(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118764
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】ガスオーブン
(51)【国際特許分類】
F24C 15/02 20060101AFI20240826BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
F24C15/02 K
F24C3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025233
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】谷 秀樹
(57)【要約】
【課題】オーブン扉の開閉操作に使用する把持部が熱くなりにくいガスオーブンを提供する。
【解決手段】第一保護部30は、オーブン扉15の前面15Bの上端部15Aに固定される。第一保護部30の前壁部31は前面15Bとの間に第一間隙D1を有し、上端部15Aからの輻射熱を遮る。握部40の一対の支持部43は、基端部43Bが第一保護部30に固定され、前方に延び、先端部43A間に把持部42が設けられる。基端部43B間には第二保護部41が設けられ、前壁部31との間に第二間隙D2を形成する。第二保護部41は前壁部31からの輻射熱を遮り、把持部42の温度上昇を抑制する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に開口部を有する焼成庫と、前記焼成庫の前側に、下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられ、閉状態で前記開口部を閉塞するオーブン扉とを備えるガスオーブンにおいて、
前記オーブン扉は、前記オーブン扉の上端部に組み付けられ、前記オーブン扉の開閉操作において使用される取手部を備え、
前記取手部は、
前記オーブン扉の上端から前方に延出する上壁部と、前記上壁部の前端から下方に延出する前壁部とを有し、前記前壁部と前記オーブン扉の前記上端部における前面との間に所定の第一間隙を形成する第一保護部と、
前記第一保護部の前記前壁部から前方に延び、左右方向に並ぶ一対の支持部と、
左右方向に延び、一対の前記支持部それぞれの先端部に接続し、前記オーブン扉の開閉操作において使用者に把持される把持部と、
左右方向に延び、前記把持部の後方且つ前記第一保護部の前記前壁部の前方の位置に配置され、前記前壁部との間に所定の第二間隙を形成する第二保護部と
を備えたこと
を特徴とするガスオーブン。
【請求項2】
前記第二保護部、前記把持部及び一対の前記支持部は一体に形成されており、
前記第二保護部は、左右方向の両端が一対の前記支持部それぞれの基端部に接続し、
前記第二保護部の上端は、前記支持部の上端と同じ高さ位置にあり、
前記第二保護部の下端は、前記把持部の下端よりも下方に位置すること
を特徴とする請求項1に記載のガスオーブン。
【請求項3】
前記第二間隙は、前記第二保護部の下部よりも上部において広く形成されたこと
を特徴とする請求項2に記載のガスオーブン。
【請求項4】
前記第二保護部は、上端から前記前壁部へ向けて延出する延出部を備えたこと
を特徴とする請求項2又は3に記載のガスオーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスオーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスオーブンの焼成庫を開閉するオーブン扉は、下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられる。オーブン扉を開閉する際に使用者が操作する取手部は、オーブン扉の上端部に設けられる。例えば特許文献1では、扉のガラス部の外周部を保持する外周枠部に把手を備える。