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特開2024-118801光接続構造、光コネクタ、及びアダプタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118801
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】光接続構造、光コネクタ、及びアダプタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20240826BHJP
   G02B 6/40 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025313
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】指田 貴子
(72)【発明者】
【氏名】上原 史也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036JA02
2H036QA12
2H036QA18
2H036QA42
2H036QA43
2H036QA47
2H036QA56
(57)【要約】
【課題】光学特性を良好に維持することが可能な光接続構造、光コネクタ、及びアダプタを提供する。
【解決手段】光接続構造は、光コネクタ及びアダプタを備える。光コネクタは、複数の光ファイバと、複数の光ファイバを保持するフェルールと、フェルールを付勢するバネとを有する。アダプタは、筒形状の内部においてフェルールと他のフェルールとが互いに対向するように光コネクタが挿入して嵌合するように構成される。フェルールは、互いに対向する第1側面及び第2側面を有する。第1側面には第1凹部又は第1凸部が設けられ、第2側面には第2凹部又は第2凸部が設けられている。アダプタの内面には、第3凸部又は第3凹部と第4凸部又は第4凹部とが設けられている。フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバを保持し、前端及び前記前端と反対側の後端を有するフェルールと、前記フェルールを前記後端から前記前端に向けて付勢するバネと、を有する光コネクタと、
筒形状を有し、前記筒形状の内部において前記フェルールと他のフェルールとが互いに対向するように前記光コネクタが挿入して嵌合するように構成されるアダプタと、
を備え、
前記フェルールは、互いに対向する第1側面及び第2側面を有し、
前記第1側面には、前記光コネクタが前記アダプタに挿入する第1方向に沿って延在する第1凹部又は第1凸部が設けられており、
前記第2側面には、前記第1方向に沿って延在する第2凹部又は第2凸部が設けられており、
前記アダプタの内面には、前記第1凹部又は前記第1凸部と嵌合可能な第3凸部又は第3凹部と、前記第2凹部又は前記第2凸部と嵌合可能な第4凸部又は第4凹部と、が設けられており、
前記フェルールを前記アダプタから引き抜く際に前記フェルールを前記前端から前記後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である、光接続構造。
【請求項2】
前記抜き力は、前記光コネクタが前記アダプタに挿入されていない場合の前記バネの付勢力と、前記光コネクタが前記アダプタに挿入されて前記他のフェルールと付き合わされた場合の前記バネの付勢力との差分以下である、請求項1に記載の光接続構造。
【請求項3】
前記アダプタは、樹脂から形成されており、前記第1方向において第1端から前記第1端と反対側の第2端まで形成されたスリットを有する、請求項1又は請求項2に記載の光接続構造。
【請求項4】
前記第1側面及び前記第2側面には、前記第1凹部及び前記第2凹部がそれぞれ設けられており、
前記アダプタの内面には、前記第3凸部及び前記第4凸部が設けられており、
前記第1方向に交差する断面において、前記第1凹部及び前記第2凹部は、それぞれV字状であり、
前記第1方向に交差する断面において、前記第3凸部及び前記第4凸部は、それぞれV字状である、請求項1又は請求項2に記載の光接続構造。
【請求項5】
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持し、前端及び前記前端と反対側の後端を有するフェルールと、
前記フェルールを前記後端から前記前端に向けて付勢するバネと、を備え、
前記フェルールは、筒形状を有するアダプタに挿抜可能に構成されていると共に、互いに対向する第1側面及び第2側面を有し、
前記第1側面には、前記フェルールが前記アダプタに挿入する第1方向に沿って延在する第1凹部又は第1凸部が設けられており、
前記第2側面には、前記第1方向に沿って延在する第2凹部又は第2凸部が設けられており、
前記フェルールを前記アダプタから引き抜く際に前記フェルールを前記前端から前記後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である、光コネクタ。
【請求項6】
前記抜き力は、前記フェルールが前記アダプタに挿入されていない場合の前記バネの付勢力と、前記フェルールが前記アダプタに挿入されて他のフェルールと付き合わされた場合の前記バネの付勢力との差分以下である、請求項5に記載の光コネクタ。
【請求項7】
筒形状を有し、前端及び前記前端と反対側の後端を有するフェルールを前記筒形状の内部に挿抜可能に構成された筒状体を備え、
前記筒状体の内面には、第3凸部又は第3凹部と、第4凸部又は第4凹部と、が設けられており、
前記フェルールを前記筒状体から引き抜く際に前記フェルールを前記前端から前記後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である、アダプタ。
【請求項8】
前記抜き力が、1.4N以下である、請求項7に記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光接続構造、光コネクタ、及びアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、互いに対向する一対のフェルールを保持するためのアダプタを備える光接続構造が開示されている。これらの光接続構造では、複数の光ファイバを保持したフェルールをアダプタに挿入して嵌合することによって複数の光ファイバを位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/085352号
