(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118745
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物及びフィルム
(51)【国際特許分類】
C08F 292/00 20060101AFI20240826BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240826BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08F292/00
C08F290/06
C08F2/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025195
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】岡 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】麸山 解
【テーマコード(参考)】
4J011
4J026
4J127
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA01
4J011CC10
4J011PA13
4J011PB22
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA20
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4J011QA24
4J011QB24
4J011SA84
4J011UA01
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4J011WA02
4J026AC00
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4J026BA12
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4J026BA28
4J026DB06
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4J026FA05
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4J026GA07
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB051
4J127BB091
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC121
4J127BD431
4J127BE281
4J127BE28Y
4J127BF611
4J127BF61Y
4J127BF621
4J127BF62Y
4J127BG041
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4J127BG12X
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4J127BG27Y
4J127CB011
4J127CC131
4J127CC321
4J127DA12
4J127DA28
4J127FA08
4J127FA21
(57)【要約】
【課題】優れたアンチブロックキング性を安定的に発現しつつ各種材料への密着性に優れ、かつ、ハードコート層に求められる各種特性を充足するハードコート層を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物、及びその組成物の硬化塗膜を用いたフィルムの提供。
【解決手段】活性エネルギー線硬化性化合物(A)、シリカ粒子(B)及びアニオン性基含有重合性化合物(C)を含有し、前記シリカ粒子(B)の配合量が、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)と前記シリカ粒子(B)との合計100質量部に対して、5~65質量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線硬化性化合物(A)、シリカ粒子(B)及びアニオン性基含有重合性化合物(C)を含有し、
前記シリカ粒子(B)の配合量が、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)と前記シリカ粒子(B)との合計100質量部に対して、5~65質量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
前記アニオン性基含有重合性化合物(C)が、下記式(1)又は(2)で表される化合物である、請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【化1】
(式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、X
1、Y
1はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、A
-はアニオン性基を表し、B
+は有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
【請求項3】
前記アニオン性基含有活性硬化性化合物(C)が、活性エネルギー線硬化性化合物(A)及びシリカ粒子(B)の全固形分に対して、0.01~10質量部である、請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
アニオン性基含有活性硬化性化合物(C)のアニオン性基がスルホン酸塩基である、請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
アニオン性基含有活性硬化性化合物(C)が下記式(2-1)で表される化合物である、請求項3記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【化2】
(式中、R
2は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、n1は1~5の整数を表し、R
1、B
+は前記同様である。)
【請求項6】
前記シリカ粒子(B)が湿式法で製造されたものであり、一次平均粒子径を有するシリカ粒子が二次凝集した二次粒子を粉砕したものである、請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項7】
前記二次粒子の平均粒子径が、50nm以上500nm以下である、請求項6記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化塗膜を有することを特徴とするフィルム。
【請求項9】
前記硬化塗膜表面のぬれ張力が40~60mN/mの範囲である、請求項8に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、及び当該組成物を用いて得られるフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種樹脂フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)表面の傷付き防止用フィルム、自動車の内外装用加飾フィルム(シート)、窓向けの低反射フィルムや熱線カットフィルム等の各種用途に用いられている。
【0003】
樹脂フィルムの表面は柔らかく耐擦傷性が低いため、これを補う目的で、UV硬化性樹脂組成物等からなるハードコート剤をフィルム表面に塗工、硬化させたハードコート層を樹脂フィルム表面に設けることが一般的に行われている。ハードコート層を設ける工程を概略すると、ロール状に巻いてあるフィルム原反から樹脂フィルムが塗工機へ送り出され、樹脂フィルム表面にハードコート剤が塗工され、紫外線照射によりハードコート剤を硬化してハードコート層を形成した後、樹脂フィルムが再度ロール状に巻き取られる。
ここで、ハードコート層の表面は平滑であるため、再度ロール状に巻き取る際に樹脂フィルム同士が張り付いてしまい(ブロッキング)、再加工時にフィルムをロールから繰り出したときにブロッキングによる摩擦が生じ、樹脂フィルム表面を傷付けてしまうという問題があった。
樹脂フィルムのブロッキングを防止(アンチブロッキング)する方法としては、ハードコート剤にシリカ粒子等の微粒子を添加し、ハードコート剤の硬化塗膜表面に凹凸を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1~2)。
【0004】
また、タッチパネルで使用される酸化インジウムスズ(ITO)フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材の片面に高屈折率ハードコート層を形成し、他方の面にはフィルム同士のブロッキングを防止するアンチブッキング性付与ハードコート層を形成されるのが主流である。高屈折率ハードコート層側は、ハードコート層上に低屈折率層を積層させた後、ITOをスパッタしアニール処理を行う。
一方、アンチブロッキング性付与ハードコート層側には、上記アニール処理が完了するまで耐熱保護PETフィルムが貼られる。その後、耐熱保護PETフィルムが剥離され、高透明性粘着テープ(OCA)を用いてタッチパネルのモジュールを組み立てるが、上記のアンチブロッキング性付与ハードコート剤の硬化塗膜は、OCAに十分に密着しないという問題があった。そこで、フィルム表面に高いアンチブロッキング性を付与することができ、かつ、OCA等に対する高い密着性を発現するため、高い表面自由エネルギーを有するハードコート層を形成し得る活性エネルギー線硬化性組成物が求められている。
