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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118789
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240826BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240826BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240826BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L33/62
G09F9/33
G09F9/30 348A
G09F9/30 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025284
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 光一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 義史
【テーマコード(参考)】
5C094
5F044
5F142
【Fターム(参考)】
5C094BA25
5C094DA15
5C094DB01
5C094EA10
5F044KK02
5F044KK06
5F044KK16
5F044LL01
5F044QQ06
5F142AA33
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD32
5F142CD49
5F142DB24
5F142FA30
5F142FA34
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】電子装置の性能を向上させる。
【解決手段】表示装置DSP1は、基板と、基板上に配置されている配線31と、無機材料から成る無機絶縁層であって、配線31を覆う絶縁層14と、配線31に接続され、かつ、絶縁層14から突出するバンプ電極33と、を有している。バンプ電極33は、第1金属材料から成り、配線31に接続された導体部33Aと、錫を含む半田から成り、導体部33A上に配置された導体部33Bと、を含んでいる。導体部33Aは、絶縁層14に形成された開口部14H1と重なる位置で配線31に接続されている部分33P1と、部分33P1と離間して配置され、かつ、絶縁層14に形成された開口部14H2と重なる位置で配線31に接続されている部分33P2と、を含んでいる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されている第1配線と、
無機材料から成る無機絶縁層であって、前記第1配線を覆う第1絶縁層と、
前記第1配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第1バンプ電極と、
を有し、
前記第1バンプ電極は、
第1金属材料から成り、前記第1配線に接続された第1導体部と、
錫を含む半田から成り、前記第1導体部上に配置された第2導体部と、
を含み、
前記第1導体部は、
前記第1絶縁層に形成された第1開口部と重なる位置で前記第1配線に接続されている第1部分と、
前記第1部分と離間して配置され、かつ、前記第1絶縁層に形成された第2開口部と重なる位置で前記第1配線に接続されている第2部分と、
を含む、電子装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1部分および前記第2部分のそれぞれは、平面視において、第1方向に延びた線状のパターンである、電子装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1基板上に形成され、かつ、前記第1配線と離間するように配置され、かつ、前記第1絶縁層に覆われている第2配線と、
前記第2配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第2バンプ電極と、
を更に有し、
前記第1バンプ電極および前記第2バンプ電極は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている、電子装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1バンプ電極に接続されている第1電極を備えた電子部品をさらに有し、
前記第1バンプ電極の前記第2導体部は、前記第1部分および前記第2部分のそれぞれに接続されている、電子装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1バンプ電極の前記第2導体部の前記第1部分と前記第2部分との間には、前記第1絶縁層が配置されている、電子装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1導体部は、
前記第1部分および前記第2部分と離間して配置され、前記第1絶縁層に形成された第3開口部と重なる位置で前記第1配線に接続されている第3部分と、
前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分のそれぞれと離間して配置され、かつ、前記第1絶縁層に形成された第4開口部と重なる位置で前記第1配線に接続されている第4部分と、
を更に含んでいる、電子装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分のそれぞれは、平面視において、円形のパターンである、電子装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1バンプ電極に接続されている第1電極を備えた電子部品をさらに有し、
前記第1電極の前記第2導体部は、前記第1電極に接続され、かつ、前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分のそれぞれに接続されている、電子装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1基板上に形成され、かつ、前記第1配線と離間するように配置され、かつ、前記第1絶縁層に覆われている第2配線と、
前記第2配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第2バンプ電極と、
を更に有し、
前記第2バンプ電極は、
前記第1金属材料から成り、前記第2配線に接続された第5導体部と、
錫を含む半田から成り、前記第5導体部上に配置された第6導体部と、
を含み、
前記第5導体部は、
前記第1絶縁層に形成された第5開口部と重なる位置で前記第2配線に接続されている第5部分と、
前記第5部分とは離間して配置され、かつ、前記第1絶縁層に形成された第6開口部と重なる位置で前記第2配線に接続されている第6部分と、
を含む、電子装置。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されている第1配線と、
