(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118757
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/46 20180101AFI20240826BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240826BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240826BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20240826BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20240826BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20240826BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240826BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20240826BHJP
F24F 120/20 20180101ALN20240826BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20240826BHJP
F24F 130/20 20180101ALN20240826BHJP
F24F 140/50 20180101ALN20240826BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/79
F24F11/80
F24F11/54
F24F110:10
F24F110:20
F24F120:20
F24F110:12
F24F130:20
F24F140:50
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025217
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中島 佑介
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA08
3L260AB02
3L260AB12
3L260BA41
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA20
3L260CA32
3L260CA33
3L260CA34
3L260CB78
3L260CB90
3L260EA07
3L260EA13
3L260FA02
3L260FA03
3L260FA07
3L260FA08
3L260FA15
3L260FA16
3L260FB62
3L260FC02
3L260JA15
3L260JA19
3L260JA24
(57)【要約】
【課題】店舗において空気調和機ならびに店舗内機器の運転効率を向上させることが可能な店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】この店舗内空気調和機の運転制御システム100では、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2の熱量を含む店舗50全体の熱収支に基づいて、店舗50全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内に配置され、店舗内を冷却または加熱する空気調和機と、
店舗内に配置され、店舗内に熱を供給または店舗内から熱を排出する、前記空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器と、
前記空気調和機の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の店舗内熱供給排出機器の熱量を含む店舗全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように前記空気調和機の運転を制御するように構成されている、店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように前記空気調和機の運転を制御するように構成されている、請求項1に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項3】
前記空気調和機は、店舗内に複数配置され、
前記制御部は、前記複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、複数の前記空気調和機のうち運転を行う前記複数の空気調和機の運転台数を決定する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、運転台数が決定された前記複数の空気調和機の運転条件として、運転を行う前記複数の空気調和機の優先順位の設定を行うように構成されている、請求項3に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の空気調和機の運転台数を決定する制御を行うとともに、店舗内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、前記複数の空気調和機の冷房運転と暖房運転とを含む前記複数の空気調和機の運転モードを切り替える制御を行うように構成されている、請求項3に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、店舗内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、前記複数の空気調和機の設定温度の調整と、風量の調整と、風向の調整とのうち少なくとも1つを行うように構成されている、請求項5に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項7】
前記複数の店舗内熱供給排出機器は、冷却されるショーケースを含み、
前記制御部は、前記ショーケースを冷却する際に、前記ショーケースの負荷が所定値よりも大きくなる場合に、前記空気調和機の設定温度を現在の設定温度よりも低くする制御を行うように構成されている、請求項1に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記ショーケースの除霜動作を行う場合に、除霜動作の終了に基づいて前記空気調和機の設定温度を現在の設定温度から下げる制御を行うように構成されている、請求項7に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項9】
前記複数の店舗内熱供給排出機器は、外気を除湿せずに店舗内に導入する外気導入空調機と、外気を除湿して店舗内に導入する除湿装置とを含み、
前記制御部は、前記空気調和機の運転と外気温度とに基づいて、前記外気導入空調機の風向または風量と、前記除湿装置の風向または風量とのうち少なくとも一方を制御するように構成されている、請求項7に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項10】
前記複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支は、正圧化空調機に基づく熱量と、外気温度および店舗内温度に基づく熱量と、照度に基づく熱量と、店舗内に配置されるショーケースの熱量と、のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の店舗内空気調和機の運転制御システム。
【請求項11】
空気調和機の運転を制御する制御部を備え、
前記制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量を含む店舗全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように前記空気調和機の運転を制御する、店舗内制御装置。
【請求項12】
空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を取得する工程と、
前記熱収支を取得する工程で取得した熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引く工程と、
前記設定熱収支から差し引く工程により得られた値に基づいて、店舗内に配置される前記空気調和機を運転する工程と、を備える、店舗内空気調和機の運転制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の店舗内空気調和機の運転制御方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラムに関し、特に、空気調和機の運転を行う店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の運転を行う店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ビル内の空調(空気調和機)の負荷予測手段と、空調負荷予測手段による予測値に基づいて、ビル内の空調制御を行うビルコントローラとを備えるビル制御装置が開示されている。空調負荷予測手段は、ビル内のイベント情報と、気象予報データと空調負荷検出情報とを含む情報とに基づいて、空調負荷に関する予測値を予測するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、ビルなどの建物内の店舗の場合では、熱を供給または排出する冷却装置を備えるショーケースを含む店舗内熱供給排出機器が店舗内に設けられている。また、店舗内熱供給排出機器の運転と空気調和機の運転とが、各々独立して行われていた。これにより、空気調和機が店舗内を冷却する一方で、店舗内熱供給排出機器が店舗外の温度の高い空気を供給することにより、店舗内の空気の温度が下がりにくくなる。また、空気調和機が店舗内を加熱する一方で、店舗内熱供給排出機器が店舗内の温められた空気を排出することにより、店舗内の空気の温度が上がりにくくなる。