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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118792
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20240826BHJP
   B65D 6/26 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B65D6/18 D
B65D6/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025291
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】505300173
【氏名又は名称】株式会社アステム
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】籔田 貴志
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA01
3E061AB09
3E061CA02
3E061CA06
3E061DB11
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】ロック部材設置部及び情報表示部を好適に設けることのできる容器を提供する。
【解決手段】上辺部が上枠5に対して回動変位可能に連結される短辺側側壁部4は、短辺側側壁部4の内面を構成するベース板部21と、ベース板部21から容器1の外方側に膨出する第1膨出部23及び第2膨出部24とを備える。短辺側側壁部4の外面側には、第1膨出部23及び第2膨出部24が設けられることにより第1膨出部23と第2膨出部24との間に溝部30が形成され、第1膨出部23及び第2膨出部24の外面の少なくとも一部を互いに同一平面上に延在させることで、第1膨出部23と第2膨出部24とにかけてラベル31を取着可能とする情報表示部32が設けられる。短辺側側壁部4は、起立姿勢を保持可能とするロック部材34を備え、短辺側側壁部4の内面側には、第1膨出部23の内側においてロック部材34が設置されるロック部材設置部35が設けられる。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の相対する一対の第1辺部からそれぞれ上方に延在する第1側壁部と、前記底壁構成部の相対する一対の第2辺部からそれぞれ上方に延在する第2側壁部と、前記第1側壁部、及び、前記第2側壁部の上辺部に沿って設けられた略四角枠状の上枠とを備える容器において、
前記第1側壁部は、下辺部が前記底壁構成部に対して回動変位可能に連結される下壁部と、上辺部が前記上枠に対して回動変位可能に連結され、下辺部が前記下壁部に対して回動変位可能に連結される上壁部とを備え、前記上壁部、及び、前記下壁部が上下方向に延在する起立姿勢と、折畳まれた折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成され、
前記第2側壁部は、上辺部が前記上枠に対して回動変位可能に連結され、上下方向に延在する起立姿勢と、前記上枠の内周側に向けて略水平方向に延在する折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成され、
前記容器は、全ての前記第1側壁部、及び、前記第2側壁部が前記起立姿勢とされた組立状態と、全ての前記第1側壁部、及び、前記第2側壁部が前記折畳姿勢とされた折畳状態とに状態変化可能に構成され、
前記第2側壁部は、前記第2側壁部の内面を構成するベース板部と、前記ベース板部から前記容器の外方側に膨出する第1膨出部と、前記ベース板部のうち前記第1膨出部に対して所定距離離間した位置から前記容器の外方側に膨出する第2膨出部とを備え、
前記第2側壁部の外面側には、前記第1膨出部及び前記第2膨出部が設けられることにより前記第1膨出部と前記第2膨出部との間に溝部が形成されるとともに、前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面の少なくとも一部を互いに同一平面上に延在させることで、前記第1膨出部と前記第2膨出部とにかけて情報表示手段を取着可能とする情報表示部が設けられ、
前記第1膨出部は、前記溝部の一部を画定する兼用壁部を備え、
前記第2側壁部は、前記第2側壁部の前記起立姿勢を保持可能とするロック部材を備え、
前記第2側壁部の内面側には、前記第1膨出部の内側において、前記底壁構成部、又は、前記第1側壁部に係止状態とされる係止位置と、前記係止状態が解除される解除位置との間の変位が許容されるように前記ロック部材が設置されるロック部材設置部が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記第2側壁部は、前記溝部において前記第1膨出部と前記第2膨出部との間を連結する連結部を備え、
前記連結部のうち前記容器の外方側の部位は、前記情報表示部を構成する前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面と同一平面上に延在することを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記溝部は、前記情報表示部の外周縁部の特定部位を交差するようにして延在し、
前記情報表示部のうち前記特定部位を含む特定辺部とは反対側の辺部に関しては、前記溝部と交差する部位が存在しない構成であって、
前記連結部は、前記第1膨出部、及び、前記第2膨出部のうち、前記特定辺部の延在方向において互いに対向する部位の少なくとも一部の間を連結するようにして設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記底壁構成部に対して前記係止状態とされるように構成され、
