(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118790
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】現像ローラ
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240826BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G03G15/08 235
F16C13/00 B
F16C13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025285
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】小坂 俊介
【テーマコード(参考)】
2H077
3J103
【Fターム(参考)】
2H077AD06
2H077FA13
2H077FA16
2H077FA22
2H077FA23
2H077FA27
2H077GA02
2H077GA03
3J103AA02
3J103AA14
3J103AA23
3J103BA41
3J103BA46
3J103FA06
3J103FA14
3J103FA18
3J103GA02
3J103GA57
3J103GA58
3J103GA60
3J103HA03
3J103HA12
3J103HA20
3J103HA41
3J103HA53
(57)【要約】
【課題】現像ローラに起因する画像不良の発生を低減できる現像ローラを提供する。
【解決手段】現像ローラ1は、導電性軸芯体2と、前記導電性軸芯体2の外周面上に設けられた弾性層3とを有し、前記弾性層3が、ゴム組成物から形成された基層5と、前記基層5の表面上に形成された最外層6とを有し、前記最外層6が、融点が120℃以上である樹脂から形成された不完全膜であり、前記弾性層3の表面硬度が、MD-1硬度で、37.5以上であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた弾性層とを有し、
前記弾性層が、ゴム組成物から形成された基層と、前記基層の表面上に形成された最外層とを有し、
前記最外層が、融点が120℃以上である樹脂から形成された不完全膜であり、
前記弾性層の表面硬度が、MD-1硬度で、37.5以上であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記弾性層の動摩擦係数が、1.8~3.6である請求項1に記載の現像ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を利用した画像形成装置に使用される現像ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の電子写真法を利用した画像形成装置においては、帯電させた感光体の表面を露光して当該表面に形成される静電潜像をトナー像に現像するために、現像ローラが使用される。
【0003】
現像ローラを用いた現像では、画像形成装置のトナーを収容した現像部内に現像ローラを設け、この現像ローラの近傍に量規制ブレード(帯電ブレード)の先端部を配置し、現像ローラを回転させる。そうすると現像部内のトナーが帯電されて、ローラ本体の外周面に付着されるとともに、付着されたトナーがローラ本体の外周面と量規制ブレードの先端部とのニップ部を通過する際に、付着したトナーの厚みが外周面の略全幅に亘って均されて、当該外周面にトナー層が形成される。また感光体の表面には、並行して、一様に帯電させたのち露光することで静電潜像が形成される。そして、この状態で現像ローラをさらに回転させて、トナー層を、感光体の表面の近傍に搬送すると、トナー層を形成するトナーが、感光体の表面に形成された静電潜像に応じて選択的に感光体の表面に移動して、静電潜像がトナー像に現像される。
【0004】
このような画像形成装置では、現像ローラに起因する画像不良を生じることがあり、このような画像不良を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、弾性材料からなる筒状のローラ本体、および前記ローラ本体の最外層に設けられた、シリカ粒子からなるシリカ粒子層を含む現像ローラが記載されている(特許文献1(請求項1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像不良の発生を抑制した現像ローラが提案されているが、まだ改良の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、現像ローラに起因する画像不良の発生を低減できる現像ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することができた本発明の現像ローラは、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた弾性層とを有し、前記弾性層が、ゴム組成物から形成された基層と、前記基層の表面上に形成された最外層とを有し、前記最外層が、融点が120℃以上である樹脂から形成された不完全膜であり、前記弾性層の表面硬度が、MD-1硬度で、37.5以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の現像ローラを画像形成装置に用いれば、現像ローラに起因する画像不良の発生を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の現像ローラの一例の、全体の外観を示す斜視図。