これらの場合には、空気調和機の運転をさらに強くする必要があり、導入した外気により運転率悪化とともにショーケースへの熱負荷が増大するため、空気調和機の運転効率が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、店舗において空気調和機ならびにショーケースなどの店舗内機器の運転効率を向上させることが可能な店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による店舗内空気調和機の運転制御システムは、店舗内に配置され、店舗内を冷却または加熱する空気調和機と、店舗内に配置され、店舗内に熱を供給または店舗内から熱を排出する、空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器と、空気調和機の運転を制御する制御部と、を備え、制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量を含む店舗全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による店舗内空気調和機の運転制御システムでは、上記のように、制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量を含む店舗全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御するように構成されている。これにより、空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器の熱量に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機が運転されるため、空気調和機の熱量と、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量との均衡を保つことができる。この結果、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量に基づいて、空気調和機が店舗内を加熱または冷却することができるため、店舗において空気調和機ならびに複数の店舗内熱供給排出機器などの店舗内機器の運転効率を向上させることができる。
【0009】
上記第1の局面による店舗内空気調和機の運転制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御するように構成されている。このように構成すれば、制御部が、複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて空気調和機の運転を制御することにより、制御部は、空気調和機の熱量を設定熱収支に必要な熱量に精度よく調整することができる。これにより、空気調和機を精度よく運転させることができるため、空気調和機の運転効率をさらに向上させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、空気調和機は、店舗内に複数配置され、制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、複数の空気調和機のうち運転を行う複数の空気調和機の運転台数を決定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、たとえば、空気調和機の1台当たりの運転能力(熱量)の最大値に基づいて、運転を行う複数の空気調和機の運転台数を決めることにより、運転を行う空気調和機の台数に過不足が生じることを抑制することができるため、これによっても運転効率を効果的に向上させることができる。
【0011】
上記第1の局面による店舗内空気調和機の運転制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、運転台数が決定された複数の空気調和機の運転条件として、運転を行う複数の空気調和機の優先順位の設定を行うように構成されている。このように構成すれば、たとえば、店舗内において入り口および会計場所のように人が多くなる場所に設けられた空気調和機の優先度を最も高く設定し、人の滞留が少ない場所の空気調和機の優先度を低く設定することができる。この場合、空気調和機により人の多い場所から優先的に加熱または冷却することができるため、空気調和機を効率よく運転させながら、多くの人が店舗内の温度を不快に感じることを抑制して店舗内の快適性を向上させることができる。
【0012】
上記制御部が、複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、複数の空気調和機のうち運転を行う複数の空気調和機の運転台数を決定する制御を行うように構成されている店舗内空気調和機の運転制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、複数の空気調和機の運転台数を決定する制御を行うとともに、店舗内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、複数の空気調和機の冷房運転と暖房運転とを含む複数の空気調和機の運転モードを切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、快適性の指標に基づいて空気調和機の運転モードが切り替わるため、店舗内が暑すぎると感じる場合は冷房運転を行うとともに、店舗内が寒すぎると感じる場合は暖房運転を行うことができる。この結果、店舗内の温度が最適になるように空気調和機の運転モードを切り替えることができるため、店舗内の快適性をより向上させることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、制御部は、店舗内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、複数の空気調和機の設定温度の調整と、風量の調整と、風向の調整とのうち少なくとも1つを行うように構成されている。このように構成すれば、たとえば、夏期の店舗において、風向を調整することにより、外部から流入し天井近傍に溜まった熱い空気と空気調和機により冷却された店舗内空気と混ざることを抑制することができるため、店舗内の温度が上昇することを抑制することができる。また、たとえば、店舗内が寒すぎる場合に、冷房運転時の空気調和機の設定温度を上げるか、風量を小さくすることにより、店舗内の温度を高くすることができる。これらの結果から、店舗内の温度がより最適な温度になるように効果的に調整することができる。
【0014】
上記第1の局面による店舗内空気調和機の運転制御システムにおいて、好ましくは、複数の店舗内熱供給排出機器は、冷却されるショーケースを含み、制御部は、ショーケースを冷却する際に、ショーケースの負荷が所定値よりも大きくなる場合に、空気調和機の設定温度を現在の設定温度よりも低くする制御を行うように構成されている。このように構成すれば、空気調和機の設定温度を現在の設定温度よりも低くすることにより、店舗内の温度が下がるため、店舗内の温度によるショーケースへの影響を小さくすることができる。この結果、店舗内の温度が高い場合と比べて、ショーケース内の空気を冷却する場合に小さな冷却能力で設定温度に冷却することができるため、冷却時のショーケースの負荷を軽減することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、制御部は、ショーケースの除霜動作を行う場合に、除霜動作の終了に基づいて空気調和機の設定温度を現在の設定温度から下げる制御を行うように構成されている。ここで、ショーケースの除霜動作を行う場合、たとえば、ショーケース内の冷却が弱まるため、ショーケース内の温度が上昇する。そのため、除霜動作終了後はショーケース内の温度を設定温度まで急速に冷却する必要があり、ショーケースの負荷が大きくなる。そこで、除霜動作の終了に基づいて空気調和機の設定温度を下げることにより、店舗内の温度を下げることができるとともに、店舗内の空気によってショーケース内の温度を下げることができる。この結果、ショーケース内の温度が過度に高い場合と比べて、小さな冷却能力で設定温度に冷却することができるため、冷却時のショーケースの負荷を軽減することができる。
【0016】
上記制御部が、複数の店舗内熱供給排出機器は、冷却されるショーケースを含む店舗内空気調和機の運転制御システムにおいて、好ましくは、複数の店舗内熱供給排出機器は、外気を除湿せずに店舗内に導入する外気導入空調機と、外気を除湿して店舗内に導入する除湿装置とを含み、制御部は、空気調和機の運転と外気温度とに基づいて、外気導入空調機の風向または風量と、除湿装置の風向または風量とのうち少なくとも一方を制御するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、空気調和機から吐出される空気と外気とのうち温度が低い空気をショーケースの近傍に向けるとともに、温度が高い空気をショーケースから離れる方向に流すように風向を調整することができるため、ショーケース近傍の空気の温度によるショーケースへの影響を小さくすることができる。この結果、ショーケース内の空気を冷却する場合に小さな冷却能力で設定温度に冷却することができるため、冷却時のショーケースの負荷を軽減することができる。
【0017】
上記第1の局面による店舗内空気調和機の運転制御システムにおいて、好ましくは、複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支は、正圧化空調機に基づく熱量と、外気温度および店舗内温度に基づく熱量と、照度に基づく熱量と、店舗内に配置されるショーケースの熱量と、のうち少なくとも1つを含む。このように構成すれば、店舗内の熱収支に影響を与える要因を考慮して、空気調和機の熱量を決定することができるため、空気調和機の運転効率を容易に向上させることができる。
【0018】
この発明の第2の局面による店舗内制御装置は、空気調和機の運転を制御する制御部を備え、制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量を含む店舗全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御する。
【0019】
この発明の第2の局面による店舗内制御装置では、上記のように、制御部は、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量を含む店舗全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御する。これにより、空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器の熱量に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機が運転されるため、空気調和機の熱量と、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量との均衡を保つことができる。この結果、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量に基づいて、店舗内を加熱または冷却するように、店舗内制御装置が空気調和機を制御することができるため、店舗において空気調和機ならびに複数の店舗内熱供給排出機器などの店舗内機器の運転効率を向上させることができる。
