(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118731
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20240826BHJP
F21S 43/239 20180101ALI20240826BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240826BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20240826BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240826BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240826BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20240826BHJP
F21S 43/40 20180101ALI20240826BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240826BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240826BHJP
F21W 107/13 20180101ALN20240826BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/239
F21S43/245
F21S43/20
F21S43/14
F21V8/00 310
F21V8/00 320
F21S43/241
F21S43/40
F21W103:55
F21W103:20
F21W107:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025173
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】相澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】原 章紘
(72)【発明者】
【氏名】稲益 和也
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA20
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA08
3K244EA23
3K244EB01
(57)【要約】
【課題】複数の導光棒を並べた導光体を発光部とする車両用灯具においては、斜め方向から観視したときに暗部が見えることがあった。暗部の発生を抑制した車両用灯具を提供する。
【解決手段】
所定方向に延びた少なくとも3本以上の複数の導光棒を備えた導光体と、前記複数の導光棒の各々に対応して、長手方向一端の入射面から前記導光棒に入光し、前記導光棒の長手方向他端に向かって導光される光を発光する光源とを備えた車両用灯具である。複数の導光棒は長手方向と直交する方向の断面形状を、出光面である第1面が外側に向かって凸の円弧上としそれが連なっている。最も外側に位置する導光棒は、隣接する導光棒と連結していない反対側に水平方向に延びる接続面を設ける。これにより最外側に鋭角部が形成されずに、暗部の発生が抑制される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びた少なくとも3本以上の複数の導光棒を備えた導光体と、
前記複数の導光棒の各々に対応して、長手方向一端の入射面から前記導光棒に入光し、前記導光棒の長手方向他端に向かって導光される光を発光する光源と、を備え、
前記導光棒の外周面は、正面側に配置される第1面と、その反対側の背面側に配置される第2面と、前記第1面と前記第2面の間に配置されるとともに前記第2面の側縁から延びる第3面および第4面を含み、
前記第1面は、前記長手方向に直交する平面による断面が正面側に向かって凸の半円形状を基調とする面であり、
前記第2面は、前記棒状導光体内を導光される前記光源からの光を前記第1面から出射させるとともに前記長手方向他端側に向かって導光するために光の反射角を制御する光制御面であり、
前記導光棒の前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第2面の大きさは、前記第1面の大きさよりも小さいものとされ、
前記第3面および前記第4面は、前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第2面の側縁から前記正面側向かって拡開する形状とされ、