そして、把手の把持部と対向する扉(外周枠部)の表面にガード部材を設け、ガード部材と扉との間に空間を設けることで、ガード部材の温度上昇を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガスオーブンの長時間の使用によってガード部材の表面温度が上昇した場合に、使用者が把持部を把持する際にガード部材に触れると、熱さによる不快感を感じる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、オーブン扉の開閉操作に使用する把持部が熱くなりにくいガスオーブンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係る発明のガスオーブンは、前側に開口部を有する焼成庫と、前記焼成庫の前側に、下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられ、閉状態で前記開口部を閉塞するオーブン扉とを備えるガスオーブンにおいて、前記オーブン扉は、前記オーブン扉の上端部に組み付けられ、前記オーブン扉の開閉操作において使用される取手部を備え、前記取手部は、前記オーブン扉の上端から前方に延出する上壁部と、前記上壁部の前端から下方に延出する前壁部とを有し、前記前壁部と前記オーブン扉の前記上端部における前面との間に所定の第一間隙を形成する第一保護部と、前記第一保護部の前記前壁部から前方に延び、左右方向に並ぶ一対の支持部と、左右方向に延び、一対の前記支持部それぞれの先端部に接続し、前記オーブン扉の開閉操作において使用者に把持される把持部と、左右方向に延び、前記把持部の後方且つ前記第一保護部の前記前壁部の前方の位置に配置され、前記前壁部との間に所定の第二間隙を形成する第二保護部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明のガスオーブンは、請求項1に係る発明の構成に加え、前記第二保護部、前記把持部及び一対の前記支持部は一体に形成されており、前記第二保護部は、左右方向の両端が一対の前記支持部それぞれの基端部に接続し、前記第二保護部の上端は、前記支持部の上端と同じ高さ位置にあり、前記第二保護部の下端は、前記把持部の下端よりも下方に位置することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明のガスオーブンは、請求項2に係る発明の構成に加え、前記第二間隙は、前記第二保護部の下部よりも上部において広く形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明のガスオーブンは、請求項2又は3に係る発明の構成に加え、前記第二保護部は、上端から前記前壁部へ向けて延出する延出部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明のガスオーブンによれば、取手部の第一保護部は、オーブン扉の上端部前面との間に第一間隙を有するので、把持部を把持した使用者の手に、焼成庫からオーブン扉を介して放出される輻射熱を遮る。取手部はさらに、把持部の後方且つ第一保護部の前方に、第一保護部との間に第二間隙を有する第二保護部を備える。故に使用者は、把持部を把持する場合に、第二保護部よりも表面温度が高くなりやすい第一保護部に触れにくい。また、第二保護部によって第一保護部から把持部側への輻射熱が遮られる。故に把持部が熱くなりにくいので、使用者は、安心して把持部を把持することができる。
【0011】
請求項2に係る発明のガスオーブンによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、把持部、支持部及び第二保護部を一体に形成することで、部品点数を減らし、生産コストを低減できる。また、第二保護部の上端の位置を支持部の上端と同じ高さ位置に形成することで、使用者の目線で取手部を視たとき、上端が揃って一体感が増すので、ガスオーブンの美観を確保することができる。また、第二保護部は、把持部において使用者が把持する部分である一対の支持部間に形成されており、把持部の使用者が把持する部分が熱くなりにくい。
【0012】
請求項3に係る発明のガスオーブンによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、使用者が把持部を把持した場合に、使用者の手は、把持部の下端よりも下方に延びる第二保護部の下部よりも、上部の近くに配置される。第二間隙は第二保護部の上部において下部よりも広く形成されている。よって第二保護部は、下部よりも上部の表面温度を低くすることができ、使用者が把持部を把持したときに手が熱くなりにくい。また、第二保護部の下部は上部よりも第一保護部の前壁部により近いので、前壁部との一体感が増し、ガスオーブンの美観を確保することができる。
