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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118769
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025242
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】江原 拓真
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BB01
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】繰り返し充電しても充電端子が汚れにくい充電器を提供する。
【解決手段】充電器(91)は、充電する機器(92)を第1方向に移動させて充電位置に位置させた状態で、機器(92)の端子部(923)に接触する端子(3)と、端子(3)に対し第1方向の上流側に配置され、機器(92)が充電位置に向かって第1方向に移動中に端子部(923)に一部が接触するように配置された無端帯状のマット(51)と、マット(51)を一方向にのみ循環回転可能とする回転方向規制部(57)と、マット(51)における前記端子部に接触する面に接触して前記マットに付着した塵埃を除去するブラシ部(54)と、を備える。回転方向規制部は、機器(92)が充電位置に向け第1方向に移動するときに、マット(51)の循環回転を許容し、機器(92)が充電位置から前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動するときに前記マットの循環回転を規制する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電する機器を第1方向に移動させて充電位置に位置させた状態で、前記機器の端子部に接触する端子と、
前記端子に対し前記第1方向の上流側に配置され、前記機器が前記充電位置に向かって前記第1方向に移動中に前記端子部に一部が接触するように配置された無端帯状のマットと、
前記マットを一方向にのみ循環回転可能とする回転方向規制部と、
前記マットにおける前記端子部に接触する面に接触して前記マットに付着した塵埃を除去するブラシ部と、
を備え、
前記回転方向規制部は、
前記機器が前記充電位置に向け前記第1方向に移動するときに、前記マットの循環回転を許容し、前記機器が前記充電位置から前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動するときに、前記マットの循環回転を規制する充電器。
【請求項2】
前記マットは、離隔して平行に配置された一対のシャフトによって循環回転可能とされており、前記回転方向規制部は前記シャフトに連結されたラチェットである請求項1記載の充電器。
【請求項3】
充電する機器を第1方向に移動させて充電位置に位置させた状態で、前記機器の端子部に接触する端子と、
前記端子に対し前記第1方向の上流側に配置され、前記機器が前記充電位置に向かって前記第1方向に移動中に前記端子部に一部が接触するように配置された無端帯状のマットと、
前記マットを循環回転させるモータと、
前記マットに対し前記第1方向の上流側に配置され、前記機器の有無を検出するセンサと、
前記センサで検出した前記機器の有無に基づいて前記モータの動作を制御する制御部と、
前記マットの外面に接触して前記マットに付着した塵埃を除去するブラシ部と、
を備え、
前記制御部は、
前記センサが前記機器の存在を検出したら前記モータを動作させて前記マットを循環回転させ、所定時間経過後に前記モータを停止させる充電器。
【請求項4】
前記制御部は、前記マットを、前記端子部に接触する部位が前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動する循環回転をするように前記モータの回転方向を制御する請求項3記載の充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、本体部を充電器の凹部に差し込むことで充電器側の充電端子と本体部側の受電端子とが接触し、充電が行われる構造が記載されている。