
前述したように、光部品1は、光ファイバFを保持する光ファイバアレイ10と、光ファイバアレイ10に保持された光ファイバFからの光Lをコリメート光に変換してコリメート光をプリズム30に入射するコリメートレンズアレイ20と、を備えてもよい。この場合、光ファイバアレイ10に保持された光ファイバFからの光Lを、コリメートレンズアレイ20によってコリメート光に変換してプリズム30に入射させることができる。
【0041】
次に、本開示に係る光部品およびプリズムの種々の変形例について説明する。変形例に係る光部品およびプリズムの一部の構成は、前述した光部品1およびプリズム30の一部の構成と同一である。よって、以下では、既出の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0042】
図3は、第1変形例に係る光部品1Aおよびプリズム30Aを示す側面図である。プリズム30Aは、ケイ素(Si)によって構成されている。プリズム30Aは、光Lを通すプリズム本体31Aと波長選択フィルタ32とを有する。プリズム本体31Aは、増反射膜33を有しない第1反射面31hと、第2反射面31cとを有する。Siによって構成されているプリズム本体31Aにおける第2反射面31cに対する第1反射面31hの傾斜角度は、一例として、130°以上かつ150°以下である。プリズム本体31AがSiによって構成されていることにより、第1反射面31hは、増反射膜33を有しなくても、光Lを波長選択フィルタ32に向けて全反射する。
【0043】
以上、第1変形例に係るプリズム30Aでは、プリズム本体31Aは、Siによって構成されており、第1反射面31hにおいて光Lが全反射する。プリズム本体31AがSiによって構成されていることにより、第1反射面31hに増反射膜33が設けられていなくても第1反射面31hにおいて光Lを全反射させることができる。したがって、第1反射面31hに増反射膜33を形成する必要がないので、増反射膜33のコストの低減に寄与する。
【0044】
図4は、第2変形例に係る光部品1Bおよびプリズム30Bを示す側面図である。プリズム30Bは、二酸化ケイ素(SiO)によって構成されている。プリズム30Bは、プリズム本体31Bと波長選択フィルタ32とを有する。プリズム本体31Bは、増反射膜33を有しない第1反射面31jと、第1反射面31jからフィルタ固定面31dまで延びる第3反射面31kとを有する。第1反射面31jは、第2反射面31cから離隔するにつれて斜め下方に延在している。SiOによって構成されているプリズム本体31Bにおける第2反射面31cに対する第1反射面31jの傾斜角度は、前述したプリズム本体31における第2反射面31cに対する第1反射面31bの傾斜角度よりも小さい。一例として、第2反射面31cに対する第1反射面31jの傾斜角度は、30°以上かつ40°以下である。
【0045】
プリズム本体31BがSiOによって構成されていることにより、第1反射面31jは、増反射膜33を有しなくても、光Lを第3反射面31kに向けて全反射する。第3反射面31kは、増反射膜33を有しなくても、第1反射面31jからの光Lを波長選択フィルタ32に向けて全反射する。
【0046】
以上、第2変形例に係る光部品1Bにおいて、プリズム本体31Bは、SiOによって構成されており、プリズム本体31Bは、第1反射面31jにおいて全反射した光Lを、波長選択フィルタ32に向けて全反射する第3反射面31kを有する。この場合、第1反射面31jにおいて全反射した光Lは、第3反射面31kに入射し、第3反射面31kにおいて全反射して波長選択フィルタ32に到達する。プリズム本体31BがSiOによって構成されていることにより、第1反射面31jおよび第3反射面31kに増反射膜33が設けられていなくても、第1反射面31jおよび第3反射面31kにおいて光Lを全反射させることができる。したがって、第1反射面31jおよび第3反射面31kに増反射膜33を形成する必要がないので、増反射膜33のコストを低減させることができる。
【0047】
図5は、第3変形例に係る光部品1Cおよびプリズム30Cを示す側面図である。光部品1Cは、プリズム30Cと、プリズム30Cの波長選択フィルタ32を透過した光が入射する集光レンズアレイ40Cとを有する。図5に示されるように、プリズム30Cは波長選択フィルタ32の数が前述したプリズム30とは異なっており、集光レンズアレイ40Cはレンズ部41の数が前述した集光レンズアレイ40とは異なっている。
