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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118817
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】仮送電ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/02 20060101AFI20240826BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240826BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240826BHJP
   H02B 7/06 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02G15/02
H02G1/02
H02B1/20 E
H02B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025337
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】川地 貴之
(72)【発明者】
【氏名】中村 省吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佑樹
【テーマコード(参考)】
5G016
5G352
5G375
【Fターム(参考)】
5G016DA10
5G016DA24
5G352AE08
5G375AA01
5G375CA02
5G375CA17
5G375CB07
5G375CB32
5G375DA36
5G375DB04
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】羽子板状の端子部を有する路上機器に対し、安全かつ容易に接続できる仮送電ケーブルを提供する。
【解決手段】仮送電ケーブル1は、導体の外周に絶縁層、遮蔽層及び絶縁被覆が設置されたケーブル本体2と、その両端にそれぞれ設けられた第1の端末3及び第2の端末4と、ケーブル本体2の外周面に設置された検電部及び絶縁筒6と、締付けバンド7と、ボルト8及びナット9を備えている。第1の端末3は、圧縮端子、絶縁カバー10、絶縁筒11及び保護ケース12を備えており、第2の端末4は、羽子板状の端子部13aと、その一端に設けられた接合部13bからなり、ダルマ型の一対のボルト挿通孔13c、13cを有するスリーブ13と、ケーブル本体2の導体とスリーブ13の接合部13bの接合箇所に覆設されたゴム製のストレスコーン14と、スリーブ13の接合部13bと端子部13aに覆設されるスリーブカバー5を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形のボルト締結孔を有する羽子板状端子部が設けられた路上機器の直結端末に接続される仮送電ケーブルであって、
導体の外周に絶縁被覆が設置されたケーブル本体と、
このケーブル本体に一端が接続されてボルトを用いて前記羽子板状端子部に固定されるスリーブと、
このスリーブが前記ケーブル本体に接続された箇所を覆うように設置されたストレスコーンと、
絶縁性を有する弾性材からなり、前記スリーブに設置されるスリーブカバーと、を備え、
前記スリーブは、ボルト挿通孔を有する羽子板状の端子部と、この端子部の一端に設けられて前記ケーブル本体の前記導体の先端部分に接合される接合部と、からなり、
前記スリーブカバーは、前記スリーブの前記端子部を前記路上機器の前記羽子板状端子部に接続された状態で被覆可能に形成されていることを特徴とする仮送電ケーブル。
【請求項2】
前記スリーブの前記ボルト挿通孔の輪郭線が2つの円弧によって形成されるダルマ型をなしていることを特徴とする請求項1に記載の仮送電ケーブル。
【請求項3】
前記スリーブカバーは、側面に半径方向へ中心軸を超えるように切込が設けられた中空の円柱体からなり、
前記切込が設けられることによって、接続部を介して開閉自在に連結された一対の半割体が形成され、
前記半割体には凹部がそれぞれ設けられ、
一対の前記凹部は、一対の前記半割体が閉じられた際に、前記ボルトが締結された状態の前記路上機器の前記羽子板状端子部と前記スリーブの前記端子部を内部に配置可能な空間を形成することを特徴とする請求項1に記載の仮送電ケーブル。
【請求項4】
前記ケーブル本体に外挿される弾性体からなる絶縁筒と、
