(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118773
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】搬送設備の検査装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240826BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G05D1/02 G
B61B13/00 T
G05D1/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025251
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北岡 丈義
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 敬祐
【テーマコード(参考)】
3D101
5H301
【Fターム(参考)】
3D101BB57
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE02
5H301MM01
(57)【要約】
【課題】給電線及び給電線支持部材の双方が適正位置にあるか否かの検査を行うことができると共に、当該検査を少ない手間で行うことができる検査装置を実現する。
【解決手段】搬送設備がレール21と第1給電線22aと第1給電線支持部材23aとを備え、検査装置がレール21に沿って走行する台車と第1検査ユニット40aとを備え、第1検査ユニット40aの第1給電線検査部41aは、レール21に対する第1給電線22aの相対位置が予め定められた第1基準範囲D1内であるか否かを検知するように構成され、第1検査ユニット40aの第1支持部材検査部42aは、レール21に対する第1給電線支持部材23aの相対位置が予め定められた第2基準範囲D2内であるか否かを検知するように構成され、第1給電線検査部41aと第1支持部材検査部42aとの双方の台車に対する位置が固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車の走行を案内するレールと、
前記レールに沿って配置されて前記搬送車に給電する給電線と、
前記レールに対する前記給電線の相対位置が固定されるように前記給電線を支持する給電線支持部材と、
を備えた搬送設備の検査装置であって、
前記レールに沿って走行する台車と、前記台車に支持された走行輪と、前記台車に支持された案内輪と、検査ユニットと、を備え、
前記台車が走行する方向を走行方向とし、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、
前記走行輪は、前記レールの上側を向く走行面を転動することで、前記台車の前記レールに対する上下方向の位置決めを行うように構成され、
前記案内輪は、前記レールの前記幅方向に向く案内面を転動することで、前記台車の前記レールに対する前記幅方向の位置決めを行うように構成され、
前記検査ユニットは、前記給電線の配置を検査する給電線検査部と、前記給電線支持部材の配置を検査する支持部材検査部と、を備え、
前記給電線検査部は、前記レールに対する前記給電線の相対位置が予め定められた第1基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、
前記支持部材検査部は、前記レールに対する前記給電線支持部材の相対位置が予め定められた第2基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、
前記給電線検査部と前記支持部材検査部との双方の前記台車に対する位置が固定されている、搬送設備の検査装置。
【請求項2】
前記給電線を第1給電線とし、前記給電線支持部材を第1給電線支持部材とし、前記検査ユニットを第1検査ユニットとし、前記給電線検査部を第1給電線検査部とし、前記支持部材検査部を第1支持部材検査部とし、前記幅方向の一方側を幅方向第1側とし、前記幅方向の他方側を幅方向第2側として、
前記第1給電線及び前記第1給電線支持部材は、前記レールに対して前記幅方向第1側に配置され、
前記搬送設備は、前記レールに対して前記幅方向第2側に配置されて、前記搬送車に給電する第2給電線と、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が固定されるように前記第2給電線を支持する第2給電線支持部材と、を備え、
前記台車には、第2検査ユニットが更に支持され、
前記第2検査ユニットは、前記第2給電線の配置を検査する第2給電線検査部と、前記第2給電線支持部材の配置を検査する第2支持部材検査部と、を備え、
前記第2給電線検査部は、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が前記第1基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、
前記第2支持部材検査部は、前記レールに対する前記第2給電線支持部材の相対位置が前記第2基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、
前記第2給電線検査部と前記第2支持部材検査部との双方の前記台車に対する位置が固定されている、請求項1に記載の搬送設備の検査装置。
【請求項3】
前記第1検査ユニットは、前記台車に対する位置が固定された第1検査体を備え、
前記第1給電線検査部は、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第1給電線の相対位置が前記第1基準範囲内であれば前記第1給電線が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第1給電線の相対位置が前記第1基準範囲外であれば前記第1給電線が干渉するように、前記第1検査体に形成された前記走行方向に貫通する第1凹溝であり、
前記第1支持部材検査部は、前記第1給電線支持部材における前記走行方向に連続するように形成された第1対象部の配置を検査するように構成され、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第1対象部の相対位置が前記第2基準範囲内であれば前記第1対象部が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第1対象部の相対位置が前記第2基準範囲外であれば前記第1対象部が干渉するように、前記第1検査体に形成された前記走行方向に貫通する第2凹溝であり、
前記第2検査ユニットは、前記台車に対する位置が固定された第2検査体を備え、
前記第2給電線検査部は、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が前記第1基準範囲内であれば前記第2給電線が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が前記第1基準範囲外であれば前記第2給電線が干渉するように、前記第2検査体に形成された前記走行方向に貫通する第3凹溝であり、