【0013】
請求項4に係る発明のガスオーブンによれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加え、延出部によって、第二保護部と前壁の間の開口面積が小さくなる。故に使用者の目線で取手部を見下ろした場合に第二間隙が目立たなくなり、ガスオーブンは美観を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】キッチンカウンタ1に組み込んだガスオーブン10の正面図である。
【
図2】オーブン扉15が閉じた状態のガスオーブン10の斜視図である。
【
図3】オーブン扉15が半開き状態のガスオーブン10の斜視図である。
【
図5】
図2の取手部20付近のI-I線断面を上方右前方視した斜視図である。
【
図6】
図2の取手部20付近のI-I線断面を右側方視した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本実施形態では、図中に示す前後、左右、上下の向きを使用して説明する。
【0016】
図1に示すように、キッチンカウンタ1のカウンタトップ2の上面には開口(図示略)が設けられ、その開口にビルトインコンロ5が上方から落とし込まれて設置される。キッチンカウンタ1の正面のカウンタパネル4には縦長矩形状の開口部3が設けられる。開口部3の内側上部においてビルトインコンロ5の正面が露出する。ビルトインコンロ5の下方にはガスオーブン10が設置され、その正面が開口部3の内側下部において露出する。
【0017】
図2,
図3を参照し、ガスオーブン10の構造について説明する。ガスオーブン10は、オーブン本体11、オーブン扉15、排気筒16、操作部17等を備える。オーブン本体11は外箱13と焼成庫14を備える。外箱13は略直方体状の金属製の箱である。外箱13の前面のうち下側を除く部分には、矩形状の開口が形成される。焼成庫14は前面に開口部14Aを有し、外箱13の内側且つ上側寄りに設けられる。焼成庫14の開口部14Aは、外箱13前面の開口に接続し、外部と連通する。焼成庫14の内側には被調理物が収容される。
【0018】
オーブン扉15は、オーブン本体11の下部前側において、下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられる(
図3参照)。オーブン扉15は正面視略矩形状で、略中央に、厚み方向に開口する窓部15Dを有する。オーブン扉15の背面15Cには、窓部15Dの開口を塞ぐ位置に耐熱強化ガラス19が固定される(
図5参照)。耐熱強化ガラス19の前面には、金属製で多数の小さな孔が形成された窓板(図示略)が配置され、耐熱強化ガラス19とともに窓部15Dの開口を塞ぐ。オーブン扉15の前面15Bのうち上端部15Aを除く部分には、耐熱強化ガラス18が固定される。耐熱強化ガラス18は、窓部15Dに合わせた位置が透明な窓状となるように、その周囲が黒色に塗装されている。オーブン扉15の前面15Bの上端部15Aには、取手部20が設けられる。取手部20は、使用者によるオーブン扉15の開閉に用いられる。取手部20の構成については後述する。オーブン扉15は閉状態で、焼成庫14の開口部14Aを閉塞する。外箱13の内側において、焼成庫14の下側には、ガスバーナを備える燃焼装置(図示略)が設けられる。燃焼装置によって加熱された高温空気はファン(図示略)により焼成庫14内に流入する。これにより、焼成庫14の庫内温度が上昇して被調理物の加熱調理が行われる。
【0019】
排気筒16は焼成庫14の後部から上方に延び、ビルトインコンロ5の排気部(図示略)の下部と連結する。排気筒16は焼成庫14内と連通し、焼成庫14内から流出する高温空気をビルトインコンロ5の排気部内に流入させる。これにより、焼成庫14内から流出する高温空気は、ビルトインコンロ5の排気部を介して外部に排出される。
【0020】
操作部17は左右方向に延びる略角柱状に形成され、外箱13の前面上部に固定された取付金具(図示略)にネジ止めされる。操作部17はオーブン扉15の上側に配置され、操作部17の左右両端部はオーブン扉15よりも左右両側に張り出している。操作部17内には、ガスオーブン10の制御を司る電装基板17B(