無機材料から成る無機絶縁層であって、前記第1配線を覆う第1絶縁層と、
前記第1配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第1バンプ電極と、
を有し、
前記第1バンプ電極は、
第1金属材料から成り、前記第1配線に接続された第1導体部と、
錫を含む半田から成り、前記第1導体部上に配置された第2導体部と、
を含み、
前記第1導体部は、
前記第1絶縁層に形成された第1開口部の第1領域で前記第1配線に接続されている第1部分と、
前記第1部分と離間して配置され、かつ、前記第1開口部の第2領域で前記第1配線に接続されている第2部分と、
を含む、電子装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第1部分および前記第2部分のそれぞれは、平面視において、第1方向に延びた線状のパターンである、電子装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1基板上に形成され、かつ、前記第1配線と離間するように配置され、かつ、前記第1絶縁層に覆われている第2配線と、
前記第2配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第2バンプ電極と、
を更に有し、
前記第1バンプ電極および前記第2バンプ電極は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている、電子装置。
【請求項13】
請求項10において、
前記第1バンプ電極に接続されている第1電極を備えた電子部品をさらに有し、
前記第1バンプ電極の前記第2導体部は、前記第1部分および前記第2部分のそれぞれに接続されている、電子装置。
【請求項14】
請求項10において、
前記第1バンプ電極の前記第2導体部は、前記第1導体部の前記第1部分と前記第2部分との間において、前記第1配線と接触している、電子装置。
【請求項15】
請求項10において、
前記第1導体部は、
前記第1部分および前記第2部分と離間して配置され、前記第1開口部の第3領域で前記第1配線に接続されている第3部分と、
前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分のそれぞれと離間して配置され、かつ、前記第1開口部の第4領域で前記第1配線に接続されている第4部分と、
を更に含んでいる、電子装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記第1バンプ電極に接続されている第1電極を備えた電子部品をさらに有し、
前記第1電極の前記第2導体部は、前記第1電極に接続され、かつ、前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分のそれぞれに接続されている、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に配列された複数の電極に電子部品が搭載された電子装置がある。例えば、特開2014-197619号公報(特許文献1)には、基板上に配列された複数の電極にLED(Light Emitting Diode)素子が搭載された電子装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-197619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上に形成された端子に電子部品が搭載されている電子装置の場合、電子部品の電極と、基板上の端子との接続を容易にするため、基板上にバンプ電極が形成されている場合がある。本願発明者の検討によれば、電子部品を搭載した後の電子装置を観察すると、バンプ電極と電子部品の電極との間にボイドが形成されている場合があることが判った。
【0005】
本発明の目的は、電子装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る電子装置は、第1基板と、前記第1基板上に配置されている第1配線と、無機材料から成る無機絶縁層であって、前記第1配線を覆う第1絶縁層と、前記第1配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第1バンプ電極と、を有している。前記第1バンプ電極は、第1金属材料から成り、前記第1配線に接続された第1導体部と、錫を含む半田から成り、前記第1導体部上に配置された第2導体部と、を含んでいる。前記第1導体部は、前記第1絶縁層に形成された第1開口部と重なる位置で前記第1配線に接続されている第1部分と、前記第1部分と離間して配置され、かつ、前記第1絶縁層に形成された第2開口部と重なる位置で前記第1配線に接続されている第2部分と、を含んでいる。
【0007】
他の実施の形態に係る電子装置は、第1基板と、前記第1基板上に配置されている第1配線と、無機材料から成る無機絶縁層であって、前記第1配線を覆う第1絶縁層と、前記第1配線に接続され、かつ、前記第1絶縁層から突出する第1バンプ電極と、を有している。前記第1バンプ電極は、第1金属材料から成り、前記第1配線に接続された第1導体部と、錫を含む半田から成り、前記第1導体部上に配置された第2導体部と、を含んでいる。前記第1導体部は、前記第1絶縁層に形成された第1開口部の第1領域で前記第1配線に接続されている第1部分と、前記第1部分と離間して配置され、かつ、前記第1開口部の第2領域で前記第1配線に接続されている第2部分と、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子装置の一実施形態であるマイクロLED表示装置の構成例を示す平面図である。
図2図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
図3図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
図4図3のA-A線に沿った拡大断面図である。
図5図3に示すLED素子を搭載する前の状態を示す拡大平面図である。
図6図5のB-B線に沿った拡大断面図である。
図7図4に示す配線とバンプ電極との接合界面付近の拡大断面図である。
図8図7に示すバンプ電極のうち、銅を含む導体部と、配線と、絶縁層に形成された開口部との平面的な位置関係を示す透過拡大平面図である。
図9図6に示す配線とバンプ電極との接合界面付近の拡大断面図である。
図10図9に示すバンプ電極のうち、半田から成る導体部と、配線と、絶縁層に形成された開口部との平面的な位置関係を示す透過拡大平面図である。
図11図9に対する検討例を示す拡大断面図である。
図12図10に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
図13図10に対する他の変形例を示す透過拡大平面図である。
図14図13のC-C線に沿った拡大断面図である。
図15図13および図14に示すバンプ電極にLED素子のアノード電極を接続した状態を示す透過拡大平面図である。
図16】電子装置の一実施態様である表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。
