(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118776
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】検査装置、及び二次電池検査方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240826BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240826BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20240826BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/058
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025257
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】田村 瑠都
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028AA10
5H028BB05
5H028BB11
5H028BB15
5H028BB17
5H028HH10
5H029AJ14
5H029BJ21
5H029CJ28
5H029CJ30
5H029HJ18
(57)【要約】
【課題】製品の良否判定を高い精度で実行できる検査装置、及び二次電池検査方法を提供する。
【解決手段】二次電池の製造プロセスにおいて、二次電池の電極体の比表面積を計測する(ステップ201)。エージング工程後、エージングに要したエージング時間を計測する(ステップ202)。比表面積及びエージング時間を用いて、自己放電判定で使用する閾値Vkを設定する(ステップ203)。自己放電判定のとき、第1自己放電検査で測定した第1電圧V1と、第2自己放電検査で測定した第2電圧V2と、の電圧差を求め、この電圧差と閾値Vkとを比較することにより、二次電池の製品の良否を判定する(ステップ109)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池のエージング工程の後に前記二次電池の電圧を測定して前記二次電池を検査する検査装置であって、
前記二次電池において計測された電極体の比表面積と、前記エージング工程に要した時間であるエージング時間と、を用いて、前記二次電池の検査に使用する閾値を設定する設定部と、
前記エージング工程の後の前記二次電池の第1電圧と、前記第1電圧を計測してから規定時間経過した後の第2電圧と、を測定する電圧測定部と、
前記第1電圧及び前記第2電圧の電圧差と、前記設定部によって設定された前記閾値と、を比較することにより、前記二次電池の製品の良否を判定する判定部と、を備えた検査装置。
【請求項2】
前記二次電池は、前記エージング工程の後に、強制的に冷やされる冷却工程が実行され、
前記電圧測定部は、前記冷却工程の後に、電圧測定を実行する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記二次電池は、前記エージング工程のとき、電圧が降下し、
前記設定部は、前記比表面積を要因とする電圧降下量と、前記エージング時間を要因とする電圧降下量と、を指標として、前記閾値を設定する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記電極体は、正極板及び負極板を有し、
前記比表面積は、少なくとも前記負極板の前記比表面積を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
二次電池のエージング工程の後に前記二次電池の電圧を測定して前記二次電池を検査する二次電池検査方法であって、
前記二次電池において電極体の比表面積を計測するステップと、
前記エージング工程に要した時間であるエージング時間を計測するステップと、
前記比表面積及び前記エージング時間を用いて、前記二次電池の検査に使用する閾値を設定するステップと、
前記エージング工程の後の前記二次電池の第1電圧と、前記第1電圧を計測してから規定時間経過した後の第2電圧と、を測定するステップと、