【0020】
この発明の第3の局面による店舗内空気調和機の運転制御方法は、空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を取得する工程と、熱収支を取得する工程で取得した熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引く工程と、設定熱収支から差し引く工程により得られた値に基づいて、店舗内に配置される空気調和機を運転する工程と、を備える。
【0021】
この発明の第3の局面による店舗内空気調和機の運転制御方法では、上記のように、熱収支を取得する工程で取得した熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引く工程と、設定熱収支から差し引く工程により得られた値に基づいて、店舗内に配置される空気調和機を運転する工程とを備える。これにより、複数の店舗内熱供給排出機器による熱収支を予め設定された店舗全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて空気調和機を運転することにより、店舗全体の熱収支が設定熱収支になるように精度よく空気調和機を運転することができる。また、空気調和機以外の複数の店舗内熱供給排出機器の熱量に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機を運転するため、空気調和機の熱量と、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量との均衡を保つことができる。この結果、第3の局面の店舗内空気調和機の運転制御方法により、複数の店舗内熱供給排出機器の熱量に基づいて、空気調和機が店舗内を加熱または冷却することができるため、店舗において空気調和機ならびに複数の店舗内熱供給排出機器などの店舗内機器の運転効率を向上させることができる。
【0022】
この発明の第4の局面によるプログラムは、第3の局面における店舗内空気調和機の運転制御方法をコンピュータに実行させる。
【0023】
この発明の第4の局面によるプログラムでは、上記第3の局面によるおける店舗内空気調和機の運転制御方法をコンピュータに実行させることにより、容易に空気調和機を用いて効率よく店舗内を冷却または加熱することが可能なプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、店舗において空気調和機ならびに店舗内機器の運転効率を向上させることが可能な店舗内空気調和機の運転制御システム、店舗内制御装置、店舗内空気調和機の運転制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態による運転制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による空気調和機および熱供給排気機器を店舗内に配置した店舗を示す上面図である。
【
図3】店舗内制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図4】空気調和機の運転台数の決定の流れを示すフローチャートである。
【
図5】空気調和機の運転台数の決定を説明するための図である。
【
図6】空気調和機の気流とショーケースのエアカーテンとの関係を示す図である。
【
図7】夏期における風向の調整の一例を示す図である。
【
図8】冬期における風向の調整の一例を示す図である。
【
図9】除霜運転と空気調和機の運転とを同期させていない場合の温度変化を示すグラフである。
【
図10】除霜運転と空気調和機の運転とを同期させた場合の温度変化を示すグラフである。
【
図11】除霜運転と空気調和機の運転とを同期させた別の場合の温度変化を示すグラフである。
【
図12】店舗外におけるエンタルピと外気導入空調機またはデシカント空調機のファンの出力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
[実施形態]
図1および
図2を参照して、一実施形態による店舗内空気調和機1の運転制御システム100の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、店舗内空気調和機1の運転制御システム100は、店舗内空気調和機1と、複数の店舗内熱供給排出機器2と、店舗内制御装置3とを備える。店舗内空気調和機1の運転制御システム100は、店舗内制御装置3により、店舗内空気調和機1を制御して、店舗50内を冷却または加熱するために用いられる。なお、店舗内制御装置3は、特許請求の範囲に記載した「制御部」の一例である。店舗内空気調和機1は、特許請求の範囲に記載した「空気調和機」の一例である。
【0029】
図2に示すように、店舗内空気調和機1は、店舗50内の天井に複数配置される。実施形態では、3台設けられている。店舗内空気調和機1は、図示しない熱交換器を含み、外部空気を加熱または冷却し、加熱または冷却された外部空気と、室内空気との間で熱交換を行うことにより、店舗50内の空気を加熱または冷却する。なお、
図2では、天井側をZ1とし、床側をZ2とする。また、天井および壁に配置される機器は実線で表し、床に配置される機器は破線で表す。
図2は、店舗50内の配置を模式的に示している。
【0030】
店舗内空気調和機1は、室内機と、室外機と、リモコンとを含む。室内機は、店舗50内の空気を吸い込みまたは吐出し、目標とする温湿度に制御するためのユニットである。店舗内空気調和機1は、店舗50内の空気を吸い込む店舗内空気吸い込み口と、店舗50内に空気を吐出する店舗内吐出口とを含む。室外機は、主に店舗50の外に配置され、室内機と冷媒配管を通して接続されている。室外機は、封入された冷媒を圧縮、凝縮または蒸発することで室内機が目標とする冷媒温度および冷媒状態で送出するとともに、使用後の冷媒を循環回収するサイクル運転を行うためのユニットである。リモコンは、店舗内空気調和機1の運転を制御するための外部入力と表示手段とを備える。店舗内空気調和機1の運転モードは、店舗50内を冷却する冷房運転と、店舗50内を加熱する暖房運転とを含む。運転モードは、さらに、店舗50内に送風し、空気を循環させる送風運転、または店舗50内の湿度を下げる除湿運転を含んでいてもよい。
【0031】
図1および
図2に示すように、複数の店舗内熱供給排出機器2は、ショーケース2aと、正圧化空調機2bと、外気導入空調機2cと、デシカント空調機2dと、照明2eと、換気扇2fとを含む。店舗内熱供給排出機器2は、店舗50内に対する熱の供給、店舗50内から外部に熱を排出、または吸熱のうち少なくとも1つを行う機器である。なお、店舗50には、ショーケース2a以外に、熱量の増減に略関与しない陳列棚15が配置されている。なお、熱量の増減に関与する店舗内熱供給排出機器2と、熱量の増減に略関与しない陳列棚15などをまとめて店舗内機器とする。デシカント空調機2dは、特許請求の範囲に記載した「除湿装置」の一例である。
【0032】
ショーケース2aは、冷蔵ショーケースと、冷凍ショーケースとを含む。ショーケース2aは、運転モードとして冷却運転と、加熱運転と、除霜運転と、停止とが行われる。ショーケース2aは、図示しない冷媒が循環する冷凍サイクルを含む。また、ショーケース2aは、冷凍サイクルの一部である、主に冷媒を圧縮および送出するためのコンプレッサを内蔵したショーケース室外機が別となっている別置型ショーケースと、コンプレッサが内蔵されている内蔵型ショーケースとを含む。ショーケース2aは、冷媒の蒸発熱により冷却されるとともに、ヒータまたは冷媒の凝縮熱を使用し加熱される。
【0033】
別置型ショーケースは、冷却(チルド)状態と、常温状態と、加熱状態とを切り替えることができる什器である。この場合、冷却または常温の温度を維持するために冷却が行われるとともに、常温、加熱の温度を維持するために加熱が行われる。また、棚ごとに気流を管理する(棚ごとに冷却状態と加熱状態とを分ける)構造を持つものもあり、冷却状態と加熱状態とを混在させる機器もある。
【0034】
別置型ショーケースは、別置型リーチインショーケースと、別置型ウォークインショーケースとを含む。別置型リーチインショーケースは、主にガラスドアで密閉されたショーケースであり、ガラスドアを開けて商品が補充される。また、別置型リーチインショーケースでは、冷蔵、冷凍温度帯の機器がある。温度を維持するために冷却を行う。
【0035】
別置型ウォークインショーケースとは、冷却された室内に人が入り、商品の保管および補充を行うことができるプレハブ配置型のショーケースである。
【0036】
内蔵型ショーケースは、内蔵型リーチインケースと、内蔵型アイスケースとを含む。内蔵型リーチインケースと、内蔵型アイスケースとは、別置型リーチインショーケースと同様に、主にガラスドアで密閉されたショーケースであり、ガラスドアを開けて商品が補充される。
【0037】
正圧化空調機2bは、店舗50内を外部に対して正圧(圧力が高い)状態にし、外気が侵入しないようにするための装置である。正圧化空調機2bは、店舗内制御装置3により設定目標値になるように回転数を制御される。
【0038】
外気導入空調機2cは、ファンを駆動させて店舗50内に強制的に外気を導入するための装置である。外気導入空調機2cは、店舗内制御装置3により風量、風向、およびファンの回転数を制御される。
【0039】
デシカント空調機2dは、吸湿材を介して外気または店舗50内の空気を除湿して、店舗50内に放出する装置である。店舗内制御装置3は、店舗50内の現在湿度と、店舗50内の目標湿度との差によりデシカント空調機2dの運転強度を決定する制御を行う。
【0040】
照明2eは、店舗50内に設けられる。照明2eは、たとえば、LED(Light Emitting Diode)を含む。
【0041】
換気扇2fは、ファンを使用して店舗50内の空気を強制排気する。
【0042】
図1および
図2に示すように、店舗内制御装置3は、オンライン環境においてクラウドと組み合わせるシステムでも良い。店舗内制御装置3は、通信手段と、受信した値を記憶するメモリ部と、演算部とを含む。店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1と、店舗内熱供給排出機器2とを制御する。店舗内制御装置3は、店舗50内内に配置されている店舗内空気調和機1と、店舗内熱供給排出機器2と相互の通信可能である。店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1と店舗内熱供給排出機器2とから、現在の状態を取得するとともに、取得した状態に基づき、店舗内空気調和機1と店舗内熱供給排出機器2とに指令を行う。