この解決方法として特許文献3には、シリカ粒子を含有し、硬化塗膜表面のぬれ張力が特定の範囲内である活性エネルギー線硬化性組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-98529号公報
【特許文献2】特開2012-27401号公報
【特許文献3】国際公開第2018/100929号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、特許文献1~2に代表されるアンチブロッキング性の向上を目的とした組成物ではOCA等に対する密着性に課題があり、かつ、アンチブロッキング性にもさらなる向上が望まれている。
また、特許文献3に記載の組成物はシリカ粒子の表面偏析を利用したものであるため、安定的にシリカ粒子を表面に偏析させることが難しく、結果として塗膜の表面自由エネルギーを高くすることが難しい。
一方で、無機微粒子を使用せずに、塗膜の表面自由エネルギーを上げる手法として、帯電防止材の使用が挙げられるが、帯電防止材単独では、表面自由エネルギーの向上はできてもアンチブロッキング性を発現できない。無機微粒子との帯電防止材との組み合わせによってアンチブロッキング性と高表面自由エネルギーの両立が可能と予想されるが、帯電防止材は無機微粒子と組み合わせると無機微粒子の分散性を大きく損なう、もしくは無機微粒子の存在により塗膜表面に帯電防止材が移行しないといった課題があった。
【0007】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであって、優れたアンチブロックキング性を安定的に発現しつつOCA等の各種材料への密着性に優れ、かつ、ハードコート層に求められる各種特性を充足するハードコート層を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物、及びその組成物の硬化塗膜を用いたフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明らは、シリカ粒子とアニオン性基含有重合性化合物とを組み合わせて用いることにより、簡便かつ安定的に表面自由エネルギーを制御することができる結果、優れたアンチブロッキング性と各種材料への優れた密着性とを様々な環境下で発現できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち本発明は、以下の発明を提供するものである。
[1]活性エネルギー線硬化性化合物(A)、シリカ粒子(B)及びアニオン性基含有重合性化合物(C)を含有し、
前記シリカ粒子(B)の配合量が、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)と前記シリカ粒子(B)との合計100質量部に対して、5~65質量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
[2]前記アニオン性基含有重合性化合物(C)が、下記式(1)又は(2)で表される化合物である、前記[1]の活性エネルギー線硬化性組成物。
【0010】
【0011】
(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、X1、Y1はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、A-はアニオン性基を表し、B+は有機カチオン又は無機カチオンを表す。)
[3]前記アニオン性基含有活性硬化性化合物(C)が、活性エネルギー線硬化性化合物(A)及びシリカ粒子(B)の全固形分に対して、0.01~10質量部である、前記[1]又は[2]の活性エネルギー線硬化性組成物。
[4]アニオン性基含有活性硬化性化合物(C)のアニオン性基がスルホン酸塩基である、前記[1]~[3]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物。
[5]アニオン性基含有活性硬化性化合物(C)が下記式(2-1)で表される化合物である、前記[2]~[4]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物。
【0012】
【0013】
(式中、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、n1は1~5の整数を表し、R1、B+は前記同様である。)
[6]前記シリカ粒子(B)が湿式法で製造されたものであり、一次平均粒子径を有するシリカ粒子が二次凝集した二次粒子を粉砕したものである、前記[1]~[5]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物。
[7]前記二次粒子の平均粒子径が、50nm以上500nm以下である、前記[6]の活性エネルギー線硬化性組成物。
[8]前記[1]~[7]のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化塗膜を有することを特徴とするフィルム。
[9]前記硬化塗膜表面のぬれ張力が40~60mN/mの範囲である、前記[8]のフィルム。
【発明の効果】
【0014】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、樹脂フィルム等の表面に塗工、硬化することで、フィルム表面に高い硬度(ハードコート性)を付与することができ、かつ、優れたアンチブロッキング性及び各種材料への優れた密着性を有するハードコート層を形成することができる。
【0015】
よって、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、パソコン、テレビ、携帯電話、電子辞書等の各種電子機器の表示機器に用いられる各種FPD表面の傷つき防止フィルム、これらディスプレイやタッチパネル内部の表示素子やタッチパネル(タッチセンサー)の電極の保護膜、自動車の内外装用加飾フィルム、窓向けの低反射フィルムや熱線カットフィルムなど各種用途に広く用いることができる。特に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜はOCAへの優れた密着性を有することから、タッチパネル内部に用いられるITO電極の保護膜用ハードコート剤として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書では、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」といい、他の式で表される化合物も同様にいう。
また、「アクリレート」と「メタクリレート」とを総称して「(メタ)アクリレート」といい、「メタクリロイル」と「アクリロイル」とを総称して「(メタ)アクリロイル」という。
【0017】
<活性エネルギー線硬化性組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(以下、単に「組成物」ということがある。)は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)、シリカ粒子(B)及びアニオン性基含有重合性化合物(C)を含有する。
【0018】
[活性エネルギー線硬化性化合物(A)]
活性エネルギー線硬化性化合物(A)(以下、「(A)成分」ということがある。)は、後述するアニオン性基含有重合性化合物(C)に該当しない化合物であって、活性エネルギー線(紫外線、電子線、α線、β線、γ線等)の照射により硬化する化合物である。(A)成分として具体的には、アニオン性基を含有せず、重合性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
(A)成分は、低分子量の単量体(モノマー)であってもよく、特定の繰り返し単位を有するような高分子量の共重合体(樹脂)であってもよい。
単量体の(A)成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(A1)、エポキシ(メタ)アクリレート(A2)、その他の多官能(メタ)アクリレート(A3)、ポリエステル(メタ)アクリレート(A4)、ポリエーテル(メタ)アクリレート、スチレン等を用いることができる。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレート(A1)としては、例えば、ポリイソシアネート(a1-1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a1-2)との反応物;ポリイソシアネート(a1-1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a1-2)とポリオール(a1-3)との反応物であり、(メタ)アクリロイル基を1つ以上(好ましくは2~6つ)有するものを用いることができる。
【0020】
ポリイソシアネート(a1-1)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2-メチル-1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトシクロヘキサン等の脂環式ポリイソシアネート;トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
ポリイソシアネート(a1-1)としては、前記したものの中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜の着色を低減できることから、脂肪族ポリイソシアネート及び/又は脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートが更に好ましい。
【0022】