前記第1電圧及び前記第2電圧の電圧差と、前記比表面積及び前記エージング時間を用いて設定された前記閾値と、を比較することにより、前記二次電池の製品の良否を判定することと、を備えた二次電池検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の検査装置、及び二次電池検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、二次電池の製品の良否を判定する検査方法が周知である。特許文献1の場合、高温の第1エージング工程後と、第1エージング工程よりも低い温度で実行される第2エージング工程後とにおいて、二次電池の電圧を測定する。そして、これら電圧の差が閾値よりも大きい場合、二次電池に短絡が生じている可能性があるため、不良な二次電池であると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エージング工程後の二次電池の電圧は、エージング時間に応じた値をとる。このため、エージング時間がばらついてしまうと、算出する電圧差も、エージング時間のばらつきに応じて変動してしまうため、同一の閾値では正しい判定を実施できないことになる。また、エージング中の電圧推移は、二次電池の電極体の比表面積にも影響を受ける。よって、二次電池の良否判定の際には、二次電池の電極体の比表面積も考慮に入れる必要があった。
【0005】
本発明の目的は、製品の良否判定を高い精度で実行できる検査装置、及び二次電池検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する検査装置は、二次電池のエージング工程の後に前記二次電池の電圧を測定して前記二次電池を検査する装置であって、前記二次電池において計測された電極体の比表面積と、前記エージング工程に要した時間であるエージング時間と、を用いて、前記二次電池の検査に使用する閾値を設定する設定部と、前記エージング工程の後の前記二次電池の第1電圧と、前記第1電圧を計測してから規定時間経過した後の第2電圧と、を測定する電圧測定部と、前記第1電圧及び前記第2電圧の電圧差と、前記設定部によって設定された前記閾値と、を比較することにより、前記二次電池の製品の良否を判定する判定部と、を備えた。
【0007】
前記課題を解決する二次電池検査方法は、二次電池のエージング工程の後に前記二次電池の電圧を測定して前記二次電池を検査する方法であって、前記二次電池において電極体の比表面積を計測するステップと、前記エージング工程に要した時間であるエージング時間を計測するステップと、前記比表面積及び前記エージング時間を用いて、前記二次電池の検査に使用する閾値を設定するステップと、前記エージング工程の後の前記二次電池の第1電圧と、前記第1電圧を計測してから規定時間経過した後の第2電圧と、を測定するステップと、前記第1電圧及び前記第2電圧の電圧差と、前記比表面積及び前記エージング時間を用いて設定された前記閾値と、を比較することにより、前記二次電池の製品の良否を判定することと、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、二次電池の検査において、製品の良否判定を高い精度で実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】製造及び検査のプロセスを示す工程図である。
【
図5】活性化工程及び検査工程における二次電池の電圧推移図である。
【
図6】エージング時間とエージング中の電圧降下量との関係図である。
【
図7】比表面積とエージング中の電圧降下量との関係図である。
【
図8】エージング時間に対するエージング中の電圧降下量について、比表面積の大小でパターン分けした波形図である。
【
図9】自己放電中の電圧降下量と比表面積との関係図である。
【
図10】自己放電中の電圧降下量とエージング時間との関係図である。
【
図11】エージング時間及び比表面積の各々の指標に対する電圧推移イメージを示す説明図である。
【
図12】自己放電日数に対する電圧差の変化をパターン分けして示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
(二次電池1)
図1に示すように、二次電池1のセル2は、開口3が蓋4によって閉じられる直方体形状の電池ケース5を備える。電池ケース5は、例えば、アルミニウム合金等の金属によって形成される。電池ケース5の内部は、密閉された電槽を構成する。電池ケース5は、正負電極が積層された電極体6が内蔵されている。電池ケース5の内部には、非水電解液7が充填されている。セル2の蓋4は、電極体6に電気接続された正極外部端子8及び負極外部端子9を有する。二次電池1は、例えば、正負極間を移動するイオンにリチウムイオンを使用するリチウムイオン型である。
【0011】
電極体6は、例えば、正極板、負極板、及びセパレータ(図示略)を、電極体6の厚み方向(
図1のX軸方向)に積層した構成を有する。具体的には、電極体6は、正極板及び負極板が交互に配置されるとともに、これら層群において正極板及び負極板の間にセパレータが配置されている。電極体6は、電極体6の長さ方向(
図1のZ軸方向)に捲回されている。電極体6は、長さ方向に対して直交する方向(
図1のY軸方向)から見た場合に、扁平形状に形成されている。