前記第2支持部材検査部は、前記第2給電線支持部材における前記走行方向に連続するように形成された第2対象部の配置を検査するように構成され、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第2対象部の相対位置が前記第2基準範囲内であれば前記第2対象部が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第2対象部の相対位置が前記第2基準範囲外であれば前記第2対象部が干渉するように、前記第2検査体に形成された前記走行方向に貫通する第4凹溝である、請求項2に記載の搬送設備の検査装置。
【請求項4】
前記搬送設備は、前記レールに沿って配置されて前記搬送車との間で光線による通信を行う光伝送装置を備え、
前記光伝送装置は、前記レールに対する相対位置が固定されていると共に、光軸が前記走行方向に直交する照射方向に沿うように配置され、
前記検査ユニットは、前記レールに対する前記光伝送装置の前記光軸の位置が予め定められた第3基準範囲内であるか否かを検知する光軸検査部を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送設備の検査装置。
【請求項5】
前記レールは、前記幅方向に離間して配置された第1レール体と第2レール体とを備え、
前記台車に支持され、前記第1レール体と前記第2レール体との間隔を計測するレール間隔計測装置を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送設備の検査装置。
【請求項6】
前記案内輪には、前記レールに対して前記幅方向の一方側である幅方向第1側から接する第1案内輪と、前記レールに対して前記幅方向の他方側である幅方向第2側から接する第2案内輪と、が含まれ、
前記台車に支持され、前記第1案内輪及び前記第2案内輪の少なくとも一方の、前記幅方向の位置を移動させる幅方向調整機構を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送設備の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールと給電線と給電線支持部材とを備える搬送設備の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レールと給電線と給電線支持部材とを備える搬送設備の検査装置の一例が、下記の特許文献1(特開2015-170299号公報)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号及び名称を括弧内に引用する。この特許文献1に記載された検査装置は、搬送車(天井走行車)の走行を案内するレール(4)と、搬送車に給電する給電線(リッツ線58)と、給電線(リッツ線58)を支持する給電線支持部材(リッツ線ホルダ52)と、検査台車(2)と、を備えた搬送設備の検査装置が開示されている。この特許文献1の検査台車(2)は、当該特許文献1の
図3に示されているように、給電線(58)のたるみを検査するための光源(L1、L2)と受光端(D1、D2)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような搬送設備において、給電線支持部材(52)の位置が適正位置からずれていた場合に、給電線支持部材(52)の形状や構造によっては、搬送車と干渉する可能性がある。同様に、給電線(58)についても、適正位置からずれて配置されていた場合には、搬送車と干渉する可能性がある。そのため、給電線(58)及び給電線支持部材(52)が適正位置に配置されていることを検査する必要がある。しかし、上記の検査台車(2)では、給電線(58)のたるみを検査することはできるが、給電線(58)がたるみ以外の方向で適正位置にあるか否か、及び、給電線支持部材(52)が適正位置にあるか否かを検査することはできない。また、給電線(58)及び給電線支持部材(52)の配置されている距離が長い場合には、このような給電線(58)及び給電線支持部材(52)の位置の検査に要する手間が大きくなるため、このような検査を少ない手間で行えるようにすることが求められる。
【0005】
そこで、給電線及び給電線支持部材の双方が適正位置にあるか否かの検査を行うことができると共に、当該検査を少ない手間で行うことができる検査装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
搬送車の走行を案内するレールと、前記レールに沿って配置されて前記搬送車に給電する給電線と、前記レールに対する前記給電線の相対位置が固定されるように前記給電線を支持する給電線支持部材と、を備えた搬送設備の検査装置であって、前記レールに沿って走行する台車と、前記台車に支持された走行輪と、前記台車に支持された案内輪と、検査ユニットと、を備え、前記台車が走行する方向を走行方向とし、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、前記走行輪は、前記レールの上側を向く走行面を転動することで、前記台車の前記レールに対する上下方向の位置決めを行うように構成され、前記案内輪は、前記レールの前記幅方向に向く案内面を転動することで、前記台車の前記レールに対する前記幅方向の位置決めを行うように構成され、前記検査ユニットは、前記給電線の配置を検査する給電線検査部と、前記給電線支持部材の配置を検査する支持部材検査部と、を備え、前記給電線検査部は、前記レールに対する前記給電線の相対位置が予め定められた第1基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、前記支持部材検査部は、前記レールに対する前記給電線支持部材の相対位置が予め定められた第2基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、前記給電線検査部と前記支持部材検査部との双方の前記台車に対する位置が固定されている。
【0007】
本構成によれば、走行輪によってレールに対する上下方向の位置決めが行われ、案内輪によってレールに対する幅方向の位置決めが行われる台車に、給電線検査部と支持部材検査部との双方の位置が固定されている。そのため、台車を走行方向に走行させている間、走行方向の各位置において、レールに対する給電線検査部及び支持部材検査部の相対位置が一定範囲内に維持される。よって、検査装置の台車をレールに沿って走行させることで、給電線及び給電線支持部材の双方のレールに対する相対位置が適正範囲内にあるか否かを、走行方向における各位置において連続的に検査することができる。従って、給電線及び給電線支持部材のレールに対する相対位置の検査の手間を少なく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の搬送設備のレール及び搬送車を示す図
【
図2】
図1の搬送設備の給電線及び給電線支持部材の斜視図
【
図3】
図1の搬送設備のレール及び検査装置を示す図
【
図5】