この特許文献1に記載された構造は、本体部にクリーニングパッドが備えられており、本体部を凹部に差し込む際にクリーニングパッドが充電端子の表面を摺動して、充電端子の表面をクリーニングするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4033181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来の技術は、繰り返して充電を行う場合、充電端子と接触するクリーニングパッドの接触面が常に同じ面となる。そのため、クリーニングパッドの接触面が過度に汚れると充電端子も汚れてしまう虞がある、という問題があり、繰り返し充電しても充電端子が汚れにくい技術的工夫が望まれている。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、繰り返し充電しても充電端子が汚れにくい充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)、2)の構成を有する。
1)充電する機器を第1方向に移動させて充電位置に位置させた状態で、前記機器の端子部に接触する端子と、前記端子に対し前記第1方向の上流側に配置され、前記機器が前記充電位置に向かって前記第1方向に移動中に前記端子部に一部が接触するように配置された無端帯状のマットと、前記マットを一方向にのみ循環回転可能とする回転方向規制部と、前記マットにおける前記端子部に接触する面に接触して前記マットに付着した塵埃を除去するブラシ部と、を備え、前記回転方向規制部は、前記機器が前記充電位置に向け前記第1方向に移動するときに、前記マットの循環回転を許容し、前記機器が前記充電位置から前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動するときに、前記マットの循環回転を規制する充電器である。
2)充電する機器を第1方向に移動させて充電位置に位置させた状態で、前記機器の端子部に接触する端子と、前記端子に対し前記第1方向の上流側に配置され、前記機器が前記充電位置に向かって前記第1方向に移動中に前記端子部に一部が接触するように配置された無端帯状のマットと、前記マットを循環回転させるモータと、前記マットに対し前記第1方向の上流側に配置され、前記機器の有無を検出するセンサと、前記センサで検出した前記機器の有無に基づいて前記モータの動作を制御する制御部と、前記マットの外面に接触して前記マットに付着した塵埃を除去するブラシ部と、を備え、前記制御部は、前記センサが前記機器の存在を検出したら前記モータを動作させて前記マットを循環回転させ、所定時間経過後に前記モータを停止させる充電器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、繰り返し充電しても充電端子が汚れにくい、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一態様の実施例1に係る充電器91を示す斜視図である。
図2図2は、充電器91の後面図である。
図3図3は、図1におけるS3-S3位置での断面図である。
図4図4は、充電器91における清掃部5の構成を示す斜視図である。
図5A図5Aは、充電器91の清掃動作を示す第1の図である。
図5B図5Bは、充電器91の清掃動作を示す第2の図である。
図5C図5Cは、充電器91の清掃動作を示す第3の図である。
図5D図5Dは、充電器91の清掃動作を示す第4の図である。
図5E図5Eは、充電器91の清掃動作を示す第5の図である。
図5F図5Fは、充電器91の清掃動作を示す第6の図である。
図5G図5Gは、充電器91の清掃動作を示す第7の図である。
図5H図5Hは、充電器91の清掃動作を示す第8の図である。
図5I図5Iは、充電器91の清掃動作を示す第9の図である。
図6A図6Aは、本発明の一態様の実施例2の充電器91Aを示す断面図である。
図6B】充電器91Aの動作を説明するための部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様を、実施例1の充電器91及び実施例2の充電器91Aにより説明する。
【0010】
(実施例1)
実施例1の充電器91の構成を、図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の一態様に係る実施例1の充電器91を示す斜視図である。図2は、充電器91の後面図である。図3は、図1におけるS3-S3位置での断面図である。図4は、充電器91における清掃部5の構成を示す斜視図である。説明の便宜のため、上下左右前後の各方向を図1に示される矢印の方向で規定する。
【0011】
