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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118768
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20240826BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20240826BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240826BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B45/10
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025239
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蒲谷 敏春
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩太郎
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273RA13
3K273SA02
3K273SA11
3K273SA19
3K273SA21
3K273SA34
3K273SA35
3K273SA37
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA22
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】利用者の状況に応じて照明器具を適切に点灯制御することができる照明制御システムを提供する。
【解決手段】実施形態に係る照明制御システムは、複数の照明器具と、検知装置と、制御装置とを具備する。照明器具は、所定の空間を照明する。検知装置は、所定の空間に存在する人を検知する。制御装置は、検知装置の検知結果に基づいて推定される人の密度に応じて、検知装置によって人が検知された位置を含む所定エリアに配置される照明器具、および、所定エリアの周辺の周辺エリアに配置される照明器具の少なくともいずれかの点灯制御を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間を照明する複数の照明器具と;
前記所定の空間に存在する人を検知する検知装置と;
前記検知装置の検知結果に基づいて推定される人の密度に応じて、前記検知装置によって人が検知された位置を含む所定エリアに配置される前記照明器具、および、前記所定エリアの周辺の周辺エリアに配置される前記照明器具の少なくともいずれかの点灯制御を実行する制御装置と;
を具備する照明制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記人の密度が高くなるにつれて、前記所定エリアの前記照明器具および前記周辺エリアの前記照明器具の少なくともいずれかがより明るくなるように前記点灯制御を実行する、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記人の密度に応じて前記所定エリアおよび前記周辺エリアの少なくともいずれかの範囲を決定する、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記人の密度が高くなるにつれてより広くなるように前記所定エリアおよび前記周辺エリアの少なくともいずれかの範囲を決定する、
請求項3に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記検知装置の検知結果に基づいて推定される人の移動方向に応じて、前記所定エリアの前記照明器具、および、前記周辺エリアの前記照明器具の少なくともいずれかの前記点灯制御を実行する、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記人の移動方向に応じて、前記所定エリアおよび前記周辺エリアの少なくともいずれかにおける移動方向側の範囲を決定する、
請求項5に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記所定エリアおよび前記周辺エリアの少なくともいずれかにおける移動方向側の範囲が、前記人が移動しない場合に比べて広くなるように決定する、
請求項6に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記人の密度が高くなるにつれてより広くなるように前記所定エリアおよび前記周辺エリアの少なくともいずれかにおける移動方向側の範囲を決定する、
請求項6に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記制御装置は、推定された前記人の移動方向の推定精度が高くなるにつれて、前記所定エリアの前記照明器具および前記周辺エリアの前記照明器具の少なくともいずれかがより明るくなるように前記点灯制御を実行する、
請求項5に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の照明器具を個別に制御することを可能にする照明制御システムが提案されている。かかる照明制御システムが実行する制御では、例えば人感センサの検知結果により、利用者が存在する位置に設置された照明器具を所定の調光度で点灯させるとともに、点灯させた照明器具の周辺に設置された照明器具を所定の照度よりも低い調光度で点灯させる。このような利用者の視野内の明暗差を小さくする制御が行われることで、快適な視環境を確保することができるとともに、明暗差が大きいことに起因する利用者の不安感を軽減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-205151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術には、利用者の状況に応じて照明器具を適切に点灯制御するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、利用者の状況に応じて照明器具を適切に点灯制御することができる照明制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る照明制御システムは、複数の照明器具と、検知装置と、制御装置とを具備する。照明器具は、所定の空間を照明する。検知装置は、前記所定の空間に存在する人を検知する。制御装置は、前記検知装置の検知結果に基づいて推定される人の密度に応じて、前記検知装置によって人が検知された位置を含む所定エリアに配置される前記照明器具、および、前記所定エリアの周辺の周辺エリアに配置される前記照明器具の少なくともいずれかの点灯制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者の状況に応じて照明器具を適切に点灯制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る照明制御システムの構成例を示す模式図である。
図2図2は、照明器具およびセンサの配置例を示す図である。
図3図3は、制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、点灯情報の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る点灯制御を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、第1変形例に係る制御装置の構成例を示す図である。