図5参照)が収容される。操作部17の前面には、使用者の操作を受け付ける操作パネル17Aが設けられる。操作パネル17Aには各種ボタン、表示部、LED等が設けられる。
【0021】
図4~
図6を参照し、取手部20について説明する。取手部20は、オーブン扉15の前面15Bの上端部15Aに固定される樹脂製の握り手である。取手部20は、第一保護部30と握部40を備える。第一保護部30は左右方向に延びる細長い板状で、オーブン扉15の前面15Bの上端部15Aに、6つの螺子21により固定される。第一保護部30は、前壁部31、上壁部32、側壁部33を有する。上壁部32は左右方向に長い板状で、オーブン扉15の上端から前方に延出する。上壁部32の前後方向の長さは、オーブン扉15の前後方向の長さよりも短く、例えば半分以下である。上壁部32の左右方向の長さは、オーブン扉15の左右方向の幅と略同じである。第一保護部30は、上壁部32の上面がオーブン扉15の上端部15Aの上面と略同じ高さ位置となるように、上端部15Aに固定される。
【0022】
前壁部31は左右方向に長い板状で、オーブン扉15の左右方向の幅と略同じである。前壁部31は上壁部32の前端から下方に延出する。前壁部31の下端は上端部15Aの下方に延び、耐熱強化ガラス18の上端部18Aの前方に位置する。前壁部31は、オーブン扉15の上端部15A及び耐熱強化ガラス18の上端部18Aとの間に第一間隙D1を有し、上端部15A,18Aを前側から覆う。側壁部33は前後方向に長い板状で、前壁部31の左右両端からそれぞれ後方に延出する。側壁部33は、オーブン扉15の上端部15Aを左右両側から覆う。故にオーブン扉15が閉状態の場合に、上端部15Aは第一保護部30によって覆われて露出しない。
【0023】
握部40は第一保護部30の前面に設けられる取手部分であり、4つの螺子22により第一保護部30に固定される。握部40は、支持部43、把持部42、第二保護部41を有する。支持部43は上下方向よりも前後方向及び左右方向に長く形成された柱状であり、一対に設けられる。支持部43の上下方向の長さは、第一保護部30の前壁部31の略半分の長さである。一対の支持部43は、前壁部31の前面において、左右方向の中央よりも左側の位置及び右側の位置、且つ上下方向の中央よりも上側の位置から、それぞれ前方に延びる。前後方向に延びる支持部43の基端部43Bは、それぞれ2つの螺子22によって前壁部31の背面側から締結され、前壁部31の前面に固定される。
【0024】
把持部42は左右方向に延び、前方に延出する支持部43の先端部43Aに接続する。把持部42の左右方向の長さは、第一保護部30の前壁部31の略半分の長さである。把持部42は側方視で支持部43の先端部43Aよりも上方及び下方にそれぞれ突出する。把持部42の前後方向の厚みは、一対の支持部43の先端部43A間において後方に厚く形成されている。把持部42の左面は、左側の支持部43の左面に連続して一体に形成され、把持部42の右面は、右側の支持部43の右面に連続して一体に形成される。把持部42の前面には化粧パネル42Aが貼り付けられる。
【0025】
第二保護部41は左右方向に延びる板状で、一対の支持部43の基端部43B間に設けられ、それぞれ基端部43Bと接続する。第二保護部41は、支持部43の基端部43Bにおいて、基端よりも先端側にずれた位置に接続される(
図5参照)。故に第二保護部41は第一保護部30の前壁部31との間に前後方向の第二間隙D2を有する。第二保護部41の上端の高さ位置は、支持部43の上端と同じ高さ位置に形成される。よって第二保護部41の上面は、支持部43の上面に連続して一体に形成される。第二保護部41の上下方向の長さは支持部43の上下方向の長さより長く、例えば2倍の長さである。故に第二保護部41の下端は、支持部43の下端よりも下方に突出する。第二保護部41の下端は、第一保護部30の前壁部31の下端の高さ位置よりも上方の位置にある。第二保護部41は側方視、下側よりも上側が前方に位置する。即ち、第二保護部41と第一保護部30の前壁部31との第二間隙D2は、第二保護部41の下部側の下部間隙D2Bよりも、第二保護部41の上部側の上部間隙D2Aが広くなるように形成されている。第二保護部41の上端部41Aは屈曲して後方に延出する。上端部41Aの延出先端は前壁部31に接触せず、前壁部31との間に開口部41Cを形成する。開口部41Cは左右方向に延びるスリット状である(
