(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118784
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】頭蓋形状変形予防枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20240826BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20240826BHJP
A42B 3/04 20060101ALI20240826BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A47G9/10 Z
A47G9/10 H
A61F5/01 Z
A42B3/04
A41D13/05
A41D13/05 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025276
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】521407050
【氏名又は名称】株式会社Berry
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】坂田 光央
(72)【発明者】
【氏名】名越 優太郎
(72)【発明者】
【氏名】長野 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 理佐
(72)【発明者】
【氏名】森岡 一朗
(72)【発明者】
【氏名】宮林 寛
【テーマコード(参考)】
3B102
3B107
3B211
4C098
【Fターム(参考)】
3B102AB07
3B102AC02
3B102BA12
3B107AA01
3B107CA02
3B107DA01
3B107DA21
3B211AC04
3B211AC18
4C098AA02
4C098BB20
4C098BC22
(57)【要約】
【課題】頭蓋の変形を予防する頭蓋形状変形予防枕を提供する。
【解決手段】頭蓋形状変形予防枕10は、設置面103に設置され使用者1の後頭部4を載置する、使用者1の頭蓋2の変形を予防するための頭蓋形状変形予防枕10であって、設置面103に設置された際に、設置面103に対して上側に略円状の開口部15を有するシェル11を備え、シェル11は、略椀状の内表面を有し、使用者1の後頭部3を収容する収容部22と、使用者1の首3の方位への前傾を防止する前傾防止部13と、を有し、前傾防止部13は、使用者1の頭部から離間した位置に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に設置され使用者の後頭部を載置する、前記使用者の頭蓋の変形を予防するための頭蓋形状変形予防枕であって、
前記設置面に設置された際に、前記設置面に対して上側に略円状の開口部を有するシェルを備え、
前記シェルは、
略椀状の内表面を有し、前記使用者の前記後頭部を収容する収容部と、
前記使用者の首の方位への前傾を防止する前傾防止部と、を有し、
前記前傾防止部は、前記使用者の頭部から離間した位置に設けられる、
頭蓋形状変形予防枕。
【請求項2】
前記前傾防止部は、
前記シェルが前記開口部を上にして前記設置面に設置された時に、前記シェルの自重に基づいて前記設置面に接地する、
請求項1に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項3】
前記シェルは、
前記シェルの前記開口部を上にして前記設置面に設置した時に、前記収容部の前記設置面との接触点から見て前記前傾防止部の側に重心を有する、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項4】
前記シェルは、
前記収容部の前記設置面との接地点と前記前傾防止部との間に重心を有する、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項5】
前記前傾防止部は、前記収容部から延出する延出部を含む、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項6】
前記シェルは、前記使用者の首を収容する首収容部を有し、
前記首収容部は、首の方向に延出するように前記開口部の縁が変形した変形部を含む、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項7】
前記前傾防止部は、
前記シェルの前記開口部を上にして前記設置面に設置した時に、前記収容部の前記設置面との接触点から見て前記首収容部の側に位置する、
請求項6に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項8】
前記延出部は、庇状に前記シェルが延びた形状を有する、
請求項5に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項9】