【
図3】現像ローラNo.1の最外層を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<現像ローラ>
本発明の現像ローラは、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた弾性層とを有する。
【0011】
(導電性軸芯体)
導電性軸芯体は、少なくとも表面が導電性を有し、現像ローラの支持体として機能するものであれば特に限定されない。前記導電性軸芯体の直径は特に限定されないが、通常4.0mm~12.0mmである。前記導電性軸芯体としては、金属製軸芯体が挙げられ、金属製軸芯体を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0012】
(弾性層)
前記弾性層は、例えば、導電性を有する接着剤を介して、導電性軸芯体と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、または弾性層の通孔の内径よりも外径の大きい導電性軸芯体を通孔に圧入することで、導電性軸芯体と電気的に接合されるとともに機械的に固定される。あるいは、この両方を併用して、弾性層を導電性軸芯体に電気的に接合し、機械的に固定されていてもよい。
【0013】
前記弾性層は、ゴム組成物から形成された基層と、前記基層の表面上に形成された最外層とを有する。
【0014】
前記弾性層の表面硬度は、MD-1硬度で、37.5以上が好ましく、より好ましくは37.8以上、より好ましくは38.0以上である。前記表面硬度がMD-1硬度で、37.5以上であれば、黒べた画像を形成する際に白筋が発生することが抑制される。前記表面硬度の上限は特に限定されないが、MD-1硬度で、60以下が好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは45以下である。
【0015】
前記弾性層の動摩擦係数は、1.8以上が好ましく、より好ましくは1.9以上、さらに好ましくは2.0以上であり、3.6以下が好ましく、より好ましくは3.3以下、さらに好ましくは3.0以下である。前記動摩擦係数が1.8以上であれば現像ローラ表面にトナーが付着しやすく、高濃度の画像を形成しやすくなり、3.6以下であれば現像ローラ表面に残存したトナーを除去しやすくなり、帯電ブレードにトナーが固着することがより抑制される。
【0016】
前記弾性層の厚さは、1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上であり、10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下である。
【0017】
(基層)
前記基層は、ゴム組成物から形成されており、弾性を有する層であり、導電性を有することが好ましい。前記ゴム組成物としては、基材ゴム、導電材、および、加硫剤を含有するゴム組成物が挙げられる。
【0018】
前記基材ゴムの種類は特に限定されず、従来現像ローラに用いられるゴムが使用できる。前記基材ゴムとしては、ジエン系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体等が挙げられる。これらの基材ゴムは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記ジエン系ゴムは、ゴム組成物に良好な加工性を付与し、基層の機械的強度や耐久性を向上させる。前記ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等が挙げられる。これらの中でも、ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムが好ましい。
【0020】
前記クロロプレンゴムは、クロロプレンを乳化重合させて合成されるもので、その際に用いる分子量調整剤の種類によって、硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプとに分類される。また非硫黄変性タイプは、メルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプ等に分類される。また、前記クロロプレンゴムは、クロロプレンと他の共重合成分との共重合体を用いてもよい。前記他の共重合成分としては、たとえば、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
【0021】
前記クロロプレンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがある。本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプを用いるのが好ましい。