【0048】
複数の波長選択フィルタ32は第1波長選択フィルタ32b、第2波長選択フィルタ32cおよび第3波長選択フィルタ32dを含む。第3波長選択フィルタ32d、第2波長選択フィルタ32cおよび第1波長選択フィルタ32bは、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。複数のレンズ部41は第1レンズ部41b、第2レンズ部41cおよび第3レンズ部41dと含む。第3レンズ部41d、第2レンズ部41cおよび第1レンズ部41bは、この順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0049】
第1波長選択フィルタ32bの下方に第1レンズ部41bが位置しており、第2波長選択フィルタ32cの下方に第2レンズ部41cが位置しており、第3波長選択フィルタ32dの下方に第3レンズ部41dが位置している。第2波長選択フィルタ32cは、第2反射面31cから反射した光Lのうち、特定波長を含む波長範囲の光Lを透過するとともに当該特定波長外の光Lを第2反射面31cに向けて反射する。当該波長範囲外の光Lは、第2反射面31cに入射し第2反射面31cにおいて第3波長選択フィルタ32dに向けて反射する。第3波長選択フィルタ32dは、第2反射面31cにおいて反射した光を透過する。一例では、プリズム30Cに入射する光Lは、波長1260nmから1360nmの光であり、第1波長選択フィルタ32bは、波長1291nmの光を透過する。その他の光は第2反射面31cに向けて反射され、第2反射面31cにおいて第2波長選択フィルタ32cに向けて反射される。第2波長選択フィルタ32cでは波長1311nmの光が透過され、その他の光は、第2反射面31cに向けて反射され、第2反射面31cにおいて第3波長選択フィルタ32dに向けて反射される。第3波長選択フィルタ32dでは波長1331nmの光が透過され、その他の光は反射されプリズム30Cの外部に放射される。
【0050】
第1レンズ部41bは第1波長選択フィルタ32bを透過した光Lを集光し、第2レンズ部41cは第2波長選択フィルタ32cを透過した光Lを集光し、第3レンズ部41dは第3波長選択フィルタ32dを透過した光を集光する。以上、第3変形例に係るプリズム30Cは第1方向D1に沿って並ぶ3個の波長選択フィルタ32を有し、集光レンズアレイ40Cは第1方向D1に沿って並ぶ3個のレンズ部41を有する。このプリズム30Cおよび集光レンズアレイ40Cからは、前述したプリズム30および集光レンズアレイ40と同様の効果が得られる。なお、第1方向D1に沿って並ぶ波長選択フィルタ32の数、および第1方向D1に沿って並ぶレンズ部41の数は、4以上であってもよく、適宜変更可能である。
【0051】
図6は、第4変形例に係る光部品1Dおよびプリズム30Dを示す側面図である。プリズム30Dのプリズム本体31Dは、第1反射面31bと、一部に増反射膜33を有する第2反射面31pとを有する。第2反射面31pは、増反射膜33がある反射部31qと、増反射膜33がない透過部31rとを有する。
【0052】
第2反射面31pの反射部31qは、第1波長選択フィルタ32bからの反射光Lが入射する部位である。反射部31qにおいて、第1波長選択フィルタ32bからの反射光Lは第2波長選択フィルタ32cに向けて反射する。第2反射面31pの透過部31rは、第1波長選択フィルタ32bからの反射光が直接には入射しない部位である。透過部31rは第2波長選択フィルタ32cからの反射光が直接入射する部位である。透過部31rは、プリズム本体31Dにおいて生じた迷光がプリズム本体31Dの外部に出射する部位である。N個(Nは自然数)の波長選択フィルタによって、N個の波長の光を取り出す場合、第2反射面31pにおいて、N番目の波長選択フィルタからの反射光が直接入射する部位の増反射膜33を省略してもよい。
【0053】
以上、第4変形例に係るプリズム30Dでは、第2反射面31pは、その一部に増反射膜33がない透過部31rを有する。この場合、第2反射面31pの一部から増反射膜33が省略されているので、増反射膜33のコストの低減に寄与する。さらに、プリズム本体31Dの迷光を透過部31rからプリズム本体31Dの外部に排出することができる。