前記複数の導光棒は、前記長手方向に直交する方向に並んだ状態で連結部を介して連結して、全体として前記長手方向に延びる板状の導光体を形成しており、
前記連結部は、前記導光棒の前記長手方向に直交する平面による断面が、前記第3面および/または前記第4面と前記第1面との間で隣接する他の導光棒と連結する領域であり、
前記導光体は、前記長手方向に直交する平面による断面において最も外側に位置する導光棒は、前記連結部と反対側に位置する外周面において、前記第1面と前記第3面の間または前記第1面と前記第4面との間を接続する接続面が形成されており、
前記接続面は、前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第1面の中心部と前記第2面の中心部とを結んだ仮想中心線と平行方向に延びて、当該接続面から前記導光体内を導光してきた光の一部を外部に出射する出射面として機能する車両用灯具。
【請求項2】
前記車両用灯具は、さらに非透過性材料からなるケース部材を備え、
前記導光体は、前記接続面が前記ケース部材の内面と対向して近接して配置されるとともに、正面視において前記接続面が下側となるように配置され、
前記ケース部材の前記接続面と対向する内面は、前記接続面から出射した前記光源からの光を拡散するように反射する反射面である請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源は、前記複数の導光棒の夫々の入射面に対向する位置するように少なくとも3個以上のLED光源を有し、
前記光源は、異なる発光色を出光可能なLED光源を含んで、基板の一方の表面側に並べて配置されており、
前記基板は、前記ケース部材または前記導光体に固定されている請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、出射面を円弧状とした複数の導光棒を一体化した導光体を用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より発光ダイオード(Light Emission Diode;LED)等の光源と、棒状や板状の導光部材とを組み合わせた車両用灯具が知られている。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、1枚の板状導光部材の縁に第1の棒状導光部材及び第2の棒状導光部材が一体的に繋がって形成された導光体と、2本の棒状の導光部材の端面近傍に配置されたLED光源と、を備える車両用灯具が開示されている。一方の棒状導光部材は、その棒状導光部内を導光された光を板状導光部側に向けるレンズカットを設け、板状導光部に光出射面側に向ける複数の線状のレンズカットを設けて板状導光部から均一な発光が得られるようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の車両用灯具は、第1の棒状導光部材と、第2の棒状導光部材と、第1の棒状導光部材及び第2の棒状導光部材の間に配置され第1の棒状導光部材と一体化された板状導光部材と、を含む導光体を開示する。第1の棒状導光部材および第2の棒状導光部材のそれぞれの端部に配置したLED光源から光を棒状導光部材に入光し、第1の棒状導光部材の内部を導光する光の一部が板状導光部材の内部に導光され、第1の棒状導光部材のみでなく板状導光部材からも出光するようにしている。さらに、第2の棒状導光部材は、第1の棒状導光部材および板状導光部材と別体に形成され、板状導光部材の末端から出射した光が第2の棒状導光部材に入射するように構成されている。また、第1の棒状導光部材及び第2の棒状導光部材は、延在方向に対してイチョウ形の断面を有する棒状の導光部材としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-055992号公報
【特許文献2】特開2022-188489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1の車両用灯具では、2つの棒状導光部材の端面に設けたLED光源を点灯させると、板状導光部から出光する一方の棒状導光部材からの光と、他方の棒状導光部材から出光する光が観視され、一方の棒状導光部材から直接外部に出射される光は殆ど観視されずに一方の棒状導光部材が暗くなる。
【0007】
上記の特許文献2の車両用灯具では、板状導光部材と第2の棒状導光部材とが互いに分離されているため、板状導光部材と第2の棒状導光部材とが一体的に形成されている構成に比較して板状導光部材と第2の棒状導光部材との境界箇所で発生し得る漏れ光を発生させず、第2の棒状導光部材に求められる出射光の配光性能を満足することができる。しかしながら、板状導光部材と第2の棒状導光部材とが一体的に形成されていない構成のため、その間隙は暗くなる。
【0008】