水酸基を有する(メタ)アクリレート(a1-2)は、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するものであり、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε-カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε-カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン-ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0023】
これらの水酸基を有する(メタ)アクリレート(a1-2)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、優れた耐擦傷性が得られる点から、化合物(a1-2)としてペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種類以上の化合物を用いることが好ましい。
【0024】
前記ポリオール(a1-3)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた屈曲性が得られる点から、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、ポリテトラメチレングリコールがより好ましい。
【0025】
ポリイソシアネート(a1-1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a1-2)との反応、及び、ポリイソシアネート(a1-1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a1-2)とポリオール(a1-3)との反応は、常法のウレタン化反応を使用することができる。
また、ウレタン化反応を行う際には、必要に応じてウレタン化触媒を用いてもよい。前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン化合物;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物などを用いることができる。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレート(A1)として、ポリオール(a1-3)を用いるタイプのものを用いる場合におけるウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、より一層優れた屈曲性及び耐擦傷性が得られる点から、800~6,000の範囲であることが好ましく、1,000~4,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法(溶離液;テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により測定した値を示す。
【0027】
エポキシ(メタ)アクリレート(A2)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸とエポキシ化合物との付加反応物を用いることができる。
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐擦傷性の点から、(メタ)アクリル酸を用いることが好ましい。
【0028】
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA骨格を有するエポキシ化合物;ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF骨格を有するエポキシ化合物;水添フタル酸骨格を有するエポキシ化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよく、これらの重合物を用いてもよい。これらの中でも、耐擦傷性の点から、エポキシ基及び(メタ)アクリル化合物を用いるが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートの重合物を用いることがより好ましい。
【0029】
エポキシ(メタ)アクリレート(A2)の原料として前記エポキシ化合物の重合物を用いる場合において、溶剤を含む前記エポキシ(メタ)アクリレート(A2)の粘度としては、ハードコート層を形成する際の塗工安定性をより一層向上できる点から、100~3,000mPa・sの範囲が好ましく、150~2,000mPa・sの範囲がより好ましい。なお、前記粘度はB型粘度計を使用して測定した値を示す。
【0030】
その他の多官能(メタ)アクリレート(A3)は、前記(A1)及び(A2)以外の、1分子中に(メタ)アクリロイル基を好ましくは2~8個、より好ましくは、3~6個有するモノマーを示す。
その他の多官能(メタ)アクリレート(A3)としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
化合物(A3)としては、前記した中でも、より一層優れた耐擦傷性が得られる点から、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及び、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0032】
ポリエステル(メタ)アクリレート(A4)としては、ポリエステルジオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、ジオールと、ジカルボン酸又はその無水物との反応物が好ましい。
ジオールとしては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物を用いることができる。
ジカルボン酸又はその無水物としては例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等のジカルボン酸、並びにこれらの無水物を用いることができる。
【0033】
共重合体の(A)成分としては、例えば、側鎖に(メタ)アクリロイル基を含有するアクリル系樹脂を用いることが好ましく、このようなアクリル系樹脂としてはアクリルアクリレート樹脂(A11)が挙げられる。
アクリルアクリレート樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰り返し単位を主鎖に有する共重合体であって、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するものである。
アクリルアクリレート樹脂(A11)は、例えば、グリシジル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物の単独重合体、又は該化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(以下、これらを「前駆体(a)」と略記する。)を得た後、これと、カルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物とを反応させることで、アクリルアクリレート樹脂(A11)を得ることができる。
【0034】
ここで前駆体(a)の原料となるグリシジル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物は、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α-n-プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α-n-ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシペンチル、α-エチル(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシペンチル、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、得られるアクリル重合体(a)の(メタ)アクリロイル基当量を好ましい範囲に調節することが容易となる点で、(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、及びα-n-プロピル(メタ)アクリル酸グリシジルを用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルを用いることがより好ましい。
【0035】
前記前駆体(a)を製造する際に併用できる(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1~22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル、及び脂環式のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭素数1~22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。とりわけ、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニルを用いることが特に好ましい。
共重合させる際の割合〔グリシジル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物〕:〔(メタ)アクリル酸エステル〕は、20/80~95/5(質量比)が好ましく、30/70~90/10(質量比)がより好ましく、60/40~90/10(質量比)がさらに好ましく、80/20~90/10(質量比)が特に好ましい。
【0036】
前駆体(a)は、グリシジル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物由来のエポキシ基を有するが、前駆体(a)のエポキシ当量は、得られるアクリル重合体(a)のアクリロイル当量を145~750g/eqの範囲に調節することが容易となる点で、150~500g/eqの範囲であることが好ましく、150~250g/eqの範囲であることがより好ましく、150~180g/eqの範囲であることが更に好ましい。