【0043】
また、店舗内制御装置3は、インターネット網または専用の通信手段のいずれかである通信網40により上位端末と連携することにより上位サーバ20との情報伝達、指令値の受信を行う。店舗内制御装置3は、上位サーバ20からの指令に応じて、店舗内空気調和機1と、店舗内熱供給排出機器2とから、現在の状態を取得するとともに、取得した状態に基づき、店舗内空気調和機1と店舗内熱供給排出機器2とに指令を行う。店舗内制御装置3は、たとえば、制御端末である。たとえば、店舗内制御装置3は、各ショーケース2aに設定された目標温度と現在庫内温度値を比較してショーケース2aの内部の冷却または加熱を行う。
【0044】
図1および
図2に示すように、店舗内制御装置3は、通信網40によって時計サーバ30と通信する。また、店舗内制御装置3は、店舗内温湿度計4と、店舗外温湿度計5と、カーテン6と、日射計7と、電力量計8と、出入り検出用センサ9と、伝導熱検出用センサ10とを制御する。
【0045】
店舗内温湿度計4は、店舗50内に設けられ、店舗50内の温度および湿度を計測する。店舗内温湿度計4で測定された店舗50内温度および店舗50内外湿度のデータは、店舗内制御装置3と送信される。店舗内温湿度計4は、店舗内温度の偏りおよび気流の影響が少ない場所で、かつ、人の高さに配置される。たとえば、店舗内温湿度計4は、人の滞留の多い会計場所13の近く、または、日射の影響を受けやすい窓側、または、冷気による影響が受けやすいショーケース2aの近くに配置される。会計場所13とは、キャッシュレジスターが配置されている場所である。
【0046】
店舗外温湿度計5は、店舗50外に設けられ、店舗50外の温度および湿度を計測する。店舗外温湿度計5で測定された店舗50外温度および店舗50外湿度のデータは、店舗内制御装置3と送信される。店舗外温湿度計5は、直射日光の影響を受けない箇所に配置される。
【0047】
カーテン6は、店舗50の窓に取り付けられている。カーテン6は、日射による店舗50内への熱影響を低減するように配置される。店内訴求効果の向上のため、遮光が不要な場合には、カーテン6は開状態にされる。カーテン6は、たとえば、ロールカーテンであり、巻取り部は天井側(上部)に配置される。カーテン6は、自動で巻き取られた開状態と、延ばされた閉状態とが切り替えられる。カーテン6の巻取り部の近傍にスイッチが設けられており、店舗内制御装置3は、スイッチにより開状態または閉状態のいずれの状態かを検知する。カーテン6は、手動で開状態と閉状態とを切り替えられてもよく、店舗内制御装置3が、カーテン6の状態を切り替える制御を行ってもよい。また、巻取り部は床部(下部)に配置しても良い。また、カーテン6は、横開きのカーテンでもよい。また、カーテンの開閉としてブラインドの開閉またはスライドを用いてもよい。
【0048】
日射計7は、店舗50内に差し込む日射量を検出するための検出器である。日射計7で検出された日射量は、店舗内制御装置3に送信される。
【0049】
電力量計8は、店舗内熱供給排出機器2の電力量を計測するための計測器である。電力量計8は、店舗内熱供給排出機器2の運転状態を検出し、熱量の導出量の算出、または各機器の運転状態のデータを作成するために使用される。電力量計8で検出された電力量は、店舗内制御装置3に送信される。
【0050】
出入り検出用センサ9は、たとえば、人感センサまたはカメラである。出入り検出用センサ9は、店舗50内に流出入する人と、店舗50内を移動する人と、店舗50内に滞留する人とを検出するために用いられる。出入り検出用センサ9の検出結果は、店舗内制御装置3に送信される。
【0051】
伝導熱検出用センサ10は、店舗50内に流入する熱量、および店舗50内から放出される熱量を検出するための検出部である。伝導熱検出用センサ10の検出結果は、店舗内制御装置3に送信される。
【0052】
(店舗内制御装置3の制御)
店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2の熱量を含む店舗50全体の熱収支に基づいて、店舗全体の熱収支を所定値に保つように店舗内空気調和機1の運転を制御するように構成されている。具体的には、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を予め設定された店舗50全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、店舗50全体の熱収支Qを所定値(設定熱収支Qx)に保つように店舗内空気調和機1の運転を制御するように構成されている。所定値は、たとえば、0である。
【0053】
店舗50全体の熱収支Qは、Qsun+Qwall+Qvn+Qsco+Qac+Qvout+Qsch+Qill+Qetによって求められる。これらの値は、店舗50内を加熱する場合は正の値となり、店舗50内を冷却する場合は負の値となる。また、店舗内制御装置3が、店舗内空気調和機1の運転を制御するとは、複数の店舗内空気調和機1のうち運転を行う複数の店舗内空気調和機1の運転台数を決定する制御である。具体的な制御は、後述する。
【0054】
Qsunは、日射の照度による熱量である。Qsunは、日射計7の検出結果に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qwallは、壁を介して伝達される熱量である。Qwallは、伝導熱検出用センサ10の検出結果に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qvnは、換気扇2fによる熱量である。Qvnは、換気扇2fの運転状態に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qscoは、外気導入空調機2cの給気による熱量である。Qscoは、外気導入空調機2cの運転状態に基づいて店舗内制御装置3により取得される。
【0055】
Qacは、店舗内空気調和機1による熱量である。Qacは、複数の店舗内空気調和機1の熱量の総和である。Qacは、複数の店舗内空気調和機1の運転状態に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qvoutは、正圧化空調機2bによる導入空気による熱量である。Qvoutは、正圧化空調機2bの運転状態に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qschは、ショーケース2aによる熱量である。Qschは、複数のショーケース2aの熱量の総和である。Qschは、ショーケース2aの運転状態に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qillは、照明2eの照度による熱量である。Qillは、照明2eの照度に基づいて店舗内制御装置3により取得される。Qetは、その他の要因による熱量である。Qetは、カーテン6の状態と、デシカント空調機2dの運転状態と、電力量計8の検出結果と、出入り検出用センサ9の検出結果とを含む熱要因に基づいて店舗内制御装置3により取得される。
【0056】
店舗内制御装置3は、運転台数が決定された複数の店舗内空気調和機1の運転条件として、運転を行う複数の店舗内空気調和機1の優先順位の設定を行うように構成されている。店舗内空気調和機1の優先順位とは、たとえば、
図2に示すように、入り口12および会計場所13に近い店舗内空気調和機1の優先順位を1位にし、優先順位が1位の店舗内空気調和機1と反対側に配置される店舗内空気調和機1の優先順位を2位とする。
図2では、会計場所13から一番離れた位置に配置されている店舗内空気調和機1である。これによって、店舗50内をバランスよく冷却または加熱することができる。
【0057】
店舗内制御装置3は、店舗50内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、複数の店舗内空気調和機1の運転モードを切り替える制御を行う。
【0058】
店舗内制御装置3は、店舗50内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、さらに、店舗内空気調和機1の設定温度の調整と、店舗内空気調和機1の風量の調整と、店舗内空気調和機1の風向の調整とのうち少なくとも1つを行うように構成されている。
【0059】
店舗内制御装置3は、ショーケース2aを冷却する際に、ショーケース2aの負荷が所定値よりも大きくなる場合に、店舗内空気調和機1の設定温度を現在の設定温度よりも低くする制御を行う。
【0060】
店舗内制御装置3は、ショーケース2aの除霜動作を行う場合に、除霜動作の終了に基づいて店舗内空気調和機1の設定温度を現在の設定温度から下げる制御を行う。
【0061】
(空気調和機の運転制御システム)
図3を用いて、店舗内空気調和機1の運転制御システム100における店舗内制御装置3の制御について詳細について説明する。
【0062】
店舗内制御装置3は、ステップS1として、情報を取得する。店舗内制御装置3が取得する情報を以下に記載する。
【0063】
店舗内制御装置3は、時計サーバ30から、現在時刻を情報として取得する。
【0064】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1に関する情報を取得する。店舗内空気調和機1に関する情報は、現在の運転モードと、風量と、風向と、運転台数と、室外機の現在回転数と、吹き出し空気温度と、室外機外気温度とを含む。これらの情報は、店舗内空気調和機1で検出され、ローカル通信などの通信、またはAPI(Application Programing Interface)などのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0065】
店舗内制御装置3は、正圧化空調機2bに関する情報を取得する。正圧化空調機2bに関する情報は、現在の運転設定目標値と、店舗内外の現在の差圧と、正圧化空調機2bの現在回転数とを含む。これらの情報は、正圧化空調機2bで検出され、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0066】
店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cに関する情報を取得する。外気導入空調機2cに関する情報は、風量と、風向と、外気導入空調機2cのファンの現在回転数とを含む。これらの情報は、外気導入空調機2cで検出され、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0067】