図8図8は、エリア範囲情報の一例を示す図である。
図9図9は、第1変形例に係る点灯制御を説明するための図である。
図10図10は、第1変形例に係る制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、第2変形例に係る制御装置の構成例を示す図である。
図12図12は、利用者の移動方向の推定を説明するための図である。
図13図13は、移動時点灯情報の一例を示す図である。
図14図14は、第2変形例に係る点灯制御を説明するための図である。
図15図15は、第2変形例に係る制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係る照明制御システム1は、所定の空間を照明する複数の照明器具20と、前記所定の空間に存在する人Pを検知する検知装置(センサ30)と、前記検知装置の検知結果に基づいて推定される人Pの密度に応じて、前記検知装置によって人Pが検知された位置を含む所定エリアAに配置される前記照明器具20、および、前記所定エリアAの周辺の周辺エリアBに配置される前記照明器具20の少なくともいずれかの点灯制御を実行する制御装置10、10A、10Bとを具備する。
【0010】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記人Pの密度が高くなるにつれて、前記所定エリアAの前記照明器具20および前記周辺エリアBの前記照明器具20の少なくともいずれかがより明るくなるように前記点灯制御を実行する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記人Pの密度に応じて前記所定エリアAおよび前記周辺エリアBの少なくともいずれかの範囲を決定する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記人Pの密度が高くなるにつれてより広くなるように前記所定エリアAおよび前記周辺エリアBの少なくともいずれかの範囲を決定する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記検知装置の検知結果に基づいて推定される人Pの移動方向に応じて、前記所定エリアAの前記照明器具20、および、前記周辺エリアBの前記照明器具20の少なくともいずれかの前記点灯制御を実行する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記人Pの移動方向に応じて、前記所定エリアAおよび前記周辺エリアBの少なくともいずれかにおける移動方向側の範囲を決定する。
【0015】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記所定エリアAおよび前記周辺エリアBの少なくともいずれかにおける移動方向側の範囲が、前記人Pが移動しない場合に比べて広くなるように決定する。
【0016】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、前記人Pの密度が高くなるにつれてより広くなるように前記所定エリアAおよび前記周辺エリアBの少なくともいずれかにおける移動方向側の範囲を決定する。
【0017】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置10、10A、10Bは、推定された前記人Pの移動方向の推定精度が高くなるにつれて、前記所定エリアAの前記照明器具20および前記周辺エリアBの前記照明器具20の少なくともいずれかがより明るくなるように前記点灯制御を実行する。
【0018】
以下、図面を参照して、実施形態に係る照明制御システムについて説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0019】
[実施形態]
まず、図1を用いて実施形態に係る照明制御システム1の構成を説明する。図1は、実施形態に係る照明制御システム1の構成例を示す模式図である。
【0020】
図1に示すように、照明制御システム1は、制御装置10と、照明器具20と、センサ30と、スイッチ40と、情報処理装置50とを有する。制御装置10は、照明器具20およびセンサ30と、通信線100を介して通信可能に接続される。
【0021】
制御装置10は、スイッチ40と通信可能に接続される。スイッチ40は、利用者(ユーザ)が照明器具20の点灯、消灯、調光度等の制御を行うために使用するスイッチである。スイッチ40は、ユーザが操作可能な場所(例えば照明器具20が配置された室内の壁など)に設けられる。スイッチ40は、ユーザの操作に応じて、照明器具20の点灯、消灯、調光度等の点灯制御指示を出力する。制御装置10は、スイッチ40から出力される点灯制御指示に応じて、照明器具20の点灯、消灯、調光度等を制御する。
【0022】
なお、本実施形態では、制御装置10が照明器具20の点灯、消灯、調光度を統合的に制御するものとするが、これに限定されるものではない。すなわち、制御装置10の機能の一部を照明器具20が有し、各照明器具20が自律的に点灯、消灯、調光度等の制御を行うように構成することも可能である。
【0023】
制御装置10は、情報処理装置50と通信可能に接続される。情報処理装置50は、管理者(ユーザ)が制御装置10に記憶される情報(例えば照明器具20の点灯制御に関する情報)の設定入力や変更等を行うための装置である。なお、情報処理装置50としては、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレットコンピュータ等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。情報処理装置50は、ユーザの操作に応じて、制御装置10に記憶される情報の設定入力や変更等の設定・変更指示を出力する。制御装置10は、情報処理装置50から出力される設定・変更指示に応じて、例えば照明器具20の点灯制御に関する情報について設定あるいは変更等の処理を実行する。
【0024】
照明器具20は、所定の空間(範囲)を照明する。照明器具20は、例えば制御装置10からの信号に応じて点灯状態および調光度を変化させることができるものであればよい。照明器具20としては、例えばLED(Light Emitting Diode)や、白熱灯、蛍光灯を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
照明器具20は、複数あり、例えばオフィスや各種施設などに設置される。なお、図1では、図示の簡略化のため、照明器具20を3つ示したが、照明器具20の数はこれに限られず、任意の数に設定可能である。
【0026】
センサ30は、照明器具20によって照明される所定の空間に存在する人Pを検知する。具体的には、センサ30は、所定の空間に存在する人(利用者)Pの有無、人数等を検知可能なセンサである。センサ30としては、画像センサを用いることができるが、これに限られず、例えば人感センサ、赤外線センサ、カメラなどその他の種類の装置であってもよい。なお、センサ30は、検知装置の一例である。
【0027】
例えば、センサ30は、予め設定された範囲(所定の空間)をカメラ等で撮像し、撮像された撮像画像を解析して所定の空間に存在する人Pの有無、人数等を検知し、検知結果を制御装置10へ出力する。なお、上記した撮像画像から人Pの有無、人数等を解析する手法は、任意の手法に設定可能である。また、上記では、センサ30が人Pの有無、人数等を検知する例を示したが、これに限られず、例えば制御装置10が、センサ30によって検知された情報(撮像画像等)に基づいて人Pの有無、人数等の情報を得るように構成してもよい。