【0012】
(二次電池1の製造プロセス)
図3に示すように、二次電池1の製造プロセスは、ステップ101の源泉工程と、ステップ102の組立工程と、ステップ103の活性化工程と、ステップ106~ステップ112の検査工程と、を含む。源泉工程は、例えば、電池材料から電極板(正極板、負極板)を製造するまでの工程を言う。なお、正極板及び負極板の製造工程は、ほぼ同一である。よって、本例の場合、正極板及び負極板の製造工程をまとめて説明する。
【0013】
ステップ101の源泉工程は、例えば、調合工程、混練工程、塗工工程、乾燥工程、プレス工程、裁断工程を含む。各工程の処理内容は、以下の通りである。
・調合工程…電極合材の原材料である活物質及び添加物を調合することにより、電極合材ペーストを生成する工程
・混練工程…電極合材ペーストを混練する工程
・塗工工程…電極合材ペーストを電極集電体に塗布する工程
・乾燥工程…電極集電体に塗布した電極合材ペーストを乾燥する工程
・プレス工程…乾燥後の電極板をプレスする工程
・裁断工程…プレス後の電極板を裁断する工程
正極の添加物は、例えば、溶媒、結着材、導電材を含む。負極の添加物は、例えば、溶媒、結着材、増粘材を含む。塗工工程においては、例えば、電極集電体の両面に電極合材ペーストが塗布される。プレス工程においては、電極集電体の両面に形成された電極合材をプレス機によって押圧することにより、電極集電体に対する電極合材の密着強度を高めつつ、電極合材の厚みが調整される。裁断工程においては、例えば、電極板を幅方向の中央で裁断することにより、一度に2条の電極板が得られる。
【0014】
ステップ102の組立工程は、源泉工程後に、二次電池1の組み立てを行う工程である。組立工程においては、まず、正極板と負極板とをセパレータを介して積層した後、捲回し、さらに、偏平に押圧する。続いて、この電極体6を電池ケース5内に収容する。ケース収容後、電池ケース5の開口3が蓋4によって塞がれる。そして、電池ケース5内に非水電解液7が注入される。電池ケース5内への非水電解液7の注入が完了したら、電池ケース5を密封する。以上の手順により、二次電池1が組み立てられる。
【0015】
ステップ103の活性化工程は、組立後の二次電池1を活性化させる工程である。活性化工程は、例えば、ステップ104の初充電工程と、ステップ105のエージング工程と、を含む。初充電工程は、例えば、SEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜の形成などを目的として実施される。初充電工程は、例えば、二次電池1が拘束された拘束状態で実行される。このとき、電極体6も拘束状態となる。「拘束」とは、電極体6を直接又は間接に厚み方向(例えば、
図1のX軸方向)から加圧することを言う。
【0016】
エージング工程は、例えば、初充電後の二次電池1を高温下で保管する処理である。エージング工程は、例えば、二次電池1を化学的に安定化及び活性化する。その目的の1つとしては、電極内に存在する微細な金属により生じる微細な電極間の短絡を検出する。エージング工程は、例えば60°C程度の高温に保温して行ってもよいが、20°C程度の外気温で行ってもよい。エージング工程は、二次電池1を拘束状態とした条件下で実行される。
【0017】
活性化工程が終了すると、二次電池1を拘束状態から非拘束状態に戻す。このように、二次電池1が非拘束状態となると、二次電池1に収容された電極体6が非拘束状態となる。以上により、二次電池1は、セル電池としての製造が完了する。そして、二次電池1は、検査工程へ移される。
【0018】
(検査工程)
図3に示す通り、検査工程は、活性化後の二次電池1を検査する工程である。検査工程では、まず、ステップ106において、エージングによって高温化した二次電池1を冷やす冷却工程が実行される。冷却工程は、例えば、器具を用いて二次電池1を強制的に冷やす強制冷却であることが好ましい。強制冷却としては、例えば、風を二次電池1に数十分程度当てて二次電池1を短時間で冷やす処理などが挙げられる。
【0019】
図2に示すように、強制冷却後の二次電池1は、例えばベルトコンベア12によって、保管庫13に向けて搬送される。そして、二次電池1は、ベルトコンベア12による搬送を経て、保管庫13に収容される。保管庫13は、例えば、二次電池1を所定温度で数日間に亘って保管する。保管庫13は、例えば、複数の二次電池1を保管する。
【0020】
二次電池1をベルトコンベア12で搬送して保管庫13で保管する過程のとき、二次電池1の電圧変化から製品良否を判定する自己放電検査工程が実施される。自己放電検査工程は、例えば、冷却工程後に実施される。自己放電検査工程は、二次電池1における時間当たりの電圧降下量を測定して二次電池1の良否を判定する工程である。自己放電検査工程では、二次電池1に蓄えられている電圧を自然放電させる。自己放電検査工程では、例えば、二次電池1の電圧を複数回測定する。