【0022】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、アクリロニトリルとブタジエンとを、乳化重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成され、なおかつ架橋性を有する種々のアクリロニトリルブタジエンゴムが、いずれも使用可能である。アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、アクリロニトリル含有量が24質量%以下である低ニトリルNBR、25質量%~30質量%である中ニトリルNBR、31質量%~35質量%である中高ニトリルNBR、36質量%~42質量%である高ニトリルNBR、43質量%以上である極高ニトリルNBRが、いずれも使用可能である。
【0023】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプが好ましい。
【0024】
前記基材ゴムがジエン系ゴムを含有する場合、基材ゴム100質量部中のジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下である。
【0025】
前記エピクロルヒドリンゴムとしては、繰り返し単位としてエピクロルヒドリンを含む種々の重合体が使用可能である。エピクロルヒドリンゴムとしては、例えば、エピクロルヒドリン単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体、およびエピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。前記エピクロルヒドリンゴムとしては、前記例示の中でもエチレンオキサイドを含む共重合体、特にECOおよび/またはGECOが好ましい。
【0026】
前記基材ゴムがエピクロルヒドリンゴムを含有する場合、基材ゴム100質量部中のエピクロルヒドリンゴムの含有率は、9質量%以上が好ましく、より好ましくは12質量%以上であり、40質量%以下が好ましく、より好ましくは32質量%以下である。
【0027】
前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体は、エチレンとαオレフィンに少量のジエン成分を加えることで、主鎖中に二重結合を導入した共重合体である。前記αオレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。前記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられ、エチリデンノルボルネンが好ましい。前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体としては、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、エチレン-ブテン-ジエン共重合体(EBDM)、エチレン-プロピレン-ブテン-ジエン共重合体(EPBDM)等が挙げられる。
【0028】
前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体は、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプが好ましい。
【0029】
前記基材ゴムがエチレン-αオレフィン-ジエン共重合体を含有する場合、基材ゴム100質量部中のエピクロルヒドリンゴムの含有率は、1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下である。
【0030】
(導電材)
前記導電材としては、カーボンブラック、イオン導電剤等が挙げられる。前記導電材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記カーボンブラックの種類は特に限定されない。前記カーボンブラックとしては、SAF(Super Abrasion Furnace Black)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace Black)、IISAF(Intermediate ISAF)、HAF(High Abrasion Furnace Black)、MAF(Medium Abrasion Furnace Black)、FEF(Fast Extruding Furnace Black)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace Black)、GPF(General Purpose Furnace Black)、FF(Fine Furnace Black)、CF(Conductive Furnace Black)などのファーネスカーボンブラック;FT(Fine Thermal Black)、MT(Medium Thermal Black)などのサーマルカーボンブラック;EPC(Easy Processing Channel Black)、MPC(Medium Processing Channel Black)などのチャンネルカーボンブラック;アセチレンブラックが挙げられる。前記カーボンブラックは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記ゴム組成物中の前記カーボンブラックの含有量は、基材ゴム100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、より好ましくは4質量部以上であり、15質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下である。
【0033】