【0028】
センサ30は、複数あり、例えば照明器具20付近の任意の位置に設置される。なお、図1では、図示の簡略化のため、センサ30を3つ示したが、センサ30の数はこれに限られず、任意の数に設定可能である。
【0029】
ここで、照明器具20およびセンサ30の配置について図2を参照して説明する。図2は、照明器具20およびセンサ30の配置例を示す図である。なお、図2は、照明器具20等が配置されるフロア200の模式平面図である。かかるフロア200は、照明器具20が照明する所定の空間を含む。また、図2では、図示の簡略化のため、照明器具20を四角形状のブロックで示し、センサ30を白丸で示している。また、図2では、人P(以下「利用者P」と記載する場合がある)を黒丸で模式的に示している。
【0030】
図2に示すように、照明器具20は、フロア(室内)200の天井面に複数配置される。一例として、照明器具20は、図2における横方向に10個並ぶ列が、縦方向に6列あり、合計60個の照明器具20が天井面に配置される。また、複数の照明器具20を識別するため、照明器具20には、それぞれ固有のアドレスとして照明IDが付与されている。図2の例において、照明器具20には、例えば照明ID「01」~「60」が付与される。なお、図2では、かかる照明IDを、照明器具20である四角形状のブロック内に示している。照明IDは、制御装置10の記憶部80(図3参照)に照明器具20の配置位置と対応付けて記憶される。制御装置10は、かかる照明IDに基づいて照明器具20を識別して制御する。
【0031】
センサ30は、フロア200の天井面に複数(例えば25個)配置される。一例として、センサ30は、照明器具20付近であって、4つの照明器具20の中心となる位置に配置される。また、複数のセンサ30を識別するため、センサ30には、それぞれ固有のアドレスとしてセンサIDが付与されている。図2の例において、照明器具20には、例えばセンサID「01」~「25」が付与される。なお、図2では、かかる照明IDを、センサ30である白丸内に示している。センサIDは、制御装置10の記憶部80(図3参照)にセンサ30の配置位置と対応付けて記憶される。制御装置10は、かかるセンサIDに基づいてセンサ30による検知結果(すなわち、人Pの位置、人数など)を取得する。
【0032】
なお、図2に示す照明器具20およびセンサ30の配置位置および数などは、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0033】
制御装置10は、上記のセンサ30の検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて、照明器具20の点灯制御を実行することができる、詳しくは照明器具20を個別に制御することができる。例えば、制御装置10は、センサ30の検知結果に基づき、人P(以下「利用者P」と記載する場合がある)が存在する位置を検出する。なお、図2では、センサID「12」のセンサ30よって利用者Pが検知されたことを示している。
【0034】
次いで、制御装置10は、利用者Pが存在する位置を含む範囲を「所定エリアA」と設定する。具体的には、制御装置10は、センサID「12」のセンサ30付近に配置された照明ID「23」「24」「33」「34」の照明器具20を含む領域を「所定エリアA」と設定する。また、制御装置10は、所定エリアAの周辺を「周辺エリアB」と設定する。具体的には、制御装置10は、照明ID「12」~「15」「22」「25」「32」「35」「42」~「45」を含むの領域を「周辺エリアB」と設定する。なお、図2では、所定エリアAを破線で囲んで示し、周辺エリアBを一点鎖線で囲んで示している。
【0035】
そして、制御装置10は、所定エリアAに配置された照明器具20を所定の調光度(例えば70%)で点灯させるとともに、周辺エリアBに配置された照明器具20を所定の照度よりも低い調光度(例えば20%)で点灯させる。なお、図2では、所定の調光度で点灯する照明器具20は黒塗りで示し、所定の照度よりも低い調光度で点灯する照明器具20は斜線を付して示している。
【0036】
このように、制御装置10は、利用者Pが存在する所定エリアAの照明器具20を点灯させる一方、周辺エリアBの照明器具20を所定エリアAの照明器具20より暗くなるようにしつつ点灯させる。制御装置10は、上記の制御により、利用者Pの視野内の明暗差を小さくすることができる。
【0037】
従って、利用者Pの視野内の明暗差が大きいと、利用者Pの目が疲れやすくなるなど視環境が低下するおそれがあるが、制御装置10は、上記の制御により視野内の明暗差を小さくすることで、利用者Pにとって快適な視環境を確保することができる。また、利用者Pの視野内の明暗差が大きいと、利用者Pは不安感を感じやすくなるが、制御装置10は、上記の制御により視野内の明暗差を小さくすることで、かかる不安感を軽減させることができる。
【0038】
本実施形態に係る制御装置10にあっては、上記した所定エリアAおよび周辺エリアの照明器具20の制御において、利用者Pの状況に応じて照明器具20を適切に点灯制御するように構成される。かかる利用者Pの状況には、後述するように、照明器具20によって照明される所定の空間に存在する利用者(人)Pの密度が含まれる。
【0039】
以下、制御装置10の構成について、図3を参照して説明する。図3は、制御装置10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置10は、制御部70と、記憶部80とを具備し、照明器具20およびセンサ30と通信可能に接続される。
【0040】
制御部70は、取得部71と、推定部72と、決定部73と、点灯制御部74とを具備する。記憶部80は、点灯情報81を記憶する。
【0041】
ここで、制御装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部70の取得部71、推定部72、決定部73および点灯制御部74として機能する。
【0042】
また、制御部70の取得部71、推定部72、決定部73および点灯制御部74の少なくともいずれか1つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0043】
また、記憶部80は、例えば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、制御装置10は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0044】
ここで、記憶部80に記憶される点灯情報81について説明する。点灯情報81は、利用者Pが検知された場合における照明器具20の点灯制御に関する情報である。図4は、かかる点灯情報81の一例を示す図である。
【0045】
図4に示すように、点灯情報81は、「利用者の密度」、「所定エリアの点灯制御」および「周辺エリアの点灯制御」といった項目を含み、各項目は互いに対応付けられている。
【0046】
「利用者の密度」は、利用者(人)Pの密度を示す情報である。具体的には、「利用者の密度」は、照明器具20によって照明される所定の空間に存在する利用者(人)Pの密度(密集度)を示す情報である。「利用者の密度」では、利用者Pの密度が比較的低いことを示す「低」、密度が中程度であることを示す「中」、密度が比較的高いことを示す「高」など、密度の高低の度合いに応じて数段階のレベルで示される。なお、利用者Pの密度が低い、高いなどは、密度が予め設定された閾値に対して低い、高いなどの意味を含むが、これに限定されるものではない。
