(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118735
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 31/06 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H01R31/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025180
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 謙吉
(57)【要約】
【課題】既存のバスバーを利用して嵌合空間の位置ずれに対応することが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】バスバー20は、第1側縁22から第1方向に突出する複数の第1端子片24と、第2側縁23から第1方向とは反対の第2方向に突出する複数の第2端子片26と、を有している。ハウジング60は、隔壁63から第1方向に突出する第1嵌合部61の内部に、第1嵌合空間64を有し、隔壁63から第2方向に突出する第2嵌合部62の内部に、第2嵌合空間65を有している。第1嵌合空間64の間口64Aと、第2嵌合空間65の間口65Aとは、幅方向に位置ずれしている。各第1端子片24からなる第1端子群24Gと、各第2端子片26からなる第2端子群26Gとは、各々の間口64A,65Aの位置ずれに対応し、連結部21を介して幅方向に位置ずれしている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーと、前記バスバーを収容するハウジングと、を備え、
前記バスバーは、幅方向に延びる第1側縁および第2側縁を有している連結部と、
前記連結部の前記第1側縁に前記幅方向に並設され、前記第1側縁から前記幅方向と交差する第1方向に突出する複数の第1端子片と、
前記連結部の前記第2側縁に前記幅方向に並設され、前記第2側縁から前記幅方向と交差し、且つ前記第1方向とは反対の第2方向に突出する複数の第2端子片と、を有し、
前記ハウジングは、
前記連結部を装着する隔壁と、
前記隔壁から前記第1方向に突出し、内部に、前記複数の第1端子片が突出する第1嵌合空間を有する筒状の第1嵌合部と、
前記隔壁から前記第2方向に突出し、内部に、前記複数の第2端子片が突出する第2嵌合空間を有する筒状の第2嵌合部と、を有し、
前記第1嵌合空間と前記第2嵌合空間とは、それぞれ相手コネクタを嵌合可能な開口形状の間口を有し、
前記第1嵌合空間の前記間口と、前記第2嵌合空間の前記間口とは、前記幅方向に位置ずれしており、
前記複数の第1端子片からなる第1端子群と、前記複数の第2端子片からなる第2端子群とは、前記第1嵌合空間と前記第2嵌合空間の各々の前記間口の位置ずれに対応し、前記連結部を介して前記幅方向に位置ずれしている、コネクタ。
【請求項2】
前記複数の第1端子片および前記複数の第2端子片は、前記連結部を介して互いに対応するように、前記第1端子群および前記第2端子群に整列して設けられ、
前記連結部の前記第1側縁における前記幅方向の一端側には、前記第1端子群のうちの最端に位置する端部第1端子片が設けられ、
前記連結部の前記第2側縁における前記幅方向の一端側には、前記端部第1端子片と反対側の位置に、前記第2端子片のない第2切除部が設けられ、
前記連結部の前記第2側縁における前記幅方向の他端側には、前記第2端子群のうちの最端に位置する端部第2端子片が設けられ、
前記連結部の前記第1側縁における前記幅方向の他端側には、前記端部第2端子片と反対側の位置に、前記第1端子片のない第1切除部が設けられている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記連結部を介して対となる前記第1端子片と前記第2端子片とは、前記第1方向および前記第2方向に沿った同一直線上に配置されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記隔壁は、前記第2嵌合空間に臨む面に、前記連結部を受ける凹部を開口させており、
前記凹部の前記幅方向の一端側は、前記第2切除部を露出させる溝端部を有し、