この絶縁筒を前記ケーブル本体に固定する締付けバンドと、を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の仮送電ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上機器などの直結端末に接続される仮送電ケーブルに係り、特に、接続先の機器が羽子板状の端子部を有する直結端末を備えている場合に用いられる仮送電ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
地中配電用機器に接続された地中ケーブルが故障した場合、新しい地中ケーブルに交換するまでの間、地中配電用機器に電力を供給するために、図6に示すようにバイパスケーブルが用いられる。なお、図6(a)乃至図6(c)は高圧引込開閉器と路上変圧器が接続された配電路の一例を示した模式図である。
図6(a)に示すように、高圧引込開閉器50、51の直結端末50a、51aと路上変圧器52、53の直結端末52a、53aは、単芯の3本撚り合わせ形の架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース電線(以下、CVTケーブル54a~54cという。)などを用いて互いにプラグイン接続されている。
例えば、図6(b)に示すように、高圧引込開閉器50と路上変圧器52を接続しているCVTケーブル54aに不具合が見つかった場合、通常、高圧引込開閉器50と高圧引込開閉器51の間を全て停電の状態にしてCVTケーブル54aの交換が行われる。これに対し、図6(c)に示すように、高圧引込開閉器50と路上変圧器52の間に2種類の接続ケーブル55、56とバイパスケーブル57によってバイパス線路58を形成すると、高圧引込開閉器50と高圧引込開閉器51の間を停電の状態にしなくとも、CVTケーブル54aを交換することができる。
しかしながら、高圧引込開閉器50(高圧引込開閉器51の場合も同様)とバイパスケーブル57を繋ぐ接続ケーブル55は存在するが、路上変圧器52の直結端末52aが400sq対応(断面積が400mmのケーブルを接続可能な構造)である場合、ボルトが挿通される丸孔を有する羽子板状の端子部が直結端末52aに設けられており、現状では、そのような形状の直結端末52aにバイパスケーブル57を繋ぐための接続ケーブル56が存在しないという課題があった。
【0003】
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献1には「ケーブル用アダプタ」という名称で、受電設備にバイパスケーブルを直接接続した上で仮送電を行うバイパスケーブルに用いられるアダプタに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、1枚の羽子板端子板又は電気的かつ機械的に接続された2枚の羽子板端子板を有する羽子板端子板ユニットと、一部が羽子板端子板ユニットに対して電気的かつ機械的に連結されて他部がケーブル端部に対して電気的かつ機械的に着脱可能に連結されたプラグイン端末を備えたことを特徴としている。
このような構造によれば、仮送電工事を行う際に、バイパスケーブルを接続する相手方機器の端子形状が羽子板端子板である場合であっても接続作業を簡略化することが可能である。
【0004】
また、特許文献2には、「バイパスケーブル用アダプタ」という名称で地中配電機器のモールド型変圧変流器のリード線を接続する際に用いられるバイパスケーブルのアダプタに関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、端部内壁にねじ溝が刻設されるとともに、内部にバイパスケーブル終端部の導体接続端子を受け入れる弾性リングが設けられた筒状本体部と、この筒状本体部から水平方向に延設されるとともに、上面中央部にリード線を受けるためのV溝が形成された羽子板部と、羽子板部のV溝に対向するように、互いに大きさの異なるリード線押さえ用V溝が上下面に形成された押え板を備えた構造となっている。
このような構造によれば、モールド型変圧変流器等のリード線を羽子板部と押え板により挟んで、締付・固定する方式であるため、取付作業を容易に行うことができる。
【0005】
さらに、特許文献3には、「バイパスケーブル終端部」という名称で多回路開閉器等の地中配電機器に接続する際に用いられるバイパスケーブルの終端部に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、所定の角度傾斜した状態で取り付けられた羽子板部を有する圧縮端子と、この圧縮端子をケーブル導体の端部に固定して端部全体をゴムによって一体的にモールドしてなる絶縁カバーを備えた構造となっている。
このような構造によれば、羽子板部が傾斜しているため、機器側に固定したり、機器の開口から引き出したりする際に、折り曲げられるバイパスケーブル終端部の許容曲げ半径を十分に大きく取ることができる。これにより、ケーブルの引き回しが容易になるとともに、ケーブル自体に損傷を与えるおそれもなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-143830号公報
