(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118759
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両用部品及びヒータモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20240826BHJP
H05B 3/84 20060101ALI20240826BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20240826BHJP
B60R 13/00 20060101ALI20240826BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20240826BHJP
B29C 65/48 20060101ALI20240826BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H05B3/20 344
H05B3/84
B60S1/62 110C
B60R13/00
B60S1/62 120Z
B29C45/14
B29C65/48
G01S7/03 246
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025224
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森本 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】堀田 祐志
【テーマコード(参考)】
3D024
3D225
3K034
4F206
4F211
5J070
【Fターム(参考)】
3D024BA03
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC10
3D225AD22
3K034AA02
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3K034BB08
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3K034BC16
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3K034JA10
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4F206JA07
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4F211AG03
4F211AH17
4F211AR13
4F211TA01
4F211TA03
4F211TD11
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】表面を効率的に加熱することができる車両用部品及びヒータモジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】車両用部品は、基材15と、基材15の裏面側に設けられるヒータモジュール16とを備えている。ヒータモジュール16は、通電によって発熱するヒータ線17を有している。ヒータ線17における基材15側の面である第1面20の表面積は、ヒータ線17における基材15側とは反対側の面である第2面21の表面積よりも大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の表面側または裏面側に設けられるヒータモジュールとを備えた車両用部品であって、
前記ヒータモジュールは、通電によって発熱するヒータ線を有し、
前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面は、第1面とされ、
前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面は、第2面とされ、
前記第1面の表面積は、前記第2面の表面積よりも大きいことを特徴とする車両用部品。
【請求項2】
前記第2面に対する前記第1面の展開面積比Sdrは、10%以上であることを特徴とする請求項1に記載の車両用部品。
【請求項3】
前記第1面の算術平均粗さSaは、0.15μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用部品。
【請求項4】
基材を有した車両用部品に備えられ、前記基材の表面側または裏面側に設けられるとともに、通電によって発熱するヒータ線を有したヒータモジュールの製造方法であって、
前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面は、第1面とされ、
前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面は、第2面とされ、
レベリング性を持たないめっき液を用いて金属を析出させることによって前記第1面に凹凸を有した前記ヒータ線を形成するヒータ線形成工程を備えることを特徴とするヒータモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータモジュールを有した車両用部品及びヒータモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用部品として、例えば、特許文献1に示す車載レーダ装置用レドームが知られている。こうした車両用部品は、表面側から順に、基材層、加飾層、及びヒータ層が積層された構成になっている。ヒータ層を構成するヒータエレメントは、例えばニクロム線などによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような車両用部品において、ヒータエレメントを形成するニクロム線などは、通常、断面形状が円形である。このため、ヒータエレメントの通電時にヒータ層からは、ほぼ均等に熱が放出される。したがって、ヒータ層から放出される熱量は、車両用部品の表面側と裏面側とでほぼ同じになる。