前記第2嵌合部は、前記間口の前記幅方向の一端側に連通して前記溝端部を前記第2方向に開放させる凹所と、前記凹所を区画して前記開口の前記幅方向の一端側を閉塞する区画部と、を有している、請求項2または請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、ハウジングと、ハウジングに収容される複数の端子と、を備えている。ハウジングは、互いに反対側に開口する2つの嵌合空間(挿入口)を有している。ハウジングは、各嵌合空間の内部に相手コネクタ(第1のコネクタおよび第2のコネクタ)を嵌合させる。各端子は、ハウジングの内部において各嵌合空間を仕切る端子保持壁に保持される。各端子は、ピン状をなし、長さ方向両側の各々の端部を、対応する嵌合空間の内部に突出させている。各嵌合空間は、金型構造の複雑化を回避すること等を目的として、端子保持壁を介して全体として幅方向に位置ずれしている。各端子は、長さ方向の中間部において各嵌合空間の位置ずれに対応するように、クランク状に屈曲している。
【0003】
特許文献1および特許文献2は、幅方向に延びる連結部分と、連結部分に対して幅方向に並列に突出する複数の分岐端子部と、を有するバスバー(ブスバー)を備えたジョイントコネクタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-167794号公報(第16図)
【特許文献2】特開平11-185885号公報
【特許文献3】特開平7-263096公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各嵌合空間が位置ずれする特許文献1に開示の技術を、特許文献2および特許文献3に開示のジョイントコネクタに適用することも可能である。しかし、バスバーの各分岐端子部を、特許文献1の各端子のように、クランク状に屈曲させるとすると、汎用性のある既存のバスバーを利用することができず、クランク部分に対応した金型を新規に作製しなければならない。このため、製造コストが高くつくといった問題がある。
【0006】
そこで、本開示は、既存のバスバーを利用して嵌合空間の位置ずれに対応することが可能なコネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、バスバーと、前記バスバーを収容するハウジングと、を備える。前記バスバーは、幅方向に延びる第1側縁および第2側縁を有している連結部と、前記連結部の前記第1側縁に前記幅方向に並設され、前記第1側縁から前記幅方向と交差する第1方向に突出する複数の第1端子片と、前記連結部の前記第2側縁に前記幅方向に並設され、前記第2側縁から前記幅方向と交差し、且つ前記第1方向とは反対の第2方向に突出する複数の第2端子片と、を有している。前記ハウジングは、前記連結部を装着する隔壁と、前記隔壁から前記第1方向に突出し、内部に、前記複数の第1端子片が突出する第1嵌合空間を有する筒状の第1嵌合部と、前記隔壁から前記第2方向に突出し、内部に、前記複数の第2端子片が突出する第2嵌合空間を有する筒状の第2嵌合部と、を有している。前記第1嵌合空間と前記第2嵌合空間とは、それぞれ相手コネクタを嵌合可能な開口形状の間口を有している。前記第1嵌合空間の前記間口と、前記第2嵌合空間の前記間口とは、前記幅方向に位置ずれしている。前記複数の第1端子片からなる第1端子群と、前記複数の第2端子片からなる第2端子群とは、前記第1嵌合空間と前記第2嵌合空間の各々の前記間口の位置ずれに対応し、前記連結部を介して前記幅方向に位置ずれしている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、既存のバスバーを利用して嵌合空間の位置ずれに対応することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係るコネクタにおいて、第1嵌合部および第2嵌合部にそれぞれ相手コネクタが嵌合された状態を示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1嵌合部および第2嵌合部にそれぞれ相手コネクタが嵌合された状態を示す平断面図である。
【
図3】
図3は、第1嵌合部および第2嵌合部にそれぞれ相手コネクタが嵌合された状態を示す側断面図である。
【
図7】
