(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118798
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】発音器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025304
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晋
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AD31
(57)【要約】
【課題】破損を抑制することができる発音器を提供する。
【解決手段】発音器は、筐体1と、筐体1の内部に配置された発音体と、を備え、筐体1は、正面側と背面側に開口する筒状のベース2と、ベース2の正面側の開口部を覆うカバー3と、ベース2の背面側の開口部を覆うケース4と、を備え、ベース2には、ベース2を固定する固定部材100を取り付けるための取付部27が形成されており、カバー3には、取付部27を正面側から覆う保護部34が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音器であって、
筐体(1)と、
前記筐体の内部に配置された発音体(6)と、を備え、
前記筐体は、
正面側と背面側に開口する筒状のベース(2)と、
前記ベースの前記正面側の開口部を覆うカバー(3)と、
前記ベースの前記背面側の開口部を覆うケース(4)と、を備え、
前記ベースには、前記ベースを固定する固定部材(100)を取り付けるための取付部(27)が形成されており、
前記カバーには、前記取付部を前記正面側から覆う保護部(34)が形成されている発音器。
【請求項2】
前記保護部は、前記背面側に向かって傾斜している請求項1に記載の発音器。
【請求項3】
前記ベースには、前記発音体が発生させた音を前記筐体の外部に放出する放音孔(87)が形成されており、
前記保護部は、前記放音孔を覆うように形成されている請求項1または2に記載の発音器。
【請求項4】
前記取付部は、前記正面側から見て一部が前記保護部から突出している請求項1または2に記載の発音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の接近通報装置に用いられる発音器として、音を発生させる発音体と、発音体を収容する筐体とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発音器を車両に固定する際には、例えば筐体と車両とをブラケットによって固定することが考えられる。ブラケットの発音器への取り付け箇所としては、例えば筐体の側面が考えられる。
【0005】
接近通報装置に用いる発音器は、通常、車両の前方に配置される。したがって、前述のようにブラケットを取り付けた場合に、ブラケット取付部が発音器の正面から見えるようになっていると、前方の車両のタイヤから巻き上げられた飛び石等がブラケット取付部に衝突し、ブラケット取付部が破損して発音器が車両から脱落するおそれがある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、破損を抑制することができる発音器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、発音器であって、筐体(1)と、筐体の内部に配置された発音体(6)と、を備え、筐体は、正面側と背面側に開口する筒状のベース(2)と、ベースの正面側の開口部を覆うカバー(3)と、ベースの背面側の開口部を覆うケース(4)と、を備え、ベースには、ベースを固定する固定部材(100)を取り付けるための取付部(27)が形成されており、カバーには、取付部を正面側から覆う保護部(34)が形成されている。
【0008】
これによれば、取付部の正面側が保護部によって覆われるため、飛び石等の衝突による取付部の破損を抑制することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態にかかる発音器の正面図である。
【
図2】第1実施形態にかかる発音器の上面図である。
【
図3】第1実施形態にかかる発音器の右側面図である。
【
図4】第1実施形態にかかる発音器の下面図である。
【
図5】第1実施形態にかかる発音器の背面図である。
【
図7】発音器にブラケットを取り付けた様子を示す斜視図である。
【
図8】発音器にブラケットを取り付けた様子を示す背面図である。
【
図9】発音器にブラケットを取り付けた様子を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
図1~
図10に示す本実施形態の発音器は、例えば自動車の車室外に設置され、警報音を発生させるために使用される。
【0013】
図1~
図6に示すように、発音器は、内部に空間が形成された筐体1を備えている。筐体1は、それぞれ樹脂製のベース2と、カバー3と、ケース4とで構成されている。また、発音器は、ターミナル5と、筐体1の内部に配置された発音体6および基板7とを備えている。
【0014】
図6に示すように、ベース2は、発音器の正面側と背面側で開口する略四角筒状のベース筒部21を備えている。ベース筒部21の正面側開口部には、この開口部を覆う板状のカバー3が嵌合されており、ベース筒部21の背面側開口部には、板状のケース4が接着にて気密的に接合されている。
【0015】