店舗内制御装置3は、カーテン6の現在の状態に関する情報を取得する。カーテン6は、開閉状態にするためのアクチュエータを含む。カーテン6の状態に関する情報は、カーテン6を開閉状態にするためのアクチュエータに取付けたスイッチと、画像認識と、または内部判定とのうち少なくとも1つに基づいて取得される。内部判定は、時間と、店舗50の向きと、ロケーション(オープン型店舗またはビルイン型店舗)と、店舗内空気調和機1の運転モードと、外気温度または店舗内温度とのうち少なくとも1つから推定したカーテン6の開閉状態の判定である。以下本願明細書では内部判定という用語は同じように判定することを意味する。これらの情報は、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。なお、カーテン6がセンサを含み、センサにより開閉状態が取得されてもよい。
【0068】
店舗内制御装置3は、外気温度と外気湿度とに関する情報を取得する。外気温度と外気湿度は、店舗外に配置した店舗外温湿度計5が計測した数値、または気象庁などが計測した数値に基づく。これらの情報は、APIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。また、これらの情報は、店舗内空気調和機1の室外機またはショーケース室外機などの機器が検出した値をローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携されてもよい。
【0069】
店舗内制御装置3は、店舗内温度と店舗内湿度とに関する情報を取得する。店舗内温度と店舗内湿度とは、店舗50内に配置した店舗内温湿度計4が計測した数値、または、店舗内空気調和機1およびショーケース2aなどの店舗内熱供給排出機器2が検出した値である。これらの値は、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0070】
店舗内制御装置3は、店舗50内の照度に関する情報を取得する。店舗50内の照度に関する情報は、図示しない店舗50内に取り付けた輝度計と、内部判定と、取得した現在位置の天気予報によって求めた外光照度とのうち少なくとも1つに基づいて取得される。これらの情報は、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0071】
店舗内制御装置3は、照明2eの照度に関する情報を取得する。照明2eの照度に関する情報は、照明2eで検出した値である。この値は、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。なお、照明2eの照度については図示しない店舗内照度計の計測値から推定してもよい。また、店舗内照度計の夜間の検出値より照明2eの照度を推定し、配置された照明2eの変換効率より店舗50内に発生する熱量を推定してもよい。
【0072】
店舗内制御装置3は、電力量計8により計測された電力量、または負荷の運転から推定した電力量を取得する。
【0073】
店舗内制御装置3は、別置型ショーケースに接続されているショーケース室外機の現在回転数と、各弁開閉運転率(内蔵型ショーケースの現在回転数)とに関する情報を取得する。これらの情報は、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0074】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1およびショーケース2aの過去1時間の運転状態の実測値および未来1時間の運転状態の予測値を取得してもよい。これらの情報は、ローカル通信などの通信、またはAPIなどのインターフェースにより店舗内制御装置3と連携される。
【0075】
ステップS2では、状態量を計算する。具体的には、ステップS1により得た情報と、保有している現在状態とより状態量の計算をする。状態量としては、現在季節と、店舗外エンタルピと、店舗内エンタルピと、PMV値(predicted mean vote)と、店舗内熱負荷と、店舗内空気調和機1およびショーケースの過去1時間(時間単位は例)の運転率または平均値と、を含む。
【0076】
現在季節とは、冬期、夏期および中間期を含み、時計サーバ30から取得した時間から計算される。
【0077】
店舗外エンタルピは、店舗外温湿度計5から得られた店舗50外の温湿度に基づいて算出される。店舗内エンタルピは、店舗内温湿度計4から得られた店舗50内の温湿度に基づいて算出される。
【0078】
PMV値は、店舗50内の温度と、湿度と、放射と、気流と、人の活動量と、人の着衣量とから得られる快適性の指標である。人の活動量と、人の着衣量とは予め設定されており、着衣量は、季節により異なる。たとえば、夏期は、0.5に設定し、冬期は、1.0に設定される。季節は、上記の通り時計サーバ30から得られた情報に基づく。人の活動量は、立ち仕事の多い店舗50の場合は、座り仕事の多い仕事と比べて高く設定する。店舗50内の温度と湿度とは、店舗内温湿度計4に基づいて取得される。店舗50内の放射は、日射計7などから得られる。店舗50内の気流は、店舗内空気調和機1の運転状態と、正圧化空調機2bの運転状態と、外気導入空調機2cの運転状態と、換気扇2fの運転状態とに基づいて得られる。PMV値は、快適を0とし、「やや暑い」を1とし、「暑い」を2とし、「非常に暑い」を3とする。また、「やや寒い」を-1とし、「寒い」を-2とし、「非常に寒い」を-3とする。正の値の場合、値が大きくなるにつれ不快に感じるものとする。また、負の値の場合、値が小さくなるにつれ不快に感じるものとする。
【0079】
店舗内熱負荷は、店舗50内に配置された店舗内空気調和機1と店舗内熱供給排出機器2とから発する熱量である。店舗内熱負荷は、店舗内空気調和機1の運転状態と、正圧化空調機2bの運転状態と、外気導入空調機2cの運転状態と、換気扇2fの運転状態とに基づいて得られる吸排気および熱伝達と、日射計7などにより得られる放射とにより交換する熱量により求まる。
【0080】
ステップS3では、取得した状態量に基づいて店舗内空気調和機1と、店舗内熱供給排出機器2との操作量を決定する。
【0081】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転台数の決定を行う。店舗内空気調和機1の運転台数の決定の詳細は、後述する。
【0082】
店舗内制御装置3には、店舗内空気調和機1の優先順位が設定されている。店舗内制御装置3は、運転優先ユニット順に店舗50内で必要な熱量(複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を予め設定された店舗50全体の設定熱収支から差し引いた値)と係数比較を行い、一部の店舗内空気調和機1で能力を満足した場合には運転を間引く。
【0083】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転モードの決定を行う。店舗内制御装置3は、店舗内快適性(PMV値など)を閾値として店舗内空気調和機1の運転モードを決定する。例えば、店舗内快適性が暑いと判定する場合は冷房運転と判定する。例えば、店舗内快適性が非常に寒い(-3)と判定する場合は暖房運転と判定する。例えば、店舗内快適性が快適(0)と判定する場合は停止または送風運転と判定する。より快適な状態(たとえば、0以上0.5以下)と判定した場合には停止と判定し、不快寄り(たとえば、0.5を超えて1以下)の状態と判定した場合には送風運転と判定する。送風運転による気流の対流は室内の温度偏りを改善することが可能となる。
【0084】
店舗内制御装置3は、季節別に温度設定値を記憶していてもよい。店舗内制御装置3は、記憶した温度設定と、現在の店舗50内の温度との乖離値より店舗内空気調和機1の運転モードを決定する。また、店舗内制御装置3は、冷房運転および暖房運転以外の店舗内空気調和機1の運転モードを決定した場合であって、送風運転または除湿運転を行う場合は、事前に決めた運転台数で運転させる。送風運転により、空気の対流を作ることで空気の偏りを改善させる。また、除湿運転により、店舗内の湿度を低減することで店舗内エンタルピを低下させ、快適性を改善させる。
【0085】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の温度設定を決定する。店舗内制御装置3は、運転モード毎、および店舗内空気調和機1毎に温度設定を行ってもよい。店舗内制御装置3は、現在室温により設定温度の補正をしてもよい。たとえば、店舗内制御装置3は、冷凍効率を比較し、店舗内空気調和機1の方がショーケース2aよりも冷凍効率がよい場合に補正を行う。店舗内制御装置3は、現在の店舗50内の温度が目標温度に対し著しく高い場合には、冷房運転および暖房運転は、ともにマイナス量のシフト量を加算する。そうすることで、ショーケース2aの冷却運転負荷を低減することができる。
【0086】
また、店舗内制御装置3は、冷房運転時では、店舗内空気調和機1による店舗50内の冷却と、ショーケース2aの冷却とは運転する能力が協調可能な運転の組み合わせである。そのため、店舗内制御装置3は、店舗外温度が暑い過酷な条件下においては店舗内空気調和機1の設定温度を下げる事によりショーケース2aの負荷を下げる制御を行う。
【0087】
また、店舗内制御装置3は、暖房運転時では、暖房運転による店舗50内の加熱と、ショーケースの冷却は運転する能力が干渉する運転の組み合わせである。そのため、店舗内制御装置3は、店舗外温度が寒い過酷な条件下においては店舗内空気調和機1の設定温度を下げることによりショーケースの負荷を軽減する。
【0088】
これらの制御は、
図6に示すように、ショーケース2aのうち、商品を出し入れする側である正面側に、扉を設けていないオープン型のショーケース2aの場合に特に有効である。オープン型のショーケース2aの場合、冷却された空気を循環させて正面側に破線で示すエアカーテンを設けることにより、内部温度の変化を抑制している。店舗内空気調和機1によって吹き出された空気の一部は、エアカーテンに巻き込まれるため、エアカーテンの温度およびショーケース2a内の温度に影響を及ぼす。そのため、店舗内空気調和機1の設定温度を下げる事によりエアカーテンの温度が下がるため、冷却に必要な能力を下げることができ、循環した空気を再度冷却する際の負荷が軽減される。
【0089】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の風量設定を決定する。店舗内制御装置3は、快適性と、設定温度と室内温度とにより店舗内空気調和機1の風量を決定する。快適性にはPMV値と、不快指数等と、定量的な値とのうちいずれか1つを用いる。快適性と、設定温度とを絞るほど風量は、弱く調整される。
【0090】