図1に示されるように、充電器91は、机上で使用可能な態様に形成された筐体1を有する。筐体1は、主体となる筐体基部11と、筐体基部11の上部に着脱自在に取り付けられた蓋部12とを有する。
【0012】
筐体基部11は、前部に、充電する機器92を上方から係合装着するための下方に抉れた凹部2を有する。筐体基部11の後部は、前部よりも背が高く上部が開放された箱状に形成されている。後部の開放された上部は、蓋部12が着脱自在に取り付けられて塞がれている。充電器91によって充電する機器92は、この例において携帯無線機である。機器92は、携帯無線機に限定されず、充電池、音楽再生装置、携帯端末などであってもよい。
【0013】
凹部2は、底として左右前後方向に延在する底壁部21と、底壁部21の後縁から上方に延びるように立設する後壁部22とを有する。凹部2の左右にはそれぞれ側壁部24,25が設けられており、側壁部24と側壁部25との間の距離は、機器92の幅に対応して設定されている。側壁部24及び側壁部25それぞれには、互いに接近するよう内側に突出し上下方向に細長く延びるリブ23が形成されている。
【0014】
図2及び図3に示されるように、充電器91の後面には、左右方向の幅が凹部2に対応する幅で排出口15が開口している。排出口15の下縁には、排出口15から内部に向かうに従って上方に傾斜する排出板16の後縁部が被さるように係止されている。
【0015】
機器92は、図1では下部側の一部が示されている。機器92は、概ね直方体の外装部921を有する。外装部921の後面の下方には、左右方向に所定のピッチで整列した複数の端子部923を有する。端子部923は、導電性金属で形成され、露出する表面が外装部921の後面とほぼ同じ面となるように配置されている。
外装部921の左右の側面それぞれには、機器92を充電器91の凹部2に装着するときに、案内となるべくリブ23が進入係合する側溝922を有する。
【0016】
充電器91の後壁部22には、複数の端子3それぞれの接触部31が前方に突出して露出している。露出している接触部31の数及び左右方向の位置は、機器92の複数の端子部923にそれぞれ対応している。
【0017】
図3に示されるように、筐体基部11の内部には、水平姿勢で基板13が取り付けられている。基板13には、端子3及び制御部14が取り付けられている。
端子3は、ばね性及び導電性を有する金属により、端子基部32及び接触部31を有する屈曲形状で形成されている。
【0018】
詳しくは、端子基部32が基板13上に立設する姿勢で、基板13の電気配線と電気的に接続した状態で固定されている。
接触部31は、端子基部32の上部に接続する部位であり、下方が開放された逆U字状となるよう折れ曲がって形成されている。
端子3は、接触部31が後方に向けて押されると弾性的に撓むようになっている。すなわち、端子3は、前後方向に可撓性を有している(矢印DRa参照)。
【0019】
端子3は、接触部31の後壁部22からの前方への突出量が、機器92が凹部2に装着された状態で機器92の端子部923に当接するよう設定されている。より詳しくは、接触部31は、当接する端子部923によって後方に押され撓み変形するようになっている。すなわち、機器92の底面が凹部2の底壁部21に当接する装着状態で、接触部31は、端子部923に対して付勢接触するようになっている。
【0020】
基板13には制御部14が実装されている。制御部14は、端子3を介した機器92への充電動作を制御する。
【0021】
図1に示されるように、後壁部22において、複数の接触部31それぞれの上方には、塵埃吸着マットであるマット51が前方に円弧の一部が突出するように露出している。複数のマット51は、それぞれ前方への突出量が、凹部2に装脱される機器92の端子部923の表面に対し、前方にわずかに付勢する程度で干渉するよう設定されている。
【0022】
マット51は、清掃部5を構成する部材である。清掃部5は、図3及び図4に示されるように、一対のシャフト55,56,ラチェット57,及び複数のマットユニット51Tを有する。マットユニット51Tは、上述のマット51及びプーリ52,53を有する。
【0023】
シャフト55,56は、左右方向に延びる姿勢で前後方向に離隔して平行に配置されている。シャフト55の左端部55L及び右端部55R、並びに、シャフト56の右端部56Rは、筐体基部11(図4には不図示)に回転自在に支持されている。