図3の搬送設備のレールが直線状の区間における幅方向調整機構の上面図
【
図6】
図3の搬送設備のレールが湾曲している区間における幅方向調整機構の上面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、搬送設備の検査装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
以下では、実施形態に係る搬送設備20の検査装置30について、図面を参照して説明する。
図1は、搬送設備20のレール21及び搬送車11の正面図である。搬送設備20は、搬送車11の走行を案内するレール21を備えている。また、搬送設備20は、レール21に沿って配置されて搬送車11に給電する第1給電線22aを備えている。本実施形態では、搬送車11は天井搬送車であり、レール21は例えば梁19に固定されている。また、搬送車11は電動の無人搬送車である。本実施形態では、搬送設備20は、屋内、例えばクリーンルームに設置される。搬送設備20は、例えば、ディスプレイ用のガラス基板を複数枚収容した容器を物品Wとして搬送する搬送設備である。
【0011】
ここで、鉛直方向を上下方向Zとする。また、搬送車11が走行する方向を走行方向Xとする。走行方向Xは、後述する検査装置30の台車32が走行する方向と同じである。また、上下方向視で走行方向Xに直交する方向を幅方向Yとする。また、幅方向Yの一方側を幅方向第1側Y1とし、幅方向Yの他方側を幅方向第2側Y2とする。前述の第1給電線22aが給電線に対応する。また、後述の第1給電線支持部材23aが給電線支持部材に対応し、第1検査ユニット40aが検査ユニットに対応し、第1給電線検査部41aが給電線検査部に対応し、第1支持部材検査部42aが支持部材検査部に対応する。
【0012】
レール21は、上側を向く走行面21uと幅方向Yに向く案内面21sを有している。本実施形態では、レール21は、幅方向Yに離間して配置された第1レール体21aと第2レール体21bとを備えている。第1レール体21aが幅方向第1側Y1に配置され、第2レール体21bが幅方向第2側Y2に配置されている。図示の例では、第1レール体21a及び第2レール体21bの断面はL字状である。また、第1レール体21a及び第2レール体21bは、断面のL字状の低い部分の上面が走行面21uであり、L字状の高い部分の側面が案内面21sとなっている。また、第1レール体21aの断面のL字状の低い部分は高い部分よりも幅方向第2側Y2に配置され、第2レール体21bの断面のL字状の低い部分は高い部分よりも幅方向第1側Y1に配置されている。
【0013】
本実施形態では、第1給電線22aは、第1レール体21aに対して幅方向第1側Y1に配置されている。また、第1給電線22aを支持する第1給電線支持部材23aは、第1レール体21aに対して幅方向第1側Y1に配置されている。また、本実施形態では、第2給電線22bは、第2レール体21bに対して幅方向第2側Y2に配置されている。また、第2給電線22bを支持する第2給電線支持部材23bは、第2レール体21bに対して幅方向第2側Y2に配置されている。
【0014】
搬送車11は、走行部12と、物品Wを保持する保持部13と、を備えている。物品Wを保持する保持部13は、走行部12の上側で走行部12に支持されている。走行部12は、走行面21uを転動する走行車輪15を備えている。また、走行部12は、案内面21sを転動する案内車輪(16c、16d)を備えている。
【0015】
本実施形態では、案内車輪(16c、16d)は、案内面21sに接触可能な接触位置と案内面21sに接触不可能な非接触位置とに位置変更可能となっている。案内車輪(16c、16d)は、例えばレール21の分岐地点で、レール21の案内面21sに接触することにより、レール21の案内面21sに沿って搬送車11を案内する。案内車輪(16c、16d)には、レール21のレール21に対して幅方向第1側Y1から接する第1案内車輪16cと、レール21に対して幅方向第2側Y2から接する第2案内車輪16dとが含まれている。
【0016】
本実施形態では、搬送車11は、搬送設備20の第1給電線22aから非接触で電力を受電する受電部17を備えている。図示の例では、受電部17は、搬送車11が第1給電線22a及び第2給電線22bから電力を受電できるように搬送車11の幅方向Yの両側に備えられている。受電部17により受電された電力は、例えば、走行車輪15の駆動装置、物品Wの移載装置、制御装置、送受信装置、検出装置、蓄電装置等の搬送車11に搭載された各種装置に供給される。本実施形態では、第1給電線22aは、少なくとも2本ずつ設けられて、受電部17を上下方向Zに挟むように配置されている。また、第2給電線22bは、少なくとも2本ずつ設けられて、受電部17を上下方向Zに挟むように配置されている。
【0017】
図2は、搬送設備20の第1給電線22a及び第1給電線支持部材23aの斜視図である。搬送設備20は、レール21に対する第1給電線22aの相対位置が固定されるように第1給電線22aを支持する第1給電線支持部材23aを備えている。本実施形態では、搬送設備20は、レール21に対する第1給電線22aの相対位置を変更及び固定可能な第1給電線位置調整機構25aを備えている。
【0018】
本実施形態では、第1給電線支持部材23aは、レール21に対する相対位置が固定された第1固定部材24aにより支持されている。また、第1給電線位置調整機構25aは、第1給電線支持部材23aの位置を第1固定部材24aに対して変更できるように構成されている。このようにすれば、第1固定部材24aに対する第1給電線支持部材23aの相対位置を第1給電線位置調整機構25aにより変更することで、第1給電線22aの位置を調整できる。図示の例では、第1給電線支持部材23aは、第1レール体21aに対する相対位置が固定された第1固定部材24aにより支持されている。また、第1給電線位置調整機構25aは、例えば、検査装置30による検査を行う作業主体が第1給電線22a又は第1給電線支持部材23aの位置の調整に用いる。このようにすれば、検査装置30をレール21に沿って走行させつつ、検査装置30による検査及び第1給電線位置調整機構25aによる調整を行うことでき、調整後に検査装置30が走行経路のレール21全体を再度走行して検査する必要が無く、検査装置30の走行回数を少なくすることができる。なお、「作業主体」とは、例えば、作業者及び作業装置の一方又は双方である。作業装置には、検査装置30を走行させる走行装置、及び、検査装置30による検査結果を判定する判定装置の少なくとも一方が含まれる。
【0019】
本実施形態では、第1給電線位置調整機構25aは、第1給電線支持部材23a及び第1固定部材24aの一方の側面に設けられた長穴25cと、長穴25cに挿通される締結部材25dと、を有し、第1給電線支持部材23aの上下方向Zの相対位置を第1固定部材24aに対して変更できるように構成されている。また、第1給電線位置調整機構25aは、第1給電線支持部材23aと第1固定部材24aとの上下方向Zの相対位置を調整可能な調整部材25eを備えている。図示の例では締結部材25dは取付ボルトである。また、調整部材25eは、第1給電線支持部材23aを上側に押圧する押しボルトである。このようにすれば、調整部材25eを備えることにより締結部材25dに過度の荷重が作用しないので、第1給電線22aの位置調整作業が容易且つ高精度に行え、且つ、締結部材25dに曲げ等が生じにくい。