【特許文献2】国際公開第2021/192746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に記載された光接続構造では、アダプタに挿入して嵌合されたフェルールに対する側圧が小さすぎると、光学特性が劣化する場合がある。例えば、フェルールをアダプタに繰り返し着脱した場合に、複数の光ファイバの位置決め精度等が劣化し、光学特性が不安定になる場合がある。
【0005】
本開示は、光学特性を良好に維持することが可能となる、光接続構造、光コネクタ、及びアダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る光接続構造は、複数の光ファイバと、複数の光ファイバを保持し、前端及び前端と反対側の後端を有するフェルールと、フェルールを後端から前端に向けて付勢するバネと、を有する光コネクタと、筒形状を有し、筒形状の内部においてフェルールと他のフェルールとが互いに対向するように光コネクタが挿入して嵌合するように構成されるアダプタと、を備え、フェルールは、互いに対向する第1側面及び第2側面を有し、第1側面には、光コネクタがアダプタに挿入する第1方向に沿って延在する第1凹部又は第1凸部が設けられており、第2側面には、第1方向に沿って延在する第2凹部又は第2凸部が設けられており、アダプタの内面には、第1凹部又は第1凸部と嵌合可能な第3凸部又は第3凹部と、第2凹部又は第2凸部と嵌合可能な第4凸部又は第4凹部と、が設けられており、フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、光学特性を良好に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る光接続構造を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す光接続構造におけるフェルールと光ファイバとを示す断面図である。
図3図3は、図1に示す光接続構造におけるアダプタを示す断面図である。
図4図4は、図3に示すアダプタに保持された状態のフェルールを模式的に示す断面図である。
図5図5は、第1変形例の光接続構造を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示す光接続構造におけるアダプタを示す断面図である。
図7図7は、図5に示す光接続構造におけるフェルールを示す断面図である。
図8図8は、図6に示すアダプタに保持された状態のフェルールを模式的に示す断面図である。
図9図9は、第2変形例の光接続構造におけるフェルール及びアダプタを示す断面図である。
図10図10は、第3変形例の光接続構造におけるフェルール及びアダプタを示す断面図である。
図11図11は、第4変形例の光接続構造におけるフェルール及びアダプタを示す断面図である。
図12図12は、第5変形例の光接続構造におけるフェルール及びアダプタを示す断面図である。
図13図13は、第6変形例の光接続構造におけるフェルール及びアダプタを示す断面図である。
図14図14は、第7変形例の光接続構造におけるフェルール及びアダプタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
[1]一実施形態に係る光接続構造は、複数の光ファイバと、複数の光ファイバを保持し、前端及び前端と反対側の後端を有するフェルールと、フェルールを後端から前端に向けて付勢するバネと、を有する光コネクタと、筒形状を有し、筒形状の内部においてフェルールと他のフェルールとが互いに対向するように光コネクタが挿入して嵌合するように構成されるアダプタと、を備え、フェルールは、互いに対向する第1側面及び第2側面を有し、第1側面には、光コネクタがアダプタに挿入する第1方向に沿って延在する第1凹部又は第1凸部が設けられており、第2側面には、第1方向に沿って延在する第2凹部又は第2凸部が設けられており、アダプタの内面には、第1凹部又は第1凸部と嵌合可能な第3凸部又は第3凹部と、第2凹部又は第2凸部と嵌合可能な第4凸部又は第4凹部と、が設けられており、フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。
【0010】
この光接続構造では、フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。かかる構成によれば、アダプタに挿入して嵌合されたフェルールに対する側圧が十分に大きくなり、光学特性を良好に維持することが可能となる。例えば、フェルールをアダプタに繰り返し着脱した場合であっても、複数の光ファイバの位置決め精度等の劣化が抑制されるので、光学特性を良好に維持することが可能となる。
【0011】
[2]一実施形態として、上記[1]において、抜き力は、光コネクタがアダプタに挿入されていない場合のバネの付勢力と、光コネクタがアダプタに挿入されて他のフェルールと付き合わされた場合のバネの付勢力との差分以下であってもよい。従来、アダプタに挿入して嵌合されたフェルールに対する側圧が大きすぎると、フェルールをアダプタから引き抜くことが困難になる場合があった。しかしながら、本開示の構成によれば、抜き力が適度な大きさになり、フェルールをアダプタから容易に引き抜くことが可能となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0012】
[3]一実施形態として、上記[1]又は上記[2]のいずれかにおいて、アダプタは、樹脂から形成されており、第1方向において第1端から第1端と反対側の第2端まで形成されたスリットを有してもよい。この場合、アダプタにフェルールが挿入されたとき、スリットの幅が大きくなるようにアダプタが弾性変形するとともに、スリットの幅が小さくなるようにアダプタに復元力が生じ得る。これにより、アダプタに挿入されたフェルールに対する側圧が生じ得る。その結果、ガイドピン等を用いることなく、簡易な構成で複数の光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0013】