【0005】
そして、上述のような車両用部品において、ヒータ層から放出される熱は、車両用部品の表面となる基材層の表面に付着した氷雪を解かすためのものである。このため、ヒータ層から車両用部品の裏面側へ放出される熱は無駄になる。したがって、車両用部品の表面を効率的に加熱する上では、改善の余地を残すものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための車両用部品の各態様を記載する。
[態様1]基材と、前記基材の表面側または裏面側に設けられるヒータモジュールとを備えた車両用部品であって、前記ヒータモジュールは、通電によって発熱するヒータ線を有し、前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面は、第1面とされ、前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面は、第2面とされ、前記第1面の表面積は、前記第2面の表面積よりも大きいことを特徴とする車両用部品。
【0007】
上記構成によれば、ヒータ線における第1面の表面積は第2面の表面積よりも大きいので、ヒータ線が放出する熱量は第1面側の方が第2面側よりも多くなる。このため、車両用部品における表面側に対してヒータ線の熱を効率的に供給することができる。したがって、車両用部品の表面を効率的に加熱することができる。
【0008】
[態様2]前記第2面に対する前記第1面の展開面積比Sdrは、10%以上であることを特徴とする[態様1]に記載の車両用部品。
上記構成によれば、ヒータ線において第1面側から放出される熱量を第2面側から放出される熱量に比べてより多くすることができる。
【0009】
[態様3]前記第1面の算術平均粗さSaは、0.15μm以上であることを特徴とする[態様1]または[態様2]に記載の車両用部品。
上記構成によれば、ヒータ線において第1面側から放出される熱量を第2面側から放出される熱量に比べてより多くすることができる。
【0010】
[態様4]基材を有した車両用部品に備えられ、前記基材の表面側または裏面側に設けられるとともに、通電によって発熱するヒータ線を有したヒータモジュールの製造方法であって、前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面は、第1面とされ、前記ヒータモジュールが前記基材の表面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側の面及び前記ヒータモジュールが前記基材の裏面側に設けられた場合の前記ヒータ線における前記基材側とは反対側の面は、第2面とされ、レベリング性を持たないめっき液を用いて金属を析出させることによって前記第1面に凹凸を有した前記ヒータ線を形成するヒータ線形成工程を備えることを特徴とするヒータモジュールの製造方法。
【0011】
上記方法によれば、めっき自体(析出させた金属)で第1面に凹凸を有したヒータ線を形成することができる。このため、後工程で第1面に凹凸を形成する必要がないので、第1面の表面積が第2面の表面積よりも大きいヒータ線を容易に製造できる。したがって、ヒータモジュールを容易に製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、車両用部品の表面を効率的に加熱することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態のミリ波透過カバーを示す断面模式図である。
【
図2】ヒータモジュールの製造工程を示すブロック図である。
【
図3】銅製のめっきによって形成されたヒータ線において、第1面と第2面との間で、通電時間と温度との関係を比較したグラフである。
【
図4】ニッケル製のめっきによって形成されたヒータ線において、第1面と第2面との間で、通電時間と温度との関係を比較したグラフである。
【
図5】ヒータ線の第1面において、算術平均粗さSaと第2面を1としたときの昇温特性との関係を示すグラフである。
【
図6】ヒータ線の第1面において、第2面に対する展開面積比Sdrと第2面を1としたときの昇温特性との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、車両用部品としてミリ波透過カバーに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。また、以下の記載においては、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。
【0015】
図1に示すように、車両11の前端部には、電磁波を送信及び受信するレーダ装置の一例として前方監視用のミリ波レーダ装置12が搭載されている。ミリ波レーダ装置12は、電磁波におけるミリ波を車外のうち前方へ向けて送信するとともに、車外の物体に当たって反射されたミリ波を受信する機能を有している。ミリ波とは、波長が1mm~10mmであって周波数が30GHz~300GHzである電波をいう。
【0016】
上述したように、ミリ波レーダ装置12が車両11の前方に向けてミリ波を送信することから、ミリ波レーダ装置12によるミリ波の送信方向は、車両11の後方から前方へ向かう方向である。ミリ波の送信方向における前方は車両11の前方と概ね合致するとともに、ミリ波の送信方向における後方は車両11の後方と概ね合致する。このため、以下の記載では、ミリ波の送信方向における前方を単に「前方」、「前」等と言うとともに、ミリ波の送信方向における後方を単に「後方」、「後」等というものとする。