図7は、第1切除部および第2切除部を形成したバスバーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)バスバーと、前記バスバーを収容するハウジングと、を備え、前記バスバーは、幅方向に延びる第1側縁および第2側縁を有している連結部と、前記連結部の前記第1側縁に前記幅方向に並設され、前記第1側縁から前記幅方向と交差する第1方向に突出する複数の第1端子片と、前記連結部の前記第2側縁に前記幅方向に並設され、前記第2側縁から前記幅方向と交差し、且つ前記第1方向とは反対の第2方向に突出する複数の第2端子片と、を有し、前記ハウジングは、前記連結部を装着する隔壁と、前記隔壁から前記第1方向に突出し、内部に、前記複数の第1端子片が突出する第1嵌合空間を有する筒状の第1嵌合部と、前記隔壁から前記第2方向に突出し、内部に、前記複数の第2端子片が突出する第2嵌合空間を有する筒状の第2嵌合部と、を有し、前記第1嵌合空間と前記第2嵌合空間とは、それぞれ相手コネクタを嵌合可能な開口形状の間口を有し、前記第1嵌合空間の前記間口と、前記第2嵌合空間の前記間口とは、前記幅方向に位置ずれしており、前記複数の第1端子片からなる第1端子群と、前記複数の第2端子片からなる第2端子群とは、前記第1嵌合空間と前記第2嵌合空間の各々の前記間口の位置ずれに対応し、前記連結部を介して前記幅方向に位置ずれしている。
【0011】
上記構成は、第1嵌合空間と第2嵌合空間の各々の間口の位置ずれに対し、第1端子群と第2端子群とが連結部を介して位置ずれする構造で対応するため、第1端子片と第2端子片のいずれかが屈曲する構造で対応する場合と異なり、既存のバスバーを利用することができる。
【0012】
(2)上記(1)に記載のコネクタにおいて、前記複数の第1端子片および前記複数の第2端子片は、前記連結部を介して互いに対応するように、前記第1端子群および前記第2端子群に整列して設けられ、前記連結部の前記第1側縁における前記幅方向の一端側には、前記第1端子群のうちの最端に位置する端部第1端子片が設けられ、前記連結部の前記第2側縁における前記幅方向の一端側には、前記端部第1端子片と反対側の位置に、前記第2端子片のない第2切除部が設けられ、前記連結部の前記第2側縁における前記幅方向の他端側には、前記第2端子群のうちの最端に位置する端部第2端子片が設けられ、前記連結部の前記第1側縁における前記幅方向の他端側には、前記端部第2端子片と反対側の位置に、前記第1端子片のない第1切除部が設けられていることが好ましい。
【0013】
連結部の幅方向の一端側においては、第1側縁に端部第1端子片が設けられ、第2側縁に第2端子片のない第2切除部が設けられている。連結部の幅方向の他端側においては、第2側縁に端部第2端子片が設けられ、第1側縁に第1端子片のない第1切除部が設けられている。よって、既存のバスバーにおいて、第2端子群のうちの最端に位置する第2端子片に相当する部分を切除して第2切除部とし、且つ第1端子群のうちの最端に位置する第1端子片に相当する部分を切除して第1切除部とすることにより、上記構成のバスバーを容易に形成することができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に記載のコネクタにおいて、前記連結部を介して対となる前記第1端子片と前記第2端子片とは、前記第1方向および前記第2方向に沿った同一直線上に配置されていることが好ましい。
上記構成は、バスバーを受けるハウジングの構造を簡単にできる。
【0015】
(4)上記(2)に記載のコネクタにおいて、前記隔壁は、前記第2嵌合空間に臨む面に、前記連結部を受ける凹部を開口させており、前記凹部の前記幅方向の一端側は、前記第2切除部を露出させる溝端部を有し、前記第2嵌合部は、前記間口の前記幅方向の一端側に連通して前記溝端部を前記第2方向に開放させる凹所と、前記凹所を区画して前記開口の前記幅方向の一端側を閉塞する区画部と、を有していることが好ましい。
【0016】
上記構成は、ハウジングにバスバーを組み付ける際に、第2切除部を、凹所を通して凹部の溝端部側に容易に至らすことができる。第2切除部の反対側には端部第1端子片を設けることができるため、第1嵌合空間に複数の第1端子片を効率よく配置することができる。区画部は、開口の幅方向の一端側を閉塞するため、第2嵌合空間の開口に相手コネクタを幅方向への動きを規制した状態で嵌合できる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
実施形態1に係るコネクタ10は、ジョイントコネクタを例示している。コネクタ10は、
図1-
図3に示すように、バスバー20と、バスバー20を収容するハウジング60と、を備えている。ハウジング60は、第1方向に開口する第1嵌合部61と、第1方向とは反対の第2方向に開口する第2嵌合部62と、を備えている。第1嵌合部61および第2嵌合部62は、相手コネクタ90に嵌合可能とされている。第1方向および第2方向は、相手コネクタ90に対するハウジング60の嵌合方向と同義であり、前後方向と称することもある。なお、以下の説明において、上下方向は、
図3の上下方向を基準とする。左右方向は、
図6の左右方向を基準とする。左右方向は、幅方向と同義である。
図1、
図2および