前記第2膨出部は、前記第1膨出部の上方と、両側方とに連続して設けられ、
前記溝部は、前記第1膨出部の上方と、両側方とに連続して設けられ、
前記連結部は、前記第1膨出部の上方と、両側方とにそれぞれ設けられることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項5】
前記第2側壁部は、前記ベース板部のうち前記第2膨出部を挟んで前記第1膨出部とは反対側の位置から前記容器の外方側に突出する突部を備え、
前記突部の外面は、前記情報表示部を構成する前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面と同一平面上に延在する、又は、前記情報表示部を構成する前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面よりも前記容器の外方側に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記第2膨出部には、前記突部と対向する所定部位において指掛け凹部が設けられ、
前記指掛け凹部は、前記情報表示部の一部を切欠くようにして前記容器の外方側に開口し、
前記突部のうち前記突部を正面視した場合に前記指掛け凹部と対向する部位は、前記突部のうち最も前記容器の外方側に位置する部位よりも前記容器の内方側に位置することを特徴とする請求項5に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の運搬等に使用される容器として、平面視略矩形状の底壁構成部と、底壁構成部の相対する一対の第1辺部からそれぞれ上方に延在する第1側壁部と、底壁構成部の相対する一対の第2辺部からそれぞれ上方に延在する第2側壁部と、第1側壁部及び第2側壁部の上辺部に沿って設けられた略四角枠状の上枠とを備える容器が知られている。第1側壁部は、下辺部が底壁構成部に対して回動変位可能に連結される下壁部と、上辺部が上枠に対して回動変位可能に連結され、下辺部が前記下壁部に対して回動変位可能に連結される上壁部とを備え、上壁部及び下壁部が上下方向に延在する起立姿勢と、折畳まれた折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成されている。第2側壁部は、上辺部が上枠に対して回動変位可能に連結され、上下方向に延在する起立姿勢と、上枠の内周側に向けて略水平方向に延在する折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成されている。容器としては、全ての側壁部が起立姿勢とされた組立状態と、全ての側壁部が折畳姿勢とされた折畳状態とに状態変化可能に構成されている。また、第2側壁部の内面側の下部において、第2側壁部の起立姿勢を保持可能とするロック部材を設けるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-29632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のロック部材が設置されたロック部材設置部の周辺部はリブによって構成されている。このため、容器に収容された物品がロック部材設置部の周辺部に当接(圧接)した場合に、物品の損傷等を招くことが懸念される。さらに、ロック部材を操作する際に手がロック部材設置部の周辺部に接触してしまった場合に、その手に対して負担がかかることが懸念される。
【0005】
また、上記特許文献1のロック部材設置部は、第2側壁部を部分的に外方側に膨出させることで設けられている。このため、例えば、第2側壁部の外面側に対し、ラベル等を取着可能とする情報表示部を設ける場合には、ロック部材設置部の形成範囲を避ける必要が生じる。
【0006】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、ロック部材設置部、及び、情報表示部を好適に設けることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の相対する一対の第1辺部からそれぞれ上方に延在する第1側壁部と、前記底壁構成部の相対する一対の第2辺部からそれぞれ上方に延在する第2側壁部と、前記第1側壁部、及び、前記第2側壁部の上辺部に沿って設けられた略四角枠状の上枠とを備える容器において、
前記第1側壁部は、下辺部が前記底壁構成部に対して回動変位可能に連結される下壁部と、上辺部が前記上枠に対して回動変位可能に連結され、下辺部が前記下壁部に対して回動変位可能に連結される上壁部とを備え、前記上壁部、及び、前記下壁部が上下方向に延在する起立姿勢と、折畳まれた折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成され、
前記第2側壁部は、上辺部が前記上枠に対して回動変位可能に連結され、上下方向に延在する起立姿勢と、前記上枠の内周側に向けて略水平方向に延在する折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成され、
前記容器は、全ての前記第1側壁部、及び、前記第2側壁部が前記起立姿勢とされた組立状態と、全ての前記第1側壁部、及び、前記第2側壁部が前記折畳姿勢とされた折畳状態とに状態変化可能に構成され、
前記第2側壁部は、前記第2側壁部の内面を構成するベース板部と、前記ベース板部から前記容器の外方側に膨出する第1膨出部と、前記ベース板部のうち前記第1膨出部に対して所定距離離間した位置から前記容器の外方側に膨出する第2膨出部とを備え、
前記第2側壁部の外面側には、前記第1膨出部及び前記第2膨出部が設けられることにより前記第1膨出部と前記第2膨出部との間に溝部が形成されるとともに、前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面の少なくとも一部を互いに同一平面上に延在させることで、前記第1膨出部と前記第2膨出部とにかけて情報表示手段を取着可能とする情報表示部が設けられ、