[4]一実施形態として、上記[1]から上記[3]のいずれかにおいて、第1側面及び第2側面には、第1凹部及び第2凹部がそれぞれ設けられており、アダプタの内面には、第3凸部及び第4凸部が設けられており、第1方向に交差する断面において、第1凹部及び第2凹部は、それぞれV字状であり、第1方向に交差する断面において、第3凸部及び第4凸部は、それぞれV字状であってもよい。この場合、アダプタに対してフェルールを精度良く位置決めできる。すなわち、複数の光ファイバの位置決めを精度良く行うことができる。
【0014】
[5]一実施形態に係る光コネクタは、複数の光ファイバと、複数の光ファイバを保持し、前端及び前端と反対側の後端を有するフェルールと、フェルールを後端から前端に向けて付勢するバネと、を備え、フェルールは、筒形状を有するアダプタに挿抜可能に構成されていると共に、互いに対向する第1側面及び第2側面を有し、第1側面には、フェルールがアダプタに挿入する第1方向に沿って延在する第1凹部又は第1凸部が設けられており、第2側面には、第1方向に沿って延在する第2凹部又は第2凸部が設けられており、フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。
【0015】
この光コネクタでは、フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。かかる構成によれば、アダプタに挿入して嵌合されたフェルールに対する側圧が十分に大きくなる。その結果、光学特性を良好に維持することが可能な光接続構造を実現することができる。
【0016】
[6]一実施形態として、上記[5]において、抜き力は、フェルールがアダプタに挿入されていない場合のバネの付勢力と、フェルールがアダプタに挿入されて他のフェルールと付き合わされた場合のバネの付勢力との差分以下であってもよい。この場合、抜き力が適度な大きさになり、フェルールをアダプタから容易に引き抜くことが可能となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0017】
[7]一実施形態として、筒形状を有し、筒形状の内部にフェルールを挿抜可能に構成された筒状体を備え、筒状体の内面には、第3凸部又は第3凹部と、第4凸部又は第4凹部と、が設けられており、フェルールを筒状体から引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。
【0018】
このアダプタでは、フェルールをアダプタから引き抜く際にフェルールを前端から後端に向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。かかる構成によれば、アダプタに挿入して嵌合されたフェルールに対する側圧が十分に大きくなる。その結果、光学特性を良好に維持することが可能な光接続構造を実現することができる。
【0019】
[8]一実施形態として、上記[7]において、抜き力が、1.4N以下であってもよい。この場合、抜き力が適度な大きさになり、フェルールをアダプタから容易に引き抜くことが可能となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光接続構造、光コネクタ、及びアダプタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
図1は、一実施形態に係る光接続構造を示す分解斜視図である。図2は、図1に示す光接続構造におけるフェルールを示す断面図である。図3は、図1に示す光接続構造におけるアダプタを示す断面図である。図4は、図3に示すアダプタに保持された状態のフェルールを模式的に示す図である。図1に示すように、光接続構造100は、一対の光コネクタ1と、一対の光コネクタ1を保持するアダプタ40と、を備える。光コネクタ1のそれぞれは、複数の光ファイバ20(図2参照)と、複数の光ファイバ20を保持するフェルール10と、フェルール10を付勢するバネ30と、を有する。バネ30は、不図示の保持部材によって後端が保持される。以下、フェルール10の長手方向を第1方向D1とし、フェルール10の幅方向を第2方向D2とし、第1方向D1及び第2方向D2に交差する方向を第3方向D3とする。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、例えば、互いに直交している。
【0022】
図1に示されるように、フェルール10は、略直方体形状を有する。フェルール10は、前端10a及び第1方向D1において前端10aと反対側の後端10bを有する。フェルール10は、第1方向D1における前端10aに設けられた光学端面11と、第1方向D1における後端10bに設けられた後端面12と、第1方向D1に沿って延びる第1側面13、第2側面14、第3側面15及び第4側面16とを有する。第1側面13及び第2側面14は、第2方向D2において互いに対向する。第3側面15及び第4側面16は、第3方向D3において互いに対向する。光学端面11は、光学的に接続される相手側のフェルール10(他のフェルール)に対向する。
【0023】
図1及び図2に示されるように、フェルール10は、複数の光ファイバ20を保持するための複数(図示例では12箇所)の保持孔18を有する。保持孔18には、光ファイバ20が挿入されて保持される。光ファイバ20は、例えば、コア及びクラッドを有するシングルモードファイバであってもよい。保持孔18は、第1方向D1に沿って延びている。保持孔18は、フェルール10の光学端面11に開放されている。複数の保持孔18は、第2方向D2に沿って並んで配置されている。また、保持孔18は、光ファイバテープ心線を挿入するための開口17に連通している。開口17は、後端面12に形成されている。
【0024】
図2に示されるように、フェルール10の第1側面13には、後述する第3凸部53に係合する第1凹部23が設けられている。第1凹部23は、第1方向D1に沿って延在している。第1凹部23は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。例えば、第1凹部23は、第1方向D1に交差する断面においてV字状である。V字状の第1凹部23を構成する一対の斜面23a,23bは、一定の角度θ1で開いている。例えば、角度θ1は、30°から150°の範囲であり、一例として約120°であってよい。なお、溝の底部23cには、R加工が施されていてもよい。溝の底部23cは、斜面23aと斜面23bとを接続する部分である。
【0025】