店舗内制御装置3は、冷房運転時に設定温度よりも低い場合と、暖房運転時に設定温度よりも高い場合に店舗内空気調和機1を運転している場合は、店舗内空気調和機1の風量を弱く設定する。店舗内制御装置3は、現在の室内温度が店舗内空気調和機1の設定温度から離れている程度により風量を調整する。冷房運転時には、店舗内制御装置3は、設定温度に対し何℃高いかを比較し設定する。なお、冷房運転時に設定温度より店舗50内の温度が低い場合は、風量を下限値に設定する。例えば、暖房運転は設定温度に対し何℃低いかを比較する。なお、暖房運転時に設定温度より店舗50内の温度が高い場合は、風量を下限値に設定する。
【0091】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の風向設定を決定する。店舗内制御装置3は、快適性と、設定温度と室内温度とにより店舗内空気調和機1の風向を決定する。店舗内制御装置3は、目標とする快適性と、店舗内空気調和機1の設定温度とに近づくほど水平向きに調整する。冷房運転時に店舗50内が設定温度よりも低い場合と、暖房運転時に店舗50内が設定温度よりも高い場合とにおいて、店舗内空気調和機1を運転している場合は、店舗内制御装置3は、風向を水平向きに設定する。なお、風を吹き降ろすと店舗全体に対し店舗内空気調和機1の運転を馴染ませる方向になるが、店舗50内の人の快適性を向上させる効果が得られるため、風向をそのように調整する。風向は、天井に沿った流れから、徐々に、下方に傾斜し、吹き降ろす流れまで複数段階にわたって調整可能である。本実施形態では、7段階として、1段階目が水平であり、7段階目が水平方向に対して下方に傾斜する角度が最も大きい状態とする。なお、複数段階は、7段階に限られない。また、7段階目の傾斜角度は水平方向に対して90度(鉛直方向)でもよいが、90度未満であってもよい。
【0092】
店舗内制御装置3は、店舗50内を正圧状態にするために正圧化空調機2bの導入量設定を決定する。店舗内制御装置3は、目標差圧と、他の店舗内熱供給排出機器2とに応じた導入量により正圧化空調機2bの導入量を制御する。店舗50の内部の圧力と外気圧とを比較し、正圧(陽圧)状態の方が店舗50内への外気流入を少なくすることが可能である。
【0093】
店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cと、デシカント空調機2dとの風向設定について決定する。店舗内制御装置3は、目標差圧と、店舗内熱供給排出機器2とに応じた導入量により外気導入空調機2cと、デシカント空調機2dとの風向設定を制御する。正圧化空調機2bと同じく店舗50内部を正圧状態にするために外気導入空調機2cの外気導入量を調整し、一定の湿度を検出した場合にはデシカント空調機2dの運転と風向とを決定する。外気導入した風量は一般的なシロッコファンの給気定格量が1000m3/h程度の住宅用のものであれば定格容量に近い強い風を給気するのが望ましい。
【0094】
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転モードと外気温度とに基づいて、外気導入空調機2cの風向または風量と、またはデシカント空調機2dの風向または風量とのうち少なくとも一方を制御する。具体的には、店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転モードと外気温度に基づく店舗外エンタルピとに基づいて、外気導入空調機2cの風向または風量と、またはデシカント空調機2dの風向または風量とのうち少なくとも一方を制御する。なお、外気温度に加えて外気湿度に基づいて店舗内制御装置3は、店舗外エンタルピを取得し、制御を行ってもよい。ショーケース2aの設定温度が5℃とし、店舗外温湿度計5により取得された外気温度をToとし、店舗内空気調和機1の暖房運転時の設定温度をTaとする場合を例に、店舗内制御装置3が外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向を制御する場合について説明する。
【0095】
店舗内空気調和機1の運転モードが暖房運転の場合について説明する。To<Taの場合、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向に対して最も傾斜する角度(本実施形態では、7段階目)に調整する制御を行う。これにより、
図7に示すようにショーケース2a前に吹き降ろす風向とすることができるため、ショーケース2aの冷却効率を上げることができる。To≧Taの場合、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向(本実施形態では、1段階目)に調整する制御を行う。これにより、温かい空気によるショーケース2aへの影響を小さくすることができる。また、暖房運転時の店舗内空気調和機1の吹き出し温度は、設定温度よりも高い温度であるため、比較に用いる設定温度Taは、実際の設定温度Taにオフセット値を付加してもよい。
【0096】
店舗内空気調和機1の運転モードが送風運転の場合について説明する。To>Taの場合、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向に対して最も傾斜する角度(本実施形態では、7段階目)に調整する制御を行う。To≦Taの場合、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向(本実施形態では、1段階目)に調整する制御を行う。この場合、外気が店舗内空気調和機1の店舗内吐出口に流れるため、店舗内空気調和機1の風向きを
図8に示すようにショーケース2a前に吹き降ろす風向とすることにより、店舗50内の暖かい空気と、ショーケース2aとの間に、店舗50内の空気よりも温度は低いが、ショーケース2aのエアカーテンよりも温度が高い空気をエアカーテンのように流すことができる。この結果、店舗50の内部の暖かい空気が、ショーケース2a内の冷たい空気と混ざることが抑制されるため、ショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0097】
店舗内空気調和機1の運転モードが冷房運転の場合について説明する。冷房運転の場合には、店舗50内に導入する外気は熱負荷となるため、店舗内空気調和機1の店舗内空気吸い込み口に向けて吹き出すよう設定する。具体的には、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向(本実施形態では、1段階目)に調整する制御を行う。
【0098】
店舗内空気調和機1の運転モードが停止の場合について説明する。To>Taの場合、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向に対して最も傾斜する角度(本実施形態では、7段階目)に調整する制御を行う。To≦Taの場合、店舗内制御装置3は、外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風向きを水平方向(本実施形態では、1段階目)に調整する制御を行う。この場合、外気が店舗内空気調和機1の店舗内吐出口に流れるため、店舗内空気調和機1の風向きを
図8に示すようにショーケース2a前に吹き降ろす風向とすることにより、店舗50内の暖かい空気と、ショーケース2aとの間に、店舗50内の空気よりも温度は低いが、ショーケース2aのエアカーテンよりも温度が高い空気をエアカーテンのように流すことができる。この結果、店舗50の内部の暖かい空気が、ショーケース2a内の冷たい空気と混ざることが抑制されるため、ショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0099】
図12に基づいて、ショーケース2aの設定温度が5℃とする場合を例に、店舗内制御装置3が外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風量を制御する場合について説明する。
図12のグラフでは、横軸に店舗外における比エンタルピをプロットし、縦軸に制御される外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dのファンの出力をプロットしている。
【0100】
店舗内空気調和機1の運転モードが、冷房運転以外(
図12では一点鎖線で表している)の場合について説明する。この場合、店舗内制御装置3は、店舗50内に導入する外気の空気温度とショーケース2a内の温調温度との相関により店舗内制御装置3が外気導入空調機2cまたはデシカント空調機2dの少なくとも一方の風量を決定する。ショーケース2a内の温度設定は概ね5℃程度で運転している場合において、店舗内エンタルピと比較し、熱負荷を軽減可能である場合、積極的に外気導入を行う。
図12の場合、店舗外における比エンタルピが30[kJ/kg]以下の場合に100%の風量で外気を導入する。導入した外気をそのまま取り込む外気導入空調機2cと、外気を除湿して取り込むデシカント空調機2dとは外気を除湿するかしないかの違いがある。そのため、導入する外気温度が同じ場合であっても温度/湿度から得られるエネルギー量であるエンタルピの値は除湿量によって異なる。言い換えると、デシカント空調機2dは、外気導入空調機2cよりもエンタルピが小さくなる。そのため、店舗内制御装置3は、店舗内エンタルピと比較して、外気導入空調機2cとデシカント空調機2dとのうち制御する装置を選択する。
【0101】
店舗内空気調和機1の運転モードが、冷房運転以外(
図12では破線で表している)の場合について説明する。店舗内空気調和機1の運転モードが、冷房運転の場合、店舗50内に導入された外気は天井と水平(本実施形態では、1段階目)とし、店舗内空気調和機1の冷却能力に対し過負荷とならない外気温度の範囲で積極的に外気が導入される。導入される外気の風向と風量とは、店舗内空気調和機1の冷房運転時に直接吸気できる空気を目的として決定される。
図12では店舗外における比エンタルピが130[kJ/kg]以下の場合に100%の風量で外気を導入することを示している。直接外気を導入することで、除湿量の増加、熱交換量の最大化を狙い、従来と比較し、店内空気に対する熱負荷量を低減させ、相対的にショーケース2aを含むとする冷却が必要な機器に対する熱負荷を低減させることができる。なお、冷房運転時における、外気導入空調機2cおよびデシカント空調機2d風量は基本的に最大定格値とする。これは、店舗内空気調和機1の店舗内空気吸い込み口に向けて吹き出すよう風向を制御するため、店内気流に負けないよう強い風で送出するためである。
【0102】
店舗外温度が、氷点下以下の温度帯の場合、店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転モードに関わらず、氷点下帯の外気を店舗50内に積極的に導入する制御は行わない。これは、導入する外気が店舗50内に空気を吐出する店舗内吐出口において、凍結して、氷柱が形成されたり、冷却された水が店舗50内に滴下したり、吐出される空気が雲状に吹き出されたりすることを抑制するためである。