【0020】
本実施形態では、搬送設備20は、レール21に対する第2給電線22bの相対位置を変更及び固定可能な第2給電線位置調整機構25bを備えている。また、本実施形態では、第2給電線支持部材23bは、レール21に対する相対位置が固定された第2固定部材24bにより支持されている。第2給電線位置調整機構25bは、上述の第1給電線位置調整機構25aと同様の構造を有する。
【0021】
図3は、搬送設備20のレール21及び検査装置30を示す正面図である。
図4は、搬送設備20のレール21及び検査装置30の拡大正面図である。搬送設備20は、検査装置30を備えている。検査装置30は、レール21に沿って走行する台車32と、台車32に支持された走行輪33と、台車32に支持された案内輪34と、を備えている。走行輪33は、レール21の上側を向く走行面21uを転動することで、台車32のレール21に対する上下方向Zの位置決めを行うように構成されている。案内輪34は、レール21の幅方向Yを向く案内面21sを転動することで、台車32のレール21に対する幅方向Yの位置決めを行うように構成されている。また、検査装置30は、第1検査ユニット40aを備えている。本実施形態では、第1検査ユニット40aは、台車32に対する位置が固定された第1検査体43aを備えている。
【0022】
第1検査ユニット40aは、第1給電線22aの配置を検査する第1給電線検査部41aを備えている。第1給電線検査部41aは、レール21に対する第1給電線22aの相対位置が予め定められた第1基準範囲D1内であるか否かを検知するように構成されている。本実施形態では、第1給電線検査部41aは、台車32をレール21に沿って走行させた場合に、レール21に対する第1給電線22aの相対位置が第1基準範囲D1内であれば第1給電線22aが干渉せずに通過し、レール21に対する第1給電線22aの相対位置が第1基準範囲D1外であれば第1給電線22aが干渉するように、第1検査体43aに形成された走行方向Xに貫通する第1凹溝である。図示の例では、第1給電線検査部41aである第1凹溝は、幅方向第2側Y2に底部を有するように形成されている。
【0023】
また、第1検査ユニット40aは、第1給電線支持部材23aの配置を検査する第1支持部材検査部42aを備えている。第1支持部材検査部42aは、レール21に対する第1給電線支持部材23aの相対位置が予め定められた第2基準範囲D2内であるか否かを検知するように構成されている。本実施形態では、第1支持部材検査部42aは、第1給電線支持部材23aにおける走行方向Xに連続するように形成された(後述の)第1対象部90aの配置を検査するように構成されている。また、第1支持部材検査部42aは、台車32をレール21に沿って走行させた場合に、レール21に対する第1対象部90aの相対位置が第2基準範囲D2内であれば第1対象部90aが干渉せずに通過し、レール21に対する第1対象部90aの相対位置が第2基準範囲D2外であれば第1対象部90aが干渉するように、第1検査体43aに形成された走行方向Xに貫通する第2凹溝である。図示の例では、第1支持部材検査部42aである第2凹溝は、上方向に底部を有するように形成されている。
【0024】
本実施形態では、レール21に対する第1給電線22aの相対位置が予め定められた第1基準範囲D1は、上下方向Zにおける第1レール体21aの走行面21uに対する第1給電線22aの相対位置、及び、幅方向Yにおける第1レール体21aの案内面21sに対する第1給電線22aの相対位置に対し予め定められた範囲である。本実施形態では、上記の第1基準範囲D1内であるか否かの検知は、第1給電線22aと第1給電線検査部41aとの接触の有無、或いは、作業主体による検知(例えば作業者の目視)により行われる。
図4に示す例では、第1基準範囲D1における上下方向Zの範囲のみを示している。
【0025】
本実施形態では、レール21に対する第1給電線支持部材23aの相対位置が予め定められた第2基準範囲D2は、上下方向Zにおける第1レール体21aの走行面21uに対する第1給電線支持部材23aの相対位置、及び、幅方向Yにおける第1レール体21aの案内面21sに対する第1給電線支持部材23aの相対位置に対し予め定められた範囲である。本実施形態では、上記の第2基準範囲D2内であるか否かの検知は、第1給電線支持部材23aと第1支持部材検査部42aとの接触の有無、或いは、作業主体による検知(例えば作業者の目視)により行われる。
図4に示す例では、第2基準範囲D2における幅方向Yの範囲のみを示している。
【0026】
本実施形態では、第1給電線検査部41aと第1支持部材検査部42aとの双方の台車32に対する位置が固定されている。このようにすれば、検査装置30の台車32の走行中に第1給電線検査部41a及び第1支持部材検査部42aのレール21に対する相対位置を一定に維持できる。
【0027】
本実施形態では、搬送設備20は、第2レール体21bに対して幅方向第2側Y2に配置されて、搬送車11に給電する第2給電線22bを備えている。また、搬送設備20は、第2レール体21bに対して幅方向第2側Y2に配置されて、レール21に対する第2給電線22bの相対位置が固定されるように第2給電線22bを支持する第2給電線支持部材23bを備えている。図示の例では、第2給電線支持部材23bは、第2レール体21bに対する第2給電線22bの相対位置が固定されるように第2給電線22bを支持している。
【0028】
本実施形態では、検査装置30は、第2検査ユニット40bを更に備えている。第2検査ユニット40bは、台車32に対する位置が固定された第2検査体43bを備えている。また、本実施形態では、台車32に第2検査ユニット40bが支持されている。
【0029】
本実施形態では、第2検査ユニット40bは、第2給電線22bの配置を検査する第2給電線検査部41bを備えている。第2給電線検査部41bは、レール21に対する第2給電線22bの相対位置が第1基準範囲D1内であるか否かを検知するように構成されている。また、本実施形態では、第2給電線検査部41bは、台車32をレール21に沿って走行させた場合に、レール21に対する第2給電線22bの相対位置が第1基準範囲D1内であれば第2給電線22bが干渉せずに通過し、レール21に対する第2給電線22bの相対位置が第1基準範囲D1外であれば第2給電線22bが干渉するように、第2検査体43bに形成された走行方向Xに貫通する第3凹溝である。図示の例では、第2給電線検査部41bである第3凹溝は、幅方向第1側Y1に底部を有するように形成されている。
【0030】