【0021】
図3に示す通り、自己放電検査工程では、まず、ステップ107において、自己放電検査工程における1回目の電圧測定である第1自己放電検査が実行される。第1自己放電検査は、例えば、二次電池1をベルトコンベア12で搬送する途中に実施される。第1自己放電検査では、二次電池1の電圧として、第1電圧V1が測定される。
【0022】
第1電圧V1の測定後、ステップ108において、自己放電検査工程における2回目の電圧測定である第2自己放電検査が実行される。第2自己放電検査は、例えば、二次電池1を保管庫13で数日保管した後に実施される。第2自己放電検査では、二次電池1の電圧として、第2電圧V2が測定される。
【0023】
第2電圧V2の測定後、ステップ109において、第1電圧V1及び第2電圧V2を用いて二次電池1の製品の良否を判定する自己放電判定が実行される。自己放電判定では、例えば、第1電圧V1及び第2電圧V2の差(以降、電圧差ΔVと記す)を求め、この電圧差ΔVに基づき、二次電池1の製品の良否を判定する。
【0024】
この電圧差ΔVは、例えば、二次電池1に発生する短絡の多少によって変化する。よって、製品良否の判定基準を閾値Vkとした場合、電圧差ΔVが閾値Vk以下であれば、二次電池1の製品が「良」と判定される。一方、電圧差ΔVが閾値Vkを超える場合には、二次電池1の製品が「不良」と判定される。
【0025】
自己放電検査工程後、ステップ110において、二次電池1において規定の容量が取り出せるか否かを検査する容量検査が実行される。容量検査は、例えば、二次電池1を更に所定量放電し、そのとき、二次電池1が規定の容量を維持できているか否かを確認する検査である。
【0026】
容量検査後、ステップ111において、二次電池1の抵抗値を検査する抵抗検査が実行される。抵抗検査は、例えば、二次電池1を放電したときの電圧降下量から抵抗を求め、そして、この抵抗値が所定範囲内に収まっているか否かを確認する検査である。
【0027】
抵抗検査後、ステップ112において、二次電池1のSOC(State Of Charge)を調整する出荷SOC調整が実行される。出荷SOC調整は、例えば、二次電池1の充電状態(充電量)を、ある一定の値に調整する作業である。そして、出荷SOC調整後、二次電池1が出荷される。
【0028】
(検査装置16)
図4に示すように、検査装置16は、自己放電検査工程を実施する装置として構成されている。本例の場合、検査装置16は、比表面積取得部17、エージング時間取得部18、及び設定部19を備える。このように、検査装置16は、二次電池1の電極体6の比表面積と、エージング工程に要したエージング時間と、に応じた閾値Vkを設定するための機能を備える。
【0029】
比表面積取得部17は、二次電池1の電極体6の比表面積を計測する計測装置20から比表面積データを取得する。計測装置20は、例えば、BET法などの測定方法を用いて、電極体6の比表面積を測定する。なお、比表面積の測定方法は、BET法に限らず、例えば、粒子を液体と接触させた際に発生する熱量から求める浸漬熱法、粉体層を透過する流体の抵抗(圧力損失)から求める透過法などでもよい。
【0030】
エージング時間取得部18は、エージング時間を計時する計時装置21からエージング時間の時間データを取得する。計時装置21は、例えば、エージング工程の開始とともに時間カウントが開始され、エージング工程の終了時に、時間カウントが終了される。
【0031】
設定部19は、二次電池1の電極体6の比表面積と、エージング工程に要した時間であるエージング時間と、を用いて、二次電池1の検査に使用する閾値Vkを設定する。設定部19は、エージング工程時の比表面積を要因とする電圧降下量と、エージング工程時のエージング時間を要因とする電圧降下量と、を指標として、閾値Vkを設定する。
【0032】
検査装置16は、電圧測定部23、及び判定部24を備える。電圧測定部23は、検査工程において二次電池1の電圧を複数回測定する。具体的には、電圧測定部23は、エージング工程後の二次電池1の第1電圧V1を測定するとともに、第1電圧V1から規定時間経過した後の第2電圧V2を測定する。判定部24は、第1電圧V1及び第2電圧V2の電圧差ΔVと、電圧測定部23によって設定された閾値Vkと、を比較することにより、二次電池1の製品の良否を判定する。
【0033】
次に、本実施形態の検査装置16(二次電池検査方法)の作用について説明する。
(エージング中の電圧降下量)
図5に、活性化工程から検査工程における二次電池1の電圧推移を図示する。二次電池1は、検査工程で実施される初充電工程によって、所定の電圧値V0に充電される(時刻t1)。初充電後に実施されるエージング工程のとき、二次電池1の電圧は、エージング開始時のピーク値である「V0」から徐々に低下していく。エージング中は、直線的に二次電池1の電圧が低下していく。