シャフト56の左端部56Lは、筐体基部11に固定されたラチェット57に連結されており、回転方向が一方向に規制されている。この例において、シャフト56は、ラチェット57によって右方から見て反時計まわり方向(矢印R57方向)の回転が許容され、時計まわり方向の回転が規制される。すなわち、ラチェット57は回転方向規制部として機能する。
【0024】
シャフト55,56における左右方向の所定の位置には、複数のマットユニット51Tそれぞれのプーリ52,53が固定されている。シャフト55,56において左右方向の同じ位置に固定され互いに組となるプーリ52,53には、無端帯状のマット51が所定の張力で掛け渡されている。これにより、複数のマットユニット51Tのマット51は、ラチェット57によって許容された回転方向(矢印DR3)にのみ循環回転可能となっている。
【0025】
図3に示されるように、蓋部12には、ブラシ部54が取り付けられている。ブラシ部54は、蓋部12を筐体基部11に取り付けたときに、マット51における後側のプーリ53に掛けられている円弧状部分の外面51aに接触するようになっている。
【0026】
充電器91は、上述の構成を有し、機器92を凹部2に装脱する際に、図5A図5Iを参照して次に説明する動作が実行されて機器92の端子部923を清掃する。以下の説明における塵埃6は、汚れも含むものとする。
【0027】
図5Aに示されるように、機器92の端子部923には、塵埃6が付着しているものとする。塵埃6の大きさは誇張して大きく示されている。機器92を凹部2(図1参照)に対し上方から第1方向である下方向に挿入すると(矢印DR5)、図5Bに示されるように、端子部923の表面にマット51が接触する。
マット51は、端子3の接触部31に対し、機器92が移動する第1方向の上流側に配置されている。そのため、端子部923は接触部31よりも先にマット51に接触する。
無端帯状のマット51は、シャフト56の回転が図5Bにおける反時計回り方向に許容されている。そのため、機器92の下降に伴い、マット51は、接触する端子部923との摩擦力によって矢印DR3方向に回動する。その際、端子部923に付着していた塵埃6は、マット51の吸着性によってマット51側に移行する。
【0028】
図5Bから機器92の挿入がさらに進行すると(矢印DR5)、マット51は、常に汚れていない新しい部位が端子部923を付勢しながら循環回転し(矢印DR3)、塵埃6はマット51側に移行する。
そして、図5Cに示されるように、機器92の底部が充電器91の凹部2の底壁部21に当接すると挿入は停止しマット51の循環回転も停止する。この状態で、マット51の接触位置は、端子部923を過ぎて外装部921まで達している。すなわち、端子部923の塵埃6はすべてマット51側に付着し、無端帯状の下側の面に移動している。このようにして端子部923の表面はマット51によって清掃される。尚、図5Cでは、機器92が、その底部の下面924が充電器91の底壁部21に当接した充電位置にあるときに、マット51の機器92に対する接触位置が端子部923を過ぎて端子部923の上方の外装部921まで達している例が示されている。機器92が充電位置にあるときのマット51の機器92に対する接触位置は、この例に限定されず、端子部923における端子3の接触部31が接触しない上部であってもよい。
【0029】
図5Dに示されるように、機器92の充電が終わり、機器92を凹部2から取り出す際の、第1方向とは反対方向の第2方向である上方向への移動で(矢印DR6)、マット51は再び端子部923に接触する。マット51は、ラチェット57によってシャフト56の図5Dにおける時計回り方向の循環回転が規制されている。そのため、マット51は、端子部923の表面を相対的に摺動する。端子部923は、凹部2への装着時にすでにマット51によって表面が清掃されている。従って、機器92の上昇時の端子部923との摺動でマット51側に塵埃及び汚れがあらたに付着することはない。また、マット51における摺動面はきれいな面であるから、端子部923側にあらたに塵埃などが再付着する虞はない。
【0030】
図5Eに示されるように、機器92がマット51から離脱すると、マット51は循環回転が停止したまま待機状態となる。この例において、マット51に吸着した塵埃6はマット51の下面に付着した状態となる。
【0031】
図5Fに示されるように、充電する次の機器92が、凹部2に装着されるべく下降する(矢印DR7参照)。機器92の端子部923には、新たな塵埃7が付着しているものとする。
【0032】