【0037】
前記前駆体(a)は、例えば、重合開始剤の存在下、60℃~150℃の温度領域で前記グリシジル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を単独で、又は前記(メタ)アクリル酸エステルとを併用して重合させることにより製造することができるが、前記前駆体(a)の製造と、これに続く前記前駆体(a)とカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物との反応とを連続的に行うことが可能となる点で、溶液重合で製造することが好ましい。
【0038】
前記前駆体(a)の製造を溶液重合法で行う際に用いる溶媒は、反応温度を勘案すると沸点が80℃以上のものであることが望ましく、例えば、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン等のケトン溶剤;n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジオキサン等のエーテル溶剤;酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸-n-アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、スワゾール1800、スワゾール310、アイソパーE、アイソパーG、エクソンナフサ5号、エクソンナフサ6号等の炭化水素溶剤等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。なかでも、得られる前駆体(a)の溶解性に優れる点から、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤や、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル等のエステル溶剤が好ましい。
【0039】
次に用いるカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物は、例えば、(メタ)アクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2-カルボキシエチル、アクリル酸3-カルボキシプロピル、コハク酸1-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]、フタル酸1-(2-アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸水素2-(アクリロイルオキシ)エチル及びこれらのラクトン変性物等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;無水コハク酸や無水マレイン酸等の酸無水酸と、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーとを反応させて得られるカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらの中でも、得られるアクリル重合体(a)の(メタ)アクリロイル基当量を前記した好ましい範囲に調節することが容易となる点で、(メタ)アクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2-カルボキシエチル、アクリル酸3-カルボキシプロピルが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0040】
アクリルアクリレート樹脂(A11)は、一般的な多官能モノマーと比較して、二重結合当量が高く、アクリルアクリレート樹脂(A11)を使用することにより、本発明の組成物を活性エネルギー線により硬化させた際に硬化物や硬化塗膜の収縮を抑制することが可能となる。
また、(A)成分が構造中に水酸基を有する場合、(A)成分は水酸基の存在により極性が比較的高い親水性化合物となる結果、水酸基を有する(A)成分は後述する微粒子(C)が、アクリル、アクリル-スチレン共重合体、ポリスチレン等の疎水性である場合に凝集を促進させることが可能となる。
よって、(A)成分として水酸基を有する化合物を用いることも好ましい。水酸基を有する(A)成分としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の単量体や、グリシジル基とカルボキシル基との反応で生じた水酸基を構造中に有するアクリルアクリレート樹脂(A11)が好ましい。
【0041】
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物中、固形成分全量に対する(A)成分の割合は、1~99質量%が好ましく、5~98質量%がより好ましく、10~96質量%がさらに好ましく、15~95質量%が特に好ましい。
【0042】
[シリカ粒子(B)]
本発明の組成物がシリカ粒子(B)(以下、「(B)成分」ということがある。)を含有することにより、塗工後の塗膜の表面に(B)成分が偏析することで塗膜の表演自由エネルギーが上がり、硬化塗膜にアンチブロッキング性を付与することが可能となる。
【0043】
(B)成分は硬化塗膜にアンチブロッキング性を発現させ得るものであれば特に限定されるものではなく、粉末状のシリカやコロイダルシリカなど公知のシリカ微粒子を使用することができる。
市販の粉末状のシリカ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の商品名「アエロジル(登録商標)」シリーズ(50、200、R504、R974等)、AGC社製の商品名「シルデックス」シリーズ(H31、H32、H51、H52、H121、H122等)、東ソー・シリカ社製の商品名「E220A」又は「E220」、富士シリシア化学社製の商品名「SYLYSIA(登録商標)470」、日本板硝子社製の商品名「SGフレ-ク」等を挙げることができる。
また、市販のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業社製の商品名「メタノ-ルシリカゾル」、「IPA-ST」、「IPA-ST-ZL」「MEK-ST」、「PGM-ST」、「NBA-ST」、「XBA-ST」、「DMAC-ST」、「ST-UP」、「ST-OUP」、「ST-20」、「ST-40」、「ST-C」、「ST-N」、「ST-O」、「ST-50」、「ST-OL」等を挙げることができる。
【0044】
シリカは、反応性シリカを用いてもよい。反応性シリカとしては、例えば反応性化合物修飾シリカが挙げられる。反応性化合物としては、硬化塗膜の吸水性を下げる観点から、例えば疎水性基を有する反応性シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、マレイミド基を有する化合物、グリシジル基を有する化合物が好ましく、中でも、(A)成分、(C)成分やその他成分との相溶性の観点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾されたシリカが特に好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販の粉末状のシリカとしては、日本アエロジル社製の商品名「アエロジル(登録商標)RM50」、「アエロジル(登録商標)R711」、「アエロジル(登録商標)R7200」等、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販のコロイダルシリカとしては、日産化学工業社製の商品名「MIBK-SD」、「MIBK-SD-L」、「MIBK-AC-2140Z」、「MEK-AC-2140Z」等が挙げられる。また、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシジル基で修飾した後に、アクリル酸を付加反応させたシリカや、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランと水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物をウレタン化反応させたもので修飾したシリカも反応性シリカとして挙げられる。
【0045】
本発明で用いることのできるシリカの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、湿式法で製造されたものを用いることができる。また、湿式法には、沈降法とゲル法が知られているが、いずれの方法で製造されたシリカでも用いることができる。さらに、沈降法、ゲル法ともに、シリカ粒子の原料であるケイ酸ナトリウムと硫酸等の鉱酸との反応条件(pH、原料濃度、反応温度等)を調整することで、シリカの1次平均粒子径及び2次平均粒子径を調整しても構わない。
【0046】
なかでも、(B)成分は一次平均粒子径を有するシリカ粒子(一次粒子)が二次凝集してなる二次粒子を粉砕したものであることが好ましい。一次粒子とはシリカ粒子の最小の単位であり、一次粒子が二次的に凝集して二次粒子が形成される。シリカ粒子は凝集しやすく、凝集したシリカ粒子では分散安定性やアンチブロッキング性を良好に奏し難いことがあるため、二次粒子を予め粉砕した粉砕物として組成物に用いることが好ましい。
二次粒子の粉砕に用いる装置としては、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、SAGミル、高圧粉砕ロール、縦軸インパクタ(VSI)ミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、ハンマーミル、乳鉢、ジェットミル等を使用することができる。