【特許文献2】特開平6-351146号公報
【特許文献3】特開平6-351145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された発明では、相手方機器の端子が羽子板状をなしている場合でも接続作業を容易に行うことができるものの、相手方機器の端子に連結された部分が露出しているため、安全性が低いという課題があった。
また、特許文献2に開示された発明では、モールド型変圧変流器などのように端子部がリード線を有する場合でも接続することができるものの、相手方機器が羽子板状の端子部を有し、この端子部に対してボルト締結用の一対の丸孔が長手方向と平行に設けられている場合には、接続することができないという課題があった。また、相手方機器の端末にリード線を挟むようにして取り付けられた羽子板部が露出した状態となるため、作業者が感電してしまうおそれがある。
さらに、特許文献3に開示された発明では、地中配電機器に接続された圧縮端子の羽子板部が露出した状態となるため、安全性が低いという課題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、羽子板状の端子部を有する路上機器に対し、安全かつ容易に接続することが可能な仮送電ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明は、円形のボルト締結孔を有する羽子板状端子部が設けられた路上機器の直結端末に接続される仮送電ケーブルであって、導体の外周に絶縁被覆が設置されたケーブル本体と、このケーブル本体に一端が接続されてボルトを用いて羽子板状端子部に固定されるスリーブと、このスリーブがケーブル本体に接続された箇所を覆うように設置されたストレスコーンと、絶縁性を有する弾性材からなり、スリーブに設置されるスリーブカバーと、を備え、スリーブは、ボルト挿通孔を有する羽子板状の端子部と、この端子部の一端に設けられてケーブル本体の導体の先端部分に接合される接合部と、からなり、スリーブカバーは、スリーブの端子部を路上機器の羽子板状端子部に接続された状態で被覆可能に形成されていることを特徴とする。
第1の発明においては、スリーブの端子部が羽子板状をなしているため、この端子部を路上機器の直結端末に設けられた羽子板状端子部にボルトを用いて固定することにより、スリーブが設けられている端末が当該路上機器の直結端末に対して容易に接続されるという作用を有する。また、スリーブが路上機器の直結端末に接続された状態のまま、スリーブカバーによって覆われるため、第三者や小動物が接触して感電するおそれがない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、スリーブのボルト挿通孔の輪郭線が2つの円弧によって形成されるダルマ型をなしていることを特徴とする。
第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、ダルマ型を曲率半径の異なる2つの円弧で形成すると、路上機器の直結端末にスリーブを固定する際に2種類のボルトが使用可能になるという作用を有する。また、路上機器の羽子板状端子部が一対のボルト締結孔を有している場合には、スリーブに一対のボルト挿通孔を設けることで、一対のボルト締結孔のピッチが異なる2種類の羽子板状端子部を備えた路上機器に対して使用できるという作用を有する。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、スリーブカバーは、側面に半径方向へ中心軸を超えるように切込が設けられた中空の円柱体からなり、切込が設けられることによって、接続部を介して開閉自在に連結された一対の半割体が形成され、半割体には凹部がそれぞれ設けられ、一対の凹部は、一対の半割体が閉じられた際に、ボルトが締結された状態の路上機器の羽子板状端子部とスリーブの端子部を内部に配置可能な空間を形成することを特徴とする。
第3の発明においては、第1の発明の作用に加え、スリーブカバーが弾性材によって形成されていることから、一対の半割体の開閉が容易であるという作用を有する。
【0012】
第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明において、ケーブル本体に外挿される弾性体からなる絶縁筒と、この絶縁筒をケーブル本体に固定する締付けバンドと、を備えていることを特徴とする。
第4の発明においては、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明の作用に加え、スリーブを覆っているスリーブカバーを更に絶縁筒で覆うことにより、作業者の感電が確実に防止されるという作用を有する。また、締付けバンドによって固定されている絶縁筒は、締付けバンドを緩めることで容易に移動可能となるという作用を有する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、羽子板状端子部を有する路上機器に対して安全かつ容易に接続することが可能である。