図5参照)。開口部41Cの前後方向の大きさ(スリット幅)は、第二間隙D2よりも狭く、例えばユーザが誤って指等を第二間隙D2内に挿入することができない大きさである。第二保護部41の下端部41Bも同様に屈曲して後方に延出する。下端部41Bの延出先端も前壁部31に接触せず、前壁部31との間に開口部41Dを形成する。開口部41Dも同様に左右方向に延びるスリット状である。開口部41Dの前後方向の大きさ(スリット幅)は、開口部41Cと略同じ大きさであり、第二間隙D2よりも狭い。
【0026】
一対の支持部43、把持部42及び第二保護部41に囲まれた領域は上下方向に開口し、使用者の手指を挿入可能な大きさを有する。即ち使用者は、把持部42を把持してオーブン扉15を縦開きに開閉することができる。
【0027】
図5,
図6を参照し、第一保護部30及び第二保護部41について説明する。前述したように、第一保護部30の前壁部31は、オーブン扉15の上端部15A及び耐熱強化ガラス18の上端部18Aを前側から覆い、上端部15A,18Aとの間に第一間隙D1を有する。第一間隙D1は、前壁部31とオーブン扉15の上端部15A及び耐熱強化ガラス18の上端部18Aとの間に空気層を形成する。ガスオーブン10の使用に伴う焼成庫14からの熱がオーブン扉15に伝導すると、オーブン扉15の上端部15A及び耐熱強化ガラス18の上端部18Aの温度は上昇する。また、耐熱強化ガラス18は、窓部15Dを介し、焼成庫14から放出される輻射熱によっても温度が上昇する。上端部15A,18Aの熱は、第一間隙D1の空気層に遮られ、第一保護部30には伝導し難い。故に第一保護部30の温度上昇は抑制される。また、上端部15A,18Aの温度上昇に伴い上端部15A,18Aから放出される輻射熱は、前壁部31に遮られ、第一保護部30の前方に位置する把持部42に届きにくい。従って、第一保護部30は、ガスオーブン10の使用に伴う焼成庫14からの熱による加熱から把持部42を保護する。
【0028】
第二保護部41は、第一保護部30の前壁部31との間に第二間隙D2を有する。第二間隙D2は、第二保護部41と前壁部31との間に空気層を形成する。第二間隙D2のうち、上部間隙D2Aは下部間隙D2Bよりも広いので、空気層が厚い。故に、第二保護部41の上部側は、下部側よりも温度の上昇が抑制される。また、第一保護部30の前壁部31の温度上昇に伴い前壁部31から放出される輻射熱は、第二保護部41に遮られ、第二保護部41の前方に位置する把持部42に届きにくい。従って、第二保護部41は、第一保護部30とともに、ガスオーブン10の使用に伴う焼成庫14からの熱による加熱から把持部42をより確実に保護する。
【0029】
さらに、第二間隙D2内は、下端の開口部41Dと、上端の開口部41Cを介して外部と連通する。即ち、第二間隙D2は、開口部41C,41Dを介して上下方向に空気が流通可能な煙突形状である。第二間隙D2内の空気は、温められると第二間隙D2内で上昇する。第二間隙D2内にて圧力差が生ずることで、下端の開口部41Dを介して第二間隙D2内に、ガスオーブン10外部の冷たい空気が取り込まれることで、温められた空気が上端の開口部41Cから外部に排出される。故に第二保護部41は、前壁部31との第二間隙D2が煙突効果を生ずることによって、第二間隙D2内での対流による前壁部31から第二保護部41への熱の伝達も抑制する。また、前述したように、第二保護部41の下端は、第一保護部30の前壁部31の下端の高さ位置よりも上方に位置する。故に、下端の開口部41Dを介して第二間隙D2内に取り込まれる空気は、第一保護部30の前壁部31よりも前側にある空気である。よって、第一間隙D1内での対流により暖められた空気が、第二間隙D2における煙突効果の妨げになることはない。
【0030】
また、第二保護部41は、上端の高さ位置が支持部43の高さ位置と同じであり、第二保護部41の上面と支持部43の上面とが連続して形成される。故に使用者が取手部20を上方から見下ろした場合に、第二保護部41と支持部43は上端が揃って一体感が増す(