前記イオン導電剤としては、第4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物もしくはエステル類等のカルボン酸誘導体、芳香族系化合物の縮合体、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体等が挙げられる。前記イオン導電剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記イオン導電剤としては、LiOSO2CF3、LiOSO2C3F7、LiOSO2C4F9、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiCH(CF3SO2)2、KOSO2CF3、KOSO2C3F7、KOSO2C4F9、KN(CF3SO2)2、KN(C4F9SO2)2、KC(CF3SO2)3、KCH(CF3SO2)2が特に好ましい。
前記ゴム組成物中の前記イオン導電剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であり、1.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以下である。
【0035】
(加硫剤)
前記加硫剤としては、例えば、硫黄系加硫剤、チオウレア系加硫剤、トリアジン誘導体系加硫剤、過酸化物加硫剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。前記加硫剤としては、硫黄系加硫剤が好ましい。
【0036】
前記硫黄系加硫剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉体硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4'-ジチオジモルホリンなどが挙げられる。前記硫黄系加硫剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記加硫剤の合計含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは2.0質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.0質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。前記含有量が0.5質量部以上であれば圧縮永久歪がより小さく、ゴムローラの機械的強度がより向上し、5.0質量部以下であれば長期の保管や使用において、ブルーミングの発生がより抑制される。
【0038】
前記ゴム組成物は、必要に応じて、加硫促進剤、加硫助剤、受酸剤、充填剤、老化防止剤、加工助剤、滑剤、分散剤等の配合剤が添加されていてもよい。これらの配合剤は、ブルームやブリードを起こしにくいものを適宜選択することが好ましい。
【0039】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。前記加硫促進剤としては、無機促進剤、有機促進剤のいずれも使用できる。前記無機促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等が挙げられる。前記有機促進剤としては、例えば、チウラム系促進剤、チオウレア系促進剤、チアゾール系促進剤、グアニジン系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤等が挙げられる。架橋促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記チウラム系促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられ、テトラメチルチウラムモノスルフィドが好ましい。
【0041】
前記チオウレア系促進剤としては、エチレンチオウレア、トリメチルチオウレア、N,N’-ジエチルチオウレア、トリブチルチオウレア、ジブチルチオウレア、ジラウリルチオウレア、N,N’-ジフェニルチオウレア等が挙げられる。これらの中でも、エチレンチオウレアが好ましい。
【0042】
前記グアニジン系促進剤としては、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-о-トリルグアニジン等が挙げられる。
【0043】
前記チアゾール系促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられ、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
【0044】
前記加硫促進剤の合計含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、5質量部以下が好ましく、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0045】
(加硫助剤)
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実油等の脂肪酸その他、従来公知の加硫助剤の1種または2種以上が挙げられる。前記加硫助剤の合計含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、7質量部以下が好ましい。
【0046】
(受酸剤)