こうした背景から、棒状導光部材を複数用いた導光部材において、暗くなる部分が観察されない車両用灯具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一態様は、[1]所定方向に延びた少なくとも3本以上の複数の導光棒を備えた導光体と、
前記複数の導光棒の各々に対応して、長手方向一端の入射面から前記導光棒に入光し、前記導光棒の長手方向他端に向かって導光される光を発光する光源と、を備え、
前記導光棒の外周面は、正面側に配置される第1面と、その反対側の背面側に配置される第2面と、前記第1面と前記第2面の間に配置されるとともに前記第2面の側縁から延びる第3面および第4面を含み、
前記第1面は、前記長手方向に直交する平面による断面が正面側に向かって凸の半円形状を基調とする面であり、
前記第2面は、前記棒状導光体内を導光される前記光源からの光を前記第1面から出射させるとともに前記長手方向他端側に向かって導光するために光の反射角を制御する光制御面であり、
前記導光棒の前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第2面の大きさは、前記第1面の大きさよりも小さいものとされ、
前記第3面および前記第4面は、前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第2面の側縁から前記正面側向かって拡開する形状とされ、
前記複数の導光棒は、前記長手方向に直交する方向に並んだ状態で連結部を介して連結して、全体として前記長手方向に延びる板状の導光体を形成しており、
前記連結部は、前記導光棒の前記長手方向に直交する平面による断面が、前記第3面および/または前記第4面と前記第1面との間で隣接する他の導光棒と連結する領域であり、
前記導光体は、前記長手方向に直交する平面による断面において最も外側に位置する導光棒は、前記連結部と反対側に位置する外周面において、前記第1面と前記第3面の間または前記第1面と前記第4面との間を接続する接続面が形成されており、
前記接続面は、前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第1面の中心部と前記第2面の中心部とを結んだ仮想中心線と平行方向に延びて、当該接続面から前記導光体内を導光してきた光の一部を外部に出射する出射面として機能する車両用灯具、である。
【0010】
上記発明によれば、前記導光体は、前記長手方向に直交する平面による断面において最も外側に位置する導光棒は、前記連結部と反対側に位置する外周面において、前記第1面と前記第3面の間または前記第1面と前記第4面との間を接続する接続面が形成されている。接続面は、前記第1面の中心部と前記第2面の中心部とを結んだ仮想線と平行方向に延びている。接続面は長手方向に直交する平面による断面において、接続面から導光体内を導光してきた光を外部に出射する。それゆえ、最も外側に位置する導光棒を、その外側と反対の外側に位置する導光棒の側から斜め方向から観視したときに、暗部が生じにくくなる。すなわち、車両用灯具の発光面の均一性をより一層高めることができる。
【0011】
また、導光棒の第1面は、前記長手方向に直交する平面による断面が正面側に向かって凸の半円形状を基調とする面であり、前記第2面は、前記棒状導光体内を導光される前記光源からの光を前記第1面から出射させるとともに前記長手方向他端側に向かって導光するために光の反射角を制御する光制御面であり、前記導光棒の前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第2面の大きさは、前記第1面の大きさよりも小さいものとされ、前記第3面および前記第4面は、前記長手方向に直交する平面による断面において、前記第2面の側縁から前記正面側向かって拡開する形状とされている。複数の導光棒は、前記長手方向に直交する方向に並んだ状態で連結部を介して連結して、全体として前記長手方向に延びる板状の導光体を形成している。それぞれの導光棒に入光した光は第2面、第3面および第4面は反射面として機能し、第1面が出射面として機能する。したがって、導光体内に入光した光を効率よく第1面から出光させることができる。
【0012】
本発明に係る他の態様は、[2]前記車両用灯具は、さらに非透過性材料からなるケース部材を備え、
前記導光体は、前記接続面が前記ケース部材の内面と対向して近接して配置されるとともに、正面視において前記接続面が下側となるように配置され、
前記ケース部材の前記接続面と対向する内面は、前記接続面から出射した前記光源からの光を拡散する拡散反射面である[1]に記載の車両用灯具である。
また、[3]前記光源は、前記複数の導光棒の夫々の入射面に対向する位置するように少なくとも3個以上のLED光源を有し、