前記延出部は、鞍形状を有する、
請求項5に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項10】
前記延出部は、前記シェルから突出した形状を有する、
請求項5に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【請求項11】
前記シェルの内側に設置されて頭部に接触するクッションを更に備える、
請求項1又は請求項2に記載の頭蓋形状変形予防枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭蓋の変形を矯正するために頭部に装着される頭蓋形状変形予防枕に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児や幼児に、斜頭等の治療を要する頭蓋変形が生じる場合がある。斜頭は、頭蓋が左右対称形状ではなく片側に傾斜している変形形状である。このような頭蓋変形を治療する装具として、頭部に被ることにより、頭蓋の成長に伴って頭蓋の形状が矯正されるように変形を促す頭蓋形状矯正ヘルメットがある。特許文献1には、頭蓋形状矯正ヘルメットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
頭蓋形状矯正ヘルメットは、頭蓋の変形が生じた後の治療の際に使用される。患者である幼児は、一日の多くをヘルメットを装着して生活することになる。患者の負担が大きい。
【0005】
本発明は、頭蓋の変形を予防する頭蓋形状変形予防枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)頭蓋形状変形予防枕は、設置面に設置され使用者の後頭部を載置する、使用者の頭蓋の変形を予防するための頭蓋形状変形予防枕であって、設置面に設置された際に、設置面に対して上側に略円状の開口部を有するシェルを備え、シェルは、略椀状の内表面を有し、使用者の後頭部を収容する収容部と、使用者の首の方位への前傾を防止する前傾防止部と、を有し、前傾防止部は、使用者の頭部から離間した位置に設けられる。
(2)(1)において、前傾防止部は、シェルが開口部を上にして設置面に設置された時に、シェルの自重に基づいて設置面に接地することが好ましい。
(3)(1)又は(2)において、シェルは、シェルの開口部を上にして設置面に設置した時に、収容部の設置面との接触点から見て前傾防止部の側に重心を有することが好ましい。
(4)(1)から(3)の何れかにおいて、シェルは、収容部の設置面との接地点と前傾防止部との間に重心を有することが好ましい。
(5)(1)から(4)の何れかにおいて、前傾防止部は、収容部から延出する延出部を含むことが好ましい。
(6)(1)から(5)の何れかにおいて、シェルは、使用者の首を収容する首収容部を有し、首収容部は、首の方向に延出するように開口部の縁が変形した変形部を含むことが好ましい。
(7)(6)において、前傾防止部は、シェルの開口部を上にして設置面に設置した時に、収容部の設置面との接触点から見て首収容部の側に位置することが好ましい。
(8)(5)において、延出部は、庇状にシェルが延びた形状を有することが好ましい。
(9)(5)において、延出部は、鞍形状を有することが好ましい。
(10)(5)において、延出部は、シェルから突出した形状を有することが好ましい。
(11)(1)から(10)の何れかにおいて、シェルの内側に設置されて頭部に接触するクッション、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、頭蓋の変形を予防する頭蓋形状変形予防枕を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕を使用者が使用している状態を示す側面図である。
【
図2】実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕の斜視図である。
【
図3】実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図である。
【
図4】実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕を
図2のI-I線で切断した横断面図である。
【
図5】実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕を開口部側から観察した図である。
【
図6】第1変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の斜視図である。
【
図7】第1変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図である。
【
図8】第1変形例に係る頭蓋形状変形予防枕を
図6のII-II線で切断した横断面図である。
【
図9】第2変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の斜視図である。
【