受酸剤は、ゴム成分の加硫時にCR等から発生する塩素系ガスが導電性ローラ内に残留したり、それによって加硫阻害や導電性ローラと接触する部材(例えば、感光体ドラム)の汚染等を生じたりするのを防止する。受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、中でも分散性に優れたハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。前記受酸剤の使用量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、8質量部以下が好ましく、より好ましくは6質量部以下である。
【0047】
(老化防止剤)
前記老化防止剤としては、4,4'-ジクミルジフェニルアミン、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
【0048】
前記ゴム組成物は、形成される弾性層を多孔質構造としてもよい。この場合、弾性層を多孔質構造とする方法として、バルーン発泡法、化学発泡法等が挙げられる。前記バルーン発泡法では、ゴム組成物にマイクロバルーンを含有させ、加熱によりマイクロバルーンを膨張させて、発泡させる。なお、ゴム組成物に膨張済みのマイクロバルーンを配合し、それを成形してもよい。前記化学発泡法では、ゴム組成物に発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、p-オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)など)や発泡助剤を含有させ、化学反応により気体(炭酸ガス、窒素ガスなど)を発生させて発泡させる。
【0049】
前記ゴム組成物は、各原料を配合し、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール等で混練することで調製できる。混練の方法および条件は生産スケールによって適宜選択される。
【0050】
(基層の形成方法)
基層を形成するには、まず、調製したゴム組成物を、押出機を用いて筒状に押出成形し、次いで、所定の長さにカットして加硫缶内で加圧、加熱してゴムを架橋させる。次いで、架橋(および発泡)させた筒状体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却し基層を形成する。ここで、所定の外径となるように、外周面を研磨してもよい。研磨方法としては、乾式トラバース研磨等の種々の研磨方法が採用可能である。
【0051】
導電性軸芯体は、筒状体のカット後から研磨後までの任意の時点で、基層の通孔に挿通して固定できる。ただし、カット後、まず通孔に導電性軸芯体を挿通した状態で二次架橋、および研磨をするのが好ましい。これにより、二次架橋時の膨張収縮による基層の反りや変形を抑制できる。また、導電性軸芯体を中心として回転させながら研磨することで、当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面のフレを抑制できる。
【0052】
導電性軸芯体は、筒状体の通孔の内径よりも外径の大きいものを通孔に圧入するか、あるいは導電性を有する熱硬化性接着剤を介して、二次架橋前の筒状体の通孔に挿通すればよい。前者の場合は、導電性軸芯体の圧入と同時に基層との電気的な接合と機械的な固定が完了する。また後者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、導電性軸芯体が基層に電気的に接合されるとともに、機械的に固定される。また、前述したようにこの両方を併用して、導電性軸芯体を基層に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
【0053】
前記基層は、単層構造であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。基層が多層構造である場合、各層は同一のゴム組成物から形成されていてもよいし、異なる組成を有するゴム組成物から形成されていてもよい。
【0054】
前記基層の厚さは、1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上であり、10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下である。
【0055】
基層は、表面が、電子線、紫外線、コロナ放電等の乾式処理によって表面改質されていてもよい。前記基層は、表面が紫外線照射処理されていることが好ましい。また、基層は、外周面に、酸化膜が形成されていることが好ましい。酸化膜とは、基材ゴムが酸化されることで形成される膜である。前記酸化膜は、前記基層の表面に、酸素存在下で紫外線照射処理することで形成できる。
【0056】
前記酸化膜を形成する場合、前記酸化膜の厚さは、適宜調節すればよい。
【0057】
前記基層の表面に紫外線照射処理を施して酸化膜を形成する場合、低圧水銀ランプを用いることが好ましい。低圧水銀ランプは、主に波長が185nm、254nmの紫外線を放射するため、基層の表面改質を効率よく行うことができる。また、低圧水銀ランプを使用する場合、紫外線照射量は100mJ/cm2~5000mJ/cm2とすることが好ましい。
【0058】
(最外層)
前記弾性層は、前記基層の表面上に形成された最外層を有する。前記最外層は、弾性層の表面に形成される。
【0059】