【0034】
二次電池1が冷却工程において強制冷却されると、二次電池1の電圧は、強制冷却の冷却効果によって、急激に低下する(時刻t2、t2’)。このとき、二次電池1の電圧は、強制冷却によって、指数関数的に低下していく曲線をとる。そして、冷却工程後、自己放電検査工程に移行される。すなわち、第1自己放電検査で第1電圧V1が測定されるとともに、第2自己放電検査で第2電圧V2が測定され、これらの電圧差ΔVを求めて閾値Vkと比較されることにより、製品良否が判定される。
【0035】
ところで、自己放電検査工程時の二次電池1の電圧降下は、エージング中の二次電池1の電圧降下量によって変化する。例えば、
図5の実線で示すように、エージング時間が長いときは、エージング中の電圧降下量が大きいため、自己放電検査工程時の二次電池1の電圧変化が小さくなる。このため、自己放電検査工程時に求める電圧差ΔV1は、相対的に小さくなる。
【0036】
一方、
図5の一点鎖線で示すように、エージング時間が短いときは、エージング中の電圧降下量が小さいため、自己放電検査工程時の二次電池1の電圧変化量が大きくなる。このため、自己放電検査工程時に求める電圧差ΔV2は、相対的に大きくなる。
【0037】
図6に、エージング時間とエージング中の電圧降下量との関係を図示する。
図6においては、いくつかのエージング時間に対して実測した電圧降下量のプロット点をとり、これらプロット点を直線的に繋いだ線(ここでは、近似曲線L1と記す)を図示する。近似曲線L1は、相関値を計算したところ、約「0.9981」であり、十分に相関が高いと言える。このため、エージング時間が長くなるに連れて、エージング中の電圧降下量は、一次関数的に値が増加していくことになる。よって、エージング時間が長くなってしまうと、その分、エージング中の電圧降下量も大きくなり、電圧差ΔVが相対的に小さくなってしまう。
【0038】
以上のように、電圧差ΔVは、エージング時間の長短に影響を受ける。このため、自己放電検査工程で電圧差ΔVを求めて閾値Vkと比較する検査を行う場合、エージング時間を考慮に入れずに一定の閾値Vkで検査を実施してしまうと、正確に製品良否を判定することができないことが分かる。よって、エージング時間を考慮に入れた閾値Vkを設定する必要があることが分かる。
【0039】
(エージング中の電圧降下量と比表面積との関係)
図7に、エージング中の電圧降下量と比表面積との関係を図示する。
図7においては、いくつかの比表面積に対して実測した電圧降下量のプロット点をとり、これらプロット点を直線的に繋いだ線(ここでは、近似曲線L2、L3と記す)を図示する。近似曲線L2は、エージング時間が時間標準のときの曲線である。近似曲線L3は、エージング時間が時間超過のときの曲線である。
【0040】
近似曲線L2は、相関値を計算したところ、約「0.9908」であり、十分に相関が高いと言える。この近似曲線L2からも分かるように、比表面積が大きくなるに連れて、エージング中の電圧降下が大きくなる。このため、比表面積の大小に応じて、自己放電検査工程時に求める電圧差ΔVが変化してしまう。このように、電圧差ΔVは、電極体6の比表面積の大小によっても影響を受ける。よって、比表面積を考慮に入れた閾値Vkを設定する必要があることが分かる。
【0041】
(エージング時間及び比表面積の両指標と閾値Vkとの関係)
図7に示す通り、近似曲線L2、L3の波形の違いから分かるように、同じ比表面積であっても、エージング時間が長くなると、その分、エージング中の電圧降下量も大きくなってしまう。よって、閾値Vkを調整するにあたっては、エージング時間及び比表面積の両方を考慮に入れる必要があることが分かる。
【0042】
図8に、エージング時間に対するエージング中の電圧降下量の波形を、比表面積「大」「中」「小」の3パターンで比較した例を図示する。
図8に示されるように、同じエージング時間の変化で見たとき、比表面積が大きくなるに連れて、エージング中の電圧降下量が大きくなることが分かる。よって、このことからも、エージング時間及び比表面積の両方を指標として閾値Vkを設定する必要があることが分かる。
【0043】
(自己放電中の二次電池1の電圧降下)
図9に、自己放電中の電圧降下量と比表面積との関係を図示する。自己放電中の電圧降下量は、自己放電検査工程中の二次電池1の電圧降下量である。
図9においては、いくつかの比表面積に対して実測した電圧降下量のプロット点をとり、これらプロット点を直線的に繋いだ線(ここでは、近似曲線L4と記す)を図示する。近似曲線L4は、相関値を計算したところ、約「0.8604」であり、十分に相関があると言える。
【0044】