図5において、矢印X1は、第1方向を示し、矢印X2は、第2方向を示し、矢印Yは、幅方向を示している。第2嵌合部62を第1方向から見た
図6は、便宜上、コネクタ10の正面図とする。
【0019】
(相手コネクタ90)
第1嵌合部61と第2嵌合部62のそれぞれには、
図1-
図3に示すように、同一構造の相手コネクタ90が嵌合される。相手コネクタ90は、
図2および
図3に示すように、相手ハウジング91と、相手ハウジング91に収容される複数の相手端子95と、を備えている。相手端子95は、導電金属製であって、筒状の接続部96を有する雌型端子として構成される。相手端子95は、電線100の端末部に接続されている。相手ハウジング91は、合成樹脂製であって、複数のキャビティ92を有している。相手端子95は、相手ハウジング91のキャビティ92に挿入される。相手ハウジング91には相手端子95を抜け止めするリテーナ93が装着される。相手ハウジング91は、
図3および
図4に示すように、上面に、弾性変形可能なロックアーム94を有している。ロックアーム94は、後述する第1ロック部75および第2ロック部76に係止され、第1嵌合部61および第2嵌合部62に相手コネクタ90を嵌合状態に保持する。
【0020】
(ハウジング60)
ハウジング60は合成樹脂製であって、
図5に示すように、前後方向の中間部に、幅方向に長い隔壁63を有している。第1嵌合部61は、角筒状をなし、隔壁63から第1方向に突出している。第2嵌合部62は、角筒状をなし、隔壁63から第2方向に突出している。
【0021】
第1嵌合部61は、内部に、第1方向に開放された第1嵌合空間64を有している。第1嵌合空間64は、第1嵌合部61に相手コネクタ90を位置決め状態に嵌合可能な間口64Aによって構成される。
【0022】
第2嵌合部62は、内部に、第1方向に開放された第2嵌合空間65を有している。第2嵌合空間65は、相手コネクタ90を位置決め状態で嵌合可能な間口65Aを有している。第2嵌合部62は、
図6に示すように、幅方向の一端側(第2嵌合部62における
図6に示す左側端部)に位置する側壁66の内面(第2嵌合空間65に臨む面)に、複数の凹所65Bを有している。本実施形態1の場合、凹所65Bは、第2嵌合部62の側壁66の内面に、上下に対をなして凹設されている。第2嵌合空間65の開口幅は、第2嵌合空間65の間口65Aと凹所65Bの各々の開口幅を加算した値になる。第2嵌合部62の側壁66は、内面に、上下の凹所65Bの間と、上側の凹所65Bの上方と、下側の凹所65Bの下方と、を区画する区画部67を有している。区画部67は、間口65Aの幅方向の一端側を閉塞する一端面68を有している。区画部67の一端面68は、上下方向に沿って配置され、
図2に示すように、相手コネクタ90が第2嵌合部62に嵌合されたときに、相手ハウジング91の側面に接触可能に対向する。
【0023】
隔壁63は、
図6に示すように、第2嵌合空間65に面する、第2嵌合部62の奥面に、上下一対の凹部69を開口させている。各凹部69は、幅方向に長い溝状をなし、隔壁63の奥面における各凹所65Bに対応する高さ位置に配置されている。各凹部69は、幅方向の一端側に、各凹所65Bに対して前後方向に連通する溝端部71を有している。各凹部69は、上下両側の各々の端面に、第2嵌合空間65に向けて拡開する誘い込み部72(
図3を参照)を有している。バスバー20の後述する連結部21は、誘い込み部72に誘い込まれて凹部69に挿入される。
【0024】
隔壁63は、
図5に示すように、隔壁63が第1嵌合空間64に臨む、第1嵌合部61の奥面から凹部69にかけて延びる複数の貫通孔73を有している。各貫通孔73は、幅方向に一定ピッチで並んで設けられている。バスバー20の後述する第1端子片24は、対応する貫通孔73を貫通し、第1方向の先端部を第1嵌合空間64に突出させている。
【0025】
隔壁63は、
図1および
図5に示すように、左右両側の各々の端面に、第1方向および第2方向に対して幅方向に傾斜した一対の斜面部74を有している。各斜面部74は、互いに平行に配置されている。第1嵌合部61と第2嵌合部62とは、各斜面部74を介して、全体として幅方向に位置ずれしている。具体的には、第1嵌合空間64の間口64Aが第2嵌合空間65の間口65Aに対して幅方向の一端側(
図1および
図5の下側)に位置ずれし、第1嵌合空間64と第2嵌合空間65の各々の間口64A,65Aが相対的にオフセットされている。
【0026】
第1嵌合部61は、上壁の内面(第1嵌合空間64に臨む面)における第1方向の先端側に、第1ロック部75を突設させている(第2嵌合部62側から見た場合であるが、