前記最外層は、融点が120℃以上である樹脂から形成された不完全膜である。不完全膜とは、厚さ方向に貫通する貫通孔を複数有する膜である。つまり、弾性層の表面は、基層が最外層で覆われている部分と、基層が露出している部分が存在している。このような最外層を有することで、現像ローラの近傍に配置されたブレードへのトナー固着を抑制することができ、画像不良の発生を防止できる。不完全膜が有する貫通孔は、平面視形状は特に限定されないが、いずれも最大径が50μm以下である。貫通孔の最大径は、最外層を顕微鏡で観察することで測定すればよい。なお、最外層が貫通孔を有さない場合、最外層の表面が均一になりすぎ、印刷性能が悪化する。
【0060】
最外層を形成する樹脂の融点が120℃以上であれば、ブレードへのトナー固着を抑制できる理由は必ずしも明らかでないが、画像形成装置の使用中に現像ローラの温度が上昇した場合でも、樹脂から形成された不完全膜の軟化を抑制でき、ブレードへのトナー固着を抑制することができると考えられる。
【0061】
前記最外層を形成する樹脂の融点は、120℃以上が好ましく、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。前記樹脂の融点が120℃以上であれば黒べた画像を形成する際に白筋が発生することが抑制される。前記樹脂の融点の上限は特に限定されないが、150℃以下が好ましく、より好ましくは140℃以下である。
【0062】
前記樹脂は熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。前記樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66、共重合ナイロン)、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、エチレン-アクリル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリオレフィン樹脂が好ましく、高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。高密度ポリエチレン樹脂は、23℃における密度が0.94g/cm3以上である。なお、密度は、JIS K6922-1(2018)に従い測定する。
【0063】
前記不完全膜は、不完全膜の面積における貫通孔以外の部分の割合が、25%以上が好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上であり、45%以下が好ましく、より好ましくは40%以下である。不完全膜の面積における貫通孔以外の部分の割合が、25%以上であれば最外層による効果がより大きくなって、画像不良の発生をより抑制でき、45%以下であれば最外層によるローラの表面抵抗値への影響がより抑制され、現像ローラの性能がより向上する。
【0064】
前記最外層の厚さは、2μm以上が好ましく、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、20μm以下が好ましく、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。最外層の厚さが2μm以上であれば最外層による効果がより大きくなって、画像不良の発生をより抑制でき、20μm以下であれば最外層によるローラの表面抵抗値への影響がより抑制され、現像ローラの性能がより向上する。
【0065】
前記最外層の目付量は、5mg/cm2以上が好ましく、より好ましくは10mg/cm2以上、さらに好ましくは15mg/cm2以上であり、50mg/cm2以下が好ましく、より好ましくは40mg/cm2以下、さらに好ましくは35mg/cm2以下である。目付量が5mg/cm2以上であれば最外層による効果がより大きくなって、画像不良の発生をより抑制でき、50mg/cm2以下であれば最外層によるローラの表面抵抗値への影響がより抑制され、現像ローラの性能がより向上する。
【0066】
(最外層の形成方法)
最外層の形成方法は不完全膜を形成できる方法であれば特に限定されない。最外層の形成方法としては、前記基層の表面全体に樹脂粉体を付与し、所定の温度で樹脂を溶融させる方法が挙げられる。なお、不完全膜は、基層の表面への樹脂粉体の付与量や、樹脂を溶融させる温度および時間を制御することで、不完全膜中の貫通孔以外の部分の割合を制御できる。
【0067】
前記基層の表面に樹脂粉体を付与する方法としては、例えば、基層表面に樹脂粉体を塗布する方法、樹脂粉体を容器に入れ、この容器に基層表面を押し付ける方法等が挙げられる。また、基層表面に樹脂粉体を付与する際は、布や刷毛を使って余分な樹脂粉体を除くことが好ましい。
【0068】
前記樹脂粉体のコールター法による体積中位径(小径側を0とした体積累積分布における累積50%に対応する粒子径)は、30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。体積中位径が30μm以下であれば基層表面に樹脂粉体を均一に付与しやすくなる。前記体積中位径の下限は特に限定されないが、1μm以上が好ましい。体積中位径が1μm以上であれば、樹脂粉体を付与する際の作業性が向上する。
【0069】