前記第1膨出部は、前記溝部の一部を画定する兼用壁部を備え、
前記第2側壁部は、前記第2側壁部の前記起立姿勢を保持可能とするロック部材を備え、
前記第2側壁部の内面側には、前記第1膨出部の内側において、前記底壁構成部、又は、前記第1側壁部に係止状態とされる係止位置と、前記係止状態が解除される解除位置との間の変位が許容されるように前記ロック部材が設置されるロック部材設置部が設けられていることを特徴とする容器。
【0009】
手段1によれば、第2側壁部において容器の外方側に膨出する第1膨出部が設けられ、当該第1膨出部の内側にロック部材設置部が設けられている。さらに、第1膨出部に対して所定距離離間した位置から容器の外方側に膨出する第2膨出部が設けられ、第1膨出部の外面と第2膨出部の外面とにかけて情報表示手段を取着可能とする情報表示部が設けられている。このため、第2側壁部の外面側においてロック部材設置部の形成範囲にも情報表示部を設けることができる。従って、情報表示部、及び、ロック部材設置部の双方に関し、互いの配置等に配慮することなく好適な配置等を選択することができ、特に、情報表示部としては、好適な位置で十分な広さを確保することができる。さらに、ロック部材設置部としては、例えば、ロック部材設置部及びロック部材の大きさを十分に確保することで操作性の向上を図ったり、ロック部材設置部を第2側壁部の横幅方向中央部に設けることで1つのロック部材だけでも第2側壁部の起立姿勢、ひいては、容器の組立状態の安定化を図ったりすることができる。
【0010】
また、第2側壁部の内面側から見れば、第1膨出部の内側に設けられたロック部材設置部の外周側は、溝部の裏面側によって構成されており、第1膨出部の兼用壁部と、ベース板部とによって断面L字状(第2膨出部の壁部を含めて断面コ字状)となっている。このため、容器に収容された物品がロック部材設置部の周辺部に当接(圧接)した場合に面で当接する(第1膨出部と第2膨出部との間のベース板部に当接する)ことから、物品がリブ状体に圧接した場合に比べて、物品が損傷等するといった事態を抑制することができる。さらに、ロック部材を操作する際に手がロック部材設置部の周辺部に接触してしまったとしても、その手に対して負担がかかることを回避することができる。
【0011】
尚、「同一平面上」とは、対象物が厳密に同一平面上に位置する構成のみを特定するものではなく、「略同一平面上」等とも言える構成を含む趣旨であって、「同一平面上(略同一平面上)」とすることにより奏される機能や効果を達成可能な範囲で近似する構成を含むものである(手段2においても同様)。
【0012】
手段2.前記第2側壁部は、前記溝部において前記第1膨出部と前記第2膨出部との間を連結する連結部を備え、
前記連結部のうち前記容器の外方側の部位は、前記情報表示部を構成する前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面と同一平面上に延在することを特徴とする手段1に記載の容器。
【0013】
手段2によれば、溝部に対応する範囲にも情報表示部の情報表示手段との取着部位を確保することができ、情報表示手段の取着状態の安定化等を図ることができる。
【0014】
また、例えば、情報表示手段が可撓性を有するとともに、情報表示部に接着されるラベル等により構成される場合、情報表示手段を除去する際に、情報表示手段のうち情報表示部に接着されている部位を剥がす力を加えたまま、情報表示手段のうち溝部に対応する部位であって情報表示部に接着されていない部位(非接着部位)を引っ張ってしまうと、当該非接着部位に対して余剰の力が作用することとなり、さらに、情報表示手段のうち溝部を跨いだ先の部位は、未だ情報表示部に接着されていることから、前記非接着部位(特に、接着部位との境界部)が破れてしまうことが懸念される。この点、本手段のように連結部を設けることにより、溝部において情報表示部の情報表示手段との接着部位を確保することができ、上記のように情報表示手段を剥がす際に、情報表示手段のうち溝部に対応する部位に対して余剰の力が作用するといった事態を抑制することができる。従って、情報表示手段を比較的安定して剥がすことができ、結果として、情報表示手段が途中で破れる、又は、破れそうになる場合に比べて、情報表示手段を除去し易くすることができる。
【0015】
手段3.前記溝部は、前記情報表示部の外周縁部の特定部位を交差するようにして延在し、
前記情報表示部のうち前記特定部位を含む特定辺部とは反対側の辺部に関しては、前記溝部と交差する部位が存在しない構成であって、
前記連結部は、前記第1膨出部、及び、前記第2膨出部のうち、前記特定辺部の延在方向において互いに対向する部位の少なくとも一部の間を連結するようにして設けられていることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0016】
手段3によれば、情報表示手段が可撓性を有するとともに、情報表示部に接着されるラベル等により構成される場合であって、情報表示手段を除去するべく、情報表示部の特定辺部の延在方向において徐々に情報表示手段を剥がす場合に、情報表示手段のうち、情報表示部の特定辺部側に関しては、情報表示手段を剥がす作業が溝部にまで至ることで、情報表示手段のうち溝部に対応する部位(非接着部位)に対して余剰の力が作用する上、情報表示手段を剥がす作業が、溝部を跨いだ先の未だ情報表示部に接着されている部位にまで一気に進行する。その一方で、情報表示手段のうち、情報表示部の特定辺部とは反対側の辺部側に関しては、溝部によって情報表示手段の情報表示部への接着が断絶されている部位が存在しない(連続して接着されている)。このため、上記のように、情報表示手段を剥がす作業が溝部にまで至った場合に、情報表示手段のうち情報表示部の特定辺部側が、その反対辺部側に比べて、強く、かつ、早く引っ張られるような格好となり、情報表示手段のうち情報表示部の特定辺部側に対してねじ切られるような力が作用し、場合によっては破れてしまうことが懸念される。