【0047】
「所定エリアの点灯制御」は、所定エリアAに配置された照明器具20の点灯制御に関する情報である。「所定エリアの点灯制御」には、照明器具20の点灯制御として調光度が設定される。具体的には、「利用者の密度」が「低」の場合における「所定エリアの点灯制御」は、照明器具20が調光度70%で制御されることを示している。「利用者の密度」が「中」の場合における「所定エリアの点灯制御」は、照明器具20が調光度75%で制御されることを示している。「利用者の密度」が「高」の場合における「所定エリアの点灯制御」は、照明器具20が調光度80%で制御されることを示している。すなわち、「所定エリアの点灯制御」は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20がより明るくなるように設定されている。
【0048】
「周辺エリアの点灯制御」は、周辺エリアBに配置された照明器具20の点灯制御に関する情報である。「周辺エリアの点灯制御」には、照明器具20の点灯制御として調光度が設定される。「周辺エリアの点灯制御」における調光度は、「所定エリアの点灯制御」における調光度より低い値に設定される。具体的には、「利用者の密度」が「低」の場合における「周辺エリアの点灯制御」は、照明器具20が調光度20%で制御されることを示している。「利用者の密度」が「中」の場合における「周辺エリアの点灯制御」は、照明器具20が調光度35%で制御されることを示している。「利用者の密度」が「高」の場合における「周辺エリアの点灯制御」は、照明器具20が調光度50%で制御されることを示している。すなわち、「周辺エリアの点灯制御」は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、周辺エリアBの照明器具20がより明るくなるように設定されている。
【0049】
なお、図4に示す点灯情報81では、調光度の数値を具体的に示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。また、点灯情報81において利用者Pの密度を段階的に示したが、その段階の数についても、図示の数に限られず、任意に設定可能である。
【0050】
図3の説明に戻ると、制御部70の取得部71は、センサ30から検知結果(利用者Pの位置、人数など)を示す情報を取得する。取得部71は、取得した検知結果を示す情報を推定部72および決定部73へ出力する。
【0051】
推定部72は、センサ30の検知結果に基づいて、利用者Pの密度を推定する。例えば、推定部72は、センサ30の検知結果から、所定範囲内における利用者Pの人数を算出する。所定範囲は、例えば1つの照明器具20によって照明される所定の空間の範囲、または、1つのセンサ30によって利用者Pを検知できる範囲(検知範囲)などに設定されるが、これに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0052】
そして、推定部72は、所定範囲内における人数を所定範囲の面積で除して利用者Pの密度を算出する。なお、利用者Pの密度は、上記に限られず、例えば所定の空間の範囲あたりの利用者Pの人数、またはセンサ30の検知範囲あたりの利用者Pの人数などであってもよい。
【0053】
次いで、推定部72は、推定した利用者Pの密度と、予め設定された閾値とを比較する。そして、推定部72は、推定した利用者Pの密度が閾値より低い場合、利用者Pの密度が「低」(図4参照)であると判定する。同様に、推定部72は、推定した利用者Pの密度が閾値と同じあるいは同程度である場合、利用者Pの密度が「中」であると判定する。推定部72は、推定した利用者Pの密度が閾値より高い場合、利用者Pの密度が「高」であると判定する。推定部72は、かかる判定結果を示す情報を点灯制御部74へ出力する。
【0054】
決定部73は、センサ30の検知結果に基づいて、所定エリアAの位置および範囲と、周辺エリアBの位置および範囲とを決定する。例えば、決定部73は、センサ30の検知結果に含まれる利用者Pの位置に基づき、利用者Pの位置を含む任意の範囲を所定エリアAとして決定する(図2参照)。また、決定部73は、所定エリアAの周辺の範囲を周辺エリアBとして決定する(図2参照)。決定部73は、決定した所定エリアAの位置および範囲を示す情報と、周辺エリアBの位置および範囲を示す情報とを点灯制御部74へ出力する。
【0055】
点灯制御部74は、所定エリアAに配置される照明器具20、および、周辺エリアに配置される照明器具20の点灯制御を実行する。例えば、点灯制御部74は、推定部72から入力された判定結果(具体的には、利用者Pの密度に対する「低」「中」「高」の判定結果)を示す情報と、記憶部80の点灯情報81とに基づいて、所定エリアAおよび周辺エリアBに配置される照明器具20の調光度を決定する。
【0056】
そして、点灯制御部74は、決定部73から入力された位置および範囲の所定エリアAに配置された照明器具20に対し、決定した調光度となるように、点灯制御を実行する。また、点灯制御部74は、決定部73から入力された位置および範囲の周辺エリアBに配置された照明器具20に対し、決定した調光度となるように、点灯制御を実行する。
【0057】
ここで、上記した点灯制御について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る点灯制御を説明するための図である。図5では、理解の便宜のため、利用者Pの密度が「低」である場合の点灯制御を上段に示し、利用者Pの密度が「高」である場合の点灯制御を下段に示している。
【0058】
図5の上段に示すように、センサID「12」のセンサ30で検知された利用者Pの密度が「低」である場合、制御部70は、所定エリアAの照明器具20である照明ID「23」「24」「33」「34」の照明器具20が調光度70%となるように、点灯制御を実行する。また、制御部70は、周辺エリアBの照明器具20である照明ID「12」~「15」「22」「25」「32」「35」「42」~「45」の照明器具20が調光度70%となるように、点灯制御を実行する。
【0059】
また、図5の下段に示すように、センサID「12」のセンサ30で検知された利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、所定エリアAの照明器具20が調光度80%となるように、点灯制御を実行する。言い換えると、利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、利用者Pの密度が「低」である場合に比べて、所定エリアAの照明器具20が明るくなるように点灯制御を実行する。
【0060】
また、制御部70は、周辺エリアBの照明器具20が調光度50%となるように、点灯制御を実行する。言い換えると、利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、利用者Pの密度が「低」である場合に比べて、周辺エリアBの照明器具20が明るくなるように点灯制御を実行する。
【0061】
このように、本実施形態に係る制御部70は、センサ30の検知結果に基づいて推定される利用者Pの密度に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の点灯制御を実行する。詳しくは、制御部70は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20がより明るくなるように点灯制御を実行する。