【0047】
また、シリカ粒子を粉砕する際には、湿潤分散剤やシランカップリング剤を加えて、粉
砕と同時にシリカ粒子の表面を有機基で修飾してもよい。前記湿潤分散剤やシランカップ
リング剤としては、例えば、DISPERBYK-103、DISPERBYK-106
、DISPERBYK-161、DISPERBYK-2152、DISPERBYKP104、3-(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン等を用いることができる。
【0048】
(B)成分の一次粒子径は1~100の範囲内が好ましく、5~50の範囲内がより好ましく;(B)成分の二次粒子径は、50~500nmの範囲が好ましく、80~250nmの範囲がより好ましく、100~200nmの範囲であることが特に好ましい。また、組成物に用いる(B)成分の粉砕物(二次粒子を粉砕したもの)の平均粒子径は、50~200nmの範囲が好ましく、80~180nmの範囲がより好ましく、100~150nmの範囲が特に好ましい。これら範囲とすることで硬化塗膜のアンチブロッキング性がより向上する。
【0049】
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物中、(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、5~65質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、30~58質量部囲が特に好ましい。上記範囲内とすることで、塗膜の表面自由エネルギーを高めることができ、その結果として硬化塗膜のアンチブロッキング性が向上する。
【0050】
[アニオン性基含有重合性化合物(C)]
アニオン性基含有重合性化合物(C)(以下、「(C)成分」ということがある。)は、アニオン性基を含有する点において上述の(A)成分とは異なる成分であって、(A)成分と同様に活性エネルギー線の照射により重合して硬化する活性エネルギー線硬化性化合物である。
【0051】
(C)成分がアニオン性基を含有することにより、(B)成分と(C)成分との相乗効果により塗膜の自由エネルギーが顕著に向上し、OCAをはじめとする様々な材料への密着性が向上し、さらに(C)成分のアニオン性基が(B)成分に吸着することで(B)成分の分散安定性にも寄与する。良好な分散安定性が得られることにより、塗膜の白化を防止することができる。
また、(B)成分の表面に(C)成分が吸着したものが塗膜表面に存在するため、塗膜の表面エネルギーの向上とアンチブロッキング性の両立が可能となる。
アニオン性基としては特に限定されるものではないが、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基等が挙げられ、スルホン酸基、カルボン酸基、又はこれらから誘導される基が好ましい。また、アニオン性基は、その一部又は全部が塩基性化合物等によって中和されて(C)成分が塩となっていることが、(C)成分の分散性を向上させる観点から好ましい。
中和に用いることができる塩基性化合物としては例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物などが挙げられる。
すなわち、(C)成分が有するアニオン性基は、スルホン酸塩基(-SO3
- B+)、カルボン酸塩基(-COO- B+)が好ましく、スルホン酸塩基が特に好ましい(B+は有機カチオン又は無機カチオンを表す)。
【0052】
(C)成分は重合性化合物であることから、構造中に重合性不飽和基を有する。(C)成分が重合性を有することにより、(A)成分や、修飾により重合性基(例えば(メタ)アクリロイル基)を有する(B)成分と重合することができ、その結果、耐湿熱や耐水試験でも、(C)成分が分解または塗膜外へ流出することなく、塗膜の表面エネルギーを維持することが可能となる。重合性不飽和基としては、ビニル基、スチリル基又は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、(C)成分は(A)成分との相溶性の観点から構造中にアルキレンオキサイド鎖(好ましくは、エチレンオキサイド鎖)を有していることが好ましい。(A)成分との適度な相溶性実現と(C)成分の塗膜表面への偏析による塗膜表面エネルギーの向上とを両立する観点から、分子1モル内に存在するアルキレンオキサイド鎖(好ましくはエチレンオキサイド鎖)の平均付加モル数(平均繰り返し数)は、0超、10以下が好ましい。
【0053】
(C)成分の好ましい具体例として、下記式(1)又は(2)で表される化合物が挙げられる。下記化合物(1)又は(2)のような構造を有する(C)成分は、(B)成分と組み合わせて用いた場合に相乗効果で塗膜の自由エネルギーが顕著に向上するのみならず、(B)成分の分散安定性や表面エネルギー、アンチブロッキング性をさらに向上させることが可能となる。
【0054】
【0055】
式(1)~(2)中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
X1、Y1はそれぞれ独立に2価の連結基である。2価の連結基としては、置換基を有していてもよい炭素数1~40の炭化水素基、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、-NH-、-C(=NH)-NH-及び-NH-C(=NH)-、並びに、これらの組み合わせが挙げられる。
炭素数1~40の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。
なお、2価の連結基として挙げた基が有する水素原子はアルキル基、アルコキシ基、アシル基等に置換されていてもよい。
【0056】
A-はアニオン性基であり、B+と共に塩を形成していることが好ましい。A-B+として具体的には、スルホン酸塩基(-SO3
- B+)、カルボン酸塩基(-COO- B+)が挙げられ、スルホン酸塩基が好ましい。
B+の有機カチオンとしては、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等が挙げられ、B+の無機カチオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。なかでもナトリウムイオンが好ましい。
【0057】
なかでも(C)成分としては、下記式(2-1)で表される化合物が好ましい。
【0058】
【0059】
式(2-1)中、R1、B+は上述の通りであり、R2は置換基を有していてもよい炭化水素基であって、炭素原子数1~30のアルキル基が好ましく、炭素原子数5~20のアルキル基がより好ましく、炭素原子数8~15のアルキル基が特に好ましい。
n1は1~30の整数であって、1~10が好ましく、特に1~5が好ましい。
【0060】
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物中、(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計の固形分量100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましく、0.1~3質量部が特に好ましい。上記範囲内とすることで、塗膜の表面自由エネルギーを高めることができ、その結果として硬化塗膜と他の材料との密着性が向上する。
【0061】
[その他の成分]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、上述の(A)~(C)成分以外のその他の成分として、用途や要求特性に応じて、有機溶剤;レベリング剤;重合開始剤;シランカップリング剤等のカップリング剤、(B)成分以外の微粒子、光増感剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤以外の表面調整剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、ワックス等のその他添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機充填剤等をさらに含有することができる。
これらその他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
(有機溶剤)
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カルビトール、セロソルブ等のアルコールエーテル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;トルエン、キシレン、ジブチルヒドロキシトルエン等の芳香族溶媒などが挙げられる。
【0063】
有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の含有量は、組成物の固形分100質量部に対して、0~300質量部であることが好ましく、0~100質量部であることがより好ましい。前記溶媒の含有量が300質量部以下であると、膜厚を制御しやすいことから好ましい。なお、溶媒の含有量が10質量部以上であると、スプレー塗装、フローコート等種々塗工方式が採用できることから好ましい。
【0064】
(レベリング剤)
レベリング剤は、塗膜の表面張力を調整し、塗膜表面を平滑化するために用いられる。レベリング剤の存在により塗膜の表面張力(表面エネルギー)が下がり、水接触角が大きくなる結果、汚れ等が付着しにくくなり、硬化塗膜に防汚性が付与される。
【0065】
レベリング剤としては、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、アルキルアンモニウム塩、フルオロアルキルアンモニウム塩類等が挙げられる。