図10】第2変形例に係る頭蓋形状変形予防枕を開口部の反対側から観察した図である。
【
図11】第2変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図である。
【
図12】第3変形例に係る頭蓋形状変形予防枕を開口部の反対側から観察した図である。
【
図13】第3変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図である。
【
図14】第4変形例に係る頭蓋形状変形予防枕を開口部の反対側から観察した図である。
【
図15】第4変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図である。
【
図16】第5変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図であって、静置された頭蓋形状変形予防枕に使用者の頭蓋が載置された状態を示す図である。
【
図17】第5変形例に係る頭蓋形状変形予防枕の側面図であって、首の方位に頭蓋形状変形予防枕が傾いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、頭蓋2の変形を予防を図る使用者1が、実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕10に頭蓋2を載置する状態を示している。本明細書において、頭部2aは頭蓋2を含む。頭部2aは頭蓋2の上に皮膚及び毛髪を有する。頭部2aの形状は頭蓋2の形状に基づく。本明細書においては、皮膚及び毛髪については敢えて言及せず、頭蓋2に基づいて主に説明を行う。
【0010】
図1において、矢印Xは使用者1が頭蓋形状変形予防枕10を使用した状態での頭蓋形状変形予防枕10の前後方向を示し、更にX1は首3の側、X2は頭頂部側を示している。
図1において、矢印Yは使用者1が頭蓋形状変形予防枕10を使用した状態での頭蓋形状変形予防枕10の左右方向を示し、更にY1は使用者1から見て左側、Y2は使用者1から見て右側を示している。
図1において、矢印Zは使用者1が頭蓋形状変形予防枕10を使用した状態での頭蓋形状変形予防枕10の設置面103に垂直な方向を示し、更にZ1は顔側、Z2は後頭部側を示している。なお、
図2以降の図面においても同様である。以下の説明での前後方向、左右方向及び上下方向は、上記のとおりの方向とする。X1、X2のみを示しXの表記を適宜省略することがある。Y、Zについても同様である。
【0011】
図2は、頭蓋形状変形予防枕10の斜視図である。
図3は、頭蓋形状変形予防枕10の側面図である。
図3は、Y2の方向からからY1の方向に頭蓋形状変形予防枕10を見た図である。
図4は、頭蓋形状変形予防枕10を
図2のI-I線で切断した横断面図である。
図4はXZ平面での断面図である。
図5は、頭蓋形状変形予防枕10を開口部側から観察した図である。
【0012】
頭蓋形状変形予防枕10は、
図4に示すようにシェル11と、シェル11の内側に設置されて頭蓋2に接触するクッション14と、を備える。シェル11は椀状の内面を有する。クッション14は、
図1から
図3においては省略されている。
図2から
図4はシェル11の構造を主に示している。
【0013】
シェル11は、例えば、3Dプリンタにより製造可能であるが、製造方法はこれに限定されない。シェル11は、合成樹脂の成型体であり、所要の表面固さ及び剛性を有する。塊状の合成樹脂を切削加工して成型することも出来、合成樹脂の射出成型によって成型することも出来る。合成樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリエステル、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フッソ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。シェル11は、
図1から3に示すように、複数の通気孔12を有する。通気孔12は、頭部2aが蒸れないように頭部2aからの汗を通過させる。
【0014】
クッション14は
図4に示すようにシェル11の内表面に設けられる。クッション14は、使用者1の頭蓋2に接触する。クッション14は例えば反発性を有する発泡合成樹脂の成型体である。クッション14は、シェル11の内面に、例えば両面接着テープを介して着脱自在に粘着される。クッション14は、固いシェル11が直接頭蓋2に接触するのを防ぐ。クッション14は、頭蓋2の一部に圧力が集中して頭皮が腫れるような現象を抑える。クッション14は複数のクッション通気孔12aを有する。クッション通気孔12aは、頭部2aが蒸れないように頭部2aからの汗を通過させる。シェル11の通気孔12の位置とクッション14の有するクッション通気孔12aの位置とは一致してもよい。
【0015】