【0062】
これにより、制御部70は、利用者Pの状況に応じて照明器具20を適切に点灯制御することができる。すなわち、例えば利用者Pは、周囲の人数が増えるなどして密度が高くなると、同じ調光度であっても一人でいるような密度が低い場合に比べて、所定エリアAおよび周辺エリアBの空間について暗く感じてしまい、視環境が低下するおそれがある。本実施形態に係る制御部70は、上記のような制御を行うことで、利用者Pは、密度が高くなっても所定エリアAおよび周辺エリアBの空間について暗く感じにくくなり、よって視環境の低下を抑制することができる。
【0063】
なお、上記では、所定エリアAの照明器具20の調光度、および、周辺エリアBの照明器具20の調光度の両方が利用者Pの密度によって変更される例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の調光度が利用者Pの密度によって変更されてもよい。
【0064】
すなわち、所定エリアAの照明器具20の調光度は、利用者Pの密度に関わらず一定(図4にカッコ書きで示されるように調光度70%のまま)とされ、周辺エリアBの照明器具20の調光度が、利用者Pの密度に応じて変更されてもよい。これにより、制御部70は、利用者Pの密度に応じた点灯制御が行われない場合に比べ、周辺エリアBの照明器具20に対し、利用者Pの密度に応じたより細かい点灯制御を行うことができる。
【0065】
また、所定エリアAの照明器具20の調光度は、利用者Pの密度に応じて変更され、周辺エリアBの照明器具20の調光度が、利用者Pの密度に関わらず一定(図4にカッコ書きで示されるように調光度20%のまま)とされてもよい。これにより、制御部70は、利用者Pの密度に応じた点灯制御が行われない場合に比べ、所定エリアAの照明器具20に対し、利用者Pの密度に応じたより細かい点灯制御を行うことができる。
【0066】
このように、本実施形態に係る制御部70は、利用者Pの密度に応じて、所定エリアAの照明器具20および周辺エリアBの照明器具20の少なくともいずれかの点灯制御を実行する構成であればよい。詳しくは、制御部70は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20および周辺エリアBの照明器具20の少なくともいずれかがより明るくなるように点灯制御を実行する構成であればよい。
【0067】
次に、図6を用いて、実施形態に係る制御装置10が実行する処理手順について説明する。図6は、実施形態に係る制御装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図6では、制御装置10が実行する各種処理のうち、利用者Pの密度に応じた点灯制御に関する処理を示す。
【0068】
図6に示すように、制御装置10の制御部70は、センサ30の検知結果に基づいて、利用者Pを検知したか否かを判定する(ステップS10)。制御部70は、利用者Pを検知していないと判定した場合(ステップS10,No)、ステップS10に戻り、ステップS10の処理を再度実行する。つまり、制御部70は、利用者Pを検知するまで、ステップS10の処理を繰り返す。
【0069】
一方、制御部70は、利用者Pを検知したと判定した場合(ステップS10,Yes)、センサ30の検知結果に基づいて、所定エリアAの位置および範囲と、周辺エリアBの位置および範囲とを決定する(ステップS11)。
【0070】
次いで、制御部70は、センサ30の検知結果に基づいて、利用者Pの密度を推定する(ステップS12)。次いで、制御部70は、センサ30の検知結果に基づいて推定される利用者Pの密度に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の点灯制御を実行する(ステップS13)。例えば、制御部70は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20がより明るくなるように点灯制御を実行する。
【0071】
このように、実施形態に係る照明制御システム1は、複数の照明器具20と、センサ(検知装置の一例)30と、制御装置10とを具備する。照明器具20は、所定の空間を照明する。センサ30は、所定の空間に存在する人(利用者)Pを検知する。制御装置10は、センサ30の検知結果に基づいて推定される人Pの密度に応じて、センサ30によって人が検知された位置を含む所定エリアAに配置される照明器具20、および、所定エリアAの周辺の周辺エリアBに配置される照明器具20の少なくともいずれかの点灯制御を実行する。これにより、利用者Pの状況に応じて照明器具20を適切に点灯制御することができる。
【0072】
[第1変形例]
次に、第1変形例に係る制御装置を含む照明制御システムについて説明する。なお、以下においては、実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
第1変形例に係る制御装置は、利用者(人)Pの密度に応じて所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する。この第1変形例に係る制御装置について、図7を参照して説明する。図7は、第1変形例に係る制御装置10Aの構成例を示す図である。
【0074】
図7に示すように、第1変形例に係る制御装置10Aの記憶部80は、エリア範囲情報82を記憶する。エリア範囲情報82は、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲(広さ)に関する情報である。図8は、かかるエリア範囲情報82の一例を示す図である。
【0075】
図8に示すように、エリア範囲情報82は、「利用者の密度」、「所定エリアの範囲」および「周辺エリアの範囲」といった項目を含み、各項目は互いに対応付けられている。
【0076】
「利用者の密度」は、利用者Pの密度を示す情報である。「利用者の密度」は、点灯情報81の「利用者の密度」と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0077】
「所定エリアの範囲」は、所定エリアAの範囲(広さ)を示す情報である。具体的には、「利用者の密度」が「低」の場合における「所定エリアの範囲」は、最も小さい範囲を示す「小」が設定される。「利用者の密度」が「中」の場合における「所定エリアの範囲」は、「小」より大きい「中」が設定される。「利用者の密度」が「高」の場合における「所定エリアの範囲」は、「中」より大きく、かつ最も大きい範囲を示す「大」が設定される。すなわち、「所定エリアの範囲」は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、所定エリアAの範囲がより広くなるように設定されている。
【0078】
「周辺エリアの範囲」は、周辺エリアBの範囲(広さ)を示す情報である。具体的には、「利用者の密度」が「低」の場合における「周辺エリアの範囲」は、最も小さい範囲を示す「小」が設定される。「利用者の密度」が「中」の場合における「周辺エリアの範囲」は、「小」より大きい「中」が設定される。「利用者の密度」が「高」の場合における「周辺エリアの範囲」は、「中」より大きく、かつ最も大きい範囲を示す「大」が設定される。すなわち、「周辺エリアの範囲」は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、周辺エリアBの範囲がより広くなるように設定されている。