ベース筒部21内の空間は、ベース筒部21内に設けられた隔壁22によって、正面側と背面側に2分割されている。すなわち、筐体1の内部は、ベース筒部21、隔壁22、カバー3によって形成された空間と、ベース筒部21、隔壁22、ケース4によって形成された空間とに分かれている。
【0016】
隔壁22の内周部には、円形の貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、発音体6によって塞がれている。具体的には、隔壁22は、貫通孔23の開口端において、カバー3に向かって突出している。この突出した部分の先端部は内側に折り返されており、これにより形成された凹部に後述するフレーム61が嵌合されている。
【0017】
発音体6の正面側には、遮蔽板24が配置されている。遮蔽板24は、カバー3の表面に付着した水等が発音体6に到達することを抑制し、水等の付着による発音体6の破損を防止するためのものである。遮蔽板24は、正面方向に広がる中空の円錐台形状の外周部と、正面側に凸となるドーム状の内周部とで構成されている。遮蔽板24は、図示しない梁状の部材によって隔壁22に連結されている。
【0018】
発音体6によって発生した音は、隔壁22の突出部と、遮蔽板24との間を通って筐体1の外部へ向かう。この隔壁22と遮蔽板24とで構成された音の通路を、音通路81とする。
【0019】
遮蔽板24は、音通路81を通過した音の音圧を増幅するための構成を備えている。具体的には、遮蔽板24には、内周部の外縁からカバー3に向かって突出した円筒部241が形成されている。そして、遮蔽板24の外周部と、円筒部241と、カバー3とによって共鳴室82が形成されている。また、遮蔽板24の内周部と、円筒部241と、カバー3とによって共鳴室83が形成されている。
【0020】
隔壁22には、貫通孔23および発音体6から離れた場所に図示しない通気孔が形成されており、この通気孔には、空気を通し水を遮断する通気膜が張られている。このような構成により、ベース筒部21、隔壁22、カバー3によって形成された空間と、ベース筒部21、隔壁22、ケース4によって形成された空間との間に、温度変化によって圧力差が発生することが抑制される。
【0021】
カバー3は、ベース筒部21に対応して略四角形状とされている。
図1、
図6に示すように、カバー3の内周部には、遮蔽板24の外周部に対応する位置に、円周状の貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、音通路81を通って共鳴室82、83により音圧が増幅された音を筐体1の外部に放出するためのものである。
【0022】
図1に示すように、貫通孔31の内側と外側は、梁状の連結部32によって連結されている。連結部32は複数形成されており、複数の連結部32によって貫通孔31が複数に分けられている。この複数に分けられた貫通孔31によって、筐体1の内部の空間を大気に開放し、発音体6が発生させた音を外部に放出するための放音孔84が構成されている。
【0023】
図6に示すように、カバー3の外周部には、筐体1の内部に向かって突出する円筒状の筒部33が形成されている。筒部33は、ベース筒部21と、隔壁22と、カバー3の側壁とで囲まれた空間に突出するように配置されている。ベース筒部21と、隔壁22と、カバー3の側壁とで囲まれた空間のうち、筒部33の内側の部分および外側の部分がそれぞれ共鳴室85、86とされている。
【0024】
発音体6が発生させた音は、音通路81を通り、共鳴室82、83、85、86によって音圧が増幅されて、放音孔84から筐体1の外部に放出される。
【0025】
ベース筒部21の外側には、筒状のコネクタ25が形成されている。コネクタ25は、ベース筒部21の下面に配置されており、筐体1の下方向に開口している。
【0026】
図4、
図6に示すように、コネクタ25の内部には、ターミナル5が配置されている。ターミナル5は、基板7と筐体1の外部とを電気的に接続するものである。ターミナル5は、ベース筒部21の側壁を貫通しており、ターミナル5のうちベース筒部21の内壁面から露出した部分は、接着剤91によって根元が覆われ、ベース筒部21に固定されている。
【0027】
ターミナル5はL字状とされており、ターミナル5のうちベース筒部21の内壁面および接着剤91から露出した部分は、基板7に向かって突出している。ターミナル5は、この突出した部分の先端部において、はんだにより基板7に接続されている。
【0028】
図6に示すように、発音体6は、フレーム61と、ダイヤフラム62と、駆動部63と、リード線64と、端子金具65とを備えている。
【0029】
フレーム61は、ダイヤフラム62および駆動部63を支持するものである。フレーム61は、略段付円筒状とされており、正面側において背面側よりも大きく開口している。フレーム61の正面側の開口部は、ダイヤフラム62によって塞がれている。発音体6は、フレーム61の正面側の開口端部において、隔壁22の凹部に嵌合され、接着にて気密的に接合されている。フレーム61は、樹脂で構成されている。
【0030】
ダイヤフラム62は、正面方向に広がる中空の円錐台形状の外周部と、正面側に凸となるドーム状の内周部とで構成されている。前述したように、遮蔽板24も同様の形状とされており、遮蔽板24の内周部、外周部は、それぞれ、ダイヤフラム62の内周部、外周部に対向している。ダイヤフラム62の背面には、駆動部63が接続されている。
【0031】
駆動部63は、ダイヤフラム62を振動させるものである。駆動部63は、ボビン631と、ボイスコイル632と、磁気回路部633とを備えている。
【0032】