この近似曲線L4からも分かるように、二次電池1の電圧は、自己放電検査工程の最中も降下する。自己放電中の電圧降下量は、比表面積に影響を受ける。具体的には、自己放電中の電圧降下量は、比表面積が大きくなるに連れて、一次関数的に増加する。すなわち、自己放電中の電圧降下量は、比表面積の大小に対して、比例的に増減する。このため、比表面積が小さいと、自己放電中の電圧降下量は小さくなり、比表面積が大きいと、自己放電中の電圧降下量は大きくなる。以上のように、比表面積は、エージング中の電圧降下と、自己放電中の電圧降下と、の両方に影響を及ぼすことが分かる。
【0045】
図10に、自己放電中の電圧降下量とエージング時間との関係を図示する。
図10においては、いくつかのエージング時間に対して実測した電圧降下量のプロット点をとり、これらプロット点を直線的に繋いだ線(ここでは、近似曲線L5と記す)を図示する。近似曲線L5は、相関値を計算したところ、約「0.9763」であり、十分に相関が高いといえる。同図からも分かる通り、自己放電中の電圧降下量とエージング時間との関係は、エージング時間が長くなるに連れて、自己放電中の電圧降下量が減少する。よって、エージング時間が長いと、エージング中の電圧降下量は増加するが、それに背反して、自己放電中の電圧降下量は減少することが分かる。
【0046】
(エージング時間及び比表面積の各々の指標に対する電圧推移イメージ)
図11のパターン(a)に示すように、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「標準」の場合は、エージング時間が長いため、エージング中の電圧降下量が大きくなる。よって、この場合は、エージング時間が「時間標準」で比表面積が「標準」のときの電圧波形Shに比べ、電圧差ΔVが小さくなる。
【0047】
図11のパターン(b)に示すように、エージング時間が「時間標準」で、比表面積が「小」の場合は、比表面積小に起因して電極の副反応の反応面積が小さくなるため、エージング中の電圧降下量、及び、自己放電中の電圧降下量、の両方とも小さくなる。よって、この場合は、エージング時間が「時間標準」で比表面積が「標準」のときの電圧波形Shに比べ、第1電圧V1が高めの値をとり、かつ、電圧差ΔVが小さくなる。
【0048】
なお、電極の副反応は、例えば、負極や正極において生じる目的外の反応のことを言う。電極の副反応は、例えば、活物質(負極活物質や正極活物質)に目的以外の被膜が形成されてしまう例が挙げられる。また、電極の副反応は、例えば、非水電解液7の分解など、様々のものがある。
【0049】
図11のパターン(c)に示すように、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「小」の場合は、パターン(b)に比べ、電圧差ΔVが小さくなる。ところで、自己放電検査時の二次電池1の自己放電量は、エージング時間に起因した放電量と、比表面積に起因した放電量と、に基づき決まる。このため、パターン(c)のときの電圧差ΔVは、エージング時間が長いこと、及び、比表面積の反応面積が小さいこと、の2つを要因として、小さめの値をとる。
【0050】
図11のパターン(d)に示すように、エージング時間が「時間標準」で、比表面積が「大」の場合は、比表面積大に起因して電極の副反応の反応面積が大きくなるため、エージング中の電圧降下量、及び、自己放電中の電圧降下量、の両方とも大きくなる。よって、この場合は、電圧波形Shに比べ、第1電圧V1が低めの値をとり、かつ、電圧差ΔVが大きくなる。
【0051】
図11のパターン(e)に示すように、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「大」の場合は、パターン(d)に比べ、電圧差ΔVが小さくなる。すなわち、パターン(e)のときは、比表面積大を起因として放電量が大きくなるものの、エージング時間が長くなることから、その分、放電量が抑えられるため、パターン(d)よりも電圧差ΔVが小さめ値をとる。
【0052】
(自己放電中の電圧差ΔVの変化)
図12に、自己放電中の電圧差ΔVの変化(以降、電圧差曲線Skと記す)を図示する。電圧差曲線Skは、例えば、強制冷却を開始してからの変化波形とする。また、
図12においては、エージング時間及び比表面積がともに標準のときの電圧差曲線Skを「通常曲線Sk’」として破線で示す。電圧差ΔVは、強制冷却後、すなわち、自己放電開始直後、最も値が大きくなり、自己放電日数が増えるに従って、徐々に差が小さくなっていく指数関数的な変化波形をとる。
【0053】