【0017】
この点、情報表示部の特定辺部の延在方向において対向する第1膨出部と第2膨出部との間を連結するようにして連結部を設けることで、情報表示部の特定辺部の延在方向において徐々に情報表示手段を剥がす場合に、情報表示手段を剥がす作業が溝部にまで至ったとしても、情報表示手段のうち情報表示部の特定辺部側が、その反対辺部側に比べて、急速に剥がれるといった事態を抑制することができる。従って、情報表示手段を比較的安定して剥がすことができ、結果として、情報表示手段を除去し易くすることができる。
【0018】
手段4.前記ロック部材は、前記底壁構成部に対して前記係止状態とされるように構成され、
前記第2膨出部は、前記第1膨出部の上方と、両側方とに連続して設けられ、
前記溝部は、前記第1膨出部の上方と、両側方とに連続して設けられ、
前記連結部は、前記第1膨出部の上方と、両側方とにそれぞれ設けられることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0019】
手段4によれば、連結部により溝部等がより効果的に補強されるとともに、情報表示手段の取着状態をより安定化させることができる。
【0020】
尚、連結部が、第1膨出部の上方と、両側方とに設けられることにより、例えば、可撓性を有する情報表示手段を除去する際に、当該情報表示手段を上縁部又は下縁部から上下方向に剥がしても、或いは、左縁部又は右縁部から左右方向に剥がしても、情報表示手段を剥がす作業が溝部にまで至ることで、当該溝部には連結部が介在することになる。従って、情報表示手段を除去する際に、情報表示手段のうち溝部に対応する部位が破れる等するといった事態を抑止するといった作用効果がより確実に奏される。
【0021】
手段5.前記第2側壁部は、前記ベース板部のうち前記第2膨出部を挟んで前記第1膨出部とは反対側の位置から前記容器の外方側に突出する突部を備え、
前記突部の外面は、前記情報表示部を構成する前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面と同一平面上に延在する、又は、前記情報表示部を構成する前記第1膨出部及び前記第2膨出部の外面よりも前記容器の外方側に位置することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の容器。
【0022】
手段5によれば、組立状態におけるコンベアラインでの搬送時や、壁面への接触時において、情報表示部に取着された情報表示手段の保護を図ることができる。
【0023】
手段6.前記第2膨出部には、前記突部と対向する所定部位において指掛け凹部が設けられ、
前記指掛け凹部は、前記情報表示部の一部を切欠くようにして前記容器の外方側に開口し、
前記突部のうち前記突部を正面視した場合に前記指掛け凹部と対向する部位は、前記突部のうち最も前記容器の外方側に位置する部位よりも前記容器の内方側に位置することを特徴とする手段5に記載の容器。
【0024】
手段6によれば、指掛け凹部を介して情報表示手段の裏側に指をかけて情報表示手段を除去し易くすることができる。さらに、突部のうち、指掛け凹部に対向する部位のベース板部からの突出長が比較的短く構成されているため、指掛け凹部に指を挿入する際や、情報表示手段を除去する作業を行う際に、作業者の手が突部と干渉することを抑制することができる。
【0025】
尚、「少なくとも前記溝部のうち前記指掛け凹部に最も近い位置、又は、その近傍部位において前記連結部が設けられていること」こととしてもよい。この場合、例えば、情報表示手段が可撓性を有するとともに、情報表示部に接着されるラベル等により構成される場合であって、指掛け凹部を介して情報表示手段の裏側に指をかけて情報表示手段を徐々に剥がす際に、情報表示手段を剥がす作業が溝部にまで至った場合に、当該溝部においては連結部が介在していることになる。従って、連結部を設けることにより情報表示手段を比較的安定して剥がすといった作用効果がより確実に奏される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】蓋体を閉位置とした組立状態にある容器の斜視図である。
図2】蓋体を開位置とした容器の斜視図である。
図3】折畳状態にある容器の斜視図である。
図4】容器を組立状態及び折畳状態の一方から他方に状態変化させる過程を示す斜視図である。
図5】短辺側側壁部側の容器の側面図である。
図6】短辺側側壁部の外面側等を示す容器の部分拡大斜視図である。
図7】短辺側側壁部の内面側等を示す容器の部分拡大斜視図である。
図8】容器の一部断面を含む斜視図である。
図9】短辺側側壁部等を示す図5のA-A線部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図2等に示すように、容器1は、平面視略矩形状の底壁構成部2と、底壁構成部2の相対する一対の長側辺部(第1辺部)からそれぞれ上方に延在する第1側壁部としての長辺側側壁部3と、底壁構成部2の相対する一対の短側辺部(第2辺部)からそれぞれ上方に延在する第2側壁部としての短辺側側壁部4と、長辺側側壁部3、及び、短辺側側壁部4の上辺部に沿って設けられた略四角枠状の上枠5とを備えている。また、容器1は、上枠5の各長辺部に対してそれぞれ回動変位可能に連結される一対の蓋体6を備えている。各蓋体6は、上枠5の各短辺部の上面側に支持されて略水平方向に延在し、容器1の開口部を閉鎖する閉位置と、閉位置から270度程度回動変位して、長辺側側壁部3の外面に沿って上下に延在する開位置との間を回動変位可能に構成されている。本実施形態の容器1は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0028】