前記基層の表面に付与する樹脂粉体の付与量は、基層1cm2当たりに、5mg以上が好ましく、より好ましくは10mg以上、さらに好ましくは15mg以上であり、50mg以下が好ましく、より好ましくは40mg以下、さらに好ましくは35mg以下である。付与量が、基層1cm2当たりに、5mg以上であれば最外層による効果がより大きくなって、画像不良の発生をより抑制でき、50mg以下であれば最外層によるローラの表面抵抗値への影響がより抑制され、現像ローラの性能がより向上する。
【0070】
前記樹脂粉体を溶融させる際の熱処理温度(雰囲気温度)は、熱処理温度をT1、樹脂の融点をT2としたとき、差(T1-T2)が、0℃以上が好ましく、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。前記差(T1-T2)が0℃以上であれば、最外層が形成できる。前記差(T1-T2)の上限は特に限定されないが、50℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以下である。前記差(T1-T2)が50℃以下であれば熱処理による弾性層への悪影響を抑制できる。
【0071】
前記樹脂粉体を溶融させる際の熱処理時間は、特に限定されず、樹脂の融点、熱処理温度に応じて適宜調節すればよい。
【0072】
(実施態様)
図1、2を参照し、本発明の現像ローラの実施態様の一例を説明する。
図1は、本発明の現像ローラの一例の全体の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の現像ローラの側面図である。
【0073】
本発明の現像ローラ1は、導電性軸芯体2と、前記導電性軸芯体2の外周面上に設けられた弾性層3とを有する。前記弾性層3はゴム組成物から形成されており、円筒状に形成されている。前記弾性層の中心の通孔4には導電性軸芯体2が挿通されて固定されている。
【0074】
前記導電性軸芯体2は、例えば、導電性を有する接着剤を介して、弾性層3と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、または弾性層3の通孔4の内径よりも外径の大きいものを通孔に圧入することで、弾性層3と電気的に接合されるとともに機械的に固定される。あるいは、この両方を併用して、導電性軸芯体2を弾性層3に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
【0075】
前記弾性層3は、ゴム組成物から形成された基層5と、前記基層の表面上に形成された最外層6とを有する。前記基層5は単層構造である。また、前記基層5は、
図1および
図2中に拡大して示したように、基層5の外周面に酸化膜51が形成されている。
【0076】
前記弾性層の表面抵抗値R(Ω)は、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境で測定された値を常用対数値logRで表して6.5以上が好ましく、より好ましくは6.8以上であり、9.0以下が好ましく、より好ましくは8.5以下である。なお、弾性層の表面抵抗値の測定方法は後述する。
【実施例0077】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0078】
[評価方法]
(1)表面硬度(MD-1)
弾性層の表面硬度は、マイクロゴム硬度計(高分子計器製、「MD-1」)を用いて測定した。測定は、温度23℃、相対湿度55%の環境下で行い、押針としてタイプAを使用して、測定試料に針を刺した後3秒後の値を記録した。
【0079】
(2)動摩擦係数
弾性層の動摩擦係数は、摩擦係数測定機(トリニティーラボ製、「TL201Ts」)を用いて測定した。測定は、ボール接触子(ボール直径1cm、ボール材質SUS)を使用し、温度23℃、相対湿度55%の環境下、垂直荷重10g、移動速度10mm/sec、移動距離20mmの条件で行い、移動距離5mm~20mmの範囲について動摩擦係数の平均値を求めた。
【0080】
(3)貫通孔以外の部分の割合
現像ローラの最外層を、マイクロスコープ(キーエンス製、型式「VHX-7100」、有効倍率1000倍)を用いて撮影し、得られた画像について、内蔵ソフトを用いて樹脂部分と貫通孔部分(基層が露出している部分)で二値化し、総面積に対する樹脂部分の面積の割合を算出した。
【0081】
(4)弾性層の表面抵抗値
弾性層の表面抵抗値R(Ω、10V印加時)は、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック製、ハイレスタ(登録商標)UP MCP-HT450)とMCPプローブ(UAタイプ)(三菱ケミカルアナリテック製)とを用いて、表面抵抗モードで測定した。
具体的には、MCPプローブを、480gの荷重をかけて、弾性層の外周面の軸方向中央部に押し当てて10秒経過後の値を、弾性層の表面抵抗値R(Ω、10V印加時)とした。
【0082】
(5)画像評価
現像ローラを、レーザープリンタ(ブラザー製、「HL-L2370DN」)向けカートリッジ(ブラザー製、「TN-29J」)に装着し、ハーフトーンの画像を印刷した。印刷は、温度10±1℃、相対湿度20±1%の低温低湿条件下で、A4サイズの紙(大塚商会より販売されているTANOSEE PPC用紙、SNOW WHITE)に、3000枚印刷を行い、画像不良の有無を目視で確認し、下記の基準で評価した。
(黒べた濃度)
〇:問題なし。 △:画像濃度が若干薄い。 ×:問題がある。
(縦筋)
〇:縦筋なし。 ×:縦筋あり。
【0083】
[現像ローラの製造方法]