図1に示すように、シェル11は、設置面103の上に載置される。設置面103としては、例えば、ベビーベットのベッド面、タオルケットの置かれた床など、乳幼児が寝かされる面が想定される。シェル11は例えば、まず、単独で設置面103に静置される。シェル11は、略円状の開口部15を有する。開口部15は、載置する設置面103に対して上側に設置される。シェル11は、
図2に示すように、使用者1の頭蓋2を収容する収容部22を有する。収容部22は、略椀状の内表面を有する。シェル11の収容部22は、静置された時に、
図3に示すように、第1の接地点C1において、設置面103に接地する。
【0016】
シェル11は、
図1及び
図3に示すように、前傾防止部13を有する。前傾防止部13は、シェル11が静置された時に、第2の接地点C2において、設置面103に接地する。前傾防止部13は、使用者1の頭部2aから離間した位置に設けられる。
【0017】
前傾防止部13は、シェル11からの延出部23を有する。前傾防止部13は、接地部21を有する。シェル11が開口部15を上にして設置面103に静置される。この時、接地部21は、シェル11の自重に基づいて設置面103に第2の接地点C2にて接地する。シェル11は、シェル11の第1の接地点C1から見て、前傾防止部13の側に重心Gを有することが好ましい。重心Gの位置に基づいて、前傾防止部13は設置面103に第2の接地点C2にて接地する。結果、頭蓋形状変形予防枕10の位置が固定される。重心Gの位置を測定する場合には、頭蓋形状変形予防枕10は、固い水平な平面上に設置される。
【0018】
シェル11は、
図4に示すように、使用者1の首3或いは襟首を収容する首収容部17を有してもよい。シェル11は、
図5に示すように、頭蓋2の外形に沿って略円状の縁部16を有する。
図5に示すように縁部16は開口部15をもたらす。シェル11は、略円状の縁部16の仮想部18が変形した変形部19を例えば有する。変形部19に基づいた空間は使用者1の首3或いは襟首を通す。首収容部17にて首3或いは襟首が収容される。
【0019】
図5に示すように、変形部19はシェル11が延出することにより構成される。変形部19はその先端に設置面103に接地する接地部21を有する。変形部19は、使用者1の首3の前傾を防止する、前傾防止部13として機能する。
【0020】
次に、頭蓋形状変形予防枕10の使用例について説明する。頭蓋形状変形予防枕10の使用時には、まず、
図2から
図5を参照して説明した頭蓋形状変形予防枕10が
図1に示す設置面103に静置される。その後、
図1に示すように、使用者1の頭蓋2は、収容部22に収容されるように、設置面103に仰向けに寝かせられる。シェル11は頭蓋2と接触する部分である内表面に
図4に示すようにクッション14を有する。クッション14と頭蓋2との間には摩擦がある。頭蓋2はこの摩擦により、クッション14に固定されている。使用者1が顎を引いて頭蓋2を首3の側に前傾させようとすると、
図1の回転方向R1で示されるようにシェル11を前傾させようとする力が働く。しかしながら、シェル11は、第1の接地点C1と第2の接地点C2とに基づいて、設置面103に固定されている。シェル11の前傾は、第1の接地点C1と第2の接地点C2とで設置面103に接地する前傾防止部13により抑えられる。シェル11の前傾が抑えられ、シェル11に頭蓋2が固定されているため、頭蓋2の前傾が抑えられる。
【0021】
使用者1は生後直ぐから3か月程度の乳児が想定される。乳児の気道を塞ぐ可能性のある柔らかい表面で寝ることが問題点として挙げられている。乳児が顎を引く、或いは、顔或いは頭蓋2を前傾させることが原因で気道が塞がることが問題とされている。このことを防ぐために、固い表面で寝ることが推奨される場合がある。しかしこの場合には、頭蓋2が固い表面で矯正されて、平になってしまうことが懸念される。頭蓋形状変形予防枕10は幼児の頭蓋2を載置し、頭蓋2を収容する収容部22を有する。収容部22は椀状の内表面を有する。幼児である使用者1の頭蓋2は椀状の内表面に矯正されつつ成長する。これにより、頭蓋2の表面が平になってしまうことが予防され得る。更に、前傾防止部13により頭蓋2の前傾が抑えられる。このため、乳児の気道が塞がることが予防され得る。本発明に係る頭蓋形状変形予防枕10は、乳児の気道が塞がる可能性を抑えつつ、頭蓋2の異常変形を抑えることが出来る。
【0022】
図3に示すように、シェル11は、第1の接地点C1と第2の接地点C2とで設置面103に接地し、X方向或いはR1方向へのシェル11の回転は抑えられる。一方、横方向(Y方向)においては、延出部23のような回転を抑える構成は設けられていない。横方向(Y方向)へのシェル11の回転は自由になっている。すなわち、本実施形態の前傾防止部13は、前傾を防止し、左右の動きを許容する。使用者1の頭の動きが完全に固定されるのは、自然な乳児の活動を妨げることになる。この点、本実施形態に係る頭蓋形状変形予防枕10は、自然な乳児の活動について、気道が塞がるのを防止する方向での制限を加えるのみである。乳児の自然で安全な成長が促される。
【0023】
(変形例1)