本実施形態では、第2検査ユニット40bは第2給電線支持部材23bの配置を検査する第2支持部材検査部42bを備えている。第2支持部材検査部42bは、レール21に対する第2給電線支持部材23bの相対位置が第2基準範囲D2内であるか否かを検知するように構成されている。また、本実施形態では、第2支持部材検査部42bは、第2給電線支持部材23bにおける走行方向Xに連続するように形成された(後述の)第2対象部90bの配置を検査するように構成されている。また、第2支持部材検査部42bは、台車32をレール21に沿って走行させた場合に、レール21に対する第2対象部90bの相対位置が第2基準範囲D2内であれば第2対象部90bが干渉せずに通過し、レール21に対する第2対象部90bの相対位置が第2基準範囲D2外であれば第2対象部90bが干渉するように、第2検査体43bに形成された走行方向Xに貫通する第4凹溝である。図示の例では、第2支持部材検査部42bである第4凹溝は、上方向に底部を有するように形成されている。
【0031】
本実施形態では、レール21に対する第2給電線22bの相対位置が予め定められた第1基準範囲D1は、上下方向Zにおける第2レール体21bの走行面21uに対する第2給電線22bの相対位置、及び、幅方向Yにおける第2レール体21bの案内面21sに対する第2給電線22bの相対位置に対し予め定められた範囲である。本実施形態では、上記の第1基準範囲D1内であるか否かの検知は、第2給電線22bと第2給電線検査部41bとの接触の有無、或いは、作業主体による検知(例えば作業者の目視)により行われる。
【0032】
本実施形態では、レール21に対する第2給電線支持部材23bの相対位置が予め定められた第2基準範囲D2は、上下方向Zにおける第2レール体21bの走行面21uに対する第2給電線支持部材23bの相対位置、及び、幅方向Yにおける第2レール体21bの案内面21sに対する第2給電線支持部材23bの相対位置に対し予め定められた範囲である。本実施形態では、上記の第2基準範囲D2内であるか否かの検知は、第2給電線支持部材23bと第2支持部材検査部42bとの接触の有無、或いは、作業主体による検知(例えば作業者の目視)により行われる。
【0033】
上記の第1給電線22aと第1給電線検査部41aとの接触の有無、第1給電線支持部材23aと第1支持部材検査部42aとの接触の有無、第2給電線22bと第2給電線検査部41bとの接触の有無、或いは、第2給電線支持部材23bと第2支持部材検査部42bとの接触の有無は、作業主体により判断されてもよく、振動センサや接触検知センサ等により自動的に検出されてもよい。
【0034】
本実施形態では、第2給電線検査部41bと第2支持部材検査部42bとの双方の台車32に対する位置が固定されている。このようにすれば、検査装置30の台車32の走行中に第2給電線検査部41b及び第2支持部材検査部42bのレール21に対する相対位置を一定に維持できる。
【0035】
図4に示すように、本実施形態では、搬送設備20は、レール21に沿って配置されて搬送車11との間で光線による通信を行う光伝送装置50を備えている。光伝送装置50は、レール21に対する相対位置が固定されていると共に、その光軸51が走行方向Xに直交する照射方向L1に沿うように配置されている。図示の例では、照射方向L1と上下方向Zとが同じ方向である。
【0036】
本実施形態では、第1検査ユニット40aは、レール21に対する光伝送装置50の光軸51の位置が予め定められた第3基準範囲D3内であるか否かを検知する光軸検査部48を更に備える。また、光軸検査部48は、第1検査体43aに設けられた照射方向L1に貫通する第5凹部である。図示の例では、光軸検査部48である第5凹部は、台車32に対し作業主体とは反対側に底部を有するように形成されている。
【0037】
第3基準範囲D3は、幅方向Yにおける第1レール体21aの案内面21sに対する第2給電線支持部材23bの相対位置に対し予め定められた範囲である。本実施形態では、上記の第3基準範囲D3内であるか否かの検知は、作業主体による検知(例えば作業者の目視)により行われる。また、本実施形態では、光軸検査部48は、第1検査ユニット40a及び第2検査ユニット40bに設けられている。
【0038】
図3に示すように、本実施形態では、台車32は幅方向第1側Y1の走行輪33を支持する台車32の第1本体部32aを備えている。また、台車32は幅方向第2側Y2の走行輪33を支持する台車32の第2本体部32bを備えている。また、台車32は第1本体部32aと第2本体部32bとを接続する接続部32cを有している。
【0039】
本実施形態では、第1検査ユニット40aの第1検査体43aは、第1本体部32aから幅方向Yに突き出すように設けられた幅方向Yに長手状の部材である。第1検査体43aは、第1本体部32aにより片持ちの姿勢で支持されている。また、第1検査ユニット40aは、複数の第1検査体43aを備え、第1給電線検査部41aが設けられた第1検査体43aとは異なる第1検査体43aに、第1支持部材検査部42a及び光軸検査部48が設けられている。図示の例では、第1検査体43aは、第1本体部32aから幅方向第1側Y1に突き出すように設けられている。また、第1給電線検査部41aが設けられた第1検査体43aよりも上側の第1検査体43aに、第1支持部材検査部42a及び光軸検査部48が設けられている。
【0040】
本実施形態では、第2検査ユニット40bの第2検査体43bは、第2本体部32bから幅方向Yに突き出すように設けられた幅方向Yに長手状の部材である。第2検査体43bは、第2本体部32bにより片持ちの姿勢で支持されている。また、第2検査ユニット40bは、複数の第2検査体43bを備え、第2給電線検査部41bが設けられた第2検査体43bとは異なる第2検査体43bに、第2支持部材検査部42b及び光軸検査部48が設けられている。図示の例では、第2検査体43bは、第2本体部32bから幅方向第2側Y2に突き出すように設けられている。また、第2給電線検査部41bが設けられた第2検査体43bよりも上側の第2検査体43bに、第2支持部材検査部42b及び光軸検査部48が設けられている。
【0041】
図4に示すように、本実施形態では、検査装置30は、台車32に支持され、第1案内輪34c及び第2案内輪34dの少なくとも一方の、幅方向Yの位置を移動させる幅方向調整機構60を更に備えている。幅方向調整機構60は、第1案内輪34c及び第2案内輪34dの少なくとも一方をレール21の案内面21sに押圧する締め付けボルト61を有している。
【0042】
図3に示すように、本実施形態では、検査装置30は、台車32に支持され、第1レール体21aと第2レール体21bとの間隔を計測するレール間隔計測装置71を更に備えている。レール間隔計測装置71は、第1レール体21a及び第2レール体21bの一方に対する幅方向Yの位置を案内輪34により規制した状態で他方に対する距離を検出する。
【0043】
本実施形態では、幅方向調整機構60が第1レール体21aの案内面21sに対して、幅方向第1側Y1から第1案内輪34cを接触させ、幅方向第2側Y2から第2案内輪34dを接触させる。本実施形態では、レール間隔計測装置71は、第2レール体21bの案内面21sと台車32との距離を計測する距離センサ72を有している。このようにすれば、幅方向調整機構60により第1レール体21aの案内面21sに対する幅方向Yにおける台車32の位置が規制され、距離センサ72により第2レール体21bの案内面21sの台車32との距離の、台車32をレール21に沿って走行させた時の変化を検査できる。本実施形態では、距離センサ72は、台車32の接続部32cに備えられている。また、本実施形態では、レール間隔計測装置71は、図示しないが計測結果を記憶する記憶部を備えている。