現像ローラNo.1
(基層)
表1に示した配合材料を、バンバリーミキサーで混練り後、押出機にてチューブ(外径φ14mm、内径φ6.5mm)に押し出し加工を施した。このチューブを加硫用のシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布した芯金(φ8.0mm)に装着して160℃のオーブン内で接着した。
その後、芯金に接着したチューブの端部を成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、次いで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、基層(φ13.00mm)を形成した。鏡面研磨はラッピングフィルム#600(三共理化学製、ミラーフィルム)で研磨した。研磨後の基層の外周面をアルコール拭きした後、紫外線処理装置にセットし、基層に紫外線照射による表面処理を行った。
【0084】
【表1】
エピオン(登録商標)301L:大阪ソーダ製、エピクロルヒドリンゴム
ショウプレン(登録商標)WRT:昭和電工製、クロロプレンゴム(非油展)
エスプレン(登録商標)505A:住友化学工業製、エチレンプロピレンジエンゴム
ニッポール(登録商標)IR2200:日本ゼオン製、イソプレンゴム
ニッポール DN401LL:日本ゼオン製、アクリロニトリルブタジエンゴム(アクリロニトリル量18.0%、非油展)
酸化亜鉛:三井金属鉱山社製、酸化亜鉛二種
DHT-4A-2:協和化学工業社製、ハイドロタルサイト類化合物
SZ-2000:堺化学工業製、ステアリン酸亜鉛
ノンフレックスDCD:精工化学製、4,4'-ジクミルジフェニルアミン
シーストSO:東海カーボン製、カーボンブラック(FEF)
粉砕品SOLVAY KTFSI:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
サンセラー(登録商標)TS-G:三新化学工業社製、テトラメチルチウラムモノスルフィド
アクセル22S:川口化学工業製、エチレンチオウレア
サンセラーDT:1,3-ジ-o-トリルグアニジン
MBTS:Shandong Shanxian Chemical製 、SUNSINE MBTS(ジ-2-ベンゾチアジルジスルフィド)
硫黄:鶴見化学工業社製、5%オイル入り硫黄
バルノック(登録商標)R:4,4'-ジチオジモルホリン
【0085】
(最外層)
紫外線処理した基層の表面全体に、高密度ポリエチレン樹脂粉体(住友精化製、「HE-3040」、融点130℃、密度0.96g/cm3(JIS K6922-1(2018))、中位粒子径(コールター法)11μm)を付与し、布を使って任意回数粉体を落として、任意の温度で溶融させ最外層(不完全膜の樹脂層)を形成した。
【0086】
現像ローラNo.2~5
基層の表面に付与する樹脂粉体を表2に示した樹脂に変更したこと以外は、現像ローラNo.1の製造方法と同様にして現像ローラNo.2~5を製造した。
【0087】
現像ローラNo.6
基層の表面に最外層を形成しなかったこと以外は、現像ローラNo.1の製造方法と同様にして現像ローラNo.6を製造した。
【0088】
【表2】
共重合ナイロン樹脂粉体:住友精化製、NP-G(融点130℃、中位粒子径(コールター法)10μm)
ポリウレタン樹脂粉体:東ソー製、パールセン(登録商標)U-204A(融点130℃、中位粒子径(コールター法)10μm)
低密度ポリエチレン樹脂粉体:住友精化製、CL-2080(融点105℃、中位粒子径(コールター法)11μm、密度0.92g/cm
3(JIS K6922-1(2018)))
エチレン・アクリル酸共重合体粉体:住友精化製、EA-209(融点101℃、中位粒子径(コールター法)10μm、密度0.94g/cm
3(JIS K6922-1(2018)))
【0089】
各現像ローラの評価結果を表2に示した。また、現像ローラNo.1の弾性層の表面の写真を
図3に示した。
現像ローラNo.1~3は、ゴム組成物から形成された基層と、前記基層の表面上に形成された最外層とを有し、前記最外層が、融点が120℃以上である樹脂から形成された不完全膜であり、前記弾性層の表面硬度がMD-1硬度で、37.5以上である。これらの現像ローラNo.1~3は、印刷試験において、画像不良を生じなかった。
【0090】
現像ローラNo.4および5は、ゴム組成物から形成された基層と、前記基層の表面上に形成された最外層とを有し、前記最外層が、融点が120℃未満である樹脂から形成されており、前記弾性層の表面硬度が、MD-1硬度で、37.5未満である。これらの現像ローラNo.4、5は、印刷試験において、画像不良を生じた。
現像ローラNo.6は、弾性層がゴム組成物から形成された基層のみから構成されている。この現像ローラNo.6は、印刷試験において、画像不良を生じた。
【0091】
本発明(1)は、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた弾性層とを有し、前記弾性層が、ゴム組成物から形成された基層と、前記基層の表面上に形成された最外層とを有し、前記最外層が、融点が120℃以上である樹脂から形成された不完全膜であり、前記弾性層の表面硬度が、MD-1硬度で、37.5以上であることを特徴とする現像ローラである。
【0092】
本発明(2)は、前記弾性層の動摩擦係数が、1.8~3.6である本発明(1)に記載の現像ローラである。