フェルール10の第2側面14には、第1側面13と同様に、後述する第4凸部54に係合する第2凹部24が設けられている。第2凹部24は、第1方向D1に沿って延在している。第2凹部24は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。例えば、第2凹部24は、第1方向D1に交差する断面においてV字状である。V字状の第2凹部24を構成する一対の斜面24a,24bは、一定の角度θ1で開いている。なお、溝の底部24cには、R加工が施されていてもよい。溝の底部24cは、斜面24aと斜面24bとを接続する部分である。
【0026】
フェルール10は、例えば、樹脂によって形成されている。フェルール10は、一例としては、ウルテム(登録商標)等のPEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、又はPES(ポリエーテルサルホン)の材料によって構成されている。フェルール10は、アダプタ40に挿抜可能に構成されている。フェルール10は、例えば、後端10bから前端10aに向かって第1方向D1に沿ってアダプタ40に挿入され、アダプタ40に嵌合される(図1及び図4参照)。
【0027】
図1に示されるように、光接続構造100では、一対のフェルール10が一対のバネ30によって付勢されている。具体的には、バネ30は、フェルール10を後端10bから前端10aに向けて付勢している。一例としては、バネ30は、互いに対向する方向に一対のフェルール10同士を付勢する。フェルール10の後端面12には、バネ30の端部を外周から保持するための突起12aが形成されている。なお、バネ30は、例えば、アダプタ40に対する相対的な位置が決められたハウジング等に収容された状態でフェルール10を第1方向D1に沿って押圧してもよい。フェルール10を押圧するバネ30の付勢力の大きさは、特に限定されないが、例えば10N以下であってよく、より好ましくは5N以下であってよい。
【0028】
アダプタ40は、一対のフェルール10を互いに対向するように保持する部材である。アダプタ40は、第1方向D1に延在する筒状体41を含む。アダプタ40は、第1端40aと、第1端40aと反対側の第2端40bとを有する。アダプタ40は、第1方向D1において第1端40aから第2端40bまで形成されるスリット42を有している。筒状体41は、例えば、筒形状を有する。筒状体41は、フェルール10を筒形状の内部に挿抜可能に構成されている。例えば、アダプタ40は、筒状体41の内部においてフェルール10と他のフェルール10とが互いに対向するようにフェルール10が挿入して嵌合するように構成されている。なお、筒状体41は、実質的に筒状であればよく、一方向から見たときに、想定される軸線を中心として半周程度以上にわたって壁面が形成されていればよい。一例としては、アダプタ40は、第1方向D1に沿った線を軸として、少なくとも一対のフェルール10を半周以上にわたって囲んでいる。
【0029】
筒状体41は、弾性変形可能に構成されている。筒状体41は、例えば樹脂によって形成されている。筒状体41は、例えば、ウルテム(登録商標)等のPEI(ポリエーテルイミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PES(ポリエーテルサルホン)、又はPA(ポリアミド)の材料によって構成されている。
【0030】
図3及び図4に示されるように、筒状体41は、例えば、第1方向D1から見た場合に、矩形枠状を呈している。筒状体41は、第1壁体43、第2壁体44、第3壁体45及び第4壁体46を有する。第1壁体43及び第2壁体44は、第1方向D1から見たときに矩形の短辺を構成している。第1壁体43は、フェルール10の第1側面13に対面する第1内周面43a(内面)を有する。第2壁体44は、第2側面14に対面する第2内周面44a(内面)を有する。第3壁体45は、一方のフェルール10の第3側面15及び他方のフェルール10の第4側面16(図1参照)に対面する第3内周面45aを有する。第4壁体46は、一方のフェルール10の第4側面16及び他方のフェルール10の第3側面15(図1参照)に対面する第4内周面46aを有する。
【0031】
筒状体41は、フェルール10が挿入されると僅かに押し広げられてフェルール10を押圧するように構成されている。具体的には、第3内周面45aを形成する第3壁体45にスリット42が形成されている。スリット42は、第1方向D1に沿って設けられている。スリット42は、第3壁体45に設けられた切り欠きであり、第1部分45Aと第2部分45Bとに第3壁体45を分離している。第1部分45A及び第2部分45Bは、第1方向D1に沿って第1端40aから第2端40bまで延在する(図1参照)。これにより、フェルール10が挿入された際にアダプタ40が第1方向D1に一様に変形することが可能となる。
【0032】
第1部分45A及び第2部分45Bは、第2方向D2において並んでいる。一例としては、スリット42は、第2方向D2に所定の幅をもっているが、これに限定されない。例えば、スリット42は、無負荷状態において幅を有さなくてもよい。すなわち、無負荷状態においては、第1部分45Aと第2部分45Bとは互いに当接していてもよい。また、例えば、スリット42は、第2方向D2における第1部分45A及び第2部分45Bの幅がそれぞれ1mm以上となるように形成されていてもよい。この場合、第2方向D2における第1部分45A及び第2部分45Bの幅が0mmとなることによるアダプタ40の極端な強度低下が抑制される。
【0033】
筒状体41は、フェルール10の第1側面13に形成された第1凹部23に嵌合(対応)する第3凸部53と、第2側面14に形成された第2凹部24に嵌合(対応)する第4凸部54とを備える。第3凸部53及び第4凸部54は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。一例として、第3凸部53及び第4凸部54は、第1内周面43a及び第2内周面44aにそれぞれ形成されている。第3凸部53及び第4凸部54は、第1方向D1に延在している。第3凸部53及び第4凸部54は、第1内周面43a及び第2内周面44aからそれぞれ内向きに突出する突起状(山形の形状)を呈している。第3凸部53及び第4凸部54は互いに対向している。
【0034】