図17図4に対する変形例を示す拡大断面図である。
図18図17に示すLED素子を搭載する前の状態におけるバンプ電極周辺の透過拡大平面図である。
図19図18のD-D線に沿った拡大断面図である。
図20図18に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
図21図20のE-E線に沿った拡大断面図である。
図22図20および図21に示すバンプ電極にLED素子のアノード電極を接続した状態を示す透過拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
以下の実施の形態では、複数の電子部品を搭載するためのバンプ電極アレイが配列された電子装置の例として、複数のマイクロLED素子が搭載されたマイクロLED表示装置、およびマイクロLED素子が搭載される前のバンプ電極アレイ装置を取り上げて説明する。
【0011】
<電子装置>
まず、本実施の形態の電子装置であるマイクロLED表示装置の構成例について説明する。図1は、電子装置の一実施形態であるマイクロLED表示装置の構成例を示す平面図である。図1では、表示領域DAと周辺領域PFAとの境界、制御回路5、駆動回路6、および複数の画素PIXのそれぞれを二点鎖線で示している。図2は、図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲を枠状に囲む周辺領域PFAと、表示領域DA内に行列上に配列された複数の画素PIXと、を有している。また、表示装置DSP1は、基板10と、基板10上に形成された制御回路5と、基板10上に形成された駆動回路6と、を有している。基板10は、例えばガラスまたは樹脂から成る。基板10は、面10fおよび面10fの反対側の面10bを備えている。
【0013】
制御回路5は、表示装置DSP1の表示機能の駆動を制御する制御回路である。例えば、制御回路5は、基板10上に実装されたドライバIC(Integrated Circuit)である。図1に示す例では、制御回路5は、基板10が備える4辺のうち、一つの短辺に沿って配置されている。また、本実施の形態の例では、制御回路5は、複数の画素PIXに接続される配線(映像信号配線)VL(図2参照)を駆動する信号線駆動回路を含んでいる。ただし、制御回路5の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記したドライバICは、回路基板上に搭載されている場合がある。また例えば、配線VLを駆動する信号線駆動回路は、制御回路5とは別に形成されている場合がある。
【0014】
駆動回路6は、複数の画素PIXのうち、走査信号線GL(後述する図2参照)を駆動する回路を含む。また、駆動回路6は、複数の画素PIXのそれぞれに搭載されたLED素子に基準電位を供給する回路を含む。駆動回路6は、制御回路5からの制御信号に基づいて、複数の走査信号線GLを駆動する。図1に示す例では、駆動回路6は、基板10が備える4辺のうち、二つの長辺のそれぞれに沿って配置されている。ただし、駆動回路6の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記した制御回路5や駆動回路6が回路基板上に搭載されている場合がある。
【0015】
次に、図2を用いて画素PIXの回路構成例について説明する。なお、図2では、4個の画素PIXを代表的に取り上げて図示しているが、図1に示す複数の画素PIXのそれぞれが、図2に示す画素PIXと同様の回路を備えている。以下では、画素PIXが備えるスイッチ、およびLED素子20を含む回路について、画素回路と呼称する場合がある。画素回路は、制御回路5(図1参照)から供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20の発光状態を制御する電圧信号方式の回路である。
【0016】
図2に示すように、画素PIXは、LED素子20を備えている。LED素子20は、上記したマイクロ発光ダイオードである。LED素子20はアノード電極20EAおよびカソード電極20EKを有している。LED素子20のカソード電極20EKは、基準電位(固定電位)PVSが供給される配線VSLに接続されている。LED素子20のアノード電極20EAは、配線31を介してスイッチング素子SWのドレイン電極EDと電気的に接続されている。
【0017】
画素PIXは、スイッチング素子SWを備えている。スイッチング素子SWは、制御信号Gsに応答して画素回路と配線VLとの接続状態(オンまたはオフの状態)を制御するトランジスタである。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタである。スイッチング素子SWがオン状態の時、画素回路には、配線VLから映像信号Vsgが入力される。
【0018】
駆動回路6は、図示しないシフトレジスタ回路、出力バッファ回路等を含んでいる。駆動回路6は、制御回路5(図1参照)から伝送される水平走査スタートパルスに基づいてパルスを出力し、制御信号Gsを出力する。
【0019】
複数の走査信号線GLのそれぞれは、X方向に延びている。走査信号線GLは、スイッチング素子SWのゲート電極に接続されている。走査信号線GLに制御信号Gsが供給されると、スイッチング素子SWがオン状態となり、LED素子20に映像信号Vsgが供給される。
【0020】
<LED素子の周辺構造>
次に、図1に示す複数の画素PIXのそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造について説明する。図3は、図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。図3では、図4に示す絶縁層14の図示を省略している。図3では、半導体層、電極、および走査信号線の輪郭を点線で示している。図4は、図3のA-A線に沿った拡大断面図である。図5は、図3に示すLED素子を搭載する前の状態を示す拡大平面図である。図6は、図5のB-B線に沿った拡大断面図である。図7は、図4に示す配線とバンプ電極との接合界面付近の拡大断面図である。図8は、図7に示すバンプ電極のうち、銅を含む導体部と、配線と、絶縁層に形成された開口部との平面的な位置関係を示す透過拡大平面図である。図8では、開口部14H1の輪郭、開口部14H2の輪郭、導体部33Aの部分33P1の輪郭、導体部33Aの部分33P2の輪郭、および配線31のそれぞれを点線で示している。また、図8では、LED素子20のアノード電極20EAの輪郭を2点鎖線で示している。また、図8では、導体部33Bの輪郭を実践で示している。以下で説明する透過拡大平面図のそれぞれにおいて図8と同様の線種を用いて図示している。
【0021】