図1図4等に示すように、長辺側側壁部3は、下辺部が底壁構成部2の長側辺部に対して回動変位可能に連結される下壁部7と、上辺部が上枠5の長辺部に対して回動変位可能に連結され、下辺部が下壁部7の上辺部に対して回動変位可能に連結される上壁部8とを備えている。さらに、長辺側側壁部3は、上壁部8、及び、下壁部7が上下方向に延在する起立姿勢と、上壁部8と下壁部7との連結部を容器1の内側に押圧することで、上壁部8の外面と下壁部7の外面とを合わせるようにして折畳まれた折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成されている。
【0029】
短辺側側壁部4は、上辺部が上枠5に対して回動変位可能に連結され、上下方向に延在する起立姿勢と、上枠5の内周側に向けて略水平方向に延在する折畳姿勢との間を姿勢変化可能に構成されている。
【0030】
容器1としては、全ての長辺側側壁部3、及び、短辺側側壁部4が起立姿勢とされた組立状態(図1参照)と、全ての長辺側側壁部3、及び、短辺側側壁部4が折畳姿勢とされた折畳状態(図3参照)とに状態変化可能に構成されている。また、短辺側側壁部4の横幅は、起立姿勢にある一対の長辺側側壁部3の間の距離とほぼ同じであり、容器1の組立状態では、短辺側側壁部4が一対の長辺側側壁部3の間に位置するように構成されている。さらに、短辺側側壁部4の上枠5に対する連結部は、長辺側側壁部3(上壁部8)の上枠5に対する連結部よりも上方に位置している。加えて、上枠5の外寸は、底壁構成部2の外寸とほぼ等しくなっている。
【0031】
図4に示すように、組立状態にある容器1を折畳状態とする場合には、先ず、一対の短辺側側壁部4を容器1の内側に押圧して略水平方向に延在するまで回動変位させてから、一対の長辺側側壁部3を容器1の内側に(折畳姿勢とされた短辺側側壁部4の下方に)折畳む。これにより、容器1は、底壁構成部2の上方に折畳姿勢の長辺側側壁部3が重なり、当該長辺側側壁部3の上方に折畳姿勢の短辺側側壁部4が重なる折畳状態とされる。加えて、図3に示すように、容器1の折畳状態では、折畳姿勢とされた長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4が上枠5の内周側に収容されるとともに、底壁構成部2と上枠5とが上下に当接するように構成されている。
【0032】
また、図2図4等に示すように、各長辺側側壁部3の下壁部7、及び、上壁部8の左右両端部には、内面から突出する断面略L字状の係合部9が設けられている。これに対し、短辺側側壁部4の外面側には、容器1を組立状態とした場合に、各係合部9とそれぞれ係合される被係合部10が設けられている。
【0033】
尚、図1図2等に示すように、上枠5の各短辺部の外側面には、折畳状態にある容器1を組立状態とするべく上枠5を持ち上げる際に操作される組立操作部11が設けられている。さらに、容器1の組立状態において、短辺側側壁部4の外面側の上部には、組立状態にある容器1を持ち運ぶ際に操作される手掛け部12が設けられている。
【0034】
図5図7に示すように、短辺側側壁部4は、短辺側側壁部4の内面を構成するベース板部21(図7参照)と、ベース板部21の外周縁に沿ってベース板部21よりも容器1の外方側に突出する枠部22と、ベース板部21の下部中央から容器1の外方側に膨出する第1膨出部23と、ベース板部21のうち第1膨出部23に対して所定距離離間した位置から容器1の外方側に膨出する第2膨出部24とを備えている。第1膨出部23は、短辺側側壁部4の下辺部に沿って延びる枠部22に隣接して配置され、第1膨出部23を正面視した場合に、左右の側辺部がそれぞれ略鉛直方向に延在し、上辺部が上方に凸となる略円弧状をなしている。また、第1膨出部23は、ベース板部21から容器1の外方側に突出する第1突出壁部25と、第1突出壁部25の先端縁の間を閉鎖するようにして連結する第1閉鎖壁部26とを備えている。
【0035】
第2膨出部24は、第1膨出部23の上方と、両側方とに連続して、第1膨出部23を囲うようにして設けられている。また、第2膨出部24は、ベース板部21から容器1の外方側に突出し、第1突出壁部25から所定距離を隔てて第1突出壁部25の第1突出壁部25に沿って(対向して)延在する第2突出内壁部27と、ベース板部21から容器1の外方側に突出し、第2突出内壁部27からそれぞれ左右に所定距離を隔てて略鉛直方向に延在する左右一対の第2突出外壁部28と、第2突出内壁部27の先端縁と第2突出外壁部28の先端縁との間を閉塞するようにして連結する第2閉鎖壁部29とを備えている。
【0036】
図6等に示すように、短辺側側壁部4の外面側には、第1膨出部23及び第2膨出部24が設けられることにより第1膨出部23と第2膨出部24との間に溝部30が形成されている。図9等に示すように、本実施形態では、溝部30は、第1突出壁部25と第2突出内壁部27との間に位置するベース板部21と、第1突出壁部25と、第2突出内壁部27とにより構成され、容器1の外方側に開口する断面略コ字状となっている。すなわち、本実施形態では、第1突出壁部25により、溝部30の一部を画定する兼用壁部(溝部30と第1膨出部23とを兼ねるという趣旨)が構成されている。また、図5等に示すように、本実施形態では、溝部30は、第1膨出部23の上方と、両側方とに連続して設けられ、全体として下方に開口する略U字状をなしている。尚、図9等に示すように、本実施形態では、第1突出壁部25と、ベース板部21との境界部等の角度の異なる壁部の境界部は、基本的に面取り形状(本例では、R形状)とされているが、全体的に面取り形状とされない、或いは、面取り形状とされない部位があるように構成してもよい。また、第1突出壁部25と第2突出内壁部27との間に位置するベース板部21を湾曲形状(例えば、断面円弧状)とすることも可能である。
【0037】