図6を参照)。第1ロック部75は、爪状をなし、第1嵌合空間64の間口64Aにおける幅方向の中央部に配置されている。第2嵌合部62は、
図6に示すように、上壁の内面(第2嵌合空間65に臨む面)における第2方向の先端側に、第2ロック部76を突設させている。第2ロック部76は、爪状をなし、第2嵌合空間65の間口65Aにおける幅方向の中央部に配置されている。第1ロック部75および第2ロック部76は、左右方向に関して、ハウジング60全体の幅方向の中央部を境とした両側に並んで配置されている。隔壁63には、第1ロック部75を成形する図示しない金型の引き抜きに起因する第1型抜孔77と、第2ロック部76を成形する図示しない金型の引き抜きに起因する第2型抜孔78と、が互いに連通した状態で貫通して設けられている。このように、本実施形態1の構成は、第1型抜孔77と第2型抜孔78とが隔壁63に設けられているため、ハウジング60の外面に型抜孔が開口することがない。これにより、本実施形態1の構成は、ハウジング60の上面等に型抜孔が設けられる場合と違って、ハウジング60の内部に水が浸入することを防止できるようになっている。
【0027】
(バスバー20)
バスバー20は、導電金属製であって、平坦な板材を打ち抜く工程を経て形成される。本実施形態1の場合、バスバー20は、
図6に示すように、上下の各凹部69と対応し、ハウジング60に2つ組み付けられる。バスバー20は、
図7に示すように、幅方向(
図7の上下方向)に延びる帯状の連結部21を有している。連結部21は、互いに反対側を向いて幅方向に延びる第1側縁22および第2側縁23を有している。
【0028】
バスバー20は、
図7に示すように、連結部21の第1側縁22に幅方向に間隔を置いて並んで連結される複数の第1端子片24を有している。各第1端子片24は、連結部21から第1方向(
図7の左方)に突出するタブ状をなし、連結部21に対して一定ピッチで等間隔に配置されている。各第1端子片24は、互いに同一形状であり、同じ大きさで構成されている。各第1端子片24は、全体として第1端子群24Gを構成している。各第1端子片24は、連結部21寄りの基端部分に、幅方向両側に突出する係止突起25を有している。各第1端子片24の係止突起25は、
図5に示すように、隔壁63の各貫通孔73の内面に食い込み状態で係止される。バスバー20は、各第1端子片24の係止突起25によって、隔壁63に対して抜け止め状態に保持される。
【0029】
バスバー20は、連結部21の第2側縁23に幅方向に間隔を置いて並んで連結される複数の第2端子片26を有している。各第2端子片26は、連結部21から第2方向(
図7の右方)に突出するタブ状をなし、連結部21に対して一定ピッチで等間隔に配置されている。各第2端子片26は、互いに同一形状であり、同じ大きさで構成されている。各第2端子片26は、全体として第2端子群26Gを構成している。各第2端子片26の長さ(隔壁63から第2端子片26の第2方向の先端までの距離)は、各第1端子片24の長さ(隔壁63から第1端子片24の第1方向の先端までの距離)よりも短い。
【0030】
バスバー20は、連結部21の第1側縁22における幅方向の一端側(
図7の下端側)に、第1端子群24Gのうち、幅方向の一端側の最も端部に位置する端部第1端子片24Aを連結させている。バスバー20は、連結部21の第2側縁23における幅方向の一端側で、且つ前後方向に関して端部第1端子片24Aと反対側の位置(背中合わせの位置)に、第2端子片26のない第2切除部27を設けている。第2切除部27は、連結部21の第2側縁23の一部であって、もともとこの部分に存在していた第2端子片部分26Cを切除することによって形成されている。
【0031】
バスバー20は、連結部21の第2側縁23における幅方向の他端側(
図7の上端側)に、第2端子群26Gのうち、幅方向の他端側の最も端部に位置する端部第2端子片26Aを連結させている。バスバー20は、連結部21の第1側縁22における幅方向の他端側で、且つ前後方向に関して端部第2端子片26Aと反対側の位置(背中合わせの位置)に、第1端子片24のない第1切除部28を設けている。第1切除部28は、連結部21の第1側縁22の一部であって、もともとこの部分に存在していた第1端子片部分24Cを切除することによって形成されている。
【0032】
第1端子群24Gを構成する各第1端子片24の本数は、第2端子群26Gを構成する各第2端子片26の本数に等しい。隣り合う各第1端子片24間のピッチ幅は、隣り合う各第2端子片26間のピッチ幅に等しい。バスバー20を前後方向から見た場合に、連結部21を介して対をなす第1端子片24と第2端子片26とは、前後方向(第1方向および第2方向)に沿った同一直線上に並んで配置されている。本実施形態1の場合、バスバー20は、既存のバスバーから端部第1端子片24Aの反対側に位置する端子部分を切除して第2切除部27を形成し、端部第2端子片26Aの反対側に位置する端子部分を切除して第1切除部28を形成することで、製造される。