前記光源は、異なる発光色を出光可能なLED光源を含んで、基板の一方の表面側に並べて配置されており、
前記基板は、前記ケース部材または前記導光体に固定されている[1]または[2]に記載の車両用灯具である。
【0013】
上記発明の他の態様のそれぞれによれば、ケース部材の内面からの反射光によって導光体の下部に生じやすい暗部の発生を抑止することができる。導光体の出射面から異なる色光を出射させることができるので、発光色に適した異なる機能を兼用する車両用灯具を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
上記構成によれば、特に斜め方向から発光面を観察したとき暗部の発生を抑制して発光面の均一性を高めた車両用灯具を提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す上面図であり、車両の左前方隅部に配設する前照灯である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るDRLアッセイの一部を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るDRLアッセイを鉛直面に沿った断面にて示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るDRL光学系の入光部近傍を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係るDRL光学系の入光部を前後方向に延びる鉛直面にて切断した概略断面図である。
【
図7】
図7は、導光棒の基本形状を説明するための模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図9との違いを説明する比較例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係るDRLアッセイの要部を説明する断面図であり、
図4のA部の拡大図に相当する。
【
図10】
図10は、導光体の長手方向に沿った断面図であり(A)が
図3のA-A線、(B)が
図3のB-B線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両用灯具について好適な実施の形態を挙げて、図面を参照して説明する。以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両(自動車)に設置した状態において運転者から見た方向を指すものとする。従って「前」は前照灯からの光の主たる照射方向である車両の前方(自動車の進行方向)に相当し、「後」は車両の後方側(運転者の背面方向)に相当し、「左」は車両の走行方向を基準としたときの左側に相当する。「下」は路面側(運転者の足元側)に相当する。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具1を示す上面図であり、車両の左前方隅部に配設する前照灯である。
図2は、
図1の車両用灯具の側面図であり、車両左側側面から観視した車両用灯具を模式的に示している。車両用灯具1は、照明にて行う機能の異なる複数の照明アッセイを備えている。例えば車両前方を照射する前照灯アッセイ4、DRLアッセイ5および図示しない方向指示を行うターンランプアッセイなどが内蔵されている。DRLアッセイ5は昼間点灯ランプとも称されるDaytime Running Lampである。このような複数の照射機能アッセイを備えた車両前方に設けるランプはフロントコンビネーションランプやヘッドランプとも称される。なお、本実施形態においてアッセイとは、複数の発光もしくは反射機能を奏する車両用灯具において、少なくとも一つの機能を発揮する光学系を含む複数部材からなる塊まりからなる組立体(アッセンブリ)を意味し、一体化して独立してハンドリングができるように組立てられた照明装置を意味する完成品状態のアッセイである場合と、他のアッセイや車両用灯具のハウジングもしくはアウターレンズに取り付けることによりひと塊まりとなるが独立してのハンドリングができないサブアッセイ品である場合がある。
【0018】
車両用灯具1の概略構成について説明する。車両用灯具1は、前方側が開口するハウジング3と、車両前方側に設けられハウジング3の開口部を覆うアウターカバー(アウターレンズ)2とで灯室7を形成する。車両用灯具1は、ハウジング3の後方側に設けた灯具固定部3aを図示しない車両にネジなどを用いて固定される。
【0019】