【0103】
図7に示すように、外気温度が高い夏期の場合、店舗内制御装置3は、外部から導入した空気を天井に沿って店舗内空気調和機1の取り込み口に流すように気流の向きを調整する。これにより、天井付近の暖かい(熱い)空気が、外気とともに店舗内空気調和機1に流れ、店舗50の上部の暖かい空気と、店舗50内の下部の冷たい空気と混ざることが抑制される。これにより、ショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0104】
図8に示すように、外気温度が低い冬期の場合、店舗内空気調和機1が暖房運転時に、店舗内制御装置3は、ショーケース2aに吹きおろすように気流の向きを調整する。これにより、店舗50内の暖かい空気と、ショーケース2aとの間に、店舗50内の空気よりも温度は低いが、ショーケース2aのエアカーテンよりも温度が高い空気がエアカーテンのように流れるため、店舗50の内部の暖かい空気が、ショーケース2a内の冷たい空気と混ざることが抑制される。これにより、ショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0105】
店舗内制御装置3は、カーテン6の開度の決定を行う。店舗内制御装置3は、店舗内熱負荷と、快適性とによりカーテン開閉を判定する。店舗内空気調和機1の運転モードが停止、冷房運転、送風運転、または除湿運転の場合であり、かつ日射有りの場合において、店舗内制御装置3は、店舗50内の負荷がマイナス量(寒い)の場合には開状態に開度を調整するとともに、プラス量(暑い)の場合には閉状態に開度を制御する。運転モードが冷房運転の場合は相反する熱量のため、店舗内制御装置3は、日射有り時の場合には常時カーテン6を閉状態としてもよい。また、暖房運転の場合には常時開状態にしても良い。
【0106】
ステップS4では、店舗内制御装置3は、ステップS3で決定した操作量を店舗内熱供給排出機器2に指示する。そして、ステップS5では、ステップS1~S3で取得した情報を記憶部に保存する。
【0107】
(店舗内空気調和機1の運転台数の決定)
店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転制御方法を用いて、運転台数を決定する制御を行う。
【0108】
図4に示すように、まず、ステップS11として、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を取得する。具体的には、
図3のステップS1と同様に、店舗内熱供給排出機器2およびその他の機器の情報を取得し、店舗内空気調和機1以外の熱量の合計(熱収支)を取得する。ステップS12として、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を予め設定された店舗50全体の設定熱収支Qxから差し引く。つまり、Qac=Qx-(Qwall+Qvn+Qsco+Qvout+Qsch+Qill+Qet)となる。なお、設定熱収支Qxが0の場合は、Qac=-(Qwall+Qvn+Qsco+Qvout+Qsch+Qill+Qet)となる。これにより求められたQacから、店舗内熱供給排出機器2は、店舗内空気調和機1の必要能力(熱量)を導出する。ステップS13として、店舗内空気調和機1の運転台数を決めて、店舗内空気調和機1の運転を行う。
【0109】
図5に示すように、冷房運転の場合、店舗内熱負荷を正値で各店舗内空気調和機1の定格能力と比較する。また、暖房運転の場合、店舗内熱負荷を負値(逆数で取った値)で各店舗内空気調和機1の定格能力と比較する。なお、店舗内空気調和機1の定格能力は、事前に入力されている値が用いられる。また、店舗内空気調和機1の定格能力は機器の劣化による係数との積を用いてもよい。例えば、配置時から定率の係数積としてもよく、運転時間を基にした係数積としてもよい。なお、定格能力とは店舗内空気調和機1の消費電力量とCOP(Coefficient Of Performance)との積により求まる仕事熱量を示す。
【0110】
店舗内熱負荷は、現在店舗内空気調和機1熱量よりも小さくする必要があるため、店舗内空気調和機1の定格能力に対し係数を付与し、値の大小が逆転しないようにされる。さらに、店舗内空気調和機1の定格能力は経年劣化により能力低下することが想定される。そのため、経年劣化を考慮した閾値入力がされるとともに、運転時間に応じた補正、または運転に対する応答性から補正を行ってもよい。
【0111】
たとえば、Qacが40となった場合に、店舗内空気調和機1の1台当たりの能力(最大熱量)が20とすると、空気調和機を2台とする。また、Qacが10となった場合に、店舗内空気調和機1の1台当たりの能力(最大熱量)が20とすると、空気調和機を1台とする。つまり、Qacを店舗内空気調和機1の1台当たりの能力(最大熱量)で求められる数の小数点第1を切り上げた数が必要台数となる。
【0112】
(除霜運転との同期)
ショーケース2aは、内部の空気を冷却する場合に着霜する場合がある。そのため、定期的に除霜運転は行われる。除霜運転は、冷媒の温度を上昇させる場合と、ヒータにより加熱する場合とがある。いずれの場合も、ショーケース2a内の温度が上昇する。
【0113】
図8に示すように、店舗内空気調和機1と除霜運転とを同期していない場合、除霜運転終了後は、ショーケース2a内の庫内温度が上昇するため、冷却する必要がある。そのため、ショーケース2aの必要電力量が増加する。
【0114】
店舗内空気調和機1と除霜運転とを同期させる場合につて説明する。
図9に示すように、除霜運転終了に合わせて、除霜運転の終了と同時に、店舗内空気調和機1の目標温度を下げることにより店舗50内の温度を下げる。これにより、ショーケース2aの庫内温度が下がるため、ショーケース2aの必要電力量を同期させない場合と比べて下げることができる。
【0115】
また、
図10に示すように、除霜運転終了に合わせて、予め店舗内空気調和機1の目標温度を下げることにより店舗50内の温度を下げる。これにより、ショーケース2aの庫内温度が下がるため、ショーケース2aの必要電力量を同期させない場合と比べて下げることができる。
【0116】
上記店舗内制御装置3の制御は、上位サーバ20を構成するコンピュータによってプログラムを実行することで行われてもよい。
【0117】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0118】
本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2の熱量を含む店舗50全体の熱収支に基づいて、店舗50全体の熱収支を所定値に保つように空気調和機の運転を制御するように構成されている。これにより、店舗内空気調和機1以外の複数の店舗内熱供給排出機器2の熱量に基づいて、店舗50全体の熱収支を所定値に保つように店舗内空気調和機1が運転されるため、店舗内空気調和機1の熱量と、複数の店舗内熱供給排出機器2の熱量との均衡を保つことができる。この結果、複数の店舗内熱供給排出機器2の熱量に基づいて、店舗内空気調和機1が店舗50内を加熱または冷却することができるため、店舗50において店舗内空気調和機1ならびに複数の店舗内熱供給排出機器2などの店舗内機器の運転効率を向上させることができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を予め設定された店舗50全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、店舗50全体の熱収支を所定値に保つように店舗内空気調和機1の運転を制御するように構成されている。これにより、店舗内制御装置3が、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を予め設定された店舗50全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて店舗内空気調和機1の運転を制御することにより、店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の熱量を設定熱収支に必要な熱量に精度よく調整することができる。これにより、店舗内空気調和機1を精度よく運転させることができるため、店舗内空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内空気調和機1は、店舗50内に複数配置され、店舗内制御装置3は、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支を予め設定された店舗50全体の設定熱収支から差し引いた値に基づいて、複数の店舗内空気調和機1のうち運転を行う複数の店舗内空気調和機1の運転台数を決定する制御を行うように構成されている。これにより、たとえば、店舗内空気調和機1の1台当たりの運転能力(熱量)の最大値に基づいて、運転を行う複数の店舗内空気調和機1の運転台数を決めることにより、運転を行う店舗内空気調和機1の台数に過不足が生じることを抑制することができるため、これによっても運転効率を効果的に向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置3は、運転台数が決定された複数の店舗内空気調和機1の運転条件として、運転を行う複数の店舗内空気調和機1の優先順位の設定を行うように構成されている。これにより、たとえば、店舗50内において入り口12および会計場所13のように人が多くなる場所に設けられた店舗内空気調和機1の優先度を最も高く設定し、人の滞留が少ない場所の店舗内空気調和機1の優先度を低く設定することができる。この結果、店舗内空気調和機1により人の多い場所から優先的に加熱または冷却することができるため、店舗内空気調和機1を効率よく運転させながら、多くの人が店舗50内の温度を不快に感じることを抑制して店舗50内の快適性を向上させることができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置3は、複数の店舗内空気調和機1の運転台数を決定する制御を行うとともに、店舗50内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、複数の空気調和機の冷房運転と暖房運転とを含む複数の空気調和機の運転モードを切り替える制御を行うように構成されている。これにより、快適性の指標に基づいて店舗内空気調和機1の運転モードが切り替わるため、店舗50内が暑すぎると感じる場合は冷房運転を行うとともに、店舗50内が寒すぎると感じる場合は暖房運転を行うことができる。この結果、店舗50内の温度が最適になるように店舗内空気調和機1の運転モードを切り替えることができるため、店舗50内の快適性を向上させることができる。