【0054】
図7は、第5変形例に係る光部品1Eおよびプリズム30Eを示す側面図である。プリズム30Eは、第2波長選択フィルタ32cを有しない点において前述したプリズム30とは異なっている。第2反射面31cにおいて反射した光Lは、そのままプリズム30Eから出射して集光レンズアレイ40のレンズ部41(第2レンズ部41c)に入射する。この光部品1Eおよびプリズム30Eでは、波長選択フィルタ32にかかるコストを低減させることができる。更にこのとき、第2反射面31cにおいて反射した光Lであって集光レンズアレイ40のレンズ部41(第2レンズ部41c)に向かわずにフィルタ固定面31dで反射される光が直接入射する第2反射面31cの領域を、増反射膜33がない透過部としてもよい。(N-1)個(Nは自然数)の波長選択フィルタによって、N個の波長の光を取り出す場合、(N-1)番目の波長選択フィルタからの反射光であって第2反射面31cで反射された光が、更にプリズムの他の面で反射されて第2反射面31cに直接入射する場合、第2反射面31cのその部位の増反射膜33を省略してもよい。
【0055】
以上、本開示に係る光部品およびプリズムの実施形態および種々の変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述の実施形態または種々の変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。また、本開示に係る光部品およびプリズムは、前述の実施形態、および第1~第5変形例のうちの複数の例が組み合わされたものであってもよい。例えば、本開示に係る光部品およびプリズムの各部の構成、形状、大きさ、材料、数および配置態様は、前述した実施形態または変形例に限られず適宜変更可能である。
【0056】
例えば、前述の実施形態では、光ファイバFの数、コリメートレンズアレイ20のレンズ部22の数、第2方向D2に沿って並ぶ第1レンズ部41bの数、および第2方向D2に沿って並ぶ第2レンズ部41cの数が8である例について説明した。しかしながら、光ファイバFの数、レンズ部22の数、第2方向D2に沿って並ぶ第1レンズ部41bの数、および第2方向D2に沿って並ぶ第2レンズ部41cの数は、8以外であってもよく、適宜変更可能である。
【0057】
前述の実施形態では、光ファイバアレイ10、コリメートレンズアレイ20、プリズム30および集光レンズアレイ40を有する光部品1について説明した。しかしながら、光部品は、光ファイバFを保持する光ファイバアレイ10に代えて、平面導波路が形成された光学部品を有していてもよい。さらに、本開示に係る光部品は、光ファイバアレイ10、コリメートレンズアレイ20および集光レンズアレイ40の少なくともいずれかを有しない光部品であってもよい。このように、光部品において、プリズムの周囲に配置される部品の構成は、前述の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B,1C,1D,1E…光部品
10…光ファイバアレイ
11…台
11b…上面
11c…側面
11d…端面
11f…第1上面
11g…第2上面
11h…下面
12…蓋
12b…上面
12c…側面
12d…端面
12f…下面
20…コリメートレンズアレイ
21…光入射部
21b…第1面
21c…第2面
22…レンズ部
30,30A,30B,30C,30D,30E…プリズム
31b…第1反射面
31c…第2反射面
31d…フィルタ固定面
31f…第1側面
31g…第2側面
31h,31j…第1反射面
31k…第3反射面
31p…第2反射面
31q…反射部
31r…透過部
32…波長選択フィルタ
32b…第1波長選択フィルタ
32c…第2波長選択フィルタ
32d…第3波長選択フィルタ
33…増反射膜
40,40C…集光レンズアレイ
41…レンズ部
41b…第1レンズ部
41c…第2レンズ部
41d…第3レンズ部
42…光透過部
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
F…光ファイバ
L…光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7