【0044】
本実施形態では、台車32は作業主体による把持移動(例えば作業者による手押し移動)可能な台車であり、被把持部35を備えている。図示の例では、被把持部35は、台車32の接続部32cに備えられている。本実施形態では、台車32は検査装置30による検査結果を表示する表示装置36を備えている。図示の例では、表示装置36は、作業主体による検知(例えば作業者による視認)可能に台車32に取り付けられている。表示装置36に表示される検査結果としては、例えば、レール間隔計測装置71の計測結果、台車32に備えられた各種センサによる計測結果等が挙げられる。また、例えば、表示装置36に、第1給電線検査部41a、第2給電線検査部41b、第1支持部材検査部42a、第2支持部材検査部42b、或いは、光軸検査部48による検査結果が表示されてもよい。
【0045】
図5は、検査装置30の台車32が、レール21が直線状の区間を走行時の状態を示している。
図6は、検査装置30の台車32が、レール21が湾曲している区間を走行時の状態を示している。第1案内輪34cの位置を幅方向第2側Y2に移動させて、第1案内輪34c及び第2案内輪34dを第1レール体21aに対して幅方向Yの外側から接触させて締め付けボルト61を締め、第1レール体21aに対する幅方向Yにおける台車32の位置を固定する。
図5はこの状態を示している。
【0046】
レール21が直線状の区間から湾曲している区間に台車32が入る場合は、湾曲している区間に入る前に締め付けボルト61を緩め、第1案内輪34cの位置を幅方向第1側Y1に移動させる。次に台車32を走行させレール21が湾曲している区間に台車32が入ったら、第1案内輪34cの位置を幅方向第2側Y2に移動させて、第1案内輪34c及び第2案内輪34dを第1レール体21aに対して幅方向Yの外側から接触させて締め付けボルト61を締め、第1レール体21aに対する幅方向Yにおける台車32の位置を固定する。
図6はこの状態を示している。
【0047】
また台車32を走行させレール21が湾曲している区間から直線状の区間に入る場合には、直線状の区間に入った後に第1案内輪34cの位置を幅方向第2側Y2に移動させて、第1案内輪34c及び第2案内輪34dを第1レール体21aに対して幅方向Yの外側から接触させて締め付けボルト61を締め、第1レール体21aに対する幅方向Yにおける台車32の位置を固定する。
図5はこの状態を示している。
【0048】
本実施形態では、案内輪34は、第1案内輪34c又は第2案内輪34dを、台車32の幅方向第1側Y1において走行方向Xに沿う方向に並ぶように2つ以上備えている。また、案内輪34は、第1案内輪34c又は第2案内輪34dを、台車32の幅方向第2側Y2において走行方向Xに沿う方向に並ぶように2つ以上備えている。図示の例では、第2案内輪34dが、幅方向調整機構60により移動される第1案内輪34cに対し走行方向Xの両側に配置されている。
【0049】
図1及び
図2に示すように本実施形態では、第1対象部90aは、第1給電線支持部材23aに走行方向Xに連続するように形成された突部である。また、第2対象部90bは、第2給電線支持部材23bに走行方向Xに連続するように形成された突部である。第1対象部90a及び第2対象部90bは、例えば、停止位置や停止位置付近であることを示す位置マーカーとして機能し、搬送車11に備えられた第1読取装置91により読み取られる。
【0050】
本実施形態では、第1給電線支持部材23a又は第2給電線支持部材23bは、レール21に走行経路における位置情報を有する位置標示95を備えている。位置標示95の例としては、一次元のバーコード、二次元のバーコード、文字、無線タグ等が挙げられる。本実施形態では、搬送車11は、バーコードリーダや文字認識機能を備えたリーダ、無線タグリーダ等の第2読取装置92を備え、位置標示95が有する情報を取得することができる。
【0051】
本実施形態では、第2基準範囲D2は、少なくとも第1対象部90a及び第2対象部90bと搬送車11とが干渉しないように予め定められている。図示の例では、第2基準範囲D2は、第1対象部90a及び第2対象部90bと第1読取装置91とが干渉しないように予め定められている。また、第2基準範囲D2は、第1対象部90a及び第2対象部90bと第2読取装置92とが干渉しないように予め定められている。
【0052】
本実施形態では、搬送車11は、光伝送装置50との間で光線による通信を行う通信装置97を備えている。通信装置97は受光部を有し、光伝送装置50からの光線を受光する。通信装置97は、光伝送装置50を介して、例えば搬送設備20や物品Wの移載先との通信を行う。
【0053】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備20の検査装置30のその他の実施形態について説明する。
【0054】
(1)上記の実施形態では、搬送設備20のレール21が2本のレールであって、断面がL字状の第1レール体21a及び第2レール体21bを備えている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、レール21が上側を向く走行面21uと幅方向Yに向く案内面21sを有する1本のレールであってもよい。すなわち、搬送設備20が第2レール体21bを備えない構成であってもよい。また、レール21の断面がI字状、H字状、凹状、凸状等であってもよい。また、レール21が3本以上のレール体を備えていてもよい。また、走行面21uと案内面21sとが、互いに異なるレール本体に設けられていてもよい。また、搬送車11が地上搬送車でありレール21が屋内の床に設置される構成であってもよい。また、レール21が屋外に設置される構成であってもよい。
【0055】
(2)上記の実施形態では、搬送設備20が第2給電線22b、第2給電線支持部材23b、第2給電線位置調整機構25b、及び、光伝送装置50を備え、検査装置30が第1案内輪34c、第2案内輪34d、第2検査ユニット40b及び光軸検査部48、幅方向調整機構60を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、搬送設備20が第2給電線22b、第2給電線支持部材23b、第2給電線位置調整機構25b、及び、光伝送装置50を備えず、検査装置30が第2検査ユニット40b及び光軸検査部48を備えない構成であってもよい。また、検査装置30の案内輪34が第1案内輪34c及び第2案内輪34dのいずれか一方を備える構成であってもよい。
【0056】