ボビン631は円筒状とされ、ダイヤフラム62の内周部の外縁に接合されている。ボビン631の外側には、ボイスコイル632が巻かれている。
【0033】
磁気回路部633は、ボイスコイル632に磁界を印加するものである。磁気回路部633は、有底筒状のヨークと、ヨークの内底面に配置された円板状の磁石と、磁石に積層された円板状のトッププレートとを備えている。ヨークおよびトッププレートは、磁性体で構成されている。ヨークは、ダイヤフラム62に向かって開口し、フレーム61の背面側の開口部を塞ぐように配置されている。
【0034】
磁石およびトッププレートとヨークの側壁との間には隙間が形成されており、この隙間にボイスコイル632が入ることで、トッププレートとヨークの側壁との間に発生する磁界がボイスコイル632に印加される。この状態でボイスコイル632に電流を流すことで、ボビン631が軸方向に変位し、ダイヤフラム62が振動して、音が発生する。
【0035】
ボイスコイル632は、リード線64および端子金具65によって基板7に接続されている。リード線64の一端はボイスコイル632に接続されており、他端は端子金具65に接続されている。
【0036】
端子金具65は、インサート成型によってフレーム61と一体に構成されている。端子金具65の一方の端部はリード線64にはんだ付けされており、他方の端部はフレーム61から露出して、基板7に向かって突出している。
【0037】
基板7は、発音体6の背面側の空間、すなわち、ベース筒部21、隔壁22、ケース4によって形成された空間に配置されている。基板7には、ボイスコイル632に電流を流して駆動部63を駆動するための回路が形成されている。
【0038】
基板7上の駆動回路は、リード線64および端子金具65によってボイスコイル632に接続されている。また、この駆動回路は、ターミナル5によって車両のECU等に接続されるようになっている。そして、ECU等からターミナル5を介して駆動回路に信号が送信されると、この信号に応じてボイスコイル632に電流が流される。
【0039】
基板7には、端子金具65およびターミナル5を通すための貫通孔が形成されている。端子金具65およびターミナル5は、この貫通孔において、はんだによって基板7上の駆動回路に接続されている。
【0040】
ベース2には、基板取付部26が形成されている。基板取付部26は、基板7を筐体1の内部に固定するための部材であり、隔壁22からケース4に向かって突出している。基板7には図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔に基板取付部26を通すことで、基板7が固定されている。
【0041】
図7~
図9に示すように、発音器は、固定部材としてのブラケット100が取り付けられるようになっている。ブラケット100は、発音器を車両に取り付けるためのものである。ブラケット100は、U字状に曲げられた板状のU字状部101と、平坦な板状とされた平板部102とを備えている。平板部102は、長手方向の一方の端部においてU字状部101の中央部に接合されており、他方の端部には車両に固定するためのねじ穴が形成されている。
【0042】
ベース2には、ブラケット100を取り付けるためのブラケット取付部27が形成されている。発音器は、ブラケット取付部27を2つ備えている。2つのブラケット取付部27は、それぞれ、ベース筒部21の右側面、左側面から左右方向の外側に突出するように形成されている。
【0043】
図3、
図5に示すように、ブラケット取付部27は、離された状態で対向して配置された2つのL字状部271、272を備えている。L字状部271は、発音器の前後方向に垂直な断面形状がL字状となるように、ベース筒部21から左右方向に立設された板状の立設部と、立設部の端部から下方向に延設された板状の延設部とを備えている。この立設部と延設部とを連結する角部を角部273とする。
【0044】
L字状部272は、L字状部271の下方に配置されており、発音器の前後方向に垂直な断面形状がL字状となるように、ベース筒部21から左右方向に立設された板状の立設部と、立設部の端部から上方向に延設された板状の延設部とを含んで構成されている。この立設部と延設部とを連結する角部を角部274とする。角部273、274は、発音器の左右方向において、L字状部271、272の上下方向の延設部よりも外側に突出するように形成されている。
【0045】
ベース筒部21の側面とL字状部271、272の内壁面とで囲まれた空間にU字状部101の端部を差し込むことにより、ブラケット100が発音器に固定される。
【0046】
カバー3には、保護部34が形成されている。保護部34は、ブラケット取付部27を飛び石等から保護するためのものである。保護部34はブラケット取付部27に対応して2つ形成されている。2つの保護部34は、それぞれ、カバー3の右側面、左側面から左右方向の外側に突出するように形成された板状の部材とされており、ベース筒部21の右側面、左側面に形成されたブラケット取付部27を正面側から覆っている。保護部34は、発音器の背面側に向かって倒れるように、発音器の左右方向に対して傾斜している。
【0047】
図10に示すように、カバー3には、保護部34を補強するための補強部35が形成されている。補強部35は、左右方向および前後方向に平行となるように保護部34の背面側に延設された板状の部材とされており、保護部34の背面とカバー3の側面とに接合されている。このように保護部34を補強部35によって背面側から支持することにより、保護部34の正面に飛び石等が衝突したときに保護部34が倒れることを抑制することができる。