灯室7内には、車両前方を照射する前照灯アッセイ4がハウジング3の内側に取付けられている。前照灯アッセイ4は、車両中央側に設けたすれ違い配光用ランプ4aと、走行配光用ランプ4bからなる。本実施形態においては、2個のランプを図示しない前照灯用のステーに固定して一体化したランプアッセイを採用している。一個のランプアッセイで走行配光とすれ違い配光を切替できるランプアッセイや、3個以上のランプアッセイによる各配光パターンの組合せにより法定規格を満足する走行配光とすれ違い配光を切替えて照射できるランプアッセイを用いることもできる。
【0020】
また、車両用灯具1は車両側面に回り込んだ形状とされている。車両側面側、具体的には
図1における左側領域が車両前方側から後方側に向かって斜めに回り込んだ形状とされている。この車両の側方側にまで延在された領域が回り込み部8となる。回り込み部8には、車両の側方に向かって光を照射するサイドマーカランプアッセイ5を備える。サイドマーカランプアッセイ5には、所要の光反射ステップからなるプリズム反射面が形成されたリフレックスリフレクタも一体となって構成されており、この一体となって構成されたアッセイが、灯室7の回り込み部8に収容されている。
【0021】
また、車両前方を照射する前照灯アッセイ4の上方には、前方側から視認される位置にDRLアッセイ5がハウジング3の内側に取付けられている。DRLアッセイ5は、昼間に自動車の前方からの視認性を向上させることを目的としたランプをいい、車両前方に向かって白色光を照射する。DRLアッセイ5は、車幅灯、方向指示灯と兼用する構成としても良い。
【0022】
次にDRLアッセイ5の構成について説明する。
【0023】
図3は、DRLアッセイの一部を分解して示す斜視図である。
図4は、DRLアッセイを鉛直面に沿った断面にて示す断面図である。DRLアッセイ5は、DRLとしての法規・規格などに適合した配光の光を出光するDRL光学系17と、DRL光学系17の前方に配置したインナーレンズ16と、DRL光学系17を保持するブラケット15とからなる。DRLアッセイ5は、本実施形態では前照灯アッセイ4の上方に位置するようにして灯室7の内部に設置される。具体的には、ハウジング3の内部にブラケット15の背面に設けた図示しない取付部を固定する。DRLアッセイ5の周囲には、エクステンション18が取り付けられる。エクステンション18は、例えば前照灯アッセイ4との間の隙間を覆う意匠部品である。
【0024】
DRL光学系17は、前方に向かって光を出光する発光面11aを設けた導光体10と、導光体10の端部に設けた入光部12から導光体内に入射する光を出射する光源13とを備えている。導光体10は、
図3に示すように上下方向に比べて左右方向に長く延びた、全体として横長の板形状とみなすことができる形状である。ブラケット15は、DRLアッセイ5を構成するケース部材であり、ハウジング3と同じ樹脂材料により射出成型技術によって形成されている。また、
図4に示すように前方に向かって開口し、導光体10を収納可能な横長の箱形状をなしている。
【0025】
また、インナーレンズ16は、DRLアッセイ5の前方に設けられたカバーレンズであり、ブラケット15の前方開口部の前面を覆う形状として形成されている。インナーレンズ16は、
図3に示すように横長に形成したボックス形状としている。導光体10の発光面11aに対向する位置に出射窓16aを2箇所設け、出射窓16aの周囲は遮光性の被膜が設けてある。なお、
図4は出射窓16aの左右方向の中心を通る鉛直面に沿った断面を示している。出射窓16aは屈折素子を設けない素通しとしている。出射窓16aには屈折素子を設けてDRL光学系17から出光する光を所定の配光となるように調整するレンズ効果を持たせても良い。
【0026】
図5は、DRL光学系17の入光部12近傍を示す斜視図である。
図6は、DRL光学系17の入光部12を前後方向に延びる鉛直面にて切断した概略断面図である。導光体10は、入光部12が4本の導光棒20に別れており、発光面11aを有する発光部11では4本の導光棒20が結合して一体化している。入光部12の先端部となる入光面12aはLED光源13に対向している。入光面12aは、4本の導光棒20のそれぞれの一方側の先端部分に相当する。入光面12aから入射した光は屈曲部12bを通った後に発光部11に向かって導光される。なお、本実施形態では導光棒20を4本連結した導光体10としているが、連結する導光棒20の数は4本に限るものではなく3本以上を連結する。3本以上としたのは導光体10の発光面10aを面状発光とするために必要だからである。
【0027】
発光部11は、断面形状をイチョウ型とした導光棒20を連結した形状である。そこで、導光棒20についてその基本的形状を説明する。
【0028】