また、例えば、第3凸部53及び第4凸部54は、第1方向D1に交差する断面においてそれぞれV字状である。第3凸部53において、略V字状をなす突起を構成する一対の斜面53a,53bは、一定の角度θ2で接続されている。同様に、第4凸部54において、略V字状をなす突起を構成する一対の斜面54a,54bは、一定の角度θ2で接続されている。角度θ2は、第1凹部23及び第2凹部24の角度θ1と同じ大きさであってよい。なお、第1方向D1から見たとき、第3凸部53及び第4凸部54のそれぞれの先端53c,54cは、円弧形状を呈するようにR加工が施されていてよい。その場合、先端53c,54cのR加工の曲率は第1凹部23及び第2凹部24のR加工の曲率と同じであってよい。
【0035】
第1方向D1から見て、筒状体41の第3凸部53の先端53cから第4凸部54の先端54cまでの無負荷状態における距離L1は、フェルール10の第1凹部23の底部23cから第2凹部24の底部24cまでの距離L2(図2参照)よりも小さい。アダプタ40の筒状体41にフェルール10が保持される場合、筒状体41は、第2方向D2に押し拡げられるように弾性変形する。第3凸部53及び第4凸部54は、筒状体41が弾性変形したときの復元力によって、フェルール10の第1側面13と第2側面14とを押圧する。
【0036】
ここで、抜き力について具体的に説明する。抜き力は、フェルール10をアダプタ40から引き抜く際にフェルール10を前端10aから後端10bに向けて引く力の最大値である。抜き力は、アダプタ40に挿入して嵌合されたフェルール10に対する側圧であるフェルール10の側圧に相当する。フェルール10の側圧とは、本実施形態では、第3凸部53と第4凸部54とが一対のフェルール10を押圧する力である。抜き力は、アダプタ40に挿入されたフェルール10とアダプタ40とをどの程度干渉させるかを決定するための指標であってもよい。抜き力は、10N以下であってもよいし、5N以下であってもよい。また、抜き力は、アダプタ40が弾性変形する範囲の大きさであってもよい。
【0037】
抜き力は、以下のように測定される。まず、アダプタ40にフェルール10を挿入する。次に、フェルール10を固定し、アダプタ40を一定速度で引き抜く。最後に、アダプタ40を引き抜く際にかかった最大荷重を測定し、測定した数値を抜き力とする。なお、フェルール10以外をアダプタ40に挿入して抜き力が測定されてもよい。例えば、検査用のゲージブロックをアダプタ40に挿入して抜き力が測定されてもよい。一例としては、ゲージブロックは、金属製の板状であってもよい。アダプタ40に挿入されたゲージブロックとアダプタ40との干渉量は、フェルール10とアダプタ40との干渉量と同一であってもよい。ゲージブロックは、予め設計した干渉量を満たす寸法を有してもよく、一例としては、ゲージブロックの第2方向D2に沿った幅が、フェルール10の第1凹部23の底部23cから第2凹部24の底部24cまでの距離L2(図2参照)と同一であってもよい。
【0038】
抜き力が満たすべき数値範囲について詳細に説明する。まず、抜き力は、フェルール10がアダプタ40に挿入されていない場合のバネ30の付勢力(コネクタ収納時のバネ荷重)以下である。具体的には、抜き力は、一対のバネ30が一対のフェルール10を付勢する際の付勢力以下である。例えば、抜き力は、1.5N以下であってもよい。
【0039】
次に、抜き力は、フェルール10がアダプタ40に挿入されていない場合のバネ30の付勢力(以下、「コネクタ収納時のバネ荷重」と表記する)と、フェルール10がアダプタ40に挿入されて他のフェルール10と付き合わされた場合のバネ30の付勢力(以下、「フェルールバック時のバネ荷重」と表記する)との差分以下である。例えば、抜き力は、1.8N以下であってもよい。
【0040】
なお、フェルール10は、第1方向D1に沿ってバネ30を収縮させつつ、光コネクタ1のハウジング(不図示)に収納されている。この場合のバネ30の付勢力が、コネクタ収納時のバネ荷重である。また、フェルール10がアダプタ40に挿入されて他のフェルール10と付き合わされると、フェルール10及び他のフェルール10が第1方向D1に沿って互いに押圧する。このとき、他のフェルール10によってフェルール10が押圧されることにより、第1方向D1に沿ってバネ30がさらに収縮する。この場合のバネ30の付勢力が、フェルールバック時のバネ荷重である。さらに、コネクタ収納時のバネ荷重の値及びフェルールバック時のバネ荷重の値は、光コネクタ1の各部品の寸法に基づいて算出された数値範囲のうちの最小値である。このとき、バネ30が規定の寸法まで圧縮された際の付勢力がコネクタ収納時のバネ荷重及びフェルールバック時のバネ荷重としてそれぞれ測定される。
【0041】
最後に、抜き力は、フェルール10をアダプタ40に繰り返し着脱した際に光学特性が安定するのに必要なバネ30の荷重以上である。具体的には、抜き力は、フェルール10をアダプタ40に繰り返し着脱した際に、接続損失の変動値の標準偏差の3倍(3σ)が、0.1dB以下となるために必要なバネ30の荷重以上である。例えば、抜き力は、0.7N以上であってもよい。なお、フェルール10をアダプタ40に繰り返し着脱した際に光学特性が安定するのに必要なバネ30の荷重は、実際に測定された数値に基づいて算出される。また、上記バネ30の荷重は、設計時に予め設定されたバネ荷重の数値の10%以上15%以下であってもよい。
【0042】
抜き力が満たすべき数値範囲の一例について説明する。フェルール10及びアダプタ40の材質がウルテムであり、設計時に予め設定されたバネ荷重が5.0N±0.5Nである場合について説明する。この場合、コネクタ収納時のバネ荷重は、1.4Nである。フェルールバック時のバネ荷重とコネクタ収納時のバネ荷重との差分は、1.8Nである。フェルール10をアダプタ40に繰り返し着脱した際に光学特性が安定するのに必要なバネ30の荷重は、0.5N以上0.7N以下である。抜き力は、フェルール10をアダプタ40に繰り返し着脱した際に光学特性が安定するのに必要なバネ30の荷重以上、コネクタ収納時のバネ荷重以下、且つフェルールバック時のバネ荷重とコネクタ収納時のバネ荷重との差分以下である。以上のことから、抜き力は、0.7N以上1.4N以下である。
【0043】