(3)上記の実施形態では、第1給電線22a及び第1給電線支持部材23aが第1レール体21aに対して幅方向第1側Y1に配置され、第2給電線22b及び第2給電線支持部材23bが第2レール体21bに対して幅方向第2側Y2に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1給電線22a及び第1給電線支持部材23aが第1レール体21aに対して幅方向第2側Y2に配置され、第2給電線22b及び第2給電線支持部材23bが第2レール体21bに対して幅方向第1側Y1に配置される構成であってもよい。
【0057】
(4)上記の実施形態では、第1給電線22aが搬送車11の受電部17に非接触給電を行う構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1給電線22aが搬送車11の受電部17に接触して電力を供給する給電線であってもよい。また、例えば、搬送車11が内燃機関により走行し、第1給電線22aから受電部17により受電された電力が搬送車11の制御装置等に供給される構成であってもよい。
【0058】
(5)上記の実施形態では、第1給電線位置調整機構25aが第1給電線支持部材23aの上下方向Zの相対位置を第1固定部材24aに対して変更できる構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1給電線位置調整機構25aが第1給電線支持部材23aの幅方向Yの相対位置を第1固定部材24aに対して変更できる構成であってもよい。
【0059】
(6)上記の実施形態では、第1給電線検査部41a、第2給電線検査部41b、第1支持部材検査部42a、第2支持部材検査部42bがそれぞれ第1凹溝、第2凹溝、第3凹溝、第4凹溝である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1給電線検査部41a、第2給電線検査部41b、第1支持部材検査部42a、第2支持部材検査部42bが、第1基準範囲D1又は第2基準範囲D2内であるか否かを検知する位置検出センサであってもよい。
【0060】
(7)上記の実施形態では、第1基準範囲D1及び第2基準範囲D2が、上下方向Z及び幅方向Yの範囲である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1基準範囲D1が幅方向Y及び上下方向Zのどちらか一方の範囲であってもよい。また、例えば、第2基準範囲D2が幅方向Y及び上下方向Zのどちらか一方の範囲であってもよい。
【0061】
(8)上記の実施形態では、第1対象部90a及び第2対象部90bは、停止位置や停止位置付近であることを示す位置マーカーとして機能する突部である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1給電線支持部材23a又は第2給電線支持部材23bにおいて走行方向Xに連続するように形成された各種センサや凹部であってもよい。
【0062】
(9)上記の実施形態では、光軸検査部48が第1検査体43aに設けられた上下方向Zに貫通する第5凹部である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、光軸検査部48が、光伝送装置50の光軸51の位置が第3基準範囲D3内であるか否かを検知する受光部を備えたセンサであってもよい。
【0063】
(10)上記の実施形態では、幅方向調整機構60が第1案内輪34c及び第2案内輪34dを第1レール体21aの幅方向Yの両側から案内輪34を接触させる構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、幅方向調整機構60が第1案内輪34c及び第2案内輪34dを第2レール体21bの幅方向Yの両側から案内輪34を接触させる構成であってもよい。また、例えば、第1レール体21aの幅方向第2側Y2から第2案内輪34dを接触させ、第2レール体21bの幅方向第1側Y1から第1案内輪34cを接触させる構成であってもよい。また、例えば、第1レール体21aの幅方向第1側Y1から第1案内輪34cを接触させ、第2レール体21bの幅方向第2側Y2から第2案内輪34dを接触させる構成であってもよい。
【0064】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備の検査装置について説明する。
【0065】
本開示に係る搬送設備の検査装置は、搬送車の走行を案内するレールと、前記レールに沿って配置されて前記搬送車に給電する給電線と、前記レールに対する前記給電線の相対位置が固定されるように前記給電線を支持する給電線支持部材と、を備えた搬送設備の検査装置であって、前記レールに沿って走行する台車と、前記台車に支持された走行輪と、前記台車に支持された案内輪と、検査ユニットと、を備え、前記台車が走行する方向を走行方向とし、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、前記走行輪は、前記レールの上側を向く走行面を転動することで、前記台車の前記レールに対する上下方向の位置決めを行うように構成され、前記案内輪は、前記レールの前記幅方向に向く案内面を転動することで、前記台車の前記レールに対する前記幅方向の位置決めを行うように構成され、前記検査ユニットは、前記給電線の配置を検査する給電線検査部と、前記給電線支持部材の配置を検査する支持部材検査部と、を備え、前記給電線検査部は、前記レールに対する前記給電線の相対位置が予め定められた第1基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、前記支持部材検査部は、前記レールに対する前記給電線支持部材の相対位置が予め定められた第2基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、前記給電線検査部と前記支持部材検査部との双方の前記台車に対する位置が固定されている。
【0066】
本構成によれば、走行輪によってレールに対する上下方向の位置決めが行われ、案内輪によってレールに対する幅方向の位置決めが行われる台車に、給電線検査部と支持部材検査部との双方の位置が固定されている。そのため、台車を走行方向に走行させている間、走行方向の各位置において、レールに対する給電線検査部及び支持部材検査部の相対位置が一定範囲内に維持される。よって、検査装置の台車をレールに沿って走行させることで、給電線及び給電線支持部材の双方のレールに対する相対位置が適正範囲内にあるか否かを、走行方向における各位置において連続的に検査することができる。従って、給電線及び給電線支持部材のレールに対する相対位置の検査の手間を少なく抑えることができる。
【0067】