上記の実施形態では、シェル11の開口部15を形成する縁部16が変形し、その先端付近のみが設置面103に接地して前傾防止部13として機能している。変形例1では、先端付近のみならず変形部19は線状に設置面103に接地して前傾防止部13として機能する。変形部19は、縁部16が延びた延出部23を含む。
【0024】
図6は、第1変形例に係る頭蓋形状変形予防枕10の斜視図である。
図7は、第1変形例に係る頭蓋形状変形予防枕10の側面図である。
図8は、第1変形例に係る頭蓋形状変形予防枕10を
図6のII-II線で切断した横断面図である。
【0025】
図6に示すように、シェル11は椀状の内面を有する。シェル11は、縁部16を有する。縁部16は変形部19を有する。変形部19は、縁部16が延出された延出部23を有する。延出部23は前傾防止部13を構成する。
図7に示すように、前傾防止部13は、設置面103と接地する接地部21を有する。接地部21は線状の形状を有する。前傾防止部13は
図7及び
図8に示すように、シェル11の一部であり、シェル11の厚い部分を含む。頭蓋形状変形予防枕10は重心Gを有する。接地部21を構成するシェル11に厚みを持たせることにより、重心Gを接地部21とその近傍のシェル11の内面との間に設定することが出来る。シェル11は、設置面103に載置された時、接地部21が設置面103に接触する状態で固定され得る。前傾防止部13は
図8のX方向の断面に示すように上に凸の形状を有する。一方、前傾防止部13は
図6に示すようにY方向においては上に凹の形状を有する。これらより分かるように、
図8に示すように、前傾防止部13は鞍型部20を有する。
【0026】
(変形例2)
上記の実施形態では、縁部16の延出部23が前傾防止部13を構成している。変形例2においては、前傾防止部13は、縁部16とは独立し、シェル11から突出している。
【0027】
変形例2に係る頭蓋形状変形予防枕10について、
図9から
図11を参照して説明する。
図9は変形例2に係るシェル11の概ね後から見た斜視図である。
図10は、シェル11をシェル11の設置面103から見た図である。
図11は、シェル11の側面図であり、シェル11を右方向から見た図である。シェル11は
図10に示すように左右方向に対象であり、対称軸104を有する。シェル11は、
図9に示すように、略円状の縁部16を有する。縁部16の仮想部18は変形して変形部19を構成する。変形部19は仮想部18から離間し延出部23を構成する。延出部23は首収容部17を構成する。シェル11に、前傾防止部13が設けられている。前傾防止部13は、
図10及び
図11に示すように、直方体の一部がシェル11から突出した形状を有する。
図11に示すように、前傾防止部13は、接地部21を有する。
図10に示すように接地部21は、長方形の面を有する。
図11に示すように、接地部21が設置面103に接地した状態において、シェル11は設置面103に対して静置される。
【0028】
(変形例3)
変形例3は、変形例2と同様に、縁部16とは独立し、シェル11から延出する前傾防止部13を有する。変形例3における前傾防止部13は、円柱がZ2方向にシェル11から突出する形を有する。
図12はシェル11を設置面103から見た図である。
図13は、シェル11の側面図であり、Y2方向から見た図である。前傾防止部13の接地部21の表面は円形を有する。接地部21が設置面103に接地した状態において、シェル11は設置面103に対して静置される。
【0029】
(変形例4)
変形例4においては、変形例3と同様に円柱が突出した形の前傾防止部13を有する。但し、前傾防止部13は2か所に設けられている。
図14はシェル11を設置面103から見た図である。
図15は、シェル11の側面図であり、Y2方向から見た図である。シェル11は
図14に示すように左右方向に対象であり、対称軸104を有する。前傾防止部13は二つの接地部21を有する。二つの接地部21の中間点は、シェル11の対称軸104の上に位置されている。
【0030】
(変形例5)
上記の実施形態においては、頭蓋形状変形予防枕10が設置面103に載置された状態で、前傾防止部13の有する接地部21が自重により設置面103に接地する。変形例5においては、頭蓋形状変形予防枕10が設置面103に載置された状態で、前傾防止部13の有する接地部21が自重によっては設置面103に接地しない。
図16は頭蓋形状変形予防枕10の側面図であり、設置面103に載置された状態を示す。シェル11は、前傾防止部13を有する。前傾防止部13は、接地部21を有する。接地部21は、設置面103に接地していない。この状態を静置状態と呼ぶ。
【0031】
図17は、シェル11の側面図である。
図16とは異なり、シェル11が首収容部17の方位、即ちX1方向或いは図中のR1方向に傾いている。接地部21は、設置面103に接地している。静置状態に比べて、シェル11は傾いている。頭蓋形状変形予防枕10の静置状態の角度を基準として、傾き角θを規定する。傾き角θが大きいと、使用者1の首3が曲がり、気道が塞がる可能性がある。傾き角θは、頭蓋形状変形予防枕10の重心Gの位置、シェル11の形状、前傾防止部13の形状、接地部21の位置に依存する。傾き角θは10度以下に設定される。傾き角θは好ましくは5度以下に設定される。変形例4までの実施形態においては、傾き角θは0度である。