以下、本実施形態に係る光接続構造100、光コネクタ1、及びアダプタ40の作用効果について説明する。本実施形態に係る光接続構造100では、フェルール10をアダプタ40から引き抜く際にフェルール10を前端10aから後端10bに向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。かかる構成によれば、アダプタ40に挿入して嵌合されたフェルール10に対する側圧が十分に大きくなり、光学特性を良好に維持することが可能となる。例えば、フェルール10をアダプタ40に繰り返し着脱した場合であっても、複数の光ファイバ20の位置決め精度等の劣化が抑制されるので、光学特性を良好に維持することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態に係る光接続構造100では、上述したフェルール10の抜き力は、フェルール10がアダプタ40に挿入されていない場合のバネ30の付勢力と、フェルール10がアダプタ40に挿入されて他のフェルール10と付き合わされた場合のバネ30の付勢力との差分以下である。従来、アダプタ40に挿入して嵌合されたフェルール10に対する側圧が大きすぎると、フェルール10をアダプタ40から引き抜くことが困難になる場合があった。しかしながら、本実施形態の構成によれば、抜き力が適度な大きさになり、フェルール10をアダプタ40から容易に引き抜くことが可能となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0045】
また、本実施形態に係る光接続構造100では、アダプタ40は、樹脂から形成されており、第1方向D1において第1端40aから第1端40aと反対側の第2端40bまで形成されたスリット42を有する。この場合、アダプタ40にフェルール10が挿入されたとき、スリット42の幅が大きくなるようにアダプタ40が弾性変形するとともに、スリット42の幅が小さくなるようにアダプタ40に復元力が生じ得る。これにより、アダプタ40に挿入されたフェルール10に対する側圧が生じ得る。その結果、ガイドピン等を用いることなく、簡易な構成で複数の光ファイバ20の位置決めを行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る光接続構造100では、第1側面13及び第2側面14には、第1凹部23及び第2凹部24がそれぞれ設けられており、第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凸部53及び第4凸部54がそれぞれ設けられており、第1方向D1に交差する断面において、第1凹部23及び第2凹部24は、それぞれV字状であり、第1方向D1に交差する断面において、第3凸部53及び第4凸部54は、それぞれV字状である。この場合、アダプタ40に対してフェルール10を精度良く位置決めできる。すなわち、複数の光ファイバ20の位置決めを精度良く行うことができる。
【0047】
本実施形態に係る光コネクタ1では、フェルール10をアダプタ40から引き抜く際にフェルール10を前端10aから後端10bに向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。かかる構成によれば、アダプタ40に挿入して嵌合されたフェルール10に対する側圧が十分に大きくなる。その結果、光学特性を良好に維持することが可能な光接続構造100を実現することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る光コネクタ1では、抜き力は、フェルール10がアダプタ40に挿入されていない場合のバネ30の付勢力と、フェルール10がアダプタ40に挿入されて他のフェルール10と付き合わされた場合のバネ30の付勢力との差分以下である。この場合、抜き力が十分に小さくなり、フェルール10をアダプタ40から容易に引き抜くことが可能となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0049】
本実施形態に係るアダプタ40では、フェルール10をアダプタ40から引き抜く際にフェルール10を前端10aから後端10bに向けて引く力の最大値である抜き力が、0.7N以上である。かかる構成によれば、アダプタ40に挿入して嵌合されたフェルール10に対する側圧が十分に大きくなる。その結果、光学特性を良好に維持することが可能な光接続構造を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るアダプタ40では、抜き力が、1.4N以下である。この場合、抜き力が十分に小さくなり、フェルール10をアダプタ40から容易に引き抜くことが可能となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0051】
以上、本開示に係る光接続構造、光コネクタ、及びアダプタについて詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態や変形例に適用することが可能である。
【0052】
本開示に係る光接続構造の第1変形例について説明する。図5は、第1変形例の光接続構造を示す斜視図である。図6は、第1変形例のアダプタの断面形状を示す図である。図7は、第1変形例のフェルールの断面形状を示す図である。図8は、図5に示すアダプタに図6に示すフェルールが保持された状態を模式的に示す図である。
【0053】
図5に示すように、光接続構造101は、一対のフェルール10と、一対のフェルール10を保持するアダプタ140と、を含む。図5において示されていないが、光接続構造101においても、上記実施形態と同様に、一対のフェルール10は一対のバネ30によって内側に付勢されている。また、第1変形例では、抜き力が満たすべき数値範囲は、上記実施形態と同様である。例えば、抜き力は、0.7N以上である。なお、第2変形例から第7変形例でも、抜き力が満たすべき数値範囲は、上記実施形態と同様である。
【0054】
アダプタ140は、一対のフェルール10を互いに対向するように保持する。アダプタ140は、第1方向D1に延在する筒状体141を含む。図6に示されるように、筒状体141は、第1方向D1から見たときに、例えば矩形枠状を呈している。すなわち、アダプタ140は、図6に示されるように、第1壁体143、第2壁体144、第3壁体145及び第4壁体146を有する。第1壁体143及び第2壁体144は、第1方向D1から見たときに矩形の短辺を構成している。第1壁体143は、フェルール10の第1側面13に対面する第1内周面143aを有する。第2壁体144は、第2側面14に対面する第2内周面144aを有する。第3壁体145は、第3側面15に対面する第3内周面145aを有する。第4壁体146は、第4側面16に対面する第4内周面146aを有する。図5及び図6に示される例では、第3内周面145aを形成する第3壁体145にスリット142が形成されている。スリット142は、第1方向D1において第1端140aから第2端140bまで形成されている。