【0079】
なお、図8に示すエリア範囲情報82において、所定エリアAの範囲および周辺エリアBの範囲を段階的に示したが、その段階の数についても、図示の数に限られず、任意に設定可能である。
【0080】
図7の説明に戻ると、制御部70の決定部73は、推定部72によって推定された利用者Pの密度に応じて、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する。例えば、決定部73は、推定部72から入力された判定結果(具体的には、利用者Pの密度に対する「低」「中」「高」の判定結果)を示す情報と、記憶部80のエリア範囲情報82とに基づいて、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する。決定部73は、決定した所定エリアAの範囲を示す情報と、周辺エリアBの範囲を示す情報とを点灯制御部74へ出力する。
【0081】
なお、決定部73は、センサ30の検知結果に基づいて、所定エリアAの位置と周辺エリアBの位置とを決定し、その決定した所定エリアAの位置を示す情報と、周辺エリアBの位置を示す情報とを点灯制御部74へ出力する。
【0082】
そして、点灯制御部74は、決定部73から入力された位置および範囲の所定エリアAに配置された照明器具20に対して、点灯制御を実行する。また、点灯制御部74は、決定部73から入力された位置および範囲の周辺エリアBに配置された照明器具20に対して、点灯制御を実行する。
【0083】
ここで、第1変形例に係る点灯制御について図9を参照して説明する。図9は、第1変形例に係る点灯制御を説明するための図である。図9では、理解の便宜のため、利用者Pの密度が「低」である場合の点灯制御を上段に示し、利用者Pの密度が「高」である場合の点灯制御を下段に示している。
【0084】
図9の上段に示すように、センサID「12」のセンサ30で検知された利用者Pの密度が「低」である場合、制御部70は、所定エリアAの範囲を「小」に決定する。この所定エリアAの範囲には、照明ID「23」「24」「33」「34」の照明器具20が含まれる。そして、制御部70は、所定エリアAの範囲に配置された照明器具20が調光度70%となるように、点灯制御を実行する。また、制御部70は、周辺エリアBの範囲を「小」に決定する。この周辺エリアBの範囲には、照明ID「12」~「15」「22」「25」「32」「35」「42」~「45」の照明器具20が含まれる。そして、制御部70は、周辺エリアBの範囲に配置された照明器具20が調光度20%となるように、点灯制御を実行する。
【0085】
また、図9の下段に示すように、センサID「12」のセンサ30で検知された利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、所定エリアAの範囲を「大」に決定する。この所定エリアAの範囲には、照明ID「23」「24」「25」「33」「34」「35」の照明器具20が含まれる。そして、制御部70は、所定エリアAの範囲に配置された照明器具20が調光度80%となるように、点灯制御を実行する。すなわち、利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、利用者Pの密度が「低」である場合に比べて範囲の広い所定エリアAの照明器具20に対して、点灯制御を実行する。
【0086】
また、制御部70は、利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、周辺エリアBの範囲を「大」に決定する。この周辺エリアBの範囲には、照明ID「01」~「07」「11」~「17」「21」「22」「26」「27」「31」「32」「36」「37」「41」~「47」「51」~「57」の照明器具20が含まれる。そして、制御部70は、周辺エリアBの範囲に配置された照明器具20が調光度50%となるように、点灯制御を実行する。すなわち、利用者Pの密度が「高」である場合、制御部70は、利用者Pの密度が「低」である場合に比べて範囲の広い周辺エリアBの照明器具20に対して、点灯制御を実行する。
【0087】
このように、第1変形例に係る制御部70は、利用者Pの密度に応じて所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する。詳しくは、制御部70は、利用者Pの密度が高くなるにつれてより広くなるように所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する。そして、制御部70は、決定した範囲の所定エリアAおよび周辺エリアBに配置された照明器具20の点灯制御を行う。
【0088】
これにより、制御部70は、利用者Pの状況に応じて照明器具20を適切に点灯制御することができる。すなわち、例えば利用者Pは、周囲の人数が増えるなどして密度が高くなると、同じ範囲であっても一人でいるような密度が低い場合に比べて、所定エリアAおよび周辺エリアBの空間について狭く感じてしまい、視環境が低下するおそれがある。第1変形例に係る制御部70は、上記のような制御を行うことで、利用者Pは、密度が高くなっても所定エリアAおよび周辺エリアBの空間について狭く感じにくくなり、よって視環境の低下を抑制することができる。
【0089】
なお、上記では、所定エリアAの範囲および周辺エリアBの範囲の両方が利用者Pの密度によって変更される例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の範囲が利用者Pの密度によって変更されてもよい。
【0090】
すなわち、所定エリアAの範囲は、利用者Pの密度に関わらず一定(図8にカッコ書きで示されるように「小」のまま)とされ、周辺エリアBの範囲が、利用者Pの密度に応じて変更されてもよい。これにより、制御部70は、利用者Pの密度に応じた点灯制御が行われない場合に比べ、より適切な範囲の周辺エリアBの照明器具20に対し、利用者Pの密度に応じたより細かい点灯制御を行うことができる。
【0091】
また、所定エリアAの範囲は、利用者Pの密度に応じて変更され、周辺エリアBの範囲が、利用者Pの密度に関わらず一定(図8にカッコ書きで示されるように「小」のまま)とされてもよい。これにより、制御部70は、利用者Pの密度に応じた点灯制御が行われない場合に比べ、より適切な範囲の所定エリアAの照明器具20に対し、利用者Pの密度に応じたより細かい点灯制御を行うことができる。
【0092】
このように、第1変形例に係る制御部70は、利用者Pの密度に応じて、所定エリアAおよび周辺エリアBの少なくともいずれかの範囲を決定する構成であればよい。詳しくは、制御部70は、利用者Pの密度が高くなるにつれてより広くなるように所定エリアAおよび周辺エリアBの少なくともいずれかの範囲を決定する構成であればよい。
【0093】
次に、図10を用いて、第1変形例に係る制御装置10Aが実行する処理手順について説明する。図10は、第1変形例に係る制御装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図10では、制御装置10Aが実行する各種処理のうち、利用者Pの密度に応じた点灯制御に関する処理を示す。
【0094】
図10に示すように、制御装置10Aの制御部70は、ステップS10において利用者Pを検知したと判定した場合、センサ30の検知結果に基づいて、所定エリアAの位置と、周辺エリアBの位置とを決定する(ステップS11a)。すなわち、ステップS11aの処理では、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲は決定されない。