図3に示すように、表示装置DSP1は、画素PIX1を含む複数の画素PIX(図4に示す例では画素PIX1,PIX2,およびPIX3)を有している。複数の画素PIXのそれぞれは、スイッチング素子SWと、LED素子(発光素子)20と、配線31と、配線32と、を有している。なお、画素PIX1,PIX2,およびPIX3のそれぞれには、例えば赤、緑、および青のうち、いずれか一色の可視光を出射するLED素子20が搭載され、LED素子20を駆動するスイッチング素子SWが形成されている。画素PIX1,PIX2,およびPIX3のLED素子から出射される可視光の出力およびタイミングを制御することにより、カラー表示が可能となる。このように互いに異なる色の可視光を出射する複数の画素PIXを組み合わせる場合、各色用の画素PIXを副画素と呼び、複数の画素PIXのセットを画素と呼ぶ場合がある。本実施の形態では、上記副画素に相当する部分が画素PIXと呼ばれる。
【0022】
配線31は、スイッチング素子SWのドレイン電極EDおよびLED素子20のアノード電極20EAのそれぞれに電気的に接続されている。配線32は、スイッチング素子SWのソース電極ESに接続されている。図3に示す例では、配線32は屈曲した構造を備え、一方の端部がスイッチング素子SWのソース電極ESに接続され、他方の端部は、配線VLに接続されている。走査信号線GLは、スイッチング素子SWのゲート電極EGとして利用される。
【0023】
表示装置DSP1は、Y方向に沿って複数の画素PIX(図2参照)に亘って延び、かつ、配線32と電気的に接続される配線VLと、Y方向に交差(図3では直交)するX方向沿って複数の画素PIXに亘って延び、かつ、LED素子20のカソード電極20EKに電気的に接続された配線VSLと、を更に有している。配線VLと配線VSLとは、図3に示す配線交差部LXPにおいて、絶縁層41を介して交差している。配線VLと配線VSLとの間に絶縁層41が介在しているので、配線VLと配線VSLとは電気的に分離されている。なお、図3に示すレイアウトは、一例であって、種々の変形例がある。例えば、図3に対する変形例の一つとして、スイッチング素子SWが図示しないゲート電極を有し、ゲート電極が走査信号線GLと接続された構造であってもよい。この変形例では、走査信号線GLが、半導体層50と重ならない位置に配置される場合がある。
【0024】
図4に示すように、表示装置DSP1は、ガラスまたは樹脂から成る基板10と、基板10上に積層された複数の絶縁層と、を含む電子装置である。表示装置DSP1が有する複数の絶縁層は、基板10上に積層される絶縁層11、絶縁層12、絶縁層13、および絶縁層14を含む。基板10は面10fおよび面10fの反対側の面10bを有している。絶縁層11,12,13、および14のそれぞれは、基板10の面10f上に積層されている。
【0025】
スイッチング素子SWは、基板10上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成された半導体層50と、半導体層50のドレイン領域に接続されたドレイン電極EDと、半導体層50のソース領域に接続されたソース電極ESと、半導体層50を覆う絶縁層13と、を含んでいる。
【0026】
図4に示す例は、ゲート電極EGが半導体層50と基板10との間にある、ボトムゲート方式の例である。ボトムゲート方式の場合、絶縁層12のうち、ゲート電極EGと半導体層50との間にある部分がゲート絶縁層として機能する。また、絶縁層12は、半導体層50を形成するための下地層としても機能する。なお、ゲート電極EGの位置は図4に示す例には限定されず、例えば変形例としてトップゲート方式であってもよい。
【0027】
絶縁層11,12,13、および14のそれぞれは、無機材料により構成された無機絶縁膜である。絶縁層11,12,13,および14のそれぞれを構成する材料は特に限定されない。例えば、酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SiN)などを例示することができる。また、半導体層50は、例えばケイ素から成るシリコン膜にP型またはN型の導電型の不純物がドープされた半導体膜である。
【0028】
ソース電極ESおよびドレイン電極EDのそれぞれは、半導体層50のソース領域およびドレイン領域のいずれか一方との電気的なコンタクトをとるためのコンタクトプラグである。コンタクトプラグの材料は、例えばタングステンなどを例示できる。なお、図4に対する変形例として、絶縁層13に半導体層50のソース領域およびドレイン領域を露出させるコンタクトホールが形成され、コンタクトホール内に配線31の一部分および配線32の一部分がそれぞれ埋め込まれている場合がある。この場合、配線31および配線32のうち、コンタクトホール内に埋め込まれた部分が半導体層50に接触し、配線31および配線32と半導体層50との接触界面をドレイン電極EDおよびソース電極ESと見做すことができる。
【0029】
また、図5に示すように、表示装置DSP1は、平面視において規則的に配列された複数のバンプ電極33および複数のバンプ電極34を備えている。バンプ電極33およびバンプ電極34は、基板10(図4参照)上に電子部品を実装するための端子である。本実施の形態の場合、バンプ電極33およびバンプ電極34は、図4に示すLED素子20を搭載するための端子である。図4に示す例では、バンプ電極33は、LED素子20のアノード電極20EAに接続され、バンプ電極34はLED素子20のカソード電極20EKに接続されている。対を成すバンプ電極33とバンプ電極34とは、LED素子20(図3参照)の実装予定領域に2個隣り合って配列されている。
【0030】
図7に例示するように、配線31は、導体層30Aと、導体層30Bとの積層膜である。導体層30Aは、チタンまたはチタン合金から成り、絶縁層13上に形成されている。導体層30Bは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成り、導体層30A上に積層されている。ただし、変形例として、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成る導体層30Bがチタンまたはチタン合金から成る導体層30Aの間に挟まれた構造になっている場合がある。
【0031】
図4に示すバンプ電極33の導体部33Aおよびバンプ電極34の導体部34Aを銅または銅合金とする場合、導体部33Aおよび導体部34Aが接続される金属膜(配線31もしくは配線VSLの最表面となる金属膜)は、チタン膜よりもアルミニウム膜の方が、高い接続信頼性を得られる点で有利である。一方、アルミニウム膜は、チタン膜と比較して表面が酸化し易いので、導体部33Aおよび導体部34Aを形成する前に、酸化被膜を除去する工程があることが好ましい。なお、酸化膜を除去する工程には種々の変形例があるが、例えば、アルミニウムの酸化膜を亜鉛酸塩膜に置換する処理(ジンケート処理と呼ばれる)を例示できる。このジンケート処理を適用した場合、図7に示す導体層30Bとバンプ電極33の導体部33Aとの間に、亜鉛を含む導体膜が形成される。
【0032】
図7に示すように、バンプ電極33は、絶縁層14に形成された開口部14H1および開口部14H2と重なる位置で配線31に接続され、かつ、絶縁層14から突出している。また、バンプ電極33は、銅または銅合金から成り、配線31の導体層30Bと接続された導体部33Aと、錫を含む半田から成り、導体部33A上に形成された導体部33Bと、を含んでいる。このように、銅または銅合金から成る導体部33Aを用いることにより、バンプ電極33の電気的特性を向上させることができる。