図5Gに示されるように、機器92が下降すると、マット51が端子部923に接触し、端子部923との摩擦力によってラチェット57に許容されている反時計まわりに循環回転する(矢印DR8参照)。この循環回転で、端子部923に対し、マット51は、常に塵埃の付着していないきれいな部位が接触し付勢しながら端子部923の移動に伴い循環回転する。そして、端子部923に付着していた塵埃7は、マット51の吸着性によってマット51側に移動する。
【0033】
一方、前回の機器92の装脱動作でマット51に吸着した塵埃6は、マット51の循環回転によりプーリ53に掛け渡される部分のブラシ部54の接触部位に達し、ブラシ部54によってマット51からこそぎ落される。
マット51からこそぎ落とされた塵埃6を塵埃6bとして区別すると、塵埃6bは、ブラシ部54の下方において後方側(図5Gにおける紙面右方)が低くなるように傾斜配置された排出板16の上に落下する。
【0034】
図5Hに示されるように、機器92の挿入がさらに進行すると(矢印DR7)、マット51は、常に汚れていない新しい部位が端子部923を付勢しながら循環回転する(矢印DR8)。そして、機器92の底部が充電器91の凹部2の底壁部21に当接すると挿入は停止しマット51の循環回転も停止する。この状態で、端子部923の塵埃7はすべてマット51に吸着されて付着し、無端帯状の下側の面に移動している。一方、塵埃6は、ほとんどがブラシ部54によってマット51からこそぎ落され、塵埃6bとして排出板16に落下している。
排出板16の上では、塵埃6bが集まって重くなると、自重によって排出板16を下って移動し排出口15から外部に排出される。
【0035】
充電が終わり機器92を上昇させると、マット51は、ラチェット57によってシャフト56の時計まわりの回転が規制されているため循環回転が停止したまま端子部923を摺動する。その後、図5Iに示されるように、機器92がマット51から完全に離脱すると、マット51は循環回転が停止し、次の端子部923との接触が塵埃のないきれいな部位で行われる待機状態となる。
以降、機器92の充電で以上の動作を繰り返す。
【0036】
上述のように、充電器91は、回動可能な無端帯状のマット51を有し、マット51は、充電する機器92を凹部2に装着する際に、機器92の端子部923に対しわずかに付勢する位置にあって機器92の移動に伴って回動しながら接触する。そのため、端子部923に付着していた塵埃及び汚れはマット51側に転着する。このとき、マット51における端子部923に接触する面は、常にブラシ部54と接触済みの塵埃の付着していないきれいな面となるので、端子部923が汚れてしまうことはない。
【0037】
充電器91において、マット51は、ラチェット57によって循環回転が一方向に限定されているので、汚れを含む塵埃6,7が付着したマット51が逆回転して再び同じ端子部923に接触することはない。また、マット51において端子部923に接触した部位は、許容された一方向に循環回転して再び端子部923に接触する前に、必ずブラシ部54と接触し、付着した塵埃6,7が除去されるようになっている。
これにより、一方向のみに循環回転するマット51に付着した塵埃6,7及び汚れが再び端子部923に付着することはない。
【0038】
このように、充電器91は、機器92の充電時に上述の動作を実行するので、充電する機器92を繰り返し充電しても端子部923に塵埃が付きにくく汚れにくい。
【0039】
(実施例2)
本発明の一態様に係る実施例2の充電器91Aの構成を、図5と、新たな図6A及び図6Bとを参照して説明する。図6Aは、実施例2の充電器91Aを示す断面図であり、図6Bは、充電器91Aの動作を説明するための部分拡大断面図である。
【0040】
図6A及び図6Bに示される充電器91Aは、充電器91の清掃部5及び制御部14の替わりにそれぞれ清掃部5A及び制御部14Aを備え、センサ59Aが新たに付加され、ブラシ部54の替わりに取り付け位置が異なるブラシ部54Aを備えたものである。
【0041】
清掃部5Aは、清掃部5に対しラチェット57の替わりにモータM(図4参照)を備えている。図4において、清掃部5A及びモータMの符号は、括弧付きで示されている。ブラシ部54は、充電器91とは異なり、無端帯状のマット51の下側を走行する部分の外面51aに接触するように、ブラシ部54Aとして配置されている。
【0042】
充電器91Aにおいて、センサ59Aから出力された検出信号J59(図6B参照)は制御部14Aに入力され、制御部14Aは、センサ59Aの検出信号に基づいてモータMの動作を制御する。以下、充電器91Aについて、充電器91と相違する構成を主に詳述する。