【0014】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、路上機器の羽子板状端子部に一対のボルト締結孔が設けられている場合に、ボルト締結孔の内径やピッチの異なる2種類の路上機器に対して用いることができるという効果を奏する。
【0015】
第3の発明によれば、第1の発明の効果に加え、凹部内に端子部が配置されるようにして一対の半割体でスリーブを挟み込むことにより、スリーブに対してスリーブカバーを容易に取り付けることができるとともに、この状態から一対の半割体を開くことにより、スリーブカバーをスリーブから容易に取り外すことができるという効果を奏する。
【0016】
第4の発明によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明の効果に加え、スリーブからスリーブカバーを取り外す際に締付けバンドを緩めることで、スリーブカバーに覆設されている絶縁筒を移動させてスリーブカバーを露出させたり、スリーブに取り付けられたスリーブカバーを覆うために絶縁筒を移動させたりする作業を短時間で効率良く行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は本発明の実施の形態に係る仮送電ケーブルの一例を示した外観図であり、(b)及び(c)はそれぞれ同図(a)に示した仮送電ケーブルに用いられるボルト及びナットの外観図であり、(d)は同図(a)に示したスリーブの拡大図である。
図2】(a)及び(b)はそれぞれ図1(a)に示したスリーブカバーの正面図及び側面図であり、(c)は同図(a)におけるA-A線矢視断面図である。
図3図1(a)に示した仮送電ケーブルが路上変圧器に接続される手順を示したフローチャートである。
図4】(a)乃至(d)は図1(a)に示した仮送電ケーブルが路上変圧器の直結端末に設けられた羽子板状の端子部に接続される様子を示した図である。
図5】(a)乃至(d)は図1(a)に示した仮送電ケーブルが路上変圧器の直結端末に設けられた羽子板状の端子部に接続される様子を示した図である。
図6】(a)乃至(c)は高圧引込開閉器と路上変圧器が接続された配電路の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る仮送電ケーブルの構造とその作用及び効果について、図1乃至図5を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明では、仮送電ケーブルが接続される路上機器として路上変圧器を例に挙げているが、羽子板状の端子部を有するものであれば、本発明の仮送電ケーブルは路上変圧器以外の設備についても適用可能である。また、図1(a)などには2つの絶縁筒が示されているが、本発明の仮送電ケーブルは2つの絶縁筒と略同じ長さの1つの絶縁筒を備えた構造とすることもできる。さらに、スリーブカバーはスリーブの端子部のみを覆う構造であっても良い。
【実施例0019】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る仮送電ケーブル1の外観図であり、図1(b)及び図1(c)はそれぞれ仮送電ケーブル1に用いられるボルト8及びナット9の外観図であり、図1(d)は図1(a)に示したスリーブ13の拡大図である。また、図2(a)及び図2(b)はそれぞれ図1(a)に示したスリーブカバー5の正面図及び側面図であり、図2(c)は図2(a)におけるA-A線矢視断面図である。なお、図1(a)はスリーブ13の端子部13aを露出させた状態を示しており、図中の破線はスリーブカバー5を表している。
図1(a)乃至図1(d)に示すように、仮送電ケーブル1は、導電性金属の銅線等が撚り合わされるようにして形成される導体(図示せず)と、この導体の外周を覆う絶縁層(図示せず)と、銅線等が編み込まれるようにして形成され、絶縁層の外周を覆う遮蔽層(図示せず)と、この遮蔽層の外周を覆う絶縁被覆(図示せず)からなるケーブル本体2と、このケーブル本体2の両端にそれぞれ設けられた第1の端末3及び第2の端末4と、ケーブル本体2の外周面に設置された検電部(図示せず)と、ケーブル本体2に外挿された弾性体からなる絶縁筒6と、絶縁筒6をケーブル本体2に固定する締付けバンド7と、第2の端末4を路上機器などの直結端末に接続する際に用いられるボルト8及びナット9を備えている。