【0055】
筒状体141は、フェルール10の第1凹部23に嵌合する第3凸部153と、第2凹部24に嵌合する第4凸部154とを備える。第3凸部153及び第4凸部154は、第1方向D1の任意の位置における第2方向D2及び第3方向D3に沿った断面形状が一様となるように形成されている。一例としては、第3凸部153及び第4凸部154は、第1壁体143及び第2壁体144が内側に湾曲することによって、第1内周面143a及び第2内周面144aにそれぞれ形成されている。第3凸部153及び第4凸部154は、第1方向D1に延在している。筒状体141は、上記実施形態と同様に、弾性変形可能な樹脂によって形成されている。
【0056】
第3凸部153及び第4凸部154は、第1方向D1から見た場合に、第1内周面143a及び第2内周面144aからそれぞれ内向きに突出する円弧状を呈している。第3凸部153及び第4凸部154は、互いに対向している。本例において、円弧状をなす第3凸部153及び第4凸部154のそれぞれの曲率は、互いに等しくなっている。すなわち、第1内周面143aの円弧状部分に接する仮想円Sと第2内周面144aの円弧状部分に接する仮想円Sとは、互いに同じ径を有する。一例として、この仮想円Sの半径は、0.2mmから2.0mm程度であってよい。
【0057】
無負荷状態において、第1内周面143aの円弧状部分に接する仮想円Sの中心から第2内周面144aの円弧状部分に接する仮想円Sの中心までの距離L3(図6参照)は、第1凹部23に接する仮想円Sの中心から第2凹部24に接する仮想円Sの中心までの距離L4(図7参照)よりも小さくなっている。なお、第1側面13及び第2側面14に接する仮想円Sの径は、第1内周面143a及び第2内周面144aに接する仮想円Sの径と同じである。アダプタ140の筒状体141にフェルール10が保持される場合、筒状体141は、第2方向D2に押し拡げられるように弾性変形する。第3凸部153及び第4凸部154は、筒状体141が弾性変形したときの復元力によって、フェルール10の第1側面13と第2側面14とを押圧する。
【0058】
上記実施形態では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凹部23及び第2凹部24がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凸部53及び第4凸部54がそれぞれ設けられたが、これに限定されない。図9から図14は、第2変形例から第7変形例の光接続構造を説明するための図である。図9から図14では、第1方向D1から見た場合における、アダプタ及びフェルールの断面図が示されている。なお、これらの図では要部のみが描かれており、例えば、アダプタの第3壁体及び第4壁体は描かれていない。
【0059】
例えば、図9に示すように、第2変形例では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凸部223及び第2凸部224がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凹部253及び第4凹部254がそれぞれ設けられてもよい。フェルールの第1凸部223の第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす第1凸部223の頂点223aは、第2方向D2の外側に突出している。また、アダプタの第3凹部253の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第1凸部223の頂点223aの角度θ3と同じ大きさの角度に開いたV字状である。
【0060】
フェルールの第2凸部224の第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす第2凸部224の頂点224aは、第2方向D2の外側に突出している。また、アダプタの第4凹部254の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第2凸部224の頂点224aの角度θ3と同じ大きさの角度に開いたV字状である。
【0061】
また、例えば、図10に示すように、第3変形例では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凹部323及び第2凸部324がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凸部353及び第4凹部354がそれぞれ設けられてもよい。第1凹部323の第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす第1凹部323の底部323aは、第2方向D2の内側に向かって凹んでいる。第3凸部353の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第1凹部323の底部323aの角度θ4と同じ大きさの角度の頂部353aを有するV字状である。
【0062】
第2凸部324の第1方向D1に交差する方向の断面形状はV字状である。第1方向D1から見たとき、V字状をなす第2凸部324の頂点324aは、第2方向D2の外側に向かって突出している。第4凹部354の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第2凸部324の頂点324aの角度θ5と同じ大きさの角度に開いたV字状である。
【0063】
また、例えば、図11に示すように、第4変形例では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凸部423及び第2凸部424がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凹部453及び第4凹部454がそれぞれ設けられてもよい。第1凸部423及び第2凸部424が第2方向D2における外側に突出し、第3凹部453及び第4凹部454は、第1凸部423及び第2凸部424にそれぞれに対応するように溝状に形成されてもよい。第1凸部423及び第2凸部424の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。第1方向D1から見た場合に、第1凸部423及び第2凸部424は第2方向D2の外側に向かって突出している。また、第3凹部453の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第1凸部423の曲率と同じ曲率で湾曲するU字状を有している。第4凹部454の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第2凸部424の曲率と同じ曲率で湾曲するU字状を有している。