【0032】
本発明は上記各実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0033】
頭蓋形状変形予防枕10は、設置面103に設置され使用者1の後頭部4を載置する、使用者1の頭蓋2の変形を予防するための頭蓋形状変形予防枕10であって、設置面103に設置された際に、設置面103に対して上側に略円状の開口部15を有するシェル11を備え、シェル11は、略椀状の内表面を有し、使用者1の後頭部4を収容する収容部22と、使用者1の首3の方位への前傾を防止する前傾防止部13と、を有し、前傾防止部13は、使用者1の頭部2aから離間した位置に設けられる。
【0034】
これにより、頭蓋2の変形を予防する頭蓋形状変形予防枕10が提供される。特に、頭蓋2を使用者1が前傾させることを防止し、気道が塞がることを抑えることが出来る。
【0035】
前傾防止部13は、シェル11が開口部15を上にして設置面103に設置された時に、シェル11の自重に基づいて設置面103に接地することが好ましい。
【0036】
これにより、頭蓋形状変形予防枕10を設置面103に静置した場合おいて、頭蓋形状変形予防枕10の位置が固定される。そして、使用者1の頭蓋2の前傾を確実に抑えられ得る。
【0037】
シェル11は、シェル11の開口部15を上にして設置面103に設置した時に、収容部22の設置面103との接触点から見て前傾防止部13の側に重心Gを有することが好ましい。
【0038】
これにより、前傾防止部13は、シェル11が開口部15を上にして設置面103に設置された時に、シェル11の自重に基づいて設置面103に接地する。これにより、頭蓋形状変形予防枕10に使用者1の頭蓋2を載置しやすくなる。
【0039】
シェル11は、収容部22の設置面103との接地点と前傾防止部13との間に重心Gを有することが好ましい。
【0040】
これにより、前傾防止部13は、シェル11が開口部15を上にして設置面103に設置された時に、シェル11の自重に基づいて設置面103に接地する。これにより、頭蓋形状変形予防枕10に使用者1の頭蓋2を載置しやすくなる。
【0041】
前傾防止部13は、収容部22から延出する延出部23を含むことが好ましい。
【0042】
これにより、首3あるいは襟首が頭蓋2から連続的に頭蓋形状変形予防枕10に収納されることとなり、使用者1にとって使用感が良好となる。
【0043】
シェル11は、使用者1の首3を収容する首収容部17を有し、首収容部17は、首3の方向に延出するように開口部15の縁部16が変形した変形部19を含むことが好ましい。
【0044】
これにより、首3あるいは襟首が頭蓋2から連続的に頭蓋形状変形予防枕10に収納されることとなり、使用者1にとって使用感が良好となる。
【0045】
前傾防止部13は、シェル11の開口部15を上にして設置面103に設置した時に、収容部22の設置面103との接触点から見て首収容部17の側に位置することが好ましい。
【0046】
これにより、頭蓋2の首3の方向への前傾あるいは回転が抑えられる。結果、使用者1の気道が塞がる可能性が抑えられる。
【0047】
延出部23は、庇状にシェル11が延びた形状を有することが好ましい。
【0048】
これにより、頭蓋形状変形予防枕10の設置方向が明確となり、設置方向間違いに基づく気道が塞がる事故を防ぐことが出来る。
【0049】
延出部23は、鞍形状を有することが好ましい。
【0050】
これにより、首3或いは襟首が自然な形で載置されることとなる。結果、良好な頭蓋形状変形予防枕10の装着感が実現される。
【0051】
延出部23は、シェル11から突出した形状を有することが好ましい。
【0052】
これにより、頭蓋形状変形予防枕10の設置方向が明確となり、設置方向間違いに基づく気道が塞がる事故を防ぐことが出来る。又、延出部23の位置の設計変更が容易である。特に、重心Gの位置、頭蓋形状変形予防枕10の設置状態での角度を容易に変更することが出来る。
【0053】
シェル11の内側に設置されて頭蓋2に接触するクッション14を備えることが好ましい。
【0054】
これにより、比較的固いシェル11が直接頭蓋2に接触することがなくなる。結果、頭蓋2に部分的に強い圧力のかかることが防止され、皮膚が赤く腫れるというような事故を未然に防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0055】
1 使用者
2 頭蓋
2a 頭部
3 首
4 後頭部
5 変曲点
6 耳上側付け根
7 耳最下部
8 後頭部再凸部
10 頭蓋形状変形予防枕
11 シェル
12 通気孔
12a クッション通気孔
13 前傾防止部
14 クッション
15 開口部
22 収容部
16 縁部
17 首収容部
18 仮想部
19 変形部
20 鞍型部
21 接地部
23 延出部
103 設置面
104 対称軸
G 重心
C1 第1の接地点
C2 第2の接地点