さらに、図5等に示すように、短辺側側壁部4の外面側には、第1膨出部23(第1閉鎖壁部26)、及び、第2膨出部24(第2閉鎖壁部29)の外面の少なくとも一部を互いに同一平面上に延在させることで、第1膨出部23と第2膨出部24とにかけて情報表示手段としてのラベル31(図5の2点鎖線参照)を取着可能とする情報表示部32が設けられている。本実施形態では、一方の第2突出外壁部28の近傍から他方の第2突出外壁部28の近傍にかけて略矩形状の範囲(図5の2点鎖線で囲まれる領域を一回り大きくしたような領域)が情報表示部32となっている。ラベル31は、可撓性を有するとともに、情報表示部32に接着されるように構成されている。尚、情報表示部32の上縁部及び下縁部は略水平方向に延在している。また、「同一平面上」とは、対象物(情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面)が厳密に同一平面上に位置する構成のみを特定するものではなく、「略同一平面上」等とも言える構成を含む趣旨であって、「同一平面上(略同一平面上)」とすることにより奏される機能や効果を達成可能な範囲で近似する構成を含むものである。同一平面上(略同一平面上)に延在する情報表示部32に対してラベル31を取着することにより、ラベル31の文字、及び、バーコード等を正確に読取可能であり、情報表示部32において比較的大きな段差が形成されることに起因してラベル31の破れが生じ易くなるといったことが回避される。
【0038】
加えて、図6等に示すように、短辺側側壁部4は、溝部30において第1膨出部23と第2膨出部24との間を連結する連結部33を備えている。連結部33は、第1膨出部23の上方と、両側方とにそれぞれ設けられている。また、図8等に示すように、連結部33のうち容器1の外方側の辺部は、情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面と同一平面上に延在している。
【0039】
さらに、図5等に示すように、本実施形態では、溝部30(上下方向に延在する左右一対の部位)は、情報表示部32の外周縁部の特定部位(本例では、下縁部の中間位置)を交差するようにして延在し、情報表示部32のうち前記特定部位を含む特定辺部(本例では、下縁部)とは反対側の辺部(本例では、上縁部)に関しては、溝部30と交差する部位が存在しない構成(溝部30の上端部が情報表示部32の上縁部よりも下方に位置して、情報表示部32の上縁部付近は、左右方向において情報表示部32を構成する第2膨出部24の第2閉鎖壁部29が連続して延在する)となっている。加えて、連結部33のうち、第1膨出部23の両側方に設けられる連結部33は、第1膨出部23、及び、第2膨出部24のうち、前記特定辺部(本例では、情報表示部32の下縁部)の延在方向(略水平方向)において互いに対向する部位の一部の間を連結するようにして設けられている。
【0040】
また、図7に示すように、短辺側側壁部4の内面側には、第1膨出部23の内側において、短辺側側壁部4の起立姿勢を保持可能とするロック部材34が設置されるロック部材設置部35が設けられている。図8に示すように、底壁構成部2には、短辺側側壁部4が起立姿勢とされた場合に、ロック部材設置部35の直下方に位置し、上方に開口する凹部として構成された被係止部36が設けられている。図7図8に示すように、ロック部材34は、底壁構成部2に設けられた被係止部36に対して係止状態とされる係止部37(図8参照)と、短辺側側壁部4が起立姿勢とされた状態において係止部37の上方に位置する操作部38とを備えている。ロック部材設置部35は、ロック部材34のうち、容器1の内方側、かつ、操作部38よりも下方の部位に当接して、ロック部材34の容器1の内方側への変位を規制する規制部39と、短辺側側壁部4の下辺部に沿って延びる枠部22を切欠くようにして形成され、ロック部材34の係止部37の挿通を許容する挿通部40(図8参照)とを備えている。そして、ロック部材34は、ロック部材設置部35において、係止部37が挿通部40を介して短辺側側壁部4の下辺部よりも下方に突出し、被係止部36に係止状態とされる係止位置と、係止状態が解除される解除位置との間の変位が許容されるように構成されている。加えて、図6図8に示すように、ロック部材設置部35には、短辺側側壁部4の外方側に開口する窓部41が設けられ、ロック部材34が係止位置にある場合と、解除位置にある場合とで、窓部41を介しての視認態様が変化するようになっている。尚、本実施形態のロック部材34は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0041】
図6図9等に示すように、短辺側側壁部4は、ベース板部21のうち第2膨出部24を挟んで第1膨出部23とは反対側の位置から容器1の外方側に突出する突部42を備えている。本実施形態の突部42は、ベース板部21を容器1の外方側に膨出させる格好で断面略コ字状をなし、短辺側側壁部4の高さ方向に延在している。また、突部42の外面は、情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面よりも容器1の外方側に位置するように構成されている(図9参照)。
【0042】
図6等に示すように、第2膨出部24には、突部42と対向する所定部位において指掛け凹部43が設けられている。本実施形態の指掛け凹部43は、左右一対の第2突出外壁部28をそれぞれ第2膨出部24の内側に略U字状に凹ませるとともに、第2閉鎖壁部29の対応部位、ひいては、情報表示部32の一部を切欠くようにして容器1の外方側に開口させることで構成されている。また、指掛け凹部43は、第1膨出部23の上端部よりも下方の位置に設けられている。
【0043】
さらに、突部42のうち、突部42を正面視した場合に指掛け凹部43と対向する部位は、突部42のうち最も容器1の外方側に位置する部位よりも容器1の内方側に位置している。本実施形態では、断面略コ字状の突部42のうち第2膨出部24側の壁部が、ベース板部21から容器1の外方側に向けてベース板部21の側辺部側(第2膨出部24から離間する側)に傾斜して延在している。
【0044】