【0017】
<ミリ波透過カバー13>
図1に示すように、ミリ波レーダ装置12の前方には、車両用部品の一例としての板状のミリ波透過カバー13が配置されている。ミリ波透過カバー13は、例えば、車両11のエンブレムやフロントグリルなどに適用される。ミリ波透過カバー13は、表面となる前面が車両11の前方を向くとともに裏面となる後面が車両11の後方を向くように、起立した状態で配置される。ミリ波透過カバー13の前面は、ミリ波透過カバー13の意匠面14を構成している。ミリ波透過カバー13は、基材15と、基材15の裏面側となる後面側に設けられる板状のヒータモジュール16とを備えている。
【0018】
<基材15>
図1に示すように、基材15は、ミリ波透過性を持つ合成樹脂材料を用いて例えば射出成形を行うことによって板状に形成されている。基材15の表面となる前面は、ミリ波透過カバー13の前面、すなわちミリ波透過カバー13の意匠面14を構成している。基材15の形成に用いられる合成樹脂材料は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0019】
基材15の形成に用いられる合成樹脂材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン(AES)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合(ASA)樹脂、ASA樹脂を含むPMMA樹脂などである。
【0020】
<ヒータモジュール16>
図1に示すように、ヒータモジュール16は、基材15の裏面となる後面に隣接して配置されている。ヒータモジュール16は、ヒータ線17と、ヒータ線17を挟んで保持する一対のフィルム18とを備えている。ヒータ線17は、例えば銅やニッケルなどの金属によって帯状に形成されている。
【0021】
ヒータ線17は、一対のフィルム18間に所定のパターンを形成するように配線されている。ヒータ線17は、電源回路19と電気的に接続されている。ヒータ線17は、電源回路19による通電により発熱する。ヒータ線17における基材15側の面は、第1面20とされている。ヒータ線17における基材15側とは反対側の面は、第2面21とされている。
【0022】
第1面20は、多数の凹凸を有した凹凸面によって構成されている。第2面21は、平坦面によって構成されている。したがって、第1面20の表面積は、第2面21の表面積よりも大きくなっている。第2面21に対する第1面20の展開面積比Sdrは、10%以上となるように設定されている。展開面積比Sdrとは、ISO25178に準拠して測定される、定義領域の展開面積(表面積)が定義領域の面積に対してどれだけ増大しているかを表すパラメータである。
【0023】
第1面20は、算術平均粗さSaが0.15μm以上となるように設定されている。算術平均粗さSaとは、ISO25178に準拠して測定される高さ方向のパラメータを表す値である。
【0024】
一対のフィルム18は、耐熱性を有している。一対のフィルム18は、例えばポリイミドフィルムによって構成される。一対のフィルム18は、ヒータ線17を保護するとともに絶縁する。
【0025】
<ヒータモジュール16の製造方法>
図2に示すように、ヒータモジュール16は、ヒータ線形成工程と接合工程とを順次に経ることによって製造される。
【0026】
<ヒータ線形成工程>
ヒータ線形成工程では、レベリング性を持たないめっき液(電解液)を用いてめっき金属を析出させることによって第1面20に凹凸を有したヒータ線17を形成する。具体的には、めっき液に陽極であるめっき金属と陰極である被めっき金属とを浸した状態で直流の電気を通す。すると、陽極では酸化反応によってめっき金属がめっき液中に溶け出すとともに、陰極では還元反応によってめっき金属が析出してめっき皮膜に成長する。
【0027】
このとき、めっき皮膜が所定のパターンで形成されることによってヒータ線17となるように陰極である被めっき金属の形状が設定されている。さらにこのとき、めっき液はレベリング性を持たないため、ヒータ線17の第1面20となるめっき皮膜の一方の面に多数の凹凸が形成される。すなわち、陰極である被めっき金属の表面に、凹凸面によって構成される第1面20を有したヒータ線17が形成される。この場合、めっき液には、めっき皮膜の一方の面に凹凸が形成され易くするための添加剤を予め含有させることが好ましい。
【0028】
<接合工程>
接合工程では、まず、一対のフィルム18を用意する。続いて、一対のフィルム18のうちの一方のフィルム18上に上述のヒータ線形成工程で陰極である被めっき金属の表面に形成されたヒータ線17を移すとともに、他方のフィルム18をヒータ線17上に重ねる。これにより、ヒータ線17が一対のフィルム18によって挟まれた状態となる。その後、一対のフィルム18に挟まれた状態のヒータ線17を熱プレスする。これにより、一対のフィルム18同士が溶着されて接合されることによってヒータモジュール16が得られる。
【0029】
このようにして得られたヒータモジュール16は、ヒータ線17の第1面20側が基材15側となるようにして基材15の後面(裏面)に接合される。これにより、ミリ波透過カバー13が形成される。この場合、基材15とヒータモジュール16との接合は、ヒータモジュール16をインサートとした基材15のインサート成形によるものであってもよいし、ミリ波透過性を持つ接着剤や両面粘着テープなどによるものであってもよい。
【0030】
<ミリ波透過カバー13の作用>
ミリ波レーダ装置12では、送信及び受信されたミリ波に基づいて、物体の認識や、当該物体と車両11との距離及び相対速度等の検出が行われる。しかし、ミリ波透過カバー13の意匠面14に氷雪が付着すると、ミリ波レーダ装置12が送信及び受信するミリ波が減衰されるので、ミリ波レーダ装置12の検出性能が低下する。
【0031】