【0033】
(コネクタ10の製造方法および作用)
バスバー20の連結部21は、ハウジング60に対して第2嵌合空間65を通して隔壁63の凹部69に挿入される。バスバー20の各第1端子片24は、各貫通孔73を貫通する。バスバー20は、各第1端子片24の係止突起25の係止作用によって、隔壁63に圧入状態で抜け止め保持される。バスバー20の組み付け時には、連結部21の第2側縁23が図示しない治具で押圧される。
図6に示すように、連結部21の第2側縁23における幅方向の一端側には第2端子片26のない第2切除部27が設けられているので、第2切除部27を治具で押圧される押圧面として利用できる。第2切除部27は、第2嵌合空間65の凹所65Bから凹部69の溝端部71側に至り、凹所65Bを通して第2嵌合空間65に露出する。
図5に示すように、第2切除部27の反対側に位置する端部第1端子片24Aは、連結部21の第1側縁22における幅方向の一端側から貫通孔73を通して第2嵌合空間65の幅方向の一端側に突出する。第1切除部28の反対側に位置する端部第2端子片26Aは、第1嵌合部61の幅方向の他端側に位置する側壁81と幅方向に関して重なる位置に配置される。
【0034】
バスバー20がハウジング60に組み付けられた状態において、第1嵌合空間64には第1端子群24Gを構成する各第1端子片24が幅方向に等間隔を置いて配置され、第2嵌合空間65には第2端子群26Gを構成する各第2端子片26が幅方向に等間隔を置いて配置されている。第1嵌合空間64の間口64Aにおける第1端子群24Gの各第1端子片24の配列は、第2嵌合空間65の間口65Aにおける第2端子群26Gの各第2端子片26の配列と同じである。
【0035】
第1端子群24Gと第2端子群26Gとは、第1嵌合空間64と第2嵌合空間65の各々の間口64A,65Aの位置ずれに対応するように、幅方向に位置ずれしている。つまり、各第1端子片24と各第2端子片26とは、全体として幅方向に位置ずれし、相対的にオフセットされている。具体的には、第1嵌合空間64の間口64Aが第2嵌合空間65の間口65Aに対して幅方向の一端側(
図5の下端側)に位置ずれしていることに対応し、第1端子群24Gも第2端子群26Gに対して幅方向の一端側に位置ずれしている。第1嵌合空間64と第2嵌合空間65の各々の間口64A,65Aの位置ずれ量は、隣り合う各第1端子片24間のピッチ幅と隣り合う各第2端子片26間のピッチ幅とにそれぞれ対応している。
【0036】
相手コネクタ90は、
図2に示すように、第1嵌合部61の第1嵌合空間64の間口64Aに第2方向から嵌合される。第1嵌合空間64の間口64Aの開口幅は、第1嵌合部61の左右の側壁81,82間の離間幅によって規定される。このため、相手ハウジング91は、第1嵌合部61に対して左右の側壁81,82によって幅方向の動きを規制された状態に嵌合される。相手コネクタ90が第1嵌合部61に嵌合された状態で、各相手端子95の接続部96には、対応する第1端子片24が挿入されて電気的に接続される。
【0037】
また、上記とは別であるが、同一構造の相手コネクタ90は、
図2に示すように、第2嵌合部62の第2嵌合空間65の間口65Aに第1方向から嵌合される。第2嵌合空間65の間口65Aの開口幅は、第2嵌合部62の区画部67の一端面68と第2嵌合部62の幅方向の他端側に位置する側壁83との間の離間幅によって規制される。このため、相手ハウジング91は、区画部67と側壁83とよって幅方向の動きを規制された状態に嵌合される。相手コネクタ90が第2嵌合部62に嵌合された状態で、各相手端子95の接続部96には、対応する第2端子片26が挿入されて電気的に接続される。第1嵌合部61と第2嵌合部62の各々に嵌合された相手コネクタ90の各相手端子95は、バスバー20を介して電気的に接続される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態1の構成は、第1嵌合空間64と第2嵌合空間65の各々の間口64A,65Aの位置ずれに対し、第1端子群24Gと第2端子群26Gとが連結部21を介して位置ずれする構造で対応するため、第1端子片と第2端子片のいずれかが屈曲する構造で対応する場合と異なり、既存のバスバーを利用することができる。
【0039】