なかでも、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、フルオロアルキルアンモニウム塩等の、フッ素原子を含むフッ素化合物系レベリング剤が好ましい。
【0066】
レベリング剤としては、市販品を用いることもできる。市販品として具体的には、「メガファックF-114」、「メガファックF-251」、「メガファックF-281」、「メガファックF-410」、「メガファックF-430」、「メガファックF-444」、「メガファックF-472SF」、「メガファックF-477」、「メガファックF-510」、「メガファックF-511」、「メガファックF-552」、「メガファックF-553」、「メガファックF-554」、「メガファックF-555」、「メガファックF-556」、「メガファックF-557」、「メガファックF-558」、「メガファックF-559」、「メガファックF-560」、「メガファックF-561」、「メガファックF-562」、「メガファックF-563」、「メガファックF-565」、「メガファックF-567」、「メガファックF-568」、「メガファックF-569」、「メガファックF-570」、「メガファックF-571」、「メガファックR-40」、「メガファックR-41」、「メガファックR-43」、「メガファックR-94」、「メガファックRS-72-K」、「メガファックRS-75」、「メガファックRS-76-E」、「メガファックRS-76-NS」、「メガファックRS-90」、「メガファックEXP.TF-1367」、「メガファックEXP.TF1437」、「メガファックEXP.TF1537」、「メガファックEXP.TF-2066」(以上、DIC社製);「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェント100A-K」、「フタージェント300」、「フタージェント310」、「フタージェント320」、「フタージェント400SW」、「フタージェント251」、「フタージェント215M」、「フタージェント212M」、「フタージェント215M」、「フタージェント250」、「フタージェント222F」、「フタージェント212D」、「FTX-218」、「フタージェント209F」、「フタージェント245F」、「フタージェント208G」、「フタージェント240G」、「フタージェント212P」、「フタージェント220P」、「フタージェント228P」、「DFX-18」、「フタージェント601AD」、「フタージェント602A」、「フタージェント650A」、「フタージェント750FM」、「FTX-730FM」、「フタージェント730FL」、「フタージェント710FS」、「フタージェント710FM」、「フタージェント710FL」、「フタージェント750LL」、「FTX-730LS」、「フタージェント730LM」、(以上、ネオス社製);「BYK-300」、「BYK-302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-340」、「BYK-344」、「BYK-350」、「BYK-352」、「BYK-354」、「BYK-355」、「BYK-356」、「BYK-358N」、「BYK-361N」、「BYK-357」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-390」、「BYK-392」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-Silclean3700」(以上、BYK社製);「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2011」、「TEGO Rad2200N」、「TEGO Rad2250」、「TEGO Rad2300」、「TEGO Rad2500」、「TEGO Rad2600」、「TEGO Rad2650」、「TEGO Rad2700」、「TEGO Flow300」、「TEGO Flow370」、「TEGO Flow425」、「TEGO Flow ATF2」、「TEGO Flow ZFS460」、「TEGO Glide100」、「TEGO Glide110」、「TEGO Glide130」、「TEGO Glide410」、「TEGO Glide411」、「TEGO Glide415」、「TEGO Glide432」、「TEGO Glide440」、「TEGO Glide450」、「TEGO Glide482」、「TEGO Glide A115」、「TEGO Glide B1484」、「TEGO Glide ZG400」、「TEGO Twin4000」、「TEGO Twin4100」、「TEGO Twin4200」、「TEGO Wet240」、「TEGO Wet250」、「TEGO Wet260」、「TEGO Wet265」、「TEGO Wet270」、「TEGO Wet280」、「TEGO Wet500」、「TEGO Wet505」、「TEGO Wet510」、「TEGO Wet520」、「TEGO Wet KL245」、(以上、エボニック・インダストリーズ社製)、「FC-4430」、「FC-4432」(以上、スリーエムジャパン社製)、「ユニダインNS」(以上、ダイキン工業社製)、「サーフロンS-241」、「サーフロンS-242」、「サーフロンS-243」、「サーフロンS-420」、「サーフロンS-611」、「サーフロンS-651」、「サーフロンS-386」(以上、AGCセイミケミカル社製)、「DISPARLON OX-880EF」、「DISPARLON OX-881」、「DISPARLON OX-883」、「DISPARLON OX-77EF」、「DISPARLON OX-710」、「DISPARLON 1922」、「DISPARLON 1927」、「DISPARLON 1958」、「DISPARLON P-410EF」、「DISPARLON P-420」、「DISPARLON P-425」、「DISPARLON PD-7」、「DISPARLON 1970」、「DISPARLON 230」、「DISPARLON LF-1980」、「DISPARLON LF-1982」、「DISPARLON LF-1983」、「DISPARLON LF-1084」、「DISPARLON LF-1985」、「DISPARLON LHP-90」、「DISPARLON LHP-91」、「DISPARLON LHP-95」、「DISPARLON LHP-96」、「DISPARLON OX-715」、「DISPARLON 1930N」、「DISPARLON 1931」、「DISPARLON 1933」、「DISPARLON 1934」、「DISPARLON 1711EF」、「DISPARLON 1751N」、「DISPARLON 1761」、「DISPARLON LS-009」、「DISPARLON LS-001」、「DISPARLON LS-050」(以上、楠本化成社製)、「PF-151N」、「PF-636」、「PF-6320」、「PF-656」、「PF-6520」、「PF-652-NF」、「PF-3320」(以上、OMNOVA SOLUTIONS社製)、「ポリフローNo.7」、「ポリフローNo.50E」、「ポリフローNo.50EHF」、「ポリフローNo.54N」、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.85」、「ポリフローNo.85HF」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.90D-50」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.99C」、「ポリフローKL-400K」、「ポリフローKL-400HF」、「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」、「ポリフローKL-100」、「ポリフローLE-604」、「ポリフローKL-700」、「フローレンAC-300」、「フローレンAC-303」、「フローレンAC-324」、「フローレンAC-326F」、「フローレンAC-530」、「フローレンAC-903」、「フローレンAC-903HF」、「フローレンAC-1160」、「フローレンAC-1190」、「フローレンAC-2000」、「フローレンAC-2300C」、「フローレンAO-82」、「フローレンAO-98」、「フローレンAO-108」(以上、共栄社化学社製)、「L-7001」、「L-7002」、「8032ADDITIVE」、「57ADDTIVE」、「L-7064」、「FZ-2110」、「FZ-2105」、「67ADDTIVE」、「8616ADDTIVE」(以上、東レ・ダウシリコーン社製)等の例を挙げることができる。
【0067】
レベリング剤は1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
レベリング剤を用いる場合、固形成分全量に対するレベリング剤の割合は、0.0001~3質量部が好ましく、0.0005~1質量部がより好ましく、0.001~0.1量部がさらに好ましい。
【0068】
(重合開始剤)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、基材上に塗工後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいい、工業的には紫外線が広く用いられている。
重合開始剤は、活性エネルギー線の照射に応じて(A)成分の重合反応を開始させるために本発明の組成物に含有されるものであって、光重合開始剤として一般的に知られている化合物を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ-ケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルサルフォニル)プロパン-1-オン等が挙げられる。