一態様として、前記給電線を第1給電線とし、前記給電線支持部材を第1給電線支持部材とし、前記検査ユニットを第1検査ユニットとし、前記給電線検査部を第1給電線検査部とし、前記支持部材検査部を第1支持部材検査部とし、前記幅方向の一方側を幅方向第1側とし、前記幅方向の他方側を幅方向第2側として、前記第1給電線及び前記第1給電線支持部材は、前記レールに対して前記幅方向第1側に配置され、前記搬送設備は、前記レールに対して前記幅方向第2側に配置されて、前記搬送車に給電する第2給電線と、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が固定されるように前記第2給電線を支持する第2給電線支持部材と、を備え、前記台車には、第2検査ユニットが更に支持され、前記第2検査ユニットは、前記第2給電線の配置を検査する第2給電線検査部と、前記第2給電線支持部材の配置を検査する第2支持部材検査部と、を備え、前記第2給電線検査部は、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が前記第1基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、前記第2支持部材検査部は、前記レールに対する前記第2給電線支持部材の相対位置が前記第2基準範囲内であるか否かを検知するように構成され、前記第2給電線検査部と前記第2支持部材検査部との双方の前記台車に対する位置が固定されている、と好適である。
【0068】
本構成によれば、レールに沿って左右一対の給電線が配置されている場合であって、それぞれの給電線が給電線支持部材により支持されている場合に、台車をレールに沿って走行させることで、左右一対の給電線及び給電線支持部材の双方のレールに対する相対位置が適正範囲内にあるか否かを、同時に検査することができる。従って、レールに沿って左右一対の給電線が配置されている場合であっても、それら一対の給電線及び給電線支持部材のレールに対する相対位置の検査の手間を少なく抑えることができる。
【0069】
一態様として、前記第1検査ユニットは、前記台車に対する位置が固定された第1検査体を備え、前記第1給電線検査部は、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第1給電線の相対位置が前記第1基準範囲内であれば前記第1給電線が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第1給電線の相対位置が前記第1基準範囲外であれば前記第1給電線が干渉するように、前記第1検査体に形成された前記走行方向に貫通する第1凹溝であり、前記第1支持部材検査部は、前記第1給電線支持部材における前記走行方向に連続するように形成された第1対象部の配置を検査するように構成され、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第1対象部の相対位置が前記第2基準範囲内であれば前記第1対象部が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第1対象部の相対位置が前記第2基準範囲外であれば前記第1対象部が干渉するように、前記第1検査体に形成された前記走行方向に貫通する第2凹溝であり、前記第2検査ユニットは、前記台車に対する位置が固定された第2検査体を備え、前記第2給電線検査部は、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が前記第1基準範囲内であれば前記第2給電線が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第2給電線の相対位置が前記第1基準範囲外であれば前記第2給電線が干渉するように、前記第2検査体に形成された前記走行方向に貫通する第3凹溝であり、前記第2支持部材検査部は、前記第2給電線支持部材における前記走行方向に連続するように形成された第2対象部の配置を検査するように構成され、前記台車を前記レールに沿って走行させた場合に、前記レールに対する前記第2対象部の相対位置が前記第2基準範囲内であれば前記第2対象部が干渉せずに通過し、前記レールに対する前記第2対象部の相対位置が前記第2基準範囲外であれば前記第2対象部が干渉するように、前記第2検査体に形成された前記走行方向に貫通する第4凹溝である、と好適である。
【0070】
本構成によれば、給電線及び給電線支持部材の双方のレールに対する相対位置が適正範囲内にあるか否かを、台車をレールに沿って走行させた際における、第1検査体及び第2検査体のそれぞれと給電線及び給電線支持部材の対象部との干渉の有無により容易に検査することができる。従って、給電線及び給電線支持部材のレールに対する相対位置の検査の手間を少なく抑えることができる。
【0071】
一態様として、前記搬送設備は、前記レールに沿って配置されて前記搬送車との間で光線による通信を行う光伝送装置を備え、前記光伝送装置は、前記レールに対する相対位置が固定されていると共に、光軸が前記走行方向に直交する照射方向に沿うように配置され、前記検査ユニットは、前記レールに対する前記光伝送装置の前記光軸の位置が予め定められた第3基準範囲内であるか否かを検知する光軸検査部を更に備える、と好適である。
【0072】
本構成によれば、レールに沿って光伝送装置が配置されている場合に、当該光伝送装置の配置が適正範囲内にあるか否かの検査を、給電線及び給電線支持部材の検査と同時に行うことができる。従って、給電線、給電線支持部材、及び光伝送装置のレールに対する相対位置の検査の手間を少なく抑えることができる。
【0073】
一態様として、前記レールは、前記幅方向に離間して配置された第1レール体と第2レール体とを備え、前記台車に支持され、前記第1レール体と前記第2レール体との間隔を計測するレール間隔計測装置を更に備える、と好適である。
【0074】
本構成によれば、台車をレールに沿って走行させることで、レールを構成する一対のレール体の幅方向の間隔が適正範囲内にあるか否かの検査を、給電線及び給電線支持部材の検査と同時に、走行方向における各位置において連続的に行うことができる。従って、一対のレール体の幅方向の間隔の検査の手間を少なく抑えることができる。
【0075】
一態様として、前記案内輪には、前記レールに対して前記幅方向の一方側である幅方向第1側から接する第1案内輪と、前記レールに対して前記幅方向の他方側である幅方向第2側から接する第2案内輪と、が含まれ、前記台車に支持され、前記第1案内輪及び前記第2案内輪の少なくとも一方の、前記幅方向の位置を移動させる幅方向調整機構を更に備える、と好適である。
【0076】
本構成によれば、レールが直線状の区間と湾曲している区間とがある場合であっても、それらの双方の区間で、台車をレールに対して幅方向に高精度に位置決めした状態で走行させることが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
11:搬送車
20:搬送設備
21:レール
21a:第1レール体
21b:第2レール体
21s:案内面
21u:走行面
22a:第1給電線
22b:第2給電線
23a:第1給電線支持部材
23b:第2給電線支持部材
30:検査装置
32:台車
33:走行輪
34:案内輪
34c:第1案内輪
34d:第2案内輪
40a:第1検査ユニット
40b:第2検査ユニット
41a:第1給電線検査部
41b:第2給電線検査部
42a:第1支持部材検査部
42b:第2支持部材検査部
43a:第1検査体
43b:第2検査体
48:光軸検査部
50:光伝送装置
51:光軸
60:幅方向調整機構
71:レール間隔計測装置
90a:第1対象部
90b:第2対象部
D1:第1基準範囲
D2:第2基準範囲
D3:第3基準範囲