【0064】
また、例えば、図12に示すように、第5変形例では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凹部523及び第2凹部524がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凸部553及び第4凸部554がそれぞれ設けられてもよい。第1凹部523及び第2凹部524が溝状に形成され、第3凸部553及び第4凸部554が第1凹部523及び第2凹部524にそれぞれに対応するように第2方向D2において内側に向かって凹んでいてもよい。第1凹部523及び第2凹部524の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。また、第3凸部553の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第1凹部523の曲率と同じ曲率で湾曲するU字状を有している。第4凸部554の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第2凹部524の曲率とそれぞれ同じ曲率で湾曲するU字状を有している。
【0065】
また、例えば、図13に示すように、第6変形例では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凸部623及び第2凹部624がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凹部653及び第4凸部654がそれぞれ設けられてもよい。第1凸部623が第2方向D2において外側に突出し、第3凹部653が第1凸部623に対応するように溝状に形成されてもよい。第2凹部624が溝状に形成され、第4凸部654が第2凹部624に対応するように第2方向D2において内側に突出してもよい。第1凸部623及び第2凹部624の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。また、第3凹部653の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第1凸部623の曲率と同じ曲率で湾曲するU字状を有している。第4凸部654の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、第2凹部624の曲率とそれぞれ同じ曲率で湾曲するU字状を有している。
【0066】
また、図14に示すように、第7変形例では、フェルール10の第1側面13及び第2側面14には、第1凸部723及び第2凸部724がそれぞれ設けられ、アダプタ40の第1内周面43a及び第2内周面44aには、第3凹部753及び第4凹部754がそれぞれ設けられてもよい。第1凸部723及び第2凸部724が第2方向において外側に突出し、第3凹部753及び第4凹部754が第1凸部723及び第2凸部724にそれぞれ対応するように溝状に形成されてもよい。第1凸部723及び第2凸部724の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の曲率で湾曲するU字状である。第1方向D1から見たとき、第1凸部723及び第2凸部724は第2方向D2の外側に向かって突出している。また、第3凹部753及び第4凹部754の第1方向D1に交差する方向の断面形状は、所定の角度で開いたV字状を有している。
【0067】
また、アダプタ40は、その全部が樹脂によって構成されていなくてもよく、その一部が樹脂等の弾性材料によって構成されることで弾性変形可能であればよい。
【符号の説明】
【0068】
1…光コネクタ
10…フェルール
10a…前端
10b…後端
11…光学端面
12…後端面
12a…突起
13…第1側面
14…第2側面
15…第3側面
16…第4側面
17…開口
18…保持孔
20…光ファイバ
23…第1凹部
23a…斜面
23b…斜面
23c…底部
24…第2凹部
24a…斜面
24b…斜面
24c…底部
30…バネ
40…アダプタ
40a…第1端
40b…第2端
41…筒状体
42…スリット
43…第1壁体
43a…第1内周面
44…第2壁体
44a…第2内周面
45…第3壁体
45a…第3内周面
45A…第1部分
45B…第2部分
46…第4壁体
46a…第4内周面
53…第3凸部
53a…斜面
53b…斜面
53c…先端
54…第4凸部
54a…斜面
54b…斜面
54c…先端
100…光接続構造
101…光接続構造
140…アダプタ
140a…第1端
140b…第2端
141…筒状体
142…スリット
143…第1壁体
143a…第1内周面
144…第2壁体
144a…第2内周面
145…第3壁体
145a…第3内周面
146…第4壁体
146a…第4内周面
153…第3凸部
154…第4凸部
223…第1凸部
223a…頂点
224…第2凸部
224a…頂点
253…第3凹部
254…第4凹部
323…第1凹部
323a…底部
324…第2凸部
324a…頂点
353…第3凸部
353a…頂部
354…第4凹部
423…第1凸部
424…第2凸部
453…第3凹部
454…第4凹部
523…第1凹部
524…第2凹部
553…第3凸部
554…第4凸部
623…第1凸部
624…第2凹部
653…第3凹部
654…第4凸部
723…第1凸部
724…第2凸部
753…第3凹部
754…第4凹部
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
L1…距離
L2…距離
L3…距離
L4…距離
S…仮想円
θ1…角度
θ2…角度
θ3…角度
θ4…角度
θ5…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14