【0043】
図6A及び図6Bに示されるように、充電器91Aにおいて、センサ59Aは、凹部2の後壁部22において、突出したマット51よりも上方の部位に一つ配置されている。センサ59Aは、近接センサであって、凹部2に上方から進入する機器92の存在の有無を検出し、その有無を特定できる検出信号J59を制御部14Aに送出する。従って、検出信号J59は、機器92が上方から下降し、その下面924がセンサ59Aの前方に達したときから、機器92が充電完了後に上昇し下面924がセンサ59Aの前方から上へ抜け出るまで有(ON)となる。
【0044】
制御部14Aは、検出信号J59を常時監視し、検出信号J59がONになったら、モータMを図6Bにおける時計まわりに回転させる。これにより、モータMの駆動軸に連結されたシャフト56及びシャフト56に一体的に固定されたプーリ53が時計まわりに回転する(矢印DRA1参照)。そのため、プーリ53,52に掛け渡されたマット51も、時計まわり方向に循環回転する(矢印DRA2参照)。
【0045】
制御部14Aは、検出信号J59がONになってから所定時間経過後にモータMの動作を停止する。所定時間は、機器92を充電する通常の操作で、機器92の下面924がセンサ59Aの直前を通過してから機器92が充電位置(図6Bに二点鎖線で示された位置)である底壁部21に当接する位置に達するまでの時間を十分に超える時間とされる。
【0046】
従って、機器92の端子部923は、装着時の下向き移動中に上向きに移動するマット51によって擦り上げられる。そして、マット51における端子部923を擦り上げる面は、ブラシ部54Aを通過した塵埃及び汚れのないきれいな面となるので、端子部923の表面に付着していた塵埃6A(汚れを含む)は、良好にマット51に転着する。
【0047】
マット51に転着した塵埃6Aは、プーリ53に掛け渡された円弧状部分を通過して下側に移動し、ブラシ部54Aによってこそぎ落され、塵埃6Abとして排出板16に落下する。これにより、ブラシ部54Aを通過したマット51の表面は、再びきれいな面として機器92の端子部923の擦り上げに供される。
【0048】
制御部14Aの時間管理によって、充電開始後、短時間でモータMの回転は停止される。これにより、マット51の循環回転も停止し、充電が完了して取り外される機器92の上昇時には、マット51は停止した状態で端子部923の表面を相対的に摺動する。このときのマット51の摺動面は、ブラシ部54Aを通過したきれいな面であるから、端子部923にマット51から塵埃などが再付着する虞はない。
【0049】
充電器91Aは、機器92の充電時にこの動作を実行するので、充電する機器92を繰り返し充電しても端子部923に塵埃が付きにくく汚れにくい。
【0050】
充電器91,91Aにおいて、清掃部5,5Aのメンテナンス及び交換は、蓋部12を外して行うことができる。
【0051】
以上詳述した一態様は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0052】
マット51の材質は限定されない。実施例2の充電器91Aにおいて、センサ59Aの検出信号J59がONとなった際のモータMの回転方向は、図6Bにおける時計まわり方向ではなく反時計回り方向であってもよい。この場合、ブラシ部54Aは、充電器91のブラシ部54の設置位置とすることで、常に、塵埃等が除去されたきれいな面を端子部923に接触させることができる。従って、充電する機器92を繰り返し充電しても端子部923に塵埃が付きにくく汚れにくい。
【符号の説明】
【0053】
1 筐体
11 筐体基部
12 蓋部
13 基板
14,14A 制御部
15 排出口
16 排出板
2 凹部
21 底壁部
22 後壁部
23 リブ
24,25 側壁部
3 端子
31 接触部
32 端子基部
5 清掃部
51 マット
51a 外面
51T マットユニット
52,53 プーリ
54,54A ブラシ部
55,56 シャフト
55L,56L 左端部
55R,56R 右端部
57 ラチェット
59A センサ
6,6A,7,6b,6Ab,7b塵埃
91,91A 充電器
92 機器
921 外装部
922 側溝
923 端子部
924 下面
JK,JKA 充電構造
J59 検出信号
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B