【0033】
なお、導体部33Aを構成する金属材料としては、本実施の形態のように銅または銅合金を例示することができるが、種々の変形例を適用することができる。電気的特性を向上させる観点からは、導体部33Aを構成する金属材料は、導体部33Bを構成する半田よりも電気伝導度が高い材料が好ましい。また、図4に示すLED素子20を搭載する工程において、バンプ電極33を加熱した時に導体部33Aが変形することを回避する観点からは、導体部33Aを構成する金属材料は、導体部33Bを構成する半田よりも融点が高い材料が好ましい。
【0034】
また、導体部33Aは、複数種類の金属材料の膜を積層した積層膜である場合もある。例えば、銅または銅合金から成る銅膜上にニッケルから成るニッケル膜が積層された積層膜を導体部33Aとした場合、導体部33Aの表面の酸化を抑制することができる。
【0035】
ところで、図7に示すように、バンプ電極33の導体部33Aは、絶縁層14に形成された開口部14H1と重なる位置で配線31に接続されている部分33P1と、部分33P1と離間して配置され、かつ、絶縁層14に形成された開口部14H2と重なる位置で配線31に接続されている部分33P2と、を有している。図7および図8に示すように、導体部33Bは、導体部33Aとは異なり、2つの部分に分離されていない。導体部33Bは、アノード電極20EA(図7参照)に接続され、かつ、部分33P1および部分33P2のそれぞれに接続されている。図7に示す例では、バンプ電極33の導体部33Bの一部分と重なる位置(詳しくは、開口部14H1と開口部14H2との間)に絶縁層14が配置されている。導体部33Bは、導体部33Aの部分33P1と部分33P2との間において、絶縁層14と接触している。
【0036】
本実施の形態の場合、バンプ電極33が図7に示す構造になっていることにより、バンプ電極33とアノード電極20EAとの間にボイド(気泡)が生じることを防止している。この理由について以下で説明する。図9は、図6に示す配線とバンプ電極との接合界面付近の拡大断面図である。図10は、図9に示すバンプ電極のうち、半田から成る導体部と、配線と、絶縁層に形成された開口部との平面的な位置関係を示す透過拡大平面図である。図11は、図9に対する検討例を示す拡大断面図である。図12は、図10に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【0037】
図4に示す表示装置DSP1の製造工程において、LED素子20を搭載する前には、バンプ電極33は、図9および図10に示すような構造になっている。導体部33Aは、互いに離間して配置された部分33P1および部分33P2を有している。部分33P1には導体部33Bの部分33P3が積層され、部分33P2には導体部33Bの部分33P4が積層されている。図9および図10に示す例では、部分33P3と部分33P4とは互いに離間している。ただし、変形例として部分33P3と部分33P4の一部が連結されている場合もある。
【0038】
図4に示す表示装置DSP1の製造工程において、LED素子20をバンプ電極33に接合する工程では、LED素子20のアノード電極20EAとバンプ電極33とが互いに接触した状態でバンプ電極33を加熱する。加熱方法には種々の方法を適用する事ができるが、例えばバンプ電極33にレーザ光を照射することによりバンプ電極33を加熱することができる。バンプ電極33を加熱することにより、導体部33Bに含まれる半田が溶融し、変形する。本実施の形態の場合、図9および図10に示す導体部33Bの部分33P3と部分33P4とが接触し、一体化する。また、導体部33Bに含まれる半田は、図7に示すようにアノード電極20EAの表面に濡れ広がり、アノード電極20EAと導体部33Aとは、導体部33Bを介して電気的に接続される。
【0039】
ここで、図4に示すアノード電極20EAを接続するためのバンプ電極を形成する場合、検討例として図11に示すように、1個の導体部35Aおよび1個の導体部35Bから成るバンプ電極35をアノード電極20EA(図4参照)に接続する方法が考えられる。ところが、本願発明者の検討によれば、図11に示す検討例の場合、半田からなる導体部35Bの周縁部に壁部35Xが形成される傾向があることが判った。壁部35Xは、平面視における導体部35Bの面積が大きい程、高い壁が形成され易く、平面視においてバンプ電極35の周縁部に沿って形成されている。バンプ電極35の中央の頂部には壁部35Xにより囲まれた空間が存在する。このような空間が存在する状態で図4に示すアノード電極20EAを接合しようとした場合、壁部35Xにより囲まれた空間内の気体が行き場を失い、ボイドとして残留すると考えられる。
【0040】
一方、本実施の形態の場合、図9に示すように導体部33Aが、互いに離間して配置された部分33P1および部分33P2を有している。部分33P1には導体部33Bの部分33P3が積層され、部分33P2には導体部33Bの部分33P4が積層されている。この場合、図9に示すように、仮に部分33P3および部分33P4の頂部に壁部33Xが形成された場合でも、壁部33Xの高さは、図11に示す壁部35Xよりも低い。Y方向における部分33P3および部分33P4のそれぞれの長さが、図11に示すY方向における導体部33Bの長さよりも短いからである。このように、壁部33Xが形成された場合でも、その高さが低ければ、壁部33Xに囲まれた空間内の気体は外部に排出され易い。
【0041】
さらに、図9に示すように本実施の形態の場合、導体部33Bの部分33P3と部分33P4との間に空間が存在する。図10に示すように、導体部33Bの部分33P3と部分33P4との間に存在する空間は、両端が解放端になっている。
【0042】
バンプ電極33に含まれる半田の溶融が進むと、図7および図8に示すように、部分33P1、部分33P2、およびアノード電極20EA(図7参照)は、導体部33Bを介して一体化される。言い換えれば、表示装置DSP1(図4参照)は、バンプ電極33に接続されているアノード電極20EAを備えた電子部品(LED素子20)を有している。バンプ電極33の導体部33Bは、アノード電極20EAに接続され、かつ、部分33P1および部分33P2のそれぞれに接続されている。
【0043】
図9に示す導体部33Bの周囲の気体は、図10に示す導体部33Bの部分33P3と部分33P4との間に存在する空間等を介して全て外部に排出される。このため、図7に示すようにアノード電極20EAとバンプ電極33とを接合した後の表示装置には、アノード電極20EAとバンプ電極33との間にボイドが残留し難い。すなわち、本実施の形態の場合、導体部33Bの部分33P3と部分33P4との間に存在する空間を、気体の排出経路として利用できるので、ボイドの発生を抑制することができる。
【0044】
図10に示す例では、部分33P1および部分33P2のそれぞれは、平面視において、X方向に延びた線状のパターンである。また、部分33P3および部分33P4のそれぞれは、平面視において、X方向に延びた線状のパターンである。なお、部分33P1および部分33P2のそれぞれが延びる方向はX方向には限定されず、例えば図12に変形例として示すように、部分33P1および部分33P2のそれぞれがY方向に延びる線状パターンである場合がある。図10図12に示すように、部分33P1および部分33P2のそれぞれが線状のパターンである場合、導体部33Bに含まれる半田が濡れ広がる方向、および気体の排出方向を制御し易い。