図7は、導光棒20の基本形状を説明するための模式的に示す斜視図である。1本の導光棒20の外周には、長手方向に直交する断面形状がイチョウ型となる外周面20aを備えている。外周面20aには、発光面11aとなる正面側に配置される第1面21と、その反対側の背面側に配置される第2面22とを有する。長手方向に直交する断面において第2面22は第1面21に比べて小さい大きさとなる。第1面21と第2面22の間には、第2面22の側縁から第1面21の側縁に向かって延びる湾曲面からなる第3面23および第4面24が形成されている。換言すれば、背面となる第2面22の両側に第3面23および第4面24が延びており、第3面23の基端部の反対側の端部と、第4面24の基端部と反対側の端部とを結ぶ第1面21が第2面と対向する位置に配置されている。
【0029】
第1面21は、第2面22と反対側に向かって凸形状の湾曲面である。凸形状の湾曲面は、長手方向に直交する平面による断面が正面側に向かって凸の半円形状を基調とする面である。半円形状を基調とする面とは、断面形状が円弧となる円柱面、断面形状が楕円となる楕円柱面などの断面形状が円弧もしくは円弧に近似される形状を有する面形状を含もものをいい半円形状に限定されないことを意味する。第1面21は、導光棒20から光を出射する出光面となる。第2面22は、棒状導光体内を導光する光源からの光を第1面21から出射させるとともに長手方向他端側に向かって導光するための反射面である。光の反射角を積極的に制御する光制御面となる反射カットを長手方向に沿って形成している。反射カットを形成していない領域は平坦面としている。平坦面と反射カット25との割合および反射カット25の大きさは、光源からの距離に応じて調整する。第3面23および第4面24は、長手方向に直交する平面による断面において、第2面の側縁から正面側、すなわち、第1面の側縁に向かって拡開する形状とされ、内面反射面として機能する。光源は、1本の導光棒20の長手方向両側の端面のうち、一方の側の端面に対向して配置され、他端面に向かって導光棒20の内部を導光する。導光する途中で第2反射面26、第3反射面27および第4反射面28の少なくとも一つの反射面で反射され第1面21から出射する。なお、説明の便宜上、第2面22から第1面21を見たときに第2面22の左側に位置する側の面を第3面23、右側に位置する側の面を第4面と称している。
【0030】
発光部11は、
図7に示した断面形状をイチョウ型とした導光棒20を、導光棒20の長手方向と直交する方向に連結した形状である。具体的には、長手方向と直交する断面形状が、
図4および
図5に示したように円弧状の第1面が4面連続した発光面11aを形成するように、4本の導光棒20の第1面21を正面側にした状態で連結する。
図4および
図5に示した導光体10において、下側に位置する導光棒20から順に第1導光棒201、第2導光棒202、第3導光棒203、第4導光棒204と称する。第1導光棒201の第1面21と第2導光棒202の第1面21が連続し、且つ、第1導光棒201の第4面24と第2導光棒202の第3面23が連続するように連結部26を介して連結する。同様に、第2導光棒202の第1面21と第3導光棒203の第1面21が連続し、且つ、第2導光棒202の第4面24と第3導光棒203の第3面23が連続するように連結部26を介して連結する。同様に、第3導光棒203の第1面21と第4導光棒204の第1面21が連続し、且つ、第3導光棒203の第4面24と第4導光棒204の第3面23が連続するように連結部26を介して連結する。これにより3箇所の連結部26によって4本の導光棒20が一体化した導光体10を得ることができる。
【0031】
4本の導光棒20を連結したのみでは、導光体10の最下部および最上部には、
図8に示すように第1導光棒201の第1面21と第3面23とが繋がる尖端が尖った鋭角部205が形成される。図示はしないが同様に最上部にも鋭角部205が形成される。
図8は、比較例を示すための要部の断面図であり、後述する本実施形態の導光体10の接続部206を設けた状態を示す
図9との違いを説明する図面である。なお、
図9と同様の構成をする箇所には本願実施形態の導光体10と同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0032】
図8において符号L11およびL12は、導光棒20の内部を導光体してきた後に第1導光棒201の第1面21から前方に向かって出光する光線を示している。第1導光棒201が最下部の導光棒であるため、下側方向において隣接する導光棒が存在しない。それゆえ導光棒20内を導光体してきた光は、鋭角部205が存在する場合には、
図8に示したように下方方向もしくは前方方向にしか光が飛ばず、上方向へ光線を出射することができなかった。そのため、
図8に示したように斜め上方向から観視したときには、導光体10の最下端の位置が暗く見えるという問題点が生じる。なお、図示はしないが最上端にも鋭角部205が形成されているので、斜め下方向から観視したときに導光体10の最上端の位置が暗く見えるという同様の問題点も有している。