加えて、図5等に示すように、短辺側側壁部4の高さ方向において、指掛け凹部43と同じ高さに連結部33が設けられている。つまり、本実施形態では、溝部30のうち上下方向に延在する左右一対の部位においてそれぞれ連結部33が設けられ、指掛け凹部43が左右一対で設けられているが、これらの連結部33及び指掛け凹部43が水平方向に延在する一直線上に並ぶようにして設けられている。これにより、溝部30のうち各指掛け凹部43にそれぞれ最も近い位置において連結部33が設けられるようになっている。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば、短辺側側壁部4において容器1の外方側に膨出する第1膨出部23が設けられ、当該第1膨出部23の内側にロック部材設置部35が設けられている。さらに、第1膨出部23に対して所定距離離間した位置から容器1の外方側に膨出する第2膨出部24が設けられ、第1膨出部23(第1閉鎖壁部26)の外面と第2膨出部24(第2閉鎖壁部29)の外面とにかけてラベル31を取着(接着)可能とする情報表示部32が設けられている。このため、短辺側側壁部4の外面側においてロック部材設置部35の形成範囲にも情報表示部32を設けることができる。従って、情報表示部32、及び、ロック部材設置部35の双方に関し、互いの配置等に配慮することなく好適な配置等を選択することができ、特に、情報表示部32としては、好適な位置で十分な広さを確保することができる。さらに、ロック部材設置部35としては、ロック部材設置部35及びロック部材34の大きさを十分に確保することで操作性の向上を図ったり、ロック部材設置部35を短辺側側壁部4の横幅方向中央部に設けることで1つのロック部材34だけでも短辺側側壁部4の起立姿勢、ひいては、容器1の組立状態の安定化を図ったりすることができる。
【0046】
また、短辺側側壁部4の内面側から見れば、第1膨出部23の内側に設けられたロック部材設置部35の外周側は、溝部30の裏面側によって構成されており、第1膨出部23の第1突出壁部25(兼用壁部)と、ベース板部21とによって断面L字状(第2膨出部24の第2突出内壁部27を含めて断面コ字状)となっている。このため、容器1に収容された物品がロック部材設置部35の周辺部に当接(圧接)した場合に面で当接する(第1膨出部23と第2膨出部24との間のベース板部21に当接する)ことから、物品がリブ状体に圧接した場合に比べて、物品が損傷等するといった事態を抑制することができる。さらに、ロック部材34を操作する際に手がロック部材設置部35の周辺部に接触してしまったとしても、その手に対して負担がかかることを回避することができる。
【0047】
また、短辺側側壁部4は、溝部30において第1膨出部23と第2膨出部24との間を連結する連結部33を備え、連結部33のうち容器1の外方側の辺部は、情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面と同一平面上に延在するように構成されている。このため、溝部30に対応する範囲にも情報表示部32のラベル31との接着部位を確保することができ、ラベル31の接着状態の安定化等を図ることができる。
【0048】
加えて、ラベル31を除去する際に、ラベル31のうち情報表示部32に接着されている部位を剥がす力を加えたまま、ラベル31のうち溝部30に対応する部位であって情報表示部32に接着されていない部位(非接着部位)を引っ張ってしまうと、当該非接着部位に対して余剰の力が作用することとなり、さらに、ラベル31のうち溝部30を跨いだ先の部位は、未だ情報表示部32に接着されていることから、前記非接着部位(特に、接着部位との境界部)が破れてしまうことが懸念される。この点、本実施形態のように連結部33を設けることにより、溝部30において情報表示部32のラベル31との接着部位を確保することができ、上記のようにラベル31を剥がす際に、ラベル31のうち溝部30に対応する部位に対して余剰の力が作用するといった事態を抑制することができる。従って、ラベル31を比較的安定して剥がすことができ、結果として、ラベル31が途中で破れる、又は、破れそうになる場合に比べて、ラベル31を除去し易くすることができる。
【0049】
また、溝部30は、情報表示部32の下縁部の中間位置を交差するようにして延在し、情報表示部32のうち上縁部に関しては、溝部30と交差しない構成となっている。さらに、連結部33は、第1膨出部23、及び、第2膨出部24のうち、情報表示部32の下縁部の延在方向(略水平方向)において互いに対向する部位の一部の間を連結するようにして設けられている(溝部30のうち上下方向に延在する左右一対の部位においてそれぞれ連結部33が設けられている)。
【0050】
つまり、ラベル31を除去するべく、情報表示部32の下縁部の延在方向(略水平方向)において徐々にラベル31を剥がす場合に、ラベル31のうち、情報表示部32の下縁部側に関しては、ラベル31を剥がす作業が溝部30にまで至ることで、ラベル31のうち溝部30に対応する部位(非接着部位)に対して余剰の力が作用する上、ラベル31を剥がす作業が、溝部30を跨いだ先の未だ情報表示部32に接着されている部位にまで一気に進行する。その一方で、ラベル31のうち、情報表示部32の上縁部側に関しては、溝部30によってラベル31の情報表示部32への接着が断絶されている部位が存在しない(連続して接着されている)。このため、上記のように、ラベル31を剥がす作業が溝部30にまで至った場合に、ラベル31のうち情報表示部32の下縁部側が、その反対辺部側である情報表示部32の上縁部側に比べて、強く、かつ、早く引っ張られるような格好となり、ラベル31のうち情報表示部32の下縁部側に対してねじ切られるような力が作用し、場合によっては破れてしまうことが懸念される。
【0051】
この点、情報表示部32の下縁部の延在方向(略水平方向)において対向する第1膨出部23と第2膨出部24との間を連結するようにして連結部33を設けることで(溝部30のうち上下方向に延在する左右一対の部位においてそれぞれ連結部33を設けることで)、情報表示部32の下縁部の延在方向において徐々にラベル31を剥がす場合に、ラベル31を剥がす作業が溝部30にまで至ったとしても、ラベル31のうち情報表示部32の下縁部側が情報表示部32の上縁部側に比べて、急速に剥がれるといった事態を抑制することができる。従って、ラベル31を比較的安定して剥がすことができ、結果として、ラベル31を除去し易くすることができる。