【0045】
また、図4に示すように、表示装置DSP1は、配線VSLと、配線VSLに接続され、かつ、絶縁層14から突出するバンプ電極34と、を有している。配線VDLは、基板10上に形成され、かつ、配線31と離間するように配置され、かつ、絶縁層14に覆われている。バンプ電極33およびバンプ電極34は、X方向(図10参照)に交差するY方向に沿って配列されている。言い換えれば、図10に示す例の場合、部分33P1および部分33P2のそれぞれは、バンプ電極33およびバンプ電極34の配列方向であるY方向に交差するX方向に延びている。一方、図12に示す変形例の場合、部分33P1および部分33P2のそれぞれは、バンプ電極33およびバンプ電極34の配列方向であるY方向に延びている。
【0046】
図4に示す例のように、アノード電極20EAとカソード電極20EKの離間距離が十分に大きい場合には、バンプ電極33とバンプ電極34とが短絡するリスクは小さい。ただし、アノード電極20EAとカソード電極20EKの離間距離が小さい場合には、バンプ電極33の導体部33Bとバンプ電極34の導体部34Bとが短絡することを防止する観点から図10に示す例の方が好ましい。図10に示す例の場合、半田がX方向に沿って濡れ広がるので、Y方向において半田が濡れ広がる範囲を制御し易い。このため、アノード電極20EAとカソード電極20EKの離間距離が小さい場合であっても、バンプ電極33の導体部33B、およびバンプ電極34の導体部34Bに含まれている半田を介してこれらの電極が短絡することを防止できる。
【0047】
なお、図6に示すように、バンプ電極34は、バンプ電極33と同様の構造を備えている。すなわち、バンプ電極34は、導体部33Aと同じ金属材料(例えば銅または銅合金)から成り、配線VSLに接続された導体部34Aと、錫を含む半田から成り、導体部34A上に配置された導体部34Bと、を含んでいる。導体部33Aは、絶縁層14に形成された開口部14H3と重なる位置で配線VSLに接続されている部分34P1と、部分34P1とは離間して配置され、かつ、絶縁層14に形成された開口部14H4と重なる位置で配線VSLに接続されている部分34P2と、を含んでいる。
【0048】
図6は、バンプ電極34に、図4に示すLED素子20のカソード電極20EKが接合される前の状態を示している。したがって、バンプ電極34の導体部34Bは、部分34P1上に積層されている部分34P3と、部分34P2上に積層されている部分34P4と、を有している。図6に示す例では、部分34P3と部分34P4とは互いに離間している。ただし、変形例として部分34P3と部分34P4の一部が連結されている場合もある。
【0049】
図13は、図10に対する他の変形例を示す透過拡大平面図である。図14は、図13のC-C線に沿った拡大断面図である。図15は、図13および図14に示すバンプ電極にLED素子のアノード電極を接続した状態を示す透過拡大平面図である。
【0050】
図13および図14は、図9および図10に示す基板構造体SUB1に対する変形例である基板構造体SUB2を示している。また、図15は、図13および図14に示す基板構造体SUB2のバンプ電極33上に図4に示すLED素子20を搭載した表示装置DSP2を示している。図13および図14に示す変形例の場合、以下の点で、図9および図10に示す例と相違する。本変形例の場合、導体部33Aは、部分33P1および部分33P2と離間して配置され、絶縁層14に形成された開口部14H5と重なる位置で配線31に接続されている部分33P5を更に有している。また、導体部33Aは、部分33P1、部分33P2、および部分33P5のそれぞれと離間して配置され、かつ、絶縁層14に形成された開口部14H6と重なる位置で配線31に接続されている部分33P6を更に有している。図13に示すように、部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6のそれぞれは、平面視において、円形のパターンである。
【0051】
また、図4に示すLED素子20を実装した後は、図15に示すように導体部33Bは一体化される。すなわち、図15に示すように、表示装置は、バンプ電極33に接続されているアノード電極20EAを備えた電子部品(LED素子20)をさらに有している。バンプ電極33の導体部33Aは、部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6のそれぞれに接続されている。
【0052】
本変形例の場合にも、導体部33Aが4つの部分に分離されている。このため、導体部33Bを加熱し、溶融させて一体化させる際には、部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6のそれぞれの間の空間が、気体の排出経路として機能する。この結果、本変形例の場合にも、アノード電極20EAと導体部33Bとの間にボイドが形成されることを防止できる。
【0053】
本変形例の場合には、LED素子20を実装した後の状態において、バンプ電極33の導体部33Bの一部分と重なる位置(詳しくは、開口部14H1、開口部14H2、開口部14H5、および開口部14H6の間)に絶縁層14が配置されている。導体部33Bは、導体部33Aの部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6の間において、絶縁層14と接触している。
【0054】
<電子装置の製造方法>
次に、本実施の形態の電子装置の製造方法の代表例として、図4に示す表示装置の製造方法について説明する。図16は、電子装置の一実施態様である表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。図16に示すように、本実施の形態の電子装置の製造方法は、基板構造体準備工程と、バンプ電極形成工程と、電子部品実装工程と、を有している。なお、電子部品を実装する前の基板構造体を半製品として出荷する場合には、電子部品実装工程は省略することができる。
【0055】
基板構造体準備工程では、図4に示すバンプ電極33が形成される前の状態の基板構造体SUB1を準備する。基板構造体準備工程では、ガラスまたは樹脂から成る基板10と、基板10上に形成された配線31と、配線31を覆う絶縁層14と、を備えた基板構造体SUB1を準備する。基板10上には、絶縁層11、絶縁層12、絶縁層13、および絶縁層14が積層され、配線31は、絶縁層13と絶縁層14との間に配置されている。基板構造体SUB1の大部分は絶縁層14に覆われている。絶縁層14には、配線31と重なる位置に形成された開口部14H1(図9参照)および開口部14H2(図9参照)と、配線VSLと重なる位置に形成された開口部14H3(図6参照)および開口部14H4(図6参照)と、を有している。
【0056】