【0069】
重合開始剤としては、市販品を用いることもできる。市販品として具体的には、アルキルフェノン系化合物:Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 1116、Omnirad 907、Omnirad 651、Omnirad 2959、Omnirad 127、Omnirad 369、Omnirad 379(以上、IGM Resins B.V.社製);アシルホスフィンオキサイド系化合物:Omnirad TPO、Omnirad 819(以上、IGM Resins B.V.社製);オキシムエステル系化合物:イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02、イルガキュアOXE03、イルガキュアOXE04(以上、IGM Resins B.V.社製);水素引き抜き型化合物:SB-PI 701、SB-PI 701、SB-PI 707、SB-PI 711、SB-PI 712、SB-PI 716(以上、三陽貿易社製)、カヤキュアDETX-S、カヤキュアEPA(以上、日本化薬社製)、カンタキュア-ITX(ワ-ドプレキンソップ社製)等が挙げられる。
【0070】
重合開始剤は、1種で用いることも、2種以上併用することもできる。
重合開始剤成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.05~30質量部が好ましく、0.5~20質量部がより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。
【0071】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、各種材料の少なくとも1面に塗工した後に活性エネルギー線を照射することにより、耐擦傷性や機械的強度等のハードコート性を基材に付与し、基材と密着性の高い硬化塗膜として好適に使用することができる。また、本発明の組成物からなる硬化塗膜は、塗膜表面の自由エネルギーが高く、高温、高湿等の過酷な状況下でも表面自由エネルギーが変化しづらいことから、フィルム表面に安定してアンチブロッキング性を付与でき、様々な材料とフィルム表面との密着性を安定的に良好とすることができる。よって、本発明の組成物は、各種FPD表面の傷つき防止フィルム、これらディスプレイやタッチパネル内部の表示素子やタッチパネル(タッチセンサー)の電極の保護膜、自動車の内外装用加飾フィルム、窓向けの低反射フィルムや熱線カットフィルム等の各種用途において、ハードコート層を形成する材料として広く用いることができる。
【0072】
<硬化塗膜・フィルム>
[構成・材料]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させることにより硬化物が得られる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を何らかの基材上に塗布して硬化させることにより硬化塗膜となり、硬化塗膜と基材とからなるフィルムが得られる。
【0073】
基材に特に限定はなく、用途に応じて適宜選択すればよく、例えばプラスチック、ガラス、木材、紙、シリコン又は変性シリコン等が挙げられ、異なる素材を接合して得られた基材であってもよい。
基材は無機物であってもよく、例えば、石英、サファイア、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、無機酸化物、蒸着膜(CVD、PVD、スパッタ)、磁性膜、反射膜、Ni,Cu,Cr,Fe,ステンレス等の金属、紙、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、ポリエステル・ポリカーボネート・ポリイミド等のプラスチック層、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ITOや金属等の導電性基材、絶縁性基材、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系基板等が挙げられる。
基材の形状も特に制限はなく、平板、シート状、又は3次元形状全面に、若しくは一部に、曲率を有するもの等、目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。
【0074】
本発明の組成物は透明性を有しうるため、プラスチック基材上に好適にハードコート層を形成することが可能である。プラスチック基材としては、樹脂からなるものであれば特に限定なく、例えば前述した熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いればよい。機材としては、樹脂が単独でも複数種を配合した基材であってもよく、単層又は2層以上の積層構造を有するものであってもよい。また、これらのプラスチック基材は繊維強化(FRP)されていてもよい。
【0075】
また、基材は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、有機フィラー、無機フィラー、光安定剤、結晶核剤、滑剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0076】
本発明のフィルムは、基材及び硬化塗膜の上に、さらに第二基材を有していても良い。第二基材としては材質に特に限定は無く、ガラス、木材、金属、金属酸化物、プラスチック、紙、シリコン又は変性シリコン等が挙げられ、異なる素材を接合して得られた基材であってもよい。基材の形状は特に制限はなく、平板、シート状、又は3次元形状全面に、若しくは一部に、曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。
本発明の硬化塗膜は、プラスチックに対しても無機物に対しても密着性が高いため、異種材料の層間材としても好ましく利用可能である。
【0077】
本発明の硬化塗膜の表面のぬれ張力としては、35~60mN/mの範囲であることが好ましく、40~55mN/mの範囲がより好ましい。なお、前記ぬれ張力は、JIS試験方法K6768:1999に準拠して測定した値である。
【0078】
[製造方法]
本発明のフィルムは、基材表面に本発明の組成物を塗布した後に硬化させることで得られる。
基材への塗布は、基材に対し組成物を直接塗工又は直接成形して硬化させる方法により行うことができる。
直接塗工する場合、塗工方法としては特に限定はなく、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
直接成形する場合は、インモールド成形、インサート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プレス成形等が挙げられる。
また、組成物の硬化物を基材上に積層することにより本発明のフィルムを得てもよい。組成物の硬化物を積層する場合、半硬化の硬化物を基材上に積層してから完全硬化させてもよく、完全硬化済の硬化物を基材上に積層してもよい。
【0079】
本発明の組成物には重合性不飽和基を有する化合物が含まれていることから、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。これらのなかでも特に、硬化性および利便性の点から紫外線(UV)が好ましい。
ここで、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、その紫外線を照射する装置としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀-キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。これらを用いて、約180~400nmの波長の紫外線を、塗工又は成形された組成物に照射することによって、硬化塗膜や硬化物を得ることが可能である。紫外線の照射量としては、使用される光重合開始剤の種類及び量によって適宜選択される。
【0080】
[用途]
本願のフィルムは、各種FPD表面の傷つき防止フィルム、これらディスプレイやタッチパネル内部の表示素子やタッチパネルの電極の保護膜、自動車の内外装用加飾フィルム、窓向けの低反射フィルムや熱線カットフィルム等として広く用いることができる。
【実施例0081】
以下、実施例、比較例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本実施例において「部」及び「%」は別途説明のない限り質量基準である。
【0082】
(合成例1)A-4の合成
四つ口フラスコに、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亜合成社製「アロニックスM-306」水酸基価165mgKOH/g)350.63質量部、ジブチル錫ジラウレート0.2質量部、およびハイドロキノン0.2質量部を加え、均一溶液とした。フラスコの内温が50℃になるまで加温し、次いで、イソホロンジイソシアネート111質量部を約一時間かけて分割投入した。80℃で3時間反応させ、赤外吸収スペクトルにてイソシアネート基の消失を確認した後、酢酸ブチルを用いて不揮発分を80%に調整し、ウレタンアクリレートA-4を得た。仕込みの原料から算出される重合性二重結合当量は131g/molであった。
【0083】
(合成例2)A-5の合成
四つ口フラスコに、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亜合成社製「アロニックスM-306」水酸基価165mgKOH/g)350.63質量部、ジブチル錫ジラウレート0.2質量部、およびハイドロキノン0.2質量部を加え、均一溶液とした。フラスコの内温が50℃になるまで加温し、次いで、1,6ヘキサメチレンジイソシアネート84質量部を約一時間かけて分割投入した。80℃で3時間反応させ、赤外吸収スペクトルにてイソシアネート基の消失を確認した後、酢酸ブチルを用いて不揮発分を80%に調整し、ウレタンアクリレートA-5を得た。仕込みの原料から算出される重合性二重結合当量は122g/molであった。