【0052】
また、ロック部材34は、底壁構成部2に対して係止状態とされるように構成され、第2膨出部24は、第1膨出部23の上方と、両側方とに連続して設けられ、溝部30は、第1膨出部23の上方と、両側方とに連続して設けられ、連結部33は、第1膨出部23の上方と、両側方とにそれぞれ設けられている。このため、連結部33により溝部30等がより効果的に補強されるとともに、ラベル31の取着状態をより安定化させることができる。
【0053】
さらに、連結部33が、第1膨出部23の上方と、両側方とに設けられることにより、ラベル31を除去する際に、当該ラベル31を上縁部又は下縁部から上下方向に剥がしても、或いは、左縁部又は右縁部から左右方向に剥がしても、ラベル31を剥がす作業が溝部30にまで至った場合に、当該溝部30には連結部33が介在することになる。従って、ラベル31を除去する際に、ラベル31のうち溝部30に対応する部位が破れる等するといった事態を抑止するといった作用効果がより確実に奏される。
【0054】
また、短辺側側壁部4は、ベース板部21のうち第2膨出部24を挟んで第1膨出部23とは反対側の位置から容器1の外方側に突出する突部42を備え、突部42の外面は、情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面よりも容器1の外方側に位置するように構成されている。このため、組立状態におけるコンベアラインでの搬送時や、壁面への接触時において、情報表示部32に取着されたラベル31の保護を図ることができる。
【0055】
加えて、第2膨出部24には、突部42と対向する所定部位において指掛け凹部43が設けられている。このため、指掛け凹部43を介してラベル31の裏側に指をかけてラベル31を除去し易くすることができる。
【0056】
さらに、突部42のうち突部42を正面視した場合に指掛け凹部43と対向する部位は、突部42のうち最も容器1の外方側に位置する部位よりも容器1の内方側に位置している。つまり、突部42のうち、指掛け凹部43に対向する部位のベース板部21からの突出長が比較的短く構成されているため、指掛け凹部43に指を挿入する際や、ラベル31を除去する作業を行う際に、作業者の手が突部42と干渉することを抑制することができる。
【0057】
加えて、溝部30のうち指掛け凹部43に最も近い位置において連結部33が設けられている。このため、指掛け凹部43を介してラベル31の裏側に指をかけてラベル31を徐々に剥がす際に、ラベル31を剥がす作業が溝部30にまで至った場合に、当該溝部30においては連結部33が介在していることになる。従って、連結部33を設けることによりラベル31を比較的安定して剥がすといった作用効果がより確実に奏される。
【0058】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0059】
(a)上記実施形態では、ロック部材34が底壁構成部2に対して係止状態とされるように構成されているが、長辺側側壁部3に対して係止状態とされるように構成してもよい。その場合、短辺側側壁部4の一方の側部だけでなく、両方の側部に対してロック部材設置部35を設けることとしてもよい。また、上記実施形態では特に言及していないが、ロック部材34に関し、係止位置にある場合だけでなく解除位置にある場合においてもロック部材34の位置が維持されるような構成としてもよい。さらに、係止位置及び解除位置のそれぞれの位置にあるロック部材34の変位を規制するための構成を設ける(但し、操作部38を操作することでロック部材34を変位可能とする)こととしてもよい。加えて、上記実施形態において、ロック部材34が常に係止位置側に付勢され、折畳姿勢にある短辺側側壁部4を起立姿勢とした場合にロック部材34を直接操作しなくてもロック部材34が係止状態とされるように構成してもよい。
【0060】
(b)上記実施形態では、突部42の外面は、情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面よりも容器1の外方側に位置するように構成されているが、情報表示部32を構成する第1膨出部23及び第2膨出部24の外面と同一平面上に延在するように構成してもよい。当該構成を採用する場合においても、組立状態におけるコンベアラインでの搬送時等において、ラベル31への接触を抑制してラベル31の保護を図ることができる。また、当該構成を採用する場合において、突部42の外面を情報表示部32の一部として利用可能に構成し、情報表示部32を構成する第2膨出部24及び突部42の間を連結するようにして連結部を設けることとしてもよい。この場合、情報表示部32の面積を広げつつ、短辺側側壁部4のうち情報表示部32に対応する範囲において適度にベース板部21を配置することで、第2膨出部24を単に拡張して情報表示部32の面積を広げるような場合に比べ、短辺側側壁部4の強度を確保することができる。
【0061】
(c)上記実施形態では、容器1は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。加えて、蓋体6を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…容器、2…底壁構成部、3……長辺側側壁部、4…短辺側側壁部、5…上枠、7…下壁部、8…上壁部、21…ベース板部、23…第1膨出部、24…第2膨出部、25…第1突出壁部、30…溝部、31…ラベル、32…情報表示部、33…連結部、34…ロック部材、35…ロック部材設置部、42…突部、43…指掛け凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9