図12のパターン(i)に示すように、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「標準」の場合、電圧差曲線Skは、通常曲線Sk’に比べ、下降変化が緩やかな波形をとる。これは、エージング時間が長めとなるため、その分、エージング中の自己放電量が多くなり、結果、自己放電時の放電量が小さくなるからである。よって、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「標準」の場合、閾値Vkは、パターン(i)に示す電圧差曲線Skに準ずるような値に設定される必要がある。
【0054】
図12のパターン(ii)に示すように、エージング時間が「時間標準」で、比表面積が「小」の場合、電圧差曲線Skは、通常曲線Sk’に比べ、下降変化が緩やかな波形をとる。これは、比表面積に起因する電極の副反応の反応面積が小さいことから、自己放電時の放電量が小さくなるからである。よって、エージング時間が「時間標準」で、比表面積が「小」の場合、閾値Vkは、パターン(ii)に示す電圧差曲線Skに準ずるような値に設定される必要がある。
【0055】
図12のパターン(iii)に示すように、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「小」の場合、電圧差曲線Skは、通常曲線Sk’に比べ、下降変化が非常に緩やかな波形をとる。これは、エージング時間が長いことに起因して自己放電時の放電量が小さくなることと、比表面積小に起因して放電量が小さくなることと、を要因としている。よって、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「小」の場合、閾値Vkは、パターン(iii)に示す電圧差曲線Skに準ずるような値に設定される必要がある。
【0056】
図12のパターン(iv)に示すように、エージング時間が「時間標準」で、比表面積が「大」の場合、電圧差曲線Skは、通常曲線Sk’に比べ、下降変化が急な波形をとる。これは、比表面積に起因する電極の副反応の反応面積が大きいことから、自己放電時の放電量が大きくなるからである。よって、エージング時間が「時間標準」で、比表面積が「大」の場合、閾値Vkは、パターン(iv)に示す電圧差曲線Skに準ずるような値に設定される必要がある。
【0057】
図12のパターン(v)に示すように、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「大」の場合、電圧差曲線Skは、通常曲線Sk’に近似する波形をとる。これは、エージング時間が長いことに起因して自己放電時の放電量が小さくなることと、比表面積大に起因して放電量が大きくなることと、を要因としている。よって、エージング時間が「時間超過」で、比表面積が「大」の場合、閾値Vkは、パターン(v)に示す電圧差曲線Skに準ずるような値に設定される必要がある。
【0058】
(閾値Vkの設定)
図3に示す通り、閾値Vkを設定するにあたり、ステップ201において、検査装置16は、二次電池1の電極体6の比表面積を計測する。そして、比表面積取得部17は、計測装置20から比表面積データを取得する。なお、検査装置16への比表面積データの入力は、製造プロセスにおいて閾値Vkを設定する前であれば、どのタイミングでもよい。
【0059】
ステップ202において、検査装置16は、エージング工程に要したエージング時間を計測する。そして、エージング時間取得部18は、計時装置21からエージング時間の時間データを取得する。なお、検査装置16へのエージング時間の入力は、製造プロセスにおいて閾値Vkを設定する前であれば、どのタイミングでもよい。
【0060】
ステップ203において、設定部19は、比表面積取得部17で得た比表面積データと、エージング時間取得部18で得た時間データと、に基づき、自己放電判定で使用する閾値Vkを設定する。例えば、設定部19は、比表面積データ及び時間データを入力パラメータとする計算式から、閾値Vkを設定する。また、設定部19は、計算式を使用した方法ではなく、例えば、マップを使用した方法で閾値Vkを設定してもよい。
【0061】
そして、ステップ109においては、自己放電判定のとき、エージング時間及び比表面積を指標にして設定された閾値Vkを用いて、二次電池1の製品の良否が判定される。よって、エージング時間及び比表面積に応じた最適な閾値Vkを用いて自己放電検査工程を行うことが可能となるので、精度の高い良否判定が実施可能となる。
【0062】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)検査装置16は、二次電池1のエージング工程の後に二次電池1の電圧を測定して二次電池1を検査する。検査装置16は、設定部19、電圧測定部23、及び判定部24を備える。設定部19は、二次電池1において計測された電極体6の比表面積と、エージング工程に要した時間であるエージング時間と、を用いて、二次電池1の検査に使用する閾値Vkを設定する。電圧測定部23は、エージング工程の後の二次電池1の第1電圧V1と、第1電圧V1を計測してから規定時間経過した後の第2電圧V2と、を測定する。判定部24は、第1電圧V1及び第2電圧V2の電圧差ΔVと、設定部19によって設定された閾値Vkと、を比較することにより、二次電池1の製品の良否を判定する。