このため、ミリ波透過カバー13の意匠面14に氷雪が付着する場合には、電源回路19によってヒータ線17に通電される。すると、ヒータ線17は、電源回路19による通電によって発熱する。このとき、ヒータ線17は第1面20の表面積が第2面21の表面積よりも大きいので、次のようになる。
【0032】
図3は、銅製のめっきによって形成されたヒータ線17において、第1面20と第2面21との間で、通電時間と温度との関係を比較したグラフである。
図4は、ニッケル製のめっきによって形成されたヒータ線17において、第1面20と第2面21との間で、通電時間と温度との関係を比較したグラフである。
図3及び
図4のいずれのグラフにおいても第1面20の方が第2面21よりも温度が高くなることが分かる。
【0033】
また、
図5は、ヒータ線17の第1面20において、算術平均粗さSaと第2面21を1としたときの昇温特性(温度の上がり易さ)との関係を示すグラフである。
図5のグラフから、第1面20の算術平均粗さSaが0.15μm以上であれば、第1面20の昇温特性が第2面21の昇温特性に比べて約1.5~1.8倍に向上することが分かる。
【0034】
さらに、
図6は、ヒータ線17の第1面20において、第2面21に対する展開面積比Sdrと第2面21を1としたときの昇温特性(温度の上がり易さ)との関係を示すグラフである。
図6のグラフから、第1面20の第2面21に対する展開面積比Sdrが10%以上であれば、第1面20の昇温特性が第2面21の昇温特性に比べて約1.5~1.8倍に向上することが分かる。
【0035】
よって、ヒータ線17が放出する熱量は、基材15側(第1面20側)の方が基材15とは反対側(第2面21側)よりも格段に多くなる。このため、ヒータ線17から放出された熱のうちの大部分は、基材15の前面であるミリ波透過カバー13の意匠面14に伝達される。すなわち、ヒータ線17から放出された熱によって意匠面14が効率的に加熱される。これにより、意匠面14に付着する氷雪が速やかに融解されるので、氷雪によるミリ波の減衰が抑制される。この結果、ミリ波レーダ装置12の検出性能が維持される。
【0036】
<実施形態の効果>
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)ミリ波透過カバー13において、ヒータ線17における基材15側の面である第1面20の表面積は、ヒータ線17における基材15側とは反対側の面である第2面21の表面積よりも大きい。
【0037】
上記構成によれば、ヒータ線17が放出する熱量は、第1面20側の方が第2面21側よりも多くなる。このため、ミリ波透過カバー13における表面側に位置する基材15をヒータ線17によって効率的に加熱することができる。したがって、ミリ波透過カバー13の表面を効率的に加熱することができる。
【0038】
(2)ミリ波透過カバー13において、第2面21に対する第1面20の展開面積比Sdrは、10%以上である。
上記構成によれば、
図6のグラフから分かるように、ヒータ線17において第1面20側から放出される熱量を第2面21側から放出される熱量に比べてより多くすることができる。
【0039】
(3)ミリ波透過カバー13において、第1面20の算術平均粗さSaは、0.15μm以上である。
上記構成によれば、
図5のグラフから分かるように、ヒータ線17において第1面20側から放出される熱量を第2面21側から放出される熱量に比べてより多くすることができる。
【0040】
(4)ヒータモジュール16の製造方法は、レベリング性を持たないめっき液を用いて金属を析出させることによって第1面20に凹凸を有したヒータ線17を形成するヒータ線形成工程を備える。
【0041】
上記方法によれば、めっき自体(析出させた金属)で第1面20に凹凸を有したヒータ線17を形成することができる。このため、後工程で第1面20に凹凸を形成する必要がないので、第1面20の表面積が第2面21の表面積よりも大きいヒータ線17を容易に製造できる。したがって、ヒータモジュール16を容易に製造できる。
【0042】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・ヒータモジュール16は、基材15の表面側となる前面側に設けるようにしてもよい。この場合、ヒータモジュール16は、ヒータ線17の第1面20が基材15側とは反対側の面となるとともにヒータ線17の第2面21が基材15側の面となるように、配置される。
【0044】
・ヒータ線17の第1面20の算術平均粗さSaは、必ずしも0.15μm以上である必要はない。
・ヒータ線17において、第2面21に対する第1面20の展開面積比Sdrは、必ずしも10%以上である必要はない。
【0045】
・一対のフィルム18のうち少なくとも一方を省略してもよい。
・ヒータ線17は、例えば断面が円形または多角形の金属線によって構成してもよい。
・ヒータモジュール16の製造方法において、陰極である被めっき金属の表面にフィルム18を配置することによってフィルム18上に直接めっき金属を析出させてヒータ線17を形成してもよい。
【0046】
・車両用部品は、ミリ波透過カバー13に限らず、赤外線を透過させる赤外線透過カバーであってもよいし、リアウインドウであってもよい。
・車外の物体を検出するためのミリ波(電磁波)を送信及び受信するミリ波レーダ装置12は、前方監視用以外にも、後方監視用の装置であってもよい。
【0047】
・レーダ装置は、赤外線(電磁波)を送信及び受信する赤外線レーダ装置であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
11…車両
12…ミリ波レーダ装置
13…車両用部品の一例としてのミリ波透過カバー
14…意匠面
15…基材
16…ヒータモジュール
17…ヒータ線
18…フィルム
19…電源回路
20…第1面
21…第2面