【0033】
図9は、本願の実施形態について
図8の比較例との違いを説明する断面図であり、
図4のA部の拡大図に相当する。本実施形態の導光体10においては、複数(本実施形態では4本)の導光棒20を連結した導光体10の最下部の導光棒20には、
図9に示すように接続面29を設けている。接続面29は、
図8に示した比較例における鋭角部205が生じないように、最下部の導光棒20である第1導光棒201の第1面21と第3面23との間に挿入した水平面にほぼ沿った形状の平面である。接続面29は、
図9に示すように導光体10の最も下側に位置する導光棒20の第1面21と、最も外周側に位置する拡開反射面である第3面23とを繋ぎ、且つ、ブラケット15の下部の内面に沿って延び鋭角部が形成されない形状としている。
【0034】
図9において符号L21およびL22は、導光棒20の内部を導光体してきた後に第1導光棒201の第1面21から前方に向かって出光する光線を示しており、
図8の光線L11およびL12に対応している。光線L21およびL22は、最下部の導光棒であるため、下側方向において隣接する導光棒が存在しない。それゆえ導光棒20内を導光してきた光は、
図9に示したように接続面29に到達した後に一部は内面反射し一部は接続面29から外部に出光する。接続面29はほぼ水平面に沿った平面形状であるから斜め方向からの入射角の光は臨界角を超えずに内面反射する光が多くなる。すなわち、接続面29にて内面反射して上向き光となる。また、接続面29から外部に出光した光は、接続面29に沿ってブラケット15の内面が配置するので、ブラケット内面にて反射する。その反射光はブラケット15の内面と接続面29の間の隙間30から前方に向かって進む光成分となる。従って、本実施形態においては、
図9に示したように斜め上方向から視認した場合であっても、隙間30および隙間30と接する第1面21から出光する上向き光を含む種々の方向に向かう光成分が増加するので、接続面29を形成しない
図8の比較例と異なり暗部が生じることがない。
【0035】
ブラケット15の下部の内面(内周面)は、拡散反射面としている。DRLアッセイ5の点灯時においては、接続面20から隙間30に出光してきた光を拡散反射させることにより斜め上方向に向かう光成分を増加させるとともに、接続面29と近接するブラケット16の下部内面が隙間30を通して明るく照射するように見せることができる。
【0036】
また、DRLアッセイ5の非点灯時においては、前方からの光、例えば斜め上方向から入射する太陽光は、鋭角部205が存在する場合には導光体10内に太陽光を取り込んで第2面22側に向かう光、すなわち、前方から後方に向かう光となる。一方、本実施形態のように鋭角部25が存在せずに接続面29を設ける場合には、接続面29を通過して隙間30に出射しブラケット15の下部の内面に到達する。ブラケット15の下部内面が拡散反射面である場合には、拡散反射により上側にも光が向かうことで導光体10とブラケット15との間の隙間30の暗部が改善される。拡散反射面として形成するには、例えば、ブラケット15の表面を粗面化する。または、異種材料からなるビーズやフィラーを混入させた樹脂材料にて凹凸表面となるようにして射出成型するなどの方法を適用できる。
【0037】
接続面29は、ほぼ水平面に沿った平面形状として説明した。
図4に示したような配置のDRLアッセイ5の場合には、水平面に沿っているが、水平線に沿った形状に限るものではない。出射方向を異なる方向とした場合などにおいては、接続面29も水平線に沿って形成しない方が良い場合がある。接続面29は、最も外側の導光棒20の連結部26とは反対側に位置する外周面に形成される。
図9に示したように、接続面29は導光棒20の長手方向に直交する平面による断面において第1面21の中心部と第2面22の中心部とを結んだ仮想中心線CLと平行方向に延びるようにするのが好ましい。仮想中心線CLと平行方向に延びるようにすることで、接続面29から導光体10の内部を導光してきた光の一部を外部に出射する出射面として機能するとともに他の一部の光を反射する反射面としても機能させるように形成することができる。
【0038】
また、
図9では最も下側に位置する導光棒20である第1導光棒201に接続面を設けたが、上部における暗部が問題となる場合には、最も上側に位置する導光棒20の最外側端に接続面を設ければ良い。具体的には、上記実施形態の第4導光棒204の第1面21と第4面24とが直接つながる鋭角部を形成しないように、その間を繋ぐ接続面を設ければよい。
【0039】
発光部11の導光棒20の長手方向と直交する方向における断面形状は、
図7に示したようなイチョウ型形状をなす。その長手方向に沿った断面形状について説明する。
【0040】