【0063】
本構成によれば、第1電圧V1及び第2電圧V2の電圧差ΔVの変動要因となるエージング時間及び比表面積を用いて、製品の良否判定に使用する閾値Vkを最適化する。このため、エージング工程において時間が変動したり、或いは、電極体6の比表面積が変動したりしても、これらの変動に応じた閾値Vkが適宜設定される。よって、二次電池1の検査において、製品の良否判定を高い精度で実行できる。
【0064】
(2)二次電池1は、エージング工程の後に、強制的に冷やされる冷却工程が実行される。電圧測定部23は、冷却工程の後に、電圧測定を実行する。この構成によれば、エージング工程によって高温化した二次電池1を強制的に冷やして自己放電検査を実施することが可能となる。よって、検査の効率化が可能となる。
【0065】
(3)二次電池1は、前記エージング工程のとき、電圧が降下する。設定部19は、比表面積を要因とする電圧降下量と、エージング時間を要因とする電圧降下量と、を指標として、閾値Vkを設定する。この構成によれば、閾値Vkは、エージング時間及び比表面積を指標として適宜設定される。ところで、自己放電検査のときに算出される電圧差ΔVは、エージング工程時や自己放電時の電圧降下量の値に応じて決まる。このため、電圧降下量に大きな影響を与えるエージング時間や比表面積に基づき閾値Vkを設定すれば、最適な閾値Vkの設定に寄与する。よって、製品の良否判定を高精度とするのに一層寄与する。
【0066】
(4)電極体6は、正極板及び負極板を有する。比表面積は、少なくとも負極板の比表面積を含む。この構成によれば、閾値Vkの設定に用いる比表面積は、少なくとも負極板の比表面積が含まれる。ところで、例えばエージングや自己放電検査のときは、負極で副反応が多く発生する。このため、負極板の比表面積は、二次電池1の電圧変化の大きな要因となる。よって、少なくとも負極板の比表面積を用いて閾値Vkを設定すれば、最適な閾値設定に一層寄与する。
【0067】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
・第1電圧V1は、二次電池1がベルトコンベア12で搬送されている途中で測定されることに限らず、例えば、ベルトコンベア12で搬送する前や、ベルトコンベア12で搬送した後、に測定されてもよい。同様に、第2電圧V2の測定タイミングも適宜変更できる。
【0069】
・第1電圧V1は、冷却工程後を測定のタイミングとすることに限定されず、例えば、冷却を開始したときに測定されてもよい。
・比表面積データ及び時間データは、検査装置16に対し、手動入力又は自動入力のいずれでもよい。
【0070】
・保管庫13における二次電池1の保管条件は、例えば常温で数日保管に限定されず、他の条件に変えてもよい。
・正極及び負極ともに、活物質、導電材、溶媒、及び結着材は、任意の種類を使用できる。
【0071】
・二次電池1は、リチウムイオン型に限定されず、他の種類に変更してもよい。
・二次電池1は、薄板状に限定されず、例えば、円柱形などの他の形状に変更してもよい。
【0072】
・二次電池1は、車載用に限定されず、例えば、船舶用、航空機用、定置用など、他の用途に用いてもよい。
・比表面積取得部17、エージング時間取得部18、設定部19、電圧測定部23、及び判定部24は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0073】
・比表面積取得部17、エージング時間取得部18、設定部19、電圧測定部23、及び判定部24は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、比表面積取得部17、エージング時間取得部18、設定部19、電圧測定部23、及び判定部24は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0074】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0075】
1…二次電池
2…セル
3…開口
4…蓋
5…電池ケース
6…電極体
7…非水電解液
8…正極外部端子
9…負極外部端子
12…ベルトコンベア
13…保管庫
16…検査装置
17…比表面積取得部
18…エージング時間取得部
19…設定部
20…計測装置
21…計時装置
23…電圧測定部
24…判定部
ΔV…電圧差
ΔV1…電圧差
ΔV2…電圧差
L1~L5…近似曲線
Sh…電圧波形
Sk…電圧差曲線
V0…電圧値
V1…第1電圧
V2…第2電圧
Vk…閾値