なお、図6(c)において、高圧引込開閉器50の直結端末50aと路上変圧器52の直結端末52aがそれぞれ仮送電ケーブル1の第1の端末3及び第2の端末4を接続可能な構造である場合、接続ケーブル55、56及びバイパスケーブル57の代わりに仮送電ケーブル1を用いることにより、高圧引込開閉器50と路上変圧器52の間にバイパス線路58を形成することができる。また、バイパスケーブル57の端末と路上変圧器52の直結端末52aがそれぞれ仮送電ケーブル1の第1の端末3及び第2の端末4を接続可能な構造である場合、接続ケーブル56の代わりに仮送電ケーブル1を用いることができる。さらに、バイパスケーブル57の端末と高圧引込開閉器50の直結端末50aがそれぞれ仮送電ケーブル1の第1の端末3及び第2の端末4を接続可能な構造である場合、接続ケーブル55の代わりに仮送電ケーブル1を用いることができる。
【0020】
第1の端末3は、ケーブル本体2の導体に基端が電気的に接続される圧縮端子(図示せず)と、ケーブル本体2に一端が接続された絶縁カバー10と、絶縁カバー10に接続された絶縁筒11と、絶縁性を有し、圧縮端子が中心軸上に配置されるとともに絶縁筒11に接続された円筒状の保護ケース12を備えている。
第2の端末4は、羽子板状の端子部13aと、端子部13aの一端に設けられた接合部13bからなり、曲率半径の異なる2種類の円弧によって輪郭線が形成されるダルマ型の一対のボルト挿通孔13c、13cを有するスリーブ13と、ケーブル本体2において絶縁層、遮蔽層及び絶縁被覆が剥がされて露出した導体の先端部分に対し、スリーブ13の接合部13bが圧着等の結合手段によって接合された箇所を覆うように設置されたゴム製のストレスコーン14と、スリーブ13に対し、接合部13bの一部と端子部13aを覆うように設置されるスリーブカバー5を備えている。
【0021】
締付けバンド7は、互いに平行な一対のリング(図示せず)の一端にそれぞれ固着された締付け板(図示せず)と、この一対の締付け板にスペーサを介してねじ込まれる締付けネジ(図示せず)によって構成されており、一対のリングを絶縁筒6に外嵌した状態で締付けネジをねじ込むことにより、絶縁筒6の外周面を締め付けるようにして、ケーブル本体2に絶縁筒6を固定する構造となっている。
【0022】
スリーブカバー5はポリエチレンや塩化ビニル、あるいは合成ゴムなどのような絶縁性を有する弾性材によって形成された中空の円柱体からなり、図2(a)乃至図2(c)に示すように、側面5cに半径方向へ中心軸5eを超えるように切込5dが設けられることにより、接続部16aを介して開閉自在に連結された構造の一対の半割体16、16が形成されている。一対の半割体16、16には、閉じられた状態で、路上機器の端子部に連結されたスリーブ13の端子部13aを内部に配置可能な直方体状の空間を形成する平面視矩形状の凹部16bと、スリーブ13の接合部13bを内部に配置可能な円柱状の空間を形成する半円柱状の溝部16dがそれぞれ設けられている。そして、一対の凹部16b、16bには、一対の半割体16、16が閉じられた状態で、スリーブ13の端子部13aに取り付けられたボルト8とナット9を内部に配置可能な直方体状の空間を形成する一対の凹部16c、16cがそれぞれ設けられている。
なお、一対の凹部16b、16bはスリーブカバー5の一方の端面5aに開口しており、一対の溝部16d、16dはスリーブカバー5の他方の端面5bに開口している。
【0023】
つぎに、仮送電ケーブル1を400sq対応の路上変圧器52(図6を参照)に接続する方法について図3乃至図5を用いて説明する。なお、図3は仮送電ケーブル1の第2の端末4が路上変圧器52の直結端末52aに接続される手順を示したフローチャートである。また、図4(a)乃至図4(d)並びに図5(a)乃至図5(d)は仮送電ケーブル1が路上変圧器52の直結端末52aに設けられた羽子板状の端子部52bに接続される様子を示した図である。
なお、図1及び図2並びに図6に示した構成要素については、同一の符号を付すことにより適宜その説明を省略する。
【0024】
まず、図4(a)に示すように第2の端末4においてスリーブカバー5が絶縁筒6によって完全に覆われた状態の仮送電ケーブル1(図1(a)を参照)において、締付けバンド7を緩めて絶縁筒6をケーブル本体2の方へ移動させると、図4(b)に示すようにスリーブカバー5が露出する。図4(b)に示した状態から絶縁筒6をケーブル本体2側へ更に移動させると、図4(c)に示したように、スリーブ13の接合部13bの一部に加えてストレスコーン14が露出する(図3に示すステップS1)。そして、スリーブ13からスリーブカバー5を取り外し、図4(d)に示すようにスリーブ13の端子部13aと接合部13bの全体を露出させた後、締付けバンド7によって絶縁筒6を固定する(図3に示すステップS2)。
【0025】