図10は、導光体10の長手方向に沿った断面図であり(A)が
図3のA-A線、(B)が
図3のB-B線の断面図である。なお、図面において第2面22の反射カット25をわかりやすくするために拡大して示し、導光体10の厚みである第1面21と第2面22との間の距離については実際の距離よりも縮小して示している。
図10(A)は
図10(B)よりも、LED光源13に近い側の断面形状を示している。第2面22に設けた反射カット25が、第2面22から第1面21に向かって凹んだ窪みである。反射カット25は、長手方向に隣接する反射カット間の距離は、光源に近い領域においては光源から遠い他端側の領域に比べて相対的に長くなるように形成されている。また、反射カット25の深さ、すなわち窪みの深さは、光源に近い領域においては光源から遠い他端側の領域に比べて相対的に浅くなるように形成されている。例えば、
図10(B)に示した反射カット25の深さは最深部で0.4mm、ピッチが1.0mmである。また、
図10に示した反射カット25は、発光部11となるエリアの第2面に形成されており、入光部においては形成されていない。このような反射カット25を設けることで、それぞれの導光棒20の内部を導光する光は第2面22、第3面23および第4面24にて反射して第1面21から出光する成分を多くしている。
【0041】
入光部12から発光部11にかけては、複数の導光棒20に分かれている。また、それぞれの導光棒20は発光部11においては断面形状を
図7に示したようなイチョウ型形状をなすように形成されているが、入射面12aはイチョウ型形状ではなく断面円形をなすように少なくとも入射面12a近傍の領域は円柱形状の入光部12としている。断面円形とすることで、LED光源13から出社する光をイチョウ型形状とした入射面に比べて多くの光を導光棒20内に取り込むことができるからである。入光部12は入射面12a近傍部分においては断面円形状として、発光部11に向かうにつれてイチョウ型形状となるように徐々に断面形状が変化するように形成されている。
【0042】
また、LED光源13は、導光体10の入光部12が複数の導光棒20に分かれている形状に対応して、それぞれの導光棒20の一端部に形成された入射面12aに対して、入射面14aの中心位置と各LED光源13の光軸が一致するように設置されている。本実施形態においては、4本の導光棒を等間隔に配列し、LED光源13も同一ピッチで等間隔に基板14の同一面側に実装している。基板14および導光体10はブラケット15に位置決めされて固定される。
【0043】
LED光源13は、発光色を白色とした表面実装型のLED光源13を用い、DRLアッセイ5の光源として求められる色度を照射する。DRLアッセイ5としてターンランプとしての機能も兼用させることもできる。その場合にはDRLアッセイとして機能するときには白色にて発光させ、ターンランプとして機能させるときには白色点灯から異なる色、例えばアンバー色の発光に切り替える。発光色の切換え点灯を可能とするためにLED光源13を2色発光タイプのものを用いれば良い。
【0044】
以上に、本発明の実施形態及びその変形例を説明したが、上記実施形態および変形例はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその趣旨から逸脱することなく他の様々な形で構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。例えば、入光部を複数の導光棒に分かれた形状としたが、一部を一体化した形状もしくは全体を一体化した形状とすることもできる。また、車両用灯具として車両前方に設けるDRLランプアッセイを例に説明したが導光体を用いる他のランプ、例えば、車両後方に設けるテールランプでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
四輪自動車に限らず、二輪自動車、自転車などの移動体の照明装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1…車両用灯具
2…アウターカバー(アウターレンズ)
3…ハウジング
4…前照灯アッセイ
5…DRLアッセイ
6…サイドマーカランプアッセイ
7…灯室
10…導光体
11…発光部
12…入光部
13…光源(LED光源)
14…基板
15…ブラケット(ケース部材)
16…インナーレンズ(カバーレンズ)
17…DRL光学系
18…エクステンション
20…導光棒
21…第1面(出光面)
22…第2面(背面)
23…第3面(拡開反射面)
24…第4面(拡開反射面)
25…反射カット
26…連結部
29…接続面
30…隙間空間
201…第1導光棒
202…第2導光棒
203…第3導光棒
204…第4導光棒
205…鋭角部
CL…仮想中心線