【0095】
次いで、制御部70は、ステップS12で利用者Pの密度を推定した後、利用者Pの密度に応じて、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する(ステップS12a)。次いで、制御部70は、ステップS13の処理に進み、決定した範囲の所定エリアAおよび周辺エリアBの照明器具20に対し、利用者Pの密度に応じた点灯制御を実行する。具体的には、制御部70は、利用者Pの密度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20がより明るくなるように点灯制御を実行する。
【0096】
[第2変形例]
次に、第2変形例に係る制御装置を含む照明制御システムについて説明する。なお、以下においては、実施形態、第1変形例と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
第2変形例に係る制御装置は、利用者(人)Pの移動方向に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の点灯制御を実行する。この第2変形例に係る制御装置について、図11を参照して説明する。図11は、第2変形例に係る制御装置10Bの構成例を示す図である。
【0098】
図11に示すように、第2変形例に係る制御装置10Bにおいて、制御部70の推定部72は、センサ30の検知結果に基づいて利用者Pの移動方向を推定する。ここで、利用者Pの移動方向を推定について図12を参照して説明する。図12は、利用者Pの移動方向の推定を説明するための図である。
【0099】
図12に示すように、まずセンサID「12」のセンサ30によって利用者Pが検知されたものとする。そして、所定時間経過後、センサID「12」のセンサ30によって利用者Pが検知されなくなり、破線で示すように、センサID「13」のセンサ30によって利用者Pが検知されたものとする。このような場合、推定部72は、最初に利用者Pが検知されたセンサID「12」のセンサ30の位置から、次に利用者Pが検知されたセンサID「13」のセンサ30の位置へ向かう方向を、利用者Pの移動方向(矢印C参照)として推定する。推定部72は、推定した利用者Pの移動方向を示す情報を決定部73へ出力する。
【0100】
なお、上記した利用者Pの移動方向を推定する手法は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、推定部72は、例えばセンサ30に含まれるカメラ等で撮像された撮像画像を解析して、利用者Pの移動方向を推定するなど、その他の推定手法を用いてもよい。
【0101】
また、推定部72は、推定した利用者Pの移動方向の推定精度を判定してもよい。例えば、推定部72は、推定精度が比較的低いことを示す「低」、推定精度が中程度であることを示す「中」、推定精度が比較的高いことを示す「高」など、推定精度の高低の度合いに応じて数段階のレベルで判定することができる。
【0102】
一例として、推定部72は、現時点までに時系列で利用者Pを検知したセンサ30の数が2個(図12の例ではセンサID「12」とセンサID「12」のセンサ30)である場合、利用者Pは矢印Cの移動方向に移動しているものの、そのまま移動が継続されるか不明であるため、推定精度は比較的低いと判定する。また、推定部72は、現時点までに時系列で利用者Pを検知したセンサ30の数が3個以上であり、かかる3個以上のセンサ30が直線状に並んでいるような場合、利用者Pはそのセンサ30が並ぶ方向を移動方向として移動しており、かつそのまま移動が継続される可能性が高いことから、推定精度は比較的高いと判定する。推定部72は、判定した推定精度を示す情報を点灯制御部74へ出力する。
【0103】
なお、上記した利用者Pの移動方向の推定精度を判定手法は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、推定部72は、例えばセンサ30に含まれるカメラ等で撮像された撮像画像を解析して、利用者Pの顔の向き、手足の動きなどから推定精度を判定するなど、その他の判定手法を用いてもよい。
【0104】
図11の説明を続けると、第2変形例に係る制御装置10Aの記憶部80は、移動時点灯情報83を記憶する。移動時点灯情報83は、利用者Pが移動している場合における照明器具20の点灯制御に関する情報である。図13は、かかる移動時点灯情報83の一例を示す図である。
【0105】
図13に示すように、移動時点灯情報83は、「移動方向の推定精度」および「移動時点灯制御」といった項目を含み、各項目は互いに対応付けられている。
【0106】
「移動方向の推定精度」は、上記した利用者Pの移動方向の推定精度を示す情報である。
【0107】
「移動時点灯制御」は、推定精度に応じて加算する、照明器具20の調光度を示す情報である。具体的には、「移動方向の推定精度」が「低」の場合における「移動時点灯制御」は、加算調光度が「0%」であることを示している。すなわち、推定精度が比較的低い場合、照明器具20は、利用者Pの密度に応じて設定された調光度のままで制御される。
【0108】
「移動方向の推定精度」が「中」の場合における「移動時点灯制御」は、加算調光度が「5%」であることを示している。すなわち、推定精度が中程度である場合、照明器具20は、利用者Pの密度に応じて設定された調光度に5%を加えた調光度で制御される。
【0109】
「移動方向の推定精度」が「高」の場合における「移動時点灯制御」は、加算調光度が「10%」であることを示している。すなわち、推定精度が比較的高い場合、照明器具20は、利用者Pの密度に応じて設定された調光度に10%を加えた調光度で制御される。このように、「移動時点灯制御」は、利用者Pの移動方向の推定精度が高くなるにつれて、照明器具20がより明るくなるように設定されている。
【0110】
なお、図13に示す移動時点灯情報83において、加算する調光度の数値を具体的に示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。また、移動時点灯情報83において、加算する調光度を段階的に示したが、その段階の数についても、図示の数に限られず、任意に設定可能である。
【0111】
図11の説明に戻ると、利用者Pが移動する場合、制御部70の決定部73は、推定部72によって推定された利用者Pの移動方向、および、利用者Pの密度に応じて、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する。
【0112】
具体的には、決定部73は、所定エリアAおよび周辺エリアBにおける移動方向側の範囲が、利用者Pが移動しない場合に比べて広くなるように決定する。
【0113】
ここで、上記した所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲の決定を含む、第2変形例の点灯制御について図14を参照して説明する。図14は、第2変形例に係る点灯制御を説明するための図である。図14では、理解の便宜のため、利用者Pの密度が「低」である場合の点灯制御を上段に示し、利用者Pの密度が「高」である場合の点灯制御を下段に示している。また、利用者Pが移動しない場合の点灯制御は、図5に示している。
【0114】
利用者Pが移動しない場合、決定部73は、図5の上段に示すように、照明ID「23」「24」「33」「34」の照明器具20を含む領域を「所定エリアA」と設定する。これに対し、利用者Pが移動する場合、決定部73は、利用者Pの移動方向(矢印C)側が広くなるように、照明ID「23」~「26」「33」~「36」の照明器具20を含む領域を「所定エリアA」と設定する(図14の上段参照)。