【0048】
ベース2には放音孔87が形成されている。放音孔87は、発音体6が発生させた音を筐体1の外部に放出するためのものである。放音孔87は、ベース筒部21を貫通して筐体1の内部と外部とを連通するように、ベース2の左右側面に2つずつ形成されている。保護部34は放音孔87を覆うように形成されている。具体的には、放音孔87のベース筒部21の外壁面における開口部は、保護部34によって正面側から覆われている。なお、放音孔87からの放音経路を確保するために、保護部34と放音孔87の開口部との間には隙間が形成されている。
【0049】
図1に示すように、ブラケット取付部27は、正面側から見て一部が保護部34から突出している。具体的には、L字状部271、272の角部273、274が、左右方向において保護部34よりも外側に配置されている。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、カバー3にブラケット取付部27の正面側を覆う保護部34が形成されている。したがって、正面からの飛び石等がブラケット取付部27に衝突することを抑制し、飛び石等の衝突によるブラケット取付部27の破損を抑制することができる。
【0051】
また、保護部34をベース2に形成すると、ベース2の製造コストが増加する。具体的には、本実施形態のような形状のベース2は、コネクタ25以外の部分は正面と背面からの上下抜き金型で樹脂成形することができるが、ベース2に保護部34を形成する場合には、上下抜き金型に加えて横からのスライド金型が必要になる。これに対して、本実施形態のようにカバー3に保護部34を形成する場合には、保護部34をカバー3の他の部分と同時に正面と背面からの上下抜き金型で樹脂成形することができ、製造コストの増加を抑制することができる。また、カバー3に保護部34を形成する場合には、ベース2に形成する場合に比べて、保護部34とその周辺の形状の自由度が高くなり、前述した形状の補強部35を形成することができる。
【0052】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
(1)保護部34は、背面側に向かって傾斜している。これによれば、正面側からの飛び石が保護部34に衝突した場合に、保護部34に加わる衝撃を逃がし、保護部34の破損を抑制することができる。また、保護部34を発音器の左右方向に平行に突出させた場合に比べて、発音器を小型化することができる。
【0054】
(2)保護部34は、放音孔87を覆うように形成されている。これによれば、放音孔87から異物が筐体1の内部に入ることを抑制することができる。
【0055】
(3)ブラケット取付部27は、正面から見て一部が保護部34から突出している。発音器の製造工程において、例えばベース2を固定し、固定されたベース2に対して正面側からカバー3を組み付ける場合を想定する。この場合には、ベース2を固定する治具がカバー3に隠れるような位置にあると、カバー3の組み付け治工具とベース2の治具とが接触し、作業が困難になるため、カバー3の配置場所から離れた位置でベース2を治具により固定することが望ましい。そして、本実施形態では、左右方向においてはブラケット取付部27がベース2の最も外側に位置する部材であるため、上記のように組み付けを行う場合には、ブラケット取付部27に治具を当接させてベース2を固定することになる。したがって、ブラケット取付部27の一部である角部273、274を保護部34から突出させることにより、カバー3の治工具とベース2の治具との間に空間が確保され、カバー3の位置合わせや組み付けが容易になり寸法精度が向上する。
【0056】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0057】
発音器が保護部34を1つのみ備えていてもよいし、3つ以上備えていてもよい。
【0058】
ブラケット取付部27および保護部34が、第1実施形態とは異なる位置に形成されていてもよい。例えば、ブラケット取付部27および保護部34が、筐体1の上面と下面に形成されていてもよい。また、保護部34が、ベース2の側面全体を正面側から覆うように形成されていてもよい。
【0059】
保護部34が背面側に傾斜せず、カバー3の側面に対して垂直に突出していてもよい。
【0060】
(本開示の特徴)
[第1の観点]
発音器であって、
筐体(1)と、
前記筐体の内部に配置された発音体(6)と、を備え、
前記筐体は、
正面側と背面側に開口する筒状のベース(2)と、
前記ベースの前記正面側の開口部を覆うカバー(3)と、
前記ベースの前記背面側の開口部を覆うケース(4)と、を備え、
前記ベースには、前記ベースを固定する固定部材(100)を取り付けるための取付部(27)が形成されており、
前記カバーには、前記取付部を前記正面側から覆う保護部(34)が形成されている発音器。
[第2の観点]
前記保護部は、前記背面側に向かって傾斜している第1の観点に記載の発音器。
[第3の観点]
前記ベースには、前記発音体が発生させた音を前記筐体の外部に放出する放音孔(87)が形成されており、
前記保護部は、前記放音孔を覆うように形成されている第1または第2の観点に記載の発音器。
[第4の観点]
前記取付部は、前記正面側から見て一部が前記保護部から突出している第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の発音器。
【符号の説明】
【0061】
1 筐体
2 ベース
27 ブラケット取付部
3 カバー
34 保護部
4 ケース
6 発音体
100 ブラケット