配線31および配線VSLのうち、絶縁層14から露出する部分の表面に酸化膜が形成されている場合、バンプ電極形成工程を実施する前処理として酸化膜を除去する酸化膜除去工程が実施される場合がある。
【0057】
次にバンプ電極形成工程では、図4図15の各図を用いて説明したバンプ電極33およびバンプ電極34(図4参照)を形成する。以下では、配線31に接続されるバンプ電極33を形成する方法を代表例として説明する。ただし、以下の説明と同様の方法で配線VSLに接続されるバンプ電極34を形成することができる。
【0058】
バンプ電極形成工程では、図4に示す配線31に通電した状態で、電気メッキ法により導体部33Aを成膜する(第1成膜工程)。詳しくは、配線31に通電した状態で、電気メッキ法により銅または銅合金から成る導体部33Aを開口部14H1と重なる位置、開口部14H2と重なる位置、および開口部の周囲に選択的に成膜する。この場合、配線31との露出面から、選択的に銅膜(または銅合金膜)を成長させることができる。また、本実施の形態の場合、配線31のうち、絶縁層14から露出している部分に選択的に銅膜を成長させることができる。このため、大型のステッパ等の大規模な露光装置を新たに準備する必要がない。なお、配線31および配線VSLには同時に電流を流すことができるので、配線31上の導体部33Aおよび配線VSL上の導体部34Aは同じタイミングで一括して形成することができる。
【0059】
次に、配線31に通電した状態で、錫を含む半田から成る導体部33Bを導体部33A上に選択的に成膜する(第2成膜工程)。半田膜を成膜する場合も、銅膜を成膜する場合と同様に、電気メッキ法を用いることで、通電された導体部33Aの表面上に半田膜が等方的に広がって導体部33Bが成膜される。本工程により、図9および図10に示すように、互いに離間した二つの部分を有するバンプ電極33が得られる。
【0060】
本実施の形態のバンプ電極形成工程の場合、絶縁層14の一部を、導体部33Aの部分33P1および部分33P2を形成するためのマスクとして用いる。このため、図7を用いて説明したように、バンプ電極33の導体部33Bの一部分と重なる位置(詳しくは、開口部14H1と開口部14H2との間)に絶縁層14が配置された構造のバンプ電極33が得られる。
【0061】
電子部品を搭載する前の基板構造体SUB1(図4参照)を半製品として出荷する場合がある。この場合、図16に示す電子部品実装工程は省略され、図6に示す基板構造体SUB1に対して必要な検査や梱包を行った後、出荷準備に入る。すなわち、図16のバンプ電極形成工程により、電子装置としての基板構造体SUB1が得られる。
【0062】
次に、図16に示す電子部品実装工程では、バンプ電極形成工程の後、図4に示すようにバンプ電極33と電子部品(図4の例ではLED素子20)とを電気的に接続する。本工程では、例えばレーザを照射することにより図6に示す導体部33Bおよび導体部34Bを溶融させる。これにより、バンプ電極33は、LED素子20のアノード電極20EAに接続され、バンプ電極34はLED素子のカソード電極20EKに接続される。なお、本工程の前に、図4に示すLED素子20のアノード電極20EAおよびカソード電極20EKのそれぞれに、予め半田膜が形成されている場合もある。この場合、半田から成る導体部33Bと電極に形成された半田膜とを容易に一体化させることができるので、バンプ電極33とアノード電極20EAを確実に接続することができる。図4に示すバンプ電極34とカソード電極20EKについても同様である。
【0063】
<バンプ電極の変形例>
次に、バンプ電極の変形例について説明する。図17は、図4に対する変形例を示す拡大断面図である。図18は、図17に示すLED素子を搭載する前の状態におけるバンプ電極周辺の透過拡大平面図である。図19は、図18のD-D線に沿った拡大断面図である。
【0064】
図17は、図4に示す表示装置DSP1に対する変形例である表示装置DSP3を示している。図18および図19は、図9および図10に示す基板構造体SUB1に対する変形例である基板構造体SUB3を示している。
【0065】
図17に示す表示装置DSP3は、バンプ電極33およびバンプ電極34の構造が、図4に示す表示装置DSP1と相違する。図17に示す表示装置DSP3の場合、図18および図19に示すように、一つの開口部14H1内に、導体部33Aの部分33P1および部分33P2のそれぞれが、互いに離間するように配置されている。このため、図19に示すように、部分33P1と部分33P2との間には、絶縁層14が存在せず、半田を含む導体部33Bは、配線31の上面(開口部14H1からの露出面)に接触している。
【0066】
図17に示す表示装置DSP3および表示装置DSP3が備えている基板構造体SUB3は、以下のように表現できる。電子装置である表示装置DSP3、および表示装置DSP3が備えている基板構造体SUB3は、基板10と、基板10上に配置されている配線31と、無機材料から成る無機絶縁層であって、配線31を覆う絶縁層14と、配線31に接続され、かつ、絶縁層14から突出するバンプ電極33と、を有している。バンプ電極33は、第1金属材料(例えば銅または銅合金)から成り、配線31に接続された導体部33Aと、錫を含む半田から成り、導体部33A上に配置された導体部33Bと、を含んでいる。図19に示すように、導体部33Aは、絶縁層14に形成された開口部14H1の領域R1で配線31に接続されている部分33P1と、部分33P1と離間して配置され、かつ、開口部14H1の領域R2で配線31に接続されている部分33P2と、を含んでいる。
【0067】
図9および図10に示すバンプ電極33の場合、上記したように、配線31に通電した状態で、電気メッキ法により導体部33Aを成膜する。この時、絶縁層14をマスクとして用いるので、導体部33Aの部分33P1および部分33P2を形成した後、部分33P1と部分33P2との間には絶縁層14が残留する。
【0068】
一方、図18および図19に示すバンプ電極33の場合、例えば以下の方法により形成される。すなわち、絶縁層14および絶縁層14の開口部14H1上に、銅または銅合金から成る金属膜を成膜する。成膜方法は、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいはパネルメッキ法等を例示することができる。これらの方法によれば、絶縁層14および絶縁層14の開口部14H1上に一様な厚さの金属膜が成膜される。その後、図19に示す部分33P1および部分33P2に相当する部分を覆うようにレジストマスクを形成する。レジストマスクのパターニングには、感光性の有機膜と、露光装置をもちいたフォトリソグラフィ技術を利用する。次に、部分33P1および部分33P2がレジストマスクに覆われた状態で、エッチング処理を行い、金属膜のうち、不要な部分を除去する。以上の処理により図19に示す導体部33Aが形成される。以降は、上記した第2成膜工程と同様に、電気メッキ法により錫を含む半田から成る導体部33Bを成膜する。図19に示す配線31に通電した状態でメッキ処理を行うことにより、導体部33Bは、配線31のうち、開口部14H1から露出している部分、および導体部33Aの露出面上に選択的に成膜される。
【0069】