【0115】
利用者Pが移動しない場合、決定部73は、図5の上段に示すように、照明ID「12」~「15」「22」「25」「32」「35」「42」~「45」の照明器具20を含むの領域を「周辺エリアB」と設定する。これに対し、利用者Pが移動する場合、決定部73は、利用者Pの移動方向(矢印C)側が広くなるように、照明ID「12」~「18」「22」「27」「28」「32」「37」「38」「42」~「48」の照明器具20を含むの領域を「周辺エリアB」と設定する。そして、点灯制御部74は、決定部73によって決定された範囲の所定エリアAおよび周辺エリアBに配置された照明器具20に対して、点灯制御を実行する。
【0116】
このように、第2変形例に係る制御部70は、利用者(人)Pの移動方向に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の点灯制御を実行する。詳しくは、制御部70は、利用者Pの移動方向に応じて、所定エリアAおよび周辺エリアBにおける移動方向側の範囲を決定する。より詳しくは、制御部70は、所定エリアAおよび周辺エリアBにおける移動方向側の範囲が、利用者Pが移動しない場合に比べて広くなるように決定する。
【0117】
これにより、制御部70は、利用者Pが移動するという状況に応じて、照明器具20を適切に点灯制御することができる。具体的には、制御部70は、利用者Pの移動先を広く照明して、明るくすることができる。
【0118】
また、制御部70の決定部73は、所定エリアAおよび周辺エリアBにおける移動方向側の範囲を、利用者Pの密度に応じて変更してもよい。例えば、決定部73は、利用者Pの密度が高くなるにつれてより広くなるように所定エリアAおよび周辺エリアBにおける移動方向側の範囲を決定してもよい。
【0119】
具体的には、図14の下段に示すように、移動する利用者Pの密度が「高」である場合、決定部73は、照明ID「23」~「27」「33」~「37」の照明器具20を含む領域を「所定エリアA」と設定する。また、利用者Pの密度が「高」である場合、決定部73は、照明ID「12」~「20」「22」「28」~「30」「32」「38」~「40」「42」~「50」を含むの領域を「周辺エリアB」と設定する。そして、点灯制御部74は、決定部73によって決定された範囲の所定エリアAおよび周辺エリアBに配置された照明器具20に対して、点灯制御を実行する。
【0120】
これにより、制御部70は、利用者Pが比較的多くの人数で移動するという状況に応じて、照明器具20を適切に点灯制御することができる。具体的には、制御部70は、比較的多い人数の利用者Pの移動先をより広く照明して、明るくすることができる。
【0121】
また、制御部70の点灯制御部74は、推定された利用者Pの移動方向の推定精度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20および周辺エリアBの照明器具20がより明るくなるように点灯制御を実行する。
【0122】
例えば、点灯制御部74は、利用者Pの密度と、点灯情報81と、利用者Pの移動方向の推定精度と、移動時点灯情報83とに基づいて、照明器具20の調光度を決定し、かかる調光度となるように照明器具20を点灯制御する。
【0123】
一例として、利用者Pの密度が「高」、推定精度が「高」である場合の所定エリアAの照明器具20の調光度について説明する。点灯制御部74は、利用者Pの密度が「高」であるときの調光度「80%」に推定精度が「高」である場合の加算調光度「10%」を加算するため、調光度90%となるように所定エリアAの照明器具20を点灯制御する。
【0124】
他の例として、利用者Pの密度が「低」、推定精度が「高」である場合の周辺エリアBの照明器具20の調光度について説明する。点灯制御部74は、利用者Pの密度が「高」であるときの調光度「20%」に推定精度が「高」である場合の加算調光度「10%」を加算するため、調光度30%となるように周辺エリアBの照明器具20を点灯制御する。
【0125】
これにより、制御部70は、利用者Pが移動するという状況に応じて、照明器具20をより適切に点灯制御することができる。具体的には、制御部70は、利用者Pの移動先として推定される場所をより明るくすることができる。
【0126】
なお、上記では、推定される利用者Pの移動方向に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の両方が制御される例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の照明器具20が移動方向に応じて制御されてもよい。
【0127】
すなわち、第2変形例に係る制御部70は、利用者Pの移動方向に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の少なくともいずれかの点灯制御を実行する構成であればよい。
【0128】
また、上記では、利用者Pの移動方向の推定精度に応じて、所定エリアAの照明器具20、および、周辺エリアBの照明器具20の両方が制御される例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の照明器具20が推定精度に応じて制御されてもよい。
【0129】
すなわち、第2変形例に係る制御部70は、利用者Pの移動方向の推定精度が高くなるにつれて、所定エリアAの照明器具20および周辺エリアBの照明器具20の少なくともいずれかがより明るくなるように点灯制御を実行する構成であればよい。
【0130】
次に、図15を用いて、第2変形例に係る制御装置10Bが実行する処理手順について説明する。図15は、第2変形例に係る制御装置10Bが実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図15では、制御装置10Bが実行する各種処理のうち、利用者Pの密度、利用者Pの移動方向、移動方向の推定精度に応じた点灯制御に関する処理を示す。
【0131】
図15に示すように、制御装置10Bの制御部70は、ステップS12において利用者Pの密度を推定した後、利用者Pの移動があるか否かを判定する(ステップS12b)。制御部70は、利用者Pの移動がないと判定した場合(ステップS12b,No)、ステップS12a、ステップS13の処理を実行する。
【0132】
一方、制御部70は、利用者Pの移動があると判定した場合(ステップS12b,Yes)、移動方向の推定精度を判定する(ステップS14)。次いで、制御部70は、利用者Pの密度および移動方向に応じて、所定エリアAおよび周辺エリアBの範囲を決定する(ステップS15)。
【0133】
次いで、制御部70は、決定した範囲の所定エリアAおよび周辺エリアBの照明器具20に対し、利用者Pの密度および移動方向の推定精度に応じて点灯制御を実行する(ステップS16)。
【0134】
なお、上記では、利用者Pの密度等に応じて照明器具20の調光度が変更される点灯制御を示したが、これに限られず、例えば利用者Pの密度等に応じて照明器具20の色などが変更される点灯制御であってもよい。
【0135】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 照明制御システム
10、10A、10B 制御装置
20 照明器具
30 センサ
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