連結部21の幅方向の一端側においては、第1側縁22に端部第1端子片24Aが設けられ、第2側縁23に第2端子片26のない第2切除部27が設けられている。連結部21の幅方向の他端側においては、第2側縁23に端部第2端子片26Aが設けられ、第1側縁22に第1端子片24のない第1切除部28が設けられている。よって、既存のバスバーにおいて、第2端子群26Gのうちの最端に位置する第2端子片26に相当する部分(第2端子片部分26C)を切除して第2切除部27とし、且つ第1端子群24Gのうちの最端に位置する第1端子片24に相当する部分(第1端子片部分24C)を切除して第1切除部28とすることにより、本実施形態1のバスバー20を容易に形成することができる。
【0040】
また、連結部21を介して対となる第1端子片24と第2端子片26とが前後方向(第1方向および第2方向)に沿った同一直線上に配置されているため、バスバー20の製造管理を容易に行うことができる。
【0041】
さらに、凹所65Bから第2切除部27を押圧することで、第2切除部27を凹部69の溝端部71に至らすことができ、バスバー20を凹部69に容易に配置することができる。第2切除部27の反対側には端部第1端子片24Aが設けられているため、第1嵌合空間64に複数の第1端子片24を効率よく配置することができる。区画部67は、開口の幅方向の一端側を閉塞するため、第2嵌合空間65の開口に嵌合される相手コネクタ90の動きを規制することができる。
【0042】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、第1嵌合部と第2嵌合部の各々に嵌合される相手コネクタは、同一の構造で構成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、第1嵌合部と第2嵌合部の各々に嵌合される相手コネクタは、互いに異なる構造で構成されていても良い。
上記実施形態1の場合、複数の第1端子片が連結部の第1側縁に等間隔を置いて並んで配置され、複数の第2端子片が連結部の第2側縁に等間隔を置いて並んで配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、複数の第1端子片が連結部の第1側縁に不等間隔を置いて並んで配置され、複数の第2端子片が連結部の第2側縁に不等間隔を置いて並んで配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、連結部の第2側縁における幅方向の一端側には1つの第2切除部が設けられ、連結部の第1側縁における幅方向の他端側に1つの第1切除部が設けられていた。これに対し、他の実施形態によれば、連結部の第2側縁における幅方向の一端側に複数の第2切除部が設けられ、連結部の第1側縁における幅方向の他端側に複数の第1切除部が設けられていても良い。
上記実施形態1の場合、連結部を介して対となる第1端子片とは、第1方向および第2方向に沿った同一直線上に配置されていた。つまり、連結部を介して対となる第1端子片と第2端子片とは、幅方向の同一位置に配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、連結部を介して対となる第1端子片と第2端子片とは、幅方向の異なる位置に位相をずらして配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、バスバーは、ハウジングの隔壁に圧入保持されていた。これに対し、他の実施形態によれば、バスバーは、ハウジングの隔壁にインサート保持されていても良い。
【符号の説明】
【0043】
10…コネクタ
20…バスバー
21…連結部
22…第1側縁
23…第2側縁
24…第1端子片
24A…端部第1端子片
24C…第1端子片部分
24G…第1端子群
25…係止突起
26…第2端子片
26A…端部第2端子片
26C…第2端子片部分
26G…第2端子群
27…第2切除部
28…第1切除部
60…ハウジング
61…第1嵌合部
62…第2嵌合部
63…隔壁
64…第1嵌合空間
64A…(第1嵌合空間の)間口
65…第2嵌合空間
65A…(第2嵌合空間の)間口
65B…凹所
66…(第2嵌合部の幅方向の一端側の)側壁
67…区画部
68…一端面
69…凹部
71…溝端部
72…誘い込み部
73…貫通孔
74…斜面部
75…第1ロック部
76…第2ロック部
77…第1型抜孔
78…第2型抜孔
81…(第1嵌合部の幅方向他端側の)側壁
82…(第1嵌合部の幅方向一端側の)側壁
83…(第2嵌合部の幅方向他端側の)側壁
90…相手コネクタ
91…相手ハウジング
92…キャビティ
93…リテーナ
94…ロックアーム
95…相手端子
96…接続部
100…電線