図3参照)。さらに、第二保護部41は、上端部41Aが屈曲して後方に延出することによって、開口部41Cの開口面積を、より小さくする。故に取手部20は、使用者が取手部20を上方から見下ろした場合に、開口部41Cを目立ちにくくする(
図3参照)。また、握部40の把持部42は、使用者が取手部20を上方から見下ろした場合に、第二保護部41の下端の位置、及び第一保護部30の前壁部31の下端の位置を視線から隠すことができるので、第二保護部41及び第一保護部30を目立ちにくくすることができる。
【0031】
以上説明したように、取手部20の第一保護部30は、オーブン扉15の上端部15Aにおける前面15Bとの間に第一間隙D1を有するので、把持部42を把持した使用者の手に、焼成庫14からオーブン扉15を介して放出される輻射熱を遮る。取手部20はさらに、把持部42の後方且つ第一保護部30の前方に、第一保護部30との間に第二間隙D2を有する第二保護部41を備える。故に使用者は、把持部42を把持する場合に、第二保護部41よりも表面温度が高くなりやすい第一保護部30に触れにくい。また、第二保護部41によって第一保護部30から把持部42側への輻射熱が遮られる。故に把持部42が熱くなりにくいので、使用者は、安心して把持部42を把持することができる。
【0032】
ガスオーブン10は、把持部42、支持部43及び第二保護部41を握部40として一体に形成することで、部品点数を減らし、生産コストを低減できる。また、第二保護部41の上端の位置を支持部43の上端と同じ高さ位置に形成することで、使用者の目線で取手部20を視たとき、上端が揃って一体感が増すので、ガスオーブン10の美観を確保することができる。また、第二保護部41は、把持部42において使用者が把持する部分である一対の支持部43間に形成されており、把持部42の使用者が把持する部分が熱くなりにくい。
【0033】
使用者が把持部42を把持した場合に、使用者の手は、把持部42の下端よりも下方に延びる第二保護部41の下部よりも、上部の近くに配置される。第二間隙D2は第二保護部41の上部間隙D2Aにおいて下部間隙D2Bよりも広く形成されている。よって第二保護部41は、下部よりも上部の表面温度を低くすることができ、使用者が把持部42を把持したときに手が熱くなりにくい。また、第二保護部41の下部は上部よりも第一保護部30の前壁部31により近いので、前壁部31との一体感が増し、ガスオーブン10の美観を確保することができる。
【0034】
上端部41Aが屈曲して後方に延出する構成としたことによって、第二保護部41と第一保護部30の前壁部31との間の開口部41Cの開口面積が小さくなる。故に使用者の目線で取手部20を見下ろした場合に第二間隙D2が目立たなくなり、ガスオーブン10は美観を確保することができる。
【0035】
なお、上記説明において、前後方向は本発明の「第一方向」の一例である。第二保護部41の上端部41Aは、本発明の「延出部」に相当する。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。支持部43は左右方向に一対に設けたが、左側もしくは右側の一方にのみ設けてもよい。この場合、第二保護部41は、支持部43が設けられていない側の端部が屈曲して後方に延出し、延出先端が第一保護部30の前壁部31に当接する構成であるとよい。第二保護部41の下端は支持部43の下端よりも下方に突出するが、支持部43の下端と同じ高さ位置にあってもよい。第二保護部41の上端部41Aは後方に屈曲せず、前後方向に厚みを有する形態とすることで、開口部41Cの開口面積を小さくする構成としてもよい。第二保護部41の下端部41Bは後方に屈曲しない構成であってもよい。もしくは、第二保護部41の上端部41A及び下端部41Bは、いずれも後方に屈曲しない構成であっってもよい。第二保護部41と第一保護部30の前壁部31との間の第二間隙D2は、上部間隙D2Aが下部間隙D2Bよりも広いが、同じ大きさでもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 ガスオーブン
14 焼成庫
14A 開口部
15 オーブン扉
15A 上端部
15B 前面
20 取手部
30 第一保護部
31 前壁部
32 上壁部
41 第二保護部
41A 上端部
42 把持部
43 支持部
43A 先端部
43B 基端部
D1 第一間隙
D2 第二間隙
D2A 上部間隙
D2B 下部間隙