【0084】
(実施例1)
(A)成分としてジペンタエリスリトールペンタアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M400」、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50%含有)90質量部、(B)成分としてシリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)50」(平均1次粒子径40nm)を湿式粉砕し、粉砕後平均粒子径150nmとしたもの。)10質量部、(C)成分としてポリオキシエチレンスチレン化プロぺニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(エチレンオキサイド平均20付加品)(第一工業製薬社製「アクアロン(登録商標)AR-20」)0.05質量部、光開始材として Omnirad TPO(商品名、IGM Resins B.V.社製)4質量部を配合し、有機溶剤であるメチルイソブチルケトンにて固形分が35wt%になるように均一に混合・分散して、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を調整した。
【0085】
(実施例2~32、比較例1~6)
表1~5に示した固形分の組成に変更した以外は実施例1と同様にして、各例の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。なお、表1~5では光開始剤及び有機溶剤の記載を省略するが、各例の組成物は実施例1と同様の光開始剤及び有機溶剤を含有するものとする。
【0086】
[評価フィルムの作製]
各例の活性エネルギー線硬化性組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東レ社製の商品名「ルミラーUH-483」 厚さ:75μm)に、膜厚が1.25μmとなるように塗布し、60℃で1分乾燥し、高圧水銀ランプにて120mW/cm2、250mJ/cm2の条件で紫外線照射をし、得られるPET基材と硬化塗膜との積層体を評価フィルムとした。
【0087】
[分散安定性]
各例の硬化前の活性エネルギー線硬化性組成物を、常温にて120時間静置後に塗料外観を目視で確認した際に沈降があるか否かを確認し、以下の基準で分散安定性を評価した。結果を「分散性」として表1~5に併記する。
〇:沈降が認められるもの
×:沈降が認められないもの
【0088】
[アンチブロッキング性]
上記で得られた評価フィルムの硬化塗膜表面同士、又は評価フィルムの硬化塗膜表面と基材面(硬化塗膜の反対面)とを接触させ、アンチブロッキング性を以下の5段階の基準にしたがって評価し、2以上を合格とした。結果を「AB性」として表1~5に併記する。
5:強く擦っても、引っかからない
4:強く擦った際に、わずかに引っかかる
3:軽く擦っても、引っかからない
2:軽く擦った際に、わずかに引っかかる
1:張り付いてしまう
【0089】
[表面エネルギー]
(初期)
上記で得られた評価フィルムの硬化塗膜表面について、ぬれ張力試験用混合液(和光純薬工業社製)を使用して、23℃、湿度50RH%の環境下での、ぬれ張力をJIS試験方法K6768:1999に準拠して表面エネルギー値を測定し、35mN/m以上の範囲を合格とした。結果を「ダイン値初期」として表1~5に併記する。
(沸騰水試験後)
上記で得られた評価フィルムを沸騰水に1時間浸漬し、表面の水滴を拭き取り乾燥させた。その後、乾燥した硬化塗膜表面について、上記同様に表面エネルギー値をぬれ張力として測定した。結果を「ダイン値試験後」として表1~5に示す。沸騰水試験前(初期)の塗膜の表面エネルギー値に対して、沸騰試験後の塗膜の表面エネルギーの変化値(ダイン値変化)が10以下のものを合格とした。
【0090】
[耐摩耗性]
ヘイドン社製往復磨耗試験機器タイプ30Sを用い、作製した評価フィルムの硬化塗膜表面に不織布シート(旭化成社製「ベンコット」)を接触させて1kg/cm2荷重で10回往復試験を実施した。試験前後のヘイズ値の変化にて評価を実施した。以下の5段階で評価を実施し、2以上を合格とした。
5:ヘイズ値変化≦0.1
4:0.1<ヘイズ値変化≦0.2
3:0.2<ヘイズ値変化≦0.3
2:0.3<ヘイズ値変化≦0.4
1:ヘイズ値変化>0.4
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
表1~5中に示す略語はそれぞれ、下記の化合物又は上述の合成例で得られた化合物を示す。
A-1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M400」)
A-2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M405」)
A-3:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M450」)
B-1:シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)50」、平均1次粒子径40nm)を湿式粉砕し、平均粒子径150nmとした粉砕物
B-2:シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)200」、平均1次粒子径12nm)を湿式粉砕し、平均粒子径120nmとした粉砕物
B-3:シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)200」、平均1次粒子径12nm)を湿式粉砕し、平均粒子径100nmとした粉砕物
B-4:シリカ粒子(日産化学工業社製コロイダルシリカ「IPA―ST―ZL」)平均粒子径80nm
B-5:ジメチルジクロロシラン処理シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)R974」、平均1次粒子径12nm)を湿式粉砕し、平均粒子径120nmとした粉砕物
B-6:トリメチルシリル化合物及びアミノ化合物処理シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)R504」、平均1次粒子径12nm)を湿式粉砕し、平均粒子径120nmとした粉砕物
B-7:メタクリロキシシラン処理シリカ粒子(日本アエロジル社製「アエロジル(登録商標)R7200」、平均1次粒子径12nm)を湿式粉砕し、平均粒子径120nmとした粉砕物
C-1:ポリオキシエチレンスチレン化プロぺニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(エチレンオキサイド平均20付加品)「アクアロン(登録商標)AR-20」(商品名、第一工業製薬社製)
C-2:ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム(エチレンオキサイド平均5付加品)「アクアロン(登録商標)KH-05」(商品名、第一工業製薬社製)
C-3:ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム(エチレンオキサイド平均10付加品)「アクアロン(登録商標)KH-10」(商品名、第一工業製薬社製)
C-4:ポリオキシエチレンスチレン化プロぺニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(エチレンオキサイド平均10付加品)「アクアロン(登録商標)AR-10」(商品名、第一工業製薬社製)
C-5:ポリオキシエチレンスチレン化プロぺニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(エチレンオキサイド平均30付加品)「アクアロン(登録商標)AR-30」(商品名、第一工業製薬社製)
C-6:メタクリロイルエチルスルホン酸ナトリウム
C-7:メタクリロイルオキシポリオキシプロピレン硫酸エステルナトリウム「エレミノールRS-3000」(商品名、三洋化成社製)
C-8:アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム「エレミノールJS-20」(商品名、三洋化成社製)
X-1:N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド-塩化メチル4級塩
X-2:ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル (エチレンオキサイド平均10付加品)「アクアロン(登録商標)KN-10」(商品名、第一工業製薬社製)
X-3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩「ハイテノールLA-10」(商品名、第一工業製薬社製)
【0097】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は(B)成分と(C)成分とを併用しているにもかかわらず高い分散安定性を有していた。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は優れた耐擦傷性を有しつつ、高い表面自由エネルギーを有し、かつ過酷な条件下においても表面自由エネルギーが損なわれることがなく、さらには優れたアンチブロッキング性を発現することが確認できた。
一方、比較例1~6の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記いずれかの特性に劣ることが確認できた。