そこで、図5(a)に示すように、路上変圧器52の直結端末52aに設けられた羽子板状の端子部52bのボルト締結孔(図示せず)とスリーブ13の端子部13aに設けられたボルト挿通孔13cに挿通されたボルト8にナット9(図1(c)を参照)を締結して、路上変圧器52の直結端末52aに仮送電ケーブル1の第2の端末4を固定する(図3に示すステップS3)。つぎに、図5(b)に示すように路上変圧器52の端子部52bに接続された状態の端子部13aと接合部13bの一部並びにボルト8及びナット9を覆うようにスリーブカバー5をスリーブ13に取り付ける(図3に示すステップS4)。さらに、図5(c)に示すように、露出しているスリーブ13の接合部13bの一部に加えてストレスコーン14が絶縁筒6で覆われるように、締付けバンド7を緩めて絶縁筒6を路上変圧器52の方へ移動させる。そして、絶縁筒6を路上変圧器52の方へさらに移動させ、図5(d)に示したようにスリーブカバー5が絶縁筒6で覆われた状態にした後、締付けバンド7によって絶縁筒6を固定する(図3に示すステップS5)。
【0026】
以上説明したように、仮送電ケーブル1では、スリーブ13の端子部13aが羽子板状をなしているため、端子部13aを路上変圧器52の直結端末52aに設けられた羽子板状の端子部52bにボルト8を用いて固定することにより、第2の端末4が路上変圧器52の直結端末52aに対して容易に接続される。したがって、仮送電ケーブル1によれば、羽子板状の端子部52bを有する路上変圧器52に対して安全かつ容易に接続することが可能である。また、仮送電ケーブル1では、スリーブ13が路上変圧器52の直結端末52aに接続された状態のまま、スリーブカバー5によって覆われるため、第三者や小動物などが接触して感電するおそれがない。また、仮送電ケーブル1を使用していないときには、スリーブカバー5を備えていない場合とは異なり、スリーブ13の端子部13aと絶縁筒6の間に入り込んだゴミなどによって端子部13aが傷つけられるという事態を防ぐことができる。
【0027】
また、仮送電ケーブル1では、スリーブ13の端子部13aに設けられたボルト挿通孔13cの輪郭線が曲率半径の異なる2つの円弧によって形成されるダルマ型をなしていることから、外径の異なる2種類のボルト8を使用できる。したがって、仮送電ケーブル1は、端子部52bのボルト締結孔に挿通されるボルト8の外径が異なる2種類の路上変圧器52に対して用いることが可能である。
さらに、仮送電ケーブル1では、スリーブ13の端子部13aに設けられたボルト挿通孔13cの輪郭線がダルマ型をなしていることから、一対のボルト締結孔のピッチが異なる2種類の路上変圧器52に対して用いることができる。
【0028】
そして、スリーブカバー5は弾性材によって形成されているため、一対の半割体16、16の開閉が容易となっている。したがって、仮送電ケーブル1では、凹部16b、16cの内部に端子部13aが配置されるようにして一対の半割体16、16でスリーブ13を挟み込むことにより、スリーブ13に対してスリーブカバー5を容易に取り付けることができる。また、スリーブ13にスリーブカバー5が取り付けられている場合には、一対の半割体16、16を開くことによって、スリーブカバー5をスリーブ13から容易に取り外すことができる。
【0029】
なお、仮送電ケーブル1では、スリーブ13を覆っているスリーブカバー5を更に絶縁筒6で覆うことによって、第三者や小動物などが接触して感電するという事態を防ぐことが可能であるが、この締付けバンド7によって固定されている絶縁筒6は、締付けバンド7を緩めることで容易に移動可能な構造となっている。したがって、仮送電ケーブル1では、スリーブ13からスリーブカバー5を取り外す際に締付けバンド7を緩めることで、スリーブカバー5に覆設されている絶縁筒6を移動させてスリーブカバー5を露出させたり、スリーブ13に取り付けられたスリーブカバー5を覆うために絶縁筒6を移動させたりする作業を短時間で効率良く行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の仮送電ケーブルは、羽子板状の端子部が設けられた直結端末を有する路上機器に接続してバイパス線路を形成する場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…仮送電ケーブル 2…ケーブル本体 3…第1の端末 4…第2の端末 5…スリーブカバー 5a、5b…端面 5c…側面 5d…切込 5e…中心軸 6…絶縁筒 7…締付けバンド 8…ボルト 9…ナット 10…絶縁カバー 11…絶縁筒 12…保護ケース 13…スリーブ 13a…端子部 13b…接合部 13c…ボルト挿通孔 14…ストレスコーン 16…半割体 16a…接続部 16b、16c…凹部 16d…溝部 50、51…高圧引込開閉器 50a、51a…直結端末 52、53…路上変圧器 52a、53a…直結端末 52b…端子部 54a~54c…CVTケーブル 55、56…接続ケーブル 57…バイパスケーブル 58…バイパス線路
図1
図2
図3
図4
図5
図6