【0123】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置3は、店舗50内の温度と湿度とに基づく快適性の指標に基づいて、設定温度の調整と、風量の調整と、風向の調整とのうち少なくとも1つを行うように構成されている。これにより、たとえば、夏期の店舗50において、風向を調整することにより、外部から流入し天井近傍に溜まった熱い空気と店舗内空気調和機1により冷却された店舗50内空気と混ざることを抑制することができるため、店舗50内の温度が上昇することを抑制することができる。また、たとえば、店舗50内が寒すぎる場合に、冷房運転時の店舗内空気調和機1の設定温度を上げるか、風量を小さくすることにより、店舗50内の温度を高くすることができる。これらの結果から、店舗50内の温度がより最適な温度になるように効果的に調整することができる。
【0124】
また、本実施形態では、上記のように、複数の店舗内熱供給排出機器2は、冷却されるショーケース2aを含み、店舗内制御装置3は、ショーケース2aを冷却する際に、ショーケース2aの負荷が所定値よりも大きくなる場合に、店舗内空気調和機1の設定温度を現在の設定温度よりも低くする制御を行うように構成されている。これにより、店舗内空気調和機1の設定温度を現在の設定温度よりも低くすることにより、店舗50内の温度が下がるため、店舗50内の温度によるショーケース2aへの影響を小さくすることができる。この結果、店舗50内の温度が高い場合と比べて、ショーケース2a内の空気を冷却する場合に小さな冷却能力で設定温度に冷却することができるため、冷却時のショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0125】
また、本実施形態では、上記のように、店舗内制御装置3は、ショーケース2aの除霜動作を行う場合に、除霜動作の終了に基づいて店舗内空気調和機1の設定温度を現在の設定温度から下げる制御を行うように構成されている。ここで、ショーケース2aの除霜動作を行う場合、たとえば、ショーケース2a内の冷却が弱まるため、ショーケース2a内の温度が上昇する。そのため、商品が加熱されることを抑制するために、除霜動作終了後はショーケース2a内の温度を設定温度まで急速に冷却する必要があり、ショーケース2aの負荷が大きくなる。そこで、除霜動作の終了に基づいて店舗内空気調和機1の設定温度を下げることにより、店舗50内の温度を下げることができるとともに、店舗50内の空気によってショーケース2a内の温度を下げることができる。この結果、ショーケース2a内の温度が過度に高い場合と比べて、小さな冷却能力で設定温度に冷却することができるため、冷却時のショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0126】
また、本実施形態では、上記のように、複数の店舗内熱供給排出機器2は、外気を除湿せずに店舗50内に導入する外気導入空調機2cと、外気を除湿して店舗50内に導入するデシカント空調機2dとを含み、店舗内制御装置3は、店舗内空気調和機1の運転と外気温度とに基づいて、外気導入空調機2cの風向または風量と、デシカント空調機2dの風向または風量とのうち少なくとも一方を制御するように構成されている。これにより、たとえば、店舗内空気調和機1から吐出される空気と外気とのうち温度が低い空気をショーケース2aの近傍に向けるとともに、温度が高い空気をショーケース2aから離れる方向に流すように風向を調整することができるため、ショーケース2a近傍の空気の温度によるショーケース2aへの影響を小さくすることができる。この結果、ショーケース2a内の空気を冷却する場合に小さな冷却能力で設定温度に冷却することができるため、冷却時のショーケース2aの負荷を軽減することができる。
【0127】
また、本実施形態では、上記のように、複数の店舗内熱供給排出機器2による熱収支は、正圧化空調機2bに基づく熱量と、外気温度および店舗内温度に基づく熱量と、照度に基づく熱量と、店舗50内に配置されるショーケース2aの熱量と、のうち少なくとも1つを含む。これにより、店舗50内の熱収支に影響を与える要因を考慮して、店舗内空気調和機1の熱量を決定することができるため、店舗内空気調和機1の運転効率を容易に向上させることができる。
【0128】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0129】
たとえば、上記実施形態では、店舗内制御装置は、冷房運転および暖房運転以外の店舗内空気調和機の運転モードを決定した場合であって、事前に決めた運転台数で運転させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、店舗内制御装置は、空気調和機の冷房運転および暖房運転が共に停止の判定の場合、停止させてもよい。この場合、温湿度のバラつきを室内に複数のセンサを配置し検出するか、停止状態の継続時間によって送風運転を行う。また、送風運転は温湿度のバラつきが一定閾値を超えた場合に停止する。停止時の閾値は温湿度の変化量から予測して、事前に停止してもよく、運転時間閾値により停止してもよい。
【0130】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、別置型ショーケースの商品を温める加熱用ショーケースと同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、加熱用から生じる発生熱量を検出、または予め検知し、空気調和機の設定温度を高くしてもよい。
【0131】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機と、換気扇の運転と、外気導入機の運転とデシカント空調機の運転とのうち少なくとも1つと同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、換気扇の運転と外気導入機の運転とデシカント空調機の運転との少なくとも1つにより、店舗内に流入する熱量を検出、または事前に検知し、空気調和機の運転制御に反映させる。例えば、換気扇の夏期の運転は店舗外の湿った温かい熱量を室内に導入するため熱負荷になる。これを予め検知し、空気調和機の設定温度を低くしてもよい。
【0132】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機と、出入り検出センサとを同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、出入り検出センサで検出した人の出入りによる外気流入と、人の発熱とを検出または予め予測または検知し、空気調和機の設定温度を低くしてもよい。この場合、店舗内制御装置は、換気扇または正圧化空調機のうち少なくとも1つと同期させて、制御してもよい。
【0133】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機と、日射計と、店舗内温湿度計と、店舗外温湿度計とを同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、例えば、日射と、外気温度および店舗内の温度の差とに起因する伝導熱による熱侵入とを、検出または予め検知し、空気調和機の設定温度を変更してもよい。この場合、店舗内制御装置は、カーテンの状態を変更して入射量を調整してもよい。
【0134】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機と、加熱および保温を行う加熱式ショーケース(ウォーマー)およびフライヤを含む電熱装置とを同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、電熱装置から生じる発生熱量を検出または予め検知し、空気調和機の設定温度を調整してもよい。この場合、店舗内制御装置は、換気扇と同期させて、制御してもよい。なお、電熱機器は、店舗内熱給排気機の一例である。
【0135】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機と、スムージマシンおよびコーヒーマシンを含む飲料製造装置とを同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、飲料製造装置から生じる発生熱量を検出または予め検知し、空気調和機の設定温度を調整してもよい。この場合、店舗内制御装置は、換気扇と同期させて、制御してもよい。なお、飲料製造装置は、店舗内熱給排気機の一例である。
【0136】
また、空気調和機とショーケースの除霜運転と同期させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、空気調和機と、内蔵型ショーケースとを同期させてもよい。この場合、店舗内制御装置は、内蔵型ショーケースに内蔵された冷凍機から生じる発生熱量を検出、または予め検知し、空気調和機の設定温度を調整してもよい。この場合、店舗内制御装置は、換気扇と同期させて、制御してもよい。
【0137】
また、店舗内制御装置は、空気調和機の過負荷状態を検出または事前に検知した場合には運転強度を弱めてもよく、ショーケースの除霜運転のスケジュールを調整して、店舗内の熱量が大きくなる時間帯と、除霜運転を行う時間とが一致しないようにして、店舗内に発する熱量の最小化を図ってもよい。具体的には、除霜運転を前倒しすることにより内蔵型ショーケースの冷凍機の運転を一時的に停止させてもよい。ただし、内蔵型ショーケースの除霜スケジュールに限度がある場合には調整のスキップ、または、過負荷状態の改善を監視して、限界点検出時は空気調和機の運転の再開を行ってもよい。
【0138】
また、除霜時刻は上位サーバにより設定された時刻で指令を可能としてもよく、上位サーバから指令ができない場合には店舗内制御装置に設定時刻を確認することで検出してもよく、店舗内熱供給排出機器の運転状態から検出してもよい。
【0139】
また、店舗全体の熱収支の所定値(設定熱収支)が0である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、店舗全体の熱収支の所定値(設定熱収支)が0でなくてもよい。また、店舗全体の熱収支の所定値(設定熱収支)は、適宜変更可能に設定されていてもよい。この場合、たとえば、快適性を損なわないように適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 店舗内空気調和機
2 店舗内熱供給排出機器
2a ショーケース
2b 正圧化空調機
2c外気導入空調機
2d デシカント空調機(除湿装置)
3 店舗内制御装置
50 店舗
100 運転制御システム