以上の工程により得られたバンプ電極33は、図19に示すように、部分33P3の一部と部分33P4の一部とが一体化している場合がある。ただし、部分33P3の頂部と部分33P4の頂部との間には隙間が形成されている。
【0070】
図17に示すLED素子20を搭載する電子部品実装工程(図16参照)では、既に説明したように、導体部33Bを溶融させることにより、バンプ電極33は、LED素子20のアノード電極20EAに接続される。図17に示す例では、表示装置DSP3は、バンプ電極33に接続されているアノード電極20EAを備えた電子部品をさらに有している。バンプ電極33の導体部33Bは、部分33P1および部分33P2のそれぞれに接続されている。この時、部分33P1の頂部と部分33P2の頂部との間に設けられた隙間は、気体の排出経路として機能する。このため、本変形例の場合にも、図17に示すバンプ電極33とアノード電極20EAとの間にボイドが形成されることを防止できる。
【0071】
上記では、バンプ電極33について説明したが、図17に示すバンプ電極34についても図17に示すバンプ電極33と同様な構造である。
【0072】
また、図18に示す例では、部分33P1および部分33P2のそれぞれは、平面視において、X方向に延びた線状のパターンである。
【0073】
また、図17に示すように、バンプ電極33の導体部33Bは、導体部33Aの部分33P1と部分33P2との間において、配線31と接触している。
【0074】
また、図17に示すように、表示装置DSP3は、基板10上に形成され、かつ、配線31と離間するように配置され、かつ、絶縁層14に覆われている配線VSLと、配線VSLに接続され、かつ、絶縁層14から突出するバンプ電極34と、を更に有している。バンプ電極33およびバンプ電極34は、X方向に交差するY方向に沿って配列されている。言い換えれば、部分33P1および部分33P2のそれぞれは、平面視において、バンプ電極33およびバンプ電極34の配列方向に交差する方向に延びている。
【0075】
図18に示す例の場合、半田がX方向に沿って濡れ広がるので、Y方向において半田が濡れ広がる範囲を制御し易い。このため、図17に示すアノード電極20EAとカソード電極20EKの離間距離が小さい場合であっても、バンプ電極33の導体部33B、およびバンプ電極34の導体部34Bに含まれている半田を介してこれらの電極が短絡することを防止できる。
【0076】
ただし、図示は省略するが、図18に示す部分33P1および部分33P2のそれぞれが、図12を用いて説明した変形例と同様に、Y方向に延びている場合がある。図17に示すアノード電極20EAとカソード電極20EKの離間距離が十分に確保できている場合には、図12と同様の変形例を適用した場合でも、導体部34Bに含まれている半田を介してこれらの電極が短絡することを防止できる。
【0077】
また、図20および図21に示すように、図13図15を用いて説明したバンプ電極33の構造を、図17図19に示すバンプ電極33の構造と組み合わせて適用することができる。図20は、図18に対する変形例を示す透過拡大平面図である。図21は、図20のE-E線に沿った拡大断面図である。図22は、図20および図21に示すバンプ電極にLED素子のアノード電極を接続した状態を示す透過拡大平面図である。
【0078】
図20および図21は、図18および図19に示す基板構造体SUB3に対する変形例である基板構造体SUB4を示している。また、図22は、図20および図21に示す基板構造体SUB4のバンプ電極33上に図17に示すLED素子20を搭載した表示装置DSP4を示している。
【0079】
図20に示す電子装置である基板構造体SUB4が有するバンプ電極33の場合、導体部33Aは、部分33P1および部分33P2と離間して配置され、開口部14H1の領域R3(図21参照)で配線31に接続されている部分33P5と、部分33P1、部分33P2、および部分33P5のそれぞれと離間して配置され、かつ、開口部14H1の領域R4(図21参照)で配線31に接続されている部分33P6と、を更に含んでいる。
【0080】
図20に示すように、部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6のそれぞれは、平面視において、四辺形(四角形)のパターンである。なお、図20に示す導体部33Aの各部分は、エッチング加工を容易に行うことができる点で有利な四角形としている。ただし変形例として、図13に示す導体部33Aの各部分と同様に円形とする場合、あるいは図示しない楕円形とする場合もある。
【0081】
本変形例においても、導体部33Bの部分33P3、部分33P4、部分33P7、および部分33P8のそれぞれの一部分は互いに連結されている。しかし、部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6のそれぞれは、互いに離間している。このため、導体部33Bの部分33P3、部分33P4、部分33P7、および部分33P8のそれぞれの頂部の間には隙間が形成されている。この隙間は、図22に示すように導体部33BとLED素子20のアノード電極20EAとを接続する際に、気体の排出経路として機能する。
【0082】
また、図22に示すように、基板構造体SUB4を備えている表示装置DSP4は、バンプ電極33に接続されているアノード電極20EAを備えた電子部品を有している。アノード電極20EAの導体部33Bは、アノード電極20EAに接続され、かつ、導体部33Aの部分33P1、部分33P2、部分33P5、および部分33P6のそれぞれに接続されている。
【0083】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0084】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、表示装置等の電子装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
5 制御回路
6 駆動回路
10 基板
10b,10f 面
11,12,13,14 絶縁層
14H1,14H2,14H3,14H4,14H5,14H6 開口部
20 LED素子(発光素子,電子部品)
20EA アノード電極
20EK カソード電極
31,32,VL,VSL 配線
33,34,35 バンプ電極
33A,33B,34A,34B,35A,35B 導体部
33P1,33P2,33P3,33P4,33P5,33P6,33P7,33P8,34P1,34P2,34P3,34P4 部分
33X,35X 壁部
41 絶縁層
50 半導体層
DA 表示領域
DSP1,DSP2,DSP3,DSP4 表示装置
ED ドレイン電極
EG ゲート電極
ES ソース電極
GL 走査信号線
Gs 制御信号
LXP 配線交差部
PFA 周辺領域
PIX,PIX1,PIX2 画素
PVS 基準電位(固定電位)
R1,R2,R3 領域
SUB1,SUB2,SUB3,SUB4 基板構造体
SW スイッチング